川崎病院通信久保 聡子 【ストマ外来】 (第2・4) 14:00~...

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2012年に決定した「社会保障・税の一体改革」に基づく「医療介護の一体改革」が2014年よりスタートしました。 いわゆる団塊の世代が後期高齢者に達する2025年に向けての待ったなしの改革と言えるでしょう。この政策の医療 の分野でのキーワードは「在宅医療」と「病床の機能分化」であります。「病床の機能分化」という名前の急性期病院削減 政策は、私たち病院に大きな変化をもたらすことでしょう。今年の秋から始まる「地域医療構想」の作成の結果を病院 はある種の恐怖感を持って注目しています。診療所の先生方も「在宅医療」への参加を余儀なくされる訳ですから、 大きな変化の予感に戸惑われているのではないでしょうか。 昨年から神戸市医師会の幹部と神戸市民間病院協会の会長・副会長の懇談会がもたれています。置塩医師会長の発 案で、今後医師会と民間病院協会の意思の疎通を図り、連携して神戸市における種々の医療の問題解決を図りたいと の意図であります。1月末に今年最初の懇談会が開かれました。私も神戸市二次救急病院協議会の会長、神戸市民間 病院協会副会長としてこの懇談会に加えていただいております。今回は在宅医療における患者急変時の入院をどうす ればいいかという問題が主に話し合われました。在宅医療において、診療所の先生方が一番心配されていることは 往診している患者さんの病態が悪化したとき、緊急の入院ができ、軽快したら再び元の在宅に戻るシステムをいか に担保することができるのかということでした。緊急入院と在宅復帰は病院側でも大いに協力したいところであり ます。ここで、少し議論がありました。医師会側は病院に「バックベッド」という在宅患者用のいつでも入院できる 病床を確保してほしい、その「バックベッド」は患者さんの近隣の病院、言い換えれば診療所の近くの病院を希望す るというものであったと解釈しています。病院側もこれができれば是非協力したいところでありますが、民間病院 はどこも経営的にも人員的にも余裕がありません。常に満床というわけではありませんが、必ずベッドを用意して くれといわれると、時には苦しいこともあります。また、診療時間内でしたら、先生方の紹介患者をほとんど受け 入れることができると思いますが、夜間や休日となると中小の民間病院では空床があっても専門科が異なっている ために当直医が患者さんをすべて受け入れることができないこともあります。 そこで、時間外患者については比較的充実し、全国的にも評価されている神戸市二次救急システムの利用を私たち 病院側は提案しました。もし夜間や休日に在宅患者が入院を要する事態になれば、一旦は近所の普段から連携してい る病院に連絡していただきたいと存じます。当直医はできるだけ受け入れるように努力しますが、もしダメなときは 神戸市の二次救急輪番の当番病院に当たっていただきたいと存じます。神戸市の二次救急の受け入れ体制はしっかり していますので、通常の患者なら救急隊に依頼すればほぼ完全に入院することができます。受け入れ病院は先の当 番病院であることもありますが、当番でなくても救急患者を受け入可能と二次救急病院協議会のMefis(メイフィス) というウェブサイトに届けている病院です。仮に近所に収容先の病院がなく遠方の病院になっても、翌日の転院も 可能でしょう。是非このシステムをご利用いただきたいと存じます。 退院についてはまだ検討しなければならない点が多々あります。入院すると患者さんのADLは低下しますので、 そのまま元の在宅に復帰できないことも多々あると思います。入院中にその患者について在宅主治医、ケアマネー ジャーと病院とのカンファレンス、療養型やその他の施設への転院、それから在宅復帰など多く問題があります。今後、 この流れをスムースにするための具体的なシステムを早急に作らねばなりません。 川崎病院では当直体制を強化し、すでに夜間や休日でも診療所からの紹介患者はすべて受け入れるように努力して おり、実績も積んでまいりました。今後も、在宅からの患者さんの入院は二次救急病院としての川崎病院の重要な使 命であると自覚しております。しかし、高齢化社会を迎え、私たち中小病院は大きな変化に直面しています。それは 入院疾病の変化です。上記のように在宅患者さんの入院比率は増加していますが、高齢者の入院はほとんどが内科疾 患です。高齢者への医療においては、治癒以上にADLの回復が大きな目標となります。一方で、病院の救急体制を 維持するには多くの意欲的な若手医師の存在が不可欠で、それには彼らの専門性を高め得るような症例も必要です。 川崎病院は高い医療レベルを維持するべく多くの医療機器を導入しておりますので、手術を要する症例や高度な処 置や治療を要する患者にも充分に対応できます。是非、このような症例もご紹介いただきたいのです。ADLを回復 することを目標とする高齢者から、治癒を目指して手術を要する悪性疾患や重症の循環器疾患まで、様々な患者さ んをご紹介いただきたいと存じます。繰り返しですが、在宅のお年寄りから高度の医療を要する症例までを、地域 の利便性のある病院と連携して治療にあたることで、「地域完結型医療」を維持させることが重要な課題であると考 えます。 在宅医療をはじめとする地域医療の充実には中小病院の存在が欠かせません。是非、この間の事情をご理解いただ きたいと存じます。 在宅医療と病院高度機能の維持 市原 紀久雄 理事長 川崎病院通信 川崎病院通信 http://www.kawasaki-hospital-kobe.or.jp/ 2015年 2月発行 発行責任者 病院長 中村 正 編集責任者     浦野 聖史  Vol. 22

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Page 1: 川崎病院通信久保 聡子 【ストマ外来】 (第2・4) 14:00~ その他、各診療科にて力を注いでいる疾患・治療 注)学会など諸事情により代診、休診になる場合もあります。

 2012年に決定した「社会保障・税の一体改革」に基づく「医療介護の一体改革」が2014年よりスタートしました。いわゆる団塊の世代が後期高齢者に達する2025年に向けての待ったなしの改革と言えるでしょう。この政策の医療の分野でのキーワードは「在宅医療」と「病床の機能分化」であります。「病床の機能分化」という名前の急性期病院削減政策は、私たち病院に大きな変化をもたらすことでしょう。今年の秋から始まる「地域医療構想」の作成の結果を病院はある種の恐怖感を持って注目しています。診療所の先生方も「在宅医療」への参加を余儀なくされる訳ですから、大きな変化の予感に戸惑われているのではないでしょうか。 昨年から神戸市医師会の幹部と神戸市民間病院協会の会長・副会長の懇談会がもたれています。置塩医師会長の発案で、今後医師会と民間病院協会の意思の疎通を図り、連携して神戸市における種々の医療の問題解決を図りたいとの意図であります。1月末に今年最初の懇談会が開かれました。私も神戸市二次救急病院協議会の会長、神戸市民間病院協会副会長としてこの懇談会に加えていただいております。今回は在宅医療における患者急変時の入院をどうすればいいかという問題が主に話し合われました。在宅医療において、診療所の先生方が一番心配されていることは往診している患者さんの病態が悪化したとき、緊急の入院ができ、軽快したら再び元の在宅に戻るシステムをいかに担保することができるのかということでした。緊急入院と在宅復帰は病院側でも大いに協力したいところであります。ここで、少し議論がありました。医師会側は病院に「バックベッド」という在宅患者用のいつでも入院できる病床を確保してほしい、その「バックベッド」は患者さんの近隣の病院、言い換えれば診療所の近くの病院を希望するというものであったと解釈しています。病院側もこれができれば是非協力したいところでありますが、民間病院はどこも経営的にも人員的にも余裕がありません。常に満床というわけではありませんが、必ずベッドを用意してくれといわれると、時には苦しいこともあります。また、診療時間内でしたら、先生方の紹介患者をほとんど受け入れることができると思いますが、夜間や休日となると中小の民間病院では空床があっても専門科が異なっているために当直医が患者さんをすべて受け入れることができないこともあります。 そこで、時間外患者については比較的充実し、全国的にも評価されている神戸市二次救急システムの利用を私たち病院側は提案しました。もし夜間や休日に在宅患者が入院を要する事態になれば、一旦は近所の普段から連携している病院に連絡していただきたいと存じます。当直医はできるだけ受け入れるように努力しますが、もしダメなときは神戸市の二次救急輪番の当番病院に当たっていただきたいと存じます。神戸市の二次救急の受け入れ体制はしっかりしていますので、通常の患者なら救急隊に依頼すればほぼ完全に入院することができます。受け入れ病院は先の当番病院であることもありますが、当番でなくても救急患者を受け入可能と二次救急病院協議会のMefis(メイフィス)というウェブサイトに届けている病院です。仮に近所に収容先の病院がなく遠方の病院になっても、翌日の転院も可能でしょう。是非このシステムをご利用いただきたいと存じます。 退院についてはまだ検討しなければならない点が多々あります。入院すると患者さんのADLは低下しますので、そのまま元の在宅に復帰できないことも多々あると思います。入院中にその患者について在宅主治医、ケアマネージャーと病院とのカンファレンス、療養型やその他の施設への転院、それから在宅復帰など多く問題があります。今後、この流れをスムースにするための具体的なシステムを早急に作らねばなりません。 川崎病院では当直体制を強化し、すでに夜間や休日でも診療所からの紹介患者はすべて受け入れるように努力しており、実績も積んでまいりました。今後も、在宅からの患者さんの入院は二次救急病院としての川崎病院の重要な使命であると自覚しております。しかし、高齢化社会を迎え、私たち中小病院は大きな変化に直面しています。それは入院疾病の変化です。上記のように在宅患者さんの入院比率は増加していますが、高齢者の入院はほとんどが内科疾患です。高齢者への医療においては、治癒以上にADLの回復が大きな目標となります。一方で、病院の救急体制を維持するには多くの意欲的な若手医師の存在が不可欠で、それには彼らの専門性を高め得るような症例も必要です。川崎病院は高い医療レベルを維持するべく多くの医療機器を導入しておりますので、手術を要する症例や高度な処置や治療を要する患者にも充分に対応できます。是非、このような症例もご紹介いただきたいのです。ADLを回復することを目標とする高齢者から、治癒を目指して手術を要する悪性疾患や重症の循環器疾患まで、様々な患者さんをご紹介いただきたいと存じます。繰り返しですが、在宅のお年寄りから高度の医療を要する症例までを、地域の利便性のある病院と連携して治療にあたることで、「地域完結型医療」を維持させることが重要な課題であると考えます。 在宅医療をはじめとする地域医療の充実には中小病院の存在が欠かせません。是非、この間の事情をご理解いただきたいと存じます。

在宅医療と病院高度機能の維持市原 紀久雄理事長

川崎病院通信川崎病院通信http://www.kawasaki-hospital-kobe.or.jp/

2015年2月発行発行責任者 病院長 中村 正編集責任者     浦野 聖史 

Vol. 22

Page 2: 川崎病院通信久保 聡子 【ストマ外来】 (第2・4) 14:00~ その他、各診療科にて力を注いでいる疾患・治療 注)学会など諸事情により代診、休診になる場合もあります。

専 門 特 殊 外 来 担 当 医 表 専門特殊外来は予約(または一般外来の受診)が必要です。

※心臓血管外科外来では、心臓弁膜症などの疾患に対する外科的治療について検討を行い、手術適応症例については大阪大学心臓血管外科(患者さんの希望によっては近隣病院)に紹介致します。

診 療 科 月 火 水 木 金 土(第2・4は休診)

内  科

午前 【糖尿病外来】市原 紀久雄

【糖尿病外来】

【糖尿病外来】大塚 章人

【脳神経外来】篠山 隆司

【糖尿連携病合併症外来】村井 潤

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・・・・・

【糖尿病外来】大塚 章人

【神経内科外来】関谷 博顕

【呼吸器外来】畠山 由記久 ・・・・・

午後

阪尾 淳 柴北 宗顕 殿元 康仁

【腎臓外来】

【リンパ浮腫外来】要外来受診

粕本 博臣【呼吸器外来】徳永 俊太郎

【腎臓外来】粕本 博臣

【腫瘍外来】茶屋原 菜穂子

【禁煙外来】中村 正(第1・3・5)久保 聡子(第2・4)

【血液外来】飯田 正人

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循環器内科午後

・・・・・ 【心臓血管外科外来】仲村 輝也(※)

【ペースメーカ外来】(第1・3)

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午前

午前

・・・・・【直腸肛門外来】柴北 宗顕

10:00~11:00

【便失禁外来】柴北 宗顕9:30~

【直腸肛門機能外来】(第1・3)

【直腸肛門外来】柴北 宗顕14:00~

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外  科

午後【乳腺外来】

13:30~

【直腸肛門外来】

14:00~

殿元 康仁【直腸肛門外来】

9:00~10:00

【乳腺外来】

13:30~・・・・・ ・・・・・

整形外科 午前 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・

形成外科

午前 ・・・・・

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【スポーツ外来】戸祭 正喜

耳鼻咽喉科 午後

午後

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・・・・・ 【補聴器外来】要外来受診

【フットケア外来】

(第1・3・4・5) ・・・・・ ・・・・・

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久保 聡子

【ストマ外来】(第2・4)14:00~

その他、各診療科にて力を注いでいる疾患・治療 注)学会など諸事情により代診、休診になる場合もあります。  あらかじめご了承ください。

標榜科 専   門 医師名および診療曜日 標榜科 専   門 医師名および診療曜日

内科

糖 尿 病 市原 紀久雄(金曜 午前)大塚 章人(月曜 午前)

消化器内科

悪性疾患(膵臓癌、胆管癌等)により黄疸が出た時のステント減黄術

前田 哲男(月曜 午前/水曜 午前)野村 祐介(火曜 午前/木曜 午前)

西田 悠(金曜 午前)多田 秀敏(火曜 午前/金曜 午前)※内科2診で診察消化器癌の早期発見と

内視鏡治療

肥満、高脂血症、痛風 中村 正(月曜 午前/水曜 午前)

循環器内科冠動脈疾患

全医師が対応致します

血    液 飯田 正人(月曜 午前/水曜 午前/木曜 午前)

末梢動脈疾患

腎    臓 櫨木 聡(月曜 午前)

整形外科

小 児 全 般戸祭 正喜

(月曜 午前/金曜 午前)耳鼻咽喉科

睡眠時無呼吸症候群

下屋 聡子(月、水、木、金、土 午前)土曜日は第3・5のみ

手 全 般

中 耳 炎

スポーツ障害全般

アレルギー性鼻炎

形成外科

眼瞼下垂熱傷を含む外傷 八杉 悠

(月、火、木、金、土 午前)土曜日は第3・5のみ

副 鼻 腔 炎

良性・悪性の皮膚腫瘍美容医療褥瘡

扁 桃 炎

歯科口腔外科

感 染 症

全医師が対応致します

声帯ポリープ

腫瘍(悪性、良性)

突発性難聴

顎 骨 骨 折

顔面神経麻痺

インプラントおよびインプラントのための骨再生

眼科 涙 道 手 術 松場 眞弓(火、水、金 午前)

  電話 078-511-3133 / FAX 078-511-3297ご予約は地域医療連携室まで電話またはFAXにてお申し込み下さい。

 川崎病院では、消化器を中心とした悪性腫瘍の診療に力を注いでおります。当院は兵庫県から「がん診療連携準拠点病院」の指定を受けており、病態に応じた、手術、化学療法、放射線療法(他病院との連携)を効果的に組み合わせた集学的治療や緩和ケアの提供が可能です。また、最近では近隣地域の高齢化にともない、悪性腫瘍だけでなく心疾患や糖尿病など種々の合併症を持つ患者さんが増加しておりますが、このような患者さんに対しても、当院では各診療科、コメディカルと連携したスムースかつ小回りの利いた対応が可能です。 個々の患者さんの状況に応じた最適の治療、QOLを考慮した手術を進めていきたいと考えておりますので、より一層のご紹介が得られれば幸いです。

川崎病院におけるがん治療について 副院長 藤川 正博