炎症性腸疾患の診断と経過 ―定型例と非定型例― ·...

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図1 GALT(gut associatedlymphoidtissue) GALTの食餌・微生物など(環境因子)への免疫異常反応が腸管 に炎症を生じる (IEL;intraepithelial lymphocyte, Mϕ ;macrophage, DC;dendritic cell, LPL;lamina propria lymphocyte, HEV;highendothelial ve- nule, sIgA;secretoryIgA) 炎症性腸疾患の診断と経過 ―定型例と非定型例― 慶應義塾大学医学部消化器内科 はじめに 消化管は口腔から肛門まで約4メートルの長さ があり,粘膜表面上に分布する絨毛を広げるとテ ニスコート一面分以上の面積を有するといわれる 広大な臓器である.ここには水分・食物の消化・ 吸収機能をつかさどるばかりでなく,gut associ- ated lymphoid tissue(GALT)と呼ばれる免疫装 置が存在し,常に対峙する管腔内の抗原に対し粘 膜上皮と粘膜下組織の緊密な相互作用により恒常 性を保っている(図1).このバランスが何らかの 理由により破綻を来たすと腸粘膜に炎症が惹起さ れることになる.広義の炎症性腸疾患とは,原因 が明らかになっている特異性腸炎(感染性,放射 線性,薬剤性,血管性,全身性疾患に伴う腸炎な ど)が含まれるが,最近では原因が特定されてい ない非特異性腸炎(潰瘍性大腸炎,Crohn 病,単 純性潰瘍,非特異性多発性小腸潰瘍症など)を狭 義の炎症性腸疾患として呼称している.この非特 異性腸炎の代表である潰瘍性大腸炎と Crohn 病 の病態・病因に関しては,これまでに,生化学的, 病理組織学的,分子生物学的検討により両疾患と も免疫異常に伴う腸管局所での過剰な免疫反応が その病態に大きく関与しているものの,その詳細 は全く異なることが明らかとされてきた 1) .これ に伴い,新たな治療戦略も次々と開発されつつあ 2) 発症と病態に関与する因子のパラダイ ム(図2) 1)遺伝的因子 ある特定の遺伝子異常が発症の主たる原因と なっている血友病や筋ジストロフィーなどの単一 33

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図1 GALT(gut associated lymphoid tissue)GALTの食餌・微生物など(環境因子)への免疫異常反応が腸管に炎症を生じる(IEL;intraepithelial lymphocyte, Mϕ;macrophage, DC;dendritic cell, LPL;lamina propria lymphocyte, HEV;high endothelial venule, sIgA;secretory IgA)

炎症性腸疾患の診断と経過―定型例と非定型例―

慶應義塾大学医学部消化器内科 日 比 紀 文

はじめに消化管は口腔から肛門まで約4メートルの長さ

があり,粘膜表面上に分布する絨毛を広げるとテニスコート一面分以上の面積を有するといわれる広大な臓器である.ここには水分・食物の消化・吸収機能をつかさどるばかりでなく,gut associ-ated lymphoid tissue(GALT)と呼ばれる免疫装置が存在し,常に対峙する管腔内の抗原に対し粘膜上皮と粘膜下組織の緊密な相互作用により恒常性を保っている(図1).このバランスが何らかの理由により破綻を来たすと腸粘膜に炎症が惹起されることになる.広義の炎症性腸疾患とは,原因が明らかになっている特異性腸炎(感染性,放射線性,薬剤性,血管性,全身性疾患に伴う腸炎など)が含まれるが,最近では原因が特定されていない非特異性腸炎(潰瘍性大腸炎,Crohn 病,単

純性潰瘍,非特異性多発性小腸潰瘍症など)を狭義の炎症性腸疾患として呼称している.この非特異性腸炎の代表である潰瘍性大腸炎と Crohn 病の病態・病因に関しては,これまでに,生化学的,病理組織学的,分子生物学的検討により両疾患とも免疫異常に伴う腸管局所での過剰な免疫反応がその病態に大きく関与しているものの,その詳細は全く異なることが明らかとされてきた1).これに伴い,新たな治療戦略も次々と開発されつつある2).

発症と病態に関与する因子のパラダイム(図2)1)遺伝的因子

ある特定の遺伝子異常が発症の主たる原因となっている血友病や筋ジストロフィーなどの単一

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図2 遺伝因子・環境因子の疾患発症への関与※疾患感受性遺伝子;~それだけでは疾患は引き起こさないものの,特定の疾患のリスクを高める遺伝子(多くの場合は複数の遺伝子が関与)

図3 潰瘍性大腸炎の病態(CTL;cytotoxic T lymphocyte, ADCC;antibody dependent cell-mediated cytotoxicity, ELEM-1;endothelial leucocyte adhesion molecule, LFA-1;leucocyte functioning antigen-1, ICAM-1;intra-cellular adhesion molecule-1)

遺伝子疾患は,その発症原因の100%を遺伝的因子が占め,外傷や事故などは環境因子が原因の全てとなると考えると,癌・糖尿病・心臓疾患・アレルギー・リウマチ・感染症・統合失調症などとともに,炎症性腸疾患も,いわゆる疾患感受性遺伝子と呼ばれる遺伝的因子に,生活習慣をはじめとする環境因子が加わることで初めて発症する多因子疾患であるといえる.炎症性腸疾患における遺伝的因子は,欧米においては NOD2と呼ばれる疾患感受性遺伝子の point mutation 異常が指摘さ

れている3)~5),わが国を含む中国・韓国などの黄色人種においては認められておらず6)~8)遺伝的背景の相違がみられる.

2)環境因子

第二次世界大戦後,我が国において高度成長期を経て急速に豊かになった食生活の欧米化,すなわち動物性蛋白や脂肪の摂取量増加は,炎症性腸疾患のみならず大腸癌患者数の増加とその時期がほぼ一致しており,逆に和食中心の食事や食物繊

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図4 潰瘍性大腸炎の内視鏡像(a)軽症例 (b)重症例

a

b

維摂取は大腸癌発症のリスクを低下させる.また,喫煙はクローン病の増悪因子であるが,潰瘍性大腸炎においては逆の作用があることが報告されている.さらに,わが国における多施設共同研究の結果,虫垂切除は潰瘍性大腸炎の活動性およびその予後を改善するという成績も発表されており9),数多くの環境因子が炎症性腸疾患の病態に深く係わっていると考えられる10).くわえて,20世紀後半の分子生物学の飛躍的な進歩により,特定の遺伝子を欠失したノックアウトマウスや特定の遺伝子を過剰発現したトランスジェニックマウスの作成が可能となり,さまざまな遺伝子操作マウスにおいてヒトの炎症性腸疾患類似の腸炎を発症することが報告されているが,これらの腸炎発症モデルマウスは無菌状態で生育させると腸炎を発症せず,腸内細菌の存在する通常状態で生育さ

せて始めて腸炎を発症することがわかってきた.すなわち,腸内細菌叢の動態は炎症性腸疾患独特の環境因子ともいえる.

潰瘍性大腸炎の病態(図3)潰瘍性大腸炎は直腸から連続性びまん性に大腸

粘膜に病変がみられ,副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤が有効であることから,大腸粘膜傷害に何らかの免疫異常が深く関与していると考えられてきた.潰瘍性大腸炎はいわゆる症候群の可能性もあり,いくつかの原因によるものが混在していることも考えられるが,大腸粘膜が特異的に傷害されること,血清中に各種の自己抗体が出現すること11),種々の腸管外合併症を伴うことなどより,全身の免疫異常を伴う臓器特異的自己免疫疾患と考えられる群が潰瘍性大腸炎の中心となっている

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図5 潰瘍性大腸炎と鑑別すべき疾患(a)アメーバ性大腸炎,(b)虚血性大腸炎,(c)抗生物質起因性大腸炎

a b c

図6 Crohn病の病態OPN;osteopontin, IEL;intraepithelial lymphocyte, LPL;lamina proprial lymphocyte, MLN;mesenteric lymphnode, DC;dendritic cell)

可能性がある.また,粘膜局所に浸潤した細胞の解析により,IL7を中心としたサイトカイン調節異常12)や,co-stimulatory molecule を介した腸管内抗原や自己抗原に対する T 細胞の反応異常13)が本症の病態の本態ではないかとも考えられている.

Colitic cancer1925年に Crohn と Rosenberg が潰瘍性大腸炎

に合併する大腸癌を報告して以来,いわゆるadenoma-carcinoma sequence の発癌メカニズムとは異なる,炎症粘膜を母地として発症する大腸癌(colitic cancer)の概念が明らかになってきた.これまでの解析では,左側結腸型・全結腸型の長期経過例が高危険群で,累積発癌率は,罹病期間

20年で約7%,30年で約17%といわれている.また,背景粘膜に炎症を伴い,平坦病変が多く内視鏡診断が困難なこともあり,前癌病変とされる dyspla-sia の合併が多いことから,厚生労働省班会議が中心となり dysplasia をマーカーとした colitic can-cer の早期発見を目指した surveillance colono-scopy 法の確立に向けたプロジェクトがすすんでいる.すなわち,日本の優れた内視鏡診断技術を体系化させ,数多くの生検組織を採取するという欧米を中心に行われてきた random biopsy 法から,より詳細な内視鏡観察により疑わしい病変を絞り込んだ targeting biopsy を目指すものであり,colitic cancer�dysplasia の代表的内視鏡所見をまとめた「潰瘍性大腸炎サーベイランスアトラス」も発行されている.また,患者血清中の p53

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図7 クローン病の内視鏡像(a)アフタ様びらん (b)縦走潰瘍(左),敷石像(右)

a

b

抗体と colitic cancer の関連性も指摘され14)注目されている.

非定型例と鑑別すべき疾患本来,潰瘍性大腸炎は直腸から連続性,びまん

性に粘膜が侵されることを特徴とする(図4)が,時として非定型例がみられる.原発性硬化性胆管炎に合併する潰瘍性大腸炎の病変は,上行結腸を中心とした深部結腸に主たる病変を形成し,直腸の炎症所見が比較的経度であることがしばしば観察される.また,経過年数の長い症例における再燃例や注腸療法を施行していた症例においては,遠位大腸の所見が極めて軽度であるにもかかわらず,下行結腸以深で病変が強くなることも珍しくない.したがって,病状把握のための内視鏡検査の際には S 状結腸までの観察のみでは正確な情

報が得られないことがあるため注意を要する.一方,鑑別すべき疾患としてはアメーバ赤痢,血管性病変としての虚血性大腸炎や腸間膜動・静脈血栓症による大腸炎,抗生物質起因性大腸炎などがあるが(図5),詳細な病歴と臨床症状ならびに内視鏡検査に加え,CT スキャンなどを含めた補助的診断法を組み合わせることにより鑑別は可能である.

クローン病の病態(図6)クローン病は,口腔より肛門までの全消化管の

いずれの部位にも病変が生じうる区域性の全層性非特異的炎症性疾患であり,組織学的に非乾酪性肉芽腫を特徴とし,さらに初期病変としてアフタ様びらんを認めることなどから,潰瘍性大腸炎とは全く異なった病態であると考えられている.何

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図8 クローン病と鑑別すべき疾患(a)単純性潰瘍(腸型ベーチェット病),(b)腸結核

a b

図9 炎症性腸疾患治療法開発の歴史

らかの微生物による感染症の可能性もあり現時点で明らかな証拠はないものの,数多くの免疫学的研究により,何らかの腸管内抗原または腸内細菌が腸粘膜へ侵入し,機能異常を有する単球・マクロファージならびに樹状細胞の活性化15)と IL-12,IL-18と IL-23の synergistic effect に よ る CD4陽性 T 細胞における Th1型免疫反応ならびに炎症性サイトカイン産生の亢進16)がその病態や炎症の持続に重要であると考えられている.

非定型例と鑑別すべき疾患非定型例として,食道・胃・十二指腸に病変を

形成する場合がある.食道病変は極めて稀である

が,胃や十二指腸には縦列傾向のあるアフタ様びらんや不整潰瘍ならびに胃体部に竹の櫛状粘膜を認めた場合には,下部消化管において明らかな異常を認めなくてもクローン病を疑う必要がある.また,潰瘍性大腸炎の重症例において虚血によりしばしば認められる縦走傾向のある粘膜脱落をクローン病の縦走潰瘍と見誤る場合があるが,この鑑別点としては,潰瘍辺縁の粘膜をよく観察すると潰瘍性大腸炎の場合はいわゆる表層の粘膜に炎症所見が明らかに認められる一方,クローン病では炎症所見はあってもごく軽度で,逆にみずみずしい,一見その部位だけを見れば血管透見も認められるような粘膜を呈することが多い(図7).他

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に鑑別すべき疾患には,回盲部に好発する腸結核,単純性潰瘍(腸型ベーチェット病)が挙げられる

(図8)が,多くの場合は詳細な病歴と臨床症状ならびに内視鏡検査により鑑別は可能である.

治療方針内科的治療法に関する時代的変遷を考えたと

き,大きく 3 期に分けられる(図9).抗炎症作用を主体とした5-アミノサリチル酸製剤と副腎皮質ホルモン製剤が治療の中心であった時代,緩解導入療法としての Cyclosporin A や,緩解維持療法としての Azathioprine�6-Mercaptopurine を用いた免疫調節剤の投与が始まった時代,そしてごく最近から始まっている抗 TNF-α 製剤など生物製剤を中心とした分子標的治療の時代である.これに加えわが国においては免疫統御療法の一つとして,潰瘍性大腸炎に対して白血球除去療法が認められている.これら各種治療法を駆使することにより多くの症例の緩解導入・維持が可能になった.

1)5-アミノサリチル酸製剤と副腎皮質ステロイド

我が国において使用されている5-アミノサリチル酸製剤は salazosulfapyridine(SASP,サラゾピリンⓇ)と mesalazine(5-ASA,ペンタサⓇ)であり,prodrug であるという薬理学的な特徴から特に遠位型 UC には SASP がより有効であると考えられているが,mesalazine が容量依存性に薬効が認められており,最近国内で行われた容量比較試験においても有効性が確認され,数年以内にはmesalazine の投与量の上限設定が高くなる可能性も示唆されている.さらに,2003年より me-salazine の注腸製剤も承認され,左側型ならびに直腸炎型の症例に広く使用され始めており,経口剤と注腸剤の同時投与による効果も実証されている.一方,5-アミノサリチル酸製剤の欧米における最大のシェアをもつ mesalamine(AsacolⓇ)の国内臨床治験も終了している.本薬剤は遠位消化管内に薬効成分が放出される剤型を特徴としており用量依存性の薬効も証明されている17).また一日

一回投与による治療が可能な,回腸末端部において5-アミノサリチル酸が放出されるように調節された薬剤も開発されるなど18),UC に対する5-アミノサリチル酸製剤を用いた治療には現在多くのバリエーションがあり,難治性症例だけが取りざたされがちな本症だが,現実的には過半数を超える uc 症例が5-アミノサリチル酸製剤により緩解導入・維持が可能であることからも,最も古いながら新しい可能性を有する薬剤として再認識されている19).

副腎皮質ステロイド治療の基本は,何よりも重症かつ効果が期待できるような場合には躊躇せずに1~1.5mg�kg の投与を行い,その治療効果を確認しつつ徐々に減量することである20).中途半端な量や漫然とした投与の継続がより多くの副作用を生じるもとであり,また通常の投与法にて明らかな改善が認められないと思われる重症例の場合は強力静注療法や動注療法を試み,さらには白血球除去療法や Cyclosporin 持続静注療法(後述)への変更も視野に入れて注意深く患者の状態を観察することが肝要である.すなわち,本薬剤は適切な用法用量をもって使用すれば優れた緩解導入薬剤であるが,緩解維持効果はないという点をあらためて強調したい.一方副腎皮質ステロイドの副作用を軽減する目的で,肝臓での代謝が早く,また 消 化 管 か ら の 吸 収 を 抑 え る new steroid(steroid-antedrug)の研究・開発が進み,その代表格である budesonide21)は回腸放出制御の経口製剤と注腸剤が欧米にてすでに使用されており,その有用性から我が国においても早期に認可されることが期待されている.

2)免疫調節剤

a)Cyclosporin(CsA)Cyclosporin(CsA)は真菌由来の環状ペプチド

で,主にヘルパー T リンパ球による IL-2と IFN-γ産生を抑制することにより T 細胞と B 細胞の機能に作用する.この強い免疫抑制作用を利用して重症 UC に対して high dose の CsA 持続静注療法が行われる.通常腎移植後に用いられる CsA

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は血中濃度を200ng�ml を目標として投与されるが,UC の患者に対しては,400から600ng�ml に維持することにより良好な成績が得られている22).また,重症の UC 患者に対し,CsA 静注により短期間で緩解導入し,その後6MP�AZA で緩解維持療法を行い,外科的切除を有意に予防し得たという報告もあり,注目されている23).CsA 療法に伴う重篤な副作用としては,腎機能障害のほかに日和見感染症,悪性腫瘍があり,CsA とステロイドを併用する際は感染症の危険性が増加するため留意する必要がある.しかし,かつては緊急手術をも検討すべきであったほどの重症例に対する緩解導入効果が本邦においても実証され,保険適応外でありながらも,厳格な血中濃度を管理できる専門施設においてはさかんに行われるようになっており,ステロイド抵抗性,難治性の重症 UC 患者においては外科的手術を施行する前に是非とも検討すべき治療法として位置づけられつつある.

b)Tacrolimus(FK506)Tacrolimus は CsA と類似した免疫抑制作用を

示し,その薬効は CsA の約100倍程度強い.またCsA を経口投与した場合に比し,炎症のある小腸粘膜でも吸収は良好であり,またその吸収は胆汁酸の影響も受けない.したがって,経口投与でも速効性があり,1~2週で効果が発現する利点がある.Fellermann ら24)によると,初期投与量としてTacrolimus を0.01~0.02mg�kg�day で 7 日 間 持続静注し,その後0.1~0.2mg�kg�day の経口投与に変更しステロイド減量に有効であったと報告している.またステロイド抵抗性の UC に有効で,緩解導入や手術の回避における有用性も報告されている25).また MTX や6MP による長期維持療法への橋渡しにも有用である.さらに本邦において,世界に先駆け経口投与による double blind,ran-domized,placebo-controlled study が終了し,難治性 UC の緩解導入療法として極めて良好な成績が得られただけでなくステロイドの減量効果も証明された26).別報においては長期投与による効果も報告され27),本邦における実用化が大いに期待されている.副作用は CsA によるものよりは軽度で

あることが多く,腎毒性,神経毒性,糖尿病誘発に関しては両者で差は無い.振戦,知覚異常,痙攣は,Tacrolimus や CsA の治療により出現する神経毒性として典型的である.副作用は血中濃度が,25ng�ml 以上になると増加すると報告されている.このため治療域は5~15ng�ml とすることが推奨されている26).

c)6-Mercaptopurine(6MP)と Azathioprine(AZA)

AZA はプロドラッグであり,吸収された後,速やかに6MP に変換されその後,活性代謝体である6-thioguanine nucleotides(6TGN)となる.6TGN はプリン拮抗薬として DNA の合成を阻害し,cytotoxic T-cell と natural killer cell の機能を阻害し抗炎症作用を示すといわれている.6TGNの代謝酵素である thioprine methyltransfererase

(TPMT)には遺伝子上多様性のある酵素であり,酵素活性に人種差や個人差があり,副作用の発現に大きく関与している.このため TPMT の酵素活性を測定して用量設定をすることにより副作用を軽減できる可能性が示唆されている28).AZAと6MP の治療に伴う副作用としては,用量非依存性のアレルギー型のものと用量依存性の非アレルギー型のものがある.アレルギー型の副作用は通常投与開始より3~4週間以内に出現する.発熱,発疹,倦怠感,嘔気,下痢,肝炎などがある.非アレルギー型の副作用は用量依存性で,血中6TGN の濃度上昇,すなわち TPMT の活性との関連が疑われる.このタイプの副作用は遅発性で,骨髄抑制,感染症,悪性疾患,肝炎(用量依存性の)などがある.妊娠中に投与した場合の,奇形の発生率に関しては健常者と比較して有意差が無いといわれているが,症例数が少なくさらなる検討が必要である.

本治療法はあくまで緩解維持あるいはステロイド減量効果に威力を発揮するものである.欧米において6MP は1.0~1.5mg�kg�D,AZA は2.0~3.0mg�kg�D より治療開始するのが妥当であるとされているが29),本邦では欧米で使用されている約半量,すなわち6MP 30mg�D,AZA 50mg�D を用

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いており,その緩解維持効果と安全性が報告されており30),ステロイド減量効果も期待できる31)~33).効果の安定までには平均4カ月程度が必要であり,臨床反応と薬剤の総投与量には正の相関性がある.効果出現までの期間を短縮するために,Sandborn34)はステロイド抵抗性患者に導入量として,1,800mg の AZA を36時間で持続静注する方法が有効であったことを報告しており,早期の効果発現の為の治療法の工夫として注目されている.また,腸溶剤の経口投与及び注腸による局所療法も,副作用の軽減と腸管における作用増強の観点から,今後盛んに研究されていく分野であろう.

3)白血球除去療法

過剰な免疫反応により炎症性サイトカインを産生する病態の中心的存在である白血球を治療のターゲットとして考案された白血球除去療法は,平成12年より健康保険適応治療として認められ,我が国においては潰瘍性大腸炎の新たな治療法として広く認知されるようになった.本治療法には単球・顆粒球吸着器を用いた顆粒球除去療法

(granulocytapheresis;GCAP)35)36),膜により白血球の吸着除去を行う白血球除去療法(leukocy-tapheresis;LCAP)37)と,比重の違いによって白血球を分離除去する遠心分離法38)の三種類があるが,血球成分の除去効率や治療時間などから現在は主として前二者がさかんに利用されている.しかし,保険適応となったのは潰瘍性大腸炎のうち厚生労働省特定疾患の臨床重症度で重症,劇症ならびに難治症例であり,難治の定義に当てはまらない中等症患者の緩解導入療法や維持療法には認められず,一番恩恵を受けると思われた内視鏡所見のひどくない中等症患者に対する早期の使用は保険適応上無理になっている.また,本治療法は重症あるいは難治例全ての症例に有効なわけではなく,CsA 等と共に潰瘍性大腸炎に対する治療指針の中での位置づけに関しても,保険適応症例の拡大と同様に十分に検討する必要がある.さらに最近では,現在認められている週一回の治療法よ

りも,週二~三回の集中治療を行うことでより早期の緩解導入が得られるという成績や,月一~二回の緩解維持療法としての有用性も示唆されている.現時点で本治療法の有効性を sham-device を用いた double blind で証明した study は Sawadaらによる LCAP の報告である39).また,欧米においても本治療法は注目されはじめ,sham-カラムを 用 い た 大 規 模 な GCAP の randomized con-trolled study が全米,欧州ならびにわが国において実施され,その成績如何によっては中等症ならびに Crohn 病など適応拡大への期待が寄せられている.

4)抗 TNF-α抗体療法

a)Infliximab1993年に報告された抗 TNF-α キメラモノク

ローナル抗体(infliximab)のクローン病に対するpilot study 以後,本抗体によるクローン病治療の有用性に関する治療成績が相次いで報告され,その緩解導入ならびに緩解維持療法における inflixi-mab の地位は揺るぎないものとなっており,わが国においても2002年より緩解導入療法が認可されている.一方米国においては,難治性 UC に対しても大規模臨床試験(ACT 1&2)により緩解導入ならびに緩解維持効果に優れていることが証明され40)27),昨年より実用化され,わが国では臨床試験が開始されている.

副作用に関してはクローン病に対する治療後の成績が中心となるが,感染症の増悪や,悪性リンパ腫の発生,自己抗体陽性に伴う SLE 様の自己免疫疾患の発症,また長期投与に伴う抗キメラ抗体の出現など数多く報告されているが,我が国において最も注意を喚起されている点のひとつとして結核発症のリスクが挙げられているが,約 1 年の観察期間での meta-analysis により重篤な感染症および死亡率のリスク上昇,ならびに妊娠に及ぼす影響に関しては,コルチコステロイドの方が in-fliximab よりも高い関与が示され41)28)注目を集めている.こうした報告をふまえ最近の話題として,Crohn 病に対する inflixmab による治療戦略を

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top-down therapy としてとらえ,最終手段としてではなくステロイドホルモンに先行して投与すべきではないかという議論が盛んに行われている42).さらに UC に対してもすでに実用化されている欧米においては,この論理が uc においても展開されつつある.確かに粘膜修復能を中心とする薬効とその副作用ならびに医療経済上の観点からも,この理論は十分に検討すべき課題であるが,最大の問題は,どういった症例が top-down ther-apy の適応となるのかという点である.すなわち,発症初期の段階でどの症例がステロイド抵抗あるいは依存例であるということを識別できるのかということである.

b)その他の抗 TNF 製剤現在実用化されている抗 TNF-α 抗体は,キメ

ラモノクローナル抗体の infliximab であるが,分子構造は,75%がヒト,25%はマウス由来であるため,一部に human anti-human antibody

(HAHA)ができることが報告されたため,この解決策として PEG 化 Fab 抗 TNF-α 抗体と100%がヒト由来である抗 TNF-α 抗体が開発され,それらのクローン病に対する臨床治験成績が注目されており,我が国においても治験が終了した.

Certolizumab pegol,CDP870(PEGylated anti-TNF antibody fragment)は,Immunoglobulin鎖の Fab portion を PEG 化し,血中半減期を延ばすことに成功した新しい抗 TNF-α 抗体である.三回の皮下投与(0,4,8週)による Phase II studyで,血清中 CRP が1.0mg�dl 以上の群で解析すると,プラセボ群との間に有意差をもって有効なことが明らかになった43).

Adalimumab(Human IgG 1 anti-TNF anti-body)は前述の如く100%ヒト化されており,HACA などの抗体産生が少ないとされ,さらに投与経路が皮下注射であることからも期待されている.プラセボ比較による controlled trial では,0,2週の二回投与での 4 週後の緩解率で実薬投与群が有意差をもって優れており,また容量反応性も認められた44).

おわりに以上のごとく,病態に関する基礎的研究に

おいてわが国は欧米とすでに肩を並べるレベルに達しているといえるが,Cyclosporin A,6-Mercaptopurine�Azathioprine といった免疫抑制剤や抗 TNF-α 抗体を代表とする生物製剤など,新たな治療戦略を方向付ける臨床研究面においては,いまだ欧米で実施された大規模臨床試験の結果を追従せざるを得ないのが実情である.しかし近年では,白血球除去療法や Tacrolimus ならびに抗 IL-6R 抗体など,わが国から世界に発信すべき治療法も報告され期待され始めている.

しかし,基礎的研究においても病因に直接迫るevidence はなく,臨床面においても現在行われている治療法は欧米における全ての trial も含めあくまでも対症療法に過ぎない.根本的治療法の開発のためには,病因を解明する必要があり,今こそ基礎医学と臨床医学の力をさらに結集し,炎症性腸疾患診療における真の breakthrough となる知見が近い将来得られることに期待したい.

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