参考表2.4.27 2010年春季(5月)地下水分析結果一 …地点 地区 深度 採水日 DPAA 地点 地区 深度 採水日 DPAA 地点 地区 深度 採水日 DPAA 番号
第4章 地下水 4.1 地下水の水位・塩化物イオン濃度 (1) 調査の結 … · 5.4.1-1...
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5.4.1-1
第4章 地下水
4.1 地下水の水位・塩化物イオン濃度
(1) 調査の結果の概要
1) 地下水の水位の状況
井戸及び地下水観測孔で実施した地下水位の確認結果を表 5.4.1-1 に示す(調査地点は図
5.4.1-2 参照)。
地下水位は新干拓地及び背後地でおおむね EL(-)0.5m から EL(+)1.2m の間にある。但し、
湯江地区の井戸は扇状地堆積物上に位置しているため、地盤標高は新干拓地及び背後地の地
盤標高(EL(-)0.7~EL(+)1.63m)に比して EL(+)3.7~EL(+)8.0m 高く、地下水位も U-3 を除
いて EL(+)2~EL(+)5m 程度高い。
2) 地下水の塩化物イオン濃度の状況
井戸及び地下水観測孔より採水した地下水の塩化物イオン濃度分析結果を図 5.4.1-1 に示
す。
井戸の塩化物イオン濃度はおおむね 5~150mg/L の間にあり、調査地区全体 18 地点の平均
値は 37.0mg/L であった。いずれも水道水質基準の 200mg/L や農作物へ影響を与える地下水、
土壌中の塩化物イオン濃度の限界濃度の目安とされる 210mg/L(農作物に及ぼす影響とその
対策(H16)、香川県農業経営課):第 14 章 農業生産参照」を超える塩化物イオン濃度は確認
されていない。
5.4.1-3
表 5.4.1-1 地下水状況調査一覧表
平成22年2月 平成22年6月 平成22年10月 平成23年2月
地区名 地点名 地盤高 標高 標高 標高 標高 備 考(EL m) (EL m) (EL m) (EL m) (EL m)
U-1※揚水中 3.75 1.02 1.72 1.31 1.02 10月は揚水中
U-2 4.73 2.04 2.83 3.35 1.48
U-3 4.45 0.73 0.84 0.87 0.71
U-4 5.26 2.03 - - - H21年度調査時のみ使用
U-5 6.00 2.26 2.57 2.98 1.92
U-6 7.72 5.55 5.58 5.74 5.32
U-7 5.76 2.76 - - - H21年度調査時のみ使用
U-8 4.26 2.28 3.25 3.12 2.04
U-10 4.28 2.95 3.60 3.45 2.70
U-12 8.02 6.28 7.25 6.82 5.95
小江干拓地 H-1 2.66 0.49 0.44 0.36 0.48
長田 N-1 0.58 0.19 0.36 0.13 0.07
中央1 -0.69 0.01 0.48 -0.16 0.17
中央2 -0.42 -0.38 0.04 -0.38 -0.21
C-1※揚水中 2.17 -12.86 -1.18 -8.52 -1.20
2月10月1月は測水時揚水中6月、H23.2月は自然水位
小野島 0.03 -0.45 -0.17 -0.62 -0.79
K-1 0.68 -0.41 -0.08 -0.52 -0.97
K-2 0.49 -0.54 -0.54 0.19 -0.67
K-3 0.77 -0.27 -0.28 0.17 -0.34
K-5 0.49 -0.78 -0.45 -0.97 -1.43
K-10 2.63 -0.10 0.51 -0.05 -0.81
K-12 2.67 -0.17 0.19 -0.40 -0.66
K-13 1.63 - 0.32 -0.23 -0.53 H22より新規追加
森山 0.16 -0.04 0.06 -0.94 -0.18
M-2 0.84 0.22 0.32 -1.41 -0.13
M-3 1.48 0.21 0.36 -1.59 -0.14
M-4 1.54 0.98 1.24 0.72 0.84
M-5※揚水中 2.02 1.17 1.45 -11.69 1.05 10月測定時揚水中
M-6 0.29 0.22 0.34 -1.75 -0.01
M-7 0.69 -0.14 0.00 -1.12 -0.37
M-12 2.16 1.10 1.36 0.75 1.02
A-1 1.69 0.53 0.59 -0.05 0.45
A-2(湧出) 0.97 - 0.29 -2.42 0.30井戸台座基部の排水口より湧出。10月は9月末までの揚水の影響あり湧出せず。
A-3 2.39 1.47 1.84 -2.71 1.41
A-4(湧出) 0.05 - 0.31 -3.20 -井戸口元の破損部より湧出。10月は9月末までの揚水の影響あり湧出せず。
A-5(湧出) 1.13 0.51 0.63 -2.85 0.43 井戸台座基部の排水口より湧出
A-6 2.30 0.99 0.94 -2.45 0.78
A-7(湧出) 1.56 1.24 1.22 -1.25 1.18井戸台座基部の排水口より湧出。10月は9月末までの揚水の影響あり湧出せず。
A-8 3.29 2.71 - - - H21年度調査時のみ使用
①中央1、中央2、C-1を除く地点の標高値は「世界測地系-0.2m」として算定
②揚水中のU-1、C-1、M-5は、2月と10月の水位差平均値の計算から除外した。
③K-13、A-2、A-4箇所は、平成22年4月より地下水位測定を追加実施した。
平成21年度のみ調査地点または平成22年度のみ調査地点は、表中には、「-」で表記した。
④湯田川地区のA-2,4,5,7は孔口や台座下の排水口から湧出(自噴)していた。
湯田川
湯江・宇良
中央干拓地
小野島
釜ノ鼻
5.4.1-4
U‐12
U‐10
U‐8U‐3
U‐1
U‐2U‐5
U‐6
H‐1
中央1孔N‐1
中央2孔K‐1K‐5
K‐10
K‐6K‐13
K‐3
K‐2
C‐1
K‐12
森山観測孔
M‐7M‐3
M‐4M‐5 M‐6M‐2
M‐12
A‐1
A‐2A‐3
A‐4A‐5
A‐6
A‐7
:地下水連続観測調査箇所 (3箇所) (地下水連続観測+地下水・水質調査+地下水状況調査)
:地下水位・水質観測箇所 (14箇所) (地下水・水質調査+地下水状況調査)
:地下水位観測箇所 (18箇所) (地下水状況調査のみ)
:地下水質観測箇所 (1箇所) (地下水・水質調査のみ:K-6)
図 5.4.1-2
地下水に関する現地調査
地点図
5.4.1-5
3) 土質・地質の状況
既往文献調査によるボーリング結果及び現地調査によるボーリング調査結果に基づ
き地質断面図を図 5.4.1-3 に示す位置(A 断面、B 断面、C 断面)で作成した。
調査結果に基づく地質構成を表 5.4.1-3 に示し、地質断面図を図 5.4.1-4 に示す。
表 5.4.1-3 土質・地質構成表
地質時代 地質区分名称 凡例 地質性状
有明粘土層 含水比の高い均質で難透水性の海成粘土~シルトからなる。調査地に広く分布し、層厚は 15m から最大で 25m 程度 完
新世
島原海湾層 N値が 20~40の粘性土を比較的多く含んだ不均質な砂礫や有機質なシルトからなる。
阿蘇火砕流 堆積物(Aso-4)
九州北部に広く分布する阿蘇火砕流堆積物に由来する軽石や火山灰質砂、火山灰質粘土からなる。
砂礫
未区分洪積層
粘土
粘土質砂礫や玉石混り礫を主体とし、これに複数の固結シルト層を挟在する。 諫早湾周辺での層厚は 30~60m 程度。 透水性にはバラツキがあり、砂礫層の透水性は 10-3cm/sec オーダーと比較的高い。 固結シルト層は 4 枚程度あり、深いほど地下水の被圧が高くなる。釜ノ鼻地区では深さ 100~150m に達する。
風化
多良火山岩類
新鮮
主として凝灰角礫岩と凝灰岩からなり、固結度はあまり高くなく、岩質は脆い。 部分的に非溶結な砂礫状箇所を挟む。透水性は 2.0×10-4~2.0×10-2cm/sec と高い。調査地では小野島地区から調整池にかけて長崎火山岩類を覆うように分布する。
風化
第
四
紀 更
新
世
長崎火山岩類
新鮮
節理の発達した安山岩と凝灰角礫岩からなる。調整池内の沖ノ島、中ノ島も長崎火山岩類安山岩からなる。凝灰岩類は被圧性の裂か水が賦存した第 4 帯水層を形成している。安山岩と凝灰岩の境界で湧出している。
第
三
紀
第三紀堆積岩類 (水理基盤)
第三紀の堆積岩である諫早層群の砂岩・頁岩互層で調査地では EL(-)200~(-)350m に分布している。
5.4.1-10
(2) 予測の結果
1) 予測事項
予測事項は、調整池への海水導入に伴う調整池の水位及び塩分の変化による背後地
の地下水の水位及び塩化物イオン濃度の変化とした。
2) 予測手法
① 予測の手順
地下水の水位及び塩化物イオン濃度の予測は、開門に伴う主たる地下水・塩水の
挙動がおおむね海岸線に直行した側線上の動きと考えられることより、図 5.4.1-5
に示す中央干拓地を通る A 断面及び釜ノ鼻地区を通る B 断面において、断面二次元
飽和密度流モデルにより実施した。解析コードは、地下水の塩水浸入問題に実績の
多い「FEFLOW(Institute for Water Resources Planning and Systems Research Ltd.,
略称 WASY 開発)」を適用した。
予測の手順は、図 5.4.1-6 に示すとおりであり、予測にあたっては、予測モデル
の再現性を確認したうえで、開門調査方法に基づき開門調査を実施した場合の計算
条件を設定して予測計算を行った。
予測ケースは、開門調査のケース別に 4 ケースとした。
図 5.4.1-5 断面モデルの位置
A断面
B 断面
B
B’
A’
A
5.4.1-11
図 5.4.1-6 地下水の予測手順
② 現況再現性の検証
海域の境界条件のうち、有明粘土層より下位の帯水層については、海底下地下水
の塩化物イオン濃度に係る実測値がないため、塩水(海水)により満たされている
と仮定したところ、図 5.4.1-7 に示すように、干拓地の地下まで塩水が浸入する計
算結果となった。しかしながら、現地調査結果より、中央 1 孔及び中央 2 孔等の中
央干拓地内に位置する地点では、地下水の塩水化は観測されていないため、現地観
測結果と矛盾する。そこで、文献調査によれば有明海や東京湾では海底下で淡水の
地下水湧出の実例もあることから、有明粘土層より下位の帯水層の地下水は塩水化
していないと判断し、上記仮定を変更して淡水により満たされていると仮定した。
その結果、現況の再現結果は図 5.4.1-8 に示すようになり、中央 1・2 孔において
は、実測水位約 EL(-)0.16~(+)0.2m に対し計算水位は約 EL(+)0.19m、塩化物イオ
ン濃度は実測濃度約 20~40mg/L に対し計算濃度は約 27mg/L とほぼ一致した。もう
ひとつの検証地点とした南部排水門近くの地質ボーリング(No.ウ)でも、コア(調
整池底の有明粘土層。深度 3.5m まで)の塩化物イオン含有量より推定したコア採取
時の塩化物イオン濃度 2,000~3,500mg/L に対し、解析結果は 2,437mg/L とほぼ一致
した。
以上の結果より、モデルの現況再現性は確保されたものと判断し、予測検討にお
いても、地下水モデルの海側境界条件については、有明粘土層より下位の帯水層の
地下水は淡水と設定することとした。
地下水モデルの構築
モデルの再現性の検討
予測計算条件の設定
YES
NO
計算条件の設定
地下水位、塩化物イ
オン濃度の実測値
開門調査を実施した場合の予測計算
・土層条件
・境界条件
・諸係数等
開門調査の方法
排水路の水位・塩化物
イオン濃度推定結果
調整池の水位、塩化物
イオン濃度計算結果
・境界条件
境界条件と
して入力
5.4.1-12
図 5.4.1-7 海域の帯水層が塩水化していると仮定した場合の計算結果(A 断面)
図 5.4.1-8 海域の帯水層が塩水化していないと仮定した場合の計算結果(A 断面)
(m)
塩化物イオン濃度
0.2 地下水頭(EL m)
標
高 (EL m
)
中央1孔の塩化物イオンの計算濃度は、
15,000mg/L 以 上 と 、 実 測 濃 度 41.6 ~
51.2mg/Lを大きく上回る。
塩水化の指標(500mg/L)を下回る
地下水は、内陸の表層部のみ
中央 1・2 孔 No.ウ
海 域 の 帯 水 層 の 地 下 水
が、塩水と仮定すると・・・・
塩化物イオン濃度
0.2 地下水頭(EL m)
塩化物イオン濃度
0.2 地下水頭(EL m)
標
高
(EL
m)
〔中央1孔〕
実測水位EL(-)0.27~(+)0.75mに対して
計算水位はEL(+)0.19m、塩化物イオンの実
測濃度41.6~51.2mg/Lに対して計算濃度は
27.0mg/Lと、概ね実測を再現。
〔中央2孔〕
実測水位EL(-)0.49~(+)0.23mに対して
計算水位はEL(+)0.19m、塩化物イオンの実
測濃度19.9~69.9mg/Lに対して計算濃度は
27.28mg/Lと、概ね実測を再現。
海 域 の 帯 水 層 の 地 下 水
が、淡水と仮定すると・・・・
塩化物イオン濃度
0.2 地下水頭(EL m)
中央 1・2 孔 No.ウ
〔No.ウ孔〕
塩化物イオンの掘削時の推定濃度2,226~3,278mg/L対
して計算濃度は2437mg/Lと、概ね実測を再現。
旧堤防 内部堤防 潮受堤防
旧堤防 内部堤防 潮受堤防
A A’
A A’
5.4.1-13
3) 予測結果
① ケース 1
図 5.4.1-9 に予測結果を示す。調整池の平均水位が海域の年平均潮位と同じ
EL(+)0.09m に、また塩化物イオン濃度が調整池で 13,774mg/L と海水の濃度
16,744mg/L に近い値まで上昇したことにより、断面 A・B ともに調整池下の有明粘
土層内の水頭分布や塩化物イオン濃度には変化が現れた。しかし、いずれも有明粘
土層より下位の帯水層中の地下水位に大きな変化はなく、塩水化(塩化物イオン濃
度の上昇)もみられなかった。
② ケース 2
第 1 段階の予測結果は、後出のケース 3-1 の予測結果より、有明粘土層より下位
の帯水層中の地下水位に大きな変化はなく、塩水化(塩化物イオン濃度の上昇)も
みられないと予測された。
第 2 段階の予測結果は、ケース 3-1 と同様の開門方法となるため、後出の「4.1
地下水の水位・塩化物イオン濃度」「(2) 予測の結果」「3) 予測結果」「③ ケー
ス 3-1」と同じである。
第 3 段階の予測結果は、ケース 1 と同様の開門方法となるため、前出の「4.1 地
下水の水位・塩化物イオン濃度」「(2) 予測の結果」「3) 予測結果」「① ケース
1」と同じである。
③ ケース 3-1
図 5.4.1-10 に予測結果を示す。調整池の平均水位が EL(-)0.67m に、また塩化物
イオン濃度が調整池で 12,384mg/L と海水の濃度 16,744mg/L に近い値まで上昇した
ことにより、断面 A・B ともに調整池下の有明粘土層内の水頭分布や塩化物イオン濃
度に変化が現れた。しかし、いずれも有明粘土層より下位の帯水層中の地下水位に
大きな変化はなく、塩水化(塩化物イオン濃度の上昇)もみられなかった。
④ ケース 3-2
ケース 3-2 の予測結果は、ケース 2 の第 1 段階と同様の開門方法となるため、前
出の「4.1 地下水の水位・塩化物イオン濃度」「(2) 予測の結果」「3) 予測結果」
「② ケース 2」の第 1 段階と同じである。
5.4.1-14
0.1853
0.1871
-150
-135
-120
-105
-90
-75
-60
-45
-30
-15
0
-1 -0.5 0 0.5地下水頭(EL m)
標高
(EL m
)
27.30
27.00
-150
-135
-120
-105
-90
-75
-60
-45
-30
-15
0
1.E+0 1.E+1 1.E+2 1.E+3 1.E+4 1.E+5塩化物イオン濃度(mg/L)
標高
(EL m
)
13233
-60
-45
-30
-15
0
1.E+0 1.E+1 1.E+2 1.E+3 1.E+4 1.E+5塩化物イオン濃度(mg/L)
標高
(E
L m
)
断面 A
地下水頭:中央 1・2 孔 塩化物イオン濃度:中央 1・2 孔 塩化物イオン濃度:No.ウ
解析断面位置 断面 B
図 5.4.1-9 ケース 1 の予測結果
500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500 6000 6500 7000 7500 8000
(m)
-140
-120
-100
-80
-60
-40
-20
0
20
塩化物イオン濃度
0.2 地下水頭(EL m)
標
高
(EL
m)
塩化物イオン濃度
0.2 地下水頭(EL m)
標
高 (EL m
)
A断面
B 断面
中央 1・2 孔 No.ウ
A A’
B B’
旧堤防 内部堤防 潮受堤防
旧堤防 旧堤防 潮受堤防
5.4.1-15
0.1849
0.1867
-150
-135
-120
-105
-90
-75
-60
-45
-30
-15
0
-1 -0.5 0 0.5地下水頭(EL m)
標高
(EL m
)
27.30
27.00
-150
-135
-120
-105
-90
-75
-60
-45
-30
-15
0
1.E+0 1.E+1 1.E+2 1.E+3 1.E+4 1.E+5塩化物イオン濃度(mg/L)
標高
(EL m
)
12618
-60
-45
-30
-15
0
1.E+0 1.E+1 1.E+2 1.E+3 1.E+4 1.E+5塩化物イオン濃度(mg/L)
標高
(E
L m
)
断面 A
地下水頭:中央 1・2 孔 塩化物イオン濃度:中央 1・2 孔 塩化物イオン濃度:No.ウ
解析断面位置 断面 B
図 5.4.1-10 ケース 3-1 の予測結果
塩化物イオン濃度
0.2 地下水頭(EL m)
標
高
(EL
m)
塩化物イオン濃度
0.2 地下水頭(EL m)
標
高 (E
L m
)
A断面
B 断面
中央 1・2 孔 No.ウ
A A’
B B’
旧堤防 内部堤防 潮受堤防
旧堤防 旧堤防 潮受堤防