炭素繊維複合材料とリサイクル - meti.go.jp · 炭素繊維複合材料とリサイクル 2015年2月23日 三菱レイヨン株式会社 山藤家嗣. 資料3
炭素繊維複合糸から成る織物を活用 したCFRTP製品の事業化 …炭素繊維とは...
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炭素繊維複合糸から成る織物を活用したCFRTP製品の事業化試験
株式会社槌屋
技術開発本部
新製品開発センター
松本 将和
目次
1.CFRP概要
2.開発の背景
3.育成試験内容
4.結果
5.まとめ
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炭素繊維とは 鉄と比較して
○比重: 1/4 →軽い
○比強度: 10倍以上 →高強度
航空機・自動車の軽量化に
期待される材料
1.CFRP概要
炭素繊維の需要は年々高まってきている ※東レ技術資料より
年代ごとの炭素繊維使用状況
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炭素繊維強化プラスチック(CFRP) (Carbon Fiber Reinforced Plastic)
強化材に炭素繊維、マトリックス材に熱硬化or熱可塑樹脂を用いた複合材料
樹脂
炭素繊維
熱硬化性樹脂: エポキシ、ビニルエステル等 熱可塑性樹脂: 6ナイロン、ポリカーボネート等
CFRPの採用例(自動車) ○トヨタ Mirai
水素タンク
FCスタックプレート
○ BMW i3
※東レ技術資料より
CFRPボディ
※BMW HPより
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CFRTPとは (Carbon Fiber Reinforced Thermo Plastic)
マトリックス樹脂に熱可塑性樹脂を使用したもの (加熱すると軟化し、冷却すると固化する樹脂)
特長: ・CFRPと比較し成形サイクルが短い ・再成形可能(2次加工性に優れる)
自動車
航空機
医療
BMW HPより
LORD Corporation 資料より
CFRTP製品の展開先
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開発の背景 ・炭素繊維の製織に専用の織機・建屋が必要… ⇒コストがかかり、新規参入が困難
毛羽が発生
⇒飛散し周りの 機器に悪影響
あらかじめ炭素繊維をマトリックス樹脂で 被覆することで、汎用の織機で製織できないか?
炭素繊維+樹脂一体の複合糸から 成る織物(CFRTP用基材)の開発
2.開発の背景
開発当初
炭素繊維 カバリング糸
製織
成形
開発協力:尾張繊維技術センター 三河繊維技術センター
炭素繊維をナイロン糸で 巻きつけてカバリング
織物基材
CFRTP
(CFRTP製造までの流れ)
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性能評価
・断面観察(走査電子顕微鏡:SEMによる) 繊維間に隙間がある ⇒樹脂の含浸が不十分
200μm 20μm
課題
成形
成形不良になりやすい
繊維束の中まで樹脂が 含浸しにくい
カバリングの工程で 炭素繊維束が丸くなる
炭素繊維 (3K)
ナイロン糸
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カバリング糸の断面
炭素繊維が丸く(太く)なっている
炭素繊維
ナイロン糸
改良案 薄いため中まで樹脂が 含浸しやすい
成形
含浸性良好
フィルムor 不織布
炭素繊維束(3K)
炭素繊維束が薄い状態で カバリング
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開発①~フィルムタイプ~ マトリックス樹脂:6ナイロンフィルム(t=30μm) →8mm幅にスリット加工したものを炭素繊維に被覆 して複合糸を作製 →複合糸を試織
○結果・・・ なんとか製織は出来たが 織密度が大きくばらついて しまった
フィルムが硬く、汎用の 織機で織るのが難しい
複合糸
織物
3.育成試験内容
フィルムタイプのCFRTP成形~評価
積層枚数: 8枚 成形方法: 熱プレス成形(250℃) サイズ : 80㎜×180㎜
3点曲げ試験にて強度を評価 (N=5)
最小値45MPa、最大値471MPa
サンプルの採取場所により大きくばらついた
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CFRTPの成形方法
成形工程は比較的シンプル
CF織物
熱可塑性樹脂 熱プレス成形 成形品
冷却 金型へ投入
開発②~不織布タイプ~
マトリックス樹脂:6ナイロン不織布(目付:25g/㎡) →7mm幅にスリットしたものを炭素繊維に被覆して 複合糸を作製 → 試織
○結果・・・ 通常の糸を織る要領で、問題なく製織出来た
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不織布タイプのCFRTP成形~評価
積層枚数: 8枚 成形方法: 熱プレス成形(250℃) サイズ : 80㎜×180㎜
3点曲げ試験にて強度を評価 (N=5)
最小値97MPa、最大値153MPa
フィルムタイプより強度が低い
糸の断面観察(フィルムタイプ)
炭素繊維
フィルム
炭素繊維は薄くつぶれている
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糸の断面観察(不織布タイプ)
炭素繊維は丸くなっている
炭素繊維 不織布
○フィルムタイプ 長所: 炭素繊維を比較的薄い状態で被覆できる 短所: 製織が困難で織密度が大きくばらつく
○不織布タイプ 長所: 製織が問題なく可能 短所: 被覆時、炭素繊維が丸くなりやすい
それぞれの短所は織機の改良および製織条件の 調整により改善可能?
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改良検討(織機の調整)
○織機の変更 前回:少量試作用の 見本織機 今回:量産を見据えた 実機生産向けの織機
試作: 三河繊維技術センター
改良検討に使用した織機
タテ糸とポリウレタンフォームを同時に巻き付ける
ポリウレタンフォーム
◇調整点その1
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◇調整点その2
扁平な糸に対応した特殊綜絖の採用
◇調整点その3
ヨコ糸給糸時、超鋼の特殊カッターを使用
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試作結果 ◇フィルムタイプ 織物形状:平織
設計値:タテ糸、ヨコ糸 13本/1インチ 実測値:タテ糸13本/1インチ、ヨコ糸12本/1インチ
4.結果
◇不織布タイプ 織物形状:平織
設計値:タテ糸、ヨコ糸 13本/1インチ 実測値:タテ糸14本/1インチ、ヨコ糸12本/1インチ
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糸の断面観察(フィルムタイプ)
炭素繊維は薄くつぶれている
炭素繊維 フィルム
一部イレギュラーな形状や、つぶれていない ものも見受けられた
炭素繊維 フィルム 炭素繊維 フィルム
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糸の断面観察(不織布タイプ)
織機調整前よりも薄くなった
炭素繊維
不織布
◇炭素繊維のつぶれ方=扁平率として数値化
a
b
扁平率 = 1-a/b
炭素繊維
扁平率が1に近い程薄くつぶれている =樹脂の含浸性において有利
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各種織物基材から糸を抽出 ⇒断面形状から扁平率を計算
フィルムタイプ 不織布タイプ フィルム 不織布タイプ カバリング糸
扁平率 0.9 0.7 0.9 0.6 0.2
織機調整後 調整前
CFRTP成形検討
あいち産業科学技術総合センターHPより
200tf ホットプレス
◇成形条件 プレス機: 200tfホットプレス※
積層枚数: 8枚 成形サイズ: 200㎜×300㎜ 成形温度: 280℃ 成形圧力: 約30MPa
※あいち産業科学技術総合センター 産業技術センター所有設備
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◇成形したCFRTP(フィルムタイプ)
成形品端部に炭素繊維のうねりがみられる
◇成形したCFRTP(不織布タイプ)
フィルムタイプより炭素繊維のうねりが顕著
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CFRTPの評価 (ベンチマーク含む)
評価方法② 3点曲げ試験 JIS K7074「炭素繊維強化プラスチックの曲げ 試験方法」
評価方法① Vf(繊維体積含有率)の測定
Vfの測定方法
試作したCFRTPの密度ρCFRTPを測定し 既知の炭素繊維密度ρCFと樹脂密度ρ樹脂から算出
密度計(気相置換法)
ρCFRTP=ρCFVf+ρ樹脂(1-Vf)
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3点曲げ試験
JIS K7074「炭素繊維強化プラスチックの曲げ 試験方法」 準拠
CFRTPサンプル
フィルムタイプ 不織布タイプ 他社品
63 64 51
曲げ応力[MPa] 555 563 573
曲げ弾性率[MPa] 61 58 47
3点曲げ試験
Vf[%]
評価結果 他社品CFRTPシート材(使用樹脂:PA66)と比較
開発品はVfに対して曲げ応力がやや低い 曲げ弾性率はVf相応の数値となった
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曲げ応力の比較
いずれのタイプも他社製品同等の強度 不織布タイプのばらつきがやや大きい
フィルムタイプ 不織布タイプ 他社製品
CFRTPの観察(SEM 1000倍画像)
フィルムタイプ
不織布タイプ
他社品
カバリング糸
曲げ試験後の破断面観察
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断面観察
φ10μm以下の空隙が一部存在
フィルムタイプ
不織布タイプ
×250
10μm
10μm 50μm
50μm
まとめ
汎用織機に各種調整を行うことで複合糸を問題なく製織出来た
専用の織機・建屋を必要とせず、既製品同等性能のCFRTP用基材を製造可能
5.まとめ
CFRTP
炭素繊維の扁平率
製織性 曲げ強度
× ○ ×
フィルムタイプ ○ × △
不織布タイプ × ○ ×
フィルムタイプ ○ ○ ○
不織布タイプ △ ○ ○
カバリング糸
織機調整前
織機調整後
織り基材
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今後の課題 ・マトリックス樹脂の目付等、仕様の確立 ・CFRTP成形条件の確立 ・フィルムタイプ、不織布タイプそれぞれの 特長、優位性を模索
織物基材、CFRTPの作りこみにより 更なる品質向上をめざす
ご清聴ありがとうございました