第4回意見交換会後の取り組み がん医療支援研究部(1)€¦ ·...

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4回意見交換会後の取り組み がん医療支援研究部(1) 研修について、より多くの者が必要な研修を受講できるよう関連する団体との連 携が必要ではないか。 がん対策情報センターでは、日本緩和医療学会と連携し、平成25年度から、 ELNECJ 指導者養成プログラム」を、がん診療連携拠点病院の看護師を対象 に開催する予定となりました。 ELNECJ 指導者養成プログラム」 とは、がん患者と家族のQOLを維持向上し、患者の尊厳 ある人生の最期を支えるための知識を習得するための研修を、受講生が実施できるように することを目的としたプログラムです。 また、がん医療における医科と歯科の連携推進についての全国普及に向けた 取り組みとして、関係する学会や団体の協力を得て「医科歯科連携推進専門家 パネル」を設置し、全国でのがん医科歯科連携の普及に使用できる、内容が担 保された「全国共通 がん医科歯科連携テキスト」「研修用DVD」を作成しました。 今後、日本歯科医師会が、本テキスト及びDVDを用いて、全国で研修会を開 催していくことを計画しており、国立がん研究センターとしても協力をしていく予 定です。 1

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第4回意見交換会後の取り組みがん医療支援研究部(1)

研修について、より多くの者が必要な研修を受講できるよう関連する団体との連携が必要ではないか。

→ がん対策情報センターでは、日本緩和医療学会と連携し、平成25年度から、「ELNEC‐J 指導者養成プログラム」を、がん診療連携拠点病院の看護師を対象に開催する予定となりました。

※ 「ELNEC‐J 指導者養成プログラム」 とは、がん患者と家族のQOLを維持向上し、患者の尊厳

ある人生の最期を支えるための知識を習得するための研修を、受講生が実施できるようにすることを目的としたプログラムです。

また、がん医療における医科と歯科の連携推進についての全国普及に向けた取り組みとして、関係する学会や団体の協力を得て「医科歯科連携推進専門家パネル」を設置し、全国でのがん医科歯科連携の普及に使用できる、内容が担保された「全国共通 がん医科歯科連携テキスト」「研修用DVD」を作成しました。

今後、日本歯科医師会が、本テキスト及びDVDを用いて、全国で研修会を開

催していくことを計画しており、国立がん研究センターとしても協力をしていく予定です。

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がん医療における医科と歯科の連携推進についての全国普及に向けた取り組み

歯科口腔保健の推進に関する法律(平成23年8月公布・施行)「口腔の健康が 国民の健康で質の高い生活を営む上で重要な役割を果たす」と明記

がん患者の医科歯科連携が 歯科で保険収載(平成24年4月)周術期口腔機能管理計画策定料、周術期口腔機能管理料 など

がん対策推進基本計画(平成24年 改訂)「がん治療における医科歯科連携を推進する」ことが明記される

連携を全国に普及する上での問題1)連携の質をどう担保する?2)連携を担う人材の育成は?

・がん医科歯科連携に関係する有識者を委員とした検討部会・がん医科歯科連携の普及に向けての討議を行う

・口腔合併症や誤嚥性肺炎など感染のリスク軽減・がん治療を通して、患者さんの経口摂取を支援

がん治療開始前から歯科が介入口腔を良好な状態に維持する

平成24年度、厚生労働省の委託を受け、がん対策情報センター内に「がん医科歯科連携推進外部パネル」を設置

当センターの医科歯科連携事業をモデルケースとして、全国のがん拠点病院でも連携の普及を求める声

本年度の業績:全国でのがん医科歯科連携の普及に使用できる、内容が担保された「全国共通 がん医科歯科連携テキスト」「研修用DVD」を作成

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医科歯科連携推進専門家パネル委員一覧

委員名 所属名 役職名 推薦団体

大田 洋二郎 静岡県立静岡がんセンター 歯科 口腔外科 部長

加藤 孝邦 東京慈恵医科大学 耳鼻咽喉科 教授 日本頭頸部癌学会

鎌倉 やよい 愛知県立大学 副学長・ 看護学部教授 日本がん看護学会

木澤 義之 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 講師 特定非営利活動法人 日本緩和医療学会

佐々木 康網 昭和大学医学部内科学講座 腫瘍内科部門 教授 特定非営利活動法人 日本臨床腫瘍学会

柴原 孝彦 東京歯科大学 歯学部 口腔外科学講座 教授 公益社団法人 日本口腔外科学会

渋谷 均 東京医科歯科大学 放射線医学教室 教授 公益社団法人 日本放射線腫瘍学会

髙戸 毅 東京大学大学院医学系研究科感覚・運動機能学講座 口腔外科学

教授 特定非営利活動法人 日本口腔科学会

武井 典子 公益財団法人ライオン歯科衛生 研究所研究開発室

副主席研究員 公益社団法人 日本歯科衛生士会

丹沢 秀樹 千葉大学大学院医学研究院 臨床分子生物学 教授 全国医学部附属病院 歯科口腔外科科長会議

深井 穫博 深井歯科医院 院長 社団法人 日本歯科医師会

宮田 勝 石川県立中央病院 歯科口腔外科 部長 日本病院歯科口腔外科協議会

向井 美惠 昭和大学 口腔ケアセンター センター長

横田 美幸 がん研究会有明病院 麻酔科部長 兼 院長補佐 公益社団法人 日本麻酔科学会

吉田 和弘 岐阜大学大学院 腫瘍制御学講座 腫瘍外科 教授 一般社団法人 日本癌治療学会

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第4回意見交換会後の取り組みがん医療支援研究部(2)

全国で実施されている緩和ケア研修会について、がん対策情報センターも支援をしていくことが必要なのではないか。

→ がん対策情報センターが事務局を務める「都道府県がん診療連携拠点病院

連絡協議会」において、緩和ケア研修会に関するがん診療連携拠点病院からの意見を取りまとめ、現場の状況に即した緩和ケア研修が開催されていく体制が整備されるよう、平成24年11月27日に、厚生労働省に提案書を提出いたしました。

また、全国で行われている緩和ケア研修会をはじめとした緩和ケアに関連する取り組みについて、情報共有や意見交換を行っていくことができるよう、都道府県がん診療連携拠点病院の緩和ケア担当者が参加するメーリングリストを立ち上げました。

さらに、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会のもとに、緩和ケア部会を設置することを予定しています。

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国立がん研究センターがん対策情報センターがん医療支援研究部の取り組み

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画像診断コンサルテーション

・H24年度年間件数 91件

・合同推進説明会開催(八重洲)

・専門医会誌に特集を掲載

・学会発表 3回

(2012年9月まで402依頼中345件、回収率 85.8%)

有用でない5(1.4)

どちらともいえない26(7.5)

有用であった314(91.0%)

有用性評価(フォローアップ)

平均所要日数:

H24年度 3.2日

(過去6年間 3.0日)

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4854

74 76

9791

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

H18年度 H19年度 H20年度 H21年度 H22年度 H23年度 H24年度

依頼件数の年次推移

【H24年度実績】

・症例公開登録の推進

・情報宣伝活動:

雑誌連載の検討

【H25年度の取り組み】

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・新規登録公開 34例(合計269例)

IVR 8, 脳腫瘍 5, 頭頸部 5, 肺癌 5, 骨軟部3例ほか

・英語版新規公開16例(合計117例)

・リンク・二次利用・著作権、投稿規定ページの作成

・編集委員会開催2回

コンテンツの一部は、北米放射線学会(6万人参加)にて3年連続受賞

がん診療画像レファレンスデータベース

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20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

160,000

180,000

2011/04 2011/07 2011/10 2012/01 2012/04 2012/07 2012/10 2013/01

(月間平均アクセス数は約10万件を維持)

【H24年度実績】

・分野バランスの強化 ・カンファランス開催の検討

【H25年度の取り組み】

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病理診断コンサルテーション【目的】1)  病理診断を通じて適正ながん医療の均てん化に貢献すること

主に「がん診療連携拠点病院」に所属する病理医相互や外部専門家の協力によって、各拠点病院におけるがん及びその関連病変の病理診断の精度を高めるとともに、診療に役立つより多くの情報を提供する

2)  教育的症例を利用しわが国の病理診断精度の向上に役立てる今後も集積が期待されるコンサルテーション症例を二次的に有効に活用する

【その他の取り組み】

・バーチャルスライドの利用促進

・「外科病理の手引き」公開

・集積症例を用いた研修,講習北

件数 44 23 93 23 6 43 34 20 85 68 11

020406080100

拠点

病院

86%

非拠

点病

14%

病院の種類別

H18年 H19年 H20年 H21年 H22年 H23年 H24年

件数 23 107 149 262 304 364 450

050100150200250300350400450500

病理コンサルテーション実績

【しくみ】 【目標と実績】目標は年間300件。順調に増加している

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○○病院 ○○医療センター

○○総合病院

がん拠点病院NCC

問合せ

意見・評価

報告

・平成24年度の成果

1.訪問による支援 10 施設

(通常治療X線、高精度治療IMRT)

2.郵送による支援

郵送出力線量測定 46 施設

放射線治療計画装置の品質管理 11 施設

・平成25年度の取り組み

1.訪問・郵送による支援施設の拡充

2.がん診療連携拠点病院間の連携強化

地域の施設間較差を解消し

医療の均てん化を図る

放射線治療品質管理支援

郵送出力測定年別依頼件数

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地域のがん医療の指導者を育成するための研修を実施

【平成25年度新規研修】・ELNEC‐Jコアカリキュラム指導者養成プログラム(日本緩和医療学会と共催)・がん看護専門分野(指導者)講義研修「がん患者の退院支援・在宅療養支援コース」・がん看護領域認定看護師サポート研修(指導者)・院内がん登録実務導入研修

【指導者研修】

医師、看護師、薬剤師、がん化学療法チーム、診療放射線技師、臨床検査技師、がん専門相談員、院内がん登録実務者について23種類のプログラムに合計808人が参加(平成24年度実績)

【基礎・中級者研修】

緩和ケアチーム、がん専門相談員、院内がん登録実務者、地域がん登録行政担当者・実務者等について10種類のプログラムに計4262人が参加(平成24年度実績)

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がん化学療法医療チームの養成にかかる指導者研修研修6カ月後追跡評価

化学療法医療チーム(医師・薬剤師・看護師・MSW)が、施設内に新薬剤を安全かつスムーズに導入できることを目的とした、講義・グループワークによる2日間の研修

研修効果の評価平成23年度の参加者

n=36

化学療法医療チームメンバーとしての活動状況 (range1‐5)研修前 研修6カ月後 Effect

Size P‐value†平均 SD 平均 SD

各職種の役割や分担について話し合っている 3.2 1.3 3.7 0.9 0.38 0.020 チームの課題や方針を定期的に議論している 3.3 1.5 3.7 1.2 0.29 0.081 チームの理念・基本方針を文書で示している 2.8 1.4 2.6 1.4 0.14 0.407 チームの体制を文書で示している 2.9 1.3 3.0 1.5 0.08 0.635 チームについて患者・家族に広報している 2.2 1.3 2.1 1.1 0.16 0.350 必要に応じて、地域の医療施設と情報交換をしている 2.6 1.2 2.4 1.3 0.15 0.373 医療者を対象に勉強会や研修会を年1回以上開催している 3.7 1.4 4.1 1.2 0.23 0.172 

化学療法医療チームの活動に対する自信 (range1‐5) 研修前 研修6カ月後 EffectSize P‐value*

平均 SD 平均 SD

施設内に新薬剤を安全かつスムーズに導入できている自信がある 2.7 0.9 3.2 0.9 0.48 0.002

チーム内のコミュニケーションの増加と、新薬導入に対する自信の増加が認められた。

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がん看護専門分野(指導者)講義研修がん化学療法看護コース 研修6か月後追跡評価

がん化学療法看護の実践について n=35

(range1‐6)

平均P値

研修前研修

6カ月後

薬剤の特徴を薬品添付文書などで確認している 4.4  4.8 0.067 

薬剤等の投与の経時的プロセスを確認している 4.7  4.9 0.392 

薬剤の投与管理上の留意点をアセスメントしている 4.5  5.1 0.001 

必要な支持療法について、アセスメントしている 4.4  4.8 0.030 

起こりうる有害事象について、アセスメントしている 4.9  5.1 0.136 

有害事象対策、予防策、セルフケアを計画している 4.5  4.8 0.078 

有害事象の判定は、標準的な基準(CTCAEなど)を用いている 3.7  4.5 0.006 

長期的なフォローアップの必要性をどう捉えているか患者・家族に確認している

3.5  4.0 0.051 

Total 34.7  38.1 0.005 

薬剤投与上の留意点や支持療法をアセスメントすること、有害事象の判定に標準的基準を使用することに増大が認められた。

研修効果の評価 平成23年度の参加者

34.7 38.1

612182430364248

研修前 6カ月後

Total scoreの変化

P=0.005効果量=0.55

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がん診療連携拠点病院の緩和ケア提供体制を評価する方法(ピアレビュー)に関する研究

緩和ケア提供体制について質的に評価する方法として、外部の専門家で構成する多職種メンバーの施設訪問によるピアレビューの実行可能性を検討する

訪問期間 1日(6時間)

訪問メンバー 緩和ケア専門医,精神腫瘍科医,緩和ケア認定看護師,緩和薬物療法認定薬剤師

評価基準 • がん診療連携拠点病院の指定要件:現況報告書の緩和ケア提供体制の項目

• 緩和ケアチームの基準(日本緩和医療学会承認) など

施設全体・病棟・外来の緩和ケア提供体制,緩和ケアチームの活動,相談支援センターや院内の緩和ケアに関する協働体制,緩和ケアに関する地域連携や教育機能についてレビューを行う

事前セルフチェック(施設)

施設訪問レビュー結果の

報告行動計画立案

(施設)1年後の再評価

ピアレビューのプロセス概要

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地域で取り組む緩和ケア研修会のためのワークショップ

各地域で実施されている緩和ケア研修会の質の向上と地域の研修ニーズに適した研修を継続的に実施するための方法を検討する

開催期間 1日(4時30分)

参加者 • 地域の緩和ケア研修会ファシリテーターおよび研修会企画担当者• がん診療連携拠点病院の事務担当者• がん診療連携拠点病院の施設長• 都道府県の緩和ケア研修会担当者

プログラム 1. 研修会実績報告2. 地域の問題点・課題の抽出3. 他の地域の取り組み紹介4. 今後の目標や具体的な取り組み検討

研修会終了時の参加者アンケート

とても役立つ, 30% 役立つ, 60% 少し役立つ, 10%

0% 25% 50% 75% 100%

今後の研修会企画・開催への

役立ち度

「全く役立たない」~「とても役立つ」の6段階評価

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