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短答本試験過去問題集
管理会計論
解説
EM20706
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無断複製・無断転載等を禁じます。EM20706
短答本試験過去問題集
公認会計士
管理会計論
解説冊子
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EM20706
公認会計士
管理会計論
令和2年第Ⅰ回解説
短答本試験過去問題集
短答式試験 管理会計論 解答一覧
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短答式試験 管理会計論 解答一覧
- 2 -
解答一覧
問題番号 解 答 正答可能性 問題番号 解 答 正答可能性
問題1 6 中 問題9 6 中
問題2 5 低 問題10 3 中
問題3 2 高 問題11 3 中
問題4 3 高 問題12 2 中
問題5 6 高 問題13 5 高
問題6 5 低 問題14 5 低
問題7 4 高 問題15 2 低
問題8 1 低 問題16 1 高
短答式試験 管理会計論 講評
- 3 -
問題1 (理論:原価計算基準 正答可能性:中)
【解 答】 6.ウエ
【解 説】
ア.誤 原価計算基準二,六(一)4参照。
誤った記述である。原価計算制度は,財務諸表の作成,原価管理,予算統制等の異なる目
的が,重点の相違はあるが相ともに達成されるべき一定の計算秩序であり,財務会計機構と
有機的に結びつき常時継続的に行なわれる計算体系である。とりわけ,財務諸表の作成に役
立つために,勘定組織において原価に関する細分記録を統括する諸勘定を設けることが重要
である。
イ.誤 原価計算基準六(一)2参照。
誤った記述である。原価計算が財務諸表の作成に役立つためには,原価の数値が財務会計
の原始記録,信頼しうる統計資料等によって,その信ぴょう性が確保されるものでなければ
ならない。このため原価計算は,原則として実際原価を計算する。なお,実際原価の計算に
おいて,原価差異の適正な処理を条件に,予定価格等の適用や標準原価計算の適用が認めら
れる。
ウ.正 原価計算基準六(二)5,7参照。
正しい記述である。原価計算は,原価管理に役立つために,経営における管理の権限と責
任の委譲を前提とし,作業区分等に基づく部門を管理責任の区分とし,各部門における作業
の原価を計算し,各管理区分における原価発生の責任を明らかにさせる。また,原価計算
は,原価標準の設定,指示から原価の報告に至るまでのすべての計算過程を通じて,原価の
物量を測定表示することに重点をおく。主に製造現場においては,金額的情報よりも物量的
情報の方が現場業務に直結することを想定し,このような規定が設けられている。
エ.正 原価計算基準一(三),六(二)8参照。
正しい記述である。原価の標準は,原価発生の責任を明らかにし,原価能率を判定する尺
度として,これを設定する。そのため,原価の標準は,過去の実際原価をもってすることが
できるが,理想的には,科学的,統計的調査を経て設定される標準原価として設定する。
令和2年公認会計士試験 第Ⅰ回短答式試験 模範解答
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問題2 (計算:費目別計算 正答可能性:低)
【解 答】 5.イエ
【解 説】
1 製造間接費実際発生額の集計
特定の製品製造のために用いられいてる機械の減価償却費と外注加工賃は,直接経費になることに
留意する。
費 目 計算過程 金 額
正常な棚卸減耗費 3,240,000 円-3,185,000 円-18,000 円 37,000 円
補助材料費 当月消費額 272,250 円
間接工賃金 当月要支払額 656,000 円
工場総務部員の出張旅費 125,000 円
共用機械の減価償却費 6,075,000 円÷12 ヶ月 506,250 円
共用機械修繕費 800,700 円-360,000 円+200,000 円 640,700 円
工場電力消費量 測定量に基づく当月発生高 953,000 円
合 計 3,190,200 円
したがって,製造間接費の実際発生額は 3,190,200 円であるため,選択肢アは誤りである。また,
機械減価償却費 506,250 円と共用機械修繕費 640,700 円の合計は 1,146,950 円であるため,選択肢ウ
は誤りである。
2 製造間接費配賦差異の分析
⑴ 予定配賦率
39,000,000 円÷30,000 時間=@1,300 円
⑵ 予算差異
39,000,000 円÷12 ヶ月-3,190,200 円(実際発生額)=(+)59,800 円(有利差異)
したがって,選択肢イは正しい。
⑶ 操業度差異
@1,300 円×(2,340 時間-30,000 時間÷12 ヶ月)=(-)208,000 円(不利差異)
したがって,選択肢エは正しい。
短答式試験 管理会計論 講評
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問題3 (理論:原価計算基準 正答可能性:高)
【解 答】 2.アウ
【解 説】
ア.正 原価計算基準三一参照。
正しい記述である。個別原価計算は,発行された特定製造指図書別に原価集計を行う製品
別計算の方法であり,受注生産経営の企業への適用可能性が高いが,見込生産経営の企業へ
の適用も可能である。その適用にあたって特段の制限はなく,同一年度内に同じ製品を複数
製造している場合であっても個別原価計算を適用することは可能である。
イ.誤 原価計算基準三四参照。
誤った記述である。労働が機械作業と密接に結合して総合的な作業となり,そのため製品
に賦課すべき直接労務費と製造間接費とを分離することが困難な場合,これらをともに加工
費として,これを指図書に配賦することができる。
ウ.正 原価計算基準三二,三三(二)参照。
正しい記述である。直接費は,発生の都度又は定期に整理して,これを関連する製造指図
書に賦課し,間接費は,原則として予定配賦率をもって各指図書に配賦する。間接費は,こ
れを実際配賦すると,実際発生額の集計に時間を要し,製品原価計算が遅延することに加
え,実際操業度の増減という偶然性が配賦計算に混入し,製品原価の比較性を害するという
問題が生じるため,予定配賦が原則とされる。
エ.誤 原価計算基準三一参照。
誤った記述である。個別原価計算は,その適用にあたって特段の制限はなく,経営の目的
とする製品の生産に際してのみでなく,自家用の建物,機械,工具等の製作又は修繕,試験
研究,試作,仕損品の補修,仕損による代品の製作等に際しても,これを特定指図書を発行
して行なう場合は,個別原価計算の方法によってその原価を算定する。
.
令和2年公認会計士試験 第Ⅰ回短答式試験 模範解答
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問題4 (計算:部門別計算 正答可能性:高)
【解 答】 3.19,286 千円
【解 説】 (単位:円)
1 補助部門費配賦表の作成
製造部門 補助部門
成型部門 組立部門 修繕部門 動力部門 工場事務部門
部門費 35,620,000 27,430,000 768,600 18,840,000 514,400
修繕部門費 (*1)427,000 213,500 △768,600 128,100 ―
動力部門費 (*2)12,560,000 3,140,000 3,108,600 △18,840,000 31,400
工場事務部門費 (*3)344,005 64,300 57,870 48,225 △514,400
小 計 48,951,005 30,847,800 3,166,470 176,325 31,400
修繕部門費 (*4)2,110,980 1,055,490
動力部門費 (*5)141,060 35,265
工場事務部門費 (*6)26,455 4,945
合 計 51,229,500 31,943,500
(*1) 768,600×100時間
100時間+50時間+30時間=427,000
(*2) 18,840,000×400,000kwh
400,000kwh+100,000kwh+99,000kwh+1,000kwh=12,560,000
(*3) 514,400×107時間
107時間+20時間+18時間+15時間=344,005
(*4) 3,166,470×100時間
100時間+50時間=2,110,980
(*5) 176,325×400,000kwh
400,000kwh+100,000kwh=141,060
(*6) 31,400×107時間
107時間+20時間=26,455.1… → 26,455
2 各製造部門費の差額
51,229,500 円(成型部門)-31,943,500 円(組立部門)=19,286 千円
短答式試験 管理会計論 講評
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問題5 (理論:原価計算基準 正答可能性:高)
【解 答】 6.ウエ
【解 説】
ア.誤 原価計算基準二〇参照。
誤った記述である。製品別計算は,経営における生産形態に応じて,単純総合原価計算,
等級別総合原価計算,組別総合原価計算,個別原価計算の四つに分類される。総合原価計算
は期間生産量を原価集計単位とするが,個別原価計算は特定製造指図書を原価集計単位とす
る点が特徴として挙げられる。
イ.誤 原価計算基準三〇参照。
誤った記述である。総合原価計算において,必要ある場合には,一期間における製造費用
のうち,変動直接費および変動間接費のみを部門に集計して部門費を計算し,これに期首仕
掛品を加えて完成品と期末仕掛品とにあん分して製品の直接原価を計算し,固定費を製品に
集計しないことができる。この場合,会計年度末においては,当該会計期間に発生した固定
費額は,これを期末の仕掛品および製品と当年度の売上品とに配賦する。
ウ.正 原価計算基準二九参照。
正しい記述である。連産品の価額は,連産品の正常市価等を基準として定めた等価係数に
基づき,一期間の総合原価を連産品にあん分して計算する。この場合,連産品で,加工の上
売却できるものは,加工製品の見積売却価額から加工費の見積額を控除した額をもって,そ
の正常市価とみなし,等価係数算定の基礎とする。ただし,必要ある場合には,連産品の一
種又は数種の価額を副産物に準じて計算(見積売却価額から販売費および一般管理費と通常の
利益の見積額を控除)し,これを一期間の総合原価から控除した額をもって,他の連産品の価
額とすることができる。
エ.正 原価計算基準四(一)参照。
正しい記述である。標準原価計算制度を採用している場合,期末仕掛品の評価を将来にお
ける財貨の予定消費量と予定価格とをもって計算した原価である予定原価や経営における異
常な状態を排除し,経営活動に関する比較的長期にわたる過去の実際数値を統計的に平準化
し,これに将来のすう勢を加味した正常な能率および操業度並びに価格に基づいて決定した
原価である正常原価等を用いることができる。
令和2年公認会計士試験 第Ⅰ回短答式試験 模範解答
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問題6 (計算:工程別単純総合原価計算 正答可能性:低)
【解 答】 5.590 千円
【解 説】
1 第一工程費の計算
原料費 (㎏) 原料費 (千円)
月初仕掛
0
完 成
6,000
月初仕掛
0
完 成
156,000
当月投入
10,000
当月投入
260,000
(@26)
異常仕損 (*)1,000
異常仕損
26,000
月末仕掛
3,000
月末仕掛
78,000
(*) 10,000 ㎏×10%=1,000 ㎏
加工費 (㎏) 加工費 (千円)
月初仕掛
0
完 成
6,000
月初仕掛
0
完 成
750,000
当月投入
8,000
当月投入
1,000,000
(@125)
異常仕損
200
異常仕損
25,000
月末仕掛
1,800
月末仕掛
225,000
第一工程完成品原価:156,000 千円+750,000 千円=906,000 千円
短答式試験 管理会計論 講評
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2 第二工程費の計算
⑴ 投入産出関係の整理
正常減損は,バッチ毎に加工費進捗度に基づいて完成品と仕掛品へ負担させるとあるため,減損
の安定発生を前提に計算を行なう。
① 第一バッチ
(*1) 6,000 ㎏×1
1+2+3=1,000 ㎏
(*2) 1,000 ㎏×(1-10%)=900 ㎏
(*3) 100 ㎏×100%÷2=50 ㎏
② 第二バッチ
(*1) 6,000 ㎏×2
1+2+3=2,000 ㎏
(*2) 2,000 ㎏×(1-10%)=1,800 ㎏
(*3) 200 ㎏×100%÷2=100 ㎏
加工費進捗度 0 100 (%)
減 損 率 0 10 (%)
歩 留 率 100 90 (%)
(*3)(50) 100 ㎏←当月減損発生量
(*1)1,000 ㎏
(*2)900 ㎏ (*2)(900)
(*3)(100) 200 ㎏←当月減損発生量
(*1)2,000 ㎏
(*2)1,800 ㎏ (*2)(1,800)
加工費進捗度 0 100 (%)
減 損 率 0 10 (%)
歩 留 率 100 90 (%)
令和2年公認会計士試験 第Ⅰ回短答式試験 模範解答
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③ 第三バッチ
(*1) 6,000 ㎏×3
1+2+3=3,000 ㎏
(*2) 3,000 ㎏×(1-10%×80%)×80%=2,208 ㎏
(*3) 240 ㎏×80%÷2=96 ㎏
④ 合計
実在量:6,000 ㎏(第二工程振替数量)
換算量:(50 ㎏+900 ㎏)+(100 ㎏+1,800 ㎏)+(96 ㎏+2,208 ㎏)=5,154 ㎏
⑵ 第二工程完成品原価
① 第一バッチ
前工程費:906,000 千円÷6,000 ㎏×1,000 ㎏=151,000 円
加 工 費:2,061,600 千円÷5,154 ㎏×(50 ㎏+900 ㎏)=380,000 円
合 計:531,000 円
② 第二バッチ
前工程費:906,000 千円÷6,000 ㎏×2,000 ㎏=302,000 円
加 工 費:2,061,600 千円÷5,154 ㎏×(100 ㎏+1,800 ㎏)=760,000 円
合 計:1,062,000 千円
③ 合計(=①+②)
1,593,000 千円
⑶ 第二工程完成品単位原価
1,593,000 千円÷(900 ㎏+1,800 ㎏)=590 千円
加工費進捗度 0 80 100 (%)
減 損 率 0 8 10 (%)
歩 留 率 100 92 90 (%)
(*2)(2,208) 2,700 ㎏
(*3)(96) 240 ㎏←当月減損発生量
(*1)3,000 ㎏
2,760 ㎏
短答式試験 管理会計論 講評
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問題7 (理論:原価計算基準 正答可能性:高)
【解 答】 4.イウ
【解 説】
ア.誤 誤った記述である。資源投入時点で差異を把握する方法をインプット法,原価計算期末に
差異を把握する方法をアウトプット法という。前者は差異を迅速に把握することができるた
め,後者よりも原価管理に役立つ反面,計算事務量が増えるという特徴を有している。
イ.正 正しい記述である。標準原価計算制度は,標準原価を複式簿記機構のどのタイミングで組
み入れるかによってパーシャル・プランとシングル・プランに大別される。パーシャル・プ
ランは,仕掛品勘定の当月製造費用を実際原価で記帳するのに対し,シングル・プランは仕
掛品勘定をすべて標準原価で記帳する。
ウ.正 正しい記述である。修正パーシャル・プランとは,製造直接費を仕掛品勘定へ振替える際
に,標準単価に実際消費量(作業時間)を乗じて計算された実際原価を適用する記帳方法であ
る。この方法によれば,原価業績報告書を作成する際の基礎資料である仕掛品勘定から,一
般に工程管理者にとって管理不能な単価面の差異を除外することができる。つまり,管理可
能性原則に即した原価業績報告書を作成することができ,責任会計の見地から優れた方法で
ある。
エ.誤 原価差異を把握する方法と記帳方法は,必ずしも一対一で対応するわけでないが,シング
ル・プランはインプット法,パーシャル・プランはアウトプット法と結び付きやすい。な
お,製造間接費差異のうち,操業度差異および予算差異は,実際操業度が確定してからでな
いと算定することができないため,インプット法で把握することはできない。
令和2年公認会計士試験 第Ⅰ回短答式試験 模範解答
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問題8 (計算:標準原価計算 正答可能性:低)
【解 答】 1.解答省略
【解 説】
1 生産データ整理
標準歩留 (個) 実際歩留 (個)
月初仕掛
0
完 成
500
月初仕掛
0
完 成
500
当月投入
515
当月投入
520
正常仕損 (*)15
実際仕損
20
月末仕掛
0
月末仕掛
0
(*) 500 個×3%=15 個
2 直接材料費の差異分析
価格差異:@1,000 円×3,200 ㎏-3,264,000 円=(-)64,000 円(不利差異)
仕損差異:@1,000 円×6㎏×(515 個-520 個)=(-)30,000 円(不利差異)
その他の数量差異:@1,000 円×(6 ㎏×520 個-3,200 ㎏)=(-)80,000 円(不利差異)
合計:174,000 円(不利差異)
3 直接労務費の差異分析
賃率差異:@1,500 円×1,600 時間-2,368,000 円=(+)32,000 円(有利差異)
仕損差異:@1,500 円×3時間×(515 個-520 個)=(-)22,500 円(不利差異)
その他の時間差異:@1,500 円×(3 時間×520 個-1,600 時間)=(-)60,000 円(不利差異)
合計:50,500 円(不利差異)
4 製造間接費の差異分析
⑴ 標準配賦率の内訳
10,800,000 円÷21,600 時間=@500 円(固定費率)
@1,100 円-@500 円=@600 円(変動費率)
⑵ 製造間接費差異の内訳
仕損差異:@1,100 円×3時間×(515 個-520 個)=(-)16,500 円(不利差異)
予算差異:@600 円×1,600 時間+10,800,000 円÷12 ヶ月-1,900,000 円
=(-)40,000 円(不利差異)
変動費能率差異:@600 円×(3 時間×520 個-1,600 時間)=(-)24,000 円(不利差異)
固定費能率差異:@500 円×(3 時間×520 個-1,600 時間)=(-)20,000 円(不利差異)
操業度差異:@500 円×(1,600 時間-21,600 時間÷12 ヶ月)=(-)100,000 円(不利差異)
合計:200,500 円(不利差異)
短答式試験 管理会計論 講評
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5 正誤判断
⑴ 選択肢 1
正しい記述である。仕損差異の合計 69,000 円(*1)とその他の原価差異合計 356,000 円(*2)との差額
は 287,000 円である。
(*1) @13,800 円×(500 個×3%-20 個)=(-)69,000 円(不利)
(*2) @13,800 円×520 個-(3,264,000 円+2,368,000 円+1,900,000 円)
=(-)356,000 円(不利)
⑵ 選択肢 2
誤った記述である。標準原価差異を費目別に分析すると,差異が も大きいのは直接材料費差異
174,000 円であり, も小さい直接労務費差異 50,500 円と比べて 123,500 円大きい。
⑶ 選択肢 3
誤った記述である。標準原価差異について費目の差異をさらに分析すると,差異が も大きいの
は操業度差異の 100,000 円(不利差異)である。
⑷ 選択肢 4
誤った記述である。製造間接費変動費能率差異 24,000 円と直接材料費価格差異 64,000 円は,両
者とも不利差異が生じているが,前者は後者に比べて 40,000 円小さい。
⑸ 選択肢 5
誤った記述である。直接材料費の仕損差異 30,000 円と直接労務費の仕損差異 22,500 円は,両者
とも不利差異が生じているが,前者は後者に比べて 7,500 円大きい。
令和2年公認会計士試験 第Ⅰ回短答式試験 模範解答
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問題9 (理論:管理会計の基礎知識 正答可能性:中)
【解 答】 6.ウエ
【解 説】
ア.誤 誤った記述である。プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントとは,ボストン・コンサ
ルティング・グループが開発した経営資源の配分を支援するモデルであり,縦軸に市場成長
率(資金需要を表す),横軸に相対的市場シェア(資金供給能力を表す)を設けて,4 つのセルに
事業を配置する。自社の相対市場シェアとは,業界 1 位の企業のシェアに対する自社の市場
シェアの割合(業界 1 位の企業であれば,業界 2 位の企業に対する割合)で計算される数値で
ある。この数値は,自社のシェアが変わらなくとも,他企業のシェアが変われば変化する数
値であり,業界内での相対的な自社の位置付けを表すものである。
イ.誤 誤った記述である。一般に業績測定期間の長短により,ある費目の管理可能性は変化す
る。すなわち,当該期間が短ければ短いほど,特定の経営管理者にとっての管理可能費は少
なくなる。
ウ.正 正しい記述である。業務的意思決定とは,経営の基本構造を所与のものとし,短期的な経
営課題の解決を目的に行なう意思決定である。戦略的意思決定のような企業経営に長期的な
影響をもたらすものでないため,計算の簡便化のために貨幣の時間価値を考慮しないのが通
常である。
エ.正 正しい記述である。バランスト・スコアカードが登場した背景には,財務指標に偏重した
短期的な企業経営が行なわれてきたことや,戦略の策定と実行が分離していたこと,無形資
産の蓄積が経営の重要課題となったこと等が存在する。近年では,バランスト・スコアカー
ドは単なる多元的な業績評価ツールでなく,業績評価を通じた戦略マネジメント・システム
としての側面が強調される。
短答式試験 管理会計論 講評
- 15 -
問題10 (計算:短期利益計画のための管理会計 正答可能性:中)
【解 答】 3.(ア)1,560 百万円 (イ)20.0%
【解 説】
1 当期のデータ整理
⑴ 安全余裕率
100%-87.5%=12.5%
⑵ 経営レバレッジ係数
1÷12.5%=8倍
⑶ 貢献利益
150 百万円(営業利益)×8倍(経営レバレッジ係数)=1,200 百万円
⑷ 売上高
1,200 百万円÷(1-25%)=1,600 百万円
⑸ 固定費
1,200 百万円(貢献利益)-150 百万円(営業利益)=1,050 百万円
⑹ 営業利益
1,200 百万円(貢献利益)-1,050 百万円(固定費)=150 百万円
2 次期のデータ整理
⑴ 固定費
1,050 百万円+120 百万円=1,170 百万円
⑵ 損益分岐点売上高
1,170 百万円÷(1-25%)=1,560 百万円
⑶ 目標売上高
1,170 百万円÷(100%-25%-10%)=1,800 百万円
⑷ 目標営業利益
1,800 百万円×10%=180 百万円
⑸ 増益率
(180 百万円-150 百万円)÷150 百万円=20.0%