学習支援の現状及び在り方 - Cabinet Office · 日本の子どもの貧困の階層...

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内閣府子どもの貧困対策有識者会議 資料 学習支援の現状及び在り方 学習支援の第2ステージに向けて 2018.05.17 特定非営利活動法人キッズドア 渡辺由美子 Copyright © 2018 NPO法人キッズドア All Rights Reserved. 資料2-2

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内閣府子どもの貧困対策有識者会議 資料

学習支援の現状及び在り方

学習支援の第2ステージに向けて

2018.05.17 特定非営利活動法人キッズドア

渡辺由美子

Copyright © 2018 NPO法人キッズドア All Rights Reserved.

資料2-2

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学習支援の現状

無料学習支援の取り組みは全国で進んでいる。「無料学習支援を実施する段階」から「より成果の出る学習支援へ」の事業の発展段階に来ている。

• 生活困窮者自立支援法に基づく学習支援の実施率は56%(504自治体)それ以外にも、ひとり親家庭の学習支援、地域未来塾、民間による自主事業などが行われている。

• 学習支援は、学力向上のみでなく、生活支援や非認知能力の向上、ソーシャルスキルの獲得など、多くの成果を出している。食の不足が明らかになる中で、食事の提供や安全な居場所の機能も兼ねるなど、学習支援の形態も多様化している。

• 集団授業塾型、個別指導塾型、自習室型、家庭教師型、居場所型など様々な学習支援の形態が発生している。地域特性、対象、求める成果、費用、ボランティアさんの有無などの諸条件により選択されている。

• 学習支援の成果については、学力向上以外にも様々な効果がある。また、子どもだけではなく、世帯に及ぼす影響などもあるが、その評価方法が必要である。またロジックモデルをもとに、「アウトプット」のみならず「アウトカム」を見るためには継続的な関わりが必要である。

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アウトプット活動

人とのつながり

一人ひとりを見る

最後まで諦めない

進路指導

体験学習

くつろげる場

学習指導

食事提供

中間アウトカム

学習のモチベーションアップ

学習習慣が身につく

自己管理能力の獲得

ロールモデルに出会う

自分の価値を知る

興味関心世界が広がる

大学進学

就職

社会的自立

経済的自立

精神的自立

専門進学

自分の進路を自己決定できる

今を

良くし続けようとする意思を持つ

多様性を理解した上で

自己肯定感をもつ

最終アウトカム

学習意欲の向上

学習習慣の定着

ライフ・キャリア設計力の向上

自己効力感の向上

将来の意欲の向上

希望する進路の選択

将来への意欲の向上

他者を尊重・配慮する力の向上

自己理解が進む(行動)

基礎的知識・技能の向上(知識・技能)

自己肯定感の向上(対・自分)

孤独感の解消(対・他者)

他人に対する信頼感の醸成

今までにない価値観の獲得

学習意欲の向上(意識)

学習継続ができる(行動)

将来の意欲向上(対・社会)

キッズドア学習支援のロジックモデル(簡易版)Copyright © 2018 NPO法人キッズドア All Rights Reserved.

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経済的困窮度と効果的な学習支援の形態

• 生活保護、児童養護施設、母子生活支援施設• 生活全般の立て直しが必要

• 家庭支援・家族支援が必要

重度貧困層(所得0円)

• 多子ひとり親家庭、非正規2人親就学援助家庭

• 大学や専門学校に行かずに家計を支えるために働く

貧困層(世帯年収100~250万円)

• ひとり親で子1人、2人親で多子非正規2人親

• 普段の生活はどうにかなるが,塾や予備校には行けない

• 高卒後働く可能性も高い

準貧困層(世帯年収200~300万

円)

• 普通の中小企業,自営業、地方サラリーマン

• 奨学金や教育ローンで進学

経済的損失層(年収300~500万円)

日本の子どもの貧困の階層

貧困ライン 2人世帯173万円、3人211万円、4人244万円

効果的な学習支援

• 居場所型学習会• 食事の提供• 保護者の支援• 多頻度(毎日)

より長く

• 集合型学習会• 寄添い型個別指導• 情報提供• 学習習慣の定着• 学習方法の指導

• 塾型学習会• 家庭教師型• 塾代クーポン経済的支援(給食無償化、就学援助増額、多子手当支給など)で、家庭内教育が充実し、学力低下を防げる

• 奨学金の充実など高等教育を支援

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学習支援事業の多様化

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年齢別学習支援の状況と重点的支援

学習支援(学習教室や訪問形式)の参加者では、中学生64.5%(うち中学1・2年生34.0%、中学3年生30.5%))が最も多い。 高校生世代は7%のみ(高校1・2年生4.5%、高校3年生1.2%、中学既卒者1.1%、高校既卒者0.2%)経済的困窮世帯の高校生や高校中退者には学習支援も経済支援もなく貧困から抜け出せない

平成29年度 社会保障審議会生活困窮者自立支援 及び生活保護部会(第4回)資料よりCopyright © 2018 NPO法人キッズドア All Rights Reserved.

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現場で発見した高校生世代の課題

低所得家庭の中学生に学習支援を行い高校進学させても、どうしても中退してしまう生徒がいる。

ー高校生活にかかる費用を自分で稼ぐためにブラックアルバイトで遅刻欠席ー通学定期が買えないので学校に行けないー学業不振でも塾等に通えないため留年→退学ー経済的理由で部活ができない、友達付き合いができないため孤立して退学等

高校中退は、怠け者の自己責任ではなく、社会的歪みに陥った結果(困窮家庭では解決できない)

<高校中退の経済損失試算>高校中退53000人/年高卒資格がないため正社員になるのはむずかしい。非正規雇用やニート・ひきこもり等で社会から孤立しがち。

高卒正規雇用生涯賃金 1億9000万円 vs 高校卒フリーター 5540万円 vs ニート・ひきこもり 0円。さらに社会保障費の減額や納税なども。高校中退を減らし正規雇用につなげれば莫大な経済効果(1億3500万円+α/人)、

5万人の中退予防で6.7兆円+α

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(例)高校生世代の学習支援事業現状施策では途切れるセーフティネット

●現状の支援ー 若者サポートステーション等

様々な理由で高校中退

若者サポートステーション等(̃39歳)自立相談支援、就労支援等を実施。

社会的孤立の期間が長いために自立のためには大変な労力とコストと期間(1年以上の支援が必要なケースも)

すぐに正社員になるのは難しい結婚や子ども持つのも難しい

ニート・ひきこもり期間10年以上経済的損失発生(本人や家族も辛い)

• 高校を中退した15~20歳の子どもに就労支援は厳しい。まして、学力やソーシャルスキルに課題がある子どもも多い。

• 学び直しの場を用意して「高校卒業」の資格をとり、オントラックにのせる支援が効率的

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(例)高校生世代の学習支援事業

リファインド事業

●高校中退予防&高卒認定支援のための学び直し事業「リファインド」(2016/10四谷にオープン)

• 学業不振等で高校中退した生徒の高卒認定資格取得のための無料学習支援

• 学業不振等で高校中退しそうな生徒の無料学習支援(無料サポート校)

社会的孤立やブランクなく就職へ(本人も家族も幸せ)

就労・結婚・出産等

早期の支援で、社会的孤立期間をなくし、経済的損失と福祉支援を最小限にできる。

課題:・「リファインド」は財源が不足し運営が不安定(東京都教育庁の一部委託や寄付等をかき集めて運営)・若年シングルマザー(託児機能がない)・26歳以上の学びなおし希望者

高校や福祉機関と連携し・中退前に学業フォロー・中退後の切れ目ない支援

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弊団体が2016年10月より開始した、ユースセンター事業「リファインド」https://www.facebook.com/kidsdoor.refind/?fref=ts

2018年1月20日現在 2016/10~の利用登録者 31名

高校を中退し高卒認定を目指している10代。通信制高校に通いレポート提出などのサポートが必要な生徒など。児童養護施設の退所者、生活保護家庭でネグレクトされている生徒など、多様なバックグラウンドの生徒が通っている。低所得で家庭基盤が弱いため、生活費をアルバイトで稼いでおり、すでに本人も困窮状態であるため、学習支援に加えて食事の支援なども行なっている。保険証も持っていないために、病気になっても病院にもいけないなど、厳しい生活実態が浮かび上がっている。利用料は無料で、一部寄付を使って、生徒の交通費の補助なども出している。学習支援を受けて、高卒認定資格試験の合格者がすでに3名、また高校中退後に再入学を果たした生徒が2名おり、今も高卒認定資格試験を目指して生徒が勉強している。

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(例)高校生世代の学習支援事業

リファインド事業

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中学校に上がった時点で、まったく学習習慣がない、学習方法がわからない、基礎学力がない(九九ができない、読み書きが苦手など)など、「学習」に大きな課題を抱えている子どもが少なくない。

小学生の学習支援

小学生の時に学習支援が必要だが、小学生は広域移動ができないので、より地域密着の支援が必要。学校での補習型学習支援の充実や、地域の学習支援の担い手の育成(高齢者の活用など)、小学生の学習支援のモデル事業が必要。

■中野区みらい塾(キッズドア自主事業)会場提供:コープみらい

毎週地域密着型 月2回土曜日14:00~16:00生活困窮世帯の小学4年生~中学3年生

高校受験など中学生の勉強は、大学生や若手社会人のボランティアが、小学生の勉強は定年退職した方などシニア世代の方が担当。高校受験の勉強までは無理だが、小学生の勉強なら見てあげられるシニアは多い。

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• 生活困窮で、なおかつ発達障害やグレーゾーンの子ども、不登校などの複合的な課題を抱える子どもの学習支援には専門的な知識を持った学習支援者が必要である。現在のボランティアやアルバイトを担い手とした学習支援では、しっかりとした指導ができない。

• 発達障害やグレーゾーン、不登校などの子どもも、裕福な家庭であれば、有料の教育サービスや、フリースクールなどに通えるが、経済困窮の家庭では、そこで教育のチャンスが失われてしまう。

• 低学力の子どもは、全日制普通科に合格できず、通信制高校などに通う場合も多いが、裕福な家庭の子どもは、有料のサポート高校に通えるが、困窮家庭の子どもはサポート校に通えず、一人でレポートが出せないために、高校を卒業できない。

複合的課題を抱える子どもの学習支援

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• 英語やITリテラシーなど、これからに社会で必要な技能は、現状の学校教育だけでは残念ながら身につかない。

• 学校の補習や、受験対策の学習支援だけでは、「貧困の連鎖」から抜け出せない社会の到来 ex.大学受験の願書はweb出願が主流 パソコンが使えないと不利に。

学校だけでは補えないスキル

■ English Drive

無料英語学習会(4技能の習得)

■ IT Drive

無料のプログラミング教育

■ 体験活動

■ 起業やリーダーシップ

U18東北次世代リーダーカンファレンスhttps://www.u18tohoku.netU25東北ソーシャルビジネスコンテストhttp://u25.kidsdoor-fukko.net

自然体験ツアー

富山での職場体験

キッズドアの取組例(自主事業)

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江戸川区の包括的な学習支援事業

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対象可能事業一覧

乳児養育手当(0歳児)13000円

/月(所得制限有)

幼稚園保育園

の利用料補助

26000円/月

1655勉強Café補習・高校受験対策・大学生との交流

次世代育成支援事業専門支援員による家庭訪問や面接相談等

なごみの家(地域包括ケアシステム拠点)

さくら塾ジュニア

集合型個別指導

江戸川さくら塾集合型個別指導

えどさく先生家庭教師型

English Driveジュニア

(無料英語学習会)*キッズドア自主事業

さくら予備校

・高校中退予防・大学進学支援・キャリア相談

0~未就 小学生 中学生 高校生

課題:高校生世代(高校中退した若者の高卒認定資格取得など)の支援

e-リビング・生活困窮や困難家庭の居場所(食事提供)

・低所得家庭中学生の学習支援・地域の小学生の学習支援

体験活動拠点(IT・英語・芸術 etc)

小中学校 放課後補習教室

中3勉強会生活困窮世帯

ひとり親家庭

だれでも

子どもの状況を共有し、事業の垣根を超えて

相互利用を促すことで相乗効果を誘発

(2018年度新設

成長支援課

食の支援とも連携)

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[タダゼミ]あだちの卒業生が、4月28日の活動報告会で発表してくれた原稿

私は4人兄弟です。そのため一人当たりに割り当てられる学習費用には、かなり制限が出てしまい[タダゼミ]を知るまで私

は、高校受験の際には学習塾を利用することはできないと考えていました。[タダゼミ]を知ったきっかけは、母が勧めてくれた

ことでした。その時は[タダゼミ]のことを塾のような手厚い指導をしてくれるような場所ではなく、学童のように自習が中心の学

習会だと思っていました。ですが想像とは異なり、[タダゼミ]のスタッフの皆さんは毎回分かりやすいプリントを作って来てくれ

たり、実験などの映像を見せてくださったりと、私たちが理解しやすいように工夫を凝らしてくださっていました。学習のことだけ

ではなく、お昼ごはんの時間には、大学の話やインターン先での思い出なども教えてくださり、将来のことについて、深く考え

るきっかけも与えてもらいました。

初めて自分の将来を自分自身で切り開いていかなくてはいけない高校受験に一生懸命になった1年間は、何度も進路に悩

んで、なかなか上がらない成績と、自分にイラついて、受験なんてもう辞めたいと思う日もありました。しかしそれでも毎週日曜

日に[タダゼミ]に行くと一緒に頑張っている仲間や、仕事や学校で忙しい中で私たちのために一生懸命になっているスタッフ

さんたちの姿を見ると、また1週間自分も頑張ろうと思えました。くだらないことで笑いあったりして、自分は1人ではないんだ、

皆辛いけど努力しているんだということに気づかされて、頑張るエネルギーをもらい、また1週間勉強を続けることができました。

その努力の成果が実り私は第一志望の高校に入学することができました。心から好きだと思える高校に出会えたのもスタッ

フさんが高校選びの基準をレクチャーしてくださったおかげです。今はその高校で尊敬できるクラスメイトとともにたくさんのこ

とを学び、充実した毎日を送っています。これから先また辛い壁に当たっても立ち向かっていけるような原動力を[タダゼミ]に

もらいました。

そして様々な知識を習得し大学生になったらこんなボランティアとして[タダゼミ]に関わっていきたいです。

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学習支援で子どもたちが身につける力

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学習支援 第2ステージに向けて

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1. 「子どもの貧困」と言っても、貧困度合いや家庭環境、地域の状況などは多様であり、効果

的な学習支援を行うためには、地域の状況や目的に応じた学習支援の設計が必要です。

2. 学習支援は、「子どもの学力向上」のみが目的ではなく、子育て貧困家庭とのつながりを持

つことで、世帯全体の支援に繋げる視点を持つことが重要です。

(情報提供やSOSのキャッチ、また成果としても保護者や家庭の状況を加える)

3. 子どもの貧困対策は、福祉ではなく将来への投資であること、貧困は自己責任ではなく、

貧困状況にある子どもやその世帯の支援は社会全体で取り組む必要があるという世論形

成をさらに進めて行くことが重要です。

4. 事業や行政の垣根を超えて、子どもや家庭の状況や支援に関する情報を一元化すること

により、効率的で的確な支援が可能です。また、対象の子どもや保護者を、未就学~高校

卒業・自立まで継続的に繋がり、早めに手を差し伸べることが重要です。

5. 低所得の高校生や高校中退してしまった若者、妊娠中退した若年シングルマザーなど、

「高校生世代」の支援を増やすことは、貴重な労働力の確保に直結するので、経済界など

とも連携し、充実させていくことが必要です。

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