第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1...

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第5章 医療施策

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第5章 医療施策

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1 医療施策の推進

(1) 救急医療

第1 現状と課題

1 救急医療をとりまく状況

⑴ 救急出場件数

本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

るものが最も多く46,015件となっており、総出場件数の64.4%を占めています。10年前と比

較して総出場件数で約1.3倍、急病出場件数で約1.4倍に増加しています。

図1 救急出場件数の推移 (単位:件)

※県防災危機管理課「消防防災年報」

⑵ 救急搬送人員

本県における平成27年の救急搬送人員は65,393人で、事故種別で見ると急病によ

るものが最も多く、42,948人となっており、総搬送人員の65.7%を占めています。10年前と

比較して総搬送人員数で約1.3倍、急病搬送人員で約1.4倍に増加しています。

医療圏別では人口が集中している南部及び中部医療圏での搬送人数が多く、平成

27年の県内の救急搬送人員数のうち、南部が48.1%、中部が36.4%を占めています。

54,279

71,435

33,641

46,015

5,440 5,349

6,712 10,230

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

全体 急病 交通事故 一般負傷

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 (H18比)急病 33,641 36,282 35,691 36,741 39,607 42,488 43,286 43,788 45,712 46,015 (1.4倍)交通事故 5,440 5,118 5,340 5,319 5,501 5,637 5,778 5,546 5,632 5,349 (1.0倍)一般負傷 6,712 7,484 7,684 7,553 8,048 8,731 8,868 9,454 10,086 10,230 (1.5倍)その他 8,486 8,970 8,863 9,006 9,384 9,814 9,620 9,895 10,044 9,841 (1.2倍)全体 54,279 57,854 57,578 58,619 62,540 66,670 67,552 68,683 71,474 71,435 (1.3倍)

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図2 救急搬送人員の推移 (単位:人)

※県防災危機管理課「消防防災年報」

図3 圏域別救急搬送人員の推移 (単位:人)

※県防災危機管理課「消防防災年報」

51,011

65,393

31,705

42,948

5,577 5,142

6,282 9,346

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

全体 急病 交通事故 一般負傷

4,298 5,260(8.0%)

17,906

23,803(36.4%)24,739

31,455(48.1%)

2,026 2,879 (4.4%)2,042 1,996(3.1%) 0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

北部 中部 南部 宮古 八重山

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 (H18比)急病 31,705 34,211 33,693 34,617 37,365 39,846 40,493 40,895 42,582 42,948 (1.4倍)交通事故 5,577 5,025 5,230 5,240 5,404 5,473 5,631 5,377 5,401 5,142 (0.9倍)一般負傷 6,282 6,978 7,188 7,071 7,522 8,101 8,157 8,668 9,231 9,346 (1.5倍)その他 7,447 7,772 7,474 7,607 7,892 8,116 7,838 7,912 8,094 7,957 (1.1倍)全体 51,011 53,986 53,585 54,535 58,183 61,536 62,119 62,852 65,308 65,393 (1.3倍)

地区 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 (H18比)北部 4,298 4,479 4,448 4,592 4,693 4,676 5,129 4,943 5,181 5,260 (1.2倍)中部 17,906 18,844 18,953 19,418 20,495 21,875 22,328 23,463 23,824 23,803 (1.3倍)南部 24,739 26,320 26,085 26,379 28,841 30,536 30,209 29,941 31,497 31,455 (1.3倍)宮古 2,026 2,214 2,123 2,194 2,157 2,301 2,360 2,519 2,839 2,879 (1.4倍)八重山 2,042 2,129 1,976 1,952 1,997 2,148 2,093 1,986 1,967 1,996 (1.0倍)計 51,011 53,986 53,585 54,535 58,183 61,536 62,119 62,852 65,308 65,393 (1.3倍)

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⑶ 年齢区分別の救急搬送の状況

救急搬送は平成18年には51,011人でしたが、平成27年には65,393人となり、14,382

人増(1.3倍)となっており、年々増加しています。

特に、救急搬送された高齢者について見ると、平成18年には22.001人であったものが、

平成27年には、33,120人となり、11,119人増(1.5倍)となっています。

今後も、高齢化の進展とともに救急搬送件数は増大し、救急搬送に占める高齢者の

割合も増加するものと見込まれることから、救急搬送における高齢者への対応が必要とさ

れています。

図4 年齢区分別の救急搬送状況 (単位:人)

※県防災危機管理課「消防防災年報」

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

老人

成人

少年

乳幼児

新生児

新生児 275 315 252 260 237 268 285 287 241 280 (1.0倍)乳幼児 2,783 2,897 2,871 2,774 3,054 3,302 3,277 3,346 3,458 3,391 (1.2倍)少年 2,947 3,029 3,055 3,093 3,002 3,040 2,981 3,117 3,300 3,409 (1.2倍)成人 23,005 23,548 23,447 23,473 24,385 25,337 25,802 25,286 25,934 25,193 (1.1倍)老人 22,001 24,197 23,959 24,935 27,505 29,589 29,774 30,816 32,375 33,120 (1.5倍)合計 51,011 53,986 53,584 54,535 58,183 61,536 62,119 62,852 65,308 65,393 (1.3倍)

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 (H18比)

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⑷ 疾病構造の変化

急病による救急搬送数は、平成18年には31,705人であったが、平成27年には42,948

人となり、11,243人増加しており、平成27年の救急搬送患者の65.7%を占めています。

今後も急病の対応が増加が見込まれることから、急病の救急搬送患者への対応が必要

とされます。

図5 事故種別救急搬送患者数 (単位:人)

※県防災危機管理課「消防防災年報」

65.7%

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

H18

H19

H20

H21

H22

H23

H24

H25

H26

H27

火災

自然災害

水難

交通事故

労働災害

運動競技

一般負傷

加害

自損行為

急病

火災 自然災害 水難 交通事故 労働災害 運動競技 一般負傷 加害 自損行為 急病 その他 合計H18 84 17 76 5,577 300 435 6,282 490 724 31,705 5,321 51,011H19 68 15 100 5,025 327 416 6,978 496 721 34,211 5,629 53,986H20 67 3 95 5,230 300 472 7,188 541 710 33,693 5,286 53,585H21 62 1 98 5,240 284 377 7,071 521 720 34,617 5,544 54,535H22 51 8 85 5,404 288 452 7,522 463 696 37,365 5,849 58,183H23 58 66 64 5,473 359 433 8,101 446 750 39,846 5,940 61,536H24 58 70 59 5,631 363 440 8,157 433 635 40,493 5,780 62,119H25 58 6 77 5,377 383 470 8,668 437 657 40,895 5,824 62,852H26 56 29 87 5,401 437 551 9,231 420 620 42,582 5,894 65,308H27 65 20 88 5,142 451 547 9,346 410 566 42,948 5,810 65,393

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⑸ 重症患者の動向

平成27年における急病の救急患者のうち、「重症」に分類された数をみると、「脳疾

患」(961人、22.1%)、「心疾患等」(724人、16.6%)となっています。また、死亡が最も

多いのは、「心疾患等」(203人、26.4%)となっています。

このことから、重症傷病者の救急医療体制を構築するにあたっては、特に脳疾患や心

疾患への対応が重要となっています。

図6 急病における重症傷病者の状況(H27年実績) (単位:人)

※県防災危機管理課「消防防災年報」

46

961

1,302

569

203

724

1,570

1,288

26

409

1,986

2,206

58

743

3,151

2,013

225

849

3,382

7,450

180

217

1,328

5,723

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

死亡

重症

中等症

軽傷

脳疾患 心疾患等 消化器系 呼吸器系 精神系

死亡 46 203 26 58 0 0 7 25 225 180 770重症 961 724 409 743 24 76 227 127 849 217 4,357中等症 1,302 1,570 1,986 3,151 172 605 1,072 325 3,382 1,328 14,893軽傷 569 1,288 2,206 2,013 1,236 1,568 749 72 7,450 5,723 22,874

合計H27 脳疾患 心疾患等 消化器系 呼吸器系 精神系 感覚系 泌尿器系 新生物 その他症状・兆候

・診断名

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⑹ 軽症患者の動向

平成27年の救急搬送される傷病者で急病に分類されるもののうち、診療の結果として

帰宅可能な「軽症」が53.3%を占めます。特に乳幼児の「軽症」(81.2%)と少年の「軽

症」(84.8%)の割合が高くなっています。

救急車の不適切利用は、救急搬送を実施する消防機関と、患者を受け入れる救急

医療機関に過分な負担をかけることになり、重症患者等の受入に支障が生じていること

から、住民に理解を促すことが重要になっています。

図7 急病のうち年齢別、重症度別の割合(H27年実績)

※県防災危機管理課「消防防災年報」

⑺ 精神科救急医療の動向

救命救急センターの入院患者を対象とした厚生労働科学研究では、12%の入院患

者は何らかの精神科医療を必要とし、2.2%の入院患者は身体疾患と精神疾患ともに

入院による治療を必要とするとの報告があります。

また、消防庁の調査では、平成27年中の疾病分類別収容平均所要時間(入電から

医師引継までに時間)において、全体の平均が39.4分であったのに対して、精神疾患を

主な理由として搬送された傷病者の平均時間は、43.1分と長くなっています。

さらに、身体科救急医療と精神科救急医療は、救急体制等に違いがあります。

これらのことから、精神科救急医療との連携が必要とされています。

0% 6%14%

中等症58%

中等症17%

中等症15%

中等症26%

中等症43%

軽症38.7%

軽症81.2%

軽症84.8%

軽症66.4%

軽症40.0%

新生児 乳幼児 少年 成人 高齢者

死亡 重症 中等症 軽症

H27 死亡 重症 中等症 軽症 計新生児 1 0 18 12 31乳幼児 7 27 402 1,888 2,324少年 2 8 215 1,253 1,478成人 154 979 4,077 10,290 15,500高齢者 606 3,343 10,181 9,431 23,561合計 770 4,357 14,893 22,874 42,894割合 1.8% 10.2% 34.7% 53.3%

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2 救急医療の提供体制

⑴ 病院前救護活動

ア 市民への救急蘇生法の普及

消防機関が主体となって普通救命講習及び上級救命講習の人口1万人あたりの

受講者数及び一般市民による除細動実施件数は、全国平均を下回っているため、さ

らなる救急蘇生法の普及啓発が必要となっています。

表1 住民の救急蘇生法(普通・上級救命講習)の受講率

沖縄県 全国(平均値) 順位

109人 114人 23位

表2 心肺停止患者全搬送人員のうち、一般市民により除細動が実施された件数

沖縄県 全国(平均値) 順位

25件 35.4件 19位

※総務省消防庁「平成27年版救急・救助の現況」

イ 消防機関による救急搬送体制及びメディカルコントロール体制

沖縄県は、救急救命士の数、救急車の稼働台数、救急救命士が同乗している救

急車の割合について、全国平均を上回っている状況にありますが、救急患者搬送数

が全国でも多い状況にあるため、消防機関による救急搬送体制をより一層強化する

必要があります。

救急救命士が実施する医療行為の質を保証する観点から、救急救命士への指導

・助言及び事後検証等を行う場として、沖縄県メディカルコントロール協議会と県内5

区に地区メディカルコントロール協議会が設置されています。

今後、救急搬送体制及び救急医療体制に係る調整を行うなど、メディカルコントロ

ール協議会をさらに活用するために、救急医療協議会との一体的運用を図る必要が

あります。

表3 消防機関による救急搬送体制 (H26年実績)

沖縄県 全国(平均値) 順位

救急患者搬送数(10万人あたり) 4509人 4209人 6位

消防機関に所属する 32.9人 20.3人 2位

救急救命士の数(10万人あたり)

救急車の稼働台数(10万人あたり) 5.2台 4.8台 31位

救急救命士が同乗している 88.50% 87.70% 23位

救急車の割合

※総務省消防庁「平成27年版救急・救助の現況」

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ウ 搬送手段の多様化とその選択

救急搬送の手段は、従来の救急車に加え、ドクターカーや救急医療用ヘリコプター

(ドクターヘリ)が活用されており、ドクターヘリについては、平成20年10月から、救命救

急センターである浦添総合病院を運航病院として沖縄県ドクターヘリの運航を開始し

ています。

ドクターカー及びドクターヘリを効果的に活用できるように、県全体で運用方法の検

討を行う必要があります。

離島の医療機関で対応が困難な患者について、沖縄県ドクターヘリを活用するとと

もに、陸上自衛隊第15旅団(以下「自衛隊」という。)及び第十一管区海上保安本

部(以下「海上保安庁」という。)の協力を得て、急患空輸体制を整備しています。

ヘリコプターによる搬送時間を短縮するために、医療機関にヘリポートを整備する必

要があります。

表4 離島の急患空輸体制

搬送区間 日中(8:30~17:30) 夜 間

本島周辺離島-本島 県ドクターヘリ 自衛隊

宮古島-石垣島 海上保安庁 海上保安庁

宮古島周辺離島-宮古島 海上保安庁 海上保安庁

石垣島周辺離島-石垣島 海上保安庁 海上保安庁

宮古島、石垣島、南・北大東島-本島 自衛隊 自衛隊

※県医療政策課調べ

県では、搬送中の患者の容態急変等に備えるため、12か所の病院の協力を得て、

ヘリコプター等に医師等を添乗させる「沖縄県ヘリコプター等添乗医師等確保事業」を

沖縄県離島振興協議会と連携して実施しており、今後も事業を継続して実施するた

めに、ヘリコプター医師等添乗協力病院を確保する必要があります。

表5 医師等添乗協力病院

所在地 医師等添乗協力病院

沖縄本島 県立中部病院、県立南部医療センター・こども医療センター、

沖縄赤十字病院、浦添総合病院、沖縄協同病院、

南部徳洲会病院、中頭病院、中部徳洲会病院、豊見城中央病院

琉球大学医学部附属病院

宮古 県立宮古病院

八重山 県立八重山病院

※県医療政策課調べ

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エ 傷病者の搬送及び傷病者の受け入れの実施に関する基準の策定と実施

平成18年から平成20年にかけて、搬送先の病院を探して複数の救急医療機関に

電話等で問い合わせても受入医療機関が決まらない事案が全国で多発したことを契

機に、沖縄県では平成23年8月に、傷病者の搬送及び傷病者の受入の実施に関す

る基準を策定し、メディカルコントロール協議会において、実施基準の検証と見直しを

行い、傷病者の状況に応じた適切な搬送及び受入体制を構築しています。

表6 重症以上傷病者の搬送において、

医療機関に4回以上受入れの照会を行った件数と割合 (H26)

沖縄県 全国(平均値) 順位

件数 6件 300件 1位

割合 0.1% 3.2% 1位

※総務省消防庁「平成27年版救急・救助の現況」

表7 重症以上傷病者の搬送において、現場滞在時間が30分以上の件数と割合 (H26)

沖縄県 全国(平均値) 順位

件数 85件 500件 7位

割合 1.3% 5.3% 6位

※総務省消防庁「平成27年版救急・救助の現況」

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⑵ 救急医療を担う医療機関

ア 救急医療機関へのアクセス

北部地域については、名護市を除いて救急医療機関までの距離が遠く搬送に時

間がかかっています。

中部地域については、読谷村、恩納村、宜野座村、金武町が、救急医療機関ま

での距離が遠く搬送に時間がかかっています。

南部地域については、救急医療機関までの距離が近いのにも関わらず搬送に時間

がかかっていることから、交通渋滞等が原因だと考えられます。

宮古、八重山地域については、島内の医療機関までの距離は近く、搬送にそれほ

ど時間はかかっていません。

表8 消防機関別、救急医療機関に収容されるまでの所要時間(H28)

消防機関収容最短所要時間(分)

収容最長所要時間(分)

収容平均所要時間(分)

搬送時間30分未満の割合。

国頭消防本部 22 162 52.9 1%

名護市消防本部 3 97 28.9 63%

本部町今帰仁村消防本部 14 119 41.2 8%

金武地区消防衛生組合消防本部 10 120 38.6 10%

比謝川行政事務組合ニライ消防本部 8 135 35.1 24%

うるま市消防本部 10 148 30.5 53%

沖縄市消防本部 9 93 26.0 76%

中城北中城消防本部 7 105 36.5 17%

宜野湾市消防本部 10 108 30.5 50%

浦添市消防本部 8 159 31.4 49%

那覇市消防局 9 164 31.5 47%

豊見城市消防本部 11 324 33.3 36%

東部消防組合消防本部 10 256 28.6 62%

島尻消防組合消防本部 12 99 36.0 24%

糸満市消防本部 14 150 34.0 29%

久米島町消防本部 9 171 24.2 79%

宮古島市消防本部 10 119 34.4 40%

石垣市消防本部 5 154 26.7 70%

- 188 -

Page 13: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

図8 DPC調査参加救急医療機関の運転時間による診療圏(北部)

※国立がん研究センター 社会と健康研究センター臨床経済研究室長石川 ベンジャミン 光一

「平成27年度保険局DPC調査に基づくDPC調査参加施設の運転時間による診療圏」

図9 DPC調査参加救急医療機関の運転時間による診療圏(中部)

※国立がん研究センター 社会と健康研究センター臨床経済研究室長石川 ベンジャミン 光一

「平成27年度保険局DPC調査に基づくDPC調査参加施設の運転時間による診療圏」

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Page 14: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

図10 DPC調査参加救急医療機関の運転時間による診療圏(南部)

※国立がん研究センター 社会と健康研究センター臨床経済研究室長石川 ベンジャミン 光一

「平成27年度保険局DPC調査に基づくDPC調査参加施設の運転時間による診療圏」

図11 DPC調査参加救急医療機関の運転時間による診療圏(宮古)

※国立がん研究センター 社会と健康研究センター臨床経済研究室長石川 ベンジャミン 光一

「平成27年度保険局DPC調査に基づくDPC調査参加施設の運転時間による診療圏」

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Page 15: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

図12 DPC調査参加救急医療機関の運転時間による診療圏(八重山)

※国立がん研究センター 社会と健康研究センター臨床経済研究室長石川 ベンジャミン 光一

「平成27年度保険局DPC調査に基づくDPC調査参加施設の運転時間による診療圏」

イ 救急病院

救急病院等を定める省令に基づき、救急隊により搬送される傷病者に関する医療

を提供する病院のことで、都道府県知事が認定し告示を行います。

沖縄県には、現在26の救急病院があります。

(ア) ER型救急医療機関

沖縄県には、初期救急から3次救急の全ての救急患者の治療を24時間、365

日行う、ER型救急医療体制をとる、ER型救急医療機関があり、断らない救急医

療を提供しています。

※ERは、emergency roomの略で、救急室あるいは救急外来を意味する言葉で

す。

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Page 16: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

(イ) 救命救急医療機関(第三次救急医療機関)

沖縄県では、重症及び複数の診療科領域にわたる、すべての重篤な救急患者

を、原則として24時間体制で必ず受け入れる救命救急センターに、沖縄県立中

部病院、沖縄県立南部医療センター・こども医療センター、浦添総合病院の3病

院を指定しています。また、指定を受けている3病院は、すべてER型救急医療機関

です。

広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒等の特殊疾患を受け入れる高度救命救急

センターの指定については今後検討を行う必要があります。

(ウ) 入院を要する救急医療を担う医療機関(第二次救急医療機関)

沖縄県では、地域で発生する救急患者への初期診療を行い、必要に応じて入

院治療を行う第二次救急医療機関を5つの医療圏すべてに整備しています。また、

そのうち13病院は、ER型救急医療機関です。

第二次救急医療機関については、ER型救急医療機関とER型救急医療機関

以外の第二次救急医療機関の役割について検討する必要がある。

ウ 初期救急医療機関

全国では、初期救急医療は、休日夜間急患センターや在宅当番医制において、

救急搬送を必要としない救急患者の診療を行っています。

沖縄県では、休日夜間急患センターは宮古島市の1ヶ所のみで、在宅当番医制に

ついては実施しておらず、ER型救急医療機関が初期救急患者の受け入れを行ってい

ます。

⑶ いわゆる「出口の問題」

救急病院において、急性期を出した患者で、重度の後遺症等により在宅への復帰が

容易でない患者が、救急医療用の病床を長期間使用することで、新たな救急患者を受

け入れることが困難になる、いわゆる「出口の問題」が生じています。

沖縄県内の救急病院の病床稼働率の平均は87.2%と高い状況にあり、中部圏域の

救急病院では、100%を超えているところもあります。

救命期後の人工呼吸器が必要な患者や気管切開等のある患者を受け入れる体制

を整備している病院は、27カ所であり、県内の全ての病院の28.7%に留まっています。

また、同様に、重度の脳機能障害者の後遺症を持つ患者を受け入れる体制を整備し

ている病院は、38カ所であり、県内全ての病院の40.4%となっています。

このことから、急性期を脱した患者で、重度の後遺症等により在宅への復帰が容易で

- 192 -

Page 17: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

ない患者を受け入れる医療機関や介護施設等と、救急医療機関との連携の強化が必

要です。

そのため、地域包括ケアシステムにおける救急医療の役割を検討するとともに、終末期

の患者が、安易に救急医療に搬送されないように、看取りと救急医療の関係について、

普及啓発を行う必要があります。

第2 目指す方向性

1 目指す姿

⑴ 救命できる傷病者を社会復帰させている。

2 取り組む施策

⑴ 適切な病院前救護活動が可能な体制の整備

ア 住民に対する救急蘇生法、予防救急等の普及啓発の実施

救急医療においては、迅速な通報や応急手当が救命率の向上につながります。こ

のため、市町村や医療関係団体等との連携のもと、救急現場に居合わせた者が救急

蘇生法(人工呼吸、心臓マッサージ、AED使用等)を行うことや、救急車が必要になる

ような病気やケガを少しの注意や対策で未然に防ぐための予防救急について、普及啓

発を行います。

また、住民が、適切な医療機関の受診、適切な救急車の要請、他の交通手段の

利用等を判断できるように、小児救急電話相談事業(#8000)等の電話相談事業に

取り組みます。

イ 沖縄県メディカルコントロール協議会の活用

メディカルコントロール体制の充実強化に努めるとともに、「傷病者の搬送及び傷病

者の受け入れ実施に関する基準」に基づく傷病者の搬送や受入状況の調査・検証等

を行い、必要に応じて基準の見直しを行うなど、適切な搬送及び受け入れ体制の構

築・継続を図ります。

また、救急搬送体制及び救急医療体制に係る調整を行うなど、メディカルコントロー

ル協議会をさらに活用するために、救急医療協議会との一体的運用を推進します。

ウ ドクターヘリ、ドクターカー等の効果的な活用

ドクターヘリ、ドクターカー等の搬送手段について、関係者の連携について協議する

場を設け、県内における統一的な取り扱い方について検討し、効率的な運用を図りま

す。

- 193 -

Page 18: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

エ 急患空輸体制の構築

ヘリコプター等添乗医師等確保事業運営協議会等を活用し、医師等添乗協力病

院を確保するなど、安定した急患空輸体制を構築します。

搬送時間の短縮、救急患者の救命率向上及び後遺症の低減を図るため、救急

病院のヘリポート整備を促進します。

⑵ 重症度・緊急度に応じた医療が提供可能な体制の整備

ア 入院を要する救急医療体制の整備

入院治療を必要とする救急患者の受入に必要な施設・設備の整備を支援します。

また、ER型救急医療機関以外の第二次救急医療機関の役割について検討を行

い、ER型救急医療機関との連携体制を構築します。

イ ER型救急医療体制の整備

初期救急医療体制を整備・充実させることは、地域住民の生命と健康、福祉の向

上を図る上で重要なことであり、市町村が積極的に担っていく必要があることから、初

期救急から3次救急まで全ての患者の治療を行うER型救急医療機関の運営費につ

いて、市町村との協力により支援します。

ER型救急医療機関に必要な施設・設備の整備を支援します。

ウ 救急救命医療体制の整備

適切な救命救急医療を確保するため、救命救急センターの運営費を支援します。

救命救急センターとして必要な施設・設備の整備を支援します。

新たな救命救急センター及び高度救命救急センターの指定について検討します。

エ 精神科救急医療体制との連携の推進

救急病院での治療の際に、精神科の治療が必要になる場合や、精神疾患を主な理

由として搬送された患者の搬送時間が長くなる傾向があることから、精神科救急医療

体制と既存の会議を活用するなど連絡会議を実施し連携を図ります。

⑶ 救急医療機関と療養の場の連携体制

ア 救急医療機関から急性期を脱した患者を適切な医療機関等に転院できる体制の

整備

急性期を脱した患者で重度の後遺症等により在宅への復帰が容易でない患者を

受け入れる医療機関や介護施設等と、救急医療機関の連携強化を図ります。

救急医療機関からの退院調整を行うものの配置を促進します。

- 194 -

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イ 地域包括ケアシステムと救急医療の連携の推進

地域包括ケアシステムと救急医療の関係者による連絡会議を、既存の会議を活用

するなどして実施します。

ウ 終末期の患者への対応及び普及啓発

終末期の患者の救急医療における取扱について、介護施設等に対して普及啓発

を行い、安易に救急医療機関に搬送されることを防止します。

- 195 -

Page 20: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

第3 数値目標

1 目指す姿

救命できる傷病者を社会復帰させている。

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

一般市民が目撃した心原性心 H18~H27 過去10年間の

肺機能停止傷病者の一ヶ月後 集計値 推移を基に設 救急救助の -

の生存率及び社会復帰率 定。 現況

生存率 16.1% 17.9%

社会復帰率 9.2% 13.0%

2 取り組む施策

⑴ 適切な病院前救護活動が可能な体制

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

救急要請から救急医療機関への H26 H26年の基準 救急救助の 消防機関

搬送までに要した平均時間 31.5分 30.1分 で1位を目標と 現況

(4位) (1位) する

一般市民が目撃した心原性心 H27 過去10年間の 救急救助の -

肺機能停止者でVF又はVTで搬 24.1% 48.1% 推移を基に設 現況

送された傷病者のうち、一般市 定

民により除細動が実施された割

一般市民が目撃した心原性心 H27 過去10年間の 救急救助の -

肺機能停止者のうち、一般市民 61.6% 66.0% 推移を基に設 現況

が心肺蘇生を実施した割合 定

住民の救急蘇生法の受講率(人 H26 全国平均を目 救急救助の 消防機関

口1万人あたり) 109人 114人 標 現況

メディカルコントロール協議会の開 H28 開催回数を維 県防災危機 県、消防機

催数 県1回 県1回 持する 管理課 関

ドクターヘリ、ドクターカー運用 H28 MC協議会の 県医療政策 県 、 消 防 機

調整会議の実施 0回 1回 開催数を参考 課 関、医療機関

とした。

ヘリコプター等添乗医師等確保 H28 参加が見込め 県医療政策 県、医療機

事業添乗当番病院数 11病院 14病院 る病院数 課 関

救急病院のヘリポート数 H28 計画策定時 県医療政策 県

3病院 7病院 点で整備計画

のある救急病

院を考慮した

- 196 -

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⑵ 重症度・緊急度に応じた医療が提供可能な体制

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

救急病院数 H29 役割を整理し 県医療政策 県、医療機

26病院 26病院 た上で医療機 課 関

関数を維持す

る。

2次救急医療機関の数 H28 役割の調整を 県医療政策 県、医療機

23病院 23病院 行い現状の数 課 関

を維持する。

ER型救急医療機関の数 H28 医療資源が分 県医療政策 県、医療機

16病院 16病院 散しないよう、 課 関

現体制を維持

する。

救命救急センターの充実度評価 H26 救命救急セン 県医療政策 県、救命救

Aの割合 100% 100% ターの質を維 課 急センター

持する。

精神科救急医療体制との連絡 H28 MC協議会の 県医療政策 県、医療機

会議の実施 0回 1回 開催数を参考 課 関

とした。

⑶ 地域包括ケアシステムにおける救急医療の役割の検討

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

救急搬送患者の地域連携受入 H27 2次医療圏で NDB 県、医療機

件数(人口10万人あたり) 10.5 14.7 数値の高い南 関

部を基準とし

た。

退院調整をする者を常時配置し H27 全救命救急セ 救命救急セ 救命救急セ

ている救命救急センター 2 3 ンター ンターの評価 ンター

結果

地域包括ケアシステムとの連 H28 MC協議会の 県医療政策 県、医療機

絡会議の実施 0回 1回 開催数を参考 課 関、介護施

とした。 設等

終末期の患者への対応に関する H28 MC協議会の 県医療政策 県、医師会、

研修会の実施 0回 1回 開催数を参考 課 医療機関、

とした。 介護施設等

- 197 -

Page 22: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

番号

番号

番号

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

11

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患者

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(2) 災害時における医療

第1 現状と課題

1 災害の現状

⑴ 自然災害

自然災害の代表的なものとして、地震及び地震に伴う津波、風水害等があります。

ア 地震

我が国は、木造建築物の多い密集市街地が広い範囲で存在するため、地震によ

る大規模火災や建物の倒壊などで多大な被害が発生してきました。

沖縄県は、琉球海溝から北西側の沖縄トラフ周辺及び石垣島近海から台湾東方

沖にかけて地震活動が活発であり、過去には、1771年に先島諸島で1万2千人を超

える死者を出した明和の大津波も発生しています。

沖縄県地域防災計画において、地震及び津波の被害想定が示されており、最大

規模の地震が発生した場合は、死者11,340人、重傷者37,781人の被害が発生する

と予測されています。

表1 日本国内の主な地震災害

名称 発生時期 死者、行方不明者、負傷者等

阪神・淡路大震災 平成7年 死者6,434名

東日本大震災 平成23年 死者15,893名、行方不明者2,556名

熊本地震 平成28年 死者49名、重傷者345名、軽傷者1,318名

※県医療政策課調べ

表2 「沖縄県地域防災計画 地震・津波被害量予測一覧」(抜粋) (人)

想定地震 死者 重傷者 軽傷者 避難者(1週間後)

沖縄本島南東沖地震3連動 11,340 37,781 78,633 152,397

八重山諸島南方沖地震3連動 2,432 4,800 10,416 17,970

沖縄本島南部スラブ内地震 ,453 3,091 12,643 87,542

※県防災危機管理課「沖縄県地域防災計画」

イ 風水害等

近年、短時間強雨の年間発生回数が増加傾向にあり、大河川の氾濫も相次いで

います。平成27年、28年には、計13個の台風が沖縄に接近し大きな被害をもたらして

- 199 -

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おり、今後も洪水や土砂災害が発生することが想定されます。

表3 沖縄県内の主な風水害

名称 発生時期 死者 負傷者 その他被害

昭和32年台風第14号 昭和32年 131名 62名 住宅全半壊16,091戸

第2宮古島台風 昭和41年 0名 41名 住宅全半壊7,765戸

平成15年台風第14号 平成15年 1名 93名 住宅全半壊,102棟

中城村北上原地すべり 平成18年 0名 0名 県道25号線140m損壊

※県防災危機管理課「沖縄県地域防災計画」

⑵ 事故災害

事故災害としては、鉄道災害、道路災害、大規模な火事災害、林野災害等の大

規模な事故による災害等があります。国内の大規模事故の例としては、昭和60年に

発生した日航機墜落事故(搭乗員524名中520名死亡)や平成17年4月に発生した

JR福知山線尼崎脱線転覆事故(死者107名、負傷者555名)等があります。

沖縄県では、昭和34年6月30日に発生した宮森小学校米軍機墜落事故(死者

17名、負傷者210名)や、平成19年8月20日に発生したチャイナエアライン120便炎上

事故(乗員乗客165名、死傷者0名)が発生しています。

2 災害医療の提供

災害時に体系的な医療救護活動を行うための基本は、「Command&Control:指揮と統

制」、「Safety:安全」、「Communication:情報伝達」、「Assessment:評価」、「Triage:ト

リアージ」、「Treatment:治療」、「Transport:搬送」の7項目であり、これらの7項目を適切

に実施できる体制を、整備していく必要があります。

表4 災害医療対応の基本のCSCATTT

1 Command&Control:指揮と統制

災害時の医療救護活動を迅速かつ効率的に実施するためには、指揮命令系統を整

理し、災害医療体制を確立することが重要であり、1つの組織内の縦の関係をCommand

:指揮、関係機関の横の連携をControl:統制とします。

2 Safety:安全

災害時の活動において重要なのは、「自分自身が傷病者にならないこと」であり、まず自

- 200 -

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分自身の安全(self)を確保し、次に現場の安全(scene)を確認することで、生存者(survi

vor)を安全に管理するこができます。

3 Communication:情報伝達

適切な災害対応のために重要なのは情報であり、通信手段を確保し、関係機関で情

報を共有できる体制を確立する必要があります。

4 Assessment:評価

災害医療体制を確立し、安全を確保し、収集した情報をもとに現状を評価して、その

後の方針を決定します。状況は変化していくため、現状の評価を継続的に実施し、柔軟に

方針を再検討していく必要があります。

5 Triage:トリアージ

災害時においては、医療需要が供給量を大きく上回る状況になる場合があるため、傷

病者の優先順位付け(トリアージ)を行い、限りある医療資源を効率よく使用する必要があ

ります。

6 Treatment:治療

限られた医療資源で最大多数の傷病者を助けるために、災害現場においては患者の

状態を安定化させて後方へ搬送するための治療を行い、被災地内の医療機関では根本

治療が難しい患者については、被災地外の後方の医療機関で治療を行います。

7 Transport:搬送

災害時に発生した傷病者を、どの傷病者を、どのような手段で、どこへ搬送するか決定

し医療機関へ搬送します。県内の医療機関で治療を実施できない場合は、他県への患

者の搬送(広域医療搬送)を行います。

- 201 -

Page 26: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

⑴ 災害時の連携・調整体制(Command&Control:指揮と統制)

ア 現状

沖縄県内で大規模災害が発生した場合は、沖縄県地域防災計画(平成27年3

月修正)の第2章第13節医療救護計画に基づき医療救護を実施します。

地域防災計画に定める医療救護活動を迅速かつ的確に実施するために、平成28

年度に、沖縄県災害医療本部等設置要綱等を整備しています。

表5 沖縄県災害医療本部等設置要綱等の整備状況

名称 策定時期 概要

沖縄県災害医療本部等 平成28年2月 災害時の医療救護活動の調整を行設置要綱 う組織について定めたもの。

沖縄県災害医療 平成28年3月 災害時の医療救護活動について助コーディネーター設置規定 言及び調整を行う、災害医療コーディ

ネーターについて定めたもの。

沖縄県災害医療 平成28年3月 災害時の医療救護活動について、マニュアル 県、市町村及び医療関係団体・機関

や、医療従者が実施すべき基本的事項を定めたもの。

イ 課題

本県の災害時の組織である沖縄県災害対策本部、沖縄県災害対策地方本部、

沖縄県災害医療本部及び沖縄県地域災害医療本部の関係と、市町村及び関係

機関との連携について、役割分担を明確にし関係を整理する必要があります。また、

沖縄県災害対策地方本部と沖縄県地域災害医療本部について、行政区域と医療

圏が一致していないことから生じる管轄区域のずれを前提として、体制を構築する必

要があります。

沖縄県災害医療マニュアルを実効性のあるものとするには、訓練等を通してマニュア

ルの実行性の検証を行い、必要な改訂を行う必要があります。

災害急性期に、DMAT及びDPATを速やかに派遣し連携できる体制を構築するとと

もに、災害急性期を脱した後も身体科と精神科が連携できる体制を構築する必要が

あります。

沖縄県災害医療コーディネーターは、災害時には24時間体制で調整及び助言を

行う場合もあることから、十分な人数を確保する必要があります。

⑵ 災害時に安全に活動できる体制の確保(2 Safety:安全)

ア 現状

DMAT隊員は、災害時に安全に活動するために、必要な知識・技術の維持及び

資質の向上を目的とした、DMAT技能維持研修を受講しています。

- 202 -

Page 27: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

表6 DMAT技能維持研修受講状況 単位:人(受講場所)

平成26年度 平成27年度 平成28年度

第1回 4人(福岡県) 8人(佐賀県) 12人(鹿児島県)

第2回 3人(佐賀県) 4人(熊本県) 14人(福岡県)

第3回 89人(沖縄県) 8人(大分県) 21人(宮崎県)

※県医療政策課調べ

平成29年度から、災害時に医療従事者が安全に活動するとともに生存者の安全

を確保できるよう、被災地における自己完結型の医療救護に対応できる携行式の応

急用医療資器材等の設備の整備費に対し、補助を行っています。

NBC災害・テロ対策について、厚生労働省が実施している研修に平成22年度か

ら毎年1医療機関が参加するとともに、平成29年度から、NBC災害の傷病者の診

断等に必要な機器の整備費に対し、補助を行っています。

イ 課題

災害医療従事者が、災害時に安全に活動するために、引き続き必要な装備を整

備し、それらの装備を活用した実動訓練に積極的に参加するとともに、各医療機関で

も実動訓練を実施する必要があります。

⑶ 災害時の情報伝達体制(Communication:情報伝達)

ア 現状

沖縄県総合行政情報通信ネットワークが整備されており、通常回線が使用できな

い場合も、県庁を中核に無線回線と有線回線で、国、他都道府県、出先機関、市

町村、消防、防災機関等の行政機関と通信及びインターネット接続が可能となってい

ます。

また、沖縄県総合行政情報通信ネットワークに接続し通話可能な無線機を、各保

健所及びDMAT指定病院に平成29年度中に配備する予定となっています。

DMAT指定病院、沖縄県医師会等は、衛星携帯電話を整備しています。

災害時の迅速な対応が可能となるよう、医療機関の患者の受診状況、ライフライン

の稼働状況等の情報を収集し共有する「広域災害・救急医療情報システム(EMI

S)」を運用しており、県内の全ての病院(94)、保健所(県5、那覇市1)、消防本部

(18)、県医師会・地区医師会(12)、沖縄県(1)の131機関が参加しています。

また、平成27年度から、年に2回、県内94病院を対象にEMIS入力訓練を実

施しており、入力率は向上してきています。

- 203 -

Page 28: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

表7 EMIS入力訓練時の病院の入力率

平成27年度 平成28年度 平成29年度

第1回 61% 73% 81.9%

第2回 69% 76% 72.3%

※県医療政策課調べ

イ 課題

沖縄県総合行政情報通信ネットワークは、行政機関のみの接続となっています。そ

のため、通常回線が使用不能となった場合に、行政機関以外の医療機関等と通信

するために、衛星携帯電話を受信し、被災地外の通常のインターネット回線に接続で

きる通信手段を確保する必要があります。

EMIS入力訓練時の病院の入力率は向上してきているが、災害時に医療機関の

情報を確実に収集するためには、全病院が入力できるようになる必要があります。

⑷ 災害時の適切な評価体制

ア 現状

災害時に収集した情報を適切に評価できる体制を構築するために、災害医療従

事者を養成し、災害訓練を実施しています。

災害派遣医療チーム(DMAT:Disaster Medical Assistance Team)は、災害急

性期(概ね発災後48時間)に活動できる機動性を持ち専門的な訓練を受けたチーム

であり、平成17年度から養成が開始され、沖縄県内には16病院に22チームが編成さ

れています。

表8 DMAT指定病院一覧(平成29年度)

医療圏 病院名(チーム数)

北部 県立北部病院(1)

中部 県立中部病院(2)、中頭病院(2)、中部德洲会病院(1)、ハ

ートライフ病院(1)

南部 琉球大学医学部附属病院(2)、浦添総合病院(2)、県立南

部医療センター・こども医療センター(2)、那覇市立病院(1)、沖

縄赤十字病院(2)、南部徳洲会病院(1)、豊見城中央病院

(1)、沖縄協同病院(1)、大浜第一病院(1)

宮古 県立宮古病院(1)

八重山 県立八重山病院(1)

※県医療政策課調べ

災害派遣精神医療チーム(DPAT:Disaster Psychiatric Assistance Team)

は、被災地での精神科医療の提供、被災地での精神保健活動への専門的支援(患

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Page 29: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

者避難への支援を含む。)等の役割を担い、発災から概ね48時間以内に、被災した

他都道府県においても活動できるチームを、先遣隊と定義しており、沖縄県内には11

病院に13チームが編成されています。

沖縄県災害医療コーディネーターは、災害時の医療救護活動について助言及び調

整を行う、災害医療に精通した医師です。県医療本部に5名、5ヶ所の地域医療本

部(各保健所)に3名ずつ合計20名を委嘱します。

沖縄県では、年に2回大規模な実動訓練及び図上訓練を実施しており、陸上自

衛隊第15旅団と県が共催している「美ら島レスキュー」と、県と市町村が主催する「沖

縄県総合防災訓練」があります。

イ 課題

沖縄県は島しょ県であることから、大規模な災害が発生した場合、県外からの応援

には数日を要することも考えられることから、県内の災害医療従事者だけで災害急性

期に対応できるように、十分な数のDMAT、DPAT、災害医療コーディネーター等を養

成し、維持していく必要があります。

災害医療コーディネーターを十分な人数を確保できるように、災害医療に精通し、か

つ沖縄県の医療の現状について熟知している人材を育成する必要があります。

災害時に収集した情報を迅速に評価するために、被害想定ごとの災害医療のシナ

リオを検討しておく必要があります。

⑸ 災害時のトリアージの実施、患者搬送体制

ア 現状及び課題

沖縄県では、航空搬送拠点臨時医療施設(SCU:Staging Care Unit)の設置場

所の指定及び設備整備は、未実施となっていることから、早急に実施する必要がありま

す。

沖縄県災害医療マニュアルにおいて、消防機関の役割を記載していますが、消防機

関へのマニュアルの周知が不十分であることから、消防機関への周知を図り連携体制を

構築する必要があります。

県内で大規模な地震及び津波が発生した場合は、水及び電気等のインフラが長期

間復旧しないことが想定されることから、人工透析、在宅酸素、人工呼吸器、周産期

患者等の県外搬送計画を検討する必要があります。

⑹ 災害時に診療機能を維持できる体制

ア 現状

平成8年度以降、災害による重篤患者の救命医療等の高度の診療機能を有し、

- 205 -

Page 30: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

被災地からの患者の受入れ、広域医療搬送に係る対応等を行う、災害拠点病院を整

備しており、沖縄県では、県の災害医療の中心的な役割を果たす基幹災害拠点病院

を1病院、地域の中心となる地域災害拠点病院を12病院を指定しています。

また、平成29年度から災害拠点病院として、必要な診療設備の整備経費に補助をしていま

す。

表9 DMAT指定病院(災害拠点病院含む)の備蓄 H30年3月現在

災害拠 全ての施 受水槽 井戸の 3日分程 敷地内

点病院 設が耐震 の容量 有無 度の燃料 のヘリポ

備蓄 ート

1 北部 県立北部病院 ○ 1日 ○

2 中部 県立中部病院 ◎(基幹) 3日 ○ ○

3 〃 中頭病院 ○ ○ 5日 ○ ○ ○

4 〃 中部徳洲会病院 ○ ○ 3日 ○ ○

5 〃 ハートライフ病院 ○ ○ 3日 ○

6 南部 県立南部医療センター・こ ○ ○ 3日 ○

ども医療センター

7 〃 浦添総合病院 ○ 2日 ○ ○

8 〃 琉大医学部附属病院 ○ ○ 2日 ○

9 〃 沖縄赤十字病院 ○ ○ 2日 ○

10 〃 南部徳洲会病院 ○ ○ 3日 ○ ○

11 〃 那覇市立病院 1日 1日分

12 〃 豊見城中央病院 ○ 3日 ○ ○

13 〃 沖縄協同病院 ○ 1日 ○

14 〃 大浜第一病院 ○ 2日 ○ 1日分

15 宮古 県立宮古病院 ○ ○ 3日 ○

16 八重山 県立八重山病院 ○ ○ 3日 ○

※県医療政策課調べ

医療機関においては、災害時にも診療機能を維持するために、業務継続計画を策

定する必要があります。県内94病院のうち7病院、災害拠点病院11病院のうち1病院が

業務継続計画を策定しています。

精神科病院については、平成23年の東日本大震災では被災した精神科病院から多

数の患者搬送が行われました。また、平成28年の熊本地震でも被災した精神科病院か

ら595人の患者搬送が行われており、今後想定される南海トラフ地震等の大規模災害に

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Page 31: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

おいても、同様に多数の精神科患者の搬送が必要となる可能性があります。

イ 課題

医療機関における備蓄状況について把握し、医療機関が3日以上業務を継続できる

体制を整備し、災害拠点病院にはヘリポートを整備する必要があります。

また、医療機関においては、被災後、早急に診療機能を回復できるよう、業務継続計

画の整備を行うように努める必要があり、特に災害拠点病院においては、厚生労働省医

政局長通知「災害拠点病院指定要件の一部改正について(平成29年3月31日医政発

0331第33号)」に基づき、平成31年3月までに策定する必要があります。

全国の災害拠点病院の有する精神病床数は約1万床(全精神病床の約3%)であ

り、精神科病院からの患者の受入れや、精神症状の安定化等を、災害拠点病院のみ

で対応することは困難です。このため、精神科病院においても、災害拠点病院と類似の

機能を有する災害拠点精神科病院を今後整備する必要があります。

第2 目指すべき方向性

1 目指す姿

災害時に適切な、医療を提供できる。

2 取り組み

⑴ 災害時の連携・調整体制の確保

ア 災害時の医療提供体制の検討

災害医療本部の設置運営に関する訓練を実施し、振り返り会議を開催して、災

害時の医療提供体制の検証を行い、検証結果を元に沖縄県災害医療マニュアル検

討会議を開催し、沖縄県災害医療マニュアル改定を行い、災害時の医療提供体制

の検討に取り組み、地域防災計画との整合性を図るとともに、県と市町村の連携体

制を構築します。

イ 災害医療コーディネート体制の構築

災害医療コーディネート体制を構築するために、災害医療コーディネーターを十分な

人数確保し、都道府県としての体制だけでなく、保健所等を中心としたコーディネート

体制の構築に努めます。また、薬剤、小児、周産期、精神等の専門分野に関するコ

ーディネーターの検討を行います。

⑵ 災害時に安全に活動できる体制の確保

ア 災害時に安全に活動するための研修及び設備の整備

災害時に安全に活動するために、DMAT技能維持講習及びNBC災害・テロ対策

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研修の受講を促すとともに、医療従事者と生存者の安全を確保するために必要な医

療資器材の整備を支援します。

また、整備した資器材を活用した実動訓練への参加や各医療機関での実動訓練

の実施を促進します。

⑶ 災害時の情報伝達体制の確保

ア 災害時の通信手段の確保及び訓練の実施

適切な災害対応のためには、迅速な情報の収集と共有が必要であり、沖縄県総

合行政情報通信ネットワークを活用するとともに、通常回線が使用不能な場合にも、

衛星携帯電話及び通常のインターネット回線と接続可能な通信手段を確保し、県内

の関係する医療機関等と通信できる体制を構築します。

また、災害時の通信手段を活用して訓練を実施し、県医療本部及び地域医療本

部に市町村等からの情報を収集し共有する体制を検討し、災害医療マニュアルに反

映させます。

イ EMISの操作に関する研修及び訓練の実施

EMISは、災害時の医療機関の情報を収集し共有できるシステムであり、有効に活

用するためには医療機関の関係者、行政関係者等がこの情報システムについて理解

する必要があることから、EMISの入力に関する研修を実施します。

また、県内94病院を対象にEMIS入力訓練を実施するとともに、各医療機関におい

てもEMISの操作を含む研修及び訓練を実施するよう促します。

⑷ 災害の適切な評価体制の確保

ア 災害医療従事者の育成

県外からの応援が来るまでの間、県内の災害医療従事者で対応できるように、DM

AT隊員及びDPAT隊員の養成に努めるとともに、災害時に収集した情報を評価し、

適切な医療体制を検討できる人材を確保するために、DMATインストラクターの養成

及び災害医療コーディネート研修を実施します。

イ 災害訓練の実施

災害時の医療チーム等の受け入れも想定した災害訓練を実施するとともに、沖縄

県災害医療本部の体制だけでなく、保健所管轄区域における保健所を中心としたコ

ーディネート体制について確認を行います。

また、訓練の内容を検証し、被害想定ごとの災害医療の個別シナリオの検討を行

います。

- 208 -

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⑸ 災害時のトリアージの実施、患者搬送体制の確保

ア 広域医療搬送体制の確保

SCUの設置場所の指定及び設備整備を行うとともに、広域医療搬送を想定した訓

練を実施することで、広域医療搬送体制を構築します。

イ 人工透析、在宅酸素、人工呼吸器、周産期患者の県外搬送計画の検討

災害が発生し、県内の水及び電気等のインフラが停止し、県内では治療を継続で

きなくなった場合に備えて、人工透析、在宅酸素、人工呼吸器、周産期患者の県外

搬送計画を検討し、患者に対して周知を図ります。

⑹ 災害時に診療機能を維持できる体制の確保

ア 医療機関における業務継続計画の策定の推進

先進事例などの必要な知識を提供し、医療機関における業務継続計画の策定を

促します。

イ 医療機関における被害状況を想定した訓練及び研修の推進

各地域の被災想定などの必要な情報を提供し、医療機関における訓練及び研修

の実施を促します。

ウ 災害拠点病院等の施設、設備及びヘリポートの整備

災害拠点病院が災害時に診療機能を維持できるように、必要な施設、設備及び

ヘリポートの整備を支援します。

また、県内で大規模な地震及び津波が発生した場合、空港及び港湾が被害を受

け、水、燃料、食料等の支援が届くまでに時間がかかることが想定されることから、全医

療機関に1週間分の備蓄があることが望ましい。しかしながら、現時点では、各医療機

関の予算のほか、自家発電機の連続使用時間や、受水槽の水の保存方法等の技

術的な制約もあるため、3日分以上の備蓄を行うよう、医療機関に働きかけます。

エ 災害拠点精神科病院の整備

災害拠点精神科病院を1カ所以上の整備を進めます。

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第3 数値目標

1 目指す姿

災害時に適切な、医療を提供できる

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

中間アウトカム達成率 不明 100 中間アウトカム - -

全ての達成

2 取り組む施策

⑴ 災害時の連携・調整体制の確保(Command&Control:指揮&統制)

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

沖縄県災害医療本部設置運営 H28年度 県医療政策 県

訓練の実施回数及び、 2回 2回 訓練回数の維持 課

振り返り会議の実施回数 2回 2回 訓練回数と同数

沖縄県災害医療マニュアル検討 H28年度 マニュアル改正 県医療政策 県

会議の開催 2回 2回 に必要な回数 課

災害医療コーディネーターの委嘱 H29年度 2名×3シフト 県医療政策 県

数 20名(見込) 36名 ×6ヶ所 課

⑵ 災害時に安全に活動できる体制の確保(Safety:安全)

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

実動訓練への参加医療機関数 H28年 参加医療機 県医療政策 県、DMAT

36 36 関の維持 課

美ら島レスキュー(SCU) 8 8

県総合防災訓練(実動) 14 14

那覇空港訓練 4 4

政府総合防災訓練 6 6

九州ブロック訓練 4 4

技能維持研修受講者数 47 50 DMAT隊員数 県医療政策 県、DMAT

の1/3 課

災害拠点病院設備整備事業実 H29年 民間の災害拠 県医療政策 県

施件数 3 8 点病院数(見 課

込)

NBC災害・テロ対策設備整備実 H29年 災害拠点病 県医療政策 県

施件数 3 13 院数(見込) 課

- 210 -

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⑶ 災害時の情報伝達体制の確保(Communication:情報伝達)

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

EMIS入力訓練時の病院の入力 H28 全病院が入力 県医療政策 県、医療機

率 76% 100% 可能 課 関

通常回線以外の通信手段の数 H28 行政機関以外と 県医療政策 県

1 2 通信できる手段 課

を確保する

EMISの操作を含む研修・訓練を実 H28 研修・訓練の 都道府県調 災害拠点病

施している災害拠点病院の割合 100% 100% 継続 査 院

⑷ 災害時の適切な評価体制の確保(Assessment:評価)

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

被害想定ごとの災害医療の個別 H28 年に1つ策定 県医療政策 県

シナリオ数 0 6 課

DMAT、DPAT等の医療チーム数 H28 H28 異動や退職で 県医療政策 県、DMAT

及び構成する医療従事者数 DMAT DMAT 欠員が生じる 課

22チーム 22チーム ため現員の維 県地域保健

182人 182人 持 課

DPAT DPAT

12チーム 12チーム

112人 112人

災害時の医療チーム等の受け入 H28 美ら島レスキュ 県地域保健 県

れを想定した訓練の実施回数 2回 2回 ーと県総合防 課

災訓練

⑸ 災害時のトリアージの実施、患者搬送体制の確保

(Triage:トリアージ、Transport:搬送)

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

広域医療搬送を想定した訓練の H28 年1回の実施 県医療政策 県

実施回数 0 1 課

SCU設置予定場所の指定数 H28 那覇空港と各 県医療政策 県

0 6 医療圏毎に1ヶ 課

所ずつ

搬送計画の策定数 H28 各患者毎に1 県医療政策 県、医師会

0 4 つずつ 課

- 211 -

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⑹ 災害時に診療機能を維持できる体制の確保(Treatment:治療)

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

3日以上業務を継続できる病院 不明 17.0% DMAT指定 県医療政策 県、医療機

の割合 H29年度調査 (16病院) 病院 課 関

医療機関における業務継続計 H28 DMAT指定 県医療政策 県、医療機

画の策定率 7.5% 17.0% 病院 課 関

被災した状況を想定した訓練を 不明 全災害拠点 県医療政策 県、災害拠

実施した災害拠点病院の割合 H29年度調査 100% 病院 課 点病院

施設及び設備整備補助件数 H29 民間の災害拠 県医療政策 県、災害拠

4 8 点病院 課 点病院

災害拠点病院のヘリポート数 H28 計画策定時 県医療政策 県、災害拠

2 7 点で整備計画 課 点病院

のある救急病

院を考慮した

- 212 -

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番号

番号

番号

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

3

災害時に安全に活動するための研修及び設備の整備

災害時に安全に活動できる体制の確保(Safety:安全)

2

災害時における医療分野 施策・指標体系図

C 個別施策

B 中間アウトカム

A 分野アウトカム

1災害時の医療提供体制の検討

1

災害時の連携・調整体制の確保(Command&Control:指揮&統制)

2災害医療コーディネート体制の構築

沖縄県災害医療本部設置運営訓練の実施回数及

び、振り返り会議の実施回数

沖縄県災害医療マニュアル検討会議の開催

4災害時の通信手段の確保及び訓練の実施

3災害時の情報伝達体制の確保(Communication:情報伝達)

5EMISの操作に関する研修及び訓練の実施

EMISの操作を含む研修・訓練を実施している災害拠点病院の割合

1

災害時に適切な、医療を提供できる

6

災害医療従事者の育成

中間アウトカム達成率

3日以上業務を継続できる病院の割合

7災害訓練の実施

4

12災害拠点病院の施設及び設備の整備

5

DMAT、DPAT等の医療チーム数及び構成する医療従

事者数

災害時の医療チーム等の受け入れを想定した訓練の

実施回数

施設及び設備整備補助件数

災害時の適切な評価体制の確保(Assessment:評価)

災害時に診療機能を維持できる体制の確保(Treatment:治療)

8広域医療搬送体制の確保

9人口透析、在宅酸素、人工呼吸器、周産期患者の県外搬送計画の検討

SCU設置予定場所の指定数

搬送計画の策定数

医療機関における業務継続計画の策定率

10医療機関における業務継続計画策定の推進

11医療機関における被害状況を想定した訓練及び研修の推進

6被災した状況を想定した訓練を実施した災害拠点病院

の割合

広域医療搬送を想定した訓練の実施回数

EMIS入力訓練時の病院の入力率

実動訓練への参加医療機関数

被害想定ごとの災害医療の個別シナリオ数

災害医療コーディネーターの委嘱数

技能維持研修受講者数

災害拠点病院設備整備事業実施件数

NBC災害・テロ対策設備整備実施件数

通常回線以外の通信手段の数

災害時のトリアージの実施、患者搬送体制の確保

(Triage:トリアージ、Transport:搬送)

- 213 -

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⑶ へき地の医療

第1 現状と課題

1 概要

沖縄県のへき地医療対策については、「沖縄県第11次へき地保健医療計画」(以下

「第11次計画」という。)に基づき推進されてきたところであり、第11次計画は、平成23年度

から平成27年度及びその後の2年間の延長実施により平成29年度をもって終了します。

へき地医療対策は、ドクターヘリによる救急患者の搬送等地域医療の取り組みと連動し

ており、他事業とより一層の連携を図っていくことが求められていること等から、厚生労働省で

は、平成26年度の「へき地保健医療対策検討会」及び平成28年度の「医療計画の見直

し等に関する検討会」による報告を踏まえ、「へき地の医療体制構築に係る指針」において

「へき地保健医療計画」と「医療計画」を一体的に策定することとしています。

沖縄県では、同指針及び本県の実情を踏まえ、へき地医療対策の連携強化を図るた

め、「へき地保健医療計画」と「医療計画」を一体的に策定することとします。

2 へき地

⑴ へき地の現状

「へき地」とは、厚生労働省において、交通条件及び自然的、経済的、社会的条件

に恵まれない山間地、離島その他の地域のうち医療の確保が困難であって無医地区又

は無医地区に準じる地区の要件に該当するものと定義されています。

ア 無医地区

無医地区とは、医療機関のない地域で、当該地区の中心的な場所を起点とし

て、おおむね半径4㎞の区域内に50人以上が居住している地区であって、かつ容易

に医療機関を利用することができない地区とされています。

本県の無医地区は、平成29年1月1日時点において、4市村6地区です。

イ 無医地区に準じる地区

無医地区に準じる地区(以下「準無医地区」という。)とは、無医地区には該当し

ないが、無医地区に準じた医療の確保が必要な地区と都道府県知事が判断し、厚

生労働大臣に協議できる地区とされています。

本県の準無医地区は、平成29年4月3日時点において、12市町村17地区です。

これらの地区については、半径4㎞の地区内に医療機関はあるが眼科、耳鼻いん

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こう科等の特定の診療科目がなく、特定診療科についての巡回診療等が必要なこと

から、厚生労働大臣との協議の結果、準無医地区として取扱うこととしました。

ウ 無歯科医地区

無歯科医地区とは、歯科医療機関のない地域で、当該地区の中心的な場所を

起点として、おおむね半径4㎞の区域内に50人以上が居住している地区であって、か

つ容易に歯科医療機関を利用することができない地区とされています。

本県の無歯科医地区は、平成29年1月1日時点において、8市村15地区です。

エ 無歯科医地区に準じる地区

無歯科医地区に準じる地区(以下「準無歯科医地区」という。)とは、無歯科医

地区には該当しないが、無歯科医地区に準じた歯科医療の確保が必要な地区と都

道府県知事が判断し、厚生労働大臣に協議できる地区とされています。

本県の準無歯科医地区は、平成29年1月1日時点において、ありません。

オ 対象地区(30地区)

この計画では、無医地区及び準無医地区(以下「無医地区等」という。)、無歯

科医地区及び準無歯科医地区(以下「無歯科医地区等」という。)並びに準無医

地区又は準無歯科医地区に該当することが見込まれる地域を対象地区とします。

表1 本県の無医地区の推移

項目 H16.12月末 H21.10月末 H26.10月末 H29.1.1現在

市町村数 6 4 5 4

地区数 7 10 7 6

人口 994 1,780 1,085 958

注)厚生労働省無医地区等調査及び県保健医療部医療政策課調べによる。

表2 本県の無歯科医地区の推移

項目 H16.12月末 H21.10月末 H26.10月末 H29.1.1現在

市町村数 6 7 8 8

地区数 12 13 14 15

人口 3,729 3,315 3,498 3,962

注)厚生労働省無歯科医地区等調査及び県保健医療部医療政策課調べによる。

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⑵ へき地の課題

本県は、台風の来襲や悪天候等で容易に孤立化する小規模離島が多数存在すると

いう地理的特殊性があることから、地域毎に人口や医療機関の設置状況等を的確に把

握し、無医地区等又は無歯科医地区等の要件を満たすか適切に把握することが重要

です。

ア 無医地区

鳩間島は、「島しょ別住民基本台帳人口及び世帯数」における人口が、平成28年

1月1日時点で50人でしたが、平成29年1月1日時点で41人となっており、無医地区

の要件を満たしていません。

イ 準無医地区

多良間島及び与那国島は、これらの島に所在する県立多良間診療所及び与那

国町立与那国診療所が多岐にわたる診療科目を標榜しており、準無医地区の要件

を満たしていません。

ウ 無歯科医地区

座間味村(座間味島及び阿嘉島)では、村役場の新築移転に伴い、平成26年度

に座間味村で唯一の座間味村立歯科診療所が廃止されています。

粟国村(粟国島)では、平成27年度の定期航空路線の運休に伴い、粟国村で唯

一の民間の歯科診療所が休止しています。

また、渡名喜村(渡名喜島)では、平成26年度に渡名喜村で唯一の渡名喜村立

歯科診療所を整備しましたが、歯科医師を確保できず、現在、休止しています。

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表3 対象地区一覧

2次 市町村 対象地区 対象地区の種別

医療圏 NO 名称 NO 名称 字等名称 人口(人) 無医 準無医 無歯 その他

北部 1 国頭村 1 佐手校区 謝敷 39さ て こ う く じ や し き

(1,088人) (310人) 佐手 79さ て

○ ○辺野喜 150べ の き

宇嘉 42う か

2 北国 宜名真 109き た く に ぎ な ま

○ ○(182人) 辺戸 73

へ ど

3 奥 奥 190 ○お く

4 楚洲 楚洲 79 ○そ す

5 安田 安田 166 ○あ だ

6 安波 安波 161 ○あ は

2 大宜味村 7 押川 押川 56 ○ ○お し か わ

3 東村 8 高江 高江 139 ○ ○た か え

4 伊江村 9 伊江 伊江島 4,604 ○い え

5 伊平屋村 10 伊平屋 伊平屋島 1,165 ○い へ や

6 伊是名村 11 伊是名 伊是名島 1,496 ○い ぜ な

中部 7 うるま市 12 津堅 津堅島 446 ○ ○つ け ん

南部 8 南城市 13 久高 久高島 244 ○く だ か

9 渡嘉敷村 14 渡嘉敷 渡嘉敷島 684 ○と か し き

10 座間味村 15 座間味 座間味島 602 ○ ○ざ ま み

(859人) 16 阿嘉 阿嘉島 257 ○ ○あ か

11 粟国村 17 粟国 粟国島 720 ○ ○あ ぐ に

12 渡名喜村 18 渡名喜 渡名喜島 383 ○ ○と な き

13 南大東村 19 南大東 南大東島 1,247 ○み な み だ い と う

14 北大東村 20 北大東 北大東島 576 ○き た だ い と う

宮古 15 多良間村 21 多良間 多良間島 1,160 ○た ら ま

八重山 16 石垣市 22 明石 伊原間あ か い し い ば る ま

134 ○ ○(271人) (明石)

23 平久保 平久保 137 ○ ○ひ ら く ぼ

17 竹富町 24 竹富 竹富島 362 ○た け と み

(4,182人) 25 黒島 黒島 216 ○く ろ し ま

26 小浜 小浜島 690 ○こ は ま

27 西表 西表島 2,365 ○い り お も て

28 鳩間 鳩間島 41 ○は と ま

29 波照間 波照間島 508 ○は て る ま

18 与那国町 30 与那国 与那国島 1,697 ○よ な ぐ に

4市村 12市町村 8市村 3町村

18市町村 30地区 21,017 6地区 17地区 15地区 3地区

958人 16,565人 3,962人 2,898人注1)「無医」は無医地区、「準無医」は準無医地区、「無歯」は無歯科医地区、「その他」は準無医地区の協議が必要であろう地区のこと。

注2)人口は、平成29年1月1日時点、沖縄県企画部市町村課HP掲載の「島しょ別住民基本台帳人口及び世帯数【日本人】」、「市町村

の町字別住民基本台帳人口及び世帯数【日本人】」及び石垣市の報告(字伊原間内の明石地区)による。

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北部医療圏

中部医療圏

宮古医療圏

南部医療圏

八重山医療圏

大神島

石垣島

宮古島

前島

久米島 オーハ島

医へき地医療拠点病院(7病院)

へき地診療所(県立医科)17診療所(うち休止1)

歯へき地診療所(県立歯科)(0箇所)

へき地診療所(市町村立歯科)12診療所(うち休止1)

へき地診療所(市町村立医科)8診療所

病病

医医

国頭村立診療所

国頭村立東部へき地診療所

県立北部病院

国頭村立辺士名歯科診療所

大宜味村立診療所

大宜味村立歯科診療所

東村立診療所

東村歯科診療所

伊江歯科医院

伊江村立診療所

伊平屋診療所

伊平屋村立歯科診療所

伊是名村立歯科診療所

伊是名診療所

県立中部病院

津堅診療所

北大東診療所

北大東村立歯科診療所

南大東診療所

南大東村立歯科診療所

琉球大学医学部附属病院

久高診療所県立南部医療センター・こども医療センター

県立宮古病院

多良間診療所

多良間村立歯科診療所

粟国診療所

渡名喜診療所

渡嘉敷診療所座間味診療所

阿嘉診療所

県立八重山病院

伊原間診療所(休止中)

竹富町立竹富診療所

竹富町立黒島診療所

竹富町立大原歯科診療所

小浜診療所

大原診療所

波照間診療所

西表西部診療所

与那国町立与那国診療所

渡名喜村歯科診療所(休止中)

竹富町立波照間歯科診療所

<凡例と設置数・・・県は白ぬき文字>

波照間島

沖縄県のへき地の医療に関する位置図

【準無医地区】伊平屋村

【準無医地区】伊是名村

【準無医地区】伊江村

【準無医地区】北大東村

【準無医地区】南大東村

【準無医地区】【無歯科医地区】

津堅島

【準無医地区】渡嘉敷島

【準無医地区】【無歯科医地区】

粟国島

【準無医地区】【無歯科医地区】

阿嘉島

【準無医地区】【無歯科医地区】座間味島

【準無医地区】【無歯科医地区】渡名喜島

【準無医地区】竹富島

【準無医地区】黒島

【準無医地区】小浜島

【準無医地区】西表島

鳩間島

【準無医地区】波照間島

与那国島

佐手校区

北国

【準無医地区】久高島

安田 医

安波

楚洲

【無医地区】【無歯科医地区】

平久保

【無医地区】【無歯科医地区】

明石

押川 高江

無医地区等、無歯科医地区等(青字:対象地区名)

【無歯科医地区】

【無医地区】【無歯科医地区】

【無医地区】【無歯科医地区】医

【無医地区】【無歯科医地区】

歯へき地診療所(民間歯科)4診療所(うち休止1)

西表西部歯科診療所

大仲歯科医院

渡嘉敷村歯科診療所

多良間島

浦添総合病院

座覇歯科クリニック粟国分院

公立久米島病院(沖縄県離島医療組合)

<参考掲載>

宮古島市休日夜間救急診療所<参考掲載>

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表4 対象地区の人口推移

対象地区の過去5年の人口の推移は、全体としてはおおむね横ばいです。

対象地区 人 口 推 移 (人)

NO 名称 町字名等 H24.3.31 H25.3.31 H26.1.1 H27.1.1 H28.1.1 H29.1.1

1 佐手校区 謝敷 53 43 42 40 38 39

佐手 89 91 89 84 88 79

辺野喜 157 166 165 163 152 150

宇嘉 49 44 44 42 45 42

2 北国 宜名真 137 130 130 125 117 109

辺戸 84 81 82 82 76 73

3 奥 奥 180 183 183 184 187 190

4 楚洲 楚洲 80 79 80 77 80 79

5 安田 安田 196 194 186 175 168 166

6 安波 安波 178 172 173 169 166 161

7 押川 押川 53 53 58 60 55 56

8 高江 高江 148 144 146 145 151 139

9 伊江 伊江島 4,822 4,775 4,730 4,715 4,686 4,604

10 伊平屋 伊平屋島 1,190 1,195 1,206 1,200 1,171 1,165

11 伊是名 伊是名島 1,565 1,525 1,541 1,535 1,506 1,496

12 津堅 津堅島 531 520 495 483 463 446

13 久高 久高島 256 258 271 271 248 244

14 渡嘉敷 渡嘉敷島 687 691 691 672 678 684

15 座間味 座間味島 574 571 567 582 581 602

16 阿嘉 阿嘉島 264 267 263 255 255 257

17 粟国 粟国島 770 772 739 756 730 720

18 渡名喜 渡名喜島 400 402 402 405 387 383

19 南大東 南大東島 1,256 1,248 1,277 1,261 1,246 1,247

20 北大東 北大東島 535 541 553 574 586 576

21 多良間 多良間島 1,248 1,246 1,253 1,211 1,170 1,160

22 明石 伊原間 124 132 129 136 136 134

明石

23 平久保 平久保 149 143 137 141 142 137

24 竹富 竹富島 333 345 351 363 362 362

25 黒島 黒島 209 201 209 209 210 216

26 小浜 小浜島 549 575 604 634 660 690

27 西表 西表島 2,235 2,220 2,270 2,319 2,356 2,365

28 鳩間 鳩間島 52 59 61 60 50 41

29 波照間 波照間島 526 516 538 537 527 508

30 与那国 与那国島 1,556 1,526 1,543 1,491 1,485 1,697

30地区 21,235 21,108 21,208 21,156 20,958 21,017

注)人口の出典は、時点以外は表3の注2と同じ。

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表5 対象地区の公共交通機関及び医療確保の状況(平成29年3月31日時点)

対象地区公共交通機関の状況 医療確保の状況

NO 名称 町字名等

路線バスが無く、村営有償バスが1日3 車で最寄りの国頭村立診療所及び国頭1 佐手校区 謝敷

回運航しています。 村立歯科診療所まで15分要します。

佐手 同上 同上

辺野喜 同上 同上

宇嘉 同上 同上

車で最寄りの国頭村立診療所及び国頭2 北国 宜名真 同上

村立歯科診療所まで30分要します。

辺戸 同上 同上

車で最寄りの国頭村立診療所及び国頭3 奥 奥 同上

村立歯科診療所まで35分要します。

車で最寄りの国頭村立診療所及び国頭4 楚洲 楚洲 同上

村立歯科診療所まで40分要します。

5 安田 安田 同上 同上

車で最寄りの国頭村立診療所及び国頭6 安波 安波 同上

村立歯科診療所まで35分要します。

公共交通路線から約2km離れていま へき地患者輸送車で最寄りの大宜味村7 押川 押川

す。 立診療所まで送迎しています。

路線バスが1日3回運航しています。 車で最寄りの東村立診療所療所及び東8 高江 高江

村立歯科診療所まで40分要します。

定期航路が1日4往復しています。 島内に伊江村立診療所及び伊江村立9 伊江 伊江島

伊江歯科医院があります。

定期航路が1日2往復しています。 島内に県立伊平屋診療所及び伊平屋10 伊平屋 伊平屋島

村立歯科診療所あります。

定期航路が1日2往復しています。 島内に県立伊是名診療所及び伊是名11 伊是名 伊是名島

村立歯科診療所があります。

定期航路が1日5往復しています。 島内に県立津堅診療所があります。12 津堅 津堅島

定期航路が1日6往復しています。 島内に県立久高診療所があります。13 久高 久高島

定期航路が1日2~3往復しています。 島内に県立渡嘉敷診療所及び民間の14 渡嘉敷 渡嘉敷島

歯科診療所があります。

定期航路が1日3~4往復しています。 島内に県立座間味診療所があります。15 座間味 座間味島

定期航路が1日3~4往復しています。 島内に県立阿嘉診療所があります。16 阿嘉 阿嘉島

定期航路が1日1往復しています。 島内に県立粟国診療所及び民間の歯17 粟国 粟国島

科診療所(事実上休診中)があります。

定期航路が1日1往復しています。 島内に県立渡名喜診療所及び渡名喜村18 渡名喜 渡名喜島

立渡名喜歯科診療所(休止中)があります。

定期航空路が1日2往復しています。 島内に県立南大東診療所及び南大東19 南大東 南大東島

村立歯科診療所があります。

定期航空路が1日1往復しています。 島内に県立北大東診療所及び北大東20 北大東 北大東島

村立歯科診療所がある。

定期航空路が1日2往復、定期航路 島内に県立多良間診療所及び多良間21 多良間 多良間島

が1往復しています。 村立歯科診療所があります。

伊原間 路線バスが1日3回運行しています。 県立八重山病院が週1回巡回診療を22 明石

明石 実施しています。

23 平久保 平久保 同上 同上

定期航路が多数あります。 島内に竹富町立竹富診療所がありま24 竹富 竹富島

す。

定期航路が1日8便あります。 島内に竹富町立黒島診療所がありま25 黒島 黒島

す。

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Page 45: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

対象地区公共交通機関の状況 医療確保の状況

NO 名称 町字名等

定期航路が多数あります。 島内に県立小浜診療所があります。26 小浜 小浜島

定期航路の大原発着が1日多数あり、 島内に県立大原診療所、県立西表西27 西表 西表島

上原発着が7便あります。 部診療所、竹富町立大原歯科診療所及

び民間の歯科診療所があります。

船浮地区については、県立西表西部診

療所が、月1回(年1)回)巡回診療を行って

います。

定期航路が1日5便あります。 県立西表西部診療所が、月1回(年1228 鳩間 鳩間島

回)巡回診療を行っています。

定期航路が1日3便あります。 島内に県立波照間診療所及び竹富町29 波照間 波照間島

立波照間歯科診療所があります。

定期航空路が那覇1日1便、石垣1日 島内に与那国町立与那国診療所及び30 与那国 与那国島

3便あります。 民間の歯科診療所があります。

注)公共交通機関の状況及び医療確保の状況については、対象地区が所在する市町村からの報告による。

3 へき地医療

⑴ へき地医療の現状

対象地区においては、へき地診療所や巡回診療等により医療が提供されています。

ア へき地診療所

本県のへき地診療所は、平成29年3月31日時点において、休止している診療所を

除き、38診療所(医科24、歯科14)です。

※ 「へき地診療所」とは、無医地区等において整備しようとする場所を中心としておおむね半径4km

の区域内に他に医療機関がなく、その区域内の人口が原則として人口1,000人以上であり、かつ当

該診療所から最寄りの医療機関まで通常の交通機関を利用して30分以上要する診療所、又は沖

縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)第3条第3号に規定する「離島」で、かつ、医療機

関のない離島(以下「無医島」という。)のうち、人口が原則として300人以上、1,000人未満の

離島に設置する診療所とされています。

(平成13年5月26日医政発第529号「へき地保健医療対策等実施要綱」(以下「国実施要綱」と

いう。)3参照)

イ 過疎地域等特定診療所

本県の過疎地域等特定診療所は、平成29年3月31日時点において、9診療所

です。歯科のへき地診療所のうち、竹富町に所在する診療所を除く市町村立が

該当します。

※ 「過疎地域等特定診療所」とは、過疎地域等に都道府県又は市町村が開設する眼科、耳鼻

いんこう科又は歯科の過疎市町村唯一の診療所とされています。(国実施要綱14参照)

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表6 へき地診療所(医科) (平成29年3月31日時点)

NO 所在市町村 開設者 診療所名称 運営形態 備考

指定管理者は、一般財団法人1 国頭村 国頭村 国頭村立診療所 指定管理

琉球生命済生会です。指定管理 指定管理者は、公益社団法人

2 国頭村 国頭村 国頭村立東部へき地診療所(予定) 地域医療振興協会です。

委託先は、公益社団法人北部3 大宜味村 大宜味村 大宜味村立診療所 運営委託

地区医師会です。

4 東村 東村 東村立診療所 運営委託 同上

伊江村が管理運営しています。5 伊江村 伊江村 伊江村立診療所 直営

県立北部病院附属 沖縄県病院事業局が管理6 伊平屋村 県 直営

伊平屋診療所 運営しています。県立北部病院附属

7 伊是名村 県 直営 同上伊是名診療所県立中部病院附属

8 うるま市 県 直営 同上津堅診療所県立南部医療センター・こども医療

9 南城市 県 直営 同上センター附属久高診療所県立南部医療センター・こども医療

10 渡嘉敷村 県 直営 同上センター附属渡嘉敷診療所県立南部医療センター・こども医療

11 座間味村 県 直営 同上センター附属座間味診療所県立南部医療センター・こども医療

12 座間味村 県 直営 同上センター附属阿嘉診療所県立南部医療センター・こども医療

13 粟国村 県 直営 同上センター附属粟国診療所県立南部医療センター・こども医療

14 渡名喜村 県 直営 同上センター附属渡名喜診療所県立南部医療センター・こども医療

15 南大東村 県 直営 同上センター附属南大東診療所県立南部医療センター・こども医療

16 北大東村 県 直営 同上センター附属北大東診療所県立宮古病院附属

17 多良間村 県 直営 同上多良間診療所県立八重山病院附属 休止中です。

18 石垣市 県伊原間診療所

竹富町が管理運営しています。19 竹富町 竹富町 竹富町立竹富診療所 直営

指定管理者は、公益社団法人20 竹富町 竹富町 竹富町立黒島診療所 指定管理

地域医療振興協会です。県立八重山病院附属 沖縄県病院事業局が管理

21 竹富町 県 直営小浜診療所 運営しています。県立八重山病院附属

22 竹富町 県 直営 同上大原診療所県立八重山病院附属

23 竹富町 県 直営 同上西表西部診療所県立八重山病院附属

24 竹富町 県 直営 同上波照間診療所

指定管理者は、公益社団法人25 与那国町 与那国町 与那国町立与那国診療所 指定管理

地域医療振興協会です。

県立 計 16診療所 (休止中を除く。) ※1 平成29年3月31日時点沖縄県保健医療部医療政策課調べ及び関係市

市町村立 計 8診療所 町村からの報告による。

民間 計 0診療所

合 計 24診療所

注1)国頭村立東部へき地診療所は、平成29年4月から指定管理を開始。注2)以下、県立病院附属の診療所は、「県立○○診療所」という。

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表7 へき地診療所(歯科) (平成29年3月31日時点)

NO 所在市町村 開設者 診療所名称 運営形態 備考

指定管理者は、有限会社琉石会1 国頭村 国頭村 国頭村立辺土名歯科診療所 指定管理

です。

歯科医師個人との委託契約2 大宜味村 大宜味村 大宜味村立歯科診療所 運営委託

です。

。3 東村 東村 東村立歯科診療所 運営委託 同上

4 伊江村 伊江村 伊江歯科医院 運営委託 同上

5 伊平屋村 伊平屋村 伊平屋村立歯科診療所 運営委託 同上

歯科医師個人との委託契約6 伊是名村 伊是名村 伊是名村立歯科診療所 運営委託

です。H29.9月から再開しています。

民間の歯科診療所です。7 渡嘉敷村 高野匠 渡嘉敷村歯科診療所 -

民間の歯科診療所です。8 粟国村 座覇守弘 ざは歯科クリニック粟国分院 -

現在、休止しています。

休止しています。9 渡名喜村 渡名喜村 渡名喜村歯科診療所 -

歯科医師個人との委託契約10 南大東村 南大東村 南大東村立歯科診療所 運営委託

です。

北大東村が管理運営しています。11 北大東村 北大東村 北大東村立歯科診療所 直営

琉球大学医学部付属病院歯科

口腔外科が医師派遣しています。

歯科医師個人との委託契約12 多良間村 多良間村 多良間村立歯科診療所 運営委託

である。

13 竹富町 竹富町 竹富町立大原歯科診療所 運営委託 同上

医療法人 民間の歯科診療所です。14 竹富町 西表西部歯科診療所 -

桜和会歯科医師個人との委託契約

15 竹富町 竹富町 竹富町立波照間歯科診療所 運営委託である。

16 与那国町 大仲徹 大仲歯科医院 -

県立 計 0診療所 注1)平成29年3月31日時点沖縄県保健医療部医療政策課調べ及び関係市

市町村立 計 11診療所 (休止中を除く。) 町村からの報告による。

注2)過疎地域等特定診療所は、表中民間 計 3診療所 (休止中を除く。)

の国頭村及び竹富町に所在する診療所を除く市町村立歯科診療所

合 計 14診療所が該当する。

注3)「過疎地域」とは、過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)に基づき公示された市町村

のこと。本県の過疎地域は、平成29年4月1日時点において、以下の1市4町13村です。

国頭村、大宜味村、東村、本部町、伊江村、伊平屋村、伊是名村、渡嘉敷村、座間味村、粟国村、渡

名喜村、久米島町、南大東村、北大東村、宮古島市、多良間村、竹富町、与那国町。

ウ へき地診療所の医療従事者数

医科の24へき地診療所の医療従事者は、平成29年1月1日時点において、医師

28名(常勤25名、非常勤3名)、看護師36名(常勤35名、非常勤1名)です。

歯科の14へき地診療所の医療従事者数は、歯科医師15(常勤15名、非常勤0

名)、歯科衛生士7名(常勤6名、非常勤1名)です。

ほとんどの診療所において、医師、看護師等の医療従事者は、1名体制です。

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表8 へき地診療所の医療従事者数(医科) (平成29年1月1日時点)

医師数 看護師数NO 診療所名称

常勤 非常勤 常勤 非常勤

1 国頭村立診療所 1 1 0 2 2 0

2 国頭村立東部へき地診療所 1 1 0 1 1 0

3 大宜味村立診療所 1 1 0 2 2 0

4 東村立診療所 3 1 2 2 2 0

5 伊江村立診療所 3 2 1 8 8 0

6 県立伊平屋診療所 1 1 0 1 1 0

7 県立伊是名診療所 1 1 0 1 1 0

8 県立津堅診療所 1 1 0 1 1 0

9 県立久高診療所 1 1 0 1 1 0

10 県立渡嘉敷診療所 1 1 0 1 1 0

11 県立座間味診療所 1 1 0 1 1 0

12 県立阿嘉診療所 1 1 0 1 1 0

13 県立粟国診療所 1 1 0 1 1 0

14 県立渡名喜診療所 1 1 0 1 1 0

15 県立南大東診療所 1 1 0 1 1 0

16 県立北大東診療所 1 1 0 1 1 0

17 県立多良間診療所 1 1 0 1 1 0

18 県立伊原間診療所 休止

19 竹富町立竹富診療所 1 1 0 1 1 0

20 竹富町立黒島診療所 1 1 0 1 1 0

21 県立小浜診療所 1 1 0 1 1 0

22 県立大原診療所 1 1 0 1 1 0

23 県立西表西部診療所 1 1 0 1 1 0

24 県立波照間診療所 1 1 0 1 1 0

25 与那国町立与那国診療所 1 1 0 3 2 1

計 28 25 3 36 35 1

注1)県立診療所は「平成28年度へき地医療現況調査」、市町村立診療所は関係市町村からの報告による。

表9 へき地診療所の医療従事者数(歯科) (平成29年1月1日時点)

歯科医師数 歯科衛生士NO 診療所名称

常勤 非常勤 常勤 非常勤

1 国頭村立辺土名歯科診療所 1 1 0 0 0 0

2 大宜味村立歯科診療所 2 2 0 0 0 0

3 東村立歯科診療所 1 1 0 1 1 0

4 伊江歯科医院 1 1 0 1 1 0

5 伊平屋村立歯科診療所 1 1 0 1 1 0

6 伊是名村立歯科診療所(H29.9月から再開) 休止

7 渡嘉敷村歯科診療所 1 1 0 0 0 0

8 ざは歯科クリニック粟国分院 休止

9 渡名喜村歯科診療所 休止

10 南大東村立歯科診療所 1 1 0 1 1 0

11 北大東村立歯科診療所 1 1 0 1 1 0

12 多良間村立歯科診療所 2 2 0 1 0 1

13 竹富町立大原歯科診療所 1 1 0 0 0 0

14 西表西部歯科診療所 1 1 0 1 1 0

15 竹富町立波照間歯科診療所 1 1 0 0 0 0

16 大仲歯科医院 1 1 0 0 0 0

計 15 15 0 7 6 1

注1)市町村立診療所は関係市町村からの報告、民間診療所は「平成28年度へき地医療現況調査」又は関

係市町村からの報告による。

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エ へき地診療所の患者数

医科のへき地診療所の過去5年間の年間延べ患者数は、以下のとおり、

平成24年度 年間延べ患者数 123,786人 1日あたり平均患者数 498.8人

平成25年度 年間延べ患者数 126,438人 1日あたり平均患者数 515.9人

平成26年度 年間延べ患者数 127,914人 1日あたり平均患者数 524.2人

平成27年度 年間延べ患者数 123,848人 1日あたり平均患者数 511.6人

平成28年度 年間延べ患者数 124,368人 1日あたり平均患者数 507.4人

と推移しており、人口の推移と同様に、おおむね横ばいです。

歯科のへき地診療所の患者数については、集計が行われていない診療所があり全

体的な比較ができませんでしたが、判明している状況について整理しています。

表10 へき地診療所の年間延べ患者数(医科)

年間延べ患者数NO 診療所名称

H24年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度

1 国頭村立診療所 10,496 9,739 11,376 10,983 11,004

2 国頭村立東部へき地診療所 2,012 1,628 1,706 1,678 1,660

3 大宜味村立診療所 6,728 10,084 9,502 8,714 8,873

4 東村立診療所 4,451 4,825 4,929 4,858 5,572

5 伊江村立診療所 26,130 27,016 28,240 27,140 27,255

6 県立伊平屋診療所 5,927 6,157 5,560 4,818 4,946

7 県立伊是名診療所 6,997 6,773 7,020 5,986 5,375

8 県立津堅診療所 2,801 2,911 3,015 2,582 2,349

9 県立久高診療所 1,355 1,317 1,239 1,303 1,310

10 県立渡嘉敷診療所 3,045 2,889 2,714 2,712 2,858

11 県立座間味診療所 3,612 3,905 3,922 4,133 4,049

12 県立阿嘉診療所 1,988 2,320 2,308 2,231 1,855

13 県立粟国診療所 4,312 4,548 4,059 3,581 3,822

14 県立渡名喜診療所 2,647 2,431 2,369 2,492 2,581

15 県立南大東診療所 6,273 6,714 7,147 7,157 6,372

16 県立北大東診療所 3,866 3,806 3,278 3,122 4,001

17 県立多良間診療所 5,942 5,476 5,201 5,059 5,400

18 県立伊原間診療所 休止 休止 休止 休止 休止

19 竹富町立竹富診療所 1,515 1,512 1,216 2,104 2,020

20 竹富町立黒島診療所 614 684 626 655 790

21 県立小浜診療所 3,236 3,100 3,209 2,775 2,879

22 県立大原診療所 4,126 4,084 3,933 3,874 3,805

23 県立西表西部診療所 4,866 4,014 4,509 4,636 4,573

24 県立波照間診療所 3,590 3,399 3,416 3,366 2,953

25 与那国町立与那国診療所 7,257 7,106 7,420 7,889 8,066

計 123,786 126,438 127,914 123,848 124,368

注1)各年度4月1日から3月31日までの1年間の延べ患者数です。(土曜日、日曜日等の救急患者を含む。)

注2)患者数については、沖縄県病院事業局及び関係市町村からの報告による。以下同じ。

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表11 へき地診療所の1日あたり平均患者数(医科)

1日あたり平均患者数NO 診療所名称

H24年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度

1 国頭村立診療所 35.8 36.3 39.2 37.0 37.2

2 国頭村立東部へき地診療所 7.3 6.7 7.0 7.0 6.9

3 大宜味村立診療所 27.8 41.8 39.4 36.3 36.8

4 東村立診療所 18.2 19.8 20.6 20.4 23.1

5 伊江村立診療所 107.3 110.5 117.2 113.1 113.1

6 県立伊平屋診療所 24.2 25.2 22.9 19.9 20.4

7 県立伊是名診療所 28.6 27.8 28.9 24.7 22.2

8 県立津堅診療所 11.4 11.9 12.4 10.7 9.7

9 県立久高診療所 5.5 5.4 5.1 5.4 5.4

10 県立渡嘉敷診療所 12.4 11.8 11.2 11.2 11.8

11 県立座間味診療所 14.7 16.0 16.1 17.1 16.7

12 県立阿嘉診療所 8.1 9.5 9.5 9.2 7.7

13 県立粟国診療所 17.6 18.6 16.7 14.8 15.8

14 県立渡名喜診療所 10.8 10.0 9.7 10.3 10.7

15 県立南大東診療所 25.6 27.5 29.4 29.6 26.3

16 県立北大東診療所 15.8 15.6 13.5 12.9 16.5

17 県立多良間診療所 24.3 22.4 21.4 20.9 22.3

18 県立伊原間診療所 休止 休止 休止 休止 休止

19 竹富町立竹富診療所 6.4 7.0 8.7 9.1 9.2

20 竹富町立黒島診療所 2.5 2.9 2.7 8.7 3.3

21 県立小浜診療所 13.2 12.7 13.2 11.5 11.9

22 県立大原診療所 16.8 16.7 16.2 16.0 15.7

23 県立西表西部診療所 19.9 16.5 18.6 19.2 18.9

24 県立波照間診療所 14.7 13.9 14.1 13.9 12.2

25 与那国町立与那国診療所 29.9 29.4 30.5 32.7 33.6

計 498.8 515.9 524.2 511.6 507.4

注) 診療日数は、休診日を除いた診療日数を用いて算出している。

表12 へき地診療所の年間延べ患者数(歯科)

年間延べ患者数NO 診療所名称

H24年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度

1 国頭村立辺土名歯科診療所 5,743 5,884 6,209 6,071 5,834

2 大宜味村立歯科診療所 5,588 5,693 6,562 6,771 6,595

3 東村立歯科診療所 3,545 3,469

4 伊江歯科医院 5,363 5,882 6,036 6,928 6,240

5 伊平屋村立歯科診療所

6 伊是名村立歯科診療所

7 渡嘉敷村歯科診療所 719

8 ざは歯科クリニック粟国分院

9 渡名喜村歯科診療所 休止 休止

10 南大東村立歯科診療所 2,257 3,536

11 北大東村立歯科診療所 1,036 965 2,284 1,641 1,149

12 多良間村立歯科診療所 2,383 2,316 2,090 1,952 1,803

13 竹富町立大原歯科診療所 903 870 757 736 987

14 西表西部歯科診療所 2,525 2,325 1,850

15 竹富町立波照間歯科診療所 453 504 407

16 大仲歯科医院

計 (判明部分のみ) 21,016 21,610 26,916 32,730 32,589

注)空欄は、数値が判明しなかった部分。その他については、表10と同じ。

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表13 へき地診療所の1日あたりの平均患者数(歯科)

1日あたり平均延べ患者数NO 診療所名称

H24年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度

1 国頭村立辺土名歯科診療所 20.6 20.9 22.1 21.5 20.1

2 大宜味村立歯科診療所 22.0 22.6 27.0 27.9 26.9

3 東村立歯科診療所 12.4 12.5

4 伊江歯科医院 18.9 25.4 21.3 24.0 22.0

5 伊平屋村立歯科診療所

6 伊是名村立歯科診療所

7 渡嘉敷村歯科診療所 3.3

8 ざは歯科クリニック粟国分院

9 渡名喜村歯科診療所 休止 休止

10 南大東村立歯科診療所 9.2 14.3

11 北大東村立歯科診療所 4.0 4.0 10.0 7.1 5.1

12 多良間村立歯科診療所 9.6 9.3 8.3 7.7 7.1

13 竹富町立大原歯科診療所 3.7 3.7 3.3 3.4 4.2

14 西表西部歯科診療所 9.8 8.4 7.1

15 竹富町立波照間歯科診療所 14.6 1.8 1.2

16 大仲歯科医院

計 (判明部分のみ) 78.8 85.9 116.4 123.4 123.8

注)空欄は、数値が判明しなかった部分。その他については、表11と同じ。

オ へき地診療所に関するその他事項

へき地を抱える国頭村や大宜味村等の市町村においては、へき地患者輸送車を

整備し、患者の通院支援を行っています。

県では、これらの市町村がへき地患者輸送車を整備する費用を補助する等の財政

支援を行っています。

カ 対象地区の巡回診療

へき地診療所では、医療資源が限られる中、地域住民が求める医療を医師1名

体制で提供する必要があり、多様な診療領域に対応できる幅広い臨床能力を身に

付けた医師(主に総合診療医)が診療に従事していますが、眼科、耳鼻いんこう科

精神科等の専門科疾患について、十分な対応をすることが困難な場合があります。

このため、県立西表西部診療所による竹富町鳩間島及び西表島(船浮地区)を

対象とした巡回診療や、へき地医療拠点病院や民間医療機関(オリブ山病院等)に

よる対象地区の巡回診療が実施されています。

また、県では、離島・へき地における専門科の受診機会を確保するため、平成24

年度から眼科や耳鼻いんこう科等の特定診療科目の巡回診療を実施しています。

しかしながら、へき地診療所や巡回診療では、居住する地域で必要な医療を受け

ることができず、地域外の医療機関へ通院せざるを得ない方々もいますので、本県で

は、このような方々を対象に、島外の医療施設への通院費の負担を軽減するための

取り組みを平成29年度から実施しています。

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表14 対象地区の巡回診療の実施状況(平成28年度)

延べ実施主体名称 診療科目 巡回地区 回数 患者数

(回) (人)県立西表西部診療所 内科 船浮(西表) 12 88(へき地診療所) 鳩間 12 53県立八重山病院 内科 伊原間 49 239(へき地医療拠点病院) (明石、平久保)

精神科 小浜 6 14(こころ科) 西表 6 46

波照間 4 55与那国 5 58

特定医療法人葦の会 精神科 座間味 11 78オリブ山病院 南大東 18 196

北大東 24 75県 眼科 伊平屋 12 86(専門医派遣巡回診療 耳鼻いんこう科 伊是名 1 16支援事業) 整形外科 伊江 17 284

精神科 渡嘉敷 16 120皮膚科 座間味 5 50産婦人科 粟国 7 68

多良間 14 134黒島 4 36与那国 30 423

(※以下内訳) (6診療科) (9地区) 106 1,217県立宮古病院 整形外科 3 69(へき地医療拠点病院) 産婦人科 多良間 5 25

精神科 6 40琉球大学医学部附属病院 耳鼻いんこう科 伊平屋 3 15(へき地医療拠点病院) 渡嘉敷 5 26

皮膚科 与那国 12 119社会医療法人かりゆし会 眼科 伊江 4 79ハートライフ病院 渡嘉敷 3 27特定医療法人葦の会 精神科 粟国 3 16オリブ山病院医療法人沖縄徳洲会 眼科 与那国 5 90中部徳洲会病院東京大学 眼科 与那国 3 43埼玉医科大学 整形外科 伊平屋 4 28

渡嘉敷 6 47粟国 1 8黒島 1 5

山王耳鼻咽喉科 耳鼻いんこう科 伊江 11 160与那国 10 171

高橋眼科 眼科 伊平屋 5 43伊江 2 45渡嘉敷 2 20座間味 5 50黒島 3 31

その他個人 眼科 粟国 3 44伊是名 1 16

合計 17地区 253回 2,119人注)各実施主体又は委託先からの報告による。

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キ 対象地区の急患搬送

へき地診療所では十分に対応できない救急患者については、浦添総合病院が運

行している沖縄県ドクターヘリ、陸上自衛隊第15旅団(以下「自衛隊」という。)及び

第十一管区海上保安本部(以下「海上保安庁」という。)の協力により、沖縄本島等

の病院へ、ヘリコプター等で急患搬送できる体制を整えています。

各搬送機関の地域及び時間帯の役割分担については、概ね表15のとおりで、対象

地区の過去5年間の急患搬送実績は、表16のとおりです。

また、自衛隊又は海上保安庁による搬送の際には、医師等を添乗させることとして

おり、平成29年3月31日時点おいて、添乗協力病院数は表17のとおり11病院です。

表15 急患搬送体制の役割分担について

搬送区間 日中 夜間(目安8:30~17:30) (目安17:30~8:30)

沖縄本島内 ドクターヘリ 救急車

沖縄本島 ― 本島周辺離島(南北大東島を除く。) ドクターヘリ 自衛隊

沖縄本島 ― 南北大東島、宮古島、石垣島 自衛隊 自衛隊

宮古島 ― 石垣島 海上保安庁 海上保安庁

宮古島 ― 宮古島周辺離島 海上保安庁 海上保安庁

石垣島 ― 石垣島周辺離島 海上保安庁 海上保安庁

表16 対象地区の急患搬送実績

年度別急患搬送実績(件) 注1)沖縄県保健医療部NO 搬送機関名称 医療政策課調べ。

H24 H25 H26 H27 H28注2)搬送実績件数は、総搬送

1 ドクターヘリ 186 163 171 147 136 件数のうち対象地区分を抽出した件数です。

2 自衛隊 62 74 67 72 79

3 海上保安庁 72 56 64 67 41

4 その他 12 70 144 143 134

計 332 363 446 429 390

表17 本県の添乗協力病院一覧(平成29年3月31日時点)

NO 医療機関名称 NO 医療機関名称

1 社会医療法人敬愛会 中頭病院 8 沖縄県立宮古病院

2 社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 9 沖縄県立八重山病院

3 沖縄赤十字病院 10 医療法人沖縄徳洲会 中部徳洲会病院

4 沖縄医療生活協同組合 沖縄協同病院 11 社会医療法人友愛会 豊見城中央病院

5 医療法人沖縄徳洲会 南部徳洲会病院 注)沖縄県保健医療部医療政策課調べ。

6 沖縄県立中部病院

7 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター

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⑵ へき地医療の課題

ア 特定診療科目等の巡回診療等

へき地診療所やへき地医療拠点病院等は、対象地区の巡回診療を継続して実

施することが求められます。

また、県では、対象地区の住民が必要な医療を受ける機会を確保するため、平成

24年度から眼科や耳鼻いんこう科等の特定診療科目の巡回診療を実施する(専門

医派遣巡回診療支援事業等)とともに、平成29年度から新たに離島患者の島外へ

の通院等の経済的負担を軽減する取り組み(離島患者等支援事業)を開始してお

り、地域住民のニーズを踏まえた取り組みを継続していく必要があります。

特に、無歯科医地区の歯科医療の確保については、無歯科医地区が所在する関

係市町村とともに施策を検討する必要があります。

イ 効率的な急患搬送体制の構築

対象地区の急患搬送を効率的かつ安定的に実施するためには、添乗協力病院数

を増やすことや搬送時間を短縮すること等の取り組みを実施していく必要があります。

詳細については、第5章1⑴ 救急医療を参照。

4 へき地医療の支援

⑴ へき地医療の支援の現状

ア へき地医療拠点病院

へき地診療所に対する支援を行う医療機関として、へき地医療拠点病院がありま

す。本県のへき地医療拠点病院は、平成29年3月31日時点において、7病院です。

へき地医療拠点病院では、以下イからオまでののとおりへき地医療の支援が行われ

ています。

※ 「へき地医療拠点病院」とは、無医地区等を対象として、へき地医療支援機構の指導・調整の下

に、巡回診療、へき地診療所等への医師派遣、へき地診療所の医師等の休暇時における代診医派

遣等を実施した実績を有する又はこれらの事業を当該年度に実施できると認められる病院として都道

府県知事が指定した病院とされています。

(国実施要綱2参照)

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表18 へき地医療拠点病院一覧

NO 医療機関名称 指定年月日 注)沖縄県保健医療部保健医療総務課調べ

1 沖縄県立北部病院 平成14年7月9日

2 沖縄県立中部病院 平成14年7月9日

3 沖縄県立宮古病院 平成14年7月9日

4 沖縄県立八重山病院 平成14年7月9日

5 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 平成18年4月1日

6 社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 平成19年4月6日

7 琉球大学医学部附属病院 平成23年3月24日

イ 巡回診療

前述の3-⑴-カ「対象地区の巡回診療」及び表14「対象地区における巡回診療の

実施状況(平成28年度)」参照。

ウ 医師派遣

医師派遣とは、へき地医療拠点病院からへき地診療所に、常勤医等として継続的

に従事する医師及び歯科医師を派遣することであり、医師の確保が困難なへき地診

療所に対する重要な支援の一つです。

県内のへき地医療拠点病院では、琉球大学医学部附属病院が、昭和62年から

平成29年現在にかけて継続的に、北大東村立歯科診療所へ歯科医師を派遣して

います。

また、県病院事業局では、県から、県立北部病院、県立中部病院及び県立南部

医療センター・こども医療センターにおいて離島診療所等に派遣することを目的とする

後期研修医の養成事業を受託し、養成した医師を離島診療所へ派遣しています。

エ 代診医派遣

代診医派遣とは、へき地診療所で働く医師は研修や休暇等で容易に診療所を離

れることができないため、当該医師が必要な医療技術を学ぶために研修に参加する場

合や休暇を取得する場合に、一時的な代替として医師を派遣することであり、へき地

診療所に対する重要な支援の一つです。

へき地医療拠点病院によるへき地診療所への代診医派遣状況については、平成

26年度に256日、平成27年度に353日、平成28年度に389日となっています。

オ 代替看護師派遣

代替看護師派遣とは、へき地診療所で働く看護師も、医師と同様、研修や休暇

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等の場合に容易に診療所を離れることができないため、看護師が必要な医療技術を

学ぶための研修に参加する場合や休暇を取得する場合に、一時的な代替として看護

師を派遣することであり、へき地診療所に対する重要な支援の一つです。

へき地医療拠点病院による代替看護師派遣状況は、親病院である県立病院が

県立のへき地診療所へ代替看護師を派遣しており、平成26年度に147日、平成27

年度に122日、平成28年度に145日となっています。

表19 へき地医療拠点病院によるへき地診療所への代診医派遣状況

年度別代診医派遣日数 派遣先診療所NO 医療機関名称

H26 H27 H28 診療所数 名称

伊平屋、伊是名1 沖縄県立北部病院 39 38 69 2

津堅、渡嘉敷、南大東2 沖縄県立中部病院 19 61 71 3

沖縄県立南部医療センター・ 久高、粟国、渡名喜3 83 157 174 6こども医療センター 座間味、阿嘉、北大東

多良間4 沖縄県立宮古病院 69 41 46 1

小浜、大原、5 沖縄県立八重山病院 46 41 26 4

西表西部、波照間

伊平屋、渡嘉敷、6 琉球大学医学部附属病院 0 12 3 5

座間味、竹富、与那国

社会医療法人仁愛会 伊江7 0 3 0 1浦添総合病院

合計 256 353 389 22

注1)沖縄県保健医療部保健医療総務課調べ。

注2)県立病院は、附属診療所へ代診医を派遣しています。

注3)浦添総合病院は、伊江村長からの依頼を受け、伊江村立診療所へ代診医を派遣しています。

注4)琉球大学医学部附属病院の実績については、県がへき地医療支援機構運営事業で実施する代診医派

遣への同病院職員の参加によるものです。

カ その他の支援

へき地医療拠点病院である県立病院では、本院の電子カルテシステムを附属のへ

き地診療所においても閲覧できる環境を整え、へき地診療所での診療を支援していま

す。

⑵ へき地医療の支援の課題

本県の地理的特殊性やへき地診療所の診療体制、勤務環境等を踏まえると、この

計画の対象地区における医療については、医師、歯科医師等の個人の努力に依存する

のではなく、へき地医療拠点病院等による継続的な支援を充実強化させていく必要があ

ります。

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ア へき地医療拠点病院による巡回診療、医師派遣及び代診医派遣の充実強化

厚生労働省は、へき地医療拠点病院は、その主たる事業である巡回診療、医師

派遣又は代診医派遣のいずれかを月1回以上あるいは年12回以上実施することが望

ましいとの見解を示しています。

本県のへき地医療拠点病院のうち、各県立病院は代診医派遣を年12回以上実

施しています。琉球大学医学部附属病院は県が実施する専門医派遣巡回診療支

援事業を通して年12回以上の巡回診療に協力しているとともに、北大東村立歯科診

療所へ通年の歯科医師派遣を行っています。浦添総合病院については、平成27年

度に、伊江村立診療所へ年3回の代診医派遣を実施し、救急医療としてドクターヘリ

の急患搬送によりへき地医療に貢献しているところですが、今後、へき地医療拠点病

院として望ましいとされる数の巡回診療、医師派遣又は代診医派遣等を実施すること

が求められます。

いずれのへき地医療拠点病院も、引き続き、へき地診療所に対する支援を継続す

るとともに、充実強化していくことが求められます。

イ へき地医療拠点病院による代替看護師等の充実強化

現在、県立診療所については、親病院である県立病院からの代替看護師派遣や

対象地区に在住している潜在看護師を代替看護師として活用している事例がありま

すが、休暇の取得日が重複する場合など、代替看護師の派遣の確保が困難な状況

があることから、代替看護師派遣体制を充実強化していくことが求められます。

なお、市町村立診療所については、労働者派遣法の規定により看護師派遣が禁

止されていることから、へき地医療拠点病院から代替看護師を派遣することができない

ことが課題となっています。

5 医療従事者の確保

⑴ 医療従事者の確保の現状

ア 医師

(ア) 医学生の養成

a 自治医科大学への学生派遣

県は、離島・へき地における医師確保を目的として、昭和48年度から自治医

科大学への県出身学生の派遣を行っています。卒業生は、学費の免除を受ける

条件として一定期間へき地診療所等の医療機関に勤務することとなっており、へ

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き地医療の主要な担い手となっています。

b 琉球大学医学部地域枠

沖縄県では、医師不足と偏在の解消を目的として、平成21年度から琉球大

学医学部に地域枠が設置され、定員を増員して医学生の養成が行われていま

す。県は、地域枠学生に修学資金を貸与し、地域枠学生が医師免許の取得

後、へき地診療所を含む離島・へき地の医療機関で一定期間就業した場合に

は、貸与した資金の返還を免除する仕組みを構築しています。現時点では全員

が学生又は研修医ですが、平成32年度以降、北部及び離島地域の医療機関

において、勤務を開始する予定となっています。

(イ) 臨床研修

県は、医師の確保が困難な離島・へき地の医師を確保するため、県立病院に

おいて後期臨床研修医を養成し、これらの地域の県立の病院及び診療所に派遣

する医学臨床研修事業を行っています。多様な診療領域に対応できる幅広い臨

床能力を身に付けた医師(主に総合診療医)を養成し、離島診療所へ派遣して

います。

イ 看護師

(ア) 看護大学における地域推薦入学制度

看護大学の入学試験に特定町村や宮古島市・石垣市に保護者が住所を有

しており、各市町村長や中学・高校の校長が推薦する者で、卒業後推薦市町村

において地域の保健・医療・福祉の向上に貢献しようとする者に対して推薦制度を

設けており、一般推薦入学や社会人特別選抜を含めて特別選抜として、合わせ

て20名枠を設けています。

※ 特定町村とは、伊江村、伊平屋村、伊是名村、渡嘉敷村、座間味村、

粟国村、渡名喜村、南大東村、北大東村、久米島町、多良間村、竹富

町、与那国町、国頭村、大宜味村及び東村のこと。

(イ) 看護大学における選択必修科目「島しょ保健看護」と離島実習の実施

離島やへき地で医療を担う看護職者の育成を目的として、島しょで暮らす人々

の生活を、地理的、文化的な広い視野から理解し、島しょにおける健康問題の解

決や健康生活上の課題解決のために、プライマリー・ヘルスケアとチームアプローチ

(協働と連携)を学ぶ「島しょ保健看護」を選択必修科目とするとともに、学生が離

島を正しく理解し、魅力ある職場として選択できるように、離島実習を実施してい

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ます。

(ウ) 看護師等修学資金の業務従事期間の計算優遇

看護職員の確保が困難な特定町村に所在する医療施設等で就業する場合、

返還債務の当然免除とする業務従事期間を計算する際に、月数を2倍にして計

算することにより、就業義務年限を半減し、特定町村への就業を促しています。

ウ 歯科医師及び歯科衛生士

市町村立歯科診療所では、開設者である市町村が指定管理等により歯科診療

所を運営しており、歯科医師、歯科衛生士等の確保に取り組んでいます。

⑵ 医療従事者の確保の課題

ア 医師

県は、自治医科大学や琉球大学医学部地域枠、県立病院における後期臨床研

修に係る取り組みを通じて、へき地診療所を含む離島・へき地の医療機関で勤務する

医師の養成、確保を行っていますが、これらの取り組みを引き続き計画的に実施して

いくことが求められています。

イ 看護師

県立診療所における看護師については、県病院事業局において、その必要数が確

保されていますが、産休や育児休業、病休等の代替職員の確保に苦慮する場合もあ

り、離島・へき地においては、島内の潜在看護師の人材活用を含め取り組む必要があ

ります。

ウ 歯科医師及び歯科衛生士

へき地診療所における歯科医師及び歯科衛生士については、開設者である市町

村の努力により一定程度確保されています。

今後は、関係市町村のニーズ、取り組み等を踏まえ、必要に応じて、関係市町村と

ともに確保のための施策を検討する必要があります。

なお、医療従事者の確保の詳細については、「第7章 医療従事者の養成・確保」を

参照。

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6 行政機関等による支援

⑴ 行政機関等による支援の現状

ア 県による支援

(ア) へき地医療支援機構

県は、広域的なへき地医療支援事業を企画・調整し、へき地医療対策の各種

事業を円滑かつ効率的に実施することを目的とした沖縄県へき地医療支援機構

の運営を公益社団法人地域医療振興協会への委託により、平成19年度から実

施しています。同機構では、へき地の公的医療機関での勤務を希望する医師の

情報や医師の派遣が可能な医療機関等の情報を県内外から収集し、登録・管

理して、へき地の公的医療機関へ紹介するドクターバンクを運営しており、平成29

年3月31日現在の登録者数は173名となってます。

(イ) 沖縄県地域医療支援センター

へき地を含む県内の医師不足の状況を把握・分析し、地域医療に従事する医

師のキャリア形成支援と医師不足病院の医師確保の支援等を一体的に行うこと

により医師の地域偏在の解消を図る沖縄県地域医療支援センターの運営を琉球

大学への委託により平成26年度から実施しています。

(ウ) 代診医派遣

県は、へき地医療拠点病院による代診医派遣とは別に、へき地診療所の医師

の勤務環境を改善するため、以下の代診医派遣の取り組みを実施しています。

a 代診医派遣事業(ドクタープール事業)

県保健医療部において、代診を行う医師2名を確保し、離島診療所の医師

が研修及び学会に参加する際の代診医として派遣しています。

b へき地医療支援機構による代診医派遣

へき地医療支援機構は、県から委託を受けて、へき地診療所への代診医派

遣を実施しています。

へき地医療拠点病院、代診医派遣事業及びへき地医療支援機構による代診

医派遣の3つの取り組みの代診医派遣実績は、平成26年度は504日、平成

27年度は649日、平成28年度は628日となっています。

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表20 へき地診療所の代診医利用実績

H26年度 H27年度 H28年度NO 診療所名

拠点 県 機構 計 拠点 県 機構 計 拠点 県 機構 計

1 国頭村立診療所

2 国頭村立東部へき地診療所 8 8 7 7 7 7

3 大宜味村立診療所

4 東村立診療所

5 伊江村立診療所 26 26 3 44 47 7 7

6 県立伊平屋診療所 25 3 4 32 24 16 16 56 24 8 11 43

7 県立伊是名診療所 14 8 22 14 9 6 29 45 4 9 58

8 県立津堅診療所 5 5 10 8 7 15 15 4 19

9 県立久高診療所 5 4 3 12 8 3 11 1 13 14

10 県立附属渡嘉敷診療所 8 14 22 28 12 3 43 21 7 28

11 県立座間味診療所 21 10 31 29 15 3 47 19 8 11 38

12 県立阿嘉診療所 16 9 25 22 3 25 26 7 33

13 県立粟国診療所 18 8 26 44 7 3 54 21 13 8 42

14 県立渡名喜診療所 11 10 21 24 15 39 21 3 24

15 県立南大東診療所 6 12 18 25 20 45 35 11 46

16 県立北大東診療所 12 5 17 30 17 47 86 7 9 102

17 県立多良間診療所 69 69 41 3 4 48 46 46

18 県立伊原間診療所

19 竹富町立竹富診療所 46 46 7 7 12 12

20 竹富町立黒島診療所 14 14

21 県立小浜診療所 9 10 19 2 15 17 12 15 27

22 県立大原診療所 10 10 20 15 13 4 32 3 11 14

23 県立西表西部診療所 12 8 20 12 14 26 8 10 18

24 県立波照間診療所 15 16 31 12 13 25 3 23 26

25 与那国町立与那国診療所 29 29 29 29 10 10

計 256 132 116 504 341 179 129 649 386 131 111 628

注1)「拠点」はへき地医療拠点病院独自の派遣事業、「県」は代診医派遣事業、「機構」はへき地医療支援機

構運営事業委託による代診医のこと。

注2)本表は、事業の実施主体別で計上しており、表19の琉球大学付属病院の実績分は、へき地医療拠点病

院の実績として計上している。

(エ) 代替看護師派遣

県は、へき地医療拠点病院による代替看護師派遣とは別に、へき地診療所の

看護師の勤務環境を改善するため、平成25年度から、沖縄県病院事業局が配

置する2名の代替看護師に係る人件費を補助する代替看護師派遣事業を実施

しています。

代替看護師派遣事業の派遣実績は、平成26年度に242日、平成27年度に

204日、平成28年度に312日となっています。

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表21 へき地医療拠点病院からへき地診療所への代替看護師派遣状況

年度別代替看護師派遣日数NO 種別

H25 H26 H27 H28

県立病院による県立のへき地診療所への1 45 147 122 145派遣実績

県事業の代替看護師派遣事業による2 201 242 204 312派遣実績

合計 246 389 326 457

注)沖縄県保健医療部保健医療総務課調べ。

(オ) 沖縄県離島・へき地遠隔医療支援情報システム

県は、平成12年度からへき地診療所に対する支援を目的に、6つの県立病

院、16の県立診療所及び本庁を結ぶネットワーク「沖縄県離島・へき地遠隔医療

支援情報システム」を運用しています。

当該システムでは、へき地診療所にいながら、各施設間の診療ノウハウの共有、

診療相談等の幅広い情報収集やWEB会議システムを活用した遠隔の講義や

会議を行うことができる環境を整えています。

(カ) 主な財政負担・支援

a 県立病院繰出金

地方公営企業法において、病院事業を含む公営企業の経営は、独立採算

が原則とされていますが、その性質上、経営に伴う収入をもって充てることが困難

であると認められる経費等については、一般会計において負担するものとされてい

ます。

県は、公営企業の経費負担の原則に基づき、県立病院のへき地の医療の確

保に要する経費について、県立病院及び診療所が安定的に医療を提供できる

よう一般会計からの繰出を適切に行っています。

b 県による市町村立診療所への支援

県は、市町村立へき地診療所に対して、厚生労働省の国庫補助事業を活

用し、へき地診療所の施設整備、設備整備及び運営費の財政支援を行ってい

ます。

(a) 施設整備費に対する補助

県は、市町村立へき地診療所、医師住宅等の施設整備に要する経費に

対して、県が定める基準額の範囲内で10分の10補助しています。

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(b) 設備整備費に対する補助

県は、市町村立へき地診療所の医療機器等の設備整備に要する経費に

対して、県が定める基準額の範囲内で、8分の7補助しています。

過疎地域等特定診療所については、8分の5補助しています。

(c) 運営費に対する補助

県は、市町村立へき地診療所の運営に要する経費に対して、県が定める

基準額の範囲内で、10分の10補助しています。

イ 市町村による支援

県とへき地医療支援機構は、関係者が協力・連携し、離島診療所が抱える課

題の解決を図るため、平成 24 年度に「離島及びへき地診療所所在市町村主管

課長会議」を設置しています。

現在、この会議において、必要に応じて、県立診療所の運営に対する市町村

の協力を求めており、市町村では、以下のような取り組みが行われています。

(ア) 医師等の生活環境の整備

うるま市では、平成29年度から開始した津堅診療所等安全安心体制確保事業

により、医師宿舎や看護師宿舎に防犯カメラを設置し、医療従事者の生活面の安

全確保を図っています。

そのほか、一部の市町村において、医師住宅、看護住宅等の整備・維持管理、

住宅周辺の草刈・清掃等が行われています。

(イ) 医師等の勤務環境の整備

へき地診療所では、夜間・休日に第三者の付添いによって、患者、医師等が安

心安全に医療を提供・受けられる体制づくりが重要であることから、うるま市では、平

成29年度から開始した津堅診療所等安全安心体制確保事業により、安全対策

員を確保し、津堅診療所等の時間外(夜間及び休日等)における全例付添いを

行っています。

座間味村では、夜間・休日等の時間外診療時に消防団員を付添いさせ、医師

の安全を確保しています。

北大東村においても、医師の安全確保に向けた取り組みを検討しています。

そのほか、一部の市町村において、休暇や研修機会の確保、研修費用の助成、

教育実習の受入れによる研修体制の構築等が行われています。

(ウ) 住民への適正受診等診療に関する普及啓発

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一部の市町村において、時間外の受診を控える等住民全体で診療所を支える

という意識の醸成を図り、医師の負担軽減を図る等しています。

(エ) 診療所医師との意見交換等コミュニケーション機会の確保

一部の市町村において、医師と課題を共有するための意見交換の場を設けると

ともに、青年会活動やサークル活動等地域の行事等に医師を招き、地域住民との

交流の機会を設けるなどしています。

⑵ 行政機関等による支援の課題

ア 県による支援の課題

(ア) へき地医療支援機構の課題

ドクターバンクを活用したへき地診療所への医師の紹介を継続して行う必要が

あります。

また、国実施要綱で、へき地医療拠点病院は、へき地医療支援機構の指導・

調整の下に、事業を行うこととされており、へき地医療支援機構は、へき地医療拠

点病院のほか、関係機関・団体との連携の一層の強化を図り、へき地医療支援

の充実に取り組む必要があります。

なお、へき地医療支援機構と沖縄県地域医療支援センターは、より緊密な

連携の方策を検討し、へき地の医療の確保に向けて、総合的な企画・調整を

行っていく必要があります。

(イ) 沖縄県地域医療支援センターの課題

へき地を含む県内の医師不足・偏在に対応する医師確保のコントロールタワーと

しての役割を確立するため、沖縄県地域医療支援センターの機能や組織体制の

強化を進める必要があります。

(ウ) 代診医派遣の課題

ほとんどのへき地診療所では、医師1人の診療体制となっており、医師1人で1

年を通して地域住民の健康を守っていくことは、医師にとって大きな負担とな

っています。また、へき地診療所では、医師が研修や休暇等で診療所から離れ

ることも容易ではない現状にあります。へき地診療所医師のスキルアップ環境の向

上や勤務環境を改善するため、代診医派遣のさらなる充実を図る必要がありま

す。

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(エ) 代替看護師派遣の課題

へき地医療拠点病院による代替看護師派遣と同様に、休暇の取得日が重複す

る場合など、代替看護師の派遣の確保が困難な状況があることから、代替看護師

派遣事業を充実強化していくことが求められます。

なお、市町村立診療所については、労働者派遣法の規定により看護師派遣が

禁止されていることから、代替看護師を派遣することができないことが課題となってい

ます。

(オ) その他の支援の課題

a 沖縄県離島・へき地遠隔医療支援情報システム

このシステムは、県立病院と県立診療所をネットワークにより繋いでいますが、市

町村立へき地診療所と繋がっていません。県によるへき地診療所に対する支援とし

て、市町村立診療所も対象とするか、関係市町村のニーズ、費用負担の可否等

を踏まえ、その必要性について検討します。

b 財政負担・支援

県立病院繰出金や市町村に対する補助金等の財政負担・支援については、

毎年度、関係機関との調整や市町村からの要望を踏まえ、適切に対応していきま

す。

イ 市町村による支援の課題

市町村では、医師の安全確保、診療所及び歯科診療所の設置、医師等の生活

環境や勤務環境の整備、住民への適正受診の普及啓発等の取り組みが行われてい

ますが、取り組む内容が市町村毎に異なっています。

今後は、県内の医療提供体制における市町村の役割や協力のあり方について、議

論していく必要があります。

- 241 -

Page 66: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

第2 目指す方向性

1 目指す姿

住み慣れた地域で暮らし続けるために必要な継続的な医療サポートを受けることができて

いる。

2 取り組む施策

⑴ 対象地区での医療提供体制の確保

人口や患者が少ない地域においては、へき地診療所をいかに維持していくかが課題と

なっており、その運営を維持していくことは費用の面だけでなく、医療従事者の確保の面か

らも容易ではありません。へき地診療所を維持していくためには、県、市町村、医療機関

及び地域住民の連携協力が必要不可欠であり、以下の施策に取り組みます。

ア 無医地区等及び無歯科医地区等

地域の人口や医療機関の状況等を的確に把握し、無医地区等及び無歯科医地

区等の協議等を適切に行います。

(ア) 無医地区

厚生労働省は、人口が50人以下になる等して、無医地区・無歯科医地区から

外れた地域について、医療の必要性が無くなったわけではないため、都道府県にお

いて、『無(歯科)医地区に準じる地区』に指定する等、適正に判断し、へき地医療

の取り組みが後退することがないよう留意する必要があるとの見解を示しています。

本県としましても、無医地区の要件を満たさなくなった鳩間島について、準無医

地区の協議の必要性について検討します。

(イ) 準無医地区

鳩間島に加え、多良間村(多良間島)及び与那国町(与那国島)についても、医

師1人の診療所である県立多良間診療所及び与那国町立与那国診療所の診療

の実情に応じて、標榜診療科を見直し、準無医地区の協議の必要性について検

討します。

(ウ) 無歯科医地区

無歯科医地区となった、座間味村(座間味島、阿嘉島)、粟国村(粟国島)及

び渡名喜村(渡名喜島)については、市町村とともに施策を検討する必要がありま

- 242 -

Page 67: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

す。

イ へき地診療所の施設設備の整備費及び運営費の支援

へき地診療所、医師住宅等のうち老朽化が進んでいるものがあり、今後は、施設の

現況や耐用年数を踏まえた改築等が想定されます。医療機器等の設備についても、

使用状況や耐用年数、地域のニーズに応じた整備が想定されます。

また、対象地区の人口やへき地診療所の患者数はほぼ横ばいで推移しているもの

の、人口が少ない地域における診療所の運営は、依然として厳しい状況にあります。

県では、このような対象地区の現状を踏まえ、設置主体が負担するへき地診療所

の施設及び設備の整備や運営に要する経費に対して、今後も継続的な支援を行い

ます。

ウ 医師確保に向けた取り組み

県では、へき地診療所を含む離島・へき地の医療機関において診療に従事する医

師を確保するため、これまで自治医科大学への県出身学生の派遣、琉球大学医学

部における地域枠学生の養成、県立病院での臨床研修を通じてのプライマリ・ケア医

(総合診療医)の育成等を行っています。今後も、県内における医師の偏在やへき地

診療所の医師不足が懸念されることから、これらの取り組みを継続していきます。

また、歯科医師についても、開設者の取り組み状況やニーズ等を踏まえ、開設者と

ともにへき地診療所の歯科医師確保に向けた取り組みについて検討します。

エ 代診医派遣、代替看護師派遣等の取り組み

(ア) 代診医派遣

へき地診療所に勤務する医師については、ほとんどの診療所で医師1人の診療

体制となっており、医師の負担が大きいことから、代診医の派遣は、必要不可欠な

支援となっています。

現在、へき地医療拠点病院、県及び沖縄県へき地医療支援機構による代診

医派遣が行われておりますが、へき地診療所医師の勤務環境の改善を図るため、

それぞれの代診医派遣の取り組みを充実強化します。

(イ) 代替看護師派遣等

へき地診療所に勤務する看護師についても、医師と同じような状況にあり、研修

や休暇等で容易に診療所離れることができないため、代替看護師の派遣は、へき

地診療所に対する必要不可欠な支援となっています。

現在、県では、代替看護師派遣事業により、県立病院から県立のへき地診療

- 243 -

Page 68: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

所に対する代替看護師の派遣を支援しており、沖縄県病院事業局のニーズ等を

踏まえ、今後も支援を継続していきます。

市町村立診療所については、労働者派遣法の規定により看護師の派遣が禁止

されていることから、市町村のニーズ等を踏まえ、看護師が休暇等を取得できるよう

勤務環境を整える方策を検討していきます。

オ 関係市町村等が連携した施策の展開

へき地診療所を継続・維持するためには、県、市町村、医療機関、地域住民が一

体となって支える必要があります。県では、へき地診療所が抱える課題の解決を図り、

離島及びへき地診療所所在市町村主管課長会議を毎年開催しています。へき地の

医療提供体制における県及び市町村の役割、協力のあり方等について検討するた

め、今後もこの取り組みを継続し、対象地区を抱える市町村との連携強化を図ってい

きます。

⑵ 対象地区での巡回診療による特定診療科目等の医療の確保

無医地区においては容易に医療機関を利用することができなく、また、準無医地区に

おいては、医師1人のへき地診療所では眼科、耳鼻いんこう科、精神科等の特定診療

科目等の専門的医療を十分に提供することができない状況にあることから、対象地区の

住民の必要な医療を受ける機会の確保を図り、へき地診療所による巡回診療の継続

実施を図るとともに、特定診療科目等の巡回診療の充実強化に取り組みます。

ア へき地診療所及びへき地医療拠点病院による巡回診療

へき地医療拠点病院のうち県立宮古病院や県立八重山病院については、病院の

医師を確保することが非常に困難である中で、へき地診療所への支援を如何に継続

していくかということが課題となっています。これらの県立病院や附属の県立診療所で

は、対象地区の巡回診療が行われていますが、今後もこれらの取り組みが継続実施さ

れるよう、一般会計からの繰出を適切に行い、県立病院の経営を支えていきます。

イ 県及び民間医療機関による巡回診療

県では、へき地の住民が必要な医療を受ける機会を確保するため、眼科や耳鼻い

んこう科等の特定診療科目の巡回診療を、公益社団法人地域医療振興協会に委

託実施しており、今後もこの取り組みを継続するとともに、充実強化していきます。

また、特定医療法人葦の会オリブ山病院が座間味村、南大東村及び北大東村で

精神科の巡回診療を実施するなど民間の医療機関による巡回診療が実施されてお

り、これらの取り組みの促進を図っていきます。

- 244 -

Page 69: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

⑶ 対象地区外において緊急的又は専門的な医療を受けることができる環境の整備

ア 必要な医療を対象地区外で受けるための通院費負担の軽減

離島の患者、妊産婦及びその付添人は、居住する離島において必要とする医療を

受けることができないため、島外の医療機関に通院する場合の経済的負担が課題と

なっています。県では、平成29年度から島外の医療機関に通院する場合の経済的負

担を軽減するための施策を開始しており、市町村のニーズ等に応じて、実施していきま

す。

イ ドクターヘリ、自衛隊、海上保安庁、添乗協力病院等との連携強化

へき地診療所では十分に対応できない救急患者については、沖縄県ドクターヘリ、

自衛隊及び海上保安庁の協力により、沖縄本島等の病院へ、ヘリコプター等により

搬送できる体制を整えています。これらの急患搬送を効率的かつ安定的に実施する

ためには、添乗協力病院を増やすことや医療機関敷地内のヘリポート設置等搬送

時間の短縮に継続的に取り組んでいく必要があります。

詳細については、第5章1⑴ 救急医療を参照。

- 245 -

Page 70: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

第3 数値目標

1 目指す姿

住み慣れた地域で暮らし続けるために必要な継続的な医療サポートを受けることができて

いる。

目標 目標値の 取り組みのNO 指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

1 へき地診療所の H28 対象地区でのへ 沖縄県国民 -

利用率 医科52.1% 医科50% き地診療所の役 健康保険団

歯科62.4% 歯科60% 割を維持・確保 体連合会

2 代診医派遣の H28 628日 720日 24診療所× 沖縄県保健 へき地医療

年間利用日数 H27 649日 30日(有休20、 医療部保健 拠点病院

H26 504日 研修10日)= 医療総務課

720日 調べ 県

(保健医療部)

「2 取り組む

施策」のNO10 沖縄県

~12の合計 へき地医療支援

機構

3 県の施策による 県立診療所 535日 県立診療所 同上 同上

代替看護師の年間派 H28 457日 16×25日(有休

遣日数 H27 326日 県立診療所 20、研修5日)

H26 389日 400日 市町村立診療

市町村立診 3診療所×20日

療所 (有休15、研修

135日 5)+5診療所(複

数配置)×15日

(有休10、研修

5)

2 取り組む施策

⑴ 対象地区での医療提供体制の確保

目標 目標値の 取り組みのNO 指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

1 へき地診療所の数 H29 対象地区の医 沖縄県保健 -

(単位:診療所) 38 38 療提供体制の 医療部医療

(医科24) (医科24) 維持・確保 政策課調べ

(歯科14) (歯科14)

- 246 -

Page 71: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

目標 目標値の 取り組みのNO 指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

2 へき地診療所の医療 H28 対象地区の医 沖縄県保健 -

従事者数 医師 28 医師 28 療提供体制の 医療部医療

(単位:人) 看護師 36 看護師 36 維持・確保 政策課調べ

歯科医師 15 歯科医師 15

歯科衛生士 歯科衛生士

7 7

3 へき地診療所の年間 H28 同上 同上 -

平均診療日数 医科242日 医科242日

4 へき地の数 H28 鳩間島、多良 同上 県

(無医地区) 無医地区 6 無医地区 6 間島、与那国 (保健医療部)

(準無医地区) 準無医地区 準無医地区 島の準無医地

17 20 区協議を検討

5 自治医科大学卒業 H28 NO.5及び6を 入学枠及び過 沖縄県保健 県

生のへき地勤務実績 8名/年 合わせて 去の勤務実績 医療部保健 (保健医療部)

(へき地診療所) 16名/年 から設 医療総務課

定 調べ

6 県立病院 H28 NO.5及び6を 過去の勤務実 同上 県

総合診療専攻医 8名/年 合わせて 績から設定 (保健医療部)

へき地勤務実績 16名/年

(へき地診療所)

7 ドクターバンク H28 年間15名の新 同上 沖縄県

登録医師数 173名 278名 規登録 へき地医療

支援機構

8 へき地医療拠点病院 H28 386日 代診医派遣 同上 へき地医療

による代診日数 H27 341日 400日 事業を実施す 拠点病院

H26 256日 るへき地医療

拠点病院の増

(年12回以上)

9 県の代診医派遣事業 H28 131日 2 0離島診療 同上 県

による代診日 H27 179日 200日 所×10日 (保健医療部)

数 H26 132日

10 へき地医療支援 H28 111日 24へき地診 同上 沖縄県

機構による代診日 H27 129日 120日 療所×5日 へき地医療

数 H26 116日 支援機構

- 247 -

Page 72: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

目標 目標値の 取り組みのNO 指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

11 代替看護師の研修・ H28 県立診療所 沖縄県保健 県

学会等参加による活 県立診療所 県立診療所 16診療所 医療部保健 (病院事業局)

用日数 80日 80日 ×5日 医療総務課 (保健医療部)

代替看護師 調べ

派遣事業 市町村立

57日 市町村立 診療所

親病院による 診療所 8診療所

派遣 40日 ×5日

23日

12 離島及びへき地診療 H28 定例的に開催 同上 県

所所在市町村主管 1回 2回/年 (保健医療部)

課長会議の開催

⑵ 対象地区での巡回診療による特定診療科目等の医療の確保

目標 目標値の 取り組みのNO 指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

13 対象地区の (H28) 県施策の拡充

巡回診療実績 実数17地区 延べ23地区 を図り、県施 - -

延べ253回 延べ344回 策以外は現状

延べ患者数 延べ患者数 を維持確保

2,119人 3,053人

へき地診療所及び 7地区 7地区 へき地診療所 沖縄県保健 県

へき地医療拠点病 94回 94回 及びへき地医 医療部医療 (病院事業局)

院独自の巡回診 患者数553人 患者数553人 療拠点病院の 政策課調べ

療実績 現状の取り組

みを維持確保

県の施策による巡 9地区 20地区 対象地区の全 同上 県

回診療実績 106回 250回 離島で巡回診 (保健医療部)

患者数 患者数 療を実施

1,217人 2,500人

民間医療機関によ 3地区 民間医療機

る独自の巡回診療 53回 - 関は目標を設 - -

患者数349人 定しない

- 248 -

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⑶ 対象地区外における緊急的又は専門的な医療を受けることができる環境整備

目標 目標値の 取り組みのNO 指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

14 離島患者等支援事業 H29 15市町村 補助対象とな 沖縄県保健 県

を活用する市町村数 14市町村 り うる対象地 医療部医療 (保健医療部)

(H29申請) 区の全市町村 政策課調べ

の活用を図る。

助成を拡充した市 10市町村 15市町村 活用する市町 同上 同上

町村数 (H29申請) 村の助成拡充

を図る。

延べ利用者数 3,585人 - H29実績を基 同上 同上

(被助成者数) (H29申請) にから設定す

る。

15 ドクターヘリによる H28 全国と比べ8ポ 日本航空 県

急患搬送の応需率 85% 85% イント高いこと 医療学会 (浦添総合病

(全国) か ら 、現状の 院)

77% 機能維持を図

る。

18 添乗協力病院数 H28 隔週1日(14日 沖縄県保健 県

11病院 14病院 毎)の当番制が 医療部医療 (保健医療部)

安定的な運用 政策課調べ

のために適当と

考える。

19 医療施設のヘリポート数 H28 計 画策定時 同上 -

3病院 7病院 点で整備計画

のある病院数

を考慮した。

- 249 -

Page 74: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

番号

番号

番号

指標1へき地の数

指標1自治医科大学卒業生のへき地勤務実績

(へき地診療所)

指標2県立病院総合診療専攻医のへき地勤務実績

(へき地診療所)

指標3ドクターバンク登録医師数

指標1へき地診療所の数

指標2へき地診療所の医療従事者数

指標1へき地医療拠点病院独自の取り組みによる

代診医派遣日数

指標3へき地診療所の平均診療日数

指標2県の代診医派遣事業による

代診医派遣日数

指標3へき地医療支援機構による

代診医派遣日数

指標1(住民)

へき地診療所の利用率

指標4代替看護師の研修・学会等参加による

代替看護師活用日数

指標2(医師)

代診医派遣の年間利用日数

指標3(看護師)

県の施策による代替看護師派遣の年間利用日数

指標1離島及びへき地診療所所在市町村

主管課長会議の開催

指標1へき地診療所及びへき地医療拠点病院による

巡回実績の実績(地区数、回数、患者数)

指標1各巡回診療実績の合計

(地区数、回数、患者数)

指標1県の施策による巡回診療の実績

(地区数、回数、患者数)

指標1離島患者等支援事業実績

(補助市町村数、延べ利用者数)

指標1離島患者等支援事業実績

(助成を拡充した市町村数)

指標1添乗協力病院数

指標2ドクターヘリによる急患搬送の応需率

指標2医療施設のヘリポート数

対象地区外において、緊急的又は専門的な医療

を受けることができる環境が整っている。

必要な医療を対象地区外で受けるための通院費負担

の軽減

ドクターヘリ、自衛隊、海上保安庁、添乗協力病院等と

の連携強化

7 8

3

へき地の医療分野 施策・指標体系図

C 個別施策

B 中間アウトカム

A 最終アウトカム

1無医地区等及び無歯科医地区等の指定

2

住み慣れた地域で暮らし続けるために必要な継続的な医

療サポートを受けることができている。

関係市町村等が連携した施策の展開

1

対象地区での医療提供体制が確保できている。

2

対象地区での巡回診療で特定診療科目等の医

療を受けることができている。

1

医師の確保に向けた取り組み

代診医派遣、代替看護師派遣等の取り組み

県の施策による巡回診療

5

へき地診療所及びへき地医療拠点病院による

巡回診療

643

- 250 -

Page 75: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

(4)周産期医療

第1 現状と課題

1 周産期医療計画の概要

沖縄県の周産期医療は、平成 14 年度に県立中部病院を、平成 18 年度に県立南部医療セ

ンター・こども医療センターを総合母子周産期医療センターとして指定し、平成 15 年度に那覇市

立病院、沖縄赤十字病院を、平成 23 年に琉球大学医学部附属病院を地域周産期母子医療

センターに認定し、各施設が連携を図りリスクの高い妊産婦、新生児の医療体制を構築してきま

した。

また、国の周産期医療体制整備指針(以下「整備指針」)に基づき策定した「沖縄県周産期

保健医療体制整備計画」に基づき、北部、宮古、八重山の県立病院の機能充実を図り地域周

産期母子医療センターに追加認定しました。

周産期保健医療体制整備計画は、平成 27 年度までの5年間の計画期間でしたが、国での

整備指針見直し検討の結果、周産期医療計画を第7次医療計画に一体化することが決定し、

医療計画の分野別計画として策定することになりました。

計画策定にあたっては、前計画の施策の方向性を踏まえつつ、周産期医療の現状や環境の

変化に即した内容とし、また関連の深い救急医療、災害医療、小児医療との連携を図り、計画

の推進にあたっては、本県の母子保健計画である「すこやか親子おきなわ21(第2次)」、「沖縄

県障害福祉計画(第5期)」、「黄金っ子応援プラン」(沖縄県子ども子育て支援事業計画)」と

の整合性を図っていきます。

なお、本計画の推進のため、各周産期母子医療センターや関係機関の専門家からなる専門

部会を継続し、行動計画を策定し計画の推進並びに進捗管理を行うこととします。

2 周産期保健医療の現状

⑴ 出生数及び出生率と低出生体重児の出生状況

本県は昭和 47 年の本土復帰以来、全国一高い出生率を維持していますが、出生数は

昭和 62 年に2万人を割り、ここ 10 年は、17,000 人前後で推移しております。

出生数に占める低出生体重児の出生割合は、平成 10 年以降 10%台に上昇し、その後も

横ばい状況にあり、全国一高くなっています。(図1)

- 251 -

Page 76: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

図1

⑵ 母の年齢階級別出産の推移

平成 15 年までは 25~29 歳の年代が 31.9%と最も多かったものの、平成 16 年以降は 30~

34 歳の割合が最も多くなっています。

35 歳以上については、平成 27 年に平成 15 年より 10.6 ポイント増加し 27.1%となり、一方で

19 歳以下の出生産率は平成 20 年以降2%台で推移しています。平成 27 年は全国 1.2%に

対し沖縄県は 2.6%と約2倍を超え高い状況にあります。(図2)

図2

20,281

20,39220,657

18,11117,088

17,15416,751

16,92816,680

16,773

17,16916,571

16,30316,362

16,115

16,483

16,58816,736

16,74417,098

16,91817,074

17,209

16,37316,941

1,3841,510

1,6071,474

1,4681,575

1,5591,739

1,7151,735

1,8791,774

1,7191,788

1,7491,815

1,9611,833

1,9301,912

1,796

1,979

1,957

1,8761,848

7.4 7.47.8 8.1

8.69.2 9.3

10.3 10.3 10.310.9 10.7 10.5

10.9 10.9 11.011.8

11.011.5 11.2

10.6

11.6 11.4 11.510.9

5.6 5.7 5.76.2 6.3

7.9 7.58.1 8.4 8.6 8.8 9.0 9.1 9.4 9.5 9.6 9.7 9.6 9.6 9.6 9.6 9.6 9.6 9.5 9.5

0

5

10

15

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

低体重児出生割合(%)

出生数(人)

出生数 低体重児出生数 低体重児出生割合

(県)

低体重児出生割合

(全国)

出生数及び低体重児出生の割合

3.1

3.7

3.4

2.4

2.7

2.6

2.6

2.8

2.6

2.6

2.6

1.2

18.8

18.9

17.5

15.8

14.6

13.5

13.3

12.5

12.9

12.2

11.8

8.4

33.6

33.1

31.9

28.1

27.5

28.8

28.0

27.5

27.8

26.7

25.7

26.1

29.5

28.5

30.7

32.1

31.9

30.6

31.0

31.1

31.3

31.3

32.8

36.3

12.8

13.3

13.9

18.4

19.6

20.4

20.6

21.3

21.7

21.7

21.1

22.7

2.2

2.5

2.6

3.2

3.6

4.1

4.4

4.8

5.3

5.5

6.0

5.3

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

平成5年

10年

15年

20年

21年

22年

23年

24年

25年

26年

27年

27…

母親の年齢別出生数と構成割合の年次推移

19歳以下

20~24歳

25~29歳

30~34歳

35~39歳

40歳以上

- 252 -

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⑶出生時体重別出生割合率の推移

500~1000g 未満の超低出生体重児の出生割合は、0.3~0.5%前後(61~86 人)で推移

しており、500g 未満の児は 0.024~0.06%(4~11 人)で推移しています。

図3

⑷ 周産期死亡率の推移

周産期死亡率は徐々に低下し平成22年からは、3~4‰台(50~77人)で推移しています。

図4

0.04 0.04 0.06 0.04 0.02 0.04

0.40 0.32 0.44 0.35 0.47 0.41

1.76 1.56 1.66 1.64 1.77 1.47

8.678.07

8.92 8.77 8.61 8.41

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

8.00

9.00

10.00

H22年 H23年 H24年 H25年 H26年 H27年

出生数に占める低出生体重児の割合

500g未満出生率 500~1,000g未満出生率

1,500~2,000g未満 2,000~2,500g未満

- 253 -

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⑸ 妊産婦死亡の推移

妊産婦死亡率はここ 10 年では 0~11.5 (0~2 人)と年度により変動があります。

我が国の妊産婦死亡率は世界トップレベルに達しており平成 27 年には 3.8(出産 10 万対)

でした。平成 27 年の全国の妊産婦死亡数が 39 人に対し、本県は0人となっています。妊産婦

死亡は1人の増減でも死亡率が大きく変動するため、率のみにとらわれず、妊娠期の管理につ

いて今後は関係者で検証し、共有する仕組みが必要となっています。

図5

⑹ 新生児死亡率の推移

新生児死亡率は、平成 22 年より 0.8~1.3(13~23 人)で推移しており、全国と同じ水準で

す。

図6

2.9

4.3

3.6

2.4

1.6

0.8 1.2 0.91.3 1.2

0.9 0.8

3.4

2.62.2

1.8

1.41.1 1.1

1.01.0 0.9 0.9 0.9

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

4

4.5

5 新生児死亡率

沖縄県 全国

(出生千対)

- 254 -

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⑺ 母親を取り巻く環境の変化

全国的に女性の雇用の増大に伴い晩婚化が進展しています。本県においては、平成 27 年

の女性の平均初婚年齢は 29.0 歳で、10 年間で 1.3 歳、20 年間では 2.8 歳上昇しています。

晩婚により出産年齢が高くなり、(図2)、合計特殊出生率も 1.96 と少子化が進行していま

す。

さらに、本県の状況は把握しておりませんが、東京 23 区における 2005~2014 年の 10 年間

で 63 例の妊産婦の自殺が起こっており、これは産科異常による妊産婦死亡率の 2 倍以上であ

ったことから、妊産婦のメンタルヘルスケアへの対策が求められています。

また、望まない妊娠による 0 ヶ月 0 日の虐待も全国的に大きな課題であり、貧困家庭や若年

妊産婦など社会的ハイリスク者の多い沖縄県においては、地域の関係機関と連携し切れ目の

ない支援を行う必要があります。

- 255 -

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3 周産期医療従事者の現状と課題

⑴ 周産期母子医療センターの状況

ア 産科・新生児科医及び小児科医の現状

(ア) 産科医

平成 28 年の総合周産期母子医療センター(以下「総合周産期センター」という。)及び地

域周産期母子医療センター(以下「地域周産期センター」という。)における分娩取扱数は

3,979 件であり、本県の全分娩数の四分の一を占めています。(「総合周産期センター」と「地域

周産期センター」をまとめて「周産期母子医療センター」という。)

総合周産期センターでは、一般産科病床とは別に、ハイリスク症例に対応する母体・胎児集

中治療室(MFICU)を管理するために産科医が常駐することが求められ、常時複数の産科医

が当直する体制が必要です。

しかし、2カ所の総合周産期センターにおいて、当直体制を維持するための産科医が不足し

ている状況にあります。

地域周産期センターにおいても、自然分娩予定の妊婦が途中で急変する事もあることから

30 分以内に緊急帝王切開に対応できる体制を常に維持し続けていく必要があります。

近い将来、正常分娩を取り扱う地域の産科施設の減少に伴い、圏域によって周産期母子医

療センターでハイリスク症例のみならず、ローリスク症例への対応も求められる状況になることが予

測されることから、周産期母子医療センターにおける人材の維持、育成が重要な課題です。

(イ) 新生児科医及び小児科医

周産期あり方検討委員会 「NICU(新生児集中治療室)の整備及びNICU勤務医師の充足に関する

報告」では、総合周産期センターにおいて、24 時間体制下、安定したベッドコントロール、安全体

制、専門医養成研修の面からNICUベッド数 15 床あたり、新生児専門医は 10 名以上が必要

とされています。

本県では総合周産期センターの 30 床のNICUに対し 20 人の専門医が必要となりますが、現

在は4人であるため 16 人の不足となっています。

また、地域周産期センターに必要な専門医数は言及されておりませんが、重症新生児が増加

していることから専門医の配置が望まれます。

離島を含む各圏域の周産期医療を充実させながら、質の高い医療を維持し、今後も安定

的に周産期母子医療センターを運営していくためには、圧倒的に産科医、新生児科医、小児

科医の数が不足し医師の過重労働が慢性的な課題となっているため、その解消を図る必要が

あります。

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イ 研修医の研修体制の現状

周産期医療の維持には、将来を担う後継者の育成が不可欠です。そのためにはまず初めに

基本領域である産婦人科、小児科医を増やす必要があります。その上で周産期専門研修医

(以下「専門研修医」という。)を育成する必要がありますが、県内で研修する専門研修医(研

修領域は「母体・胎児」と「新生児」の2領域がある)が少ないことが課題です。

専門研修医を育成するためには、専門研修医を育成する指導医や、専門研修医の研修が

行える周産期専門医認定施設(一般社団法人 日本周産期・新生児医学会が認定、5年

ごとに更新される)の資格を維持し、専門研修医を県内で育成できる体制を確保する必要があ

ります。

県内の母体・胎児の周産期専門医認定施設(以下「認定施設」という。)は基幹認定施設

3ヶ所、指定研修施設3ヶ所であり、新生児認定施設は基幹認定施設が2ヶ所、指定認定施

設2ヶ所となっています。

認定施設の資格要件には、施設基準、指導医に関わる医師の基準、診療実績など、複数

の要件がありこれらを全て満たす必要があります。

認定施設の資格要件の維持は、個々の施設や指導医の努力により行われていますが、認

定施設資格維持に対する公的支援と、専門研修を県内施設で志す医師を増やす取り組み、

さらには専門医の資格取得後に県内で働く医師を積極的に増やす取り組みが必要です。

ウ 周産期医療に関連する診療科医師の現状

周産期医療の水準を維持するためには、麻酔科をはじめ、未熟児網膜症に対応可能な眼

科や小児外科、小児泌尿器科など複数診療科とのチーム医療が不可欠であることから、関連

診療科医等スタッフの確保に取り組む必要があります。

同時に専門診療科の医師の偏在や減少、県内医師数などの現状を踏まえ、周産期母子

医療センターで提供する医療について機能分担を行う必要があります。

さらに平成 31 年度からは、産後 2 週目と1ヶ月目に市町村の実施する公的補助による産婦

健診が開始されます。産科医療機関及び助産所等においては、健診を受診する産婦へ対応

するスタッフの確保と育成を図る必要があります。

エ 看護師、助産師の現状

ハイリスク妊産婦に対する身体・精神面の支援や、NICU の新生児に対する看護は高い専

門性が求められることから、一定の経験と知識を積んだ看護師・助産師等の配置や、専門性を

高める看護師・助産師等の育成に取り組むとともに、ハイリスク妊産婦等への支援やローリスク

の分娩のどちらの症例にも対応できる助産師の実践能力向上のために、研修等の支援を充実

していく必要があります。

産科医不足や分娩取り扱い施設の減少が見込まれるなか、助産師外来において、助産師

- 257 -

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が自立して正常妊産婦の健康診査や母乳に関する相談等に対応することで、妊産婦の多様

なニーズに応えることが可能になります。現在、県内には 23 カ所の助産師外来が設置されてい

ますが、今後も更なる充実が求められています。

併せて周産期母子医療センターへの院内助産所の設置により正常分娩を助産師が担う等

の役割分担についても検討していく必要があります。

オ リスクのある妊産婦や、重症新生児の医療を支える医療スタッフの現状

(ア) 臨床工学技士、薬剤師について

重症新生児の管理には、NICUの高度かつ多様化する医療機器を安全に、かつ 24 時間態

勢で運用することや、周産期に特有な薬剤を安全に投与する必要があります。そのため周産期

専属の臨床工学技士や薬剤師の配置、または増員が望まれます。

表1

(イ) 臨床心理士(公認心理師)、退院支援コーディネーター、医療ソーシャルワーカー、保育士

の現状

社会的なハイリスク妊産婦や、NICU入院による母子分離、児の発育や障害の受け入れな

ど、周産期には様々な面で母親や保護者の心理的、社会的な支援が必要となります。

母子の愛着形成や児の健やかな発育・発達を支援するために、臨床心理士(公認心理師)

や、退院支援コーディネーター、医療ソーシャルワーカー等の医療スタッフや保育士の配置が望ま

れます。

特に臨床心理士(公認心理師)は総合周産期センターの必要条件となっていますが、地域周

産期センターにおいても心理的、社会的支援が必要な退院困難な母児は多く入院していること

から、総合周産期センターと同様に地域周産期センターにも臨床心理士(公認心理師)を配

置することが必要です。

表2

平成29年度 周産期母子医療センターの医療スタッフ配置状況

臨床工学技士 薬剤師

29 35(1) (0)48 108(0) (0)

   (    )は周産期センター専属者数  【地域保健課調べ】

総合周産期

地域周産期

臨床心理士 ケースワーカー退院支援コーディネーター

保育士

6 11 23 7

(1) (1) (2) (2)

5 15 21 4

(1) (1) (1) (0)

 (    )は保育士はNICU専属、それ以外は周産期センター専属者数      【地域保健課調べ】    

総合周産期

地域周産期

平成29年度 周産期母子医療センターの医療スタッフ配置状況

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カ ローリスクの分娩を支える産科医の現状

図7

【地域保健課調べ】

本県で、正常分娩を取り扱う産科医療機関の常勤医師は、60代が20人と最も多く、次いで

50 代が 17 人となっています。40 代以下は女性医師の割合が高くなっています。

また、常勤医師が1~2人の診療体制が多く、産科医師は高齢化していることから、数年後

には地域の分娩取り扱い医療機関が大幅に減少する可能性があります。

全国的に正常分娩を取り扱う産科施設の集約化が進んでいますが、本県においても、圏域

によっては正常分娩の集約化について検討を行う必要があります。

4 周産期医療施設の現状と課題

⑴ リスクのある妊産婦・新生児の医療提供体制

ア 周産期母子医療センターの現状

身体的疾患や精神疾患を合併した妊婦や 22 週以降の早産児、1000g 未満の超低出生

体重児等への高度な周産期医療は2ヶ所の総合周産期センターと各医療圏域に設置された

6ヶ所の地域周産期センターにより提供されています。

出産年齢が高くなったこと等によりハイリスク妊婦が増加していること、また救命可能な在胎週

数の低下や、先天異常等への救命アプローチの変化、医療技術の進歩に伴ってより質の高い

医療が求められるようになっており、濃密な医療を必要とする妊産婦や新生児は今後も増加す

ることが見込まれます。

本県では長年低出生体重児が全国より高い割合で出生する状況にあり、島嶼県で他県の

ように県外搬送が容易ではないため、現在提供している周産期医療体制を維持していくには各

周産期母子医療センターの機能強化と分担を進める必要があります。

表3

北部 中部 南部 宮古 八重山

那覇市立病院

沖縄赤十字病院

琉球大学医学部附属病院

県立八重山病院

平成29年度 周産期母子医療センター一覧

地域周産期

県立南部医療センター・

こども医療センター県立中部病院

県立北部病院

総合周産期

県立宮古病院

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イ 周産期における高度急性期病床の現状

本県は低出生体重児の出生率が高く、総合周産期センターが恒常的に満床状態にあるこ

とが課題です。また、離島等からも重症の妊産婦及び新生児を受け入れている総合周産期セ

ンター・地域周産期センターでは、NICUの満床状態が続き、突発的な事例に速やかに対応す

ることが困難な状態が長期間継続する状況にあります。

現状では、出生1万人に対しNICUが 25~30 床という国の整備基準は満たすものの、専門

医の配置がない地域周産期センターのNICUは対応できる疾患に制限があり、総合周産期セ

ンターに搬送する事例もみられます。

また、観光立県である本県は国内外の観光客も多く、周産期センターでは県内の妊産婦だ

けではなく、観光客への対応も常に求められています。

「周産期医療の体制構築に係る指針」ではGCUはNICUの2倍以上の病床数を有すること

が望ましいとされていますが現在は 54 床とNICUよりも少ない状況であることから、GCUの整備

が必要となっています。

島嶼県の特徴として、離島にも周産期医療を確保する必要があり、現行の周産期保健医

療体制整備計画に基づき、定められた病床数の中で、離島を含めた全圏域に高度な地域周

産期センターを整備したところです。しかし、医療従事者の育成が間に合わず結果的に経験豊

富な医療者が分散化し、離島からの搬送を受け入れる総合周産期センターや地域周産期セ

ンター双方の過重負担が課題となっています。

また、平成 30 年度にNICUを県立中部病院に9床増床することを予定しており(※平成 31 年

4月開設予定)、その稼働状況を踏まえ、入院が長期化する重症新生児の出生が集中した際に

も十分対応できる病床の確保について検討していく必要があります。

表4

⑵ 正常分娩を取り扱う産科施設及び助産所の現状

分娩を取り扱う施設は、圏域による地域偏在が大きく、また産科医の高齢化により全県的に

分娩を取り扱う施設の減少が見込まれます。(表5.図7)

表5

単位:床北部 中部 南部 宮古 八重山  計

NICU 0 12 18 0 0 30GCU 0 18 12 0 0 30NICU 6 0 18 3 3 30GCU 0 0 18 6 0 24NICU 6 12 36 3 3 60GCU 0 18 30 6 0 54

総合周産期

地域周産期

平成29年度 周産期母子医療センターの病床数

 

病院 診療所 合計 病院 診療所 合計出張

他施設借用自施設出張

自施設 合計

平成22年 19 35 54 18 19 37 1 1 0 2

  23年 19 32 51 18 18 36 1 1 0 2

24年 19 32 51 18 19 37 1 1 0 2

25年 19 33 52 18 17 35 1 1 1 3

26年 18 32 50 16 18 34 3 1 1 5

27年 18 28 46 17 16 33 4 0 1 5

28年 18 27 45 17 17 34 4 0 1 5

29年 18 27 45 17 18 35 3 0 1 4

妊婦健診取扱機関 分娩取扱機関 助産所

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5 周産期搬送の現状と課題

周産期の搬送については、2ヶ所の総合周産期センターを中心に構築された周産期ネットワ

ークと周産期医療に関わる医師の努力により円滑な搬送が保たれてきました。しかし最近は重

症新生児の増加に伴うNICUの満床等により、地域からの搬送受入の調整が困難な状況が

発生しています。また、自宅からの計画外分娩等による搬送受け入れについても、より安全な搬

送や受け入れ体制を確保、維持するため、搬送の評価システムの構築と全県的な周産期搬

送の運用の改善に取り組む必要があります。

6 大規模災害対策への現状と課題

これまで本県における災害対策は主に、台風による停電や火事などを想定したものでした。

今後は大規模災害を想定した訓練や、医療備品等の備蓄を行っている周産期医療施設の状

況等を把握し、災害発生時にも、周産期医療が継続できる体制を構築するために、小児・周

産期リエゾンの育成と、周産期医療施設の災害対応マニュアルの策定が必要です。また、災害

発生時の役割分担について協議の場を設定し、沖縄県災害医療マニュアルに内容を反映し、

県全体で連携及び調整できる体制を構築する必要があります。

表6

北部 中部 南部 宮古 八重山 計病院 1 5 9 1 1 17診療所 2 5 10 1 0 18

助産所 ※ 0 1 0 0 0 1

 ※自施設での分娩取り扱いのみ (沖縄県地域保健課調べ)

表7

北部 中部 南部 宮古 八重山 計

平成28年出生数 1,051 6,003 8,315 564 684 16,617 (人口千対) 10.4 12.1 11.5 10.9 12.8 11.6

(人口動態)

平成28年 圏域別出生数及び出生率

平成29年4月末現在

平成29年 圏域別分娩取扱施設数 

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7 NICU退院児の在宅療育・療養の現状と課題

⑴ NICU等長期入院児及び医療的ケアを要する児の現状

昨今は、医療技術等の進歩と周産期医療従事者の努力により妊娠 22 週以降の早産児が

救命されるようになりました。それに伴い NICU 等に長期入院した後、退院後も引き続き在宅で

人工呼吸器や胃ろうなどを使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な障害児

(以下「医療的ケア児」という。)が増加しています。

平成 28 年 5 月に児童福祉法が改正され、地方公共団体は日常的に医療を要する医療的

ケア児が、適切な支援を受けられるよう、保健、医療、福祉、その他各関連分野の連携と体制

整備が求められています。 (※1)

早産や出生時体重が 2,000g 未満など、身体の発育が未熟なまま出生した未熟児のうち、

退院後も医療的ケアを要する児については、市町村と、保健所において全員の状況を把握し、

支援する必要があります。(※2)

周産期母子医療センターに行った調査では、平成 28 年度に社会的要因によりNICUに1年

以上入院している児はおりませんでしたが、半年以上入院となっている児は1人でしたが、医学

的には退院可能であるものの、在宅療養生活を開始し、継続するために必要な家族の養育力

や経済基盤、利用可能な在宅サービスが近くに存在しない等の社会的要因により、周産期母

子医療センターから新たな環境への移行が困難な児もいます。

⑵ 在宅移行支援及び在宅療養支援体制の現状

周産期母子医療センターにおいて、退院支援等を行う医療スタッフの配置状況は、表2のとお

りとなっています。

※1 児童福祉法の改正 (平成 28 年 5 月 25 日成立・同年 6 月 3 日公布)

第五十六条の六第二項

「地方公共団体は、人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児が、

その心身の状況に応じた適切な保健、医療、福祉その他の各関連分野の支援を受けられるよう、保健、医療、福祉その他

の各関連分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制の整備に関し、必要な措置を講ずるように努めなければなら

ない。

※2

平成 25 年度より母子保健法第 20 条に基づく未熟児養育医療事業の実施主体は県から市町村へ権限移譲された。

一方で、18歳未満の児童で長期にわたる治療が必要となる児に対する小児慢性特定疾病事業(医療的ケアを要する

児の多くが受給)は、保健所(県及び中核市である那覇市のみ設置)が実施主体となっている。

そのため、市町村では自市町村の小児慢性特定疾病医療費受給者等、医療的ケアを要する児を把握していない現状

がある。しかし、災害等が発生した際に直接的な支援を行うのは市町村であることから、市町村及び保健所で医療的ケア

を要する児を全数把握しておく必要がある。

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ア 訪問看護事業所の現状

県内で小児に対応できる訪問看護事業所は 48 事業所で、北部、宮古、八重山圏域では1

カ所ずつとなっており、また理学療法士等と連携し、訪問リハビリを行っている事業所は中部と南

部圏域にしかなく7箇所となっています。

また、人工呼吸器を装着している障害児の家族に対応するレスパイトを行っている訪問看護

事業所は 22 カ所と、いずれも地域偏在があります。

表8

イ 在宅支援薬局の現状

小児に対応可能な在宅支援薬局は 50 箇所で、地域偏在があります。

ウ 医療型短期入所事業所の現状

表11

医療型短期入所事業所でレスパイトの受入れができるのは5事業所 18 床となっていますが、

受け入れ体制が十分ではないことから、高度な医療的ケアが必要な児の受入れは困難となって

います。

 (H29.4.1現在)

種類別 定員(単・併)併 4

併・空 3併・空 4併・空 7

空 0(障害福祉課)

医療型短期入所事業所数・定員数 施設名称

名護療育医療センター沖縄南部療育医療センター独立行政法人 国立病院機構 琉球病院沖縄中部療育医療センター沖縄療育園

医療圏域別人工呼吸器装着児のレスパイト対応可能訪問看護事業所の状況

単位:事業所

北部 中部 南部 宮古 八重山 計

1 8 12 1 0 22

表9

(地域保健課)

表10

北部 中部 南部 宮古 八重山 合計

要相談1

12 29 0 9  50要相談1

圏域別在宅医療支援薬局数 (重症心身障がい児)

(沖縄県薬剤師会)

単位:事業所

北部 中部 南部 宮古 八重山 計

① 小児の受け入れについて *受け入れ可能と回答 したステーション

1 17 28 1 1 48

② 理学療法士等による訪問   リハビリを行っている

0 2 5 0 0 7

医療圏域別小児に対応可能な訪問看護事業所の状況

(保健医療総務課)

- 263 -

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医療的ケア児の増加に伴って、短期入所(ショートステイ)の希望が多くなっていますが、医療

機器の整備や看護師をはじめとする人的配置等の実際のコストに対して、施設への経済的給

付は極めて低いという運営面での課題があります。

また、遠方からの利用者も多く、看護師等の添乗を含めての送迎支援(送迎加算)も本来

必要ですが、現在の報酬加算が未だ不十分であるため、短期入所に超重症児・準重症児を

受け入れる割合が高くなればなるほど施設運営を圧迫してくるという課題を含んでいます。

(公益社団法人 日本重症心身障害児福祉協会の試算では、超・準重症児者にかかる必要経費は

一人 1 日 43,439 円と算定していますが、サービスの報酬は 28,730【医療型短期サービス費(Ⅱ)24,070 円+特

別重度支援加算(Ⅰ)3,880+短期入所利用加算300円+短期食事提供加算480円】 と必要経費に比較して少額で

あることが現状です。)

⑶ 在宅生活を送る家族の現状

医療的ケアを要する NICU 退院児の在宅療養の現状を把握するため、小児慢性特定疾病

医療費受給者等(医療的ケア児の多くが受給)の保護者へのアンケートを行ったところ、保護者が

抱える悩みや不安・不満は主に6つでした。

(地域保健課「医療的ケアが必要な在宅療育・療養環境に関する調査」)

ア 必要な情報の不足

児の発育や今後の見通し、困ったときの相談窓口などについての情報が不足しており、不安

を抱えています。

イ 医療的ケアの知識及び手技に関する不安

退院時に医療的ケアの手技に関する不安があるなかで在宅療養生活を開始している状況

にあります。

ウ 在宅療養生活を送る上で必要な医療・福祉・保健サービスの不足と地域格差の拡大

在宅生活をする上での福祉サービスが不十分であることや、市町村等から提供される情報

や各種サービスの格差、医療提供体制に対する不満があります。

エ 行政機関内及び多機関間の連携不足

行政の手続きが保健所や、市町村の複数課にまたがり、その都度対応を求められることへ

の不満があります。

オ 家族のニーズに対応した支援の必要性

児の介護で心身共に疲労し、他のきょうだいや家族の世話ができないつらさを抱えています。

また児の介護による離職や仕事へ復帰できない(就けない)ことによる経済苦を抱えていま

す。

カ 地域社会からの孤立

重症児を連れての外出の困難さ等により、地域社会からの孤立を感じています。

- 264 -

Page 89: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

⑷ NICU退院支援及び在宅療育・療養の課題

NICU長期入院児をはじめとする子どもたちの健やかな成長を地域で保障しつつ、限られた

医療資源を有効に活用するには、入院中に病状が安定した後は児の医療依存度や家庭環

境に応じて、家族も安心して病院から移行できる療育・療養環境の体制構築が必要です。

しかし、現状は退院後の児や家族を支える社会資源の整備が実態に追いついていない状況

にあります。

円滑に在宅等へ移行するために、周産期母子医療センターにおいては入院中から家族の意

思を尊重し、家族が退院後の生活や今後の展望をイメージできるような支援を行う必要があり

ます。

また、家族が抱える在宅生活への様々な不安を解消するために、在宅生活を開始する前

に、医療的ケアや育児の技術の習得、退院後に必要な訪問看護事業所や相談支援事業所

等との関係の構築、外泊訓練を繰り返し在宅生活のシミュレーションを行うなど、周産期母子

医療センターと家庭との中間的な役割を担う、新たな在宅移行支援が必要となっています。

在宅生活を安心して継続するためには、地域格差なく必要な情報が家族に提供されるよう

家族を支える支援者(自治体、医療機関、福祉サービス提供者等)への福祉サービス等の情

報提供の支援のほか、児や家族に対しては発育・発達の促しや在宅療養生活の利便性向上

を図る各種支援が必要です。

現在は重度の障害等のために、外出困難な障害児に対する発達支援を提供するサービス

はなく、また、気軽に外出ができない、受け入れる保育園がないため職に就けない、きょうだいの

学校行事に参加できない等により、家族が孤立を感じることや、経済的な課題を抱える状況が

あります。

さらに、児の医療依存度や介護等の依存度に加えて、虐待予防等の観点から家庭の養育

力に考慮した児の安全な生活環境の整備も求められています。しかし、社会的養育を要する

医療的ケア児を受け入れられる施設は少なく、家族のニーズに対応できるよう環境を整備するこ

とが課題となっています。

- 265 -

Page 90: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

第2 目指す方向性

1 目指す姿

⑴ 継続的に新生児死亡率、周産期死亡率、妊産婦死亡率の死亡原因を明らかにし、

有効な対策による全国並みの医療水準の維持、更なる向上が図られている。

⑵ 県と周産期母子医療センターにより、周産期医療の人材・施設・設備を整備し持続的

に安全に提供できる体制が構築されている。

⑶ 周産期母子医療センターに入院中から、在宅移行に向けて必要な医療・福祉・保健へ

の速やかな連携が行われ、退院後の支援体制が構築されている。

⑷ 乳児の状態に応じた療育・療養環境が整備され、成長が保障されている。

2取り組む施策

(周産期医療)

⑴ 周産期医療体制(病床、施設設備)の充実

ア 常時緊急受入に対応でき、病状に応じた入院が可能な病床の確保

県内で完結すべき周産期医療と、県外施設の協力のもとで提供される周産期医療につ

いて評価、検討を行い、効率的かつ継続的な医療提供のために、周産期母子医療センター

が担う機能や役割の検討を行います。

また、重症新生児の出生が集中した際にも対応できる病床の確保(増床)に努めます。

イ 県内で完結すべき医療提供体制の確保

県内で完結すべき周産期医療に必要な高度専門的な設備については、その機能を担う

周産期母子医療センターの施設・設備整備に対して計画的な支援を行います。

ウ 地域で安全・安心に妊娠・出産ができる環境の整備

各圏域において正常分娩に対応出来る分娩取扱施設の維持に努めると共に、計画期間

である6年間で変動が推測される圏域については、安全な妊娠出産ができる環境の整備を

行うとともに、正常分娩を周産期母子医療センターに集約することを検討していきます。

エ 周産期に係る死亡の原因分析と医療者で共有する体制の整備

新生児死亡、周産期死亡、妊産婦死亡について、県内症例の原因分析を行い、医療従

事者で共有する体制を構築します。

⑵ 周産期医療に必要な人材育成

ア 周産期医療センターの医療従事者が、高い医療技術を提供しながら働き続けられる環境

の整備

医育機関である大学等とも連携し、将来を担う産科、新生児科医(専門研修医)の人材

- 266 -

Page 91: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

育成・確保に取り組むと共に、周産期専門医認定施設の資格維持に関する支援を行います。

イ 周産期に関連する診療科等の充実

周産期専門医認定施設の資格要件となっている関連診療科などチーム医療を維持するた

めに必要な人材の育成・確保に取り組みます。

ウ 県内すべての圏域において安全・安心に出産ができる環境の整備

圏域の分娩取扱医師や看護師、助産師が、周産期母子医療センターとの連携の中で、緊

急時にも適切な判断や処置が行えるように、知識や技術についての講習会や研修会の開催を

支援し、安全・安心に分娩ができるよう環境の整備に努めます。

⑶ 円滑な患者受入、搬送体制の維持

ア 周産期医療資源に対する県民意識変革への取り組み

緊急性や重症度によっては、本島全域を一圏域として圏域外搬送が行われる可能性が高

まっている事を周知し、県民全体で周産期医療体制を守るという意識変革に取り組みます。

イ 周産期医療資源の有効活用を主眼に置いた医療情報システムの整備

現在の周産期空床情報システム(OPeN)の内容をさらに充実させ、災害時にも対応可能

な医療情報システムの整備に取り組みます。

ウ 搬送体制の整備

ハイリスク妊産婦と新生児を速やかかつ安全に、適切な周産期施設へ搬送するため、分娩

取扱施設における救命措置や、周産期搬送の事後評価、フィードバックを行う仕組みを構築し

ます。

また、周産期に係る施設間搬送や自宅からの緊急搬送を行う救急隊への積極的な情報収

集や連携を図ると共に、今後も研修開催等により緊急時に適切な対応ができるよう支援しま

す。

エ 全県的に周産期母子医療センターと地域や中間施設との調整を行うNICU入・退院支援

コーディネートチーム(※3)の設置

全県的に周産期母子医療センターや地域(市町村)、中間施設や福祉施設等との退院に

向けた調整や、県外での治療を要する妊産婦や新生児の搬送コーディネート、治療終了後の

入院受け入れ先の調整を行う等、退院支援コーディネートチームの設置に取り組みます。

- 267 -

Page 92: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

オ 外国人観光客に対する周産期医療提供体制の整備

外国人観光客に対しては、県が行う通訳派遣事業等を活用し、周産期母子医療センター

の負担軽減に取り組みます。

⑷ 災害時にも周産期医療が提供できる体制の確保

ア 県周産期全体の行動計画(アクションプラン)を整備

全周産期母子医療センターの産科、新生児科、小児科医師に対して琉球大学を中心に

小児・周産期リエゾンを養成し、日本産科婦人科学会等との連携を図ります。また災害時に

協力可能な医療者、臨床心理士会や県内大学等との調整を行うほか、周産期における災

害時の計画を策定し、被災後も円滑に周産期医療が提供できるよう取り組みます。当該計

画については、沖縄県災害医療マニュアルとの整合性を図り、県全体で連携できる体制を構

築します。

イ 産科医療機関や助産所における行動計画(アクションプラン)の整備

周産期施設の災害時の役割分担について協議を行い、研修会の開催等により各施設の

行動計画策定の支援を行います。

ウ 災害時の周産期医療体制について県民への情報公開と、啓発

妊産婦ひとりひとりが平時から災害に備えられるよう、必要な情報の公開に取り組みます。

(在宅療育・療養環境)

⑸ 乳児の状態に応じた療育・療養環境の整備

ア NICU から円滑に退院できる環境整備

児や家族が周産期母子医療センターから安心して退院するためには、支援者は家族の意

思を尊重し、家族が退院後の生活や今後の展望をイメージできるよう支援することが必要で

す。そのためには、在宅移行に向け全ての周産期母子医療センターで実施する統一した退

院支援プログラムを作成するなど、院内での支援体制を整備するとともに、退院支援コーディ

ネートチームを活用し院外の支援者との連携など、円滑な退院を支援します。

※3 現在、医療的ケアを要する児や、家族の養育力等により、退院後複数の関係機関の支援が必要な児等の退院調

整会議は、その都度各周産期母子医療センターが行っている。困難事例ほど、頻回に調整会議を開催する必要があり、ま

た会議開催に係る調整に時間を要するため、医師や看護師長等の負担となっている。そこで、退院困難な児について、全県

的に入・退院調整を行うコーディネートチーム(複数の専門家で形成される)を設置する必要がある。

詳細については図9を参照。

- 268 -

Page 93: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

イ 在宅移行支援病床を持つ中間施設の設置支援

在宅生活を開始する前に、家族が医療的ケアの手技を習得し育児指導を受けるととも

に、退院後に活用できる訪問看護ステーション等との関係構築や、外泊訓練等を通し在宅

生活のシミュレーションを行うなどの在宅移行のための支援が必要です。

児の健やかな成長を保障するとともに、限られた医療資源を有効に活用するため、在宅移

行支援と医療を提供できる病床を持つ中間施設(※4)の設置に向けて検討する体制を整備

します。 (※4)中間施設については図8を参照

- 269 -

Page 94: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

1

図8

- 270 -

Page 95: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

I-H

社会的養育が必要

社会的リスクが低い

II-H

社会的養育が必要

      は従来の退院のながれ

      は退院支援コーディネート

       チーム配置後のながれ

「児の状態に応じた療育・養育環境の整備」

I III社会的超ハイリスク群(在宅が望めない)

医学的ハイリスクかつ

社会的ハイリスク群

社会的ローリスクながら

医学的ハイリスク群

医学的に重症度が低いが、家族の養育力が低い状態

医学的に重症度は低く、家族の養育力は高い状態

医学的に重症度が高く、かつ家族の養育力が低い状態

医学的に重症度は高いが、家族の養育力は高い状態

II IV社会的超ハイリスク群(在宅が望めない)

医学的ローリスクながら

社会的ハイリスク群

社会的ローリスクかつ

医学的ローリスク群

jy重症度低い

周産期母子医療センター

Ⅰ 医療型障害児

入所施設Ⅱ 福祉型障害児

入所施設Ⅲ 中間施設

(在宅移行病院等)

Ⅳ 自宅

自宅

<課題>

Ⅰ 看護師とソーシャルワーカーの2職種の退院支援コーディネーターが必要で、早期から児童相談所と連携が必要

Ⅱ 福祉型障害児入所施設が医療的ケアができると児の能力にあった環境が提供できる。

Ⅲ 医療的ケアや子育て技術の向上、療育が開始され、スムーズな在宅移行ができる。

Ⅳ 入院時から地域移行に向けた「退院支援プロガラム」や必要に応じ退院前調整会議があると安心して退院ができる。

全県的な周産期母子医療センターの入・退院支援を行う

退院支援コーディネートチームの設置

退院調整のコーディネートを行う担当者

入・退院整のコーディネートを

行う担当者

医療依存度が高い (医療、訪問看護との連携が必要)

看護師とソーシャルワーカーの2職種の退

院支援コーディネーターが必要で、早期

から児童相談所と連携が必要

中間施設入院中に外泊訓練・医療的ケア

や子育て技術等の向上及び療育を開始す

る必要

社会的リスクが高い(児童相談所との連携が必要)

ソーシャルワーカーの退院支援コーディネーターが

必要で、早期から児童相談所と連携が必要

退院支援プログラムや退院前調整会議等

在宅移行支援を行う体制が必要

図 9

- 271 -

Page 96: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

ウ 全県的に周産期母子医療センターと、地域や中間施設との調整を行う NICU 入・退院コー

ディネートチームの設置 (再掲)

在宅移行を円滑に行うため、その時の児に必要な医療度にあわせ、適宜、必要な医療や

在宅生活に向けた支援が受けられるよう体制を整備します。

⑹ 医療的ケア児や家族が安心して在宅療育・療養生活を継続できる環境の整備

ア 医療体制の整備

医療的ケア児や家族が安心して在宅生活を継続するために、病状の変化に応じ急変時

には周産期母子医療センターなど高度な医療を提供する医療機関へ、日頃の診療はかかり

つけ医が行う等の役割分担を行い、医療連携できる体制を整備します。

また、研修等により小児に対応可能な訪問看護事業所の増加に向け支援を強化してい

きます。

イ 福祉体制(家族支援)の整備

在宅で医療的ケア児の介護生活を安心・安全に継続するために、家族が利用しやすい重

症児や医療的ケアを必要とする児に対応できる在宅児童福祉サービスの情報を整備しま

す。

ウ 母子保健体制の整備

NICUからの退院児や、重症児、医療的ケア児の情報が市町村において把握され、その児

や家族に必要な支援機関につながれるような仕組みを構築します。

エ 医療・福祉・保健の連携によるサービスの充実

在宅生活を支えるためには、福祉サービスの充実が不可欠ですが、現状では重度の障害の

ために外出が困難な障害児に、発達支援を提供するサービスがありません。このため、平成

30 年度から国では、新たに居宅訪問による児童発達支援サービス事業の新設や、短期入

所サービスに医療的ケア児を受け入れる場合の報酬区分の追加など、必要な制度改正が

検討されています。これら新たな制度を含めた必要な在宅サービスが、適切に提供されるよう

各分野の支援者が連携して取り組みます。

オ 地域の中で家族とともに安全に安心して生活できる体制の整備

地域の中で家族とともに安全に安心して生活するためには、地域住民が医療的ケア児とそ

の家族について理解する必要があります。家族が孤立しないよう地域で支え見守る意識を醸

成すると共に、市町村における災害時の支援体制が整備できるよう取り組みます。

- 272 -

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第3 数値目標

1.目指す姿 (周産期医療)

⑴ 継続的に新生児死亡率、周産期死亡率、妊産婦死亡率の死亡原因を明らかにし、有

効な対策による全国並みの医療水準の維持、更なる改善が図られている。

⑵ 県と周産期母子医療センターにより、周産期医療の人材・施設・設備を整備し持続的に

安全に提供できる体制が構築されている。

指 標

現 状

目 標

(H35)

目標値の

考 え 方

データの

出 展

取り組みの

主 体

新生児死亡率

〔 人〕

0.8〔14 人〕

H28 年

現状維持

全 国 水 準 を

達成しており、

数値的には維

持を目指す

人口動態

統計

周産期母子

医療センター 周産期死亡率

〔 人〕

3.8〔63 人〕

H28 年

現状維持

妊産婦死亡率

〔 人〕

0〔0 人〕

H28 年

現状維持

妊産婦死亡原因 0

H28 年

現状維持

(3)周産期母子医療センターに入院中から、在宅移行に向けて必要な医療、福祉、保健への

速やかな連携が行われ、退院後の支援体制が構築されている。

指 標

現 状

目標

(H35)

目標値の考え方

データの

出 展

取り組みの

主 体

社会的要因による

NICU長期入院児数

(1年以上)

0 人

H28 年度

0

全県的な周産期

母子医療センター

の入・退院コーディ

ネートチームの活

動によるNICUから

の円滑な在宅移

地域保健

課調査

周 産 期 母 子 医

療センター 社会的要因による

NICU入院児数

(半年以上)

1人

H28 年度

0

- 273 -

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目指す姿 (在宅療育・療養環境)

⑴ 乳児の状態に応じた療育・療養環境が整備され、成長が保障されている。

指 標

現 状

目 標

(H35)

目標値の考え方

データの

出 展

取り組みの

主 体

社会的要因による

NICU長期入院児数

(1年以上)

全県的な周産期

母子医療センターの

入・退院コーディネー

トチームの活動による

NICUからの円滑な

移行

地域保健課

調査

周 産 期 母 子 医

療センター

社会的要因による

NICU入院児数

(半年以上)

災害時に医療的ケア児

の対応が決まっている市

町村数

H29 年度

増 加

市町村が医療的ケア

児の数を把握して対

応を検討している

県調査

市町村

再 掲

- 274 -

Page 99: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

2 取り組み施策 (周産期医療)

⑴ 周産期医療体制(病床、施設設備)の充実

指 標

現 状

目 標

(H35)

目標値の考え方

データの

出 展

取り組み

の主 体

1 分娩数 15,774

H28 年

- -

地域保健課

調査

2 周産期病床数

〇NICU

♦総合周産期

♦地域周産期

本島

宮古

八重山

〇GCU

♦総合周産期

♦地域周産期

本島

宮古

八重山

(30 床)

(24 床)

(3 床)

(3 床)

(30 床)

(18 床)

(6 床)

(0 床)

H29 年度

重 症 新 生

児 集 中 時

にも対応可

能 な 病 床

増加

重症新生児の出生

が集中した際にも十

分に対 応できる 病

床を確保する

周産期母子医療センター

3 周産期母子医療センタ

ーの機能分担について協

議の場がある

なし

H29 年度

ある

未熟児の医療が県

内で行え る現 状を

維持する

地域保健課

調査

4周産期死亡要因、搬

送の評価を行い結果を周

産期施設で共有する場

がある

なし

H29 年度

ある

周産期施設と消防

等で情報共有し、

安全かつ適切な搬

送体制を維持する

周産期母子医療センター

沖縄産科婦人科学会

沖縄県産婦人科医会

沖縄県消防長会

- 275 -

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⑵ 周産期医療に必要な人材育成

※1 実員とは病休・産休・育休を含まない実際に勤務している人数

※2 6ヶ月以上の国内外研修に行っている人数

指 標

現 状

目 標

(H35)

目標値の

考え方

データの

出 展

取り組みの

主体

1周産期母子医療センター

分娩取扱産婦人科医師数

(常勤)

♦総合周産期

♦地域周産期

実員※1(うち定数)

【研修派遣者数】 ※2

18 人(24 人)

【 0 人 】

43 人( 41 人)

【 0 人 】

H29 年度

増 加

少 な く と も

定 数 の 充

地 域保 健 課

調査

周産期母子

医療センター

2 NICU専任及びNICU

担当医師数

♦総合周産期

(新生児科)

♦地域周産期

(小児科)

実員(うち定数) ※1

【研修派遣者数】 ※2

11 人

(小児科の定数枠内で

配置)

【 0 人 】

21人

(25 人)

【 0 人 】

H29 年度

3周産期専門医認定施設数

(①母体・胎児/②新生児)

♦総合周産期

♦地域周産期

①3ヶ所/②2ヶ所

①3ヶ所/②2ヶ所

H29 年度

少なくとも

現状維持

県 内 で 専

門 医 の 認

定が受けら

れる体制を

維持する

4周産期に関する研修会開催

回数及び参加人員

・研修会開催回数

・参加人数

・3種類(11 回)

・(226 人)

H28 年度

増加

各 施 設 の

ス タ ッ フ 全

員 が 研 修

を受ける

地 域保 健 課

調査

周産期施設

- 276 -

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5新生児集中ケア認定看護師

数:人口 10 万対

(内訳)

♦総合周産期

♦地域周産期

0.28 人

( 2 人)

( 2 人)

H29 年度

0.31 人

(全国 H29 年

値)

全 国 平 均

以上

日 本看 護 協

会登録数

(地域保健課

調査)

周産期母子

医療センター

(参考指標)

周産期専門研修医数

(①母体・胎児/②新生児)

♦総合周産期

♦地域周産期

①2 人 / ②5 人

①2 人 / ②2 人

H29 年度

増 加

県 内 で 専

門 医 の 認

定が受けら

れる体制を

維持する

地 域 保 健

課調査

小児外科専門研修医数

♦総合周産期

♦地域周産期

0 人

2 人

H29 年度

少なくとも

現状維持

周産期母子医療センターに勤務す

る常勤の関連診療科医師数

〇麻酔科医

♦総合周産期

♦地域周産期

〇眼科医(未熟児網膜症対応)

♦総合周産期

♦地域周産期

〇小児外科医

♦総合周産期

♦地域周産期

(16 人/2 ヶ所)

(21 人/6 ヶ所)

(3 人/2 ヶ所)

(5 人/6 ヶ所)

( 4 人/2 ヶ所)

( 4 人/6 ヶ所)

H29 年度

未 熟 児 医

療 が 県 内

で行える体

制の維持

分娩取り扱い施設数

・産科施設

・助産所 ※施設のみ

【うち院内助産所等】

・35 ヶ所

・1ヶ所【0ヶ所】

H29 年度

現状維持

地 域 で 出

産できる体

制の維持

- 277 -

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⑶ 円滑な患者受入、搬送体制の維持

指 標

現 状

目標

(H35)

目標値の

考え方

データの

出 展

取り組みの

主 体

1搬送受入数

・母体搬送受入数

♦総合周産期

♦地域周産期

・新生児搬送受入数

♦総合周産期

♦地域周産期

537 件

267 件

270 件

312 件

143 件

169 件

H28 年度

増 加

本島全域を一圏

域にし、周産期母

子医療センターの

機能分担による

搬送件数の増、

受入困難事例の

地域

保健課

調査

周 産 期 母

子医療セン

ター

2受入困難事例数

・母体受入困難事例数

♦総合周産期

♦地域周産期 ※1

・新生児受入困難事例数

♦総合周産期

♦地域周産期 ※1

100 件

86 件

14 件

45 件

40 件

5 件

H28 年度

減 少

3県内搬送率

100%

H29 年度

現状維持

特殊な手術を除き

県内で完結できる

体制の維持

4県民への意識啓発の広報

回数

1回

H29 年度

全妊婦

へ周知

全市町村及 全

周産期母子 医

療センターで周

地域

保健課

調査

市町村

周 産 期 母

子医療セン

ター

5全県的な入・退院調整を行う

コーディネートチームの配置

なし

H29 年度

1(チーム)

1チーム設置

周産期母

子医療セン

ター

6空床情報システムの改修

改修なし

H29 年度

改修

空床情報システ

ムの充実

※1 受入困難事例数は1施設カウント未実施のため計上していない。

- 278 -

Page 103: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

⑷ 災害時にも周産期医療が提供できる体制の確保

指 標

現 状

目標

(H35)

目標値の

考え方

データの

出 展

取り組みの

主体

1小児・周産期リエゾン

研修受講者数

・産科

総合周産期

地域周産期

・新生児科・小児科

総合周産期

地域周産期

認定者数

・産科

総合周産期

地域周産期

・新生児科・小児科

総合周産期

地域周産期

2

0

2

2

0

0

H29 年度

2

6

2

6

2

6

2

6

全 周 産 期 母

子 医 療セ ン タ

ーの産科及び

新生児科・小

児科を研修へ

派遣し、受講

者をリエゾンとし

て認定

地域

保健課

調査

周 産 期 母

子医療セン

ター

2災害対策に関する検討会の

設置

検討会なし

H29 年度

検討会設置

関係団体

- 279 -

Page 104: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

取り組み施策 (在宅療育・療養環境)

⑸ 乳児の状態に応じた療育・療養環境の整備

ア NICUから円滑に退院できる環境整備

指 標

現 状

目標

(H35)

目標値の

考え方

データの出展

取り組みの

主 体

1 退院支援プログラムがある周産

期母子医療センター数

・総合周産期

・地域周産期

1

3

H29 年度

8 箇所

全 周 産 期 母

子 医 療セ ンタ

ー で 統 一 し た

退院支援プロ

グラムの実施

地域保健課

調査

周 産 期 母

子医療セン

タ-

2 在宅移行支援病床を持つ

中間施設数

0 施設

H29 年度

1 施設

少なくとも

1 施設設置

療 育 医 療

センター等

中間施設

3 全県的な入・退院調整を行う

コーディネートチームの配置

⑹ 医療的ケア児や家族が安心して在宅療育・療養生活を継続できる環境の整備

ア 医療体制の整備

指 標

現 状

目標

(H35)

目標値の

考え方

データの出展

取り組みの

主 体

1 持病の急変時に対応できる圏

域の周産期母子医療センター数

8

H29 年度

現状維持

地域保健課

調査

周産期母子

医療センタ-

2 小児に対応している訪問看護

事業所数(サテライト含む)

・北部

・中部

・南部

・宮古

・八重山

H29 年度

県内 48

17

28

1

1

県内 53

2 以上

2 以上

2 以上

北部・宮古・

八重山地域

に増加

保健総務課

調査

3退院支援プログラムがある周産

期母子医療センター数

再 掲

再 掲

- 280 -

Page 105: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

(参考指標)

緊急時にどこを受診してよいか

知っている親の割合

H30 年度

調査予定

増加

統 一 し た 退 院 支

援プログラム実施

により増加

地域保健課

調査

周 産 期 母子

医療センター

イ 福祉体制(家族支援)の整備

(参考指標)

指 標

現 状

目標

(H35)

目標値の考え方

データ

の出展

取り組みの

主 体

1医療的ケア児に対応できる相

談支援事業者所数

(障害児相談支援事業所数)

(149)

増加

身近にあって利用

できる

県調査

市町村

社会福祉

法人等

2医療的ケア児に対応できる

レスパイト支援及び通所サービ

ス施設数

・医療型短期入所事業所数

・医療型児童発達支援

事業所数

・児童発達支援事業所

(重症心身障害)

5

2

16

H29 年度

3相談先を知っている保護者の

割合

H30 年度

調査予定

増加

統 一 し た 退 院 支

援プログラム実施

により増加

周 産 期 母 子

医 療 セ ン タ ー

ウ 母子保健体制の整備

指 標

現 状

目標

(H35)

目標値の

考え方

データの出展

取り組みの

主 体

1保健所における医療的ケアを

要する小児慢性特定疾病児の

訪問実施率

53.3%

H29 年度

100%

医療的ケア児

の全数訪問

地 域 保 健 課

調査

2市町村における未熟児訪問の

実施率 (実人員訪問件数)

16.2%

(83 件)

H28 年度

100%

未熟児の全数

訪問

地域保健

健康増進

事業報告

市町村

- 281 -

Page 106: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

エ 地域の中で家族とともに安全に安心して生活できる体制の整備

指 標

現 状

目標

(H35)

目標値の

考え方

データの出展

取り組みの

主 体

医療的ケアを要する児を避難行

動要支援者名簿に登載している

市町村数

H29 年度

増加

増加

県調査

市町村

- 282 -

Page 107: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

指標1周産期病床数(NiCU)、(GCU)

指標2周産期母子医療センターの機能分担について協議の場がある

指標1周産期母子医療センター分娩取り扱い産婦人科医師数

指標2

指標3

指標4

指標6

参考

指標

指標1

指標2

指標

コーディネートチームの配置及び連携回数

周産期医療資源維持に必要な県民への意識啓発

211 2 3 3211

地域で出産できる体制の確保

指標

周産期死亡要因の分析と周産期搬送の評価を

行い、結果を全周産期施設で共有する場があ

周産期医療人材の育成

母体受入困難事例数、新生児受入困難事例数

広報回数

指標

母体搬送率、 県内新生児搬送率

周産期に関する研修会開催回数、参加人数

新生児認定看護師の数

指標

システム改修と災害対策に関する検討会の設

置及び検討会の開催回数

全県的な入・退院支援コーディネートチームの設置

3

円滑な患者受入、搬送体制の維持

空床情報システムの充実

小児外科研修医数

周産期母子医療センターに勤務する関連診療科医師数

(麻酔科、眼科(未熟児網膜症対応可)、小児外科医)

指標5

災害時にも周産期医療が提供できる体制の確保

災害を想定した準備

指標1小児・周産期リエゾン研修受講者数、認定者数

システム改修と災害対策に関する検討会の設

置及び検討会の開催回数

指標

4

災害時に対応できる人材育成

県独自

指標

社会的要因によるNICU長期入院児数(1年以上)

社会的要因によるNICU長期入院児数(半年以上)

分娩取扱施設数       (①産科施設 ②助産所)

NICU専任及びNICU担当医師数

周産期専門医認定施設数  (①母体・胎児/②新生児)

周産期専門研修医      (①母体・胎児/②新生児)

周産期医療(周産期医療)分野 施策・指標体系図

C 個別施策

B 中間アウトカム

A 分野アウトカム

県内及び県外で提供する医療連携が確認されている

1

周産期医療体制(病床・施設整備)の充実

めざす

べき姿

継続的に新生児死亡率、周産期死亡率、妊産婦死亡率の原因

を明らかにし、有効な対策による全国並みの安全性の維持、更

なる改善を図る

周産期医療において人材・施設・設備が持続的に安全に提供で

きる体制が整備されている。

周産期母子医療センター入院中から、必要な医療、福祉、保健

への速やかな連携が可能な支援体制が構築されている。

2

周産期医療に必要な人材育成

必須

指標

・新生児死亡率

・周産期死亡率

・妊産婦死亡率・死亡原因

必要な病床数が配置されている

- 283 -

Page 108: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

  

  

 

番号

番号

番号

周産

期母

子医

療セ

ンタ

ーに

おけ

る在

宅移

行支

援の

体制

整備

1

検討

会の

開催

回数

2指

標1

安心

して

在宅

療育

・療

養生

活を

継続

でき

る環

境整

緊急

時に

どこ

へ受

診す

れば

よい

か知

って

いる

保護

者の

割合

相談

先を

知っ

てい

る保

護者

の割

指標

医療

体制

の整

医療

的ケ

アが

必要

な児

に対

応で

きる

救急

病院

指標

3

  

周産

期医

療(在

宅療

育・療

養環

境整

備)分

野 

施策

・指

標体

系図

C 

個別

施策

B 

中間

アウ

トカ

ムA

 分

野ア

ウト

カム

NIC

Uか

ら円

滑に

退院

でき

る環

境整

備指

標1

指標

2退

院支

援プ

ログ

ラム

があ

る周

産期

母子

医療

セン

ター

在宅

支援

サー

ビス

の情

報が

網羅

され

た県

のH

Pが

ある

退院

支援

コー

ディ

ネー

ター

数1

指標

指標

指標

5

災害

時の

対応

整備

指標

4

医療

・福祉

保健

の連

携に

よる

サー

ビス

の実

指標

42

3

在宅

で療

育・療

養生

活が

継続

でき

る母

子保

健体

制の

整備

在宅

で療

育・療

養生

活が

継続

でき

る福

祉体

制の

整備

指標

1 2

指標

在宅

で療

育・療

養が

継続

でき

る医

療体

制の

整備

医療

的ケ

アを

要す

る小

児慢

性特

定疾

病児

を全

数把

握し

てい

る保

健所

医療

的ケ

アを

要す

る児

を全

数把

握し

てい

る市

町村

指標

3

医療

・福祉

・保健

サー

ビス

を要

する

医療

的ケ

ア児

を結

ぶ母

子保

健体

制整

指標

指標

在宅

移行

支援

病床

を持

つ中

間施

設の

設置

検討

体制

整備

医療

的ケ

アを

要す

る小

児慢

性特

定疾

病児

の支

援率

医療

的ケ

アを

要す

る児

の支

援率

保護

者の

利用

しや

すい

在宅

児童

福祉

サー

ビス

の構

在宅

移行

支援

病床

を持

つ中

間施

設数

指標

全県

的な

入退

院コ

ーデ

ィネ

ート

チー

ム設

置(再

掲)

指標

医療

的ケ

アを

要す

る児

を災

害時

の要

援護

者リ

スト

に載

せて

いる

市町

村数

医療

・福祉

・保

健に

関す

る相

談が

1ヶ

所で

でき

る市

町村

災害

時要

援護

者と

して

医療

的ケ

アが

必要

な児

を把

握し

てい

る市

町村

医療

的ケ

アを

必要

とす

る児

に対

応で

きる

相談

支援

事業

所数

医療

的ケ

アを

必要

とす

る児

に対

応で

きる

レス

パイ

ト施

設数

地域

で児

や家

族が

安全

に安

心し

て生

活で

きる

環境

整備

指標

指標

1

圏域

毎に

小児

に対

応し

てい

る訪

問看

護ス

テー

ショ

ン数

災害

時に

医療

的ケ

ア児

の対

応が

決ま

って

いる

市町

村数

指標

1

コー

ディ

ネー

トチ

ーム

の配

置及

び連

携回

訪問

看護

利用

者の

利用

者数

1年

以上

の社

会的

要因

によ

るN

ICU

入院

児数

半年

以上

の社

会的

要因

によ

るN

ICU

入院

児数

指標

指標

指標

乳児

の状

態に

応じ

た療

育・療

養環

境が

整備

され

てい

- 284 -

Page 109: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

(5) 小児医療

第1 現状と課題

1 小児をとりまく状況

⑴ 小児の疾病構造

ア 定 義

本章において、小児の年齢区分については別に記載のない限り次のとおりとします。

(ア) 新生児:生後4週未満

(イ) 乳 児:1歳未満

(ウ) 小 児:0~14歳

イ 患者数

小児の1日の人口10万対受療患者数(平成26年10月)は、全国で入院437人、外

来10,265人、本県で入院281人、外来7,771人となっており、入院、外来ともに全国平

均に比べ、低くなっています。

表1 人口10万対受療人数(平成26年10月中) (単位:人)

入 院 外 来

(0~4歳) (5~14歳) 計 (0~4歳) (5~14歳) 計

沖縄 215 66 281 5,608 2,163 7,771

全国 345 92 437 6,762 3,503 10,265

※厚生労働省患者調査(平成26年)

ウ 入院

本県の傷病別の入院患者数は、周産期に発生した病態が35.2%と最も多く、次に、

呼吸器系の疾患が14.6%となっており、全体の約5割を占めています。

割合が5%以上の傷病で比較すると、本県は、周産期に発生した病態、損傷、中毒

及びその他の外因の影響、神経系の疾患の割合が全国値より高く、呼吸器系の疾

患、先天奇形、変形及び染色体異常、新生物の割合が全国値より低くなっています。

特に、中毒及びその他の外因の影響による入院の割合が全国の2倍以上、先天奇

形、変形及び染色体異常による入院の割合が全国の約半分となっています。

- 285 -

Page 110: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

表2 傷病別入院患者数(平成26年10月中)全国割合5%以上の傷病 (単位:人)

傷 病 分 類 全 国 沖縄県

人数 割合 順位 人数 割合 順位

周産期に発生した病態 126 28.8% 1 99 35.2% 1

呼吸器系の疾患 81 18.5% 2 41 14.6% 2

損傷、中毒及びその他の外因の影響 19 4.3% 6 26 9.3% 3

神経系の疾患 34 7.8% 4 25 8.9% 4

先天奇形、変形及び染色体異常 52 11.9% 3 18 6.4% 5

新生物 24 5.5% 5 13 4.6% 6

※厚生労働省患者調査(平成26年)

エ 外来

本県の傷病別の外来患者数は、呼吸器系の疾患が49.8%と最も多く、次に、健康

状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用が12.4%、消化器系の疾患が11.4

%となっております。

割合が5%以上の傷病で比較すると、本県は、呼吸器系の疾患、消化器系の疾患、

感染症及び寄生虫症の割合が全国値より高く、健康状態に影響を及ぼす要因及び

保健サービスの利用、皮膚及び皮下組織の疾患の割合が全国値より低くなっていま

す。

特に、呼吸器系の疾患による外来割合が全国値より9ポイント高く、皮膚及び皮下

組織の疾患による外来の割合が全国値の約6割となっています。

表3 傷病別外来患者数(平成26年10月中)全国割合5%以上の傷病 (単位:人)

傷 病 分 類 全 国 沖縄県

人数 割合 順位 人数 割合 順位

呼吸器系の疾患 4,182 40.8% 1 3,873 49.8% 1

健康状態に影響を及ぼす要因 1,741 17.0% 2 960 12.4% 2

及び保健サービスの利用

消化器系の疾患 1,051 10.2% 3 886 11.4% 3

感染症及び寄生虫症 500 4.9% 5 479 6.2% 4

皮膚及び皮下組織の疾患 787 7.7% 4 337 4.3% 5

※厚生労働省患者調査(平成26年)

- 286 -

Page 111: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

⑵ 死亡の状況

ア 新生児・乳児

平成28年の本県の出生1,000人当たりの新生児死亡率は0.8で全国平均0.9より低

く、乳児死亡率は1.9で全国平均2.0より低くなっています。

図1 新生児死亡率・乳児死亡率(出生1,000対)

※沖縄県人口動態統計

新生児死亡者の死因では、周産期に発生した病態が50.0%と最も多く、次に、先天

奇形、変形及び染色体異常が42.9%となっています。

また、乳児死亡者の主な死因を見ると、先天奇形、変形及び染色体異常が35.5%

と最も多く、次に、周産期に発生した病態が29.0%となっています。

表4 乳児死亡者・新生児死亡者の死因順位 (単位:人)

新生児(生後4週未満) 乳児(1歳未満)

死亡の原因 死亡数 割合 順位 死亡数 割合 順位

周産期に発生した病態 7 50.0% 1 9 29.0% 2

先天奇形、変形及び染色体異常 6 42.9% 2 11 35.5% 1

その他のすべての疾患 1 7.1% 3 4 12.9% 4

乳幼児突然死症候群 - - - 5 16.2% 3

腸管感染症 - - - 1 3.2% 5

不慮の事故 - - - 1 3.2% 5

合計 14 100% 31 100%

※沖縄県人口動態統計(平成28年)

2.2

0.9

1.2

0.8

1.61.3

1.10.9

3.8

2.42.4

1.9

3.12.6

2.32

0

1

2

3

4

H13 H18 H23 H28

新生児死亡率県 新生児死亡率全国

乳児死亡率県 乳児死亡率全国

- 287 -

Page 112: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

イ 小児

(ア) 死亡数

平成28年の本県の小児の死亡数は52人で、平成23年の86人より34人減少して

います。

平成13年からの推移をみると、死亡数は年によってばらつきがあります。

表5 小児の死亡数 (単位:人)

小児死亡数

年次 全国 沖縄

計 年齢別内訳 計 年齢別内訳

0~4 5~9 10~14 0~4 5~9 10~14

平成13年 6,296 4,936 709 651 95 81 9 5

平成18年 5,125 3,940 612 573 66 48 10 8

平成23年 5,099 3,622 749 728 86 61 17 8

平成28年 3,449 2,618 391 440 52 40 7 5

※人口動態統計

(イ) 死因順位

平成28年の小児死亡者の死因は、先天奇形、変形及び染色体異常が28.9%と

最も多く、次に、周産期に発生した病態が17.3%となっています。

年齢(5歳階級)別に主な死因の構成割合をみると、0~4歳では先天奇形、変形

及び染色体異常、5~9歳では先天奇形、変形及び染色体異常や不慮の事故等、

10~14歳では不慮の事故等がそれぞれ多くなっています。

表6 小児(0~14)の死因順位(全体に占める割合が5%以上の死因) (単位:人)

小児(15歳未満)

死 因 死亡数 割合 順位

計 0~4 5~9 10~14歳 歳 歳

先天奇形、変形及び染色体異常 15 13 2 - 28.9% 1

周産期に発生した病態 9 9 - - 17.3% 2

不慮の事故等 7 2 2 3 13.5% 3

乳幼児突然死症候群等 6 6 - - 11.5% 4

悪性新生物等 3 1 1 1 5.8% 5

感染症及び寄生虫 3 2 1 - 5.8% 5

※沖縄県人口動態統計(平成28年)

- 288 -

Page 113: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

⑶ 小児救急搬送の状況

ア 年齢区分別救急搬送者数

平成26年の本県の救急搬送者65,308人のうち、新生児は241人、乳幼児は3,458人、

少年は3,300人で、平成21年と比較すると、新生児では19人減少、乳幼児で684人増

加、少年で260人増加しています。

図2 年齢区分別救急搬送者数

※沖縄県防災危機管理課資料

イ 年齢区分別人口当たり搬送率

平成21年と平成26年の救急搬送者数を各年度の人口当たりの搬送率で比較すると、

人口の変動にかかわらず、搬送率は増加しています。

表7 年齢区分別救急搬送者数(平成21年度・平成26年度比較)

H21年度 H26年度 増減

年齢区分 件数 人口当たり 件数 人口当たり 件数 人口当たり

搬送率 搬送率 搬送率

新生児・乳幼児(0歳~7歳未満) 3,034 2.7% 3,699 3.2% 665 0.5

(内訳)

新生児(生後28日未満) 260 - 241 - -19 -

乳幼児(生後28日以上7歳未満) 2,774 - 3,458 - 684 -

少年( 7歳以上18歳未満) 3,093 1.7% 3,300 1.8% 207 0.1

成人(18歳以上65歳未満) 23,473 2.8% 25,934 3.1% 2,461 0.3

老人(65歳以上) 24,935 10.4% 32,375 11.6% 7,440 1.2

合 計 54,535 3.9% 65,308 4.6% 10,773 0.7

※沖縄県防災危機管理課資料より作成

※H21年度の人口はH22国勢調査人口、H26年度の人口はH27国勢調査人口を利用

※新生児・乳幼児の人口当たり搬送率の内訳は新生児人口が把握できないため空欄とした。

214 257 260 241

2,6372,795

2,774

3,458

2,587

3,013 3,0933,300

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

平成11年 平成16年 平成21年 平成26年

新生児 乳幼児 少年

- 289 -

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ウ 傷病程度別救急搬送者数(新生児・乳幼児)

平成26年に救急搬送された新生児及び乳幼児のうち、軽症者の数は、新生児が241

人中25人で10.4%、乳幼児が3,458人中2,804人で81.1%となっており、乳幼児の軽症

患者が救急医療機関を多数受診していることがうかがえます。

このような小児救急における受療行動には、少子化、核家族化、夫婦共働きといっ

た社会情勢や家庭環境の変化に加え、保護者などによる専門医指向及び病院指向

が大きく影響しているといわれています。

図3 新生児・乳幼児の傷病程度別救急搬送者数(平成26年度)

【新生児】 【乳幼児】

※沖縄県防災危機管理課資料

⑷ 小児救急電話相談事業(#8000)の状況

小児患者の保護者の不安軽減や救急医療機関の負担軽減を目的に、小児科医

師、看護師による保護者等向けの夜間の小児救急電話相談事業(#8000)を毎日19時

から23時まで実施しています。

これにより、患者の症状に応じた適切な医療提供体制の構築を行うとともに、救急

医療機関の適切な受診を促すことで医療従事者の負担軽減も図っています。

ア 相談件数

平成28年度の相談件数は7,749件で、1日平均21件の相談があり、午後7~9時の時

間帯に電話が集中する傾向がみられます。

表8 時間帯別相談件数

7〜8時 8〜9時 9~10時 10~11時 計

相談件数 2,272 2,041 1,865 1,571 7,749

割合(%) 29.3 26.3 24.1 20.3 100.0

死亡, 1人, 0.4%

重症, 28人, 11.6%

中等症, 186人, 77.2%

軽症, 25人, 10.4%

その他, 1人, 0.4%

搬送者合計

241人

死亡, 13人, 0.4%

重症, 53人, 1.5%

中等症, 587人, 17.0%

軽症, 2,804人,

81.1%

その他, 1人, 0.0%

搬送者合計

3,458人

- 290 -

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イ 患者の年齢

患者の年齢は、2歳未満が全体の約半数を占めています。

表9 患者の年齢

1歳未満 1~2歳 2~3歳 3~6歳 6~12歳 12~15 15歳 不明 計

未満 未満 未満 未満 歳未満 以上

相談件数 2,298 1,942 911 1,605 867 74 32 20 7,749

割合(%) 29.7 25.0 11.8 20.6 11.2 1.0 0.4 0.3 100.0

ウ 相談内容(複数回答 10,121件)

相談内容の内訳は、症状に関することが7,893件(78.0%)で最も多く、次いで打撲など

外傷・事故に関することが1,531件(15.1%)、薬を使用するタイミング等に関することが508

件(5.0%)となっています。

また、症状の相談の内容は、発熱が2,841件(36.0%)と最も多く、次いで嘔吐が

1,050件(13.3%)、咳(喘息ほか)が780件(9.9%)となっています。

エ #8000利用者の受療行動の状況

相談者に対する事後の聞き取り調査では、回答のあった人の79.5%が夜間の受診を控

えており、#8000が救急医療機関の負担軽減に寄与していると考えられます。

表10 #8000利用者の受療行動の状況(平成28年度) (単位:件)

相談 聞き取り 不在 回答 回答内訳

件数 件数 件数 件数 翌朝9時 翌朝9時 受診して

(5件/日) までに受診 以降に受診 いない

7,749 1,810 799 1,011 207 390 414

(100.0%) (20.5%) (38.6%) (40.9%)

※沖縄県医療政策課 平成28年度事業実績

- 291 -

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2 小児医療の提供体制

⑴ 医療施設の状況

小児科を標榜する診療所は208施設、病院は41施設となっており、小児人口10万人

当たりの施設数でみると、診療所が84.1か所、病院が16.6か所で、診療所数は全国より

低く、病院数は全国と同水準となっています。

圏域ごとの小児人口10万人当たりの診療所数では、中部が最も低くなっています。

表11 小児科標榜医療機関の状況 (単位:箇所/人)

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計 全国

診療所数 16 61 113 8 10 208 20,872

小児人口10万人当たり 98.6 69.1 90.8 92.7 104.7 84.1 131.6

病院数 3 13 23 1 1 41 2,642

小児人口10万人当たり 18.5 14.7 18.5 11.6 10.5 16.6 16.7

※厚生労働省医療施設調査(平成27年)

※全国の一般診療所は平成26年の数値(静態調査年のみ把握)

⑵ 小児科医師(主たる診療科)の状況

ア 小児科医師数

平成28年末の本県の小児科医師数は237人で、小児人口10万人当たりの小児科

医師数は95.6人となっており、全国の107.3人を下回っています。

小児人口10万人当たり、圏域別でみると、宮古圏域を除く4圏域が全国の107.3人

を下回っており、八重山が41.9人と最も少なく、次に中部が73.6人と少なくなっています。

H20年からの小児科医師数の推移をみると、年によってばらつきがあります。(表14)

表12 小児科医師数

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計 全国

医師数 17 65 142 9 4 237 16,937

小児人口10万人当たり 104.8 73.6 114.1 104.3 41.9 95.6 107.3

※医師・歯科医師・薬剤師調査(平成28年)

※複数の診療科に従事している場合の主として従事する診療科

が小児科の医師と小児科のみに従事する医師の集計である。

- 292 -

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表13 小児科医師数の推移

H20 H22 H24 H26 H28

医師数 15,236 15,870 16,340 16,758 16,937全国

小児人口 99.5 95.1 95.9 105.5 107.310万人当たり

医師数 204 199 237 220 237沖縄

小児人口 82.9 80.9 95.6 89.0 95.610万人当たり

※厚生労働省 医師・歯科医師・薬剤師調査

イ 医療機関別の小児科医師数

従事する医療機関別の集計では、病院が163人、診療所が74人となっており、小児

人口10万人当たりで全国と比べると、病院は65.7人で全国と同水準、診療所は29.8人

で全国の41.7人を下回っています。

表14 小児科医師数(病院・診療所別)

医師数 小児人口10万人当たり

病院 10,355 65.6

全国 診療所 6,582 41.7

合計 16,937 107.3

病院 163 65.7

沖縄 診療所 74 29.8

合計 237 95.6

※医師・歯科医師・薬剤師調査(平成28年)

※複数の診療科に従事している場合の主として従事する診療科

が小児科の医師と小児科のみに従事する医師の集計である。

- 293 -

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3 小児医療体制の状況

⑴ 一般的な小児医療体制

一般的な小児医療に必要とされる診断・検査・治療等は、地域の小児科標榜の診

療所や病院等の医療機関が実施しています。

⑵ 小児救急医療体制

【用語の意味】

○初期救急医療 比較的軽症で入院を伴わない急病患者に対応する医療。

市町村の休日・夜間救急診療所又は一般の医療機関で

行われている。

○第二次救急医療 第二次救急医療は、入院治療を必要とする患者や比較的

重症な患者に対応する医療。

○第三次救急医療 第三次救急医療は、第二次救急医療では対応できない複

数の診療科領域にわたる重篤な救急患者を24時間365日

受け入れ、高度な専門的医療を総合的に実施する医療。

ア 小児の初期救急医療

本県では、初期救急に対応する診療所等は少なく、本来、専門医療又は入院を

要する小児救急医療を提供する二次医療圏の救急病院や高度な専門医療又は

重篤な小児患者に対する救命医療を提供する小児救命救急センター(南部医療

センター・こども医療センター)が初期救急から第三次救急まで対応しています。

イ 小児の第二次及び第三次救急医療体制

各二次医療圏に24時間・365日の小児救急医療体制が整備されています。

表15 第二次救急及び第三次小児救急医療体制(24時間365日対応)

区分 医療圏名 医療機関名 診療体制

北部 県立北部病院 救急病院

第二次 中部 県立中部病院 救命救急センター

救急 南部 那覇市立病院 救急病院

宮古 県立宮古病院 救急病院

八重山 県立八重山病院 救急病院

第三次 全県 県立南部医療センター・ 小児救命救急センター

救急 (重症患者) こども医療センター

ウ 救急医療機関の受診状況

- 294 -

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(ア) 第二次救急医療機関の受診状況

平成27年度の救急病院の小児救急患者の受入数は78,957人で、そのうち入院

した者は5,913人(7.5%)となっており、比較的軽症な患者が救急外来を受診してい

る現状が見られます。

救急病院の外来患者のうち、時間外受診者が占める割合及び時間外、3歳未

満受診者が占める割合は、本県が全国で1位となっています。(図4、図5)

軽症患者の救急受診が増加すると、緊急性の高い重症患者の治療に支障が出

たり、救急医療機関の疲弊にも繋がることから、軽症の場合はかかりつけ医を受診す

ることなど県民への適正受診の啓発が必要です。

図4 救急病院の外来受診者のうち時間外受診者の割合

平成26年医療施設調査

図5 救急病院の外来患者のうち時間外、3歳未満の受診者の割合

平成26年医療施設調査

0.0%

1.0%

2.0%

3.0%

4.0%

5.0%

6.0%

7.0%

8.0%

9.0%

北海道

宮崎県

富山県

奈良県

山梨県

新潟県

香川県

三重県

栃木県

石川県

東京都

広島県

埼玉県

兵庫県

宮城県

長崎県

千葉県

愛媛県

佐賀県

山口県

神奈川県

大阪府

静岡県

高知県

茨城県

和歌山県

鹿児島県

岡山県

福井県

長野県

徳島県

福島県

山形県

京都府

岐阜県

大分県

秋田県

岩手県

青森県

島根県

愛知県

福岡県

鳥取県

群馬県

滋賀県

熊本県

沖縄県

0.0%

0.2%

0.4%

0.6%

0.8%

1.0%

1.2%

1.4%

山梨県

宮崎県

三重県

北海道

富山県

奈良県

新潟県

兵庫県

石川県

佐賀県

青森県

群馬県

愛媛県

埼玉県

静岡県

長野県

高知県

鹿児島県

宮城県

福井県

長崎県

香川県

和歌山県

東京都

千葉県

大阪府

山形県

山口県

神奈川県

福島県

徳島県

秋田県

茨城県

広島県

岐阜県

岩手県

熊本県

岡山県

島根県

京都府

愛知県

鳥取県

福岡県

栃木県

滋賀県

大分県

沖縄県

- 295 -

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(イ) 第三次救急医療機関の受診状況

三次医療圏においては、南部医療センター・こども医療センターが小児救命救急

センターに指定されており、全県を対象として高度な専門医療又は重篤な小児患者

に対する救命医療を提供しています。

同センターにおける小児の救急患者数は、平成25年度の17,596人から平成28年

度は20,543人で増加しており、増加傾向にあります。

また、小児救急患者のうち91.9%が救急搬送によらず、直接来院しており、軽症

患者の対応に負担が大きいと考えられることから、かかりつけ医や周辺病院との連携

により、小児救命救急センターの機能維持を図る必要があります。

図6 南部医療センター・こども医療センターの小児救急患者数

※南部医療センター・子ども医療センター統計資料より

⑶ 高度な医療提供体制

高度な医療を提供する新生児集中治療室(NICU)を有する病院は8か所(合計60

病床)、小児集中治療室(PICU)を有する病院は、県立南部医療センター・こども医療

センター1か所(8病床)となっています。

表16 NICUの病床数(平成29年度)

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計

NICU病床数 6 18 30 3 3 60

⑷ 医療環境にある子どもに対する支援

沖縄県立南部医療センター・こども医療センターには、CLS(child life

specialist)が配置されており、検査及び治療に伴う子どもの不安を軽減す

るなど、小児患者に特有の配慮がなされています。

17,596 18,189

19,598

20,543

16,000

17,000

18,000

19,000

20,000

21,000

H25 H26 H27 H28

- 296 -

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⑸ 離島の小児の急患空輸

離島からの急患空輸については、日中の本島周辺の離島は沖縄県ドクターヘリ、夜間

や宮古、八重山、南北大東島は自衛隊及び海上保安庁の協力を得て実施する体制

を整備しています。

自衛隊による小児の急患空輸の際は、県立南部医療センター・こども医療センターの

医師が急患搬送用の呼吸器や保育器等を携行して添乗しています。

⑹ 小児在宅医療

医療技術の進歩等を背景として、退院後も人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの

吸引や経管栄養などの医療的ケアを受けながら日常生活を営む小児が増加しており、

状態に応じた望ましい療養環境・療育環境の整備や円滑な在宅医療等への移行、成

長に伴う成人期医療への円滑な移行といった課題があります。

成人の在宅医療を実施する医療機関では、技術の未習得や経験不足から小児に対

応できない医療機関が多いのが現状です。県内で小児在宅医療に対応可能な医療機

関は、診療所で11か所、病院で8か所となっています。

訪問看護ステーションの事業所数を圏域別でみると、小児に対応可能な事業所数は

北部、宮古、八重山で1か所のみとなっており、地域偏在が課題となっています。

表17 圏域別訪問看護ステーション数北部 中部 南部 宮古 八重山 県計

事業所数 6 37 46 7 4 100

うち小児対応 1 17 28 1 1 48

※沖縄県保健医療総務課調べ(平成29年8月現在)

また、小児在宅患者への訪問薬剤管理指導を行う在宅医療支援薬局として沖縄県

薬剤師会に届出をしている薬局が75か所あり、そのうち、小児に対応可能な薬局は44か

所で、圏域別では、北部、宮古及び八重山で1か所のみとなっており、地域偏在が課題

となっています。

表18 圏域別在宅医療支援薬局数北部 中部 南部 宮古 八重山 県計

薬局数 2 24 45 2 2 75

うち小児対応 0 12 29 1 2 44

※沖縄県薬剤師会調べ(平成29年9月現在)

表19 圏域別 小児の訪問薬剤指導利用者数北部 中部 南部 宮古 八重山 県計

利用者数 0 22 91 0 0 113

※沖縄県薬剤師会調べ(平成29年9月現在)

- 297 -

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第2 目指す方向性

1 目指す姿

⑴ 乳児死亡率、幼児死亡数及び小児死亡数が減少している。

⑵ 在宅医療を受ける小児患者のQOLが向上している。

2 取り組む施策

⑴ 一般小児医療を支える医療体制の充実

ア 小児科医の確保

小児科医確保に向けては、医師の養成段階から関与することが重要であること

から、新専門医制度に対応した専門研修体制の構築を進めるとともに研修の質の

向上を図り、沖縄県内で質の高い小児科医を養成・確保する環境の整備に努め

ます。

また、特に離島・へき地を始めとする医師不足地域については、琉球大学

医学部地域枠学生を対象とした医師修学資金等の貸与(小児科志望者に重

点的に貸与)、県立病院での研修事業による小児科医養成、小児科医師不足

の医療機関への小児科医派遣等により、当該地域に必要とされる小児科医

の確保に取り組みます。

イ かかりつけ医と専門医療機関の連携体制の構築

平成28年度の診療報酬改定により小児かかりつけ診療料が新設されましたが、

県内における届出が平成29年10月1日現在で1件にとどまっていることから、小児か

かりつけ医を増やすため、医療機関への小児かかりつけ診療料制度の周知を図りま

す。

⑵ 小児救急医療体制の整備

ア 小児救急電話相談の実施

小児の保護者等への急病等の相談及び小児救急医療機関の負担軽減を図る

ため、小児救急電話相談事業の相談体制の充実を図ります。

イ かかりつけ医の必要性や適正受診等に関する保護者への啓発

かかりつけ医を持つことの必要性や医療機関の適正受診等に関する保護者への

啓発に取り組みます。

ウ 二次医療圏における24時間365日対応できる小児救急医療体制の確保

- 298 -

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二次医療圏において24時間365日対応できる小児救急医療体制を確保するた

め、休日及び夜間における入院治療を必要とする重症患者へ医療を提供する救

急医療機関を支援します。

⑶ 療養・療育支援が可能な体制の整備

ア 慢性疾患の小児及び家族に対する地域の医療資源・福祉サービスの情報提供

慢性疾患により在宅療養を要する小児及び家族が効率的、効果的に必要な在宅

医療を受けられるよう、小児在宅医療を提供する医療資源・福祉サービスの情報提

供を推進します。

イ 小児在宅医療を担う医療機関への支援

小児在宅医療を提供する医療機関等を増やすため、関係する職種に対して専門

的な技術習得のための研修を実施します。

⑷ 災害時を見据えた小児医療体制

災害時に小児及び小児患者に適切な医療や物資を提供できるよう、県内の小児

科医を対象として災害時に小児医療の調整を行う人材の養成に取り組みます。

- 299 -

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第3 数値目標

1 目指す姿

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

乳児死亡率(出生千人対) 乳児死亡率 全国平均より 厚生労働省 医療機関

H28 1.9 低いので、現 人口動態調 県民

幼児死亡数 幼児死亡数 在の水準を維 査

H28 40人 維持 持する。

小児死亡数 小児死亡数

H28 52人

訪問看護利用者の満足度 H28年 満足と回答 増 加 を 目 指 沖縄県看護 医療機関

未実施 した割合 す 。 協会調査 県民

80%

2 取り組む施策

⑴ 一般小児医療を支える医療体制の充実

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

小児科医数 H28年 全国平均(10 厚生労働省 県

(小児人口10万人当たり) 95.6人 107.3人 万人当たり 医師 ・歯科 大学

107.3人)以上 医師 ・薬剤

を目指す。 師調査

小児医療を実施する病院、診療 診療所は全国 医療機関

所数 診療所(H27) 平均(131.6か 厚生労働省

(小児人口10万人当たり) 84.1か所 131.6か所 所)を目指す。 医療施設調

病院(H27) 病院は全国平 査

16.6か所 維持 均(16.7か所)

と同水準を維

持する。

小児かかりつけ診療料の九州厚 H29年10月 全国平均値 九州厚生局 医療機関

生局への届出数(小児人口10万 0.4か所 5.7か所 (5 . 7か所)以 診療報酬施

人対) 上を目指す。 設基準

沖縄県内で小児科専門研修 H29 研修枠の上限 研修施設調 県 ・関係団

を実施している専攻医数 12人 20人/各年 まで増加を目 査 体 ・医療機

度 指す。 関

小児かかりつけ診療料制度に関 延べ100か所の 県

する説明会等への参加医療機 未実施 100か所 参 加 を 目 指 県医療政策 関係団体

関数 (延べ数) す。 課資料

- 300 -

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⑵ 小児救急医療体制の整備

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

小児(3歳未満)の時間外受入 H26 減 少 を 目 指 医療施設調 県 ・関係団患者数 3,108人 5%減/年 す。 査 体 ・医療機

乳幼児の救急搬送の軽症率 H27 全国平均まで 沖縄県消防 県 ・関係団

80.4% 75.6% 減 少 を 目 指 防災年報、 体 ・医療機

す。 消防庁救急 関

・救助の現況

小児救急電話相談の件数 H28年度 回線増により、 県医療政策 県

7,749件 16,000件 相談件数増 課資料

(1回線) (2回線) 加を目指す。

かかりつけ医の必要性や適正受 H29年度 パンフレット等 県医療政策 県

診等に関する保護者への啓発の 15,000部/年 20,000部/ 配布数 課資料

実施数 年

24時間365日対応できる小児救 現在全圏域で 県医療政策 医療機関

急医療体制が確保されている二 5医療圏 維持 確保されてお 課調査

次医療圏数 り、同水準を

維持する。

⑶ 療養・療育支援が可能な体制の整備

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

小児に対応する訪問看護ステー H29 北部、宮古, 沖縄県保健 医療機関

ション数 全県 48か所 5 3 か 所 八重山圏域の 医療総務課

(圏域別) (圏域別) 増 加 を 目 指 調査

北部 1 北部2以上 す。

中部 17 中部 維持

南部 28 南部 維持

宮古 1 宮古2以上

八重山 1 八重山2以

小児に対応する在宅医療支援 H29 増 加 を 目 指 沖縄県薬剤 医療機関

薬局数・小児に対する訪問薬剤 在宅医療支 す。 師会調査

管理指導の実施薬局数 援薬局数

44か所 70か所

訪問薬剤管

理指導の実施

薬局数 19か所

12か所

- 301 -

Page 126: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H35) 考え方 主体

訪問薬剤利用者数 H29 増 加 を 目 指 沖縄県薬剤 医療機関

113人 180人 す。 師会調査

慢性疾患の小児及び家族に対 全市町村での

する地域の医療資源・福祉サー H29 情報提供の実 県医療政策 市町村等

ビスの情報提供を実施している地 11市町村 41市町村 施を目指す。 課調査

域数(市町村数)

小児在宅医療に関する医療機 県内で実施さ 県医療政策 県

関等への研修回数 未実施 1回 れていない研 課資料 関係団体等

/各年度 修等を県内で

実施する。

- 302 -

Page 127: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

番号

番号

番号

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

2

7

小児在宅医療を実施する医療機関等への支

5

二次医療圏における24時間365日対応でき

る小児救急医療体制の確保

6

慢性疾患の小児及び家族に対する地域の

医療資源・福祉サービスの情報提供

乳児死亡率、幼児死亡数、小児死

亡数

小児(3歳未満)の時間外受入れ患

者数

乳幼児の救急搬送の軽症率

療養・療育支援が可能な体制の整備

3

小児に対応する訪問看護ステー

ション数

小児に対応する在宅医療支援薬

局数・訪問薬剤管理指導実施薬局

数・訪問薬剤利用者数

1

乳児死亡率、幼児死亡数、小児死亡数の

減少

3小児救急電話相談の実施

2

小児救急医療体制の整備

4

かかりつけ医の必要性や適正受診等に関す

る保護者への啓発

医療機関等への研修回数

小児医療分野 施策・指標体系図

C 個別施策

B 中間アウトカム

A 分野アウトカム

1小児科医師の確保

1

一般小児医療を支える医療体制の充実

2

かかりつけ医と専門医療機関の連携体制の

構築(小児かかりつけ診療料制度の周知)

小児科医師数

小児医療を実施する病院・診療所

数 小児かかりつけ診療料の九州厚生

局への届出数

県内で小児科専門研修を実施してい

る専攻医数

小児かかりつけ診療料制度に関する

説明会等への参加医療機関数

訪問看護利用者の満足度

小児救急電話相談の件数

啓発等の実施数

確保されている二次医療圏数

情報提供を実施している地域数(市

町村数)

小児在宅医療を受ける患者のQOLの向上

指標

- 303 -

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(6) 在宅医療

第1 現状と課題

1 在宅医療の現状

高齢化の進展に伴い疾病構造が変化し、誰もが何らかの病気を抱えながら生活を

するようになる中で、「治す医療」から「治し、支える医療」への転換が求められています。

在宅医療は、高齢になっても病気になっても障害があっても、住み慣れた地域で自分ら

しい生活を続けられるよう、入院医療や外来医療、介護、福祉サービスと相互に補完し

ながら、患者の日常生活を支える医療であり、地域包括ケアシステムの不可欠の要素

です。

また、今後増大する慢性期の医療ニーズに対し、在宅医療はその受け皿として、さら

に看取りを含む医療提供体制の基盤の一つとして期待されています。

⑴ 人口の高齢化

本県の人口は、「年少人口」(0~14歳)や「生産年齢人口」(15~64歳)は減少し

ていく一方、「高齢者人口」(65歳以上)は、平成27年の27万8千人から平成32年には

32万4千人に増加し、高齢化率は22.9%に増加すると見込まれています。

表1 高齢者人口及び年齢区分別人口の長期的な推移(単位:千人)

平成27年 平成32年 平成37年 平成42年 平成47年

1,434 1,416 1,414 1,405 1,391

247 226 213 201 195

892 866 848 831 805

278 324 353 373 391

65歳以上75歳未満 135 167 172 161 160

75歳以上 143 157 181 212 231

19.4% 22.9% 25.0% 26.5% 28.1%

26.3% 29.1% 30.3% 31.6% 33.4%

※国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」(平成25年3月推計値)

※平成27年の数値は国勢調査実績値

高齢化率(全国)

総人口

年少人口

生産年齢人口

高齢者人口

高齢化率(沖縄県)

- 304 -

Page 129: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

県内の65歳以上人口に占める世帯主65歳以上の単独世帯の割合は、全国よりも

高い水準で推移し、平成27年の19.3%から平成32年に19.1%に微減となりますが、そ

の後増加に転じると見込まれています。

表2 世帯数の将来推計(65歳以上人口に占める65歳以上の単独世帯主の割合)

(単位:%)

平成27年 平成32年 平成37年 平成42年 平成47年

沖縄県 19.3 19.1 19.5 20.1 20.8

全 国 17.7 18.5 19.2 19.8 20.4

※国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計

(平成26年4月推計値)

本県の高齢者世帯(世帯主が65歳以上)は増加傾向にあり、そのうち特に「単独世

帯」及び「夫婦のみ世帯」が増加していくと見込まれています。

表3 世帯数の将来推計(沖縄県の総世帯数、高齢者世帯等の割合)

(単位:世帯数、%)

平成27年 平成32年 平成37年 平成42年 平成47年

総世帯数 549,468 569,151 580,781 586,872 587,318

高齢者世帯の割合 29.8% 33.5% 35.5% 36.9% 38.2%

単独世帯数の割合 31.3% 32.4% 33.4% 34.6% 36.2%

夫婦のみ世帯数の割合 25.3% 25.1% 25.3% 25.4% 25.2%

その他世帯数の割合 43.4% 42.5% 41.3% 39.9% 38.6%

※国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計

(平成26年4月推計値)

⑵ 在宅医療のニーズの増加と多様化

人口の高齢化に伴い、県内の死亡総数は、平成22年の10,156人から、平成28年の

11,706人と1,550人増加しており、今後、在宅における看取りの対応が増加することが

見込まれます。

また、医療技術の進歩等を背景として、退院後も人工呼吸器や胃ろう等を使用し、

たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアを受けながら日常生活を営む小児や若年層

の患者が全国的に増加している等、在宅医療のニーズは増加し、また多様化していま

す。

- 305 -

Page 130: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

表4 死亡数の推移 (単位:人)

平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年

10,156 10,686 10,626 10,956 11,361 11,326 11,706

※厚生労働省人口動態統計

2 在宅医療の提供体制

⑴ 退院支援

近年、在宅医療を選択する患者が増加していることから、医療機関からの退院後の

医療の継続や心理的・社会的問題の予防や対応のために、入院初期から退院後の

生活を見据えた多職種の連携による退院支援が重要となっています。

退院支援担当者を配置している医療機関では、多職種による退院前カンファレンス

等が行われており、自宅への退院促進や平均在院日数の減少、患者や家族のQOL

向上を図っています。

本県の退院支援担当者を配置している病院数は38施設となっており、65歳以上の

人口10万人当たりでは全国を上回っていますが、圏域により偏在が見られます。

表5 退院支援担当者を配置している病院数 (単位:施設)

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計 全国

配置施設数 3 8 24 1 2 38 3,592

65歳以上人口10万人当たり 12.9 8.6 54.5 7.7 19.6 13.7 10.7

※厚生労働省医療施設静態調査(平成26年)

⑵ 日常の療養生活の支援

ア 訪問診療

本県の在宅療養支援診療所数は102施設となっており、65歳以上の人口10万人

当たりでは全国より低い水準にあります。医療圏別でみると宮古が最も多くなっていま

す。

在宅療養支援病院数は12施設となっており、65歳以上の人口10万人当たりでは

全国より高い水準にあります。医療圏別の65歳以上人口10万人当たりでみると南部

が最も多くなっています。

訪問診療を受けた患者数は38,723人となっており、65歳以上の人口10万人当たり

- 306 -

Page 131: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

では全国より低い水準にあります。医療圏別でみると診療所の取組が活発な宮古で

全国より高い水準となっています。

表6 在宅療養支援診療所数 (単位:施設)

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計 全国

在宅療施設数 7 25 57 8 5 102 14,683

養支援

診療所 65歳以上人口

10万人当たり30.1 26.8 41.2 61.8 49.0 36.6 43.9

在宅療施設数 1 4 7 0 0 12 1,109

養支援

病院 65歳以上人口

10万人当たり4.3 4.3 5.1 0 0 4.3 3.3

※診療報酬施設基準 届出施設数(平成27年)

表7 訪問診療を受けた患者数 (単位:件)

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計 全国

レセプト件数 2,863 10,593 19,583 4,471 1,213 38,723 7,325,943

65歳以上

人口10万人 12,304.5 11,339.2 14,140.5 34,511.8 11,885.2 13,913.3 21,891.1当たり

※平成27年在宅患者訪問診療料算定件数(厚生労働省医療計画データブック)

イ 訪問看護

本県の訪問看護ステーション数は100施設となっており、65歳以上の人口10万人当

たりでは全国より高い水準となっています。医療圏別でみると宮古が最も多くなっていま

す。

訪問看護ステーションは小規模な事業所が多く、規模が小さいほど早朝、深夜、夜

間の対応が困難であることに加えて、オンコール体制で月の半数を当番として待機する

状況にあるなど、厳しい労働環境となっており、人材育成を行う余裕がないことや、看

護職の定着が困難という課題があります。

北部医療圏や離島は中南部に比べて人口が少ないため、人口当たりの事業所数

は多くなりますが、面積が広いため、遠方の地域まではカバーできていないほか、医療ニ

ーズの高い人工呼吸器使用者等に対応できる事業所が少なく、充分に対応できてい

ない状況があります。

また、医療ニーズの高い利用者に医療行為も含めたサービスを提供し、退院直後の

- 307 -

Page 132: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

在宅療養生活への円滑な移行支援等を図る看護小規模多機能型居宅介護事業

所は、平成29年3月末日現在、県内に2か所あり、今後のニーズに合わせて整備して

いく必要があります。

表8 訪問看護ステーション数 (単位:事業所)

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計 全国

事業所数 6 37 46 7 4 100 10,126

65歳以上人口10万人当たり 25.8 39.6 33.2 54.0 39.2 35.9 30.3

※沖縄県保健医療総務課調査(平成29年8月現在)

※全国値は平成27年度介護サービス施設・事業所調査による

ウ 訪問歯科診療

本県の歯科訪問診療料届出歯科診療所数は289施設となっており、65歳以上の

人口10万人当たりでは、全国より若干低い水準となっています。医療圏別でみると南

部が最も多くなっています。

口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症予防につながるなど、口腔と全身との関係について

広く指摘されており、在宅療養者の歯科診療を更に推進していくことが求められていま

す。

表9 歯科訪問診療料届出歯科診療所数 (単位:施設)

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計 全国

施設数 17 92 160 9 11 289 36,134

65歳以上人口10万人当たり 73.1 98.5 115.5 69.5 107.8 103.8 108.0

※診療報酬施設基準 届出施設数(平成29年)

エ 訪問薬剤管理指導

沖縄県薬剤師会によると、本県の在宅医療支援薬局数は75施設となっています。

医療圏別でみると南部が最も多くなっています。

- 308 -

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表10 在宅医療支援薬局数 (単位:施設)

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計

施設数 2 24 45 2 2 75

65歳以上人口10万人当たり 8.6 25.7 32.5 15.5 19.6 27.0

※沖縄県薬剤師会 在宅医療支援薬局の届出件数(平成29年)

オ 家族・介護者への支援

在宅での療養を希望してもそれが実現できない理由として、家族への負担が大きい

ことがあります。継続した家族の介護力を支援するためにも、レスパイトケア等の短期

入所サービス等の家族を支援する仕組みが重要となります。

在宅医療では人工呼吸器などの医療的ケアが必要な場合、台風時の停電といっ

た非常時の電源の確保が重要となります。レスパイトケアとしての入院受入はできなくて

も台風の襲来の際は電源の確保の支援のため、病院への避難を受け入れている病院

もあります。

⑶ 急変時の対応

ア 往診を実施する医療機関

本県の在宅療養者の急変時等に往診を実施している医療機関数は、診療所92

施設、病院16施設となっており、65歳以上人口10万人当たりでは、診療所は全国よ

り低く、病院は全国より高い水準となっています。(平成26年9月中の件数。厚生労働

省「医療施設静態調査」)

平成27年に往診を受けた患者数は、延べ7,310件となっており、65歳以上の人口

10万人当たりでは、全国の約半数と低い水準にあります。圏域別でみると宮古が全国

水準を超えて、最も多くなっています。

表11 往診を受けた患者数 (単位:件)

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計 全国

レセプト件数 612 1,802 3,861 778 257 7,310 1,733,903

65歳以上人口 2,630.2 1,928.9 2,788.0 6,005.4 2,518.1 2,626.3 5,181.2

10万人当たり

※平成27年往診料算定件数(厚生労働省医療計画データブック)

- 309 -

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イ 24時間体制の確保

国の終末期医療に関する調査によると、自宅での療養を希望していてもそれができ

ない理由として、急変時の対応に関する患者の不安や家族の負担への懸念が挙げら

れており、こうした不安や負担の軽減が在宅での療養を継続するための重要な課題で

す。

在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院においては、24時間往診が可能な

体制の確保、24時間訪問看護の提供や在宅療養患者の緊急入院を受け入れる体

制も確保されています。

本県の24時間対応可能な訪問看護ステーション数は58施設となっており、65歳以

上の人口10万人当たりでは、全国と概ね同水準にあります。医療圏別でみると、八重

山が最も多くなっています。

表12 24時間対応可能な訪問看護ステーション数 (単位:施設)

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計 全国

施設数 6 20 28 0 4 58 6,343

65歳以上人口10万人当たり 25.8 21.4 20.22 0 39.2 20.8 19.0

※H27年厚生労働省 介護サービス施設・事業所調査

⑷ 在宅での看取り

ア 在宅での死亡者数(自宅及び老人ホームでの死亡者数)

平成28年の都道府県の在宅死亡率をみると、沖縄県は18.1%(32位)となってお

り、全国の19.8%を下回っています。

※在宅死亡率:総死亡数に占める自宅及び老人ホームでの死亡の割合

図1 全国の在宅死亡率

※厚生労働省人口動態統計(平成28年)

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0.3

神奈川県

東京都

兵庫県

香川県

長野県

静岡県

奈良県

京都府

大阪府

三重県

山形県

鳥取県

栃木県

愛知県

和歌山県

千葉県

宮城県

島根県

広島県

山梨県

岐阜県

滋賀県

新潟県

群馬県

福島県

岡山県

福井県

青森県

愛媛県

岩手県

宮崎県

沖縄県

埼玉県

大分県

石川県

富山県

山口県

熊本県

長崎県

徳島県

茨城県

鹿児島県

秋田県

福岡県

佐賀県

高知県

北海道

沖縄(32位)18.1%

全国19.8%

- 310 -

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医療圏別の在宅死亡者数をみると、65歳人口10万人当たりの死亡者数は宮古が最

も高く、以下、八重山、北部、中部、南部の順となっており、宮古、八重山、北部にお

いて、全国よりも高い水準となっています。

表13 在宅での死亡者数 (単位:人)

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計 全国

人数 190 644 902 141 102 1,979 245,653

65歳以上人口10万人当たり

816.6 689.4 651.3 1,088.4 999.4 711.0 734.0

※沖縄県衛生統計年報(人口動態編)(平成27年)

平成27年の場所別死亡者数をみると、全死亡者のうち、病院・診療所等での死亡

者の割合は82.5%で、自宅での死亡者数の割合は12.4%、老人ホームでの死亡者

数の割合は5.1%となっています。自宅はほぼ横ばいですが、病院・診療所等が減少し

て老人ホームが増加する傾向があります。

図2 場所別死亡数の割合推移

※平成28年沖縄県衛生統計年報(人口動態編)

自宅及び老人ホームでの死亡者数の割合は、平成18年から平成27年にかけて、

老人ホームが増加傾向で推移しています。

81.9

82.4

86

12.9

13.3

11.9

5.2

4.3

2.1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

H28

H25

H22

病院・診療所等 自宅 老人ホーム

- 311 -

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図3 在宅(自宅及び老人ホーム)での死亡者割合の推移

※平成28年沖縄県衛生統計年報(人口動態編)

イ 在宅看取りを実施している医療機関

(ア) 医療施設調査の結果

厚生労働省が3年に1度実施する医療施設静態調査において、調査年の9月

の1月間の在宅看取りを実施した医療機関数の調査が行われており、県内と全国

の比較が可能となっています。

平成26年9月中に在宅看取りを実施した医療機関は、診療所22施設、病院3

施設となっており、65歳以上人口10万人当たりでは、診療所及び病院ともに全国

より低い水準となっています。圏域ごとにみると、診療所は宮古が全国より高い水準

ですが、その他は全て全国より低い水準となっております。病院は南部が全国と同水

準ですが、中部では全国より低い水準となっており、北部、宮古、八重山では0とな

っています。

表14 H26年9月に在宅看取りを実施した病院・診療所数 (単位:施設)

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計 全国

診 施設数 2 7 10 2 1 22 4,312療所 65歳以上人口

10万人当たり 2.0 7.0 7.2 15.4 9.8 7.9 12.9

施設数 0 1 2 0 0 3 472病院 65歳以上人口

10万人当たり 0 1.1 1.4 0 0 1.1 1.4

※医療施設静態調査(平成26年)

71

75.5

85.1

29

24.5

14.9

0% 20% 40% 60% 80% 100%

H28

H25

H22

自宅 老人ホーム

- 312 -

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(イ) 医療機能調査の結果

(ア)の医療施設調査は1月間に限定して行われていることから、年度を通して県

内の医療機関の状況を把握するため、県において医療機能調査を実施していま

す。

同調査の結果、平成28年度に在宅看取りを実施した医療機関は、診療所74

施設、病院18施設となっています。圏域別でみると、診療所及び病院ともに八重山

が最も多くなっています。

表15 H28年度に在宅看取りを実施した診療所数 (単位:施設)

北部 中部 南部 宮古 八重山 県計

診 施設数 7 20 35 6 6 74療所 65歳以上人口

10万人当たり 30.1 21.4 25.3 46.3 58.8 26.6

施設数 1 3 9 2 3 18病院 65歳以上人口

10万人当たり 4.3 3.2 6.5 15.4 29.4 6.5

※沖縄県医療政策課 医療機能調査(平成29年度)

- 313 -

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第2 目指す方向性

1 目指す姿

住み慣れた自宅や施設等で療養したいと望む患者が在宅医療を受けて自分らしい生活

を送ることができる社会を目指します。

⑴ 円滑な在宅療養移行に向けての退院支援が可能な体制が整っている

⑵ 日常の療養支援が可能な在宅医療提供体制が整っている

⑶ 急変時の対応が可能な体制が整っている

⑷ 患者が望む場所での看取りが可能な体制が整っている

2 取り組む施策

⑴ 円滑な在宅療養移行に向けての退院支援が可能な体制の整備

ア 退院支援担当者配置に関する医療機関への普及啓発

入院医療機関と在宅医療の関係機関との円滑な連携により、切れ目のない継続

的な医療体制を確保するため、退院支援担当者の配置及び退院支援に向けた医

療や介護、障害福祉サービスの連携について、医療機関等への普及啓発に取り組み

ます。

(関係機関)病院・診療所、訪問看護事業所、薬局、居宅介護支援事業所、

地域包括支援センター、介護老人保健施設、短期入所サービス提供施設等

イ 退院支援担当者に対する研修の実施

退院支援担当者として退院支援・地域連携業務を行う看護師や社会福祉士が、

入院患者・家族の意向を踏まえ、多職種・地域との連携を図り、円滑な退院支援を

行うために必要な知識、スキルの習得等の人材育成を支援します。

⑵ 日常の療養支援が可能な在宅医療提供体制の整備

ア 在宅医療に関する研修会の実施(医療機関への普及啓発)

在宅医療は、増大する慢性期の医療ニーズの受け皿としての役割を期待されてお

り、在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院、訪問看護事業所、在宅療養支援

歯科診療所、訪問薬剤指導薬局など在宅医療を担う医療機関等の体制整備や人

材育成を進める必要があります。また、各医療圏で在宅医療の提供体制に偏在が見

られるため、身近な地域で在宅医療を受けられるよう、各地域における在宅を担う医

療機関の整備が必要です。そのため、関係機関に対する在宅医療に関する研修会そ

の他の啓発事業等により、在宅医療への参画を促進します。

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イ 各地区における関係機関の連携体制構築の支援

在宅療養患者が質の高い療養生活を送るためには、県、医師会、歯科医師会、

薬剤師会、看護協会、栄養士会等の関係団体と、在宅医療に関わる関係機関(病

院・診療所、歯科診療所、薬局、訪問看護事業所、地域包括支援センター等)が

連携し、多職種(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、保健師、管理栄養士、歯科

衛生士、ケアマネージャー、介護福祉士等)による在宅チーム医療体制を整備すること

が必要です。住み慣れた地域での在宅医療提供体制を確保するために、市町村単

位またはその他地域の実情に応じた規模の地区ごとの在宅医療関係機関の連携体

制の構築を支援します。

ウ 多職種への専門的技術習得のための研修の実施

人工呼吸器や胃ろう等を使用する在宅療養者や、緩和ケア、看取りなど在宅医

療ニーズの多様化に対応するため、各職種に対する専門的技術習得のための研修を

実施し、在宅医療従事者の資質向上を図るとともに、患者の疾患、重症度に応じた

在宅医療の提供体制の確保を図ります。

エ 訪問看護師の育成のための実習・研修の実施

今後、高齢化の進展に伴い、在宅医療のニーズが増大することが見込まれることか

ら、訪問看護事業所に従事する看護師の増員及び資質向上、24時間体制の整備

等の機能強化が必要です。訪問看護師の育成のため、実習及び研修会を実施し、

訪問看護の人材確保と技術向上に努めます。また、訪問看護事業所の安定的経営

を支援するため、管理者を対象とする研修会等の支援に取り組みます。

オ 家族・介護者への支援

在宅療養患者を支える家族及び介護者は、患者の状態によっては介護のために外

出もなかなかできず、病気などで一時的に介護ができない場合や介護者の疲弊により

在宅医療を継続できない場合も多く、支援が必要です。家族、介護者の負担軽減を

図るため、レスパイトケア等に対応する医療機関及び施設等の体制構築を図ります。

カ 在宅医療・在宅歯科医療に関する県民への普及啓発

住み慣れた自宅や地域で療養生活を送りたい、終末期において自宅等で最期を

迎えたいと望む場合でも様々な不安から、在宅医療や在宅での看取りを選択できな

い場合も多いと考えられ、在宅医療の提供体制や内容について患者と家族の理解を

深めていく必要があります。

また、在宅歯科医療は誤嚥性肺炎の予防につながる等重要な医療ですが、まだ県

民への普及が十分ではないことから、更なる周知が必要です。

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県民が在宅医療や在宅での看取り等について理解を深め、患者と家族が必要に

応じて在宅医療や在宅での看取り等を選択することができるよう、普及啓発に取り組

みます。

キ 在宅医療・在宅歯科医療に関わる医療機関等の情報の県民への提供(各地区へ

の支援)

在宅療養患者が在宅医療に関する地域の情報を効率的に把握し、必要な在宅

医療を受けられるよう、市町村等が行う医療・介護資源マップの作成等の取り組みを

推進します。

⑶ 急変時の対応が可能な体制の整備

ア 在宅医療に関する研修会の実施(医療機関への普及啓発) (再掲)

イ 訪問看護師の育成のための実習・研修の実施 (再掲)

ウ 住宅型有料老人ホームの職員への研修の実施

施設における在宅医療に対応できる老人ホームを増やすため、住宅型有料老人ホ

ームの職員に対し急変時の対応に関する研修を実施します。

エ 介護職員への研修の実施

在宅医療に対応できる介護職員を増やすため、訪問介護等に携わる介護職員に

対し急変時の対応に関する研修を実施します。

⑷ 患者が望む場所での看取りが可能な体制の整備

ア 在宅医療に関する研修会の実施(医療機関への普及啓発) (再掲)

イ 在宅医療・在宅歯科医療に関する県民への普及啓発 (再掲)

ウ 住宅型有料老人ホームの職員への研修の実施

施設における看取りに対応できる老人ホームを増やすため、住宅型有料老人ホー

ムの職員に対し看取りに関する研修を実施します。

エ 介護職員への研修の実施

在宅での看取りに対応できる介護職員を増やすため、訪問介護等に携わる介護職

員に対し看取りに関する研修を実施します。

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第3 数値目標

1 目指す姿

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H32) 考え方 主体

訪問診療を受けた患者数 H27年 全国平均以 厚生労働省 医療機関

(65歳以上人口10万人あたり) 13,912.3人 21,891人 上を目指す。 医療計画デ 県民

ータブック

歯科訪問診療を受けた件数 H26年9月中 全国平均(65 厚生労働省 医療機関

(65歳以上人口10万人たり) 754.8件 1,000件 歳以上1 0万 医療施設調 県民

人あたり)1,28 査

3人に向けて増

加。

訪問看護利用者数 H27年 全国平均以 厚生労働省 医療機関

(65歳以上人口10万人あたり) 301.4人 500.5人 上を目指す。 医療計画デ 県民

ータブック(在

宅患者訪問

看護指導料

算定件数)

訪問薬剤利用者数 H29 沖縄県薬剤 医療機関1,006人 1,609.6人 増 加 を 目 指 師会資料 県民

す。

在宅死亡率 H28年 全国平均以 厚生労働省 医療機関

17.5% 23% 上を目指す。 人口動態統 県民

2 取り組む施策

⑴ 円滑な在宅療養に向けての退院支援が可能な体制の確保

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H32) 考え方 主体

退院患者平均在院日数 H26年 全国平均以 厚生労働省 医療機関

40.7日 33.2日 下を目指す。 患者調査

退院支援担当者を配置している H26年 全国平均より 厚生労働省 医療機関

病院数(65歳以上人口10万人 病院 13.7 維持 高い水準を維 医療施設静当たり) 持。 態調査

退院支援担当者に対する研修 H29年 各圏域1回 / 県医療政策 県・市町村・

会開催数 5回 維持 年を目指す。 課資料 関係団体

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⑵ 日常の療養支援が可能な在宅医療提供体制の整備

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H32) 考え方 主体

訪問診療を実施している診療所 診療所 診療所 診療所は全国 厚生労働省 医療機関

・病院数 37.0か所 59.2か所 平均(61.6)に 医療施設静

(65歳以上人口10万人当たり) 向けて増加。 態調査

病院 病院 病院は全国平

10.4か所 維持 均(7.8)より高

い 水 準 を 維

持。

訪問看護事業所の事業所数、 事業所 事業所 事業所は全国 事業所数 : 医療機関

従事者数 H29年 平均(30.3)よ 沖縄県保健

(65歳以上人口10万人当たり) 36か所 維持 り高い水準を 医療総務課

従事者 従事者 維持。 資料

H27年 従業者は全国 従業者数 :

120.1人 151.5人 平均以上を目 厚生労働省

指す。 医療計画デ

ータブック

訪問看護事業所(機能強化型) 事業所 事業所 九州厚生局 医療機関

の事業所数 H29年 増 加 を 目 指 診療報酬施

8か所 12か所 す。 設基準

歯科訪問診療を実施している診 H29年 全国平均以 九州厚生局 医療機関

療所(65歳以上人口10万人当 103.1か所 108か所 上を目指す。 診療報酬施

たり) 設基準

訪問薬剤指導を実施している薬 H29 全国平均以 沖縄県薬剤 医療機関

局数 72か所 107.8か所 上を目指す。 師会資料

在宅療養支援診療所・病院・歯 在宅療養支 全国平均以 九州厚生局 医療機関

科診療所・在宅医療支援薬局 援診療所 上を目指す。 診療報酬施

数 36.7か所 58.7か所 設基準

(65歳以上人口10万人当たり) 在宅療養支

援病院

4.3か所 6か所

在宅療養支

援歯科診療

14.0か所 29.8か所

在宅医療支

援薬局数(沖

縄県薬剤師

会の届出数)

75か所 107か所

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目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H32) 考え方 主体

関係機関の連携体制を構築した H29年 全地域での連 県医療政策 県・市町村・

地区数 5地区 7地区 携体制構築を 課調査 関係団体

那覇、浦添、 ※宮古、八 目指す。

南部地区、中 重山地区を

部地区、北部 追加

地区

訪問看護師の育成のための実習 増 加 を 目 指 県医療政策 県

・研修会の開催回数 2回/年 10回/年 す。 課調査 関係団体

老人ホーム職員及び介護職員に 老人ホーム職 介護サービス 医療機関対する急変時対応、看取りに関 未実施 2回/年 員及び介護職 施設 ・事業 介護施設等

する研修会開催回数 員を対象に毎 所調査

年各1回実施

を目指す。

⑶ 急変時の対応が可能な体制の整備

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H32) 考え方 主体

往診を実施している診療所・病 H26年 厚生労働省 医療機関

院数(65歳以上人口10万人当 診療所 診療所 増 加 を 目 指 医療計画デ

たり) 33.1か所 53か所 す。 ータブック(往

病院 病院 診料算定件

5.7か所 7か所 数)

24時間対応体制を実施している H27 事業所は全国 厚生労働省 医療機関

訪問看護ステーション数・従事者 事業所 平均(19 . 0か 医療計画デ

20.8か所 維持 所)より高い水 ータブック(介

従事者 準を維持。 護サービス施

105.0人 132人 従業者は増加 設 ・事業所

を目指す。 調査)

在宅医療・在宅歯科医療に関す H29 各年度1回実 沖縄県医療 県

る講演会(県民への普及啓発) 未実施 1回/年 施を目指す。 政策課資料

在宅医療・在宅歯科医療に関わ H29 全市町村での 沖縄県医療 市町村

る医療機関等の情報提供を実 21市町村 41市町村 実 施 を 目 指 政策課調査

施した地区数 す。

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⑷ 患者が望む場所での看取りが可能な体制の整備

目標 目標値の 取り組みの指 標 現状 データ出典

(H32) 考え方 主体

在宅看取り(ターミナルケア)を実 H26 厚生労働省 医療機関

施している診療所・病院数 診療所 全国平均以 医療施設静

22か所 36か所 上を目指す。 態調査

病院

3か所 4か所

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番号

番号

番号

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

指標

B 中間アウトカム

A 分野アウトカム

1

退院支援担当者配置に関する医療機関へ

の普及啓発

円滑な在宅療養に向けての退院支援が可能な

体制の整備

訪問診療を受けた患者数

歯科訪問診療を受けた患者数

訪問看護利用者数

訪問薬剤指導利用者数

在宅死亡率

5

多職種への専門的技術習得のための研修

の実施

1

訪問看護事業所の事業所数及び従事者

数、機能強化型事業所数

歯科訪問診療を実施している診療所・病

院数

訪問薬剤指導を実施している薬局・診療

所・病院数

構築した地区数

2

研修会開催数

6訪問看護師の育成のための実習・研修会

3

急変時の対応が可能な体制の整備

7

老人ホーム職員及び介護職員に対する急

変時対応、看取りに関する研修会

往診を実施している診療所・病院数

24時間対応体制を実施している訪問看

護ステーション数、従事者数

実習・研修会開催数

研修会開催数

患者が望む場所での看取りが可能な体制の整

9

在宅医療・在宅歯科医療に関わる医療機

関等の情報の県民への提供

4在宅看取り(ターミナルケア)を実施して

いる診療所・病院数

8

在宅医療・在宅歯科医療に関する講演会

(県民への普及啓発)

講演会開催数

情報提供を実施した地区数

在宅医療分野 施策・指標体系図

退院支援担当者を配置している診

療所・病院数

研修会開催数

退院患者平均在院日数

訪問診療を実施している診療所・病院数

在宅医療支援診療所・病院・歯科

診療所数、在宅医療支援薬局数

日常の療養支援が可能な在宅医療提供体制の

整備

4

各地区における関係機関の連携体制構築

の支援

住み慣れた自宅や施設等で療養したいと望

む患者が在宅医療を受けて自分らしい生活

を送ることができる

2退院支援担当者に対する研修の実施

1

3

在宅医療に関する研修会の実施(医療機関

への普及啓発)

C 個別施策

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2 医療機能の分化と連携、県民への情報提供等

限られた医療資源の中で、質の高い医療を県民に適切に提供していくためには、医療

機関による機能分化と連携により、患者の病期や病態に応じた適切な医療を切れ目な

く提供する連携体制を構築する必要があります。

県民に対しては、地域の医療機関が担う医療機能と役割を周知し、適切な医療機

関の選択、医療の適切な利用について普及啓発を行う必要があります。

第1 現状と課題

1 医療機能の分化と連携

高齢化の進展や医療を取り巻く環境の変化等に伴い、医療需要も変化していくことが見

込まれることから、ニーズに合った医療提供体制を構築することが必要です。

限られた医療資源を有効に活用し、効率的で質の高い医療を実現するためには、二次

医療圏内外の医療機関が連携を図り、急性期から回復期を経て、在宅復帰または慢性

期に至るまで、切れ目なく必要な医療を提供する体制を整備することが必要です。

患者の早期の在宅復帰支援及び退院後において疾病の再発、重症化予防のため、継

続的に適切な医療を提供することが、生活の質(QOL)の向上の観点から重要です。

そのため、かかりつけ医を中心とした日常的な医療を基本に、必要な時には専門的な治

療が受けられるよう、地域の医療機関が役割を分担し、それぞれの専門性を高める(=医

療機能の分化を行う)とともに、各医療機能が連携強化を図る必要があります。

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2 医療に関する情報共有化の推進(おきなわ津梁ネットワーク)

医療分野においては、診療情報等共有ネットワークの構築など、ICTを活用した医療機

関相互の連携が進められています。

本県においては、沖縄県医師会が、医療連携を効率的に行い、患者に切れ目なく必要

な医療が提供できるよう、特定健診の結果や患者の診療情報、地域連携クリティカルパス

情報などを集積し、医療機関、薬局などで共有し県民への適切な保健指導や医療勧奨、

治療を行うためのシステムとして、「おきなわ津梁ネットワーク」を構築し平成25年(2013年)

から運用しています。

おきなわ津梁ネットワークには平成29年11月末現在、35,808名が登録しており、131施

設(医療機関、薬局等)が参加しています。参加医療機関はおきなわ津梁ネットワークに登

録している県民の急性期病院の電子カルテ情報や診療所での検査データ、特定健診の結

果を閲覧することができます。急性期病院と地域の医療機関が診療情報を共有することに

より、切れ目のない治療が円滑に提供することが可能となります。

患者に切れ目なく必要な医療を効率的に提供するためには、診療情報を共有できるシ

ステムは有効なツールであり、今後、利用者が拡大すると有効性さらに高まることから、引き

続きおきなわ津梁ネットワーク登録者及び参加医療機関の拡大に取り組み、医療連携を

強化する必要があります。

図1 おきなわ津梁ネットワーク情報共有のイメージ図

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3 地域連携クリティカルパス

地域連携クリティカルパスとは、疾病別に、疾病の発生から診断、治療、リハビリ、在宅療

養までの複数の医療機関、施設にまたがって作成する一連の診療計画のことです。その普

及により、転院しても中断されることなく、急性期病院から回復期病院を経て在宅に戻るま

で継続的な医療の提供が円滑に行われ、在宅生活への早期復帰や疾病の再発、増悪の

予防が期待されています。

また、地域連携クリティカルパスの活用により、病状や治療方法などの情報が、患者と医

療提供者の間で共有されることで、患者に医療への参加意識を持ってもらい自己管理意

識を高めるとともに、患者と医療提供者の間の信頼関係に基づく医療を提供することが可

能となります。地域連携クリティカルパスは、一部の医療機関において、がん、脳卒中、急性

心筋梗塞及び糖尿病の疾患で導入されていますが、さらなる利用拡大を図っていく必要が

あります。

4 かかりつけ医

健康管理・相談や初期診療など日常的な保健医療サービスのほか、患者の病態に応じ

た専門的医療機関等への紹介、さらには、専門的医療機関での治療の後の在宅での療

養管理など、県民に身近なところでプライマリーケア(総合診療)の中心的役割をになってい

るのがかかりつけ医であり、その重要性は高まっています。

かかりつけ医によるプライマリーケアが十分に発揮できないと、病気になる前や軽症のときに

適切な医療サービスを受けられないなど、自身の健康を損なうことになりかねません。

また、かかりつけ医ではなく、大きな病院に日常的な医療を受ける患者が集中すると、重

症患者の治療など、病院が本来有する高度な医療機能を十分に活かすことができないば

かりか、病院の負担が大きくなります。サービスの受け手である県民に対し、かかりつけ医を

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持つことの重要性について周知を図るとともに、医療機関等のサービス提供者側の連携が

十分図られるよう、医療機能に関する情報を県民及び医療機関の双方に提供することが

必要です。

専門的な検査や高度な医療が必要な場合などは、かかりつけ医が専門医等に紹介する

ことにより、多様な医療機能を持つ医療機関相互の連携(病診、病病、診診連携)を図る

ことが重要です。

5 特定機能病院・地域医療支援病院・社会医療法人

⑴ 特定機能病院

特定機能病院は、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び高度の医療

に関する研修を実施する能力等を備えた病院について、医療法に基づき厚生労働大

臣が承認するものです。県内では、琉球大学医学部附属病院が承認されています。

⑵ 地域医療支援病院

地域医療支援病院は、かかりつけ医やかかりつけ歯科医からの紹介患者に対する

医療提供、地域の医療機関との医療機器の共同利用、地域の医療従事者への研

修の実施などを通じて、地域の「かかりつけ医・かかりつけ歯科医」を支援する機能を

担う地域医療の拠点となる病院です。また、在宅医療の提供の提供にあたっても地域

の医療機関を支援することが求められています。

地域医療支援病院を効果的に機能させていくためには、同病院の役割を周知し、

紹介患者を中心とする診療内容等を住民や患者に理解してもらう必要があります。

表1 地域医療支援病院一覧

圏域名 病院名

北 部 沖縄県立北部病院北部地区医師会病院

沖縄県立中部病院中 部 中頭病院

ハートライフ病院

沖縄県立南部医療センター・こども医療センター沖縄赤十字病院

南 部 那覇市立病院浦添総合病院豊見城中央病院

県医療政策課 平成29年11月現在

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⑶ 社会医療法人

医療法人のうち、一定の要件を備えた医療法人を「社会医療法人」として認定し、

小児救急医療、災害医療、へき地医療等を行うことを義務づける一方で、収益事業

等を行うことを認めることにより医業経営の安定化を促し、地域において必要とされる

医療を安定的に提供する制度です。

表2 社会医療法人一覧

圏域名 社会医療法人名

中 部 敬愛会かりゆし会

南 部 仁愛会友愛会

県医療政策課 平成29年11月現在

⑷ 地域医療連携推進法人

平成29年(2017年)に医療機関相互間の機能分担及び業務連携を推進し、地

域医療構想を達成するための一つの選択肢として、地域医療連携推進法人制度が

創設されました。地域医療連携推進法人制度は、複数の医療機関が法人に参画し

て協調することで、地域に質の高い効率的な医療提供体制を確保するための法人認

定制度です。

一般社団法人のうち、病院・診療所・介護老人保健施設のいずれかを運営する法

人が2以上参加すること等の医療法に定められた基準を満たすものについて、都道府

県知事が認定します。

地域医療連携推進法人は、原則として地域医療構想区域内に医療連携推進区

域を定めて医療連携推進方針を決定し、診療科や病床の再編、医師等の共同研

究、医薬品等の共同購入等の医療連携推進業務を実施するものです。

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6 県民に対する医療機能に関する情報提供

⑴ 沖縄県医療機関検索システム(うちなぁ医療ネット)

住民自らが最適な医療を選択出来るようにするためには、広く医療に関する情報提供

が行われなければなりません。

平成18年の医療法改正で国民・患者による医療の適切な選択を支援するため、医

療機関の管理者に対し、医療機能に関する一定の情報を都道府県へ報告することを義

務付け、都道府県が医療機関の医療機能に関する情報を公表する「医療機能情報公

表制度」が創設されました。それに基づき県では、インターネット上に県内の医療機関及

び薬局(以下「医療機関等」という。)の機能に関する一定の情報を検索することができる

「沖縄県医療機関検索システム(うちなぁ医療ネット)」を開設しています。

医療機関及び薬局については、「うちなぁ医療ネット」へ自らの医療機能情報を入力

すること等により、県への医療機能の報告が義務付けられていますが、入力及び定期的

な更新をしていない医療機関、薬局も多くなっており、入力及び更新率の向上を図る必

要があります。

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表3 沖縄県医療機関検索システム(うちなぁ医療ネット)掲載項目

区分 報告事項

医療機関概要 名称、開設者、管理者、所在地、電話・FAX番号

診療科目及び時間 診療科目、診療日、診療時間

病床種別及び及び 一般病床、療養病床、結核病床、感染症病床、精神病床の各種別ごとの病床数

届出・許可病床数

施設へのアクセス 施設までの主な利用交通手段、施設の駐車場、ホームページアドレス、メールアドレ

ス、予約診療の有無、予約用電話番号、時間外対応、面会の日及び時間帯

院内サービス等 医療に関する相談に対する体制、院内処方の有無、入院食の提供方法、対応す

ることができる外国語の種類、障害者に対する対応、車いす利用者に対する対応、

病院内の売店又は食堂の有無、受動喫煙を防止するための措置

費用負担等 保険医療機関、公費負担医療機関及びその他の病院の種類、選定療養、先進

医療の実施の有無及び内容、治験の実施の有無及び契約件数、クレジットカードに

よる料金の支払いの可否

提供サービスや医療 専門医の種類及び人数、保有する施設設備、併設している介護施設、対応可能

連携体制に関する事項 な疾患・治療内容、対応可能な短期滞在手術、専門外来の有無、健康診断・健

康相談の実施、対応可能な予防接種、対応可能な在宅医療、対応可能な介護

サービス、セカンドオピニオンに関する状況、地域医療連携体制

医療の実績、結果に 施設の人員配置、医療安全対策、院内感染対策、入院診療計画策定時におけ

関する事項 る院内連携体制、診療情報管理体制、情報開示に関する窓口の有無、症例検

討体制、治療結果情報、患者数、平均在院日数、患者満足度調査、(財)日本

医療機能評価機構による認定の有無

図2 沖縄県医療機関検索システム(うちなぁ医療ネット)イメージ図

うちなぁ医療ネット イメージ図

県民(患者)

選択 医療機関

(病院・診療所・助産所/薬局)

うちなぁ医療ネット

(沖縄県医療機関検索システム)沖縄県

報告

①各医療機関は、沖縄県に登録申請②申請後、1~2ヶ月でID・パスワードを配布。以後、各施設ごとにサイトにアクセスし、随時情報を登録(更新)

インターネット上のサイト(沖縄県ホームページとリンク)相談者にサイトの紹介

サイトにアクセスし、必要な医療機関情報を検索し、得ることが可能

連携医療安全相談センター

相談

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Page 153: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

⑵ 病床機能報告

病床機能報告制度は、一般病床及び療養病床を有する医療機関が毎年、自らが

担っている機能を都道府県に報告する制度として、平成26年(2014年)に導入されまし

た。

病床機能報告制度で報告する内容は、医療機関が有する病床の機能(高度急性

期、急性期、回復期、慢性期)、構造設備、人員配置等に関する項目及び具体的な

医療の内容に関する項目など多岐にわたります。

県民が自身にあった適切な医療機関を選択し受診するための情報として活用していた

だくため、医療機関から報告された情報はホームページで公開しています。

表4 病床機能報告事項

項 目 報告事項

担っている病床の機能 高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4機能から選択・現在(毎年度7月1日時点)の病床機能・6年が経過した時点における病床機能の予定・平成37年度(2025年度)時点における病床機能(任意)

具体的な医療の内容 ・幅広い手術の実施状況・がん、脳卒中、心筋梗塞等への治療状況・重症患者への対応状況・救急医療の実施状況・急性期後の支援、在宅復帰の支援の状況・全身管理の状況・疾患に応じたリハビリテーション、早期からのリハビリテーションの実施状況

など

構造設備、人員配置等 ・病床の状況・診療科・職員数の状況・入院基本料、特定入院料及び届出病床数・在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院の届出状況・往診、訪問診療の状況 など

⑶ 医療施設一覧の提供

県では、医療計画に定める5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿

病、精神疾患)、5事業(救急医療、災害時における医療、へき地医療、周産期医

療、小児医療)及び在宅医療ごとに、各医療を提供している医療機関の一覧を作成し

ています。

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Page 154: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

疾病や事業ごとに、それぞれの病期に応じた医療提供を行っている医療機関に関す

る情報を提供することにより、県民が自身の疾病、病期に応じた医療機関を適切に受

診し、早期治療、重症化予防に努めることが期待されます。

第2 施策の方向性

1 医療機能の分化と連携

⑴ 医療機関相互の協議

医療機能の分化と連携を推進するため、県が二次医療圏ごとに設置している沖縄県

地域医療対策会議等の場で、各医療機関が地域の課題や目指す姿を共有し、医療

機関相互の役割分担と連携強化について協議を行います。

⑵ 県民への情報提供・普及啓発

患者が適切に医療を選択できるよう、医療機関からの病床機能報告(第6章参照)

等の情報を県民に分かりやすい内容で公表し、各医療機関の担う機能と役割について

周知を図ります。

また、日常的な診療による健康管理や必要に応じた専門的な医療への紹介等、在

宅療養支援の役割を担うかかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の重要性

について普及啓発に取り組みます。

2 医療に関する情報共有化の推進(おきなわ津梁ネットワーク)

医療連携を効率的に行い、患者に切れ目なく必要な医療が提供できるよう、おきなわ

津梁ネットワーク登録者及び参加医療機関の増加に向けた取り組みを支援します。

3 地域連携クリティカルパスの普及

地域連携クリティカルパスの普及により、医療機能の分化と連携を推進します。急性期

入院中から、回復期、維持期まで包括的な疾病管理を切れ目なく提供する体制を構築

するため、地域連携クリティカルパスの普及に取り組みます。

4 うちなぁ医療ネットの普及

⑴ 誰でも容易に検索システムを扱えるよう、「うちなぁ医療ネット」の周知に努め、県民の

医療機関等の適切な選択を支援します。また、インターネット環境にない住民に対して

は、電話等による情報提供など全ての住民が出来るだけ多くの情報を享受出来る体制

を構築します。

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Page 155: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

⑵ 医療機関等については、医療法、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性

の確保等に関する法律に基づく報告義務であることの周知に努め、「うちなぁ医療ネット」

の入力率及び情報の精度の向上を図ります。

⑶ 県民・医療機関双方から当該システムが利用しやすいよう必要に応じてシステムの改

修を進めます。

【達成目標】

指標名 現状 平成35年度

「うちなぁ医療ネット」へのアクセス件数(年間) 年間平均アクセス件数

17万件 年間20万件

「うちなぁ医療ネット」での正確な情報の提供 病院29% 病院50%

(医療機関情報の更新率(年間)) 診療所5% 診療所50%

歯科診療所2% 歯科診療所50%

助産所0% 助産所50%

薬局9% 薬局50%

※算出方法 年度内に更新があった数÷システムに登録されている医療機関

※更新率には、公開している情報に変更がなく更新してない医療機関は含めず。

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Page 156: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

3 医療安全の推進

第1 医療安全対策

1 現状と課題

医療技術の高度化、医療施設の環境、職員の接遇など「医療の質」に対する県民の

関心が高まっており、医療の安全性の確保が課題となっています。

県民に安全な医療を提供できる体制を整備するためには、医療関係団体や医療機関

等と連携し、医療事故の防止に努めるとともに、医療安全対策を総合的に進めていくこと

が必要です。

⑴ 医療提供施設における医療の安全管理

医療安全対策の推進を図るため、平成19年4月の医療法の一部改正により、全ての

医療提供施設の管理者に対し医療安全に係る指針の整備等の安全管理体制の整備

が義務づけられました。

沖縄県内の病院においては、全ての病院で医療安全管理委員会が開催され、93病

院で医療安全管理者の配置、患者相談窓口が設置されています。

表1 医療提供施設(病院)における医療安全対策

病院 医療安全管理 医療安全に関す 医療安全管理 患 者 相 談

委員会の開催 る研修会の開催 (責任)者の配置 窓口の設置

94 94 94 93 93(100%) (100%) (98.9%) (98.9%)

資料:医療政策課調査 平成29年12月

⑵ 医療安全相談センター

県では平成16年4月から患者・家族等と医療従事者・医療機関との信頼関係の構

築に取り組むことを目的として、沖縄県医療安全相談センターを設置しています。

相談センターでは、専任の相談員を1人配置し、県民からの医療に関する相談や苦

情等に適切に対応しています。

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Page 157: 第5章 医療施策...1 医療施策の推進 (1) 救急医療 第1 現状と課題 1 救急医療をとりまく状況 ⑴ 救急出場件数 本県における平成27年の救急出場件数は、71,435件で、事故種別で見ると急病によ

図1 医療安全センター相談件数 (単位:件)

2 施策の方向性

⑴ 医療提供施設における安全管理体制整備の促進

医療法に基づく病院等への立入検査の機会を通じて、医療事故防止マニュアル、院内

感染対策マニュアル等の作成と運用の徹底など、各医療提供施設が行う安全管理体制

整備等の取組の促進に努めます。

⑵ 医療提供施設及び医療従事者への情報提供

医療安全に関する理解を一層深められるよう医療安全に対する啓発や情報提供に努

めるとともに、医療従事者の研修会等への参加を促進します。

⑶ 医療安全にかかる相談体制の充実

医療に関する様々な相談や苦情に対応するため、関係機関や関係団体との連携を図

ります。

453

344 348

501

628

0

100

200

300

400

500

600

700

平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度

年度別相談件数

資料:医療安全相談センター集計

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