第7章 部材断面算定...222 第7 章 部材断面算定 (2) 防護柵付き擁壁...

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218 7 章 部材断面算定 7部材断面算定 7.1 概説 本章では,擁壁部材の断面力(軸力,曲げモーメント,せん断力)の算定法,無筋 コンクリートおよび鉄筋コンクリート構造の応力度の算定法,配筋要領について説 明する。 7.2 部材断面算定の基本 たて壁,底版などの部材断面は,下記の点を考慮して決定する必要がある。 応力的に安全な断面であること。 経済的な断面であること。 施工性のよい断面であること。 7.2.1 応力的に安全な断面 擁壁部材は,自重,土圧,上載荷重,地盤反力等の荷重の作用を受け,曲げモー メントやせん断力が発生する。部材厚や鉄筋量が不足しているとコンクリートにひ び割れが入り,場合によっては破壊にいたる。このような問題が発生しないように, コンクリートおよび鉄筋の応力度が許容応力度以下となるような部材断面を決定 しておかなければならない。 7.2.2 経済的な断面 部材断面を大きくすれば,コンクリートに生じる応力度を小さくすることができ るが.コンクリート量が増えて不経済なものになる。このため,曲げモーメントの 大きい部材では鉄筋コンクリート構造とし,コンクリート断面の減少を図るのが一 般的である。しかし,コンクリート断面を極端に小さくすると鉄筋量が増え経済的 にはならない。 7.1 は,部材厚とコストの関係を模式的に示したものである。コンクリートと 鉄筋のトータルコストは凹型の曲線になる。トータルコストの微分値(接線勾配) が零となる点の部材厚が最適断面となる。 219 7 章 部材断面算定 図 7.1 部材厚とコストの関係 図 7.2 部材の配筋状態 7.2 は擁壁部材の一部を切り出して描いたもので,引張側,圧縮側ともに主鉄 筋と配力鉄筋が配置されている。部材の厚さを h,有効高さを d,引張主鉄筋中心 までのかぶりを i とすると,単位面積(A=bl=1.0×1.0)当りのコンクリート量 V c および鉄筋量 V s は式(7.1),式(7.2)で表される。 V d i c = + ························································································· ( 7.1) 1 2 2 1 1 s s s s s s A A A A A V = + + + = α ····················································· ( 7.2) 応力計算上,圧縮側鉄筋を無視し単鉄筋断面と見なせば,引張主鉄筋量は式(7.3) で算定される。 A M jd s sa 1 = σ ················································································· ( 7.3) 部材有効高さ d 費用 コンクリート C c 鉄筋 C s 総費用 C=C c +C s C min 最適厚 l b d i 配力筋A s1 引張主鉄筋A s1 圧縮主鉄筋A s2 配力筋A s2

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  • 218 第 7 章 部材断面算定

    第7章 部材断面算定

    7.1 概説

    本章では,擁壁部材の断面力(軸力,曲げモーメント,せん断力)の算定法,無筋

    コンクリートおよび鉄筋コンクリート構造の応力度の算定法,配筋要領について説

    明する。

    7.2 部材断面算定の基本

    たて壁,底版などの部材断面は,下記の点を考慮して決定する必要がある。

    ① 応力的に安全な断面であること。 ② 経済的な断面であること。 ③ 施工性のよい断面であること。

    7.2.1 応力的に安全な断面 擁壁部材は,自重,土圧,上載荷重,地盤反力等の荷重の作用を受け,曲げモー

    メントやせん断力が発生する。部材厚や鉄筋量が不足しているとコンクリートにひ

    び割れが入り,場合によっては破壊にいたる。このような問題が発生しないように,

    コンクリートおよび鉄筋の応力度が許容応力度以下となるような部材断面を決定

    しておかなければならない。

    7.2.2 経済的な断面 部材断面を大きくすれば,コンクリートに生じる応力度を小さくすることができ

    るが.コンクリート量が増えて不経済なものになる。このため,曲げモーメントの

    大きい部材では鉄筋コンクリート構造とし,コンクリート断面の減少を図るのが一

    般的である。しかし,コンクリート断面を極端に小さくすると鉄筋量が増え経済的

    にはならない。

    図 7.1 は,部材厚とコストの関係を模式的に示したものである。コンクリートと

    鉄筋のトータルコストは凹型の曲線になる。トータルコストの微分値(接線勾配)

    が零となる点の部材厚が最適断面となる。

    219 第 7 章 部材断面算定

    図 7.1 部材厚とコストの関係

    図 7.2 部材の配筋状態

    図 7.2 は擁壁部材の一部を切り出して描いたもので,引張側,圧縮側ともに主鉄

    筋と配力鉄筋が配置されている。部材の厚さを h,有効高さを d,引張主鉄筋中心

    までのかぶりを i とすると,単位面積(A=b・l=1.0×1.0)当りのコンクリート量 Vcおよび鉄筋量 Vs は式(7.1),式(7.2)で表される。 V d ic = + ························································································· ( 7.1) 12211 ゥゥ ssssss AAAAAV ⋅=+++= α ····················································· ( 7.2)

    応力計算上,圧縮側鉄筋を無視し単鉄筋断面と見なせば,引張主鉄筋量は式(7.3)

    で算定される。

    AM

    j ds sa1 = ⋅ ⋅σ

    ················································································· ( 7.3)

    部材有効高さ d

    費用

    コンクリート Cc

    鉄筋 Cs

    総費用 C=Cc+Cs

    Cmin

    最適厚

    l b

    d

    i

    配力筋A s1

    ’ 引張主鉄筋A

    s1

    圧縮主鉄筋As2配

    力筋A s2’

  • 220 第 7 章 部材断面算定

    ここに,As1は引張側主鉄筋の断面積 (mm2), M は部材断面に作用する曲げモ

    ーメント (N・mm), σsa は鉄筋の許容応力度 (N/mm2), j は鉄筋比(p=As1/bd)に

    よって決まる係数,d は部材の有効高 (mm)である。

    式(7.2)に式(7.3)を代入すれば,式(7.4)が得られる。

    VMj ds sa

    =⋅⋅ ⋅

    ασ

    ·················································································· ( 7.4)

    コンクリートおよび鉄筋の単位体積当りのコストをそれぞれ fc,fs とすれば,単

    位面積当りの部材コストは式(7.5)で求められる。

    ( )C C C d i f Mj d

    fT C S csa

    s= + = + +⋅⋅ ⋅

    ασ

    ················································· ( 7.5)

    式(7.5)を d で微分して 0 とおくと,

    ∂∂

    ασ

    Cd

    fMj d

    fT csa

    s= −⋅⋅ ⋅

    =2 0

    これを解いて d を求めると,最適断面を与える式(7.6)が得られる。

    dM

    jffsa

    s

    c=

    ⋅⋅⋅

    ασ

    ··············································································· ( 7.6)

    逆T型擁壁の場合,α=2~3 である.また,σsa=160 N/mm2,j=0.87,fs=15 円

    /N×77×10-6 N/mm3=1.155×10-3 円/mm3,fc=2×10-5 円/mm3とすれば,式(7.6)は式(7.7)

    になる。

    ( )d M= 0 9 11. .~ ············································································· ( 7.7)

    一方,鉄筋コンクリートのバランス断面(コンクリートの応力度と鉄筋の応力度

    がともに許容応力度に等しくなるような断面)の有効高は式(7.8)で示される。

    ( )dn M

    n nsa ca

    ca sa ca=

    ++

    σ σσ σ σ

    63 2

    ······················································· ( 7.8)

    σsa=160 N/mm2,σca=7 N/mm2,n=15 とすれば,式(7.7)は d M= 0 911. となる。最

    適断面はバランス断面よりも 1.0~1.2 倍だけ部材厚の大きい断面と見なすことが

    できる。

    221

    7.2.3 施応力計

    が複雑で

    トの品質

    では片持

    ① 規② 底

    ③ た

    7.3 断

    7.3.1 重(1) 一台形断

    るものと

    ように断

    断面の応

    式擁壁は

    施工性の良い断面

    計算上安全で,かつ経

    であったりすると,

    質が悪くなり,強度

    持ばり式擁壁の部材

    規模の大きい擁壁以

    底版の上面は,水平

    度以下が望ましい。

    たて壁,控え壁及び

    断面力の算定

    重力式擁壁

    般的な重力式擁壁

    断面をした一般的な

    として設計する。そ

    断面を決定する。そ

    応力度も圧縮応力に

    は安定計算のみでよ

    第 7 章 部材断

    経済的な断面であっ

    コンクリートの打設

    ,耐久性等の面で問

    材断面を決定する際の

    以外では,たて壁は等

    平にすることが望まし

    び底版の最小厚は 40c

    な重力式擁壁は,図 7

    して,これらの荷重

    の結果,底面の地盤

    になり,引張応力は発

    い。応力度の照査は

    図 7.3 一般的な重力式擁

    面算定

    ったとしても部材厚が

    設や締固めが十分行

    問題を生じる。道路土

    の留意点を下記のよ

    等厚が望ましい。

    しい。勾配を付ける

    cm 以上とするのが

    7.3 に示すように自重

    重の合力が擁壁底面

    盤反力は台形分布に

    発生しない。このた

    は不要である。

    擁壁の応力度

    が薄すぎたり形状

    えず,コンクリー

    土工-擁壁工指針

    ように述べている。

    る場合には 20%程

    よい。

    重と土圧が作用す

    面の中央 1/3 に入る

    なり,躯体内の各

    め,一般的な重力

  • 222 第 7 章 部材断面算定

    (2) 防護柵付き擁壁 台形断面の重力擁壁でも,その頂部にガードレールを直接設置する場合には,衝

    突荷重によって曲げモーメントが発生し擁壁躯体の背面側に引張応力が発生する。

    重力式擁壁に使用するコンクリートの設計基準強度は,一般に σck=18N/mm2であ

    り,衝突時におけるコンクリートの許容曲げ引張応力度は,

    2N/mm34.05.180185.1

    80=×=×= ckta

    σσ

    である。擁壁の天端幅 b が,

    A 種ガードレールを設置する場合

    mm730100034.0

    600000,5066=

    ×××

    =⋅

    =lhPb

    taσ

    B・C 種ガードレールを設置する場合

    mm570100034.0

    600000,3066=

    ×××

    =⋅

    =lhPb

    taσ

    以上ないとコンクリートの曲げ引張応力度が許容値を超過することになる。

    擁壁天端から下方に z の位置の断面力は,式(7.9)で表される。曲げ引張応力度が

    許容値を超える場合には,図 7.4 に示すように鉄筋で補強する必要がある。

    ( )⎪⎪⎪

    ⎪⎪⎪

    +++=

    +=

    ++=

    λ

    λ

    λ

    zhPMMM

    PPS

    PWWN

    PA

    AH

    AVP

    0

    0

    ························································· ( 7.9)

    ここに,

    N :擁壁天端から下に z の位置の軸力 (kN/m)

    S :擁壁天端から下に z の位置のせん断力 (kN/m)

    M :擁壁天端から下に z の位置の曲げモーメント (kN・m/m)

    WP :自動車前輪荷重 (kN)

    W0 :設計断面より上部の擁壁自重 (kN/m)

    PAV :設計断面より上部に作用する主働土圧の鉛直成分 (kN/m)

    223

    P

    P

    λ

    M

    M

    h

    (3) 断 擁壁断

    央 1/3)

    断面の不

    PAH :設計断面より

    P :衝突荷重 (kN

    λ :設計断面位置

    M0 :自動車前輪荷

    MA :土圧による曲

    hP :擁壁天端から

    図 7.4

    断面が不連続に変化し

    断面が不連続に変化

    に入っていたとして

    不連続点で応力度の

    第 7 章 部材断

    上部に作用する主働

    N)

    置の衝突荷重に対する

    荷重と擁壁自重による

    曲げモーメント (kN・

    衝突荷重の作用位置

    防護柵が設置されてい

    した擁壁

    化している場合は,荷

    ても,コンクリート

    の照査が必要である。

    面算定

    働土圧の水平成分 (

    る有効幅 (m)

    る曲げモーメント (

    ・m/m)

    置までの高さ (m)

    いる場合の応力度

    荷重の合力が底面の

    トに引張応力が発生す

    (kN/m)

    (kN・m/m)

    ミドルサード(中

    することがある。

  • 224

    図 7.5

    先版付け

    がつま先

    たて壁

    によって

    版の下面

    7.3.2 もた もたれ

    で応力度

    躯体の

    を考慮し

    つま先

    5(a)のようにつま先版

    け根位置で応力度の

    先版の厚さの 1/2 未満

    壁の応力度は,図 7.

    て断面力を算出する

    面に発生する地盤反

    たれ式擁壁

    れ式擁壁は,図 7.6 に

    度の照査をする必要

    の照査では,躯体自

    して軸力,せん断力

    先版は,重力式擁壁

    第 7 章 部材断

    図 7.5 フーチングの付

    版が張り出した擁壁

    の照査をする必要があ

    満の場合は照査の必

    .5(a)に示すように,

    。つま先版付け根の

    反力とつま先版自重に

    に示すように躯体の

    要がある。

    重,自重に慣性力,

    力,曲げモーメントを

    壁の場合と同じである

    面算定

    付いた擁壁

    壁の場合には,たて壁

    ある。ただし,つま先

    必要がない。

    照査断面より上部の

    の応力度は,図 7.5(b

    によって断面力を算

    の任意断面,下端,つ

    主働土圧,壁面に作

    を算定しなければな

    る。

    壁基部およびつま

    先版の張り出し長

    の自重,主働土圧

    b)のようにつま先

    算定する。

    つま先版の付け根

    作用する地盤反力

    ならない。

    225

    7.3.3 逆(1) たたて壁

    ん断力 S

    し,水平

    これは

    である。

    土圧は

    すればよ

    図 7.6

    逆T型擁壁

    て壁

    壁には,一般に自重

    S,曲げモーメント

    平力によるせん断力と

    は,たて壁に実際に作

    は壁面に直接作用す

    よい。地震時には,

    第 7 章 部材断

    もたれ式擁壁の断面算

    重,地震時の慣性力,

    M が発生する。しか

    と曲げモーメントが

    作用する土圧が明確

    するものとして,クー

    地震時土圧と自重の

    面算定

    算定で考慮する荷重

    土圧が作用し,部材

    かし,自重と土圧の

    が作用するものとして

    確でないため,安全側

    ーロン式あるいは試行

    の慣性力を考慮する

    材には軸力 N,せ

    の鉛直成分は無視

    て応力計算を行う。

    側に配慮したもの

    行くさび法で算出

    る。

  • 226

    (2) 底 つま先

    砂は底版

    ても安全

    つま先

    付け根よ

    かかと

    量,地表

    鉛直成分

    である。

    底版

    先版には上載土砂,

    版の根入れ深さが特

    全側に考えて無視す

    先版の曲げ応力度の

    よりつま先版厚の 1/

    と版の断面力算定で

    表面の載荷重,主働

    分とは,安定計算の際

    これがかかと版に

    第 7 章 部材断

    7.7 たて壁の断面計算に

    自重,鉛直地盤反力

    特に大きくない限り無

    する。

    の照査は,つま先版付

    /2 だけ前方の位置で

    では,図 7.8 に示すよ

    土圧の鉛直分力,鉛

    際に算出される仮想

    に三角形分布荷重とし

    面算定

    に考慮する荷重

    力,底面の摩擦力が作

    無視する。また,底面

    付け根位置で,せん断

    で行う。

    ように自重,かかと版

    鉛直地盤反力を考慮す

    想背面位置の主働土圧

    して作用するものと

    作用する。上載土

    面の摩擦力につい

    断応力度の照査は

    版上の裏込土の重

    する。主働土圧の

    圧合力の鉛直成分

    と見なす。

    227

    図 7.8 逆

    第 7 章 部材断

    逆T型擁壁の底版の断面

    図 7.9 底版に作用す

    面算定

    面計算に考慮する荷重

    する荷重

  • 228 第 7 章 部材断面算定

    つま先版およびかかと版に下向きに作用する分布荷重(w)と上向きに作用する地

    盤反力(q)が分かれば,式(7.10)~式(7.13)によって曲げモーメント及びせん断力を算

    定することができる。

    タイプ A の場合(図 7.9(a))

    { })2()2(6 21212

    qqwwLM +−+= ························································ ( 7.10)

    { }))(())((2 2211

    xLqwxLqwL

    xLS +−+−−−= ······································ ( 7.11)

    タイプ B の場合(図 7.9(b))

    12

    21

    2

    3)2(

    6quwwLM −+= ································································ ( 7.12)

    { } 2121 )(2)()(2 xuuqxLwxLw

    LxLS −−++−−= ····································· ( 7.13)

    ここに,

    M:つま先版またはかかと版付け根の曲げモーメント (kN・m/m)

    S:つま先版またはかかと版の付け根から x だけつま先またはかかと寄り

    の断面のせん断力(kN/m)

    L:つま先版またはかかと版の張り出し長(m)

    x:つま先版またはかかと版の付け根からせん断力算定位置までの距離(m)

    u:三角形分布する地盤反力度の分布長 (m)

    w1,w2:上から下向きに作用する分布荷重(kN/m2)

    q1,q2:地盤反力度(kN/m2)

    (3) かかと版に作用する曲げモーメント 前述の方法で算出されたかかと版付け根の曲げモーメント Mhが,たて壁付け根

    位置の曲げモーメント Mwより大きくなることがある。その場合には,かかと版の

    設計曲げモーメントとしてたて壁基部の曲げモーメントを採用する。これは次の理

    由による。

    図 7.10 に示すように各部材中心線の交点 O に作用する曲げモーメントの和は,

    モーメントのつり合い条件より零でなければならない。また,各部材付け根の曲げ

    モーメントを近似的に O 点のモーメントに等しいと考えると, Mw=Mt+Mhでなけ

    229

    ればなら

    Mh≦Mwよりも大

    Mw<M

    かかと

    メントの

    上面に作

    また,

    面に作用

    とが力学

    次に,

    示すよう

    たて壁壁

    つり合っ

    つり合い

    面とかか

    と仮定し

    以上の

    を算定し

    起きてい

    らない。つま先付け

    w になる。かかと版付

    大きくなると力学的

    図 7.

    Mhという力学的にあ

    と版に作用する荷重

    の算定では,下面に作

    作用するせん断力 RF上面に作用する鉛

    用する土圧の鉛直成

    学的に正しいという

    かかと版上の裏込

    うに,裏込め土 ABC

    壁面の反力 RWV,RWっているが,未知量が

    い条件式を 3 個(ΣV

    かと版にの反力を特

    しているが,たて壁

    の説明から明らかな

    した力学的合理性は

    いると思われる。

    第 7 章 部材断

    け根の曲げモーメン

    付け根の曲げモーメ

    的に不合理である。

    .10 O 点における曲げモ

    あり得ないことがな

    重を図 7.11(a)に示す。

    作用するせん断力 Q

    FHを無視している。

    鉛直力 RFVは,かかと

    成分 PAV=(PAV1+PAV2)の

    根拠はない。

    込め土に作用する力に

    CD に作用する荷重

    WH,かかと版上面の

    が 6個(反力が 4個と

    V=0,ΣH=0,ΣM=0

    特定することはできな

    壁が基部から破壊しな

    なように,かかと版及

    はほとんどない。この

    面算定

    トが Mt≧0 であるこ

    メントがたて壁基部の

    モーメントの関係

    なぜ起きるのかについ

    。ところが,応力計

    QH2,後端に作用する

    と版上の裏込め土の

    の和であると仮定し

    について考えて見よ

    は,自重 Ws,主働土

    反力 RFV,RFHであ

    作用点が 2個)存在す

    0)しかたてることが

    ない。たて壁には主働

    ないかぎり主働土圧

    及びたて壁に作用する

    の結果,Mw<Mhとい

    ことを考慮すると,

    の曲げモーメント

    いて考えて見よう。

    計算用の曲げモー

    る土圧 PAV2,PAH2,

    自重 Ws と仮想背

    しているが,このこ

    よう。図 7.11(b)に

    土圧 PAV1,PAH1,

    る。これらの力は

    するのに対して,

    できないため,壁

    働土圧が作用する

    圧とはならない。

    る曲げモーメント

    いう力学的矛盾が

  • 230

    7.3.4 U U 型擁

    付け根,

    断面力

    骨組みに

    部材に

    の荷重強

    M

    S

    q

    型擁壁

    擁壁の形状が左右対

    底版の中央で断面

    力の計算は,一般に

    に図 7.12(b)のような

    に作用する荷重が図

    強度 qx,せん断力 Sx

    ( ++=

    +−=

    −−=

    qqxMM

    xqq

    VS

    xqqqq

    x

    xx

    x

    1

    3

    1

    11

    211

    26

    2

    2

    第 7 章 部材断

    図 7.11 かかと版に作

    対称で,偏土圧が作用

    面照査を行えばよい。

    に図 7.12(a)に示すよ

    な荷重が作用するもの

    図 7. 13 のようであれ

    x,曲げモーメント

    ) ⎪⎪⎪

    ⎪⎪⎪

    − xVqx 1

    ············

    面算定

    作用する力

    用しなければ,側壁

    うな骨組み構造にモ

    のとして計算する。

    れば,部材端から x だ

    Mxは式(7.14)で求め

    ·····························

    の付け根,底版の

    モデル化し,その

    だけ離れた任意点

    めることができる。

    ·············· ( 7.14)

    231

    曲げモ

    式は部材

    する。た

    モーメン

    ちなみ

    がって,

    で判断で

    モーメント図は図 17

    材の外側が引張,中詰

    ただし,堀割式では

    ントが発生すること

    みに曲げモーメント

    曲げモーメント図

    できるのである。

    第 7 章 部材断

    図 7.12 骨組みと

    7.14 のようになり,

    詰め式は部材の内側

    は,幅員が広いと底版

    もあるので注意が必

    図は,部材の引張側

    を見れば,主鉄筋を

    面算定

    と荷重

    堀割式と中詰め式で

    側が引張となる曲げモ

    版の中央付近に正(上

    必要である。

    側に描くのが基本ル

    を部材のどちら側に配

    では異なる。堀割

    モーメントが発生

    上面が引張)の曲げ

    ルールである。した

    配置すべきか一目

  • 232 第 7 章 部材断面算定

    以上の方法が U 型擁壁の設計で一般的に用いられている方法であるが,片持ば

    り式擁壁など他の形式の擁壁と断面算定法が異なっている。

    図 17.15 に示すように部材の厚さを考慮して断面力を求めれば,片持ばり式擁壁

    など他の形式の擁壁との整合性を図ることができる。

    図 17.15(a)に示す側壁付け根の断面力は式(17.15)で,図 17.11(b)に示す底版の任

    意点の断面力は式(17.16)で求められる。

    図 7.13 断面力の計算

    図 7.14 曲げモーメント図

    q1

    q2

    V1

    M1

    x

    l

    qx

    MxSx

    (a)堀割式 (b)中詰め式

    (−) (−)

    (−)

    (+)

    (+) (+)

    233

    側壁の断

    M

    SN

    底版の断

    M

    SN

    ここに,

    N:軸

    S:せ

    N:曲

    W1:側

    図 7.1

    断面力

    ⎪⎪

    ⎪⎪

    −=

    =+=

    HHWV

    H

    V

    yPtPM

    PSPWN

    21

    1

    断面力

    ( )−++

    ++⎟

    ⎠⎞

    ⎜⎝⎛ +=

    +++==

    HWV

    W

    Vb

    H

    PtxP

    xWxtM

    PWWWSPN

    22 1

    21

    軸力(kN/m)

    せん断力(kN/m)

    曲げモーメント(kN-m

    側壁の自重(kN/m)

    第 7 章 部材断

    15 部材の厚さを考慮し

    ···························

    ⎪⎪⎪

    ⎪⎪⎪

    ++

    HH

    bW

    y

    WxWt22 2

    ·······

    m/m)

    面算定

    した断面力算定法

    ·····························

    ·····························

    ·············· ( 7.15)

    ·············· ( 7.16)

  • 234 第 7 章 部材断面算定

    W2:底版の自重(kN/m)

    Wb:底版上の土砂や舗装などの重量(kN/m)

    PV:擁壁に作用する土圧の鉛直分力(kN/m)

    PH:擁壁に作用する土圧の水平分力(kN/m)

    yH: 底版中心から PHの作用点までの高さ(m)

    x: 側壁の内側から断面力算定位置までの距離(m)

    tW: 側壁の厚さ(m)

    7.4 応力度

    7.4.1 無筋コンクリート (1) 応力度の算定 無筋コンクリート断面の縁応力度は式(7.17)で,平均せん断応力度は式(7.18)で算

    定する。

    22

    1 6hbM

    hbN

    c

    c

    ⋅±

    ⋅=

    ⎭⎬⎫

    σσ

    ······································································· ( 7.17)

    hb

    Sm ⋅=τ ······················································································ ( 7.18)

    ここに,

    σc1,σc2 :コンクリート断面の縁応力度 (N/mm2)

    τm:コンクリートの平均せん断応力度 (N /mm2)

    N:軸方向力 (N)

    M:曲げモーメント (N・mm)

    S:せん断力 (N)

    b:有効幅 (mm)

    h:部材厚 (mm)

    大型ブロック積擁壁の安定性の照査を行う場合には,擁壁の部材厚さとしてブロ

    ックの控え長を用いても良いが,応力計算に用いる部材厚は,控え長からブロック

    の合端面を差し引いた長さとしなければならない。なお,合端面が確実に密着する

    製品については,圧縮側についてのみ有効と見なすことができる。

    235

    (2) 許無筋コ

    圧縮

    曲げ

    支圧

    7.4.2 鉄(1) 応逆T型

    筋は無視

    で応力度

    部材の

    合には,

    許容応力度

    コンクリート部材の

    表 7.1

    応力度 の種類 常

    縮応力度 =caσ

    げ引張 応力度 t

    σ

    せん断 応力度 圧応力度 0=aσ

    鉄筋コンクリート

    応力度の計算

    型擁壁などでは部材

    視する。引張側にの

    度の計算をする。

    の有効高が小さくて

    圧縮側の鉄筋も考慮

    第 7 章 部材断

    図 7.16 大型ブロ

    の許容応力度は,表 7

    無筋コンクリートの許

    常 時 地震

    5.54

    ≤= ckσ σ

    80ck

    taσ

    = σ

    0.63.0 ≤ckσ aσ

    材の引張側だけでなく

    のみ配筋されている単

    て,コンクリートの圧

    慮した複鉄筋コンク

    面算定

    ロック

    7.1 の値とする。

    容応力度(N/mm2)

    許容応力度 震・衝突荷重考慮

    5.14

    ×= ckcaσσ

    5.180

    ×= cktaσσ

    15.0100

    += ckσ

    5.13.0 ×= cka σ

    く圧縮側にも配筋す

    単鉄筋コンクリート

    圧縮応力度が許容値を

    クリートとして計算す

    風荷重考慮

    25.14

    ×= ckcaσσ

    25.180

    ×= cktaσσ

    25.13.0 ×= cka σσ

    するが,圧縮側の鉄

    トとして,式(7.19)

    を超えるような場

    する必要があるが,

  • 236 第 7 章 部材断面算定

    通常はコンクリートの圧縮応力度には余裕がある。このため,単鉄筋として計算し

    ても複鉄筋コンクリートとして求めた応力度とほとんど変わらない。

    db

    SdjA

    Mdbjk

    Mm

    ssc ⋅

    =⋅⋅

    =⋅⋅⋅

    = τσσ , , 2 2 ······························· ( 7.19)

    ただし,

    ( ) 15 , , 3

    1 , 2 2 ==⋅

    =−=−+=c

    ss

    EEn

    dbApkjnpnpnpk ······· ( 7.20)

    ここに,

    M :曲げモーメント (N・mm)

    S :せん断力 (N)

    σc :コンクリートの圧縮応力度 (N/mm2)

    σs :鉄筋の引張応力度 (N/mm2)

    τm :コンクリートの平均せん断応力度 (N/mm2)

    b :部材の有効幅 (mm)

    d :部材の有効高 (mm)

    As :引張主鉄筋の断面積 (mm2)

    図 7.17 鉄筋コンクリートの計算における記号の説明

    式(7.19),式(7.20)は以下の方法で簡単に誘導することができる。

    図 7.17 の中立軸に関する断面一次モーメントは次式で与えられる。ただし,中

    立軸より下の引張側のコンクリート断面は無視する。

    x=k・d M

    dd-x

    C x b c= ⋅ ⋅12

    σ

    z=j・d

    23

    x

    σ c

    σ sn

    T As s= ⋅σ

    圧縮

    引張

    b

    As

    中立軸

    h

    237 第 7 章 部材断面算定

    0)(21 2 =−−⋅ xdnAxb s

    二次方程式の解の公式より x を求める。

    ⎪⎭

    ⎪⎬⎫

    ⎪⎩

    ⎪⎨⎧

    ⋅⋅

    ++−⋅

    =⋅⋅+⋅+⋅−

    =s

    ssss

    Andb

    bAn

    bdbAnAnAn

    x 2112)( 2

    ここで, pndb

    Andkx s ⋅=⋅

    ⋅= , とおくと,

    ( ) 3

    1 , 2 2 kjnpnpnpk −=−+=

    一方, , 21 , ssc ATbxCdj

    MTC σσ =⋅⋅=⋅

    ==

    であることを考慮すると次式が求められる。

    , 2 2 djAM

    dbjkM

    ssc ⋅⋅=

    ⋅⋅⋅= σσ

    この式で応力度を算出するためには,引張主鉄筋の断面積 Asを仮定しなければ

    ならない。

    必要鉄筋量 Asreqは,式(7.21)で目安を付けることができる。ただし,鉄筋の許容

    引張応力度はσsa=160 N/mm2とする。

    AM

    j dM

    dM

    dsreq sa=

    ⋅ ⋅≈

    × ×≈

    σ 160 7 8 140/ ·········································· ( 7.21)

    7.4.3 鉄筋 (1) 鉄筋の種類 鉄筋(鉄筋コンクリート用棒鋼)には,普通丸鋼と異形棒鋼があるが,土木構造物に

    普通丸鋼が使われることはなく,異形棒鋼が使用されている。

    異形棒鋼としては,これまでは一般に SD295A が使用されてきたが,現在は

    SD345 が一般的になってきている。

    異形棒鋼の直径は,公称径 6mm~51mm まで製造されているが,一般構造物に

    使用されているのは D13 から D32 までである。ただし,橋梁の橋台や橋脚,場所

    打ちコンクリート杭では D13~D51 の鉄筋が使用されている。

  • 238

    (2) 鉄鉄筋の

    図 7.20 異

    鉄筋の許容応力度

    の許容応力度は,表

    第 7 章 部材断

    図 7.18 鉄筋の材

    図 7.19 鉄筋の記

    異形棒鋼の応力-歪み

    図 7.21 異形棒鋼の

    表 7.3 の値とする。

    面算定

    材質

    記号

    み曲線(SD345 の場合)

    の公称径

    239 第 7 章 部材断面算定

    表 7.2 鉄筋の許容応力度 (N/mm2)

    鉄筋の種類 SD295A SD295B

    SD345

    引張 応力

    荷重組合せに衝突荷重,地震の影

    響を含まない場合 一般の部材 180 180

    水中,地下水位以下 160 160 荷重組合せに衝突荷重,地震の影響を含む場合 180 200 鉄筋の重ね継手長,定着長を算出する場合の基本値 180 200

    圧縮応力度 注 1) 180 200 注)地震の影響,衝突荷重を考慮する場合は 50%増し,風荷重を考慮する暴風時は 25%増し

    とする。

    (3) 鉄筋の単位質量,断面積 鉄筋コンクリート部材の鉄筋として使用する異形棒鋼の単位質量および標準寸

    法を表 7.3,版 1m 当りの断面積を表 7.4 に示す。

    表 7.3 異形棒鋼の単位質量および標準寸法

    呼び名 単位質量

    (kg/m) 公称直径 d

    (mm) 公称断面積 S

    (mm2) 公称周長 l

    (mm) D13 D16 D19 D22 D25 D29 D32

    0. 995 1. 56 2. 25 3. 04 3.98 5.04 6.23

    12.7 15.9 19.1 22.2 25.4 28.6 31.8

    126.7 198.6 286.5 387.1 506.7 642.4 794.2

    40 50 60 70 80 90

    100

    表 7.4 版 1m 当りの異形棒鋼の総断面積 (mm2)

    呼び名

    1 本当断面積

    S(mm2)

    鉄筋中心間隔(1m 当り本数)

    100mm (10 本)

    125mm (8 本)

    150mm (6.67 本)

    200mm (5 本)

    250mm (4 本)

    300mm (3.33 本)

    D13 D16 D19 D22 D25 D29 D32

    126.7 198.6 286.5 387.1 506.7 642.4 794.2

    1267 1986 2865 3871 5067 6424 7942

    1014 1589 2292 3097 4054 5139 6354

    845 1325 1911 2582 3380 4285 5297

    634 993 1433 1936 2534 3212 3971

    507 794 1146 1548 2027 2570 3177

    422 661 954 1289 1687 2139 2645

  • 240 第 7 章 部材断面算定

    7.4.4 コンクリート (1) 設計基準強度 鉄筋コンクリート擁壁に使用されるコンクリートには,一般に設計基準強度

    σck=21 N/mm2,あるいはσck=24 N/mm2のコンクリートが使用されている。

    プレキャストコンクリート擁壁にはσck=30 N/mm2あるいはσck=35 N/mm2のコンク

    リートが一般に使用されている。

    (2) コンクリートの許容応力度 コンクリートの許容応力度は,表 7.5 の値とする。

    表 7.5 コンクリートの許容応力度 (N/mm2)

    コンクリートの設計基準強度 21 24 27 30 40 曲げ圧縮応力度 7.0 8.0 9.0 10.0 14.0

    せん断 応力度

    コンクリートのみで抵抗(τa1) 0.22 0.23 0.24 0.25 0.27斜引張鉄筋と共同で抵抗(τa2) 1.6 1.7 1.8 1.9 2.4 押し抜きせん断応力度(τa3) 0.85 0.90 0.95 1.00 1.20

    異形棒鋼との付着応力度 1.4 1.6 1.7 1.8 2.0

    注)地震の影響,衝突荷重を考慮する場合は 50%増し,風荷重を考慮する暴風時

    は 25%増しとする。

    コンクリートのみでせん断力を負担する場合の許容せん断応力度は,次式で算定

    する。

    1adcNpiea cccc ττ ⋅⋅⋅⋅= ······························································· ( 7.22)

    ここに,

    τa:許容せん断応力度(N/mm2)

    ce:部材断面の有効高に関する補正係数で,表 7.6 による。

    cpi:軸方向引張鉄筋比に関する補正係で,表 7.7 による。

    cN:軸方向圧縮力に関する補正係数で,式(7.23)による。通常の擁壁では軸

    方向圧縮力は小さいので無視してよい。

    cde:せん断スパン比によるせん断耐力の割り増し係数で,表 7.8 による。

    τa1:コンクリートのみでせん断力を負担する場合の許容せん断応力度の

    基準値で,表 2.1 による。

    241 第 7 章 部材断面算定

    MM

    cN01+= ( )21 ≤≤ Nc ································································ ( 7.23)

    ここに,

    M0:軸方向圧縮力によるコンクリートの応力度が部材引張縁で零となる曲

    げモーメントで,次式で算定する。

    yI

    ANM c

    c⋅=0 ················································································· ( 7.24)

    M:部材断面に作用する曲げモーメント

    N:部材断面に作用する軸方向圧縮力

    Ic:部材断面の図心軸に関する断面二次モーメント

    Ac:部材断面積

    y:部材断面の図心より部材引張縁までの距離

    表 7.6 部材断面の有効高に関する補正係数

    有効高 d(mm) 300 以下 1,000 3,000 5,000 10,000 以上 ce 1.4 1.0 0.7 0.6 0.5

    表 7.7 軸方向引張鉄筋比に関する補正係数

    軸方向引張鉄筋比 pt(%) 0.1 0.2 0.3 0.5 1.0 以上 cpt 0.7 0.9 1.0 1.2 1.5

    表 7.8 せん断スパン比によるせん断耐力の割り増し係数

    せん断スパン比 a/d 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 cdc 6.4 4.0 2.5 1.6 1.0

    底版下面が主鉄筋になるつま先版のせん断スパン a は,つま先版に作用する鉛直

    荷重の合力の作用点から,たて壁前面までの距離とする。

    底版上面が主鉄筋になるかかと版のせん断スパン a は,次式で算定する。 'LLa += ······················································································ ( 7.25)

    ここに,

    L:かかと版に作用する鉛直荷重の合力の作用点から,たて壁背面までの距

    離。

  • 242

    L’:

    L

    tc:

    d:

    補正係

    c

    c

    c

    7.5 配

    7.5.1 配 配筋の

    ① 主鉄

    :せん断スパンの補

    ⎟⎠

    ⎞⎜⎝

    ⎛= dt

    L c ,2

    min' ·······

    たて壁の厚さ

    かかと版の有効高

    係数は,式(7.27)~式

    3.072.7 −= dce (0

    3/15.1 tpt pc = ( pc

    ⎜⎝⎛−=cdc 92.0exp12.10

    配筋要領

    配筋の原則

    の原則を下記に示す

    鉄筋はコンクリート

    第 7 章 部材断

    補正長さで,次式にる

    ······························

    式(7.29)の回帰式で算

    )4.15. ≤≤ ec ··········

    )5.1≤pt ···················

    ⎟⎠⎞

    da26 ····················

    7.22 底版のせん断ス

    す。

    の引張縁に配置する

    面算定

    る。

    ·····························

    算定することもでき

    ·····························

    ·····························

    ·····························

    スパンの取り方

    る。

    ·············· ( 7.26)

    る。

    ·············· ( 7.27)

    ·············· ( 7.28)

    ·············· ( 7.29)

    243

    ② 主鉄部材

    ③ 主鉄角に

    ④ 鉄筋側に

    図 7.2

    ま先版に

    るが,地

    7.23(b)の

    それぞれ

    するであ

    鉄筋は

    配置し,

    7.5.2 鉄鉄筋の

    たコンク

    鉄筋は曲げモーメン

    材の引張側に描くこ

    鉄筋,斜め引張鉄筋

    に配置する。

    筋は圧縮側に定着す

    に定着する。

    23(a)は,逆T型擁壁

    には地盤反力が作用

    地盤反力よりも裏込

    のように変形する。

    れ引張応力状態にな

    あろうことは容易に

    は,引張応力の生じ

    鉄筋コンクリート

    鉄筋のかぶりとあき

    のかぶりとは,鉄筋の

    クリートの厚さを意

    第 7 章 部材断

    ント図が描かれている

    とになっている)

    ,補強鉄筋に関わら

    する。地震荷重のよう

    壁に作用する荷重を示

    用する。かかと版には

    込め土の自重がはるか

    たて壁は背面が,つ

    なり,引張応力が大き

    に想像できる。

    る側へ部材軸方向

    部材として曲げモー

    7.23 逆T型擁壁の引張

    の表面からコンクリ

    意味する。

    面算定

    る側に配置する。(曲

    らず,鉄筋は想定され

    うな交番荷重が作用

    示している。たて壁

    は裏込め土の自重と地

    かに大きい。この結

    つま先版は下面が,か

    きい部材付け根付近に

    (想定されるクラッ

    ーメントに抵抗させ

    張主鉄筋の位置

    ートの表面までを最

    曲げモーメントは

    れるクラックに直

    する柱では,柱内

    壁には土圧が,つ

    地盤反力が作用す

    結果,各部材は図

    かかと版は上面が

    にクラックが発生

    クに直角方向)に

    せる。

    最短距離ではかっ

  • 244

    部材

    たて壁 底 版

    擁壁工

    以上とし

    するもの

    プレキ

    ている。

    c

    ここに,

    c

    α

    3

    3

    K

    c0

    近年,

    筋の外側

    場所打ちコン

    クリート

    40 70

    工指針では,現場打

    し,底版のように土中

    のとしている。

    キャストコンクリー

    0min cKc ⋅⋅= α ········

    cmin:鉄筋の最小かぶ

    α:コンクリートの

    30N/mm2≦σck<35N

    35N/mm2≦σck の場合

    K:工場製品に対する

    :現場打ちコンクリ

    鉄筋組立作業の省力

    側に配置する傾向に

    主鉄筋中心までのか

    第 7 章 部材断

    表 7.9 鉄筋のか

    プレキャスト

    現場製造 30≦σck<35

    40 70

    図 7.24 鉄筋のかぶ

    打ちコンクリート部材

    中及び地下水位に設

    ート部材の鉄筋のかぶ

    ······························

    ぶり(mm)

    の設計基準強度による

    N/mm2の場合は α=1

    合は α=0.8

    るかぶりの低減率で

    リート部材のかぶり

    力化を図るため,こ

    にある。その場合は,

    ぶり≧主鉄筋の直径

    面算定

    かぶり

    コンクリート minc =

    σck≧35 30≦σck<32 3256 56

    ぶりとあき

    材の鉄筋のかぶりは

    設ける部材については

    ぶりは,式(7.30)で算

    ·····························

    る係数。

    .0

    で K=0.8 とする。

    (mm)

    これまでの施工とは逆

    径/2+配力筋の直径+最

    0cK ⋅⋅= α 工場製造 <35 σck≧35

    26 45

    は,一般には 40mm

    は 70mm 以上確保

    算定するものとし

    ·············· ( 7.30)

    逆に配力筋を主鉄

    最小かぶり

    245 第 7 章 部材断面算定

    となる。

    土木構造物設計マニュアル(建設省,H10 年 11 月) では,配力筋を主鉄筋の外側

    に配置するものとし,主鉄筋中心からコンクリート表面までのかぶりをたて壁で

    100mm,フーチングで 110mm とすることにしている。

    7.5.3 圧縮側主鉄筋,配力筋の直径とピッチ 擁壁の応力度は,通常,単鉄筋として計算する。このため,部材の安全性の照査

    で鉄筋が決定されるのは引張側主鉄筋のみであるが,コンクリートの乾燥収縮や温

    度勾配等による有害なひび割れの発生を防止する等の目的で圧縮側にも主鉄筋お

    よび配力筋を配置するのが一般的である。擁壁工指針では,下記のように明記して

    いる。

    配力鉄筋(縦断方向鉄筋)の配筋量は,軸方向鉄筋量の 1/6 以上配置するものとす

    る。圧縮側となる軸方向鉄筋(圧縮鉄筋)の配筋量は,引張側の軸方向鉄筋量(主鉄筋)

    の 1/6 以上を配置するものとする。

    表 7.10 引張鉄筋と圧縮鉄筋および配力筋の関係

    (a) 引張鉄筋と圧縮鉄筋の関係 (b) 主鉄筋と配力筋の関係

    引張主鉄筋 圧縮主鉄筋 引張・圧縮主鉄筋 たて壁 フーチング

    直径(mm) 間隔(mm) 直径(mm) 間隔(mm) 直径(mm) 間隔(mm) 直径(mm) 間隔(mm) 直径(mm) 間隔(mm)

    D13 *** *** *** D13 250 D13 250 D13 300

    D13 *** *** *** D13 125 D13 250 D13 300

    D16 250 D13 250 D16 250 D13 250 D13 300

    D16 125 D13 250 D16 125 D13 250 D13 300

    D19 250 D13 250 D19 250 D13 250 D13 300

    D19 125 D13 250 D19 125 D13 250 D13 300

    D22 250 D16 250 D22 250 D13 250 D13 300

    D22 125 D16 250 D22 125 D13 125 D16 300

    D25 250 D16 250 D25 250 D13 250 D13 300

    D25 125 D16 250 D25 125 D13 125 D19 300

    D29 250 D19 250 D29 250 D13 250 D16 300

    D29 125 D19 250 D29 125 D13 125 D19 300

    D32 250 D19 250 D32 250 D16 250 D16 300

    D32 125 D19 250 D32 1250 D16 125 D22 300

  • 246

    7.5.4 重鉄筋の

    る場合は

    鉄筋の

    直角フッ

    きる。

    これは

    したもの

    σck=2

    度はτoa

    長は次の

    l

    φs

    重ね継手長と定着長

    の重ね継手長は,図

    は大きい方の径)の

    の部材への定着長は

    ックをつけて定着さ

    は,鉄筋の引張応力度

    のである。

    24N/m2のコンクリー

    a=1.6N/mm2,鉄筋の

    のようになる。

    φφτσ

    6.14200

    4 ×==

    oa

    saal

    la=35φb

    (a)重ね継手長

    第 7 章 部材断

    図 7.25(a)に示すように

    の 35 倍とする。

    は,部材端から重ね継

    せる場合には,重ね

    度が許容引張応力度

    ートに異形棒鋼 SD3

    の許容引張応力度はσ

    φφφ 353.31 ≈= ·······

    図 7.25 鉄筋の重ね

    図 7.26 鉄筋の

    π φ τ⋅ ⋅ ⋅la oa

    (b)付

    φb≧φs

    面算定

    に鉄筋径(継手する

    継手長(35φ)以上と

    ね継手長の 2/3 倍以上

    度に達しても抜け出

    345 を定着させる場合

    σsa=200 N/mm2であ

    ·····························

    ね継手長

    の定着

    φτoa

    コンクリート

    a

    la ≈ 35φ

    付着力による引き抜け抵

    る鉄筋の径が異な

    とする。ただし,

    上とすることがで

    さない長さを確保

    合,許容付着応力

    るので,必要定着

    ·············· ( 7.31)

    φT sa=

    ⋅π φσ

    2

    4

    抵抗力

    247 第 7 章 部材断面算定

    鉄筋の定着は図 7.26 のようにする。たて壁の主鉄筋はフーチングの下まで伸ば

    しフックを付けて定着させる。つま先版およびかかと版については,それぞれの付

    け根から重ね継手長(35φ)だけ伸ばして定着させる。

    参考文献

    [第 4 章]

    1) 日本道路協会:道路土工-擁壁工指針(平成 24 年度版),2012.

    2) 建設省:土木構造物マニュアル(案)に係わる設計・施工の手引き(案)「ボックス

    カルバート・擁壁編」,1999.