登り百日、下げ十日 - Guggenheim Partners · 2020. 3. 4. · Source: Bloomberg, Credit...

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20191ハイイールド債とバンクローンの見通し 登り百日、下げ十日

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  • 2019年1月

    ハイイールド債とバンクローンの見通し

    登り百日、下げ十日

  • Guggenheim Investments High-Yield and Bank Loan Outlook | First Quarter 2019 1

    Investment Professionals

    Scott Minerd Chairman of Investments and Global Chief Investment Officer

    Kevin H. Gundersen, CFA Senior Managing Director, Portfolio Manager

    Thomas J. Hauser Senior Managing Director, Portfolio Manager

    Brian Smedley Senior Managing Director, Head of Macroeconomic and Investment Research

    Maria M. Giraldo, CFA Managing Director, Investment Research

    2019年1月

    ハイイールド債とバンクローンの見通し 登登りり百百日日、、下下げげ十十日日

    軟調な原油市場、輸入関税の引き上げリスク、コーポレート・クレジットの行き過ぎた状況に対する

    規制当局の警鐘、金融政策の引き締めを巡る懸念などの要因が重なり、2018年第4四半期は一段と弱含む展開となった。さらに追い討ちをかけたのが米国の政府閉鎖で、2019年になっても解決の兆しが見られない。これらのイベントは成長の追い風が止みつつあることを浮き彫りにし、市

    場はレバレッジがあまりに過剰なため、厳しい経済環境に対処できないのではないかという事実

    に気付いた。スプレッドが急拡大し、レバレッジの高い企業はその報いを受けた。

    米連邦準備制度理事会(FRB)は資産価格の暴落を阻止する姿勢を示して市場を安心させることに当初失敗したが、市場がそうせざるを得ないようFRBを追い込んだように思われる。とはいえ、クレジット・スプレッドの拡大と金融環境の引き締めは年末までにデフォルトが増加することを暗示

    している。弊社は、今年後半のデフォルト増加が社債市場にとって長く厳しい時期の始まりとなり、

    弊社が数四半期にわたって推奨してきたポートフォリオの段階的なリスク削減の重要性が高まる

    と予想する。

    本本レレポポーートトのの概概要要

    ▪ 市場のボラティリティを受けて、FRBは2019年の早い時期に利上げの一旦中断を余儀なくされるだろうが、弊社はFRBが今年後半に金融政策の引き締めを再開するとみている。

    ▪ 市場は恐らく今後数か月内に回復すると思われるが、債券とローンの発行ペースが例年に比べて著しく落ちており、2019年は最終的に借り手にとって厳しい年になると弊社は考えている。

    ▪ 第4四半期のスプレッド拡大は、ハイイールド債の直近12か月の発行体加重デフォルト率が現在の1.8%から年内に3.2%に上昇することを示唆している。なお、ここ数年に比べてクレジット・アベイラビリティ(借入れ利用枠)が不足していることから、この予測は上振れするリスクが

    ある。

  • Guggenheim Investments High-Yield and Bank Loan Outlook | First Quarter 2019 2

  • Guggenheim Investments High-Yield and Bank Loan Outlook | First Quarter 2019 3

    「昨今、流動性は少なくなりつ

    つあり、こうした状態が長く続

    けば、借り手は債務を借り換え

    できなくなり、デフォルトが大幅

    に増加し始める可能性があ

    る。」

    – スコット・マイナード

    グッゲンハイム インベストメン

    ツチェアマン兼グローバル

    CIO

    消費者は住宅、自動車、電化製品

    の購入にあまり積極的ではなくな

    り、主な理由として金利上昇を挙

    げている。

    マクロ経済概況

    FRBが直面する問題

    米国の経済指標は概ね堅調だが、一部セクターが勢いを失いつつある兆しがすでに見え始めてい

    る。消費者は住宅、自動車、電化製品の購入にあまり積極的ではなくなり、主な理由として金利上

    昇を挙げている。全米住宅建設業者協会によると、住宅建設業者のセンチメントは2015年以来の

    最も低い水準に低下している。非住宅設備投資の伸びも、借入コストの上昇に加えて関税の不透

    明感も反映し、鈍化している。経済の三大柱が弱含む兆しを示しており、弊社は全面的な景気減速

    により、米国の実質国内総生産(GDP)成長率が2019年第4四半期までに前年比で2%を下回ると

    みている。

    世界の経済成長はこの12か月間に著しく鈍化した。ユーロ圏の製造業購買担当者指数(PMI)は

    51.4に急落し、2016年2月以来の低さとなった。それと共に、ユーロ圏の11月の消費者信頼感も

    20か月ぶりの低水準に急落した。日本では、第3四半期のGDPが前四半期比で0.3%のマイナス

    成長となり、インフレ圧力は依然高まらず、日本の製造業者は景気についてあまり楽観視しないよ

    うになった。中国では、製造業と非製造業の公式PMIデータがじりじり下がり、小売売上高の伸び

    は15年ぶりの低水準に落ち込み、鉱工業生産の伸びは2016年以来で最低となった。中国の第3

    四半期の経済成長率は6.5%に低下し、世界金融危機を除けば、ほぼ30年ぶりの低成長となっ

    た。

    2019年は、金利上昇の影響で消費が鈍る

    Source: Guggenheim Investments, Bloomberg, University of Michigan. Data as of 10.31.2018.

  • Guggenheim Investments High-Yield and Bank Loan Outlook | First Quarter 2019 4

    米中間の貿易摩擦が続いているため、幅広い輸入品に関税が課され、両国の成長にとってさ

    らなる脅威となっている。国際通貨基金(IMF)と経済協力開発機構(OECD)はともに2019年

    の世界の経済成長予測を下方修正した。世界経済が減速している上に、米国の石油生産業

    者が増産していることから、原油価格は第4四半期に41%下落した。それに続いて、インフレ

    期待が低下し、フェデラルファンド先物市場では2019年の利上げを織り込まないようになっ

    た。

    2018年後半の主な好材料は米国の労働市場であった。失業率は依然として4.0%を下回

    り、ほぼ50年ぶりの低水準となった。非農業部門雇用者数は予想の2倍近い速さで増加

    し、平均時給は前年比+3.2%となり、2009年以来で最も急速な賃金の伸びを示した。

    GDPのプラス成長を背景に雇用の増加が労働力の伸びを上回る可能性が高く、弊社は

    失業率が2019年にさらに低下し、賃金の伸びが加速すると予想する。

    インフレ率の低下を意識しつつも、労働市場を念頭に置き、FRBは2018年12月に利上

    げを続行し、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標を2.25~2.50%に引き上げた。

    FRBは12月の声明文に世界の経済・金融動向を注視する旨を追加したが、パウエルFRB

    議長は記者会見で状況がさらに悪化した場合に金利とバランスシート政策の両面で柔軟

    に対応する考えであることを伝えることをし損ねた。FRBの決定の数日後に、市場はさ

    らに急落した。

    政策当局者がFRBの二つの使命である物価安定と雇用の最大化(完全雇用)を巡って綱

    渡り的な政策運営をする中、労働市場が非常に逼迫する一方でインフレ圧力が低下して

    いるという問題にFRBは直面している。弊社としては、結局のところ、FRBはこれ以上

    の痛みを与えないように2019年の早い時期に利上げの一時停止を余儀なくされ、経済

    指標を見守ることになるとみている。しかし、実質GDP成長率が潜在成長率を上回

    り、失業率が完全雇用の水準を下回って低下し、コアインフレ率が2%の目標近辺で推

    移するなど、2019年の経済指標は年後半に2回の利上げを実施するのに十分なほど堅調

    なものになると弊社は引き続き考えている。

    金融政策の引き締めを一時停止することは、借入コストの上昇で押しつぶされる恐れが

    ある債務者にとって束の間の救いとなるかもしれない。FRBが金融政策を据え置くこと

    で債務者の窮地を表面上救えば、クレジットの状況は一見良好そうに見えるだろう。弊

    社としては、一時停止は行き過ぎ感をさらに強め、リスク資産価格をもう一度上昇させ

    るだけだと考える。こうした上昇局面は、FRBが利上げを再開して2020年に米国が景

    気後退に追い込まれる前に戻り売りする最後の機会となるかもしれない。

  • Guggenheim Investments High-Yield and Bank Loan Outlook | First Quarter 2019 5

    ハイイールド社債のスプレッド

    は 535bpsで 2018年を終え、

    流通市場利回りは 8.0%であっ

    た。バンクローンのディスカウン

    ト・マージンも急拡大して

    552bpsで同年を終え、セカン

    ダリー市場利回りは 8.2%前後

    であった。両セクターにとって、

    金融環境の引き締めは 2015

    年と同じくらい厳しいものとなっ

    た。

    追い風から逆流へ

    2018年第 4四半期まで、ハイイールド債とバンクローン・セクターは同年のトータルリターンが

    プラスになるとみられていた。2018年の最後の数週間に、ハイイールド社債とバンクローンは

    年初来の上昇分の一部または全部を失った。2018年は、ハイイールド社債のトータルリター

    ンが-2.8%、バンクローンのトータルリターンが+1.1%となった。ハイイールド社債のスプレッ

    ドは 535ベーシスポイント(bps)で 2018年を終え、セカンダリー市場利回りは 8.0%であっ

    た。バンクローンのディスカウント・マージンも急拡大して 552bpsで同年を終え、セカンダリー

    市場利回りは 8.2%前後であった。両セクターにとって、金融環境の引き締めは 2015年と同

    じくらい厳しいものとなった。

    レバレッジド・ファイナンスの金融環境は 2018年に著しく引き締まった

    Source: Bloomberg, Credit Suisse, ICE BofA Merrill Lynch, Guggenheim Investments. Data as of 12.31.2018.

    LHS:左軸、RHS:右軸

    スプレッドは当初、貿易と関税を巡る懸念から拡大し、テクノロジー、自動車、資本財などの影

    響を受けやすいセクターが打撃を受けた。その後、軟調な原油市場がスプレッドの拡大に拍車

    をかけた。ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油価格は 2018年 10月のピーク、

    1バレル 76 ドルから下落して年末には 1バレル 45 ドル前後となり、1四半期だけで 41%の

    下落を記録した。2014年と同様に、原油価格の下落を受けて、ハイイールド債のエネルギー

    銘柄のクレジット・リスクが大幅に再評価され、第 4四半期のスプレッドは 237bps拡大した。

  • Guggenheim Investments High-Yield and Bank Loan Outlook | First Quarter 2019 6

    WTI原油価格は 2018年 10

    月のピーク、1バレル 76 ドルか

    ら下落して年末には 1バレル

    45 ドル前後となり、1四半期だ

    けで 41%の下落を記録した。

    2014年と同様に、原油価格の

    下落を受けて、ハイイールド債

    のエネルギー銘柄のクレジット・

    リスクが大幅に再評価され、第

    4四半期のスプレッドは

    237bps拡大した。

    デジャブ(既視感):原油価格が再びエネルギー・セクターの重しとなる

    Source: Bloomberg, ICE Bank of America Merrill Lynch, Guggenheim Investments. Data as of 12.31.2018.

    LHS:左軸、RHS, Reversed:右軸・上下反転

    第4四半期初め、バンクローン市場はクレジットの急落に対して免疫があるように見えた。ハイ

    イールド社債のスプレッドが拡大し始めてから3週間、ディスカウント・マージンは380~389bps

    の狭いレンジ内で推移した。原油価格下落の影響でインフレ期待が低下すると、こうした免疫

    性は崩れ去り、市場が織り込む2019年の利上げ回数は減少した。変動利付資産に対する需

    要が減退し、バンクローン・ファンドから大量の資金が流出し、第4四半期の流出総額は150億

    ドルを超えた。市場は現在FRBが利上げ回数を減らすとみており、ミューチュアル・ファンドの

    変動利付資産の需要がないことから、スプレッドの縮小を以前支えていたテクニカルな背景要

    因は弱まるだろう。

    さらに追い討ちをかけたのは、2018年後半にバンクローン市場の行き過ぎについて相次いで

    警鐘が鳴らされたことである。2018年 7月から 12月までの間に、欧州中央銀行、イングラン

    ド銀行、国際通貨基金、通貨監督庁、国際決済銀行、ジャネット・イエレン前 FRB議長、エリザ

    ベス・ウォーレン上院議員、FRBのリスク・サーベイランス&データ責任者のトッド・ヴァミリヤ

    氏がローンの伸び、バリュエーション、コベナンツの不在に関する懸念を表明した。また、無数

    の新聞記事やセルサイドのリサーチ・コメンタリーが同様の発言を繰り返したのは言うまでもな

    い。雪崩を打って鳴らされた警鐘は、そもそも金融システムの安定性を脅かす恐れのある問題

    セクターを指摘しようとするものであったが、警鐘自体が安定性を揺るがすカタリストとなってし

    まった感がある。

    金融環境を 2018年初めの状態に戻すことは難しそうである。いくつかの逆流が行く手に控え

    ている。その中でもとりわけ、世界経済の減速、米国の減税による景気押し上げ効果の剥落、

    米中間で続く貿易摩擦、ブレグジット(英国の EU離脱)決議案(または合意なき離脱)、米連

  • Guggenheim Investments High-Yield and Bank Loan Outlook | First Quarter 2019 7

    ディストレスト・レシオ(スプレッ

    ドが 1,000bpsを超える債券)

    は 9月のわずか 3.5%という低

    い水準から 12月には 9.7%に

    急上昇した。ディストレスト・レシ

    オの上昇は通常、デフォルト率

    の上昇に先行する。

    邦議会の分断により 2019年の年初から政府機関が閉鎖されていること、欧州中央銀行が正

    味ベースでの資産購入を終了し、世界的に量的引き締めが加速していることなどが挙げられ

    る。FRBの利上げの一時停止は今年前半のクレジット・スプレッド縮小を下支える可能性があ

    るが、投資家信頼感がひどく損なわれているため、FRBがひとたび利上げを再開すれば、

    2019年は結局のところ借り手にとって厳しい年になると弊社は考えている。

    2019年の見通しと投資への示唆

    弊社はスプレッドが今後 3~6か月間縮小すると予想する。FRBが利上げを一時停止すれ

    ば、政策当局者が金融市場の声に敏感に反応することを市場参加者に知らしめ、リスク選好

    を回復させることになるだろう。弊社は引き続きクレジットの質を徐々に引き上げていることか

    ら、これは戻り売りする良い機会になると考えている。

    1986年以来、ハイイールド社債のスプレッドが前年比で同じ程度拡大したのは 6回しかなか

    った(1989年、1998年、2000年、2007年、2011年、2015年)。これらの時期の後には必ず

    デフォルトの増加が続いた。弊社のデフォルト・モデルは、ICEバンクオブアメリカ・メリルリン

    チ・ハイイールド・インデックスのハイイールド債の発行体加重デフォルト率が現行水準の

    1.8%から 3.2%に上昇すると予測している。ディストレスト・レシオ(スプレッドが 1,000bpsを

    超える債券)も 9月のわずか 3.5%という低い水準から 12月には 9.7%に急上昇し、この予

    測を裏付けている。

    ディストレスト・レシオはハイイールド債のデフォルト率上昇に先行

    Source: Bank of America Merrill Lynch Research, ICE Index Platform, Guggenheim Investments. Data as of 12.30.2018.

    The distressed ratio represents the share of bonds in the ICE Bank of America Merrill Lynch High-Yield Index trading at

    spreads over 1,000 basis points.

    貸出基準が緩和している状況は弊社のデフォルト見通しと矛盾すると主張する向きがあるかも

    しれない。FRBの直近の融資担当者調査(Senior Loan Officer Survey)は銀行が依然として

  • Guggenheim Investments High-Yield and Bank Loan Outlook | First Quarter 2019 8

    クレジット・ストーリーは崩壊し

    たが、一部の市場参加者は逆

    境の中のプラス要因として満期

    の壁を指摘した。大部分のレバ

    レッジド・クレジットが満期となる

    のは 2020年より後であるか

    ら、当面は元本返済のデフォル

    ト・リスクがある程度軽減するこ

    とになり、弊社はこの点に同意

    する。しかし、この一つのデー

    タ・ポイントだけでは限定的な安

    心感しか得られない。2007年

    以降にデフォルトした債券のデ

    フォルト日時点の平均残存期間

    は 4.9年であった。

    商工ローンの貸出基準を緩和していたことを指摘し、歴史的に見てデフォルトが今後 3四半期

    にわたり低位で推移することを示唆している。しかし、この調査結果は当然ながら過去の実績

    ベースのものである。今回の調査結果は 2018年 10月 12日を期日とする回答に基づくもの

    であり、第 4四半期を決定づけた市場の荒れを反映していない。2019年 2月に発表予定の

    次の調査では銀行貸出基準の正味引き締め率が上昇する見込みであり、バンクローンのディ

    スカウント・マージンが最近 169bps拡大したことと整合するだろう。

    クレジット・ストーリーは崩壊したが、一部の市場参加者は逆境の中のプラス要因として満期の

    壁を指摘した。大部分のレバレッジド・クレジットが満期となるのは 2020年より後であるから、

    当面は元本返済のデフォルト・リスクがある程度軽減することになり、弊社はこの点に同意す

    る。しかし、このデータ・ポイントでは限定的な安心感しか得られない。2007年以降にデフォル

    トした債券のデフォルト日時点の平均残存期間は 4.9年であった。弊社は、継続的に利払いを

    行えないことがより重要なストレス要因になると引き続き考えている。したがって、弊社の分析

    ではキャッシュフローの安定性を重視している。

    満期日はデフォルト・リスクの重要な要因ではない

    Source: ICE Bank of America Merrill Lynch, Bloomberg, Guggenheim Investments. Data as of 12.20.2018. Defaulted bonds are constituents of the ICE BofAML US High-Yield Index (H0A0). Note that a given defaulted bond can be present across multiple years of the index and thus overlap. The y-axis is capped at 15 years intentionally, resulting in several data points not being shown.

    特にインデックス・レベルのファンダメンタルズが良好であることから、2019年には弱いクレジッ

    トと強いクレジットの分散が広がる見込みであり、これがモニタリングする際の重要な要因とな

    るだろう。前の四半期の弊社レポートでは、力強い利益の伸びや健全なインタレスト・カバレッ

    ジなど、レバレッジド・クレジットの明るいファンダメンタル・データに焦点を当てた。また、その

    一方で負債コストの上昇も指摘した。弊社が前回のレポートを発表して以来、負債コストはさら

    に上昇した。借入コストの上昇と予想される利益成長の鈍化が相まって利益率を圧迫し、債務

    返済を続ける能力が限定的な借り手が顕在化するだろう。

  • Guggenheim Investments High-Yield and Bank Loan Outlook | First Quarter 2019 9

    チャートが示す通り、現在の原

    油価格では、ハイイールド債を

    発行するエネルギー企業はそ

    の影響を受け、利益の前年比

    成長率が下押しされるだろう。

    弊社の社内原油モデルは原油

    価格の小幅回復を予測し、WTI

    が第 3四半期に平均 1バレル

    約 72 ドルとなり、第 4四半期

    に再び下落するとしている。こ

    の下落はハイイールド債の一部

    のエネルギー銘柄にマイナスの

    影響を与える可能性があるが、

    弊社は 2015~2016年のデフ

    ォルト・シナリオが繰り返される

    とはみていない。

    より具体的には、多くの石油生産業者が2019年の生産についてはヘッジを行わなかったた

    め、エネルギー・セクターは原油価格の大幅下落によりある程度痛みを感じる可能性がある。

    ハイイールド社債のユニバースでは、エネルギー・セクターの少なくとも五つの発行体(中流部

    門と油田サービスを含む)で2018年第3四半期の営業キャッシュフローがマイナスとなり、これ

    ら発行体の脆弱性が特に高まっている。エネルギー市場で2015年と2016年に経験した同じデ

    フォルト・シナリオを想定しているわけではないが、再び原油価格下落の犠牲者が数社出る可

    能性が高い。

    回復しなければ、原油価格の下落は利益の主な逆風となる

    Source: Bloomberg, Factset, Guggenheim Investments. Oil price data as of 12.31.2018. Earnings data as of 9.30.2018.

    キャッシュフロー問題を抱える発行体は発行市場に助けを求めることができない。12月の発行

    がその明らかな証左であり、ハイイールド社債市場は12月に記録上初めて1ドルも新規調達で

    きなかった。一部の企業にとって、これは計画していた合併/買収の延期、借り換えによるコ

    スト削減見通しの修正、または成長のための新規プロジェクトの見合わせを意味するだろう。

    債券とバンクローンの供給が2019年に減少すれば、テクニカル的にはプラス要因とな

    り、過去数年に比べて、流通市場のバリュエーションを下支えするだろうが、弊社は経

    済成長が減速する環境において如何に信用力を評価するかという点で慎重な姿勢を維持

    している。最近の市場ボラティリティは、リスクの高い資産のリターンは一般に「登り

    百日、下げ十日」の動きを示すという格言を思い出させる。これは、上げ相場ではゆっ

    くり着実に上昇するが、下げ相場では即座に急落するという意味であり、弊社が数四半

    期にわたって推奨してきた段階的なリスク軽減の正当性を裏付けている。

  • Guggenheim Investments High-Yield and Bank Loan Outlook | First Quarter 2019 10

    重要な通知及び表明事項

    指数及びその他の定義

    ここに表示された指数は、操作が可能なものでなく、直接投資の対象とすることはできません。指数のパフォーマンスは取引コスト、

    報酬または費用を含みません。

    Credit Suisse Leveraged Loan Indexは、投資可能な米ドル建レバレッジ・ローン市場をトラックします。これは、「5B」またはそれ以

    下のローンから構成され、この指数に含まれる最も高いローンは、ムーディーズ/SP の格付において Baa1/BB+または Ba1/BBB+

    です。すべてのローンは、先進国に所在する借手による最低 1年満期の借入れ済みタームローンです。

    Intercontinental Exchange (ICE) Bank of America Merrill Lynch High-Yield Index はハイイールド社債の一般的に使用されるベンチ

    マーク指数です。

    S&P 500 Indexは、米国において活発に取引されている500銘柄の株式を資本加重平均したものであり、経済全般の動向の尺度と

    なるべく構築され、すべての主要産業を含みます。

    ベーシス・ポイント(bps)は、ある商品の価値または利回りの変化を表すために用いられる計測単位です。1ベーシス・ポイントは、

    0.01%と同一です。

    Contractual spreadとは、合意されたLIBORの上乗せ固定スプレッドをいい、約定価格およびディスカウント・マージンで示されたロ

    ーンの想定年限を除外します。

    The three-year Discount margin to maturity (dmm)、またはディスカウント・マージンは、ローンの利回り(yield-to-refunding)から現

    在の3ヶ月LIBORを差し引いたものです。平均満期は3年と想定しています。

    London Interbank Offered Rate (Libor)は、無担保の短期融資の短期融資の際の銀行間の金利をいいます。

    Spreadとは、同様の満期の米国債の利回りとの差を言います。

    EBITDAとは、利払い・税引き前・償却前利益は一般に使用されている事業の収益力の指標。

    リスクに対する考察

    確定利付商品への投資は、信用リスク、流動性リスク、金利リスクおよび商品によってはカウンターパーティーリスクを負っています。

    これらリスクは、確定利付商品への投資が、一つの発行体、産業、地域または国に集中している限りにおいて、増大する可能性があ

    ります。一般に、確定利付商品への投資の市場価値は、とりわけ、元となる債務の対象債務者または合成証券の場合は参照対象債

    務の債務者もしくは発行者の財務状況、経済全般の状況、特定の金融市場、政治的イベント、ある特定の産業の発展またはトレンド

    の状況及び適用金利水準の変動状況に応じて変動します。

    バンクローンは、様々な理由により非収益化したり不良化することがあります。非収益化した、または不良化したローンは、実態的に

    新しい条件のための交渉又はリストラクチャリングを必要とすることがあり、それが、とりわけ、利率の相当な減免、ローン元本の相

    当な償却等の結果となることがあります。加えて、特定のバンクローンは、高度にカスタマイズ化されているので、公に取引される証

    券に比べ容易に売買できないことがあります。セカンダリー取引市場においては、制約が課せられる場合があり、適切なレベルの流

    動性が確約されるわけではありません。ある種の銀行ローンにおいては、譲渡に当たって制約が課せられる場合があります。バンク

    ローンに関連するリスクは、一般的に、プレミアムまたはペナルティーの受け払いなくいつにても繰り上げ償還が発生する可能性を含

    みます。

    ハイ・イールド・デット証券は、一般に無担保であり、当該発行体の一部の他の債務よりも劣後することがあります。ハイ・イールド・デ

    ット証券が低格付けであり、投資適格未満のローンであることは、発行体の財務状況、経済全般の情勢又はこれら双方が不利に変

    化した場合に、元本又は金利の支払い能力を毀損する可能性がより大きいことを反映しています。投資適格未満の格付の証券は、

    一般に「ジャンク・ボンド」と呼ばれています。ハイ・イールド・デット証券のリスクは、とりわけ下記を含みます。 (i) 流動性及びセカンダ

    リー市場のサポートが限られていること、 (ii) 適用金利水準の変化により市場において相当程度のボラティティが生ずること、(iii)ハ

    イ・イールド・デット証券の発行者の収入が、 債務の返済にあたり不十分となる可能性があること、並びに (iv) 金利上場局面、経済

    の下降局面又はこれら双方により、このようなハイ・イールド・デット証券の発行体の信用力低下及び潜在的な倒産の可能性。経済

    情勢の悪化又は金利上昇により、ハイ・イールド・デット証券の市場が著しく毀損されることがあり、発行済のハイ・イールド・デット証

    券の価値及び当該発行体の元利金の返済能力に悪影響を及ぼす可能性があります。ハイ・イールド・デット証券の発行体は、レバレ

    ッジ比率が高いことがあり、従来からある資金調達ができない可能性があります。

  • Guggenheim Investments High-Yield and Bank Loan Outlook | First Quarter 2019 11

    この資料は専ら情報の提供を目的としたものであり、いかなる有価証券、投資戦略または投資商品に関して、投資助言または推奨

    をするものではありません。この資料はフィデューシャリー義務の立場から提供されたものではなく、投資決定を行うための十分な根

    拠となることを意図したものとみなすべきではありません。また、特定の有価証券の売買に関する勧誘とみなしてはなりません。 本資

    料は、会計、法務または税務上のアドバイスを供与するという考えから頒布するものではありません。これらの問題については、貴社

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    見は、予告なく変更することがあります。本資料に含まれる将来にむかっての表明、予測および一定の情報は、自社または他社の調

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    保証するものではありません。本資料の如何なる部分も、グッゲンハイム パートナーズLLCの書面による明示的同意なしには、如何

    なる方法であれ、複製し、または引用することはできません。過去のパフォーマンスは、将来の結果を暗示するものではなく、そのよ

    うな情報に基づく判断につき、現時点における正確性、責任を表明または保証するものではありません。

    1グッゲンハイム・インベストメンツの預り資産総額は、2018年9月30日現在のものです。ここには、運用資産に対するレバレッジを含

    む118億米ドルを含みます。グッゲンハイム・インベストメンツは、下記の関係会社による投資運用業務を総称します。Guggenheim Partners Investment Management, LLC, Security Investors, LLC, Guggenheim Funds Investment Advisors, LLC, Guggenheim Funds Distributors, LLC, Guggenheim Real Estate, LLC, GS GAMMA Advisors, LLC, Guggenheim Partners Europe Limited, and Guggenheim Partners India Management.

    2グッゲンハイム・パートナーズの運用資産は、2018年9月30日現在のものであり、時価約660億米ドルの顧客へのコンサルティン

    グ・サービスの対象資産を含みます。

    © 2019, グッゲンハイム・パートナーズ LLC。グッゲンハイム・パートナーズ LLC による明示的な書面による許可なく、本文書のいか

    なる部分についても、いかなる形式における再作成および他の出版物における引用を禁じます。 GPIM 36741

  • Guggenheim Investments High-Yield and Bank Loan Outlook | First Quarter 2019 12

    グッゲンハイムの投資プロセス

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    るようにデザインされた弊社の債券投資プロセスで

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    グッゲンハイム インベストメンツについて

    グッゲンハイム インベストメンツは、グッゲンハイムパ

    ートナーズのグローバル資産運用および投資助言部

    門です。債券、株式およびオルタナティブ戦略の資産

    合計は 2,080 億ドル 1に上ります。グッゲンハイムで

    は保険会社、企業、公的年金基金、ソブリン・ウェル

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    運用会社、富裕層投資家のお客様のリターンとリスク

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    の投資専門家は、市場トレンドを理解し、しばしば複

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    グッゲンハイム パートナーズは 2,650億ドル 2以上

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