立教大学体育会ヨット部...
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立教大学体育会ヨット部
レスキュー安全マニュアル
改訂④:2016年 2月 10日
③:2015年 2月 9日
②:2014年 2月 13日
①:2013年 12月 6日
初版:2013 年 12月 2日目次
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第1章 はじめに
-1 安全マニュアルの作成の目的
-2 自己責任
-3 シーマンシップ(Seamanship)
第2章 出艇前 1
情報収集
−1−1 前日のハーバーにて
−1−2 前日の合宿所にて
−1−3 情報共有のための準備
−1−4 当日の合宿所にて
−1−5 当日のハーバーにて
−2 準備・装備品の確認
−3 緊急時連絡先一覧
第3章 出艇後 -1 安全運転
-1-1 航海法規の遵守
-1-2 立教独自の運航ルール
-1-3 機器取扱方法
−1−4 長距離回航
-2 レスキュー活動
-2-1 監視活動 -2-3 救助活動
-3 練習サポート
-3-1 マークを打つ
-3-2 アンカーを上げる
-3-3 曳行
第4章 トラブル発生時
−1 はじめに
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3
−2 沈艇の救助
−3 艇体トラブルが発生した時
−4 負傷者が発生した時
−5 想定外の強風になった時
−6 レスキューボートにトラブルが発生した時
−7 災害が発生した時
第5章 救命救急法
−1 AEDを用いた心肺蘇生の流れ
−2 心肺蘇生法
-2-1 胸骨圧迫
-2-2 人工呼吸
−3 AEDの使用方法
−4 止血方法
-4-1 直接圧迫法
-4-2 間接圧迫法
-4-3 止血帯法
-4-4 補足
本マニュアルは、適宜、最新情報に更新していきます。
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第 1 章
1:安全マニュアルの作成の目的
青空の下で、さわやかな風を受け、広い海を自由に走るヨットはとても楽しいものです。 小さな子供達から年配の方々まで、多くのセーラーがセーリングを楽しんでいます。ヨットは競
技・クルージングなど様々なスタイルがあり、一人乗りのディンギーから大型のセーリ
ングクルーザーまで数多くのタイプがあり、生涯スポーツとして親しまれています。
一方、海上(もしくは湖)で行われるセーリングにはいつも危険が隣り合わせです。残
念ながら荒天、落水、遭難、衝突などによる事故が毎年発生しています。
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/ship/index.php (国土交通省 運輸安全委員会より)
「自分は大丈夫だろう」「我々の部(チーム)は過去に事故を起こしたことが無い」と皆考えて
います。私もその一人でした。練習の際には必ず天気予報を確認し、実際に海況を確認し、レス
キューボートを出し、全員ライフジャケットを着て安全第一で臨むことを指導していました。こ
れにより「安全対策は出来ている」と甘い判断をしていました。
2013年9月、秋季六大学戦を翌日に、秋季関東インカレを翌週に控えたその日に事故は発生し
ました。午前中の練習を終えて帰港中の 470級が大きな風のフレによりアンヒール沈をし、手に
トラピーズアジャスターのシートが絡んだままクルーが溺れました。そばにいたレスキュー乗員
と他の 470級の乗員が救助に当たり、レスキューボートに乗せてからすぐに胸骨圧迫による心肺
蘇生(CPR)を継続。心肺停止のまま救急車ですぐに病院に搬送されました。その後、意識が戻
り、奇跡的に回復しました。
事故発生からご家族、部員達、OB会、大学、他大学、関係者の皆様に多くの心配をかけ、
活動自粛となり、関わる全ての方々が辛い思いをしたことは言うまでもありません。
結果的に学生達による救助時の迅速な対応と CPRが回復を実現させた大きな要因ですが、こう
いった行動は、事前に練習をしていた訳ではなく、マニュアル等もありませんでした。
本学ヨット部は、この事故を教訓として安全マニュアルを作成し、改善を続けていきます。
すべての事象を想定することは不可能ですが、「具体的に実現出来る安全対策」と「万が一事故
やトラブルが発生した際の対処方法」の知識と実技を、全員で習得して参ります。
2:自己責任
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/ship/index.phphttp://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/ship/index.phphttp://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/ship/index.phphttp://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/ship/index.php
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どんなスポーツでも練習が必要です。たとえば自転車を最初から乗りこなせる人はいません。
失敗をしながら練習することで技術を習得していきます。強風での練習も沈を起こす練
習も実践しなければいつまでも出来るようになりません。ただし「無茶」をするのではなく、練
習の際の海況や回りのメンバーやレスキュー体制などを総合的に鑑み、海上に出るか否かを自分
で判断します。
なぜなら海の上では常に「自分の命は自分で守る」ことが必要となるからです。技術が未熟な
人は、自分自身で海上に出るか否かを判断することは難しいので、指導者や上級生が一緒に判断
をします。
もちろんレスキューボートは常に配備し、適切な乗員を確保します。安全確保に最善を尽くし
ますが、自然を相手にする以上、海の上では何が起こるかわかりません。複数のヨットが同時に
沈をしたり、エンジンに何らかのトラブルがあったりすれば、トラブル発生時にすぐに駆けつけ
ることが出来ない場合もあります。
「自分の命を自分で守る」とは安全に関する知識を身につけることです。何かが起こったとき
にどうすれば良いかを実技として練習しておくことです。ヨットに限らずふだんの生活でも同じ
ことがいえます。これが「自己責任」です。これを怠る人は海に出る資格はありま
せんし、競技としてもクルージングとしてもヨットを楽しむ資格もありません。
「誰かが助けてくれる」ということは、自分で実現できることではありません。社会とい
う海に出た場合も同じです。「誰かがやってくれるだろう」と考えている人は、仕事に責任感が
無く成果も出ません。シーマンシップもリーダーシップもありません。
OB会と指導陣は安全対策に全力を尽くします。それはレスキューボートの提供や現場での人
的なサポートです。その場の状況に合った適切なアドバイスやサポートを経験で得た知識を基に
実施していきます。皆さんも安全マニュアルをしっかり読み込み、知識と実技の習得を万全にし
ます。ここで得たものは生涯通用します。これからセーリングをはじめる後輩達にもしっかり伝
えていきます。また、他者の命を助けることにも義務は発生します。したがって、本学ヨット部
は海上に出るものに救命技能検定証の取得を義務付けます
*救命技能検定証は 3年で失効するため更新を随時行っていきます。
3:シーマンシップ(Seamanship)
シーマンシップとは一般的に「 船舶の操縦術。操船術。」「 船乗りとしての心構え。
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船員の職業倫理。」を意味します。
「船乗りとしての心構え」とは具体的にどういうものでしょうか。旧海軍で使われていたといわ
れる言葉がわかりやすいので参考として記載します。本学ヨット部でもこのフレーズがずっと大切
に使われています。
『スマートで 目先が利いて 几帳面 負けじ魂 これぞ船乗り』
■スマート:
内面性や立ち居振る舞いを意味するもので、敏しょう、機敏、スピーディー、頭の回転が早
い、身のこなし方がよい等。
■目先が利いて:
先々を見通し、四方八方に目配り、気配りをしながら、事に当たれということ。
進歩的、臨機応変、先手をとる、集中する、視野が広い等。
■几帳面:
悪い意味での“いい加減” “適当に”というのを徹底的に忌避した言葉。
確実、清潔、整理整頓がされている、責任感が旺盛、協同精神に富む、時間を守る、他人に
迷惑をかけない、物・心の用意ができている等。
■負けじ魂:いわゆる“Fighting Spirit”。 闘争精神に富み、絶対負けないぞ
という気概。
『戦は、負けたと思った瞬間に負ける』
■これぞ船乗り:
船乗りはこれらを持ち合わせていることが大切。これがシーマンシップです。
すべて持ち合わせることは難しいですが、一つひとつ積み重ねていく事が大事です。
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第 2 章
—出艇前—
出艇前の準備を怠ってしまうと、安全なセーリングは出来ません。そのため万全な体制で漏れ
なく情報収集を行い、レスキューボートもヨットも装備品の積み忘れがないように準備をする必
要があります。
情報収集では海上の天候を把握し、部全体で共有し、練習海面やメニューを決定します。出艇
前の準備ではレスキューは万が一の事故が起きた際に迅速に救援出来るように、ヨットは正常な
セーリングが可能な整備状態で、装備品を積んだ万全の状態で出艇しなければいけません。
1:情報収集
1-1:前日の合宿所にて
担当者はインターネットを活用して天候情報について情報を集めます。
※利用サイト:気象庁 Yahoo 天気 など
<天候情報 チェック項目>
気温
風 風向・風速 (時間ごとに細かく)
波
潮 干潮・満潮時刻 大潮・小潮
気象庁より 左:海上気象情報 右:気圧配置 下:潮
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Yahoo 天気より 気象予報
就寝前の全体ミーティングで翌日の天候及びそれを踏まえた上での練習メニュー・練習
海面について情報を共有します。必要ならば、各クラスリーダーと担当者で事前に話し合
っておきます。情報から考慮すべき点があるならば、互いに指摘し合います。 1-3:情
報を共有するための準備
新入生には天候に関する基礎知識(上記の天候情報チェック項目、気温の変化による
風向の変化、練習海面の風の傾向などについて)を座学で教えます。気圧配置の見方につ
いても説明し、自分自身で天気図を理解できるようにします。
1-2:当日の合宿所にて
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起床後、担当者がインターネットで天候情報の再確認をします。 また、この場で前日の
天気予報との変化を全体で共有します。
1-3:当日のハーバーにて
担当者が出艇申告時にハーバーに掲示される情報及び職員の方から情報を得ます。
クラスリーダーは海面を見て再確認します。
→これらの情報を基に、その場の最上位者が具体的な最終決定をします。
※具体的な決定:出艇禁止/艇数を減らす/出艇時刻を延期/練習時間の短縮等
2:準備・装備品の確認 レスキューとヨットが出艇前に確認するべきチェック項目を以下に掲載します。
レスキューは「10 人乗りインフレータブル」を対象としています。
<レスキュー:チェック
項目>
法定備品
アンカー/ロープ/救命
浮環/黒球/パドル/バ
ケツ/ワイヤーカッター
/ライフジャケット
/信号紅炎
レスキュー携帯、緊急
連絡先表、部員名簿
救急箱人工呼吸用マウス
ピース
双眼鏡
トランコ
笛(すぐ使用できる状態で
全員携帯)
メガホン
旗
海図
<レスキュー:点検項目>
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ガソリンが満タンで 2 缶以上あ
るか
ハンドルがスムーズに動くか
空気は抜けていないか(ゴムボ
ート)
キングストンは閉まっているか
エンジンオイルが規定量入って
いるか
チルトは海面に対して水平な位
置まで下ろしたか
暖気運転をしてあるか
ビルジポンプを AUTOにしてある
か
<レスキュー:定期メンテナンス項目>
オイル交換 300〜400 時間が交換目安
※ 毎出艇前に陸上でオイルチェックすることが前提
※ 舵/ビルジ部分に油を注いでもらう
年 1 回が交換目安 (オイル交換のタイミングにて)
水のポンプ/電極/プラグ/ギヤオイル/燃料フィル
ター
ベルト交換 1,000 時間が交換目安
TRが 170時間を超えたらリセット
※日々のレスキュー点検項目はレスキュー責任者が出艇前にノートに記録します。走行時間も記
録します。
※メンテナンスについては実施日、実施内容を記録します。
※レスキューの電光掲示板に赤いランプやエンジンマークが点滅したら、速やかに帰港し、
メンテナンスを依頼している方に連絡し対処を確認します。
レスキューの最低乗員人数:3 名(ドライバー/舶免許保持者・470 チームを見る者・スナイプ
チームを見る者)
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*能力に応じて人選を行います。
*当日の天気予報等を鑑みて、監督・コーチ乗船時に限り、判断により乗員数を変更する場合も
あります。
レスキューの乗員は雲の動きも確認します(積乱雲など)。練習中は注意しても、470 とスナイ
プ、1人乗りディンギーはスピードが異なるため離れてしまいがちです(特にすべりの練習)。
またレスキューボートがマークを打っている間は練習中のヨットの監視が疎かになりがちなので
担当者を決めて常に視界に入れるようにします。
海のコンディションやヨット乗艇者の技術も考慮して、レスキュー乗員数や練習のメニューを
慎重に検討します。
<ヨット:チェック項目>
ライフジャケット 笛 細くて強いシート(体に絡まないよ
うに装着することが大切です)
マストトップフロート(黒球等の浮力体) シングルブレー
ドで付ける
クルーBOX…トラブル時に最低限の対処が出来るため
ハサミ/+−ドライバー/プライヤー/ビニールテープ/予
備シャックル/シャックルキー/シングルブレード/セイル
リペア
ディンギー出艇前艇体チェック
470 チェック
①セルフべーラー、キングストン確
認
②スピンポール確認
③スピンハリヤードの干渉確認
④ジブシートのシャックル確認
⑤マスト、ブームのアイのガタ確認
⑥マストプラー確認
⑦メインシート、ジブシートの確認
⑧ラダーシートの干渉確認
⑨艇体後部の排水口の確認
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スナイプチェック ①サイドプレート、チェーン確認
②ジブカム確認
③シートの干渉確認
④ジブシートのシャックル確認
⑤マスト、ブームのアイのガタ確認
⑥アウトホール確認
⑦ランチャーのショック確認
⑧メインシートの確認
⑨エクステンションのゴムの確認
*アンカーはディンギーをアンカリングするために、艇数に合わせて最低限の数を決定します。
Ex)12 艇、出艇しているときは 6 個搭載します
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・艇の船首から右側に船(横切り船)を確認でき、かつ衝突の恐れがある場合は右に進路を変
え、横切り船の船尾を通る、または、減速し衝突の危険を回避します。
・横切り船の関係において、自分が航路維持船であった時は、その安全が確認されるまで急
な進路変更・減速は行わないようにします。
・港則法に則ったマリーナ内の法規を厳守(全マリーナ共通)します。
※出艇時:右小回り、着艇時:左大回り。マリーナ内最徐行
・マリーナへの出入りの際、出艇する船を優先します。・海上衝突予防法に則った、艇同士の衝
突予防のため、特に運転手が周囲の安全を確認で きる状況を維持します。
・釣り船、漁船、網、タコツボ(ボンテン)には近づかないようにします。
万が一近づいてしまった場合は、その状況からの回避を第一とし、最大限の注意を払いながら
引き波を立てないような速度で回避にあたり、十分な距離をとって迂回します。
・荒天時、風が強く波高の高い時は、波を横から受ける形での運転は危険なので、必ず船首を波
に向かう形か後ろから波を受ける形での運転を心掛けます。
また、不用意にスピードを出すことも危険なので、操舵が十分に効く範囲での運転を心掛けま
す。
1-2:自主運航ルール
・マリーナから出艇に関しての指示がある場合、必ずこの指示を確認し遵守を徹底します。
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・出着艇の際、緊急時以外バックを使わないようにします。また、バックを使わない余裕のある
運転を心掛けます。
・乗員の技術レベルによって帆走困難と判断される風速・海面状況では、安全を優先し、ディン
ギーの艇数を減らします。
・出艇後は速やかにフェンダーを回収し、海面抵抗を減らします。
・港内の着艇態勢にある船を優先します。
・備品の積み込みは船尾が重くなりすぎず、また左右のバランスがとれるようにします。
また、積み込む物が多い場合、レスキュー人員を調節します。
・陸との連絡手段として無線(トランコ)、携帯電話を必ず積み込みます。
・連絡先を連絡する順番を予め決めた形でコックピットにメモをしておきます。 1−3:機器取扱
方法
・レスキュー艇を安全に運転するために、また緊急時のレスキュー艇自体のトラブルを避け
るため、通常利用時は 4,000 回転以下とします。
・出着艇時、レスキュー艇の排水栓が全てしまっていることを確認します。
*艤装した者、レスキュー補佐が二重に確認を行います。・出着艇時、ガソリンの量を毎回確
認・補充を行います。
※2缶以上のタンクが満タンである状態を確認する。
・着艇後、冷却水路を専用ノズルで排水口から出る水が冷たくなるまで水洗いします。
・陸揚げ後、船内の潮出し・清掃、アンカー整理を行い、デッキブラシで清掃します。
・船を固縛する時、オーニングをし、艇体を守ります。
・電子部位、ガソリンタンク等の排水のためにビルジポンプを使用します。
着水中は常にビルジポンプを AUTOにします。※係留時も
陸揚げ後はビルジポンプをオフにします。
1-4:長距離回航
Ex,葉山マリーナから八景島(中継地点:三崎漁港)
・長距離回航を行う際、必ず出艇マリーナと到着マリーナに出発予定時刻と目的地に到着予定時
刻を報告します。
・目的地に到着した際、必ず出艇したマリーナへの電話での報告を行います。
・中継地点に到着した際、主将(現役責任者)への電話報告を行います。
また、主将はその報告を受けた後、監督への連絡を行います。
・出艇前に、ガソリンが 80ℓ(およそガソリン 2.5 缶)以上あることを確認します。
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・備品として、海図を必ず積み込みます。
2:レスキュー活動 2-1:監視活動
・救命浮環にロープをつけておき、迅速に対処できるようにします。(日頃から準備徹底)
・天候が不安定な場合、座礁を回避できる距離をとった上で、マリーナのなるべく近くで練習し
ます。
・470、スナイプの 2 チームが離れないように全員がまとまって練習するよう誘導します。各チ
ームが離れているとき、レスキュー艇の責任者は乗員の中から各チームを監視する者を
事前に指名し、万一の際に備えておきます。
・出着艇前、ディンギー艇のサポートをします。特に浅瀬での転覆、メインセールを下ろした状
態での着艇は制御不能が起こりやすいので入念にサポートします。
・下級生がヘルムスマンなど、経験の浅い艇の監視を徹底します。
2-2:救助活動
・転覆艇が発生した場合、最優先でサポートにあたります。
・シーマンシップにのっとり、他校その他海上活動中の船舶人員のトラブルを発見した場合、
声掛けしどのようなサポートが必要か確認します。
・過呼吸や気絶その他、乗員が自ら動けなくなった場合、蘇生活動の項目に準じて心肺・意識の
有無を確認する。並行して連絡表に準じて陸上と連絡を取ります。(2 章参照)
・トラブル発生時にディンギーをアンカリングしておく用のアンカーの準備をします。
3:練習サポート 帆走乗員が限られた時間に効率的な練習が出来るように、次の手順でサポートをします。
3-1:マークを打つ
・事前にマークの空気確認、もやいロープが絡まりやすい状況にないかを確認します。
・周りに障害物がないか確認します。
・周囲に他大学がいる場合、声を掛け合い互いの練習海域に干渉しないよう注意します。
・ダンフォースアンカーが開いている状態で風上からアンカーを落とします。
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・アンカーシートが船の下に入らないようにします。
・アンカーシートの長さは、水深の1.5~2倍を目安とします。
また、満潮干潮を意識して長さの参考とします。
3-2:マークを上げる
・風上からアンカーをあげます。
・アンカーを上げる際は、迅速に完了することを第一として作業を行います。
3-3:曳航
・曳航シートは 15m を目安として、各ディンギー艇に配備します。
・艇体トラブルによる帆走不能時は、周囲の安全を確認してから風位を向け、メインセールを下
ろします。他艇はレスキューの助けを呼び、迅速にマリーナへ帰着します。
・マリーナへ船首を向けるタックで待ちます。艇体にクラックなどの損傷がある場合は損傷
部分に水がかからないようにします。
・曳航時、レスキューを先頭に順番に船を曳航シートで繋げます。
・すばやくロープを受け取り、レスキュー艇後方に結びます。
・ロープがたるまないように調整します。
・最低一人は後ろを向いて見張りをします(艇の安定、乗員の安全)。
・時々声を掛けて安全に曳航が出来ているかを確認します。
第4章
―トラブル発生時―
1:はじめに 1. ヨットのトラブル発生時は、乗員の安全を第一に考え行動します。
2. ヨットのトラブルが発生したら、全艇にトラブル発生を伝えます。
使うもの:笛
鳴らし方:全艇がトラブル発生に気が付くまでずっと吹き続けます。
3. ヨットからのトラブル発生の合図を見逃さないように、レスキュー乗員は分担してヨ
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ットを見張っておきます。
※遠くで沈をしている艇を発見し、目視では詳細が分からない場合は、レスキューボッ
クスにある双眼鏡を用いて、素早く確認することが大切です。
4. トラブル発生時、トラブルが発生した艇が、何らかの理由で直ちにレスキューのサポート
を受けられない場合は、全艇が集合してトラブルが発生した艇にできる限りのサポートを
行い、レスキュー艇の到着を待つようにします。
5、トラブルが発生した艇がハーバーバックする際には、必ずハーバーまで付き添います。この際、レ
スキューが 1 艇のみの場合は、海面に残る艇に注意しながら適宜付き添うかどうか判断する。 *トラ
ブルが発生した艇が自力でハーバーバックができるかをまず判断します。不可能であればすぐさま曳航
をしてハーバーバックをします。
*ハーバーバックをした艇は海上復帰の可否をレスキューに連絡を取ります。海上復帰が可能な
場合はレスキューに付き添ってもらい、練習海面へ向かいます。
*レスキューがいない状態でのディンギーの動きは、各クラスリーダーの指示に従いま
す。
2:沈艇の救助 沈発生時の心構え
・レスキューの乗員はいつでも海に飛び込める準備をしておきます。
・工具などをすぐに渡せるようにレスキューボックスを準備します。
・曳航用ロープを準備します。
・救命浮環(浮き輪)の準備をします。
※乗員がレスキューから離れてしまった場合に使います。
・レスキューは沈艇のそばに留まり、沈起こしのアドバイスをします。
手順
1.乗員全員がいるかを確認します。
2.沈艇の近くに寄り、「大丈夫か?」などと声をかけます。
3. 周囲の安全確認(岸壁・岩場、網、漁船、釣り船、手漕ぎボート、ボンテン・
ペットボトル、ヨットは近くにないか。他大学が練習している海面かなど)します。
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4.救助開始
→優先順位は以下のようになります。
① 乗員が目視で確認できない艇
② 孤立して沈をしている艇(周囲にヨットがいない)
③ 危険度の高い場所で沈をしている艇
(危険度の高い場所:岸壁・岩場の近く、網の近く)
④ 乗員の技術レベルが低い艇
ケース 1:沈がどうしても起きない場合
1. レスキューの乗員が飛び込んで援助をします。
→バウをおさえ艇を風向に向けます。センターに乗って体重をかけるのを手伝いま
す。
2. 振り子沈を防ぐため、バウ先とレスキュー艇をシートで結び、艇が風向に向くように維
持をします。
3. 乗員をハーバーに帰す必要がある場合はアンカリングをします。
ケース 2:曳航中に沈艇発生した場合
レスキューはただちに減速し、沈艇の前後の艇は、曳航用ロープをほどきます。
補足:練習中に、ディンギー艇から落水者が出た場合
1. レスキュー艇は風下から要救助者に最徐行で近づいて救助をします
2. 救助を終えた後ディンギー艇がレスキュー艇に自力で接触できるかを確認します。
無理な場合はレスキュー艇から接触し乗員の状況を確認します。
3:艇体トラブルが発生した時 艇からのトラブル発生の合図を受けた場合は以下のように対応します。
手順
1.レスキューの側面に艇をつけます。艇が帆走不能の場合はレスキューが艇の側面につ
けます。
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2.トラブル発生報告を受けます。乗員は状況をはっきりと簡潔に伝えます。
(どの部分が壊れた?ハーバーバックするか?など)
3-1.ハーバーバックしない場合 =海上での応急処置
・レスキューボックスに入っている備品を提供します。
・補修のサポートをします。
※艇の乗員に求められた備品をすぐに出せるようするなど、求められた行為をすぐに
できるようにします。
3-2.ハーバーバックする場合
・他艇にハーバーバックの旨を伝えます。
① 曳航しない場合
・トラブル艇のハーバーバックに付き添います。
② 曳行する場合
・曳航準備をします。
4:負傷者が発生した時 艇からのトラブル発生の合図を受けます。
ケース1:複数人が怪我をしている場合
付近の艇から救助し、レスキューでハーバーバックする必要がある部員を順次レスキューに
乗せ、全艇の負傷者のケアし次第レスキューでハーバーバックします。
手順
1. レスキューの側面に艇をつけます。艇が帆走不能の場合はレスキューが艇の側面につ
けます。
2. トラブル発生報告を受けます。乗員は状況をはっきりと簡潔に伝えます。
・クルー・スキッパーどちらがけがをしたか。どのようなけがをしたのか。
負傷者に意識はあるか。ハーバーバックするかなどです。
3-1.ハーバーバックしない場合 =海上での応急処置
・レスキューボックスに入っている救急セットを提供
・治療のサポート
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※艇の乗員に求められた救急道具をすぐに出せるようにします。求められた行為
をすぐにできるようにします。
3-2.ハーバーバックする場合
・他艇にハーバーバックの旨を伝えます。
① 乗員全員で、自力で帰ることが可能な場合
・けが人発生艇のハーバーバックに付き添います。
② 負傷者をレスキューに乗せる必要がある場合・乗員が一人になってしまう艇に、レスキ
ューからアンカーを渡します。
(1)救急車が要らない場合
・網や漁船、ヨット等に気を付けて速やかにハーバーバックします。
(2)救急車が必要な場合
・その日に出艇したマリーナに電話をかけます。
・監督、負傷者の家族に連絡します。
※電話で伝えるべきこと
「立教大学ヨット部の○○です。要救助者が出たので救急車の準備をお願いします。救助者
の状態は△△(呼吸の有無、意識の有無)です。事故発生原因は□□です。」
↓
ケース 1.出艇したマリーナに帰港する場合
「○○マリーナに帰港します。○分後に到着予定です。」
ケース 2.出艇したマリーナよりも、他のマリーナの方が近い場合
「現在地から最も近い、××マリーナへ帰港します。○分後に到着予定です。
××マリーナへの伝達および救急車の要請をお願いします。」
5:想定外の強風になった時 事前対処できること
・葉山沖の場合、強い西風が吹くことが予想される際には出艇を控えます。
・漁船がハーバーに向かい出したときは、直ちにハーバーバックします。
・「春一番」等の情報には注意します。
・強風となる予報のときは船数を減らし、ハーバーに近い場所で練習をします。
・沖の方で白波がたっていたら注意します。
・急いでハーバーバックすることを伝えるための旗や笛の合図、方法を決めておきます。
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・沈が起きない時に助けに行く要員等、役割分担を決めておきます。 ・雲の流れが早いときは
風が強くなる傾向にあることを把握します。
・あらかじめ、上級生を多く乗せるなど対策を取ります。
・出艇する予定の艇数を減らす
手順
まず全艇の存在・安全確認をします。
ケース1:ヨット全艇の存在が確認できない場合
1. 必要に応じレスキューの周りにいるヨットをアンカリングします。
2. 完了したことを見届けた後に、存在が確認できなかったヨットを捜索します。
3. 双眼鏡や他大学のレスキューの情報を利用し、なるべく早い段階での発見をします。
ケース 2:ヨットが自力で帰港できる状態の場合
1. 全艇の安全を確認後、直ちにハーバーバックの合図を出します。
→ヨットには沈を避けるためにスピンやランチャーを使わず安全に帰らせます。
2. レスキューは全艇の着艇を見守ってから、マーク等の回収を行います。
ケース 3:通常帆走ができない場合
1.ヨットにメインセールを下ろさせて、ジブ帆走でハーバーバックさせます。
→ジブセール帆走では風上に進めず、港に向かって追い風の場合でしか進むことはでき
ないため、風向に注意します。
2.レスキューが曳航します。
→強風のときはメインセールを下ろさせます。
大きなうねりや波があるときは、曳航するのが危険になる場合もあるため長めの曳航
シートを使用します。
6:レスキューボートにトラブルが発生した時 事前対処できること…
・出艇前の確認を確実に行います(2 章参照)。
・新港等、近場の港の電話番号を把握しておきます。
・海図を搭載しておきます。
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・通信手段は最低でも2つは搭載しておきます(携帯電話、トランコ等、また GPS 機能が
あるものもあるとよいです)。
・通信手段は身に着けておきます。
・操縦部分のオイルのチェックをします。
★レスキュー乗艇者は異変を感じた時やトラブル発生時に、笛やモールス信号での SOS を用い
て周囲の艇に情報の発信をします。両クラスのディンギーは迅速にレスキューの付近に集合をし
ます。
*モールス信号の SOS は短音 3 回、長音 3 回を繰り返し出し続けること。
ケース 1:エンジンが止まった場合
1. 周囲の状況(岸までの距離、網等の有無、天候等)を確認し、必要に応じてレスキュー
をアンカリングさせます。
2. ニュートラルになっているか確認します。
3. ガソリンが適切に送られているか確認します。
4. エンジンオイルは入っているか確認します。
5. セルモーターが回らない時はバッテリーの接続状況を確認します。
ケース 2:海上でなおせない場合
1. レスキューをアンカリングします。
2. すぐに周りのレスキュー艇に SOS を求めます。
3. 周りに船がいない場合は、ホームポートに連絡をして救助を求めます。
→回航中の場合は、海図を見て最も近い港に助けを求めます。
ケース 3:レスキュー艇自体が転覆をした場合
1. 必ず船から離れないようにし、助けを求めます。
2. 携帯等の連絡手段、笛等で助けを求めます。
ケース 4:レスキュー艇自体に水が溜まった場合(水没)
1. 直ちにハーバーバックします。
2. 水の侵入部分はテープで塞ぎ、バケツで水をだすなどの応急処置をします。
3. ヨットはレスキューのそばを並走します。
ケース 5:通信手段が途絶えた場合
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1. 直ちに練習を中断し、ハーバーバックします。
2. エンジンが止まり漂流中の場合、シーマーカーや笛、旗、鏡などを使って SOS の合図
をします。
ケース 6:ハンドルが効かなくなった場合
1. レスキューを止め、アンカリングをします。
2. 操縦部分のオイルをチェックし必要に応じて足します。
7:災害が発生した時 事前対処
・朝昼の天気予報を共有します。
・高台、避難場所の選定をします。
・トランコを用意します(電話回線が混み合った時のため)。
・丘番は地震が起きた場合にすぐに情報をチェックする習慣をつけます。 ケース1:大きな地
震が発生したとき
1. 陸から連絡を受け次第、直ちにヨットをハーバーバックさせます。
→津波がくるときにヨットのような小型船が海に残るという選択肢はありません。
全艇レスキュー近くに集まり、曳航用意を始めます。
2. 津波到達まで時間がない場合は艇をアンカリングさせ、レスキュー艇で陸に戻ります。
3. すぐに陸の高台に逃げます。あらかじめ向かうべき高台の場所を決めておきます。
※地震発生から津波到来までの時間の一例
→15 分~20 分「参考:東北のヨット部事例集」
ケース 2:雷が鳴り出した場合
1. 直ちにハーバーバックをします。
→沖の漁船が帰り出すことは荒天の合図です。
2. すぐ近くに雷がきてしまった場合、艇をアンカリングさせ、速やかにレスキューで陸に戻り
ます(マストに落ちる危険性は高い)。
*落雷の可能性が非常に高い場合は、レスキューは静止します。 乗員はできるかぎり姿勢を低
くします。ディンギーに乗っていたものは艇を完沈させ、艇より上に出ないようにします。
ケース 3:竜巻が発生した場合
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目視次第、直ちにレスキューに移り、ハーバーバックをします。
いざという時の「守るべき」優先順位は以下のとおりです。
人命>レスキュー>ヨット
第 5 章
―救急救命法―
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1:AEDを用いた心肺蘇生の流れ
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2:心肺蘇生法 心肺蘇生をする前に確認することがありま
す。
反応の確認(右図)
肩をたたきながら呼びかけて反応するか
を確認します。
→ できるだけ耳元の近くで名前を呼ぶ
「わかりますか」「大丈夫ですか」
などと呼びかけます。
判断 目を開けたり、何か反応があれば「反応あり」なければ「反応なし」
注意 体を大きくゆすって反応を確認するのはよくありません。
→ 話ができれば傷病者の訴えを十分に聞き、必要な応急手当てをし、悪化防止、苦痛の軽減
を施します。
呼吸の確認(右図)
普段通りの呼吸があるかを 10秒以内で 確認します。
目線を傷病者の胸から腹にかけての位置に 向け、呼吸の
状態を「見て」確認します。
判断 胸から腹にかけての位置に動きが見られない場合、普段どおりの呼吸なしと判断
します。(明らかに呼吸があるとわかるとき以外普段通りの呼吸なしとします。)
※普段通りの呼吸がなければ、直ちに胸骨圧迫と人工呼吸を併用した心肺蘇生を行います。
人工呼吸がためらわれる場合は、胸骨圧迫だけでも行ってください。
2−1:胸骨圧迫(右図) ① 十分な強さと十分な速さで 絶え間なく 30回圧迫します
・強さは少なくとも胸が5cm沈むまでです。
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・速さは 1分間に 100回程度のテンポです。
・救助者は傷病者の真横に膝立ちし、肩が胸骨の 真上にくる
ような体勢で行ないます。
② 圧迫を確実に解除します
・沈んだ胸が元の位置まで戻るように圧迫を戻します。
・手を胸から浮き上がらせたり圧迫位置がずれたりしないように注意します。
※胸骨圧迫をする時のポイント(下図)
・胸骨圧迫の圧迫位置の目安は、胸の真ん中(胸骨上)です。
・右図の様に手を重ね、手の根元だけを圧迫位置に平行に当てて押します。
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注 意 ・人工呼吸の試みは2回までとして、2回目で胸の上りが確認できてもできな
くても、中断して胸骨圧迫を優先します。
・吹き込みすぎに注意しましょう。
・吹き込む前に深呼吸をしないでください。吹き込む量が多くなりすぎたり、
救助者の気分が悪くなることがあります。
ポイント 胸の上りを必ず目で確認します。
胸骨圧迫 30回と人工呼吸 2回の組み合わせを続けます。
・胸骨圧迫 30回と人工呼吸2回を絶え間なく、続けて行ってください。
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・胸骨圧迫は非常に体力を必要とします。時間が経過すると圧迫が弱くなったり 遅くなりや
すいので注意が必要です。
・救助者が複数いる場合は胸骨圧迫を1~2分を目安に交替しましょう。
・救急隊員に引き継いだとき(救急車がきても隊員に引き継ぐまで続けてください)。
・傷病者に何らかの応答や目的のあるしぐさが現れたとき。
・普段通りの呼吸をし始めたとき。
※いつでも対処ができるように、救急道具(乾いたタオル、人工呼吸用のマウスピース等) は海
上でも常備するようにしましょう。
3:AEDの使用方法 ・AEDは心電図を解析し除細動(電気ショック)が必要か否かを判断します。
・AEDの操作は簡単で、電源ボタンを押す(又はふたを開ける)と自動で音声メッセ
ージが流れ、救助者に使用方法を指示してくれます。
① AEDの到着
・救助者が複数の場合は、一人が心肺蘇生を続け、別の一人が AEDの操作をします。
・救助者が一人の場合は、心肺蘇生を中断し、AED の操作をします。
② 電源を入れる
・電源ボタンを押すタイプやカバーを開けると自動で電源が入るタイプがあります。
③ 音声メッセージの指示に従う
・電源を入れるとAEDから音声メッセージが流れます。その指示に従って行動して下
さい。
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④ 電極パッドを胸に貼る(右図)
・電極パッドが肌に直接触れるように衣服を脱がせます。
・電極パッドを貼る位置は電極パッドに描かれています。
・1枚は右の鎖骨の下、もう1枚は左の脇の下に貼ります。
※体が水で濡れている場合は、乾いたタオルなどで拭き取ってください。
(濡れたまま電極パッドを貼ると皮膚の表面に電流が流れ、電気ショックが 十分に心
臓に伝わらないことがあります。)
※湿布、装飾品、下着なども取り外すなどして直接肌に触れるように電気パットを貼
ってください。
⑤ 傷病者に触れない
・AEDが、電気ショックが必要か否かの判断を自動で行います。
音声メッセージにより傷病者に触れないよう指示が出るので、傷病者から離れ、他
に誰も触れていないか確認して下さい。
・別の救助者が心肺蘇生を続けている場合も一旦心肺蘇生を中止し触れないようにして
下さい。
⑥ 電気ショックを行う
・電気ショックが必要な場合は「電気ショックが必要です」と音声メッセージが流れ、
自動で充電を開始します。
・電気ショックの準備が完了すると「ショックボタンを押してください」と音声メッ
セージが流れ、ショックボタンが点滅します。
・誰も触れていないことを確認し、ショックボタンを押します。
※電気ショック時、傷病者に触れていると感電の危険があります。
⑦ 電気ショックを行った後
・音声メッセージによる指示に従い、胸骨圧迫、心肺蘇生を再開します。
・心肺蘇生を再開して 2分経過するごとに、自動で心電図の解析が行われます。
心肺蘇生を中断して音声メッセージに従ってください。
⑧ その他注意事項
・救急隊に引き継ぐか傷病者に何らかの反応があるまで心肺蘇生と AEDは継続してくだ
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さい。
・救急隊に引き継ぐまで AED の電源は ON で、電極パッドは貼ったままにしてください。
・救助者が複数いる場合は、心肺蘇生を常に行いながら作業をしてください。
※普段利用している施設の AED設置場所を日頃から確認しておきましょう。
Ex) 葉山新港の場合 ― 管理事務室の入口右側
4:止血方法 主に外傷により出血している傷病者が対象 (→内出血の場合は
専門家に任せます)
① 様子の確認
◎大出血があるか (→出血量が多いほど止血を急ぐ必要があります)
・出血部位、出血の種類、程度
・傷病者の顔色
・四肢の変形はないか
・ショック症状(冷汗、顔面蒼白、四肢冷感など)はないか等
② 止血の方法
・反応、呼吸に異常があれば、まず救命処置を優先にします。
・外出血、とくに大出血を認めた場合は、直ちに止血の処置を行います。
4−1:直接圧迫法(一般市民が行う止血法) 出血部位をガーゼやタオルなどで直接強く圧迫して出血を止める方法。
① 出血部位を押さえる材料の条件
・清潔であること。
・厚みのあるものであること(薄いものを何枚も重ねても良い。)。
・出血部位を十分に覆うことができる大きさがあること。
② 圧迫の行い方
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・出血部位にガーゼやタオルなどを当て、その上から手で強く圧迫します。
→片手で止血できなければ、両手を使ったり体重をかけたりして圧迫させ止血しま
す。
※圧迫したにもかかわらず血がにじみ出る場合
→さらにその上にガーゼやタオルなどを重ねて圧迫します。この際は初めに当てた ガ
ーゼやタオルなどは外さないでください。
※感染防止のためゴム手袋やビニール手袋などを使用することが勧められています。
(直接圧迫法の図)
4−2:間接圧迫法 救急隊員や医療従事者などの専門知識を持つものが行う止血法。
※直接圧迫法に用いるガーゼやタオルなどの準備ができるまでの間に行うことがあり
ます。一般市民には推奨しません。
出血部位から心臓に近い方の動脈のうち、止血点と呼ばれる部位を手や指で圧迫して血流
を遮断し、止血します。
(間接圧迫法の図)
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4−3:止血帯法 救急隊員や医療従事者が行う止血法。 ※直接圧迫法では止血困難なときに行います。
使い方を誤ると神経損傷や筋肉損 傷を引き起こすことがあり、一般市民には推奨し
ません。
① 止血帯を巻く位置
・出血しているところから心臓よりの上腕部か大腿部に止血帯を巻きます。前腕や 下
腿部が切断している場合は、切断面から数 cm心臓よりに止血帯を巻きます。
② 止血帯として使用できるもの
・止血帯はなるべく幅の広い(3cm以上)三角巾や包帯またはスカーフなどを用いま す。
② 止血帯の巻き方
・止血帯を両手で強く縛ります。止血が不十分な場合、止血棒を使用します。
③ 止血棒による締め方
・止血帯を軽く縛り、その輪の中に止血棒を通し、これを回して止血します。
・出血が止まったらそれ以上きつく締めないようにします。
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④ 止血の一時的解除
・止血帯による止血を 30分以上続けなければならないときは、30分ごとに緊縛を緩めて血
流を再開します。再開は 1~2分とし、止血帯より末端側が赤みを帯びて出 血部から血液が
にじみ出るくらいとします。この間、出血部位を直接圧迫して出 血量の増加を防ぎます。
※止血帯を使用したら、血流再開時期を失わないよう、出血時刻を正確に記録しておきま
しょう。
※手当を行った後は必ず、流水により十分に手洗いを行ってください。
(止血帯法の図)
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4−4:補足
*成人の血液量
・成人の総血液量は体重の 13〜4分の 1 ( = 7~8% )といわれています。
・総血液量のうち、20%を急激に失うとショック症状をおこし、30%を急激に失うと生命に
危険をおよぼすことがあります。
Ex) 体重 60kgの場合… 20%=1ℓ、30%=1.5ℓ
*血液の種類
① 動脈性出血
・噴き出すような出血で、真っ赤な血液が脈打つように噴出します。
・大きな血管では、瞬間的に多量の血液を失い出血死する恐れがあります。
→緊急の止血が必要です。
② 静脈性出血
・湧き出るような出血で、赤黒い血液が持続的に湧くように出血します。
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・大きな静脈からの出血が持続すれば多量出血となり、ショックに陥る危険があります。
③ 毛細血管性出血
・にじみ出るような出血で、指先を切ったり、転んで擦りむいたりしときなどに、傷口か
ら赤色の血液がにじみ出ます。大出血に及ぶことはありません。
*ショックとは 体内を循環する血液が急激に失われることで、重要臓器や細胞の機能を
維持するために必要な血液循環が得られないために発生する、種々の異常を伴った状
態。進行すれば、臓器不全が発生し死に至る危険もあります。このショックの病態に起
こる前ぶれをショック症状といいます。
以上
◆参考文献
・『身につけよう 応急手当 普通救命講習テキスト』(東京防災救急協会)
・『家庭の医学』時事通信社
・北九州市ホームページ「止血方法」
上記のほか、全国のヨット部をはじめ、海に携わる方々のホームページや文献等を参考にさせて
いただきました。この場をお借りして、お礼申し上げます。