全国児童養護施設調査 20122)...

21
全国児童養護施設調査 2012 施設運営に関する調査 認定 NPO 法人ブリッジフォースマイル 調査チーム 2013 年 4 月

Transcript of 全国児童養護施設調査 20122)...

Page 1: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

施設運営に関する調査

認定 NPO 法人ブリッジフォースマイル

調査チーム

2013 年 4 月

Page 2: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

1. 施設運営に関する調査 ............................................................................................................................. 3

2. 調査項目 ................................................................................................................................................. 4

3. 離職理由の分析 ...................................................................................................................................... 5

(1) 職員構成について ........................................................................................................................................ 5

(2) 離職理由について ........................................................................................................................................ 6

(3) 地域別分析:地方の離職率が高い ................................................................................................................ 7

(4) 規模別分析:小規模施設の離職率が高い ................................................................................................... 10

(5) 性別分析:男性は「異業種への転職」、女性は「家庭の事情」による離職が多い ........................................... 11

(6) 年齢階級別分析:20代が 50%超、理由は「家庭の事情」が多くを占める ..................................................... 12

(7) 勤務形態別分析:非常勤の離職率が高く、主な理由は「契約期間満了」 ....................................................... 14

(8) 勤続年数別分析:3年以内の離職者が半数近くを占める ............................................................................. 15

4. 職員の離職により施設において困ること、またその中でも最も困ること ........................................................ 17

5. 職員が施設で長く勤務するために必要と思われること ............................................................................... 17

6. 施設の職員に対する教育、研修について ................................................................................................. 18

(1) どの職員に対して教育・支援が必要か ........................................................................................................ 18

(2) どのような教育・支援が必要か .................................................................................................................... 19

7. 研修を受講するに当たっての障害 ........................................................................................................... 21

8. 外部機関が提供する施設職員向けの研修等への意見、要望など .............................................................. 21

Page 3: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

3 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

1. 施設運営に関する調査

ブリッジフォースマイル(以下、B4S)は平成 24年 6月、全国の児童養護施設を対象に、施設運営体制

の現状を把握するためのアンケートを実施した。アンケートを送付した 584施設のおよそ 3割に当たる

158施設から回答を得た。

なお、調査回答者は施設の運営全般を管理する施設長又は主任職員としており、離職者の離職理由に

ついても、当該回答者が行っていることに留意を要する。

図表 1:都道府県別アンケート回答施設数及び総施設数

0

10

20

30

40

50

60

北海道

青森県

岩手県

宮城県

秋田県

山形県

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

山梨県

長野県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

石川県

福井県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

奈良県

和歌山県

京都府

大阪府

兵庫県

鳥取県

島根県

岡山県

広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県

大分県

熊本県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

東北 北関東 南関東 北陸 東海 近畿 京阪神 山陰 山陽 四国 北九州 南九州

(件)

回答施設数

総施設数

出典:B4Sによるアンケート調査結果。以下、注記がない限り、同アンケート調査結果をいう。

有効回答数:156施設

Page 4: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

4 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

2. 調査項目

1. 施設の都道府県及び設立からの期間

2. 施設の規模について

1) 平成 23年 4月時点の常勤職員数

2) うち平成 23年 4月から平成 24年 3月までに離職した常勤職員数

3) 平成 24年 4月時点での常勤職員数

4) 平成 23年 4月時点の非常勤職員数

5) うち平成 23年 4月から平成 24年 3月までに離職した非常勤職員数

6) 平成 24年 4月時点での非常勤職員数

7) 平成 24年 4月時点の施設内の子ども数

3. 離職者について

1) 性別

2) 年齢

3) 勤務形態

4) 他施設での経験

5) 当該施設での勤続年数

6) 退職理由

7) 備考

4. 職員の離職により施設において困ること、またその中でも最も困ること

5. 職員が施設で長く勤務するために必要と思われること

6. 施設の職員に対する教育、研修について

1) 誰を対象とする研修が必要か

2) どのような研修が必要か

3) それぞれの重要度、充足度及び優先順位

7. 研修を受講するに当たっての障害

8. 外部機関が提供する施設職員向けの研修等への意見、要望など

Page 5: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

5 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

3. 離職理由の分析

アンケートの回答があった 156施設のうち、在職者数、離職者数、子ども数のいずれについても記入の

あった 138施設について、離職率(当該期間離職者数÷平成 23年 4月時点職員数)をまとめた。

施設ごとの離職率で最も多かったのが、5%以上 10%未満で 31施設(全体の 22%)。離職率 0%の施

設が 11施設あった一方で、3割を超える施設も 11あった。

図表 2:離職率分布図

11

19

31

27

16 15

86

23

00

5

10

15

20

25

30

35

(件)

有効回答数:138施設

(1) 職員構成について

有効回答: 138施設

有効回答施設に勤務する職員は、平成 24年 4月時点で 3,503人、うち常勤職員が 83%、非常勤職員

が 17%を占める。平成 23年 4月から平成 24年 4月までの間に離職した職員は 472名、うち常勤職

員が 76%、非常勤職員が 24%であった。離職率(当該期間離職者数÷平成 23年 4月時点職員数)で

見ると、常勤職員は 12.0%、非常勤職員は 20.2%、全体では 13.3%となった。

なお、厚生労働省が平成 24年 9月に公表した「平成 23年雇用動向調査の概況」によると、離職率は、

常用労働者 14.4%(うち一般労働者 11.7%、パートタイム労働者 23.1%)となっており、「非常勤」や「パ

ートタイム」は、その雇用形態の性格上、「常勤」や「一般労働者」よりも離職率が必然的に高くなると考え

られる。

図表 3:常勤職員・非常勤職員別在職者数及び離職者数

平成23年4月 平成24年4月

(人) (%) 離職率(%) (人) (%)

在職者数 3,551 100.0% 13.3% 3,503 100.0%

常勤職員 2,988 84.1% 12.0% 2,921 83.4%

非常勤職員 563 15.9% 20.2% 582 16.6%

離職者数 472 100.0%

常勤職員 358 75.8%

非常勤職員 114 24.2%

Page 6: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

6 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

(2) 離職理由について

有効回答: 488人分

離職理由については、「家庭の事情(結婚、出産、介護等)が最も多く、全体の 3割を占める。次いで、

「不調・負担(身体的・精神的の合計)」と「職場の異動(同業種・異業種の合計)」がそれぞれ 2割強を占

める。

「家庭の事情」が突出しているのは、「雇用動向調査」において、離職理由が「個人的理由(結婚、出産・

育児、介護、その他の個人的理由)」が大半を占める結果とも合致する。

図表 4:離職理由別離職者数

63

5039

75

149

534 36 37

0

50

100

150

(人)

有効回答数:488人分

図表 5:離職理由別離職者数(厚生労働省調べ)

82

4,389

612932

285 126

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

(千人)

出典:厚生労働省「雇用動向調査(2010年)」

Page 7: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

7 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

(3) 地域別分析:地方の離職率が高い

有効回答数:138施設

地域別離職者数を見ると、大きな商圏を持つ地域ほど離職者数が多く、商圏から遠のくほど少ない。し

かし、離職率で見ると、北海道、京阪神及び中国の地域が他に比べて高い。

図表 6:地域別離職者数と離職率

27 27

49

163

15

53

13

60

343 9

19

43

17%

12%13% 13%

11% 10% 11%

16%18%

20%

10%

9%

13%

0

50

100

150

200

北海道 東北 北関東 南関東 北陸 東海 近畿 京阪神 山陰 山陽 四国 北九州 南九州

0%

5%

10%

15%

20%

25%

(人) 離職者数

離職率

注:離職率は、平成 23年度離職者数÷平成 23年 4月時点の在職者数で算出

※地域区分について

本稿では、「雇用動向調査」で用いられる地域区分に合わせ、以下の地域区分を用いている。

北海道 北海道

東北 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県

北関東 茨城県 栃木県 山梨県 群馬県 長野県

南関東 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県

北陸 新潟県 富山県 石川県 福井県

東海 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県

近畿 滋賀県 奈良県 和歌山県

京阪神 京都府 大阪府 兵庫県

山陰 鳥取県 島根県 岡山県

山陽 広島県 山口県

四国 徳島県 愛媛県 香川県 高知県

北九州 福岡県 大分県 佐賀県 長崎県

南九州 熊本県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県

Page 8: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

8 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

図表 7:地域別の離職者数及び離職率

施設規模別:平成 24年 4月時点の子どもの人数が 40人以上の施設、40人未満の施設で分類

22 22 25

97

0

30

11

49

0

27

0 1

30

0 3

22

62

1218

210

0

136

12 13

0

20

40

60

80

100

120

北海道 東北 北関東 南関東 北陸 東海 近畿 京阪神 山陰 山陽 四国 北九州 南九州

(人) 離職者数 子ども40人以上の施設

子ども40人未満の施設

北海道 東北 北関東 南関東 北陸 東海 近畿 京阪神 山陰 山陽 四国 北九州 南九州

子ども40人以上の施設 17.1% 10.6% 15.2% 11.6% 0.0% 9.7% 18.3% 15.3% 0.0% 21.6% 0.0% 3.4% 12.8%

子ども40人未満の施設 0.0% 27.3% 11.3% 16.2% 12.5% 12.1% 3.4% 21.7% 0.0% 18.6% 10.3% 12.0% 12.9%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

離職率 子ども40人以上の施設

子ども40人未満の施設

有効回答数:138施設

Page 9: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

9 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

勤務形態別:

4 6 7

42

3 4 3

15

0

13

1 3

1518 19

40

118

9

44

10

44

0

27

510

28

0

20

40

60

80

100

120

140

北海道 東北 北関東 南関東 北陸 東海 近畿 京阪神 山陰 山陽 四国 北九州 南九州

(人) 離職者数非常勤職員

常勤職員

有効回答数:138施設

北海道 東北 北関東 南関東 北陸 東海 近畿 京阪神 山陰 山陽 四国 北九州 南九州

非常勤職員 44.4% 15.4% 15.9% 20.2% 37.5% 6.2% 17.6% 21.4% 0.0% 40.6% 25.0% 14.3% 28.8%

常勤職員 15.0% 10.6% 12.7% 11.7% 10.2% 11.2% 9.9% 14.8% 0.0% 16.6% 9.3% 9.3% 9.9%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

離職率 非常勤職員

常勤職員

性別:

49

5

39

49

3

12

0

11

37 6

17 15

39

99

10

46

10

47

3

22

6

18

35

0

50

100

北海道 東北 北関東 南関東 北陸 東海 近畿 京阪神 山陰 山陽 四国 北九州 南九州

(人) 離職者数 男

有効回答数:479人分

図表 8:雇用動向調査との比較

北海道 東北 北関東 南関東 北陸 東海 近畿 京阪神 山陰 山陽 四国 北九州 南九州

雇用動向調査 16.4% 14.1% 12.6% 14.7% 13.7% 13.1% 14.7% 13.6% 14.7% 15.4% 16.1% 18.7% 16.1%

B4S調査結果 17.1% 11.5% 13.1% 13.1% 12.5% 10.5% 11.0% 16.1% 0.0% 20.5% 10.3% 10.1% 12.8%

10%

15%

20%

25%

離職率雇用動向調査

B4S調査結果

Page 10: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

10 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

(4) 規模別分析:小規模施設の離職率が高い

有効回答数:138施設

平成 24年 4月時点で施設にいる子どもの人数 40人を区切りとし、有効回答施設を大規模又は小規模

の 2つに分類した。

結果は図表 9のとおりで、平成 23年度離職者数÷平成 23年 4月時点在職者数で離職率を算出する

と、全体は 13.5%で、40人未満の施設(以下「小規模施設」という。)は 14.7%、40人以上の施設(以下

「大規模施設」という。)は 12.9%となった。特に、小規模施設での非常勤職員の離職率が 23.4%と高水

準である。

施設規模別の離職理由を見ると、「精神的不調・負担」で、小規模施設が大規模施設を上回っており、小

規模施設の職員の負担が大きいと考えられる。また、大規模施設では、「契約期間満了」の割合が最も

多く、小規模施設よりも非常勤職員の割合が高いことが一因と考えられる。

図表 9:規模別の離職者数

平成23年4月 平成24年4月

(人) (%) 離職率(%) (人) (%)

在職者数 3,464 100.0% 13.5% 3,419 100.0%

子ども40人未満の施設 1,020 29.4% 14.7% 1,019 29.8%

常勤職員 879 86.2% 13.3% 871 85.5%

非常勤職員 141 13.8% 23.4% 148 14.5%

子ども40人以上の施設 2,444 70.6% 12.9% 2,400 70.2%

常勤職員 2,049 83.8% 11.5% 1,991 83.0%

非常勤職員 395 16.2% 20.5% 409 17.0%

離職者数 466 100.0%

子ども40人未満の施設 150 32.2%

常勤職員 117 78.0%

非常勤職員 33 22.0%

子ども40人以上の施設 316 67.8%

常勤職員 235 74.4%

非常勤職員 81 25.6%

図表 10:規模別の離職理由

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%子ども40人以上の施設

子ども40人未満の施設

有効回答数:138施設

Page 11: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

11 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

(5) 性別分析:男性は「異業種への転職」、女性は「家庭の事情」による離職が多い

有効回答数:485人分

男女別の離職率は不明であるが、絶対数では、女性の離職者が 4分の 3以上を占める。

離職理由別で見ると、男性は「異業種への転職」が最も多い一方、女性は「家庭の事情」が圧倒的に多

い。なお、「雇用動向調査」では、男女とも「個人的理由(結婚、出産・育児、介護、その他の個人的理

由)」が多い。

図表 11:性別の離職者数

113 372

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

男 女

図表 12:性別の離職理由

0%

20%

40%

60%

80%

有効回答数:430人分

図表 13:性別の離職理由(厚生労働省調べ)

0

1,000

2,000

3,000 (人)

女 男

出典:厚生労働省「雇用動向調査(2010年)」

Page 12: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

12 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

(6) 年齢階級別分析:20 代が 50%超、理由は「家庭の事情」が多くを占める

有効回答数:483人分

年代別離職者では、20代が半数以上を占めている。年齢階級が上がるにつれて減少するが、定年など

を迎える 60代以上は 40代、50代を上回る。この傾向は、雇用動向調査の年齢階級別離職率と合致す

る。

図表 14:年齢階級別の離職者数

254

89

31 4466

52%

18%

6% 9%14%

0%

20%

40%

60%

0

100

200

300

20代 30代 40代 50代 60代以上

(人) 離職者数

割合

年齢階級別の離職理由は、全体では、30代の「家庭の事情」が突出している。年齢階級が上がるほど、

理由の偏りが少なくなり、60代以上になると、「定年退職」が多くなっている。

図表 15:年齢階級別の離職理由

0%

20%

40%

60% 20代

30代

40代

50代

60代以上

有効回答数:487人分

Page 13: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

13 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

図表 16:雇用動向調査 年齢階級別の離職者数

347

1,781

1,290

864753

1,012

0

500

1,000

1,500

2,000

10代 20代 30代 40代 50代 60代以上

(千人)

出典:厚生労働省「雇用動向調査(2010年)」

年齢階級別・男女別に見ると、男性は 30代の「異業種への転職」が特に多く、女性は 30代の「家庭の

事情」が突出している。また、30代男性と 20・30代女性は、「精神的不調・負担」が「身体的不調・負担」

を上回る。

図表 17:年齢階級別の離職理由

0%

20%

40%

60%年代別理由(男)20代

30代

40代

50代

60代以上

有効回答数:104人分

0%

20%

40%

60%年代別理由(女)20代

30代

40代

50代

60代以上

有効回答数:358人分

Page 14: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

14 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

(7) 勤務形態別分析:非常勤の離職率が高く、主な理由は「契約期間満了」

有効回答数:476人分

勤務形態別の絶対数では、常勤職員の割合が多いが、離職率では、5ページに記載したとおり、非常勤

職員の方が高い。

勤務形態別の離職理由は、常勤職員は「家庭の事情」が多い一方、非常勤職員は、「契約期間満了(イ

ンターン含む)」が「家庭の事情」を若干上回っている。

図表 18:勤務形態別離職者数

87 389

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

非常勤 常勤

図表 19:勤務形態別の離職理由

0%

10%

20%

30%

40%

非常勤職員

常勤職員

有効回答数:479人分

Page 15: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

15 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

(8) 勤続年数別分析:3 年以内の離職者が半数近くを占める

有効回答数:487人分

勤続年数別に離職者数を見ると、勤続年数が 3年以内の離職者が全体の 49%を占めている。非常勤

職員の 3年以内の離職者数は 73%にものぼる。

なお、総務省が平成 24年 3月に公表した「日本の統計 2012」によると、福祉施設介護員の平均勤続年

数は男性が 5.6年、女性が 5.3年となっており、平均(男性 10.9年、女性 8.0年)を大きく下回っている。

図表 20:勤続年数別の離職者数

性別:

62

15 18 11 6

164

65 70

35 27

0

100

200

0-3 4-5 6-10 11-20 21-

(人)

(年)

勤務形態別:

166

7284

4126

65

6 5 6 7

0

100

200

0-3 4-5 6-10 11-20 21-

(人)

(年)

常勤

非常勤

Page 16: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

16 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

図表 21:主要職種別平均勤続年数、実労働時間数と月間給与額(平成 22年)

男性:

0

5

10

15

0

5

10

15

20 電車運転士

大学教授

高等学校教員

旅客掛

自動車組立工

一般化学工

百貨店店員

配管工

技術士

機械修理工

鉄工

オフセット印刷工

電気工

自動車外交販売員

建設機械運転工

旋盤工

仕上工

機械検査工

営業用大型貨物自動車運転者

大学准教授

機械組立工

大工

クレーン運転工

システム・エンジニア

金属・建築塗装工

溶接工

自然科学系研究者

各種学校・専修学校教員

営業用バス運転者

合成樹脂製品成形工

自動車整備工

土工

営業用普通・小型貨物自動車運…

自家用貨物自動車運転者

パン・洋生菓子製造工

機械製図工

金属プレス工

販売店員(百貨店店員を除く)

タクシー運転者

電子計算機オペレーター

調理士

プログラマー

ビル清掃員

給仕従事者

看護師

警備員

福祉施設介護員

娯楽接客員

医師

理学療法士,作業療法士

(百万円)(年) 勤続年数

勤続年数(平均)

年間給与額(賞与その他含む)右軸

年間給与額(賞与その他含む;平均)右軸

0

50

100

150

200

250

0

5

10

15

20

電車運転士

大学教授

高等学校教員

旅客掛

自動車組立工

一般化学工

百貨店店員

配管工

技術士

機械修理工

鉄工

オフセット印刷工

電気工

自動車外交販売員

建設機械運転工

旋盤工

仕上工

機械検査工

営業用大型貨物自動車運転者

大学准教授

機械組立工

大工

クレーン運転工

システム・エンジニア

金属・建築塗装工

溶接工

自然科学系研究者

各種学校・専修学校教員

営業用バス運転者

合成樹脂製品成形工

自動車整備工

土工

営業用普通・小型貨物自動車運…

自家用貨物自動車運転者

パン・洋生菓子製造工

機械製図工

金属プレス工

販売店員(百貨店店員を除く)

タクシー運転者

電子計算機オペレーター

調理士

プログラマー

ビル清掃員

給仕従事者

看護師

警備員

福祉施設介護員

娯楽接客員

医師

理学療法士,作業療法士

(時間)(年)

勤続年数

勤続年数(平均)

月間労働時間(超過含む)

月間労働時間(超過含む;平均)

女性:

0

5

10

15

0

5

10

15

20

大学教授

高等学校教員

洋裁工

ミシン縫製工

臨床検査技師

仕上工

通信機器組立工

百貨店店員

キーパンチャー

大学准教授

准看護師

保険外交員

タクシー運転者

洗たく工

機械組立工

スーパー店チェッカー

調理士

各種学校・専修学校教員

電子計算機オペレーター

システム・エンジニア

機械検査工

介護支援専門員

デザイナー

保育士

合成樹脂製品成形工

看護師

ワープロ・オペレーター

自然科学系研究者

ビル清掃員

歯科衛生士

販売店員(百貨店店員を除く)

幼稚園教諭

看護補助者

娯楽接客員

薬剤師

栄養士

営業用普通・小型貨物自動車運…

調理士見習

給仕従事者

ホームヘルパー

プログラマー

パン・洋生菓子製造工

理容・美容師

個人教師,塾・予備校講師

福祉施設介護員

旅客掛

警備員

理学療法士,作業療法士

医師

(百万円)(年) 勤続年数

勤続年数(平均)

年間給与額(賞与その他含む)右軸

年間給与額(賞与その他含む;平均)右軸

0

50

100

150

200

250

0

5

10

15

20

大学教授

高等学校教員

洋裁工

ミシン縫製工

臨床検査技師

仕上工

通信機器組立工

百貨店店員

キーパンチャー

大学准教授

准看護師

保険外交員

タクシー運転者

洗たく工

機械組立工

スーパー店チェッカー

調理士

各種学校・専修学校教員

電子計算機オペレーター

システム・エンジニア

機械検査工

介護支援専門員

デザイナー

保育士

合成樹脂製品成形工

看護師

ワープロ・オペレーター

自然科学系研究者

ビル清掃員

歯科衛生士

販売店員(百貨店店員を除く)

幼稚園教諭

看護補助者

娯楽接客員

薬剤師

栄養士

営業用普通・小型貨物自動車運…

調理士見習

給仕従事者

ホームヘルパー

プログラマー

パン・洋生菓子製造工

理容・美容師

個人教師,塾・予備校講師

福祉施設介護員

旅客掛

警備員

理学療法士,作業療法士

医師

(時間)(年)

勤続年数

勤続年数(平均)

月間労働時間(超過含む)

月間労働時間(超過含む;平均)

出典:総務省「日本の統計 2012」の「第 16章労働・賃金」中、「16-27 主要職種別平均年齢,勤続年数,実労働時間数と月間給

与額」を基に作成。

Page 17: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

17 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

4. 職員の離職により施設において困ること、またその中でも最も困ること

職員の離職により施設において最も困ることは、「日常の子どもの支援が弱体化する」が最も多く 44%を

占める。

図表 22:職員の離職により施設において困ること、またその中でも最も困ること

64

26

25

24

2

0

5

0 10 20 30 40 50 60 70

日常の子供の支援が弱体化する

他の職員への労働負荷が増す

職員の採用、育成負荷が増す

入所児童の精神面での悪影響

退所後サポートができなくなる

管理業務が弱体化する

その他

(件)

5. 職員が施設で長く勤務するために必要と思われること

長く勤務するためには「労働環境」の整備が必要であるとの回答が 76件で最も多かった。

平成 23年度離職者の離職理由の 3割が「家庭の事情」(6ページ参照)であったものの、「結婚・出産後

も働ける環境の整備」と回答した施設は 26施設にとどまった。

図表 23:職員が施設で長く勤務するために必要と思われること(複数回答含む)

76

56

26

18

16

10

2

23

0 10 20 30 40 50 60 70 80

労働環境(休日・労働時間・人員・労働条件)

チームワーク・人間関係・サポート

結婚・出産後も働ける環境の整備

熱意、やりがい

メンタルケア

教育・研修

評価

その他

(件)

Page 18: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

18 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

6. 施設の職員に対する教育、研修について

(1) どの職員に対して教育・支援が必要か

「新人職員への研修を特に必要とする」と回答した施設が 70施設と最も多かった。

図表 24:特に研修を必要とする職員 図表 25:新人職員に対する教育・支援

70

36

17

9

0 50 100

新人職員

一般職員

主任

その他

(件)

130

11

2

12

35

66

39

9

0 50 100 150

当てはまる

やや当てはまる

あまり当てはまらない

当てはまらない

(件)

重要である

充実している

図表 26:一般職員に対する教育・支援 図表 27:主任クラスの職員に対する教育・支援

109

31

7

8

21

79

46

3

0 50 100 150

当てはまる

やや当てはまる

あまり当てはまらない

当てはまらない

(件)

重要である

充実している

92

44

5

10

14

71

53

8

0 50 100 150

当てはまる

やや当てはまる

あまり当てはまらない

当てはまらない

(件)

重要である

充実している

Page 19: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

19 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved.

(2) どのような教育・支援が必要か

アンケートの選択肢の中で、「『発達課題』の研修が特に必要である」と回答した施設は 73施設あり、圧

倒的に多かった。マネジメント関係や一般的スキルに関する研修よりも、子どもをケアする専門家として

の研修のほうが重視されていると考えられる。

図表 28:特に必要とする研修内容 図表 29:発達課題の研修について

73

13

9

7

6

5

1

1

0 50 100

発達課題

コミュニケーション

メンタルケア

危機管理

進路支援

マネジメント

ビジネスマナー

パソコン

(件)

113

28

1

13

28

73

34

7

0 50 100 150

当てはまる

やや当てはまる

あまり当てはまらない

当てはまらない

(件)

重要である

充実している

図表 30:コミュニケーションの研修について 図表 31:メンタルケアの研修について

84

47

19

6

10

54

64

14

0 50 100 150

当てはまる

やや当てはまる

あまり当てはまらない

当てはまらない

(件)

重要である

充実している

65

61

19

10

8

49

66

20

0 50 100 150

当てはまる

やや当てはまる

あまり当てはまらない

当てはまらない

(件)

重要である

充実している

図表 32:危機管理の研修について 図表 33:進路支援の研修について

69

50

24

10

10

58

61

12

0 50 100 150

当てはまる

やや当てはまる

あまり当てはまらない

当てはまらない

(件)

重要である

充実している

69

60

12

10

10

49

70

12

0 50 100 150

当てはまる

やや当てはまる

あまり当てはまらない

当てはまらない

(件)

重要である

充実している

Page 20: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

20 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved

図表 34:マネジメントの研修について 図表 35:ビジネスマナーの研修について

59

62

22

8

8

61

56

16

0 50 100 150

当てはまる

やや当てはまる

あまり当てはまらない

当てはまらない

(件)

重要である

充実している

図表 36:パソコンの研修について

32

64

47

8

7

32

73

29

0 50 100 150

当てはまる

やや当てはまる

あまり当てはまらない

当てはまらない

(件)

重要である

充実している

13

46

73

18

9

23

67

39

0 50 100 150

当てはまる

やや当てはまる

あまり当てはまらない

当てはまらない

(件)

重要である

充実している

Page 21: 全国児童養護施設調査 20122) うち平成23年4月から平成24年3月までに離職した常勤職員数 3) 平成24 年4 月時点での常勤職員数 4) 平成23 年4

全国児童養護施設調査 2012

21 Copyright(c) 2012 Bridge For Smile All Rights Reserved

7. 研修を受講するに当たっての障害

研修を受講する間の職員のやりくりが障害であるとの回答が圧倒的に多かった。その他、研修会場から

遠い地方の施設からは、旅費や移動時間の負担が重いという声も多かった。

図表 37:研修を受講するに当たっての障害(複数回答含む)

79

19

14

8

12

13

0 20 40 60 80 100

職員のやりくり

費用

時間(連日、移動時間など)

場所

その他

なし

(件)

8. 外部機関が提供する施設職員向けの研修等への意見、要望など

希望する研修として特に多かった回答が、「施設の現状に則した内容」で、その受講により、施設職員が

専門家であるという認識や自覚を持たせたいという意見もあった。

具体的な要望が寄せられたテーマは以下のとおりである。

・危機管理について

・権利擁護について

・最近増えている発達障害を抱えた子どもへの対応

・知的ハンディを抱える子どもの支援方法

・施設内暴力について

・性教育

・被虐待児への関わり方

また、今後は厚生労働省の施策により小規模施設が増加することが予想されるため、「小規模施設の支

援の在り方、具体的な支援方法・技術」の研修が必要になるという意見があった。

研修スタイルについては、参加型や参加者同士の情報交換型を希望する声が多かった。

研修の開催場所については、各施設への講師派遣の要望が多かった。その場合、開催費用の負担が

大きいため、助成の要望も多かった。また、地方での開催を希望する声も多かった。