留学生のための税金のしおり -...

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留学生のための税金のしおり 確定申告の進め方、租税条約に関する手続きについて アルバイトをする前に「参考資料2 租税条約に関する手続き」を、また年末に源泉徴収票を もらった後に「参考資料1 確定申告の進め方」を読むことをお勧めします。税金に関して留学 生には特典がありますから、利用するとよいでしょう。しかし、日本の税制は申告主義ですから、 申告しないとこの特典を受けられません。本冊子は、あくまでも確定申告等の参考資料としてご 利用ください。 砧公園の桜 2019年3月 参考資料

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留学生のための税金のしおり

確定申告の進め方、租税条約に関する手続きについて

アルバイトをする前に「参考資料2 租税条約に関する手続き」を、また年末に源泉徴収票を

もらった後に「参考資料1 確定申告の進め方」を読むことをお勧めします。税金に関して留学

生には特典がありますから、利用するとよいでしょう。しかし、日本の税制は申告主義ですから、

申告しないとこの特典を受けられません。本冊子は、あくまでも確定申告等の参考資料としてご

利用ください。

砧公園の桜

2019年3月

参考資料

2019年3月

外国人留学生のための確定申告の進め方 給与所得の源泉徴収票の場合に適用、報酬の支払調書の場合には税務署に相談のこと

日本では納税者の一人一人が、自ら税務署へ所得等の申告を行うことにより税額が確定し、この確定した税

額を自ら納付する申告納税制度を採用しています。毎年1月1日から12月31日までに得たすべての所得を計

算し、翌年2月16日から3月15日までの間(曜日によって変わります)に、税務署に確定申告書を提出し

て税金を納めるか、または還付を受けます。この手続を確定申告といいます。還付は3月以降になります。

アルバイト先で源泉徴収(報酬支払時にその支払者が国に代って所得税を天引きすること)されている場合、

確定申告が必要か、下に示したチャートで確認してください。これによって、所得税が払いすぎの場合には還

付金が得られます。

アルバイト先からの源泉徴収票を用意してください。複数ある場合には、下記の支払金額(青色)は各源泉

徴収票の支払金額の合計額に等しいとしてください。同様に源泉徴収税額(赤色)は源泉徴収税額の合計額に

等しいとしてください。源泉徴収税額が0円でない場合には、納めた税金が還付(返ってくる)ことがありま

す。

租税条約を日本と締結している国の留学生は、外国人留学生に係る課税申告の選択チャートを見て下さい。

国によって適用内容が異なります。

(注)所得税や住民税は国民健康保険の支払額に関連しますから、手続きを行ってください。必要書類は、

源泉徴収票、社会保険料控除証明書、学生証、マイナンバー、印鑑です。横浜市在住の人は市役所を区役所

と読み替えてください。

はい

いいえ

はい

はい

スタート 資格外活動許可書を取得していますか。

次ページへ

管轄の市役所の税務

課に市民税・県民税の

申告をします。(注)

源泉徴収票の源泉徴収税額

は0円ですか。 源泉徴収票の支払金額は100万円を超え

ますか。 いいえ

参考資料1

・注1:申告会場は、住所が保土ヶ谷区の場合、横浜日石ビル(2019/2/18~3/15)です。必要書類は、源泉徴収票、社会保険料控除証明書、学生証、マイナンバー、預貯金口座番号(還付用)、印鑑です。国税庁のHPで作成したものをホームプリントして管轄の税務署に郵送することも出来ます。

・注2:130万以下の場合、勤労学生控除の手続きを年末調節または確定申告しておけば、国税は免税となります。

・注3:124万以下の場合、勤労学生控除を市役所または区役所に申告しておけば、地方税(所得税および均等割から成る)の中で所得税のみが免税となります。100万以下では均等割も免税となります。

前ページから

はい

管轄の市役所の税務課に市民税・

県民税の申告をします。(注3) 課税される場合には市役所から税

金の納付書が送られてきます。

源泉徴収票等を持って確定申告作成

会場(注1)に行って、係員の指示に

従って下さい。 確定申告を出すことになりましたか。

税務署および市役所から税金の納付

書が送られてきます。 源泉徴収で払いすぎた場合には国か

ら還付があります。

係員の指示に従って確定申告を提出します。(注2)

国税、地方税の勤労学生控除は受けられません。

地方税で勤労学生控除は受けられますが、課税されます。

バイト代は合計で年間130万円

を超えますか。

はい いいえ

はい いいえ

いいえ

バイト代は合計で年間124

万円を超えますか。

2019年3月

租税条約に関する手続きについて

給与所得の源泉徴収票の場合に適用、報酬の支払調書の場合には税務署に相談のこと

外国人留学生(大学生、大学院生)がアルバイトの収入を学費や生活費に充てるのであれば、雇用主が管轄

の税務署に「租税条約に関する届出書」及び必要書類を提出することによって、所得税が全額又は一部免除さ

れることがありますから、下記の選択チャートで調べて、必要な手続きを進めてください。

(注1) ・専門学校や日本語学校などの学生は、租税条約の学生には含まれません。 ・アルバイト先が複数の場合には、それぞれのアルバイト代の支払者に届出書を出してください。 ・勤務を始めてから後で届出書を出すと、それ以降のアルバイト代に適用されます。 ・勤務先が変わらなければ、毎年届出書を出す必要はありません。

・所得税や住民税は国民健康保険とも関連しているので、上記の免除を受けている場合でも、年末の確定申告の手続きは必ず行ってください。

別資料の「外国人

留学生のための確

定申告の進め方」の

スタートに進んで

ください。

はい

いいえ はい

母国は日本の租税条約国ですか(付表参照)

母国と日本との

間で締結された租

税条約で日本での

バイト代は免税に

なっていますか。

資格外活動許可書を取得していますか。

租税条約に関する届出書をアルバイト代の支

払者に、入国の日以後最初に報酬・交付金等の支

払を受ける日の前日までに提出してください。

(注1) この届出書の提出後その記載事項に異動が生

じた場合も同様です。

上記届出書のコピーを住所の市役所の税務課

に提出してください。 地方税が免除されます。

いいえ

参考資料2

・この免除制度を知らずにアルバイトの給料について源泉徴収された場合、徴収された源泉所得税の還付請求することができます。この場合には、5年以内に「租税条約に関する源泉徴収額の還付請求書」に必要事項を記載し、在学証明書等を添付して所轄税務署に提出します。

・この届出をしなくても、国税ではアルバイト代が年間103万円以下、地方税(市民・県民税)では100万円以下ならば課税されません。源泉徴収されている場合には、確定申告をすると還付を受けられます。

・給付型奨学金(返す必要の無い奨学金)は、会社や法人から出ている場合、課税される場合とされない場合があるので給付先に確認してください。

租税条約締結国一覧表

(平成 16 年 1 月現在)

番号 国名 番号 国名

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

アイルランド

アメリカ

イスラエル

イタリア

インド

インドネシア

イギリス

ヴィエトナム

エジプト

オーストラリア

オーストリア

オランダ

カナダ

韓国

ザンビア

シンガポール

スイス

スウェーデン

スペイン

スリ・ランカ

タイ

中国

旧チェコスロヴァキア(注 1)

24

25

26

27

28

29

30

31

32

33

34

35

36

37

38

39

40

41

42

43

44

45

デンマーク

ドイツ

トルコ

ニュージーランド

ノールウェー

パキスタン

ハンガリー

バングラデシュ

フィジー

フィリピン

フィンランド

ブラジル

フランス

ブルガリア

ベルギー

ポーランド

マレイシア

南アフリカ

メキシコ

ルーマニア

ルクセンブルク

旧ソ連(注 2)

(注1) 旧チェコスロヴァキアの条約はチェコ共和国・スロヴァキア共和国との間で引続き適用される。

(注2) 旧ソ連との条約は、ロシア連邦・キルギスタン共和国・グルジア共和国・タジキスタン共和国・

ウズベキスタン共和国・トルクメニスタン・ウクライナ・アルメニア共和国・ベラルーシ共和国・

モルドヴァ共和国との間で引続き適用される。

https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/report/2003/japanese/tab/tab31.htm

留学生の多い租税条約締結国については、学生の租税免除に関係した条文の抜粋を次ページに載せました

ので、参考にしてください。

その他の国については外務省の条約データ検索のページ https://www3.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/ にアクセスして調査対象の国の条約を調べてください。

租税条約抜粋 中国 (第二十一条)

専ら教育若しくは訓練を受けるため又は特別の技術的経験を習得するため一方の締約国内に滞在する学生、

事業修習者又は研修員であって、現に他方の締約国の居住者であるもの又はその滞在の直前に他方の締約国の

居住者であったものがその生計、教育または訓練のために受け取る給付または所得については、当該一方の締

約国の租税を免除する。 (生計・教育等に当てる程度のアルバイト代であれば免税)

インドネシア (第二十一条1項)

一方の締約国を訪れる直前に他方の締約国の居住者であった個人であって、専ら、

(a) 当該一方の締約国内にある大学.学校その他の公認された教育機関の学生として、 (b) 政府若しくは宗教、慈善、学術、文芸若しくは教育の団体から勉学若しくは研究を主たる目的とする交付金、手当、若しくは奨励金を受領する者として、又は

(c) 事業修習者として、 当該一方の締約国内に一時的に滞在するものは、当該一方の締約国に最初に到着した日から五課税年度を

超えない期間、次のものにつき当該一方の締約国において租脱を免除される。

(1)生計、教育、勉学、研究又は訓練のための海外からの送金

(2)交付金、手当又は奨励金

(3)当該他方の締約国の居住者である雇用者によって支払われる当該一方の締約国内における人的役務に

対する報酬

(4)当該一方の締約国内における人的役務に対する報酬((3)の報酬を除く。)で、当該一方の締約国が日

本国である場合にあっては年間六十万円、当該一方の締約国がインドネシアである場合にあっては年間九

十万インドネシア・ルピアを超えないもの。 (5年以内、年間60万円以内免税)

韓国 (第二十条)

1.専ら教育又は訓練を受けるため.一方の締約国内に滞在する学生又は事業修習者であって、現に他方の締

約国の居住者であるもの又はその滞在の直前に他方の締約国の居住者であったものが、その生計、教育又

は訓練のために受け取る給付については、当該一方の締約国の租税を免除する。ただし、当該給付が当該

一方の締約国外から支払われるものである場合に限る。

2.1に規定する学生は、交付金、奨学金及び勤務による報酬であって現に滞在している一方の締約国に源泉

のあるものについても、当該交付金、奨学金及び勤務による報酬の額の合計が年間二万合衆国ドル又は日

本円もしくは韓国ウォンによるその相当額を超えない場合には、当該一方の締約国において租税を免除さ

れる。ただし、その者は、いかなる場合にも、継続する五年を超える期間当該免除を受けることはできな

い。 (5年以内、年間20000 USD以内免税)

その他

・ タイ(第19条)

滞在期問5年以内免税、生計・教育に必要な収入に限る

・ フィリピン(第21条1項)

継続5年以内、年間1500 USDまで免税

・ パキスタン(第21条)

最初に教育を受け始めた日から3年以内、年間150万円まで免税

・ ベトナム (第20条)

日本国外から支払われたものに限って免除

資料作成者 RKK広報委員会 村田威雄