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第2章 人権問題の現状・課題・施策

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第2章 人権問題の現状・課題・施策

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1 同和問題(1)現状 同和問題は、封建時代の身分制度や歴史的、社会的に形成された人々の意識に起因する差別が、今なおさまざまな形で現れている重大な人権問題です。人間は自分の意思で生まれるところを選ぶことができません。にもかかわらず、被差別部落出身という理由で、住む場所や仕事、結婚など生活のさまざまな面で差別を受け、基本的人権を侵害されている人たちがいます。これが同和問題であり、昭和40年の「同和対策審議会答申」において、同和問題が憲法で保障する基本的人権に関わる問題であることと、早急に解決することが国の責務であり、同時に国民的課題であることが明らかにされました。 この問題を解決するため、墨田区においては、同和問題の解決を区政における重要施策として位置づけ、法律や答申などを尊重しながら、その推進を図ってきました。昭和46年2月「墨田区同和対策本部」を設置、昭和49年9月に社会福祉会館を開設し、さらに昭和50年4月には同和対策室を設置(平成10年4月1日同和対策課、平成13年4月1日人権・同和対策課、平成20年4月1日人権同和・男女共同参画課に改組)し、同和問題を解決するため、さまざまな啓発活動を行ってきました。 また、地域住民・事業者等との協力により実施してきた「環境改善事業」は、道路、公園などの整備が進み、計画事業が完了し、地域の生活環境は大幅に改善されました。しかし、差別意識の解消については、いまだ十分とは言えない状況にあり、戸籍謄本等の不正請求、インターネットへの差別書込み、大量差別はがきや差別発言など、部落差別をなくすための活動に逆行する行為が発生しています。これらは、同和地区出身の人々を傷つけるばかりでなく、そのままにしておくと差別意識を拡大してしまう恐れがあります。

(2)課題 同和問題を解決するためには、区民一人ひとりに、この問題を正しく理解してもらうことが必要です。そのためには、同和問題に関する差別意識の解消に向け、これまでの積み上げられた成果等を踏まえ、教育・啓発活動を引き続き推進することが求められています。 同和問題については、同和対策審議会答申の中で「寝た子をおこすな式の考え方では、問題の解消にはつながらない」旨の記述があります。「そっとしておけ

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ば差別はなくなる」という考え方は消極的な姿勢であり、こうした認識を解消することも重要です。 今後も、学校や職場等における教育や研修を通し、同和問題に対する正しい理解と認識が得られるようにする必要があります。 また、あらゆる機会をとらえ、区民一人ひとりが同和問題の正しい理解と認識を深められるよう啓発に努めるとともに、人権に関わる関係機関や関係団体等と連携・協力し、人権啓発の取組を進めていくことも重要です。

◇ 同和問題についての周知状況/同和問題解決のための今後の取り組み

 日本の社会に同和問題(部落差別)とい

われる人権侵害の問題があることを「知っ

ている」は31.4%で、これに「ある程度知っ

ている」の39.5%を合わせた《周知度》は

70.9%となっています。

 同和問題解決のために今後取り組むべき

ことは、「差別しないよう、させないように、

人権尊重の意識を一人ひとりが、より一層

自覚するよう努める」が51.3%で最も高く、

以下「行政がより一層積極的に教育・啓発

などの施策を講じ、差別をなくすよう取り

組む」(40.9%)、「同和問題の関係者が差別

をなくすため、行政や社会に積極的に働き

かける」(24.8%)の順で続いています。

� ※n=調査回答数

� <平成26年度墨田区人権に関する意識調査より>

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(3)施策

施策内容

● 各種証明書の不正取得の防止� 【窓口課 観点Ⅰ】● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 相談事業� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅱ・Ⅲ】● 同和対策本部会議等の開催� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅲ・Ⅳ】

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2 女性の人権問題(1)現状 平成11年6月に施行された「男女共同参画社会基本法」では、男女共同参画社会の実現は21世紀の日本社会を決定する最重要課題の一つと位置づけられており、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成を図るため、将来に向かって施策を計画的に推進することを掲げています。 墨田区では、平成2年7月に女性が創造的な地域社会を切り開く活動や交流の場として、また女性の地位向上をめざして「すみだ女性センター」を開設し、現在では、区の男女共同参画推進拠点となっています。 また、平成5年10月「21世紀へ向け女性問題を解決するための墨田区行動計画」を策定し、さまざまな事業を計画的に推進してきました。その後、平成11年3月「墨田区男女平等推進プラン(第1次)」を策定、現在は、平成25年度に策定した「墨田区男女共同参画推進プラン(第4次)」(平成26年度~平成30年度)に基づき、さまざまな施策を推進しています。 さらに、平成17年12月には、「墨田区女性と男性の共同参画基本条例」を制定し、男女共同参画社会を実現するための理念、性別による差別の禁止等、区、区民、事業者、地域団体の責務と協働などを規定しました。 このように長年の取組により、男女共同参画は着実に前進してきましたが、今なお、積極的に取り組むべき課題や、社会状況の変化等により生じた新たな課題等への対応が求められています。 例えば、近年、女性に対する人権侵害として、配偶者やパートナー等からの暴力が大きな社会問題として取り上げられるようになり、平成13年10月「配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律」(平成16年6月・平成19年7月・平成25年7月・平成26年4月改正)が施行されました。墨田区では、女性に対するあらゆる暴力を防止するための意識啓発や被害者救済のための相談機能の充実、警察や他の公的相談機関などとの連携を図っています。

(2)課題 家族形態や就労形態の変化や、ライフスタイルや価値観の多様化から、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を図り暮らしていきたいという考えが高まっています。一人ひとりがさまざまな分野で個性や能力を発揮し、仕事、家庭生活、地域活動などに取り組むためには、男女がともに責任を担い、仕事、子育て、介護などを社会全体で支える環境づくりや、企業や組織が個人の多様な働き方を支援する職場環境の整備が求められています。 一方、「墨田区人権に関する意識調査」(平成27年2月)によると、今なお家

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庭生活や職場、しきたり、慣習等において、男性のほうが優遇されていると感じている人が多いことが分かりました。「男は仕事、女は家庭」という男女の固定的な役割分担意識は徐々に変わりつつありますが、このような社会的・文化的に作られた性差が、家庭や職場等あらゆる場面での女性の参画の妨げと考えられることから、男女共同参画の視点に立った意識づくりが不可欠となっています。 また、配偶者等からの暴力、性的暴力、ストーカー行為、セクシュアル・ハラスメントなどが人権侵害として社会問題となっていますが、被害者は女性が多く、生命の危機につながる場合があることから、引き続き関連機関との連携を強化し、被害者の保護や支援に取り組む必要があります。人権侵害の根絶のため、また男女が性別にとらわれず個人として尊重される社会の実現に向けて、人権教育や啓発の取組を進めることが重要です。

◇ 女性に関する人権上の問題点

 女性に関することで、人権上の特に問題があると思われる点は、「昇給や昇進の格差など、

職場での男女の待遇の違い」が45.6%で最も高く、以下「男女の性別による固定的な意識」

(38.0%)、「女性の社会進出のための支援制度の不備」(36.7%)、「ストーカー行為」(28.0%)

の順で続いています。

� ※n=調査回答数

� <平成26年度墨田区人権に関する意識調査より>

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(3)施策

施策内容

● 墨田区男女共同参画推進委員会等の開催� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ・Ⅳ】● 墨田区男女共同参画苦情調整委員会の開催� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ・Ⅳ】● 墨田区男女共同参画に関する区民意識調査の実施� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ・Ⅲ】● 男女共同参画事業の実施� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 男女共同参画情報誌「すずかけ」の発行� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● DV防止啓発カードの作成・配布� 【人権同和・男女共同参画課等 観点Ⅰ・Ⅲ】● DV・デートDV予防啓発講座の開催� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 女性のためのカウンセリング及びDV相談� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅱ】● �女性に対する暴力、性的被害など女性の人権侵害や失業等女性福祉に関する相談・緊急一時保護等、その他の援助

� 【生活福祉課 観点Ⅱ】● 一時保護施設及び社会福祉施設への入所の援助� 【生活福祉課 観点Ⅱ】● 女性福祉資金等の貸付を通じた経済的な自立と安定の援助� 【生活福祉課 観点Ⅱ】● 住民基本台帳事務におけるDV及びストーカー行為等被害者の支援措置� 【窓口課 観点Ⅱ】● 男女共同参画の視点からの防災対策 ・ 女性の防災行動力向上講座等の開催 ・ 男女共同参画視点の防災パネル及び災害備蓄品の啓発展示 ・ 男女共同参画の視点からの避難所マニュアルの改訂� 【人権同和・男女共同参画課、防災課 観点Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ】● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課等 観点Ⅰ】

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3 子どもの人権問題(1)現状 平成元年11月の国連総会で、子どもの人権や自由を尊重し、子どもに対する保護と援助を進めることを目的とした「児童の権利に関する条約」が採択され、日本も平成6年4月に、この条約を締結しました。しかし、子どもの人権に関する社会的課題として、子どもへの体罰や虐待、いじめ、さらに、児童買春やインターネット上における児童ポルノの氾濫など、子どもの健全な発達を阻害するさまざまな問題が提起されています。また、子どもの貧困についても、深刻な社会問題となっています。 墨田区では、児童虐待防止のための独自の体制づくりに取り組むため、平成14年5月「墨田区子どもを守るためのネットワーク協議会」を設置し、人権問題解決に向けた迅速かつ柔軟な対応を図りました。 平成16年「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」と「児童福祉法」が改正(前者は平成16年10月1日施行、後者は平成16年12月3日施行)され、虐待児童への援助・支援・地域における児童相談体制の充実が図られました。こうした法改正を受けて、墨田区では、平成18年11月「墨田区子どもを守るためのネットワーク協議会」を「墨田区要保護児童対策地域協議会」に改組しました。 平成19年4月には、墨田区子育て支援総合センターを開設し、墨田区要保護児童対策地域協議会の調整機関として位置づけ、児童虐待防止に向け、関係機関との連携を強化しながら、保護を要する児童や保護者等への対応を行っています。 また、子育てに関するさまざまな相談に応じるとともに、子育て支援ボランティアを育成し、「在宅子育てママ救急ショートサポート事業」をはじめ、家庭での保育を支援する担い手として活用しており、相談体制の強化・充実を進めています。 また、墨田区では、子どものさまざまな悩みを解決するために、すみだ生涯学習センター内に教育相談室を設置し、専門の相談員が相談に応じています。 特に、学校教育においては、いじめの問題は喫緊の課題であり、生活指導主任を対象にいじめ防止研修会を実施したり、各学校において、いじめ防止に向けた研修を行ったりするなど、教職員の対応、体制の強化を図っています。さらに、平成26年12月「墨田区いじめ防止対策推進条例」を制定し、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進しています。 また、いじめ問題や不登校、保護者の子育てに関する問題など、多様化する健全育成上の課題に対し、きめ細やかな対応を通じ問題解決を図ることを目的に、

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すみだスクールサポートセンターを設置し、相談員が児童・生徒・保護者への相談や助言を行うとともに、サポートセンター内に24時間対応のいじめ相談窓口を開設し、夜間も相談することができるようにしています。さらに、全小中学校に、臨床心理士のスクールカウンセラーを配置し、児童・生徒のさまざまな悩みを直接相談できるようにし、対応の強化を図っています。

(2)課題 平成26年度に区に寄せられた新規の児童虐待相談対応件数は334件で、平成22年度の209件と比べると大幅に増加しています。 また、区立小中学校におけるいじめの発生(認知)件数は、年々増加傾向にあります。これは、いじめに対する学校の認知が高まったことにより、いじめを見逃さないという意識の表れとも言えますが、いじめの未然防止、早期発見・解決が喫緊の課題となっています。 子どもに関わる人権問題を解決するためには、家庭、学校、地域、関係行政機関等が連携し、子どもの人権について話し合い、理解する機会を多く設け、人権尊重の視点から取組を進めていくことが重要です。 そして、大人が子どもを、一人の人間として人権を尊重し、健全に育てていくことの大切さを認識するとともに、自らの責任を果たしていくことが求められます。 このようなことから、子どもの人権に関わる家庭、学校、地域などにおいて、子どもたちの発達段階に応じ、人権尊重の心を育てる人権教育、加えて、それに携わる大人の人権意識向上のための人権啓発を推進する必要があります。

【参考】墨田区で対応した児童虐待相談対応件数(新規)の推移

年 度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度

件 数 209件 222件 200件 352件 334件

【参考】墨田区立小中学校におけるいじめの発生(認知)件数の推移(文部科学省の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」より)

年 度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度

件 数 33件 30件 74件 68件 84件

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◇ 子どもの人権を守るために実施すべきこと

 子どもの人権を守るために実施すべきことは、「児童虐待の発見や、その解決のための体制づ

くりをする」が55.7%で最も高く、以下「子ども同士のいじめを見逃さないようにする」(55.3%)、

「子どもが、周囲から孤立させないような環境をつくる」(51.1%)の順で続いています。

� ※n=調査回答数

� <平成26年度墨田区人権に関する意識調査より>

(3)施策

施策内容

● 児童虐待防止の区民向け啓発パンフレットの作成・配布� 【子育て支援総合センター 観点Ⅰ】● 関係機関向け虐待防止マニュアルの作成・配布� 【子育て支援総合センター 観点Ⅰ・Ⅲ】● 虐待防止講演会の開催� 【子育て支援総合センター 観点Ⅰ・Ⅲ】● 子育てひろばの運営(両国・文花) ・ 子育てに関するさまざまな相談・講座の実施� 【子育て支援総合センター 観点Ⅰ・Ⅱ】● 子育て支援ボランティアの育成・活用 ・ 子育て支援員研修(子育てサポーター養成講座)の実施� 【子育て支援総合センター 観点Ⅰ・Ⅲ】 ・ 在宅子育て支援事業の実施� 【子育て支援総合センター 観点Ⅱ】● 養育家庭体験発表会・講演会の開催� 【子育て支援総合センター 観点Ⅰ・Ⅲ】

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施策内容

● 子育て総合相談 ・ 子育てに関する総合的な相談の実施� 【子育て支援総合センター 観点Ⅱ】● 墨田区要保護児童対策地域協議会の運営 ・ 代表者会議、実務者会議等の開催� 【子育て支援総合センター 観点Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ】● 住民基本台帳事務における児童虐待等被害者の支援措置� 【窓口課 観点Ⅱ】● いじめ問題防止啓発リーフレットの作成・配布� 【指導室 観点Ⅰ】● いじめ防止プログラムによる取組の実施� 【指導室 観点Ⅰ・Ⅳ】●� スクールサポートセンターにおける相談事業の実施(いじめ相談窓口24時間対応)� 【指導室 観点Ⅱ】

● スクールカウンセラーによる学校での相談事業の実施� 【指導室 観点Ⅱ】● 教育相談室における相談事業の実施� 【生涯学習課 観点Ⅱ】● 生活指導主任会における情報提供及び研修会の実施� 【指導室 観点Ⅰ・Ⅳ】● 中学生区議会� 【広報広聴担当 観点Ⅰ】● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課等 観点Ⅰ】● �「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示

 ・ 国が作成したリーフレット等の配布� 【文化振興課 観点Ⅰ】● �子供の未来応援国民運動ホームページ(子供の未来応援プロジェクト)とのリンクによる啓発

� 【生活福祉課等 観点Ⅰ】● 子どもの貧困対策連絡会� 【生活福祉課等 観点Ⅳ】● 離婚時の養育費等の取決めについての啓発� 【窓口課 観点Ⅰ】

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4 高齢者の人権問題(1)現状 少子高齢化の進展により、墨田区においても、65歳以上の高齢者の比率は、平成27年1月現在、約23%に達しました。 高齢者をとりまく人権問題としては、介護施設の従事者や家庭における養護者等による虐待などが生じています。 また、高齢者が年齢等を理由に一律に就職や社会参加、賃貸住宅への入居の機会が奪われたり、地域社会や家族関係における高齢者の孤立、高齢者を狙った悪質商法の発生といったさまざまな問題も発生しています。また、認知症に関する理解不足から高齢者の尊厳が阻害されるという実状もあります。 このような状況を解決するため、平成18年4月「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)」が施行され、高齢者に対する虐待の防止と養護者への支援を定めました。さらに、介護保険法の改正で新たに地域包括支援センターの設置、高齢者の権利擁護事業に関する相談・支援が規定されました。 墨田区では、平成12年3月「墨田区高齢者保健福祉総合計画」を策定し、高齢社会における課題解決のための、さまざまな事業を計画的に推進し、平成18年度からは3年ごとに計画を見直しています。さらに、超高齢社会の到来を視野に、平成27年3月「墨田区高齢者福祉総合計画・第6期介護保険事業計画」を策定し、高齢者が尊厳を持ち、安心して暮らせるしくみをつくることを基本理念として区、区民、関係機関が一体となって計画の推進を図っています。

(2)課題 今後、75歳以上の後期高齢者の増加により、認知症、寝たきりや介護が必要な高齢者が増えることが予想される中、高齢者が尊厳を保ち、安心して暮らすためには、生命や人権を保護する取組がますます重要になっています。 このようなことから、「認知症高齢者の早期発見・早期対応体制の充実」、「要保護者に対する地域での見守り体制の整備」、「徘徊等に対する警察など関連機関とのネットワークづくり」などに努める必要があります。 さらに、高齢者への虐待防止と共に高齢者の人権が守られるよう、「日常生活自立支援事業」や「成年後見制度」のさらなる周知や利用促進などに努めることも重要です。 また、「平成26年度墨田区人権に関する意識調査」の「高齢者の人権を守るために実施すべきこと」の質問に対して「高齢者の雇用を促進する」との回答が29.5%と比較的高く、働く能力と意欲があるにも関わらず、高齢者の雇用機

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会が少ないことも課題であることがわかります。 雇用対策法第7条では、雇用主は労働者の募集・採用の際には、年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう努めなければならないと定めています。超高齢社会を迎える中で、一律に年齢だけで働く機会を制限するのではなく、意欲と能力を公平に評価することが必要です。

◇ 高齢者の人権を守るために実施すべきこと

 高齢者の人権を守るために実施すべきことは、「高齢者の生きがいづくりや、社会参加の支

援を推進させる」が34.2%で最も高く、以下「高齢者が、自立した生活を送れるよう、在宅サー

ビスを充実させる」(34.1%)、「家族や隣人、ボランティアなど地域で高齢者を支えていく仕

組みを作る」(33.0%)、「高齢者にわかりやすい情報を提供する体制を整える」(29.7%)、「高

齢者の雇用を促進する」(29.5%)の順で続いています。

� ※n=調査回答数

� <平成26年度墨田区人権に関する意識調査より>

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(3)施策

施策内容

● 啓発講演会の実施� 【高齢者福祉課 観点Ⅰ・Ⅲ】● 男性介護者教室の実施� 【高齢者福祉課 観点Ⅰ・Ⅲ】● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課等 観点Ⅰ】● 高齢者権利擁護相談等の実施(高齢者虐待防止法に基づく対応)� 【高齢者福祉課 観点Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ】● 認知症高齢者家族介護者教室� 【高齢者福祉課 観点Ⅱ・Ⅲ】● 認知症サポーター養成、認知症ボランティア活動支援� 【高齢者福祉課 観点Ⅱ・Ⅲ】● 高齢者虐待・権利擁護検討会の開催� 【高齢者福祉課 観点Ⅲ・Ⅳ】

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5 障害者の人権問題(1)現状 平成6年9月「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築促進に関する法律(ハートビル法)」が、平成12年11月「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法)」がそれぞれ施行されました。平成18年12月にこれらが統合され、新たに「高齢者、身体障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」が施行されました。高齢者・障害者等の弱者を区別しないで万人が利用可能な環境づくり(ユニバーサルデザイン)がますます求められるようになっています。 しかし、交通機関や公共建築にも物理的なバリアがまだ残っており、障害者に対する理解の不足からくる誤解や偏見のために、賃貸住宅への入居を拒まれ、働く場が確保されないなどの問題も指摘されています。 また、知的障害者や精神障害者の多くが遠方の入所施設や病院で生活せざるを得ない状況も残されており、重い障害をもっていても、必要なサービスを利用しながら、生まれ育った地域で、いきいきと暮らせる社会を実現していくことが求められています。 墨田区においては、昭和57年に「障害者問題解決のための墨田区行動計画」(昭和57年度~平成2年度)を策定し、以後、第2期(平成3年度~12年度)、第3期(平成13年度~22年度)、第4期(前期)(平成23年度~26年度)と計画を改定し、施策の充実に努めてきました。現在、平成27年度から32年度までの6か年を計画期間とする「第4期墨田区障害者行動計画(後期)」に基づき、障害者福祉の充実に向け、各事業を推進しています。 一方、平成15年度に支援費制度が導入された後、平成18年4月には「障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)」が一部施行(本施行は同年10月)され、障害者を取り巻く環境が大きく変化しました。墨田区ではこうした動向を踏まえ、平成18年度に墨田区障害福祉計画を策定し、障害福祉サービスの安定かつ円滑な提供を図る体制づくりを進めてきました。現在、平成27年度から29年度までの3か年を計画期間とする「墨田区障害福祉計画(第4期)」に基づき、各サービスの必要量を適切に見込み、その確保を図っています。 また、国連の「障害者の権利に関する条約」の趣旨に沿った障害者施策の推進を図るため、平成23年8月「障害者基本法」が改正され、障害者の自立と社会参加を促すための法整備が進んでいます。さらに、平成24年10月には「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)」が施行され、虐待の防止と早期発見、虐待を受けた障害者の保護と自立を

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図る取組が始まりました。また、平成25年6月「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」が大幅に改正され、雇用分野における障害者に対する差別の禁止が定められたほか、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が制定(平成28年4月施行)されました。 障害者差別解消法では、行政機関等や事業者による障害を理由とする不当な差別的な扱いが禁止されているほか、社会的障壁(バリア)を取り除くための必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備に努めることが求められています。さらに、障害のある人から何らかの配慮を求められた場合、負担が過重でないときは、必要かつ合理的な配慮を行うことが求められています。 なお、平成26年1月に国は、「障害者の権利に関する条約」を批准し、同年2月に発効しています。

(2)課題 障害者を取巻く社会環境としては、障害の発生原因や症状への理解不足からくる障害者への偏見や差別意識、物理的・制度的なバリアフリーの未整備などによって、障害者が不利益を被ったり、各種行事への参加が消極的になることがあり、障害者の自立や社会参加を妨げる要因となっています。障害者が安心して生活を送ることができる社会にするためには、障害者一人ひとりの人権が尊重されるとともに、その権利・利益が擁護されなければなりません。 そのためには、「障害者差別解消法」の理念に基づき、物理的バリアや心のバリア、さらに、制度・慣行的なバリアや情報面のバリアを取り除き、障害者に関わる区民や事業者に対し、障害や障害者についての正しい理解と知識の普及を広め、ノーマライゼーションの一層の浸透を図る必要があります。 また、学校、地域、職場などにおいて、区民一人ひとりが障害者を良きパートナーとして受け入れ、正しい理解をもって障害者の社会参加を支援することができるよう、障害者の人権に関する教育や啓発を推進する必要があります。 さらに障害者が安心して暮らせるように、障害者の人権と権利擁護を目的とする日常生活自立支援事業や成年後見制度については、日常的な相談・援助、財産の保全・管理等のサービスを通した広報活動を行い、その普及を図っていく必要があります。

◇ 障害者の人権を守るために実施すべきこと

 障害者の人権を守るために実施すべきことは、「障害者への理解を深めるための教育や意識

啓発を進める」が51.8%で最も高く、以下「雇用促進など就労の環境整備を行う」(44.6%)、

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「障害者が使いやすいように、バリアフリーの環境整備を行う」(31.8%)、「医療・福祉サー

ビスを充実させる」(28.7%)の順で続いています。

� ※n=調査回答数

� <平成26年度墨田区人権に関する意識調査より>

(3)施策

施策内容

● すみだスマイル・フェスティバルの実施� 【障害者福祉課 観点Ⅰ・Ⅲ】● 障害者ふれあいバザーの開催� 【障害者福祉課 観点Ⅰ・Ⅲ】● 区民、区内事業者を対象にした障害者差別解消法に係る啓発の実施� 【障害者福祉課 観点Ⅰ・Ⅲ】● 職員対応要領に基づく障害者差別解消法に係る研修及び啓発の実施� 【障害者福祉課 観点Ⅰ】● ヘルプカードの周知・配布 ・ 必要な支援内容等が記載された「ヘルプカード」の周知と配布� 【障害者福祉課 観点Ⅰ】● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課等 観点Ⅰ】● 障害者虐待防止センターの運営(障害者虐待相談窓口24時間対応)� 【障害者福祉課 観点Ⅱ】● 墨田区地域自立支援協議会の開催� 【障害者福祉課 観点Ⅲ・Ⅳ】

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6 インターネット上の人権問題(1)現状 現代社会はインターネット社会と呼ばれ、パソコンだけではなくスマートフォンやタブレット端末など通信機器が急速に普及したことにより、いつでもどこでもインターネットに接続できるようになっています。また、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)や動画共有サイト等のソーシャルメディアの利用者も急増しています。 しかし、このような機器の利便性や情報が瞬時かつ広範に伝わるといったメディアの特性、情報発信の容易さ、匿名性等から、インターネット上でのプライバシーの侵害や名誉毀損等の人権侵害が頻繁に発生し、社会的に大きな影響を及ぼしています。例えば、インターネット掲示板への個人情報の掲載などによるプライバシーの侵害、特定の個人を対象とした誹謗・中傷や差別的な表現の書込み、保護者や教員の知らない非公式サイト等での子ども同士のいじめ等のほか、未成年者がインターネットを通じた誘い出しにより性的被害や暴力行為に遭うなど犯罪に巻き込まれるという事例も発生しています。 さらに、インターネットを通じたセクシュアル・ハラスメントやパワー・ハラスメント、同和問題や外国人、障害者等に関する差別的な書込み等も深刻な問題となっています。 平成14年5月に施行された「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)」に基づき、プロバイダ等に対してインターネット上の書込みの削除や書込みをした者の情報開示を求めることができますが、最近では、他人になりすましたり、プロバイダを特定できない形で書き込んだりするなど、手段が悪質かつ巧妙化しています。また、平成17年4月「個人情報保護に関する法律」が全面施行され、情報管理体制の強化が求められています。

(2)課題 区民一人ひとりがインターネットの利点と問題点を正しく理解し、人権を侵害する情報をインターネット上に掲載しないように啓発していくことが必要です。インターネット上には、差別的表現等に加え、児童ポルノや出会い系サイトなど性犯罪などにつながる情報が掲載されています。こうした人権侵害に対しては「絶対に許さない」といった態度で望む必要があります。 また、児童・生徒に対しては、インターネットに関する正しい使い方を理解させる必要があります。インターネットは、私たちの生活を豊かで便利なものにしてくれる道具ですが、使い方を間違えると、誰かを傷つけたり、犯罪などのトラ

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ブルに巻き込まれたりする危険もあり、利用依存度が高くなると、場合によっては、日常生活に支障をきたす恐れもあります。こういった情報化がもたらす社会的影響について周知し、情報の収集や発信における個人の責任やモラルについて理解させるための教育が必要となります。

◇ インターネットによる人権侵害を防ぐために必要なこと

 インターネットによる人権侵害を防ぐために必要なことは、「インターネットを悪用した人

権侵害に関し、発信者の罰則を規定した法整備を行う」(64.2%)と「プロバイダに対する『プ

ロバイダ責任制限法』を見直し、人権侵害にあたる情報の停止や削除を求めた場合は、すぐ

対応できるように強化する」(63.7%)が、いずれも6割を超えて、特に高くなっています。

� ※n=調査回答数

� <平成26年度墨田区人権に関する意識調査より>

(3)施策

施策内容

● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● �家庭教育パンフレット「おやこいっしょに(小学校低学年用:1~3年生・高学年用:4~6年生、中学生用)」による啓発

 ・ ネット依存、ネットいじめ、フィルタリング等の注意喚起の掲載� 【生涯学習課 観点Ⅰ】

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7 外国人の人権問題(1)現状 国際化が急速に進展した1980年代以降、アジア諸国を中心に多くの外国人が来日するようになりました。墨田区においても、外国人住民数は増加し、平成27年5月に1万人を超え、区民のおよそ25人に1人が外国人となっています。 このような状況の下、言語、文化、宗教、生活習慣等の違いやこれらへの無理解から、外国人に対する差別や偏見が後を絶ちません。 例えば、外国人ということだけの理由で、アパート・マンションへの入居や商店への入店を断る、就職に関し不合理な扱いをする等の事例が見られます。また、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的な言動がいわゆるヘイトスピーチとして社会的問題となっています。 墨田区では、外国人が、このような差別や偏見、不利益にあわないよう、お互いに人権意識を醸成し、文化交流や地域交流などにより、豊かな地域社会づくりを進めるため、平成4年度の「墨田区国際交流推進検討委員会答申」に基づき、人と人との交流を基本に国際交流を推進してきました。 一方、国においても平成18年3月「多文化共生推進プログラムの提言」が総務省から公表され、地域における多文化共生※を推進するための課題と取組が示されました。同年9月には、墨田区においても区内の外国人支援ボランティア団体等で構成する「墨田区国際化推進クラブ」が設立され、現在、区と協働しながら外国人に日本語を教えるボランティアの養成や外国人のためのリレー専門家相談会など、各種事業を積極的に展開しています。

※ 多文化共生の定義 � 国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと。  (総務省「多文化共生推進プログラムの提言」より抜粋)

(2)課題 外国人にも暮らしやすいまちづくりを進めるためには、多文化共生推進のための環境整備などの取組をより一層進めていくことが必要となります。 また、外国人が安全に安心して生活できるよう、行政サービスや生活相談の充実、わかりやすい情報提供に努めていく必要があります。

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◇ 日本に居住している外国人の人権を守るために実施すべきこと

 日本に居住している外国人の人権を守るために必要なことは、「互いの風習や習慣について

理解を深める」が60.1%で最も高く、以下「地域社会の活動に外国人の参加を促すなど日本人

と外国人との交流の機会を増やしていく」(42.0%)、「外国人に対する各種相談を充実させる」

(32.2%)の順で続いています。

� ※n=調査回答数

� <平成26年度墨田区人権に関する意識調査より>

(3)施策

施策内容

● 国際化推進事業 ・ 国際化推進ボランティア研修会の実施� 【文化振興課 観点Ⅰ・Ⅲ】 ・ 日本語ボランティア養成講座の実施� 【文化振興課 観点Ⅰ・Ⅲ】 ・ 日本文化体験事業の実施� 【文化振興課 観点Ⅱ・Ⅲ】 ・ 外国人のための防災訓練の実施� 【文化振興課 観点Ⅱ・Ⅲ】 ・ 国際交流プログラムへの支援� 【文化振興課 観点Ⅱ・Ⅲ】 ・ 外国人のためのリレー専門家相談会の実施� 【文化振興課 観点Ⅱ・Ⅲ】● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課等 観点Ⅰ】● 外国語による生活情報等の提供� 【窓口課、文化振興課等 観点Ⅱ】

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8 HIV感染者・ハンセン病等の人権問題(1)現状 HIV(エイズ・ウイルス)感染者、ハンセン病等については、医療技術の進歩や医療体制の整備が進んでいる一方、今なお、感染症に関しての正しい知識と理解が十分に普及していないために、HIV感染者、エイズ患者、ハンセン病回復者やその家族に対する偏見や差別意識が生まれ、さまざまな人権問題が生じています。 特にエイズ(AIDS)は、昭和56年にアメリカで最初の症例が報告されて以来、その広がりは世界的に深刻で、世界保健機構(WHO)は昭和63年に「世界エイズデー」を定め、啓発活動を実施しています。感染ルートとして、性行為を介する経路、血液を介する経路、母子感染の3つの経路がありますが、感染力は非常に弱く、正しい知識に基づいて通常の日常生活を送る限り感染することはありません。 しかし、正しい知識や理解の不足から、差別や偏見も見受けられ、感染者であることがわかると、退職を余儀なくされたり、施設の通所・入所や訪問介護などを拒否されたりする場合があります。 墨田区では、HIV感染のまん延を防止するため、さまざまな機会をとらえ、予防に関する正しい知識の普及啓発を行うとともに、保健センターでは随時電話や来所による相談を行っているほか、月1回、本所保健センターでの相談・HIV抗体検査・カウンセリングを行っています。さらに、平成15年から世界エイズデーの12月1日を中心とした取組として、HIV即日抗体検査を実施しています。 一方、ハンセン病は、らい菌による感染症で感染力は弱く、現在は外来治療だけで確実に治癒します。しかし、かつては不治の病あるいは遺伝病と考えられ、施設入所を強制する隔離政策がとられてきました。その後、ハンセン病に対する認識の誤りが明白となり、平成8年「らい予防法の廃止に関する法律」が施行され、隔離政策は終結しました。しかし、療養所入所者の多くは、これまでの長期間にわたる隔離などにより、家族や親族などとの関係を絶たれ、また、入所者自身の高齢化等により、病気が完治した後も療養所に残らざるを得ないなど、社会復帰が困難な状況にあります。 このような中、平成13年にはハンセン病患者に対する国の損害賠償責任を認める判決が下され、平成20年6月「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律(ハンセン病問題基本法)」が成立し、国に入居者等への医療体制の整備や、社会復帰の支援、名誉回復の措置などを義務付けるとともに、入所者の良好な生活環境の確保を図るため、入所者の意見を尊重した上で、療養所の施設や土地を自

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Page 23: 第2章 人権問題の現状・課題・施策€¦ · 同和問題についての周知状況/同和問題解決のための今後の取り組み 日本の社会に同和問題(部落差別)とい

治体や地域住民が利用できるようになりました。 現在、患者や回復者の名誉回復の取組とともに、療養所における地域交流も行われていますが、ハンセン病に対する偏見や差別意識には根強いものがあり、患者や回復者に対する宿泊拒否や嫌がらせなどの問題が起きています。

(2)課題 HIV感染者やエイズ患者、ハンセン病回復者、さらにその家族に対する偏見や差別、人権侵害の多くは、不正確な医学的知識や思い込みによる過度の危機意識から生まれます。 感染者や患者については、医学的な対応と同時に、区民一人ひとりがこれら感染症に対する正しい理解と認識を深め、偏見や差別意識の解消に努めていくことが求められています。 このようなことから、今後も、これら感染症の患者等の人権を尊重するという視点にたち、関係行政機関や民間団体等とも連携しつつ、学校、家庭、地域、職場等のあらゆる場において、人権教育・啓発の取組を進めていく必要があります。

◇ エイズ患者やHIV感染者の人権を守るために実施すべきこと

 エイズ患者・HIV感染者の人権を守るために必要なことは、「エイズについての正確な知識

を学び、偏見や差別の解消に努める」が62.3%で最も高く、以下「患者や感染者のプライバシー

を保護する」(44.6%)、「保健所、医療機関における相談・指導や検査・治療体制を充実する」

(38.2%)、「学校でエイズへの偏見や差別をなくすための教育を行う」(31.8%)の順で続い

ています。

� ※n=調査回答数

� <平成26年度墨田区人権に関する意識調査より>

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(3)施策

施策内容

● エイズ予防研修会の実施 ・ �関係者を対象に、エイズの正しい知識と理解を普及させ、エイズとともに生きることをテーマとした研修会の実施

� 【保健予防課 観点Ⅰ・Ⅲ】● エイズ予防啓発冊子の配布 ・ 国や東京都が作成した冊子等の配布� 【保健予防課 観点Ⅰ】● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課等 観点Ⅰ】● エイズ相談・HIV抗体検査の実施 ・ �エイズの早期発見及びまん延防止を目的にした電話相談、来所相談、抗体検査、カウンセリングの無料実施

� 【保健予防課 観点Ⅱ・Ⅲ】

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9 さまざまな人権問題(1)犯罪被害者やその家族の人権問題  ア 現状と課題

 犯罪被害者とその家族は、生命を奪われる、けがを負わされる、財産を失うなどの直接的な被害を受けるだけでなく、事件後に生じる二次的被害といわれるさまざまな問題に苦しめられます。具体的には、被害に遭ったことによる身体の不調、捜査・裁判に関わることによる精神的・時間的負担、周囲の心ないうわさや中傷、マスメディアによる無理解な対応や過剰な報道によるプライバシーの侵害などです。また、生計者を失うことで収入が少なくなり、生活が苦しくなった遺族もいます。 国は、平成16年12月「犯罪被害者等基本法」を制定し、犯罪被害者の権利利益の保護と支援を明文化し、施策を推進するため、平成17年12月「犯罪被害者等基本計画」、平成23年3月「第2次犯罪被害者等基本計画」を策定しました。東京都においても、平成20年1月「東京都犯罪被害者等支援推進計画」、平成23年1月「東京都犯罪被害者等支援計画」を策定し、公益社団法人被害者支援都民センターと協働で総合窓口を運営するなど、さまざまな支援策を実施しています。 今後、犯罪被害者等の人権擁護に向けて、支援・啓発活動を推進していく必要があります。

◇ 犯罪被害者やその家族の人権侵害についての問題点

 犯罪被害者やその家族の人権侵害の問題としては、「メディアの過剰な取材などによる私生活の平

穏やプライバシーの侵害があること」が57.6%で最も高く、以下「犯罪被害により家族を失って、精

神的苦痛や経済的負担が大きいこと」(50.3%)、「警察に相談しても期待どおりの結果が得られない

こと」(44.2%)、「事件に関する周囲からの中傷やうわさ話があること」(35.3%)の順で続いています。

� ※n=調査回答数

� <平成26年度墨田区人権に関する意識調査より>

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  イ 施策

施策内容

● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】

(2)企業における人権問題  ア 現状と課題

 人権は生活のあらゆる場で尊重されなければなりません。しかし、私たちが働く企業や職場の中で人権を侵害する事例があります。 例えば、相手方の意に反する性的な言動などによるセクシュアル・ハラスメント、また、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に職務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるパワー・ハラスメント、妊娠・出産、育児休業等を理由として解雇、不利益な異動、減給、降格など不利益な扱いを行うマタニティ・ハラスメントがあります。このような行為は働く環境を悪化させ、あるいは雇用や精神面での不安を与え、人格と尊厳を傷つける行為です。 また、採用選考においても本人の意欲・能力等に関係のない出生地や家庭環境などの身元調査により不公正な選考を行っている事例も報告されています。その他にも男女の賃金・昇給等の格差問題や雇用における人権問題があり、その解決が重要な課題となっています。 今日の企業には、社会的責任や社会貢献が重要視されていることから、人権問題についての従業員研修の実施及び地域における人権啓発活動や各種事業等への参加・協力など、人権意識の高揚のための取組が求められています。

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  イ 施策

施策内容

● 民間団体向け研修会 ・ 区内企業等からの要請による研修講師の派遣等� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ・Ⅲ】● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】

(3)路上生活者の人権問題  ア 現状と課題

 失業や家庭問題などさまざまな事情により、自立の意思がありながら特定の住居を持たずに野宿生活を余儀なくされている路上生活者(ホームレス)がいます。路上生活者の中には医療にもかかれず、十分な食事をとることができないなど、憲法で保障された健康で文化的な生活を送ることができない人もいます。 こうした路上生活者と地域社会との間にあつれきが生じ、偏見や差別の対象となることも少なくなく、路上生活者へのいやがらせや暴力事件などの人権侵害も発生しています。 路上生活者の問題を解決するため、国は平成14年8月「ホームレスの自立支援等に関する特別措置法(ホームレス支援法)」、平成20年7月「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」を制定しました。墨田区も平成16年には区内全域にわたる実態調査を行い、その結果を基に平成17年3月「ホームレス自立支援等に関する墨田区実施計画」を策定し、支援の取組を実施しています。 厚生労働省が実施した「ホームレスの実態に関する全国調査」によれば、東京23区内で起居している路上生活者の数は、年々減少しています。墨田区においても、この間に実施した自立支援策の効果により、その数は減少していますが、今でも多くの人が路上生活を余儀なくされている現状があります。また、路上生活者に対する理解は十分とは言えず、偏見や蔑視から差別を生むなどの社会問題となっています。 路上生活者の置かれている状況や自立支援の必要性について理解を深め、偏見や差別をなくし、社会的に弱い立場にいる人を支えていくことが大切です。

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  イ 施策

施策内容

● �「路上生活者への偏見・差別の解消を図るための取組に関する基本方針」の作成と取組の実施

� 【指導室 観点Ⅰ・Ⅳ】● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課等 観点Ⅰ】

(4)アイヌの人々の人権問題  ア 現状と課題

 アイヌの人々は、古くから北海道を中心とした地域に居住し、自然と共生しながら、自然の恵みに感謝し、人間を深く愛し、独自の平和な生活と文化を築き上げてきました。アイヌの人々が、憲法の下で平等を保障された国民として、その人権が擁護されなければならないのは当然のことです。しかし、アイヌの人々に対する理解が十分でないため、進学や就職、結婚などで差別や偏見が依然として存在しています。また、アイヌ民族固有の文化や伝統も多く失われてきました。 これに対し、アイヌ民族の正当な地位を築こうという気運が高まり、平成9年には、アイヌ文化を振興し、伝統の普及を目的とした「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(アイヌ文化振興法)」が成立しました。そして平成19年9月「先住民族の権利に関する国連宣言(先住民族権利宣言)」が国連総会で採択されたことを踏まえ、平成20年6月「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が国会で採択され、政府が初めて、アイヌの人々を先住民であると認めました。アイヌ民族の歴史や伝統、文化の理解と共有が求められています。

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  イ 施策

施策内容

● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課等 観点Ⅰ】

(5)北朝鮮当局による拉致問題  ア 現状と課題

 平成14年9月17日の日朝首脳会談で、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は、長年否定していた日本人の拉致を認め、謝罪し、再発の防止を約束しました。これまで拉致被害者5人の帰国が実現していますが、まだ帰国されていない拉致被害者については、十分な情報は提供されておらず、いまだ安否が確認されていません。平成18年6月「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」が施行されました。これにより、拉致問題に関する国民の認識を深めるとともに、国際社会と連携しつつ拉致問題の実態を解明し、その抑止を図ることが国及び地方公共団体の責任として定められました。また、国は、平成21年に「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(強制失踪条約)」を締結しています。 拉致問題の実態が明らかになってからは、国内在住の韓国・朝鮮籍の人への嫌がらせなどの人権侵害が発生しています。 我が国の国民的課題であるこの問題について、正しい理解と認識を深めていくことが大切です。

  イ 施策

施策内容

● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】

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(6)刑を終えて出所した人の人権問題  ア 現状と課題

 刑を終えて出所した人に対しては、周囲に根強い偏見や差別意識があり、住居の確保や就職が困難であったり、悪意のある噂が流されるなどの問題が起きており、社会復帰を目指す人にとって現実は極めて厳しい状況にあります。また、家族に対する偏見や差別もあります。 刑を終えて出所した人が真に更生し、社会の一員として円滑な社会生活を営むことができるようにするためには、被害者の立場にも十分配慮しながら、本人の強い更生意欲とともに、家族、職場、地域社会など周囲の人々の理解と協力が必要です。

  イ 施策

施策内容

● 保護司活動の支援 ・ 社会を明るくする運動への支援� 【生涯学習課 観点Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ】● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課等 観点Ⅰ】

(7)性的マイノリティ(性同一性障害・性的指向)の人の人権問題  ア 現状と課題

 性同一性障害は、生物学的な性(からだの性)と性の自己意識(こころの性)が一致しないため、社会生活に支障がある状態を言い、国際疾病分類では疾病として認められていますが、社会では十分認識されていません。性同一性障害の人々に対して、思い込みから、偏見、いやがらせ、侮辱、雇用における制限・差別などが発生しています。平成16年7月「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行され、一定の法的要件を満たした申請者には、戸籍上の性別変更が認められるようになりました。 また、異性愛者以外の性的指向を持つ人々は、少数派であるため興味本位で見られるなど、偏見や差別を形作る原因になっています。日常生活にある、こうした偏見や差別により、社会のさまざまな面で、人権に関わる問題も発生しています。 性に対する理解とあり方の多様性を認め、偏見にとらわれない対応が必要です。

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  イ 施策

施策内容

● 申請書等の性別欄の記載についての配慮� 【関係各課 観点Ⅰ・Ⅳ】● 教職員向け研修会の実施� 【指導室 観点Ⅰ】● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課等 観点Ⅰ】

(8)中国残留邦人等の人権問題  ア 現状と課題

 中国残留邦人とは、第二次世界大戦敗戦前後の混乱により、中国から日本に引き揚げることができずに、引き続き日本以外の地域に居住することを余儀なくされ、肉親と離別して孤児となり中国の養父母に育てられるなどして、やむなく中国に残ることとなった人々です。 このような人々が、日本に帰国してからも、日本語がうまく話せないことや生活習慣の違いなどで社会から阻害され、苦しい生活を強いられる人もいます。 こうした人々が、地域社会で安心して生活できるよう、平成6年4月「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成25年12月題名改正)」が制定され、さまざまな支援が求められています。

  イ 施策

施策内容

● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】

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(9)災害時における人権問題  ア 現状と課題

 東日本大震災は、東北地方を中心とした東日本に甚大な被害をもたらしました。現在も、多くの人々が避難生活を余儀なくされています。また、地震と津波に伴い発生した福島第一原子力発電所事故により避難された人々に対し、風評による心ない嫌がらせ等も発生しました。 また、避難所等では、男女共同参画の視点に欠ける部分があり、さまざまな支障があったことが指摘されています。プライバシーの確保のほか、子ども、女性、障害者、高齢者、外国人など災害の被害を受けやすい人々への配慮も求められています。 そこで、区では、平成26年に開催した「女性の防災対策懇談会」の提言に基づき、さまざまな立場の人に配慮した防災対策を行うこととしています。

◇ 災害発生時における人権問題

 地震などの災害が起きた場合の人権問題としては、「避難生活でプライバシーが守られない

こと」が55.1%で最も高く、以下「要支援者に対して、十分な配慮が行き届かないこと」

(50.6%)、「被災者が求める支援や被災状況などの必要な情報が行き届かないこと」(47.5%)、

「避難生活の長期化によるストレスから嫌がらせやいさかいが生じること」(36.6%)の順で続

いています。

� ※n=調査回答数

� <平成26年度墨田区人権に関する意識調査より>

� ※「要支援者」は「要配慮者」に名称変更

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  イ 施策

施策内容

● 町会・自治会等に対する講演会等の開催 ・ 住民防災組織育成研修会� 【防災課 観点Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ】● 男女共同参画の視点からの防災対策 ・ 女性の防災行動力向上講座等の開催 ・ 男女共同参画視点の防災パネル及び災害備蓄品の啓発展示 ・ 男女共同参画の視点からの避難所マニュアルの改訂� 【人権同和・男女共同参画課、防災課 観点Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ】● 外国語で書かれた防災マップ等の配布� 【防災課 観点Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ】● 啓発冊子の配布、啓発ポスターの掲示� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅰ】● 広報紙による啓発 ・ 人権コラム、人権特集の掲載� 【人権同和・男女共同参画課等 観点Ⅰ】● 災害時における人権、女性に関する相談の実施� 【人権同和・男女共同参画課 観点Ⅱ・Ⅲ】● 女性や要配慮者に配慮した備蓄物資の充実� 【防災課 観点Ⅱ・Ⅲ】

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