第1章 計数値の検定・推定 - Mie...

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12-1-1 12 第1章 計数値の検定・推定 ここでは不良率や欠点数などの計数値のデータを取り扱います.不良率は「n個の製品をランダムに選 んだとき,そのうち何個が不良品だったか」,欠点数は「1製品中にきずがいくつ見つかったか」などを示 すデータですが,検定や推定にあたってそれぞれ二項分布や,ポアソン分布を想定します. ■機能構成 ここでは 5 種類の検定・推定を用意しており,検定・推定の種類を選択すると仮説の条件設定,区間推 定の信頼率の選択,近似法などを順次指定することで,きめ細かな検定と推定を行うことができます. ■用語説明 「帰無仮説」 「母不良率に関する検定・推定」や「母欠点数に関する検定・推定」では,該当する母不良率や母欠 点数を入力します. 「対立仮説」 あってほしい狙いを,母不良率P(母欠点数λ)と指定された値P 0 (λ 0 )との条件式(≠,>,<)で指定 します.デフォルトでは両側仮説(P≠P 0 )となっています. 「区間推定の信頼率」 区間推定の信頼率(95%,90%)を指定します. 「近似方法」 各検定と推定を行う際には,正規近似法の種類を選択します.検定・推定の種類によって選択できる 正規近似法の種類が異なります. 検定と推定の種類 正規近似法 母不良率に関する検定・推定 逆正弦変換 ロジット変換 母不良率の差に関する検定・推定 逆正弦変換 ロジット変換…区間推定は直接近似による 母欠点数に関する検定・推定 平方根変換 対数変換 母欠点数の差に関する検定・推定 対数変換…区間推定は直接近似による m*n 分割表による検定 独立性の検定(カイ二乗統計量) 計数値の 検定・推定 検定と推定の 結果 検定のパラ メータを設定 検定・推定の 種類選択 母不良率 母不良率の差 母欠点数 母欠点数の差 m×n分割表 *1 ・仮説の選択 ・区間推定の信頼率の選択 ・近似方法 注*1)m×n 分割表ではまず変数の指定画面が表示されるので,分割表のデータ範 囲の n 個の量的変数を指定します.

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計数値の検定・推定

第1章

PART

12

第1章

第1章 計数値の検定・推定

ここでは不良率や欠点数などの計数値のデータを取り扱います.不良率は「n個の製品をランダムに選

んだとき,そのうち何個が不良品だったか」,欠点数は「1製品中にきずがいくつ見つかったか」などを示

すデータですが,検定や推定にあたってそれぞれ二項分布や,ポアソン分布を想定します.

■機能構成

ここでは 5 種類の検定・推定を用意しており,検定・推定の種類を選択すると仮説の条件設定,区間推

定の信頼率の選択,近似法などを順次指定することで,きめ細かな検定と推定を行うことができます.

■用語説明

「帰無仮説」 「母不良率に関する検定・推定」や「母欠点数に関する検定・推定」では,該当する母不良率や母欠

点数を入力します.

「対立仮説」 あってほしい狙いを,母不良率P(母欠点数λ)と指定された値P0(λ0)との条件式(≠,>,<)で指定

します.デフォルトでは両側仮説(P≠P0)となっています.

「区間推定の信頼率」 区間推定の信頼率(95%,90%)を指定します.

「近似方法」 各検定と推定を行う際には,正規近似法の種類を選択します.検定・推定の種類によって選択できる

正規近似法の種類が異なります.

検定と推定の種類 正規近似法

母不良率に関する検定・推定 逆正弦変換

ロジット変換

母不良率の差に関する検定・推定 逆正弦変換

ロジット変換…区間推定は直接近似による

母欠点数に関する検定・推定 平方根変換

対数変換

母欠点数の差に関する検定・推定 対数変換…区間推定は直接近似による

m*n分割表による検定 独立性の検定(カイ二乗統計量)

計数値の検定・推定

検定と推定の結果

検定のパラメータを設定

検定・推定の種類選択

母不良率母不良率の差母欠点数母欠点数の差m×n分割表 *1

・仮説の選択・区間推定の信頼率の選択・近似方法

注*1)m×n分割表ではまず変数の指定画面が表示するので,ここで分割表の列 (n個の量的変数)を指定する必要があります.

注*1)m×n 分割表ではまず変数の指定画面が表示されるので,分割表のデータ範

囲の n個の量的変数を指定します.

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変数

サンプル

X1

[量的変数]

X2

[量的変数]

[量的変数]

[量的変数]

1

2

3

34

47

34

32

45

35

ただし,サンプル数と変数には制限があります.

2≦n(変数の数)≦20,2≦m(サンプル数)≦20 となっています.

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計数値の検定・推定

第1章

PART

12

第1章

1-1.母不良率に関する検定・推定

■目的

入力された試料個数と不良個数により不良率を求め,従来の不良率と違いがあるか否かの検定・推定

を行います.

■活用場面

あるパッケージを好む人の割合が従来は 20%だった.新たにデザインを刷新することになり,

実施後アンケートをとったが,従来と比べて良くなったかどうかを検証する. 等

1.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[母不良率]

1.2 検定・推定条件の指定

まず画面上の「帰無仮説」に母不良率を入力し,

画面中央の「対立仮説」(ありたい姿)と「区間推

定の信頼率」(社内の基準値や客観的な判断ができ

るレベルなど)にそれぞれ条件を設定します.画

面の下には,「近似方法」と検定を行う対象となる

試料個数と不良個数をそれぞれ指定します.(最近

は加法性に優れたロジット変換を選ぶことが多い

です.)入力位置にマウスを移動し,入力を行いま

す.

母不良率,試料個数,不良個数には制限があり

ます.

母不良率(P0) :0.0<P0<1.0

不良個数(r) :n-r>0

なお,試料個数(n)と母不良率(P0)の積が5以下と

なると,正規近似とならないため,この積が5より大き

い値とすることを推奨します.

入力を中止したい場合は,[キャンセル]ボタンをクリ

ックします.

1.3 検定結果の確認

各項目の入力を終了し,[OK]ボタンをクリックす

ると下図のような検定結果が表示されます.

母不良率,試料個数,不良個数,および計算した

不良率(不良個数/試料個数)と不良率の信頼区間

が表示されます.

画面下には,有意水準1%と5%での検定結果が

表示されます.また,統計量u0 の確率値を計算し表

示します.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 棄却されたかどう

P値

■解釈のポイント

帰無仮説が棄却されたことで,対立仮説が採択

されました.すなわち不良率は変化したと判断さ

れます.本例では母不良率 0.900に対して,点推

定値で 0.057,95%信頼区間で 0.035~0.087 とな

ったので,5%有意で不良率は減少しました.

1-1. 母不良率に関する検定・推定

12-1-4

1-2.母不良率の差に関する検定・推定

■目的

2つの母集団よりそれぞれ不良率を求め,その差に違いがあるかどうか検定・推定を行います.

■活用場面

右ハンドルと左ハンドルの両方が生産されているラインでクラッチ不良率に差があるかどうかを検証す

る. 等

2.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[母不良率の差]

2.2 検定・推定条件の指定

2つの比較したい母集団がある場合,まず,画面

左中央の「対立仮説」で仮説を設定し、画面左下

の「試料個数」と「不良個数」に比較したい 2つ

の母集団からの試料個数と不良個数を入力します.

また,画面の右側には「区間推定の信頼率」や「近

似方法」があり,それぞれについて設定します.

区間推定の信頼率,対立仮説として「ありたい姿」

を指定します.

なお,初期設定では近似法は逆正弦変換となって

います.

2 組の母集団についてそれぞれ試料個数,不良

個数には制限があります.

試料個数A(nA):nA>5

不良個数A(rA):nA-rA>5

試料個数B(nB):nB>5

不良個数B(rB):nB-rB>5

入力を中止したい場合は,[キャンセル]ボタン

をクリックします.

2.3 検定結果の確認

各項目の設定が終了したら,[OK]ボタンをクリッ

クすると下図のような検定結果が表示されます.

Aと B,2組の母集団について試料個数,不良個

数,そして2組の不良率より求めた不良率の差の信

頼区間を表示します.

画面下には,有意水準1%と5%の検定結果が表

示されます.また,検定統計量u0 の確率値を計算し

表示します.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 棄却されたかどう

P値

■解釈のポイント

2つの母集団 A,Bの不良率は有意水準 5%で棄却

されなかったので,差があるとはいえないことが

わかりました.そのため,原因調査と対策を考え

る必要があります.

1-2. 母不良率の差に関する検定・推定

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計数値の検定・推定

第1章

PART

12

第1章

1-3.母欠点数に関する検定・推定

■目的

入力された単位数と総欠点数より単位あたりの欠点数を求め,それが従来の欠点数と比較して違いがあるか否

か検定・推定を行います.

■活用場面

ある機械の一日の故障停止回数が平均して10回であった.停止回数を減らすために調整を行った結果調整

後の停止回数が調整前の回数に対して減ったかどうかを検証する. 等

3.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[母欠点数]

3.2 検定・推定条件の指定

画面上の「帰無仮説」で従来の単位あたりの欠点

数を入力し,「区間推定の信頼率」で信頼率を設定し

ます.画面中央の「対立仮説」にありたい姿を条件式

で指定し,「近似方法」を選びます.画面左下には調

査期間内で収集した単位数と総欠点数をそれぞれ

入力します.

なお,初期設定では近似法は平方根変換となっ

ています.

単位数(n),単位当り母欠点数(λ0)の制限は

以下のようになります.

単位数(n) :n>0.0

単位当り母欠点数(λ0) :λ0>4(平方根変換)

:λ0>1(対数変換)

入力を途中で中止したい場合は,[キャンセル]ボ

タンをクリックします.

3.3 検定結果の確認

各項目の設定が終了したら,[OK]ボタンをクリッ

クすると検定結果が表示されます.

単位当り母欠点数λ0,単位数 n,総欠点数 xと母

欠点数の信頼区間を表示します.

画面下には,有意水準1%と5%の検定結果が表

示されます.また,統計量u0 の確率値を計算し表示

します.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 棄却されたかどう

P値

■解釈のポイント

P 値は 0.022 となり,5%より小さいので帰無仮

説は棄却され,欠点数は減少したと判断します.

1-3. 母欠点数に関する検定・推定

12-1-6

1-4.母欠点数の差に関する検定・推定

■目的

入力された2つの母集団よりそれぞれ単位あたりの欠点数を求め,その差に違いがあるか否か検定・推定を行

います.

■活用場面

あるガラス製品に含まれる気泡数が材質によって異なるかどうかを検証する. 等

4.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[母欠点数の差]

4.2 検定・推定条件の指定

2 つの母集団で欠点数に差があるかどうかを検

定します.まず,画面中央の「対立仮説」で仮説を

設定します.画面左下で比較したい母集団の「欠点

数」と「単位」を入力します.画面上部の「区間推定

の信頼率」では信頼率を選びます.

比較したい対象を選び,単位を決めます.例え

ば,板ガラスのきずを比較したいということなら

単位は板ガラス 1枚,欠点数はきずの数,単位数

は観察した板ガラス枚数 nA,nBとなります.

母集団 A,Bについて欠点数と単位の制限は以下

になります.

欠点数A(xA):xA>1

単位 A(nA):nA>0

欠点数B(xB):xB>1

単位 B(nB):nB>0

入力を中止したい場合は,[キャンセル]ボタンを

クリックします.

4.3 検定結果の確認

各項目の入力が終了したら,[OK]ボタンをクリッ

クすると下図のような検定結果が表示されます.

欠点数,単位,2組の欠点数の差と欠点数の差の

信頼区間を表示します.

画面下には,有意水準1%と5%の検定結果が表

示されます.また,統計量u0 の確率値を計算し表示

します.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 棄却されたかどう

P値

■解釈のポイント

母集団 A,B の単位あたりの欠点数について P

値が 0.000と有意水準 1%以下なので,帰無仮説は

棄却され,A,Bによって欠点数に差があると判断

されます.

1-4. 母欠点数の差に関する検定・推定

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計数値の検定・推定

第1章

PART

12

第1章

1-5.m×n分割表による検定・推定

■目的

「機械が4台あり,その製品は検査によって1級品,2級品,3級品に分けられるとする.さて,1級品,2級品,・・

の発生する割合は機械によって異なるだろうか.」このような問題を統計的に判断する場合に用いられるのが分

割表による検定です.m×nの分割表は下記のとおりです.本システムでは,変数の数にnを割当て,サンプル

数にmを割当てデータを入力します.

1 2 3 4 5 6 ・ n 計

1 13 27 29 20 ・ ・ ・ ・ ・

2 31 15 16 19 ・ ・ ・ ・ ・

3 13 21 19 ・ ・ ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

m ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

計 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

■活用場面

あるプラスチック製品を3台の成型機で製造している.成型機によって成型不良の出方が異なるかどう

かを検証する. 等

■データ入力形式

m×n分割表のデータは,3台の成型機(1,2,3)を縦に並べ,製造したプラスチック製品の成型不良「し

わ」「かけ」「凸」「凹」「歪」の不良数を成型機ごとに収集し入力します.

指定できる変数の数は最大 20,サンプル名(ここでは「成型機」)は1(0可)つです.また,サンプル数は最大

20まで,サンプル数が20を越えるデータは無視されます.なお,m×n分割表の検定結果には変数名は表側名,

サンプル名は表頭名として反映します.

5.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[m×n分割表]

変数の指定ダイアログで,サンプル名と検定・推

定対象データを選択します.

分割表の列項目を指定します.また,サンプル名

ははじめのサンプル名が初期値で設定されている

ので,必要に応じて変更します.指定が終了した

ら[次に進む]をクリックします.

5.2 検定・推定条件の指定

ここでは,どの母集団についても各クラスの発生

確率が等しい,すなわち,成型機 A,B, C あるいは

しわ,かけ,凸,凹、歪からみても,その発生確率は

等しく,2項目間には関連がなく相互に独立であるこ

とを帰無仮説として検定します.なお,欠測セルは

数値 0.0 を代入し,小数点以下は切り捨てて整数値

とします. 指定した変数によるm×n分割表のカイ2

乗検定結果を表示します.

1-5. m×n分割表による検定・推定

12-1-8

画面下には,検定結果が表示されます.帰無仮

説H0 と求めた統計量χ02,さらにχ0

2(φ,α)となる

上側確率(P値)を()内に表示します.

本システムでは,有意水準1%および5%につ

いての検定結果を表示します.指定したデータの群

に対して上側確率が有意水準αより大きい場合,つ

まり P 値が 0.01 あるいは 0.05 以上で「帰無仮説H0

は有意水準α%で棄却されない」と表示されます

(αは1%および5%).

逆に上側確率がαより小さい場合,つまり P 値が

0.01あるいは 0.05未満となると「仮説H0は有意水準

α%で棄却される」と表示されます.つまり,成型機

と成型不良項目間の2項目間には関連があり,独立

ではないことが統計的に示されたことになります.す

なわち,成型不良の出方は成型機によって異なるこ

とが明らかと判断されます.

画面上部のリストボックスで,画面中央に表示され

る表を「m×n分割表」と「規準化残差」に切り替える

ことができます.

規準化残差の2乗の総和はカイ2乗となるので,

分割表が帰無仮説から大きく外れている部分につい

ての情報を得ることができます.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 棄却されたかどう

P値

■解釈のポイント

観測度数と期待度数の差(絶対値)が大きなセ

ル(成型機と不良の組み合わせ)ほど大きく外れ

ている,つまり平均的にみて不良が多いことがわ

かります.

1-5. m×n分割表による検定・推定

12-2-1

計量値の検定・推定

PART

12

第2章

第2章 計量値の検定・推定

データを用いて統計的に推論を行う形式として,検定,推定,予測(回帰分析)の3つがあります.

検定は,データから計算される検定統計量についてある領域を設け,統計量がこの領域に入れば母集

団に関する仮説(H0)は正しくないとする形式で行われます.この領域を棄却域と呼び,仮説が正しい場

合には,ここに入る確率があらかじめ定められた小さな値になるようにしています.

確率は危険率または有意水準と呼び,αで表します.

推定は,母集団の母数の値を推測する方法で点推定と区間推定の2つの方法があります.

■機能構成

本システムでは,計量値の検定・推定に,以下の7種類を用意しています.各検定・推定の種類を選ぶ

と「仮説の設定」ダイアログが表示されます.これによって,よりきめ細かな検定と推定を行うことができま

す.

■データ入力形式

計量値の検定・推定を行う場合には,以下の入力形式に応じてワークシート上に前もってデータを入

力します.

入力形式1:特性値のみ(X1のみ)

(母分散に関する検定・推定,母平均に関する検定・推定)

変数

サンプル

X1

[量的変数]

1

2

3

4

5

34

47

34

25

15

また,2つの母分散の比に関する検定・推定,2つの母平均の差に関する検定・推定,3つ以上の母分

散の一様性に関する検定・推定について行う場合は,量的変数はシーケンスに並ぶようにデータをカテ

ゴリ番号順で入力します.

注1)母不良率に関する検定・推定と母平均に関する検定・推定は除く注2)3つ以上の母分散の一様性は除く注3)データに対応がある場合の母平均の差に関する検定・推定のみ

注2)

注3)

注1)

計量値の検定・推定

・対立仮説の選択(片側・両側)・母数の指定(母分散・母平均)・推定に使う信頼区間の指定(90%・95%)

母分散2つの母分散の比母平均2つの母平均の差データに対応がある場合の母平均の差3つ以上の母分散の一様性 折れ線

グラフ

ヒストグラム

検定と推定の結果

検定のパラメータを設定

群(層)の指定

変数の指定

検定・推定の種類選択

カテゴリ1

カテゴリ2

12-2-2

入力形式2:特性値と群分け情報(質的変数)(X1,C1)

(2つの母分散の比についての検定・推定,2つの母平均の差に関する検定・推定,3つ以上の母分散

の一様性)

変数

サンプル

X1

[量的変数]

メーカ別

[質的変数]

1

2

3

4

5

34

47

34

25

15

1

2

2

1

3

入力形式3:2つの特性値(X1,X2)

(2つの母分散の比に関する検定・推定,2つの母平均の差に関する検定・推定)

変数

サンプル

X1

[量的変数]

X2

[量的変数]

1

2

3

4

5

34

47

34

25

15

32

45

35

30

25

入力形式4:3つ以上の特性値(X1,X2,X3,…)

(3つ以上の母分散の一様性)

変数

サンプル

X1

[量的変数]

X2

[量的変数]

X3

[量的変数] ・

1

2

3

4

5

34

47

34

25

15

32

45

35

30

25

30

40

36

28

30

■変数の指定

次に,変数の指定ダイアログが表示され,解析に用いる変数を指定します.

指定できる変数は,検定と推定の種類によって以下のような制限があります.

検定・推定の種類 指定する変数の制限

対応する入力形式 量的変数 質的変数

母分散に関する検定・推定 1 0 入力形式1

2つの母分散の比についての検定・推

1

1

2

0

1

0

入力形式1

入力形式2

入力形式3

12-2-3

計量値の検定・推定

PART

12

第2章

母平均に関する検定・推定 1 0 入力形式1

2つの母平均の差に関する検定・推定 1

1

2

0

1

0

入力形式1

入力形式2

入力形式3

データに対応がある場合の母平均の

差に関する検定 2 0 入力形式3

3つ以上の母分散の一様性の検定 1

1

3~6

0

1

0

入力形式1

入力形式2

入力形式4

群が複数ある場合でも量的変数を1つだけ選ぶ場合は,群分けを行う必要

があります.また,カテゴリの種類が解析できる群の個数より多い場合など

も群分けおよび解析するカテゴリを指定する必要があります.

変数指定によって群分けの必要がない場合

(母分散に関する検定・推定,母平均に関する検定・推定) 〈量的変数1の場合〉

変数指定で量的変数を1つ選び,[次へ進む]ボタンをクリックすると,仮説の設定へ進みます.

変数指定(変数指定の組み合わせ)によって群分けの必要がある場合

(2つの母分散の比についての検定・推定,2つの母平均の差に関する検定・推定)

〈量的変数1,質的変数1の場合〉 質的変数のカテゴリ種類が3種類以上ある場合は,

右図のダイアログが表示されますので,解析に用いる

カテゴリを指定します.2種類以内の場合は,仮説の設

定へ進みます.

〈量的変数1の場合〉 右図のダイアログが表示され,時系列順に

量的変数を分割(群分け)します.第 1群と第

2群のデータ数の合計を合わせます.

右の例では 30にします.

12-2-4

(3つ以上の母分散の一様性に関する検定・推定)

〈量的変数1,質的変数1の場合〉 質的変数のカテゴリ種類が3種類より多い場合は,

右図のダイアログが表示されます.3種類の場合は,

仮説の設定へ進みます.

〈量的変数1の場合〉 下図のダイアログが表示され,時系列順に最大 6カテゴ

リまでを分割します.群ごとのデータ数の合計を実際の

データ数に合わせます.

(1)ヒストグラムの表示

解析する変数を指定後,ヒストグラムが表示されます.ここで現在入力されているデータの統計量

およびばらつきを確認することができます.

(2)検定・推定条件の指定

(「3つ以上の母分散の一様性に関する検定・推定」,「m×n分割表による検定・

指定」以外の場合)

[仮説の設定]ダイアログが表示されます.

仮説に用いる条件や条件値を指定します.

このダイアログは以下のブロックから構

成されています.

「帰無仮説」 帰無仮説では,過去の実績や設計値

などの値と,対象とする集団のパラメータが

等しくなると仮定します.「母分散に関する

検定・推定」,「母平均に関する検定・推定」,

「データに対応がある場合の母平均の差に関する検定・推定」の場合の帰無仮説はそれぞれ,母分散,

母平均,母平均の差を入力します.

「対立仮説」 本来ありたい姿,目的とする条件を設定します.母分散σ2(母平均μ)と検定したい対象値σ0

2(μ

0)との条件(≠,>,<)を指定します.デフォルトは,両側検定となっています.

「区間推定の信頼率」 判断できる許容レベルを設定します.区間推定の信頼率(95%,90%)を指定します.デフォルト

は 95%となっています.

12-2-5

計量値の検定・推定

PART

12

第2章

「母標準偏差」 「母平均に関する検定・推定」,「2つの母平均に関する検定・推定」の場合のみ表示されます.母

標準偏差がわかっている場合と道の場合で結果は変わります.

検定・推定を行う上で,母標準偏差があらかじめわかっているときには「既知」として値を入力しま

ずが,未知の場合にはそのままで入力しません.

2-1.母分散に関する検定・推定

■目的

母集団のばらつき,すなわち母分散が従来の値と比較して変化したか否かを検定します.指定した変

数のヒストグラムが表示されますので現在の分布状態を確認することができます.

■活用場面

精密機械の加工機を改造した場合に、改造後の寸法精度が従来と比較して向上したかどうかを

検証 等

■データ形式

収集したデータを 1列にサンプルごとに入力します.

1.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[母分散]

1.2 変数の指定

検定・推定の対象となる量的変数を指定しま

す.

1.3 検定・推定条件の指定

変数の指定で変数を選択後,「仮説の設定」ダ

イアログが表示されます.

画面左上の「帰無仮説」の「σ02=」に従来の母分

散を入力し,画面右上の「対立仮説」の条件,すなわ

ちありたい姿(どうなってほしいかの条件)を設定しま

す.また,画面左下の「区間推定の信頼率」の信頼

率を選択します.

2-1. 母分散に関する検定・推定

12-2-6

1.4 検定結果の確認

[OK]ボタンをクリックすると,指定された条件とデ

ータについて母分散に対する検定結果を右図のよう

に表示します.

検定結果は,帰無仮説がある有意水準で「棄却さ

れる」「棄却されない」といった言葉で表示されます.

画面上部には指定した変数の基本統計量(平均

値,分散,標準偏差)および自由度(φ)が表示され,

平均値,分散の信頼区間が表示されます.

画面下部には,検定結果が表示されます.帰無仮

説H0 と求めた統計量χ02,さらにχ0

2(φ,α)となる

上側確率(α)が()内に表示されます.

本システムでは,有意水準1%および5%につい

ての検定結果を表示します.指定したデータの分散

と母分散の値を比較し統計的に有意な差が認めら

れない場合は,「仮説H0 は有意水準α%で棄却さ

れない」と表示されます(αは1%および5%).

逆に統計的な差があると認められる場合には,「仮

説H0 は有意水準α%で棄却される」と表示し,対立

仮説を採択した(ありたい姿となった)ことがわかりま

す.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 棄却されたかどう

P値

■解釈のポイント

P値が 0.01あるいは 0.05以下となった場合,

帰無仮説が棄却され,対立仮説が採択されたと判

断します.

2-2.2つの母分散の比に関する検定・推定

■目的

2群のデータの母分散の比について等しいか否かの検定および推定を行います.

現在指定されている2群のデータのヒストグラムが表示され,ばらつきを視覚的に確認することができます.

■活用場面

2つの充填機の充填量のばらつきが等しいか否かを検証する 等

■データ形式

データの形式は以下の3つがあります.

・特性値のみ(1つの量的変数を2つに分割)

・特性値と群分け情報(量的変数と質的変数)

・2つの特性値変数(2つの量的変数)

2つの特性値変数の場合

2.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[2つの母分散の比]

2-1. 母分散に関する検定・推定

2-2. 2つの母分散の比に関する検定・推定

12-2-7

計量値の検定・推定

PART

12

第2章

2.2 変数の指定

検定・推定の対象となる量的変数を指定します.

変数の指定方法は以下の3つがあります.

・特性値に量的変数を1つ指定する

・特性値とカテゴリーに量的変数と質的変数

を1つずつ指定する

・特性値に量的変数を2つ指定する

ここでは,特性値に量的変数を2つ指定してい

ます.

2.3 検定・推定条件の指定

変数の指定で解析する変数を選択後,「仮説の設

定」ダイアログが表示されます.

画面右上の「対立仮説」の条件を選びます.例え

ば,溶接機 1号と溶接機 2号の母分散がどうあれば

よいかを条件式で設定します.

画面左下の「区間指定の信頼率」の信頼率を選択し

ます.

2.4 検定結果の確認

[OK]ボタンをクリックすると,2つの母分散比に関

する検定・推定を行います.画面上部と中央に,2群

のデータの各統計量(平均値,分散,標準偏差)お

よび自由度(φ)が表示され,画面下部には,検定

結果が表示されます.検定結果で,対立仮説が採択

されたかどうかを判断します.根拠はP値の値です.

帰無仮説H0 と対立仮説H1,求めた検定統計量F0 と

F0(φ1,φ2,α)となる上側確率値(α)を()内に表

示します.

有意水準1%および5%は判断を下す際の危険

率を示しています.計算した統計量が5%あるいは

1%のF値よりも大きい場合,つまり P 値が 0.05 ある

いは 0.01 以下で,仮説H0を捨てます.統計的な差

が認められた場合には,「仮説H0 は有意水準α%

で棄却される」と表示され,対立仮説を採択します.

万が一,H0が棄却されない場合は,違いがある

とはいえないので,別の溶接機を用いるか,P 値

が 0.1以下ならサンプル数を増して実験をするこ

となどを検討します.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 棄却されたかどう

P値

■解釈のポイント

P 値が有意水準値以下なら対立仮説を採択しま

す.

2-3.3つ以上の母分散の一様性に関する検定・推定

■目的

3つ以上の母分散の一様性に関する検定(Bartlettの検定)を行います.

ここでの帰無仮説は,「すべての母分散が等しい」であり,対立仮説は「k個の母分散のうち等しくないものがあ

る」となります.

変数の指定で変数選択後,カテゴリが6を越える場合にはカテゴリを指定するダイアログが表示されるので,解

析に用いるカテゴリを選択します.ただし,指定できるデータの群の数は最大6群までです.

■活用場面

3つの加工機の加工精度のばらつきが等しいか否かを検証する 等

2-2. 2つの母分散の比に関する検定・推定

2-3. 3つ以上の母分散の一様性に関する検定・推定

12-2-8

■データ形式

データの形式は以下の3つがあります.

・特性値のみ

・特性値と群分け情報(質的変数:カテゴリ数 3~6)

・3~6つの特性値

3つの特性値の場合

3.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[3つ以上の母分散の一様性]

3.2 変数の指定

検定・推定の対象となる量的変数を指定します.

変数の指定方法は以下の3つがあります.

・特性値に量的変数を1つ指定する

・特性値とカテゴリーに量的変数と質的変数

(カテゴリ数 3~6)を 1つずつ指定する

・特性値に量的変数を3~6つ指定する

ここでは,特性値に量的変数を3つ指定してい

ます.

3.3 検定結果の確認

各項目の設定が終了したら,[次へ進む]ボタンを

クリックすると検定結果が表示されます.

検定結果には,指定したn群による分散の一様性

に関する検定結果を表示します.

画面中央には,各群の平方和,自由度等の統計量

を表示します.

画面下部には,検定結果が表示されます.帰無仮

説H0 と求めた統計量χ02,さらにχ0

2(φ,α)となる

上側確率(α)を()内に表示します.

本システムでは,有意水準1%および5%につい

ての検定結果を表示します.指定した群の分散が一

様でないと判断できない場合は,「仮説H0 は有意水

準α%で棄却されない」と表示されます(αは1%お

よび5%).

逆に 3つ以上の群のうちどれか 1つでも統計的な

差が認められる場合には,「仮説H0 は有意水準

α%で棄却される」と表示されます.

本システムでは,Bartlett の方法を用いて検定を行

っています.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 棄却されたかどうか P値

■解釈のポイント

P値が 0.01以下ならば帰無仮説 H0は有意水準

1%で棄却されます.これは k個の母分散で等しく

ないものがあるというだけで,特定の組み合わせ

の分散が等しくないといっているわけではありま

せん.

2-3. 3つ以上の母分散の一様性に関する検定・推定

12-2-9

計量値の検定・推定

PART

12

第2章

2-4.母平均に関する検定・推定

■目的

設定した従来の母平均と,サンプリングされたデータの平均との差があるか否かの検定および推定を行いま

す.

母平均μの検定・推定は母集団の分散σ2が既知であるか,未知であるかによって使いわけが異なります.分

散σ2が既知である場合には,平均値の分布がN(μ,σ2/n)であることを利用し,検定統計量u

ux

nN=

- m

s /( , )~ 012

を,またσ2が未知の場合には,検定統計量 t

tx

V n=

- m

/ を用いて検定を行います.

解析したい変数を指定すると,変数のヒストグラムが表示されます.データの平均とばらつきなどを視覚的に確

認することができます.

■活用場面

瓶詰め製品の内容量が設定値の20mlからずれているか否かを検証する 等

■データ形式

データの形式は以下になります.

・1つの特性値

4.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[母平均]

2-4. 母平均に関する検定・推定

12-2-10

4.2 変数の指定

検定・推定の対象となる量的変数を指定します.

特性値に量的変数を1つ指定して,[次へ進む]

ボタンをクリックします.

4.3 検定・推定条件の指定

変数指定で変数を選択後,「仮説の設定」ダイアロ

グが表示されます.

「帰無仮説」の「(μ0= )」に母平均を入力しま

す.母平均はあらかじめわかっている値を入力しま

す.「対立仮説」の条件および画面左下の「区間推

定の信頼率」の信頼率を選択します.

基準値あるいは経験値から画面右上の母標準偏

差をあらかじめ判っている場合は,「既知」を選び母

標準偏差の値を入力します.判らないときは,「未

知」を選びます.

4.4 検定結果の確認

母標準偏差の入力において母標準偏差が判って

いる場合の検定方法と判らない場合の検定方法は

異なります.

(1)母標準偏差が判っている場合

検定に用いる統計量としてu0 を用います(正規分

布を使用).母標準偏差が判っている場合の検定結

果を下図に表示します.(母標準偏差に 5.5入力)

試験データから得られた平均値が母平均と同じであ

るかどうかは母標準偏差とデータから得られた標準

偏差を用いて判断します.

(2)母標準偏差が判らない場合

検定に用いる統計量としてt0 を用います.(t分

布を使用).母標準偏差が判らない場合の検定結果

を下図に表示します.

また,画面上には指定した変数の各統計量およ

び自由度(φ)が表示され,平均,分散に関しては仮

説の設定で選択した信頼区間が表示されます.

画面下には,検定結果が表示されます.帰無仮

説H0が棄却されるかどうかを判断します.

本システムでは,有意水準1%および5%につい

ての検定結果を表示します.いま指定したデータの

平均と母平均の値に統計的な差が認められない場

合は,「仮説H0 は有意水準α%で棄却されない」と

表示されます(αは1%および5%). 逆に統計的

な差が認められる場合には,「仮説H0 は有意水準

α%で棄却される」と表示され,対立仮説が採択さ

れます.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 棄却されたかどう

P値

■解釈のポイント

P値が 0.05もしくは 0.01以下ならば帰無仮説

H0は棄却され,対立仮説が採択されます.

2-4. 母平均に関する検定・推定

12-2-11

計量値の検定・推定

PART

12

第2章

2-5.2つの母平均の差に関する検定・推定

■目的

2群のデータの母平均が等しいか否かの検定および推定を行います.

解析したい変数を指定後,指定した変数のヒストグラムを 2つ表示します.平均値とばらつきの値を用いて平均

の違いが明らかかどうかを視覚的に確認することができます.

■活用場面

2つの工場の生産能力に差があるかどうかを,平均の差が等しいか否かで検証する 等

■データ形式

データの形式は以下の3つがあります.

・特性値のみ

・特性値と群分け情報(質的変数)

・2つの特性値

2つの特性値の場合

5.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[2つの母平均の差]

5.2 変数の指定

変数の指定ダイアログで,サンプル名と検定・

推定対象データを選択します.

変数の指定方法は以下の3つがあります.

・特性値に量的変数を1つ指定する

・特性値とカテゴリーに量的変数と質的変数

を1つずつ指定する

・特性値に量的変数を2つ指定する

ここでは,特性値に量的変数を2つ指定してい

ます.

5.3 検定・推定条件の指定

解析に用いる変数を選ぶと,次に「仮説の設定」

ダイアログが表示されます.画面右上の「対立仮説」

はありたい姿を表しており,条件式で示します.画面

右下の「区間推定の信頼率」の信頼率を選びます.

画面左の「母標準偏差」に関しては,母標準偏差が

判っている場合(既知)は入力し,判っていない場合

(未知)は入力せずにおきます.

2-5. 2つの母平均の差に関する検定・推定

12-2-12

5.4 検定結果の確認

母標準偏差の入力において母標準偏差が判って

いる場合の検定方法と判らない場合の検定方法は

異なります.

(1)母標準偏差が判っている場合

検定に用いる統計量としてu0 を用います(正規分

布を使用).母標準偏差が判っていて等しくない場

合の検定結果を下図に表示します.

この例では,検定・推定条件にσ1=1.400,σ

2=1.100を指定しています.

(2)母標準偏差が判らない場合

検定に用いる統計量としてt0 を用います.(t分布

を使用).母標準偏差が判らないで母標準偏差が等

しくないと思われる場合(5%有意)は(Welch の方

法)を用い検定します.

画面上部には指定した変数の各統計量および自

由度(φ)が表示され,平均,分散に関しては仮説の

設定で選択した信頼区間が表示されます.

画面下部には,検定結果が表示されます.帰無

仮説H0 と上記データによって求めた統計量(u0ある

いはt0),さらにu0(α)あるいはt0(φ,α)となる上

側確率値(α)を()内に表示します.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 棄却されたかどう

P値

■解釈のポイント

P値が 0.05もしくは 0.01以下ならば帰無仮説

H0は棄却され,対立仮説が採択されます.

2-6.データに対応がある場合の母平均の差に関する

検定・推定

■目的

2群の製品AとBの特性を比較する場合に,ある特定の条件のもとでどちらがよいかという問題と,いろいろな

条件のもとで総合的によいのはどちらかという2つの問題があります.前者については,「5 2つの母平均値の

差に関する検定・推定」で検定を行うことができます.後者については,「6 データに対応がある場合の母平均

の差に関する検定・推定」で検定を行うことができます.

■活用場面

部品Noごとに,ある決められた部位のA地点とB地点の厚さを測定し,その結果から両地点での厚さが

等しいか否かを検証する 等

2-5. 2つの母平均の差に関する検定・推定

2-6. データに対応がある場合の母平均の差に関する検定・推定

12-2-13

計量値の検定・推定

PART

12

第2章

■データ形式

データの形式は以下になります.材質Aと材質Bの測定値は対応があります.例えば1行目のデータは

サンプル名1という条件で得られたものです.サンプル名2は別の条件ということになります.

・2つの特性値

2つの特性値の場合

6.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[データに対応がある場合の母平均の差]

6.2 変数の指定

変数の指定ダイアログで,サンプル名と検定・

推定対象データを選択します.

特性値に量的変数を2つ指定して,[次へ進む]

ボタンをクリックします.

6.3 検定・推定条件の指定

「データに対応がある場合の母平均の差…」の検

定を行うには,2群の各データが対応している,つま

りサンプルごとに収集したデータを用います.

変数の指定で解析する変数を選択後,次に「仮説

の設定」ダイアログが表示されます.

画面上部の「帰無仮説」に,対応するデータの平

均値の差を「(δ0= )」に入力し,画面中央の

「対立仮説」の条件および画面下部の「区間推定の

信頼率」の区間推定の信頼率を選択します.

平均値の差の入力を行わずに[OK]ボタンを

クリックすると,平均値の差を0として検定を

行います.

6.4 検定結果の確認

[OK]ボタンをクリックすると,入力した平均値の差

に対する

検定結果を表示します.

画面上部には,指定した変数の各統計量および

自由度(φ)が表示され,平均,分散に関しては「仮

説の設定」ダイアログで選択した信頼区間が表示さ

れます.

画面下部には,検定結果が表示されます.帰無

仮説H0 と求めた統計量t0,さらにt0(φ,α)となる上

側確率(α)を()内に表示します.

本システムでは,有意水準1%および5%につい

ての検定結果を表示します.指定した2群の対応あ

るデータの母平均の差に統計的な差が認められな

い場合は,「仮説H0 は有意水準α%で棄却されな

い」と表示されます(αは1%および5%).

2-6. データに対応がある場合の母平均の差に関する検定・推定

12-2-14

逆に統計的な差が認められる場合には,「仮説H0

は有意水準α%で棄却される」と表示されます.

チェック項目 使用する統計量等

1 棄却されたかどう

P値

■解釈のポイント

P値が 0.05もしくは 0.01以下ならば帰無仮説

H0は棄却され,対立仮説が採択されます.データ

に対応関係があるかどうかは折れ線グラフからも

わかります.

■解析操作

解析操作 内容

折れ線グ

ラフ 2変数の折れ線グラフを表示する

6.4.1 折れ線グラフ

■起動方法

ツールボタン「折れ線グラフ」クリック.

2変数の折れ線グラフが表示されていますが,

変数に対応関係があることがわかります.

2-7.異常値の検定

■目的

一連のデータ群をサンプリング地点あるいは測定方法やデータ入力,転記ミスなどによって異常な値

がまぎれ込むことがあります.異常値はデータ群中の最大値または最小値となりますが,それを検出で

きる方法があると便利です.

正規分布に従うデータ群の場合,異常値があるかどうかを統計的に検定する方法として“グラブス・ス

ミルノフ棄却検定”があります.

■活用場面

・データ測定(入力)時の異常検出

・特定データ(最大値,最小値)をマスキングする場合の判断 等

■データ形式

データの形式は以下になります.

・1つの特性値のデータ

磨き誤差のデータ

2-6. データに対応がある場合の母平均の差に関する検定・推定

2-7. 異常値の検定

12-2-15

計量値の検定・推定

PART

12

第2章

異常値の検定を行うには,上表(例)のような2次元表形式のデータをワークシートに入力して下さい.

解析に用いることができる変数は量的変数1個のみです.データ数は3個以上から計算できますが,統計

的には7個以上が望ましいとされています.

欠測値のあるサンプルあるいはマスクされているサンプルは解析時に除かれます.また分散が0になるよ

うなデータ群の場合(データ数が2個のときや最大値と最小値が同じ値のとき)は解析を続けることがで

きません.

7.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[異常値の検定]

7.2 変数の指定

変数の指定ダイアログで,検定対象の変数名を

選択して[次へ進む]ボタンをクリックします.

特性値に量的変数を1つ指定して,[次へ進む]

ボタンをクリックします.

7.3 仮説の設定

ここでは検定の条件として,帰無仮説を「すべ

てのデータは同じ母集団からのものである」とし,

対立仮説と有意水準を指定します.

3つの対立仮説H1の中から目的に応じて1つを

選択します.

1.データのうち,最も外れている値は異常値で

ある

2.データの最大値は異常値である

3.データの最小値は異常値である

上記の対立仮説の設定は,棄却域を両側

に設ける両側検定,片側に設ける片側検

定に対応しています.

すなわち両側検定なら 1を,片側検定な

ら 2か 3を選びます.

片側検定は,

1)両側検定における対立仮説の一方が

実際には起こり得ない場合

2)あるいは起こっても問題にする必要

がない場合

で,それ以外の場合は通常,両側検定を

おこないます.

有意水準αは「5%」,「1%」もしくは「任意」

いずれかから選択します.「任意」を選択した場

合,右横の入力項目にパーセント値(0<α<100)

を入力して下さい.

仮説の設定が終わったら,確認して[OK]ボタンを

クリックします.

7.4 検定結果の確認

帰無仮説,対立仮説,基本統計量,ヒストグラ

ム,検定結果が表示されます.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 基本統計量と検定

統計量

基本統計量(データ

数,平均値,分散,

2-7. 異常値の検定

12-2-16

検定対象のサンプ

ル番号と値

標準偏差,自由度,

最大値,最小値)

検定対象サンプル

番号,検定統計量

(グラッブスの検

定統計量 T,棄却限

界値 G)

2 全データの分布を

ヒストグラムで確

平均値(デフォル

ト)

3 帰無仮説は棄却さ

れたか否か

グラッブスの検定

統計量 T,棄却限界

値 G

■解釈のポイント

帰無仮説の採択/非採択はグラッブスの検定統計

量 Tと棄却限界値 Gによって決まります.

T < G のとき,帰無仮説を採択します.

(例)「データのうち,最大(最小)のものは

異常値であるとはいえない」

T ≧ G のとき,帰無仮説を棄却します.

(例)「データのうち,最大(最小)のものは

異常値である」

上記の例だと,グラッブスの検定対象のサンプ

ルは 129番のデータで 500(つまり最大値)です.

グラッブスの検定統計量 Tは 4.770,棄却限界値 G

は 3.469なので T>Gとなり,帰無仮説 H0は有意水

準 5%で棄却されます.その結果,対立仮説が採択

され,129 番のサンプルは異常値であるというこ

とになります.

この 129番のデータはなぜ異常値なのか,原因

を追究することになります.またワークシートに

戻り,129 番をマスクして再度,異常値の検定を

おこなってもよいでしょう.

2-7. 異常値の検定

12-3-1

ノンパラメトリック検定

PART

12

第3章

第3章 ノンパラメトリック検定

F検定やt検定など,母集団に特定の分布(正規分布など)を仮定し,未知のパラメータに対して行う

検定を一般的にパラメトリック検定といいます.ここで扱う検定は,母集団に特定の分布(特に正規分布)

を仮定しない場合あるいは正規化できない,測定値に信頼がおけない場合などに適用される検定です

が,ノンパラメトリック検定と呼んでいます.数値が得られない場合に順位データとして扱うこともできます

が,順位データは数値の大きさに依存しないため,はずれ値の影響は少なくなるといわれています.

検定の種類 データの特徴,検定統計量,検定方法など

χ2検定

・クロス表の項目間には関連がなく,相互に独立であることを調べる.

・χ2統計量

ウィルコクソ

ンの順位和

検定

・対応のない2つのグループの中心位置(メジアン)の違いを検定する.

・Wilcoxonの統計量

・母集団分布が正規分布ではないが,メジアンに関しては対称性があっ

たり,あるいはそれに近い分布に適用する.

MOOD検定 ・2つの母集団のスケールパラメータ(バラツキ)の大きさに違いがあるか

どうかを調べる.

・MOOD統計量

ウィルコクソ

ンの符号付

き順位和検

・1つの母集団の中心位置の違いや対応のある2つのグループの中心

位置の差の違いを調べるために用いる.

・順位和統計量

・測定がおおざっぱでデータの細かな値自体には信頼がおけない,あ

るいは母集団分布が正規分布と大きく異なると判断できる場合に適用

する.

・対応するデータの差の分布が正規分布と大きく異なる場合に適用す

る.

クラスカル

・ウォリス検

・3つ以上のグループ間の順位の違いを調べるために用いる.(一元配

置分散分析データに適用する)

・KW統計量:χ2分布に近似できる

・誤差の分布が未知でもよいことがパラメトリック検定と本質的に違う.

①データが順位として得られている

②測定がおおざっぱで数値自体に信頼が置けない

③母集団分布が正規分布から大きく異なる

④誤差の等分散性が崩れている

フリードマン

検定

・対応がある3つ以上のグループ間の順位の違いを調べるために用い

る.(二元配置分散分析/乱塊法に対応する)

・検定統計量FR:χ2分布に近似できる.

・データ表の行あるいは列の因子Aの効果を知るために,因子Bの効果

を消し因子Aの効果のみを取り出したい場合.

■機能構成

最初に6つのノンパラメトリック検定を選択して変数指定,帰無仮説と対立仮説,信頼区間等

を設定して,検定結果を表示します.

■データ形式

検定によりデータ入力形式が異なります.

12-3-2

(1) χ2検定

クロス表形式のデータ表を用います.行列項目間の独立性を検定します.

変数名

サンプル名

X1

[量的変数]

X2

[量的変数]

A 52 38

B 69 18

C 41 28

・ ・ ・

F 35 57

※度数の検定を行う場合は、基本解析の「度数表/多変量クロス表」の機能を使用してくだ

さい.

2つの質的変数を用いてクロス表を作成して検定することができます.

変数名

サンプル名

C1

[質的変数]

C2

[質的変数]

1 晴れ A

2 曇り A

3 晴れ B

・ ・ ・

4 雨 A

(2) ウィルコクソンの順位和検定

3つのデータ形式が選択できます.

1)入力データ形式1:特性値と質的変数の入力.

変数名

サンプル名

X1

[量的変数]

C1

[質的変数]

1 3.5 A

2 4.8 A

3 4.0 B

・ ・ ・

4 2.0 A

カテゴリー間で中心位置の違いを検定します.ただし,欠測値のあるサンプルは除きます.

2)入力データ形式2:対象データを複数列で比較・検定します.

変数名

サンプル名

X1

[量的変数]

カテゴリA

X2

[量的変数]

カテゴリB

1 3.5 4.0

2 4.8 3.8

3 5.0 2.4

・ ・ ・

・ 4.3 4.8

6 2.0 -

X1,X2がともに欠側値であるサンプルは解析対象から除きます.

12-3-3

ノンパラメトリック検定

PART

12

第3章

3)入力データ形式3:順序カテゴリーの分割表.データは度数形式.

変数名

サンプル名

男性

[量的変数]

女性

[量的変数]

1(満足) 2 3

2(中) 5 5

3(不満) 3 6

男女間で中心位置に差があるかどうかを検定します.ただし欠側値のあるサンプルは除かれ

ます.各セルに度数を入力します.

(3) MOOD検定

2つのデータ形式が選択できます.2 種類の母集団の間でバラツキに違いがあるかどうかをチェッ

クします.

1)入力データ形式1:特性値と質的変数の入力.

変数名

サンプル名

特性値

[量的変数]

C1

[質的変数]

1 3.5 A

2 4.8 A

3 4.0 B

・ ・ ・

19 2.0 A

データ表で欠測のあるサンプルは除きます.

2)入力データ形式2:入力データ形式1の質的変数のカテゴリ(A,B)ごとに複数列で

データを入力.特性値形式.

変数名

サンプル名

X1

[量的変数]

カテゴリA

X2

[量的変数]

カテゴリB

1 3.5 4.0

2 4.8 3.8

3 5.0 2.4

・ ・ ・

9 4.3 4.8

10 2.0 -

X1,X2がともに欠側値であるサンプルは除きます.

12-3-4

(4) クラスカル・ウォリス検定

3つのデータ形式が選択できます.3 つ以上のグループ間で順位に違いがあるかどうかを検定しま

す.

1)入力データ形式1:特性値と質的変数の入力.

変数名

サンプル名

特性値

[量的変数]

C1

[質的変数]

1 3.5 A

2 4.8 C

3 4.0 B

・ ・ ・

・ 2.0 A

データ表で欠測のあるサンプルは除きます.

2)入力データ形式2:入力データ形式1の質的変数のカテゴリ(A,B)ごとに複数列でデ

ータを入力.特性値形式.

変数名

サンプル名

X1

[量的変数]

カテゴリA

X2

[量的変数]

カテゴリB

X3

[量的変数]

カテゴリC

1 3.5 4.0 4.2

2 4.8 3.8 3.9

3 5.0 2.4 3.0

・ ・ ・ ・

・ 4.3 4.8 4.9

6 2.0 - 3.4

X1,X2,X3がともに欠側値であるサンプルは除きます.

3)入力データ形式3:順序カテゴリーの分割表.データは度数形式.

変数名

サンプル名

ビジネス(長

期)

[量的変数]

ビジネス(短

期)

[量的変数]

旅行

[量的変数]

1(満足) 2 3 5

2(中) 5 5 4

3(不満) 3 6 2

データ表で欠測のあるサンプルは除きます.各セルに度数を入力します.

(5) ウィルコクソンの符号付き順位和検定

対応のある 2つのデータの中心位置の差の検定に用いる場合では,入力形式1,2が利用できます.

1)入力データ形式1:特性値と種類を表す質的変数の入力.

変数名

サンプル名

特性値

[量的変数]

C1

[質的変数]

1 3.5 A

2 4.8 A

3 4.0 B

・ ・ ・

20 2.0 A

欠測値のあるサンプルは除きます.

12-3-5

ノンパラメトリック検定

PART

12

第3章

2)入力データ形式2:入力データ形式1の質的変数のカテゴリ(A,B)ごとに複数列でデー

タを入力.特性値形式.

変数名

サンプル名

X1

[量的変数]

カテゴリA

X2

[量的変数]

カテゴリB

1 3.5 4.0

2 4.8 3.8

3 5.0 2.4

・ ・ ・

9 4.3 4.8

10 2.0 -

X1,X2がともに欠側値であるサンプルは除きます.

・一つの母集団の中心位置に関する検定の場合

3)入力データ形式4

変数名

サンプル名

X1

[量的変数]

1 1.5

2 3.0

3 2.8

4 4.0

5 2.3

欠測サンプルは除きます.

(6) フリードマン検定

2つのデータ形式が扱えます.

1)入力データ形式5

因子A,Bのどちらかの水準数を 3以上として下さい.

例.因子Aが4水準,因子Bは3水準

変数名

サンプル名

特性値

[量的変数]

因子A

[質的変数]

因子B

[質的変数]

A1 B1 3.5 1 1

A1 B2 3.9 1 2

A1 B3 3.2 1 3

A2 B1 5.5 2 1

・ ・ ・ ・

A4 B3 4.5 4 3

データ表で欠測のあるサンプルは除きます.

12-3-6

2)入力データ形式 2

例.因子Aが4水準,因子Bは3水準

変数名

サンプル名

A1

[量的変数]

A2

[量的変数]

A3

[量的変数]

A4

[量的変数]

B1 3.5 5.5 4.0 4.7

B2 3.9 4.3 3.6 4.2

B3 3.2 4.8 3.9 4.5

データ表で欠測のあるサンプルは除きます.

変数指定のまとめ

下記のようにまとめることができます.

検定の種類 変数

対応するデータ形式 量的 質的

χ2検定 2~20 0 入力データ形式3(度数形式)

ウィルコクソンの順位和検定 1

2

2

1

0

0

入力データ形式1

入力データ形式2(特性値形式)

入力データ形式3(度数形式)

MOOD検定 1

2

1

0

入力データ形式1

入力データ形式2(特性値形式)

クラスカル・ウォリス検定 1

3~24

3~24

1

0

0

入力データ形式1

入力データ形式2(特性値形式)

入力データ形式3(度数形式)

ウィルコクソンの符号付き

順位和検定

1

2

1

1

0

0

入力データ形式1

入力データ形式2(特性値形式)

入力データ形式4

フリードマン検定 1

3~24

2

0

入力データ形式5

入力データ形式2(特性値形式)

12-3-7

ノンパラメトリック検定

PART

12

第3章

3-1.χ2検定

■目的

カイ 2乗検定とは、ある仮説のもとで 2 つの事象(例:製造した機械や製品品質など)を調査

し、発生した頻度(出現確率)が統計的な有意性があるかどうか(製造機械の種類によって製品

品質の出方に違いがあると言えるかどうかなど)を判定します。

2つの事象について分類した項目から2元表(製造機械種類と製品品質レベルの分割表)を作

成し,それぞれの機械で製造される製品の集まりを母集団と考えて,各母集団から得られる品質

レベルの発生確率がすべて等しい(帰無仮説:Ho)と言えるかどうかを,検定統計量(χ2値)

を用いて統計的に検定します.もし,p値が有意水準(例5%)以下であるならば帰無仮説は棄

却され,対立仮説(H1)が採択されます.

帰無仮説(H0):2項目間には関連性がない(独立である,一様である,違いがない)

χ2値<χ2値(0.01あるいは 0.05),p値>0.01あるいは 0.05で採択

対立仮説(H1):2項目間のには関連性がある(独立ではない,一様ではない,違いがある)

χ2値≧χ2値(0.01あるいは 0.05),p値≦0.01あるいは 0.05で採択

■適用上の注意点

・a×bの分割表と言う意味では,2元配置分散分析のデータ形式と同じですが,χ2検定で使

っている数値は特性値ではなく,度数であるという点が異なります.

・観察される事象は互いに排他的でなければなりません(例えば「さいころの目」、「ある人が

男か女か」など)

・検定の有意水準(α)を厳しくすると必要な実験数・症例数(N)は増えます.例えば,有意

水準を5%から1%にすると,実験数は約1.5倍必要です.また,有意差を見逃す確率(β)

を小さくするには実験数Nが増大します.

■目的

あるグループ内でのデータの出現頻度が他のグループと同じかどうかを検定するために使用します.

本機能の場合,仮説および対立仮説は以下になります.

・帰無仮説H0:各グループ(下記のデータ表の場合ラインごと)に違いはない.

・対立仮説H1 :各グループ(下記のデータ表の場合ラインごと)に違いがある.

■活用場面

・顧客が選ぶ商品の週ごとの変化が、意味あるレベルの変動を示しているかを判定する

・配置されたスタッフの数の違いが顧客満足度に影響を及ぼしているかどうかを判定する

・臨床試験で,プラセボ群と薬物投与群で患者が治癒した割合は等しいといえるか,2群間の治

癒率の差は本当は差が無くても起こりうるのではないか,などを判定する 等

■データ形式

クロス表形式のデータ(セル内は度数)を使用します.

例:製造ラインの種類によって製品品質(良,普通,不良)の違いがないと言えるか.

3-1. χ2検定

12-3-8

1.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[カイ二乗検定]

1.2 変数の指定

変数の指定ダイアログで,検定対象の変数名を

選択して[次へ進む]ボタンをクリックします.

1.3 検定結果の確認

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 統計量χ2 統計量χ2,P値

2 検定結果 帰無仮説が棄却さ

れる/されない

■解釈のポイント

χ2分布は自由度によって異なります.データか

ら求めたχ2値がχ2分布の上側 1%(もしくは 5%)

の値より大きければ仮説は棄却され,それより小

さければ棄却されません.χ2値に対応する確率値

つまりP値が1%あるいは5%以下なら帰無仮説は棄

却され,対立仮説が採択されます.

コンボボックスの切り換えによって規準化残差を

表示することができます.

3-2.ウィルコクソンの順位和検定

■目的

2つの母集団A,Bについて,中心位置の違いの検定を行ないます.

本機能の場合,仮説および対立仮説は以下になります.

帰無仮説H0:A,Bの中心位置は等しい.

対立仮説H1:

a)A,Bの中心位置は等しくない.

b)Bの方が大きな値がでる傾向がある.

c)Aの方が大きな値がでる傾向がある.

■活用場面

金属部品の径の分布の中心位置がラインAとラインBで等しいか否かを検証する. 等

■データ形式

量的変数(洗浄度)が2つ(洗浄方法1、2)の場合は,以下のデータ形式になります.

この場合の「仮説の設定ダイアログ」も合わせて示します.

3-1. χ2検定

3-2. ウィルコクソンの順位和検定

12-3-9

ノンパラメトリック検定

PART

12

第3章

入力形式1の場合には以下のように入力します.

2.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[ウィルコクソンの順位和検定]

2.2 変数の指定

変数の指定ダイアログで,検定対象の変数名を

選択して[次へ進む]ボタンをクリックします.

データの入力形式に合わせて変数を指定します.

ここでは入力形式2のため,量的変数を2つ指

定しています.

2.3 検定・仮説の設定

データ形式,対立仮説.有意水準を選択します.有

意水準の初期値は 5%です.

2.4 検定結果の確認

[OK]ボタンをクリックすると,指定された条件で検

定・推定を行います.本システムではデータ数,対

立仮説,有意水準等の組み合わせで,ウィルコクソ

ン順位和検定表が使用できる場合は,検定表の有

意点値と比較し,検定しています.

ウィルコクソン順位和検定表が使用できない場合

は正規近似で検定しています.

3-2. ウィルコクソンの順位和検定

12-3-10

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 統計量 u0 統計量 u0,P値

2 検定結果 帰無仮説が棄却さ

れる/されない

■解釈のポイント

検定統計量U0は2.005であり、確率5%の統計量

uは 1.960で,2.005>1.960となります.このとき

P値は 0.045(<0.005)となっています.よって有意

水準 5.0%で帰無仮説は棄却され,対立仮説「二つ

の母集団の分布の中心位置は等しくない」が採択

されます.

3-3.MOOD検定 ■目的

二つの母集団(A,B)について,ばらつきの大きさに違いがあるかどうかを調べるときに用います.

帰無仮説H0:二つの母集団A,Bのばらつきは等しい.

対立仮説H1:

a)二つの母集団のばらつきは等しくない.

b)母集団Bの方がばらつきが大きい.

c)母集団Aの方がばらつきが大きい.

■活用場面

加工機械Aと加工機械Bで製造した部品径のばらつきが違うかどうか検証する. 等

■データ形式

量的変数(圧縮強度)が2つ(入力形式2を用いる,試験方法1、2を量的変数として用いる)の場合

は,以下のデータ形式になります.

3.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[MOOD検定]

3-2. ウィルコクソンの順位和検定

3-3. MOOD検定

12-3-11

ノンパラメトリック検定

PART

12

第3章

3.2 変数の指定

変数の指定ダイアログで,検定対象の変数名を

選択して[次へ進む]ボタンをクリックします.

データの入力形式に合わせて変数を指定します.

ここでは入力形式2のため,量的変数を2つ指

定しています.

3.3 検定・仮説の設定

対立仮説と有意水準を選択します.入力形式1の

場合は,カテゴリ番号が小さいデータ群が「母集団

A」になります.また,有意水準の初期値は 5%としま

す.

3.4 検定結果の確認

[OK]ボタンをクリックすると,指定された条件

で検定・推定を行います.データ数,対立仮説,有

意水準等の組み合わせで,MOOD検定表が使用で

きる場合は検定表の有意点値と比較し,検定してい

ます.

MOOD 検定表が使用できない場合は,正規近似

で検定しています.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 統計量 u0 統計量 u0,P値

2 検定結果 帰無仮説が棄却さ

れる/されない

■解釈のポイント

検定統計量U0は2.337であり、確率5%の統計量

uは1.960です.すなわちu=2.337>1.960となり,

このときP値は0.019であり0.05より小さくなり

ます.よって有意水準 5.0%で帰無仮説は棄却され,

対立仮説「二つの母集団の分布のばらつきは等し

くない」が採択されます.

3-4.クラスカル・ウォリス検定

■目的

一つの因子A(水準数3以上)に注目し,完全ランダマイズ実験より得た特性に対して因子の効果があるかど

うかを調べます.

帰無仮説H0:各母集団の分布の中心位置は等しい.

対立仮説H1:各母集団の分布の中心位置は等しくない.

P値が有意水準0.05あるいは 0.01より小さければ対立仮説H1を採択します.

■活用場面

異なる条件で製造した場合の収率データに差があるかどうかを順位の違いで検定する.

アンケートの満足度が属性(旅行目的)によって差があるか検定する. 等

■データ形式

量的変数(収率)が3つ(入力形式2 雨、曇り、晴れ:3水準)の場合は,以下のデータ形式になり

3-3. MOOD検定

3-4. クラスカル・ウォリス検定

12-3-12

ます.

4.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[クラスカル・ウォリス検定]

4.2 変数の指定

変数の指定ダイアログで,検定対象の変数名を

選択して[次へ進む]ボタンをクリックします.

データの入力形式に合わせて変数を指定します.

ここでは入力形式2のため,量的変数を3つ指

定しています.

4.3 検定・仮説の設定

データ形式と有意水準を選択します.有意水準の

初期値は 5%です.

4.4 検定結果の確認

[OK]ボタンをクリックすると,データ数,対

立仮説,有意水準等の組み合わせで,クラスカル・

ウォリス検定表が使用できる場合は,検定表の有意

点値と比較し,検定しています.

クラスカル・ウォリス検定表が使用できない場合は

χ2近似で検定しています.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 統計量χ02 統計量χ0

2,P値

2 検定結果 帰無仮説が棄却さ

れる/されない

■解釈のポイント

検定統計量χ02は 7.091 であり、確率 5%の統計

量χ2は 5.991であり,P値は 0.029<0.005となり

ます.よって有意水準 5.0%で帰無仮説は棄却され,

対立仮説「各母集団の中心位置は等しくない」が

採択されます.

3-4. クラスカル・ウォリス検定

12-3-13

ノンパラメトリック検定

PART

12

第3章

3-5.ウィルコクソン符号付順位和検定

■目的

ウィルコクソンの符号付順位和検定では、2つの検定が行えます.

(1)1つの母集団の中心位置の検定

指定されたメディアン値θ0を母集団のメディアンとして,サンプルのメディアン値θと比較しま

す.

帰無仮説H0:θ=θ0

対立仮説H1:

a)θ≠θ0

b)θ>θ0

c)θ<θ0

(2)2つの母集団の中心位置の差の検定

母集団AとBの中心位置が等しいかを検定します.

帰無仮説H0:二つの母集団A,Bの中心位置は等しい.

対立仮説H1:

a)二つの母集団の中心位置は等しくない.

b)母集団Bの方が大きな値が出る傾向がある.

c)母集団Aの方が大きな値が出る傾向がある.

■活用場面

部品の洗浄方法に違いがあるかどうかを,2 つの母集団を並べて中心位置に違いがあるかどうかでみる

■データ形式

対応がある2つのデータ(反り量)(入力形式2 釉薬1、2)の場合,以下のデータ形式になります.

量的変数が1つの場合は,「一つの母集団の中心位置の検定」になります.

5.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[ウィルコクソンの符号付順位和検定]

3-5. ウィルコクソン符号付順位和検定

12-3-14

5.2 変数の指定

変数の指定ダイアログで,検定対象の変数名

を選択して[次へ進む]ボタンをクリックします.

データの入力形式に合わせて変数を指定します.

一つの母集団の中心位置の検定を行う場合は、

量的変数を1つ指定してください.また、2つの

母集団の中心位置の差の検定の場合は,データの

入力形式にあわせて変数を指定してください.こ

こでは入力形式2で2つの母集団を大きさの順に

並べ中心位置の差の検定を行うため,量的変数を

2つ指定しています.

5.3 検定・仮説の設定(2つの母集団の中心

位置の差の検定)

対立仮説と有意水準を選択します.有意水準の初

期値は 5%です.

5.4 検定結果の確認(2つの母集団の中心位

置の差の検定)

[OK]ボタンをクリックすると,データ数,対

立仮説,有意水準等の組み合わせで,ウィルコクソ

ン符号付き順位和検定表が使用できる場合は,検定

表の有意点値と比較し,検定しています.

ウィルコクソン符号付き順位和検定表が使用できな

い場合は正規近似で検定しています.

入力データ形式によって以下のようにデータが

対応づけられます.

・入力データ形式1

A:質的変数のカテゴリ番号の小さい方のデータ

に対応する母集団.

B:質的変数のカテゴリ番号の大きい方のデータ

に対応する母集団.

・入力データ形式 2

A:変数指定で1番目に選択した変数のデータ

に対応する母集団.

B:変数指定で2番目に選択した変数のデータに

対応する母集団.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 統計量u0の大きさ

と P値

統計量 u0,P値

2 検定結果 帰無仮説が棄却さ

れる/されない

■解釈のポイント

検定統計量u0は-3.410であり、確率5%の統計量

χ2は 1.960 であり,P 値は 0.029<0.05 となりま

す.よって有意水準 5.0%で帰無仮説は棄却され,

対立仮説「二つの母集団 A,Bの中心位置は等しく

ない」が採択されます.

5.5 検定・仮説の設定(1つの母集団の中心

位置の差の検定)

3-5. ウィルコクソン符号付順位和検定

12-3-15

ノンパラメトリック検定

PART

12

第3章

対立仮説と有意水準を選択します.有意水準の初

期値は 5%です.

5.6 検定結果の確認(1つの母集団の中心位

置の差の検定)

[OK]ボタンをクリックすると,2つの母集団

の中心位置の差を検定するのと同様に検定結果が

表示されます.

入力データ形式によって以下のようにデータが対

応づけられます.

・入力データ形式 3

A:変数指定で1番目に選択した変数のデータ

に対応する母集団.

B:変数指定で2番目に選択した変数のデータに

対応する母集団.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 統計量 u0 統計量 u0,P値

2 検定結果 帰無仮説が棄却さ

れる/されない

■解釈のポイント

検定統計量u0は-0.802であり、確率5%の統計量

χ2は 1.960 であり,P 値は 0.423<0.05 となりま

す.よって有意水準 5%で帰無仮説「母集団のメデ

ィアンθ=θ0」は棄却できません.つまりメディア

ン間で違いがあるとはいえない,ということにな

ります.

3-6.フリードマン検定

■目的

2つの因子A(母数因子 n水準),B(ブロック因子 m水準)について因子Aの効果があるかどうか

検定します.

帰無仮説H0:因子Aの効果はない

対立仮説H1:因子Aの効果がある

■活用場面

世代によって異なる企業の製品に対する好みに違いがあるかを検定する. 等

■データ形式

因子A(母数因子 A社製~E社製:5水準)、因子B(ブロック因子 20代~40代:3水準)の場合

は,以下のデータ形式になります.(入力データ形式2)

(上記と同じデータを入力データ形式5で入力した場合)

3-5. ウィルコクソン符号付順位和検定

3-6. フリードマン検定

12-3-16

6.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[フリードマン検定]

6.2 変数の指定

変数の指定ダイアログで,検定対象の変数名を

選択して[次へ進む]ボタンをクリックします.

データの入力形式に合わせて変数を指定します.

ここでは入力形式2のため,量的変数を5つ指

定しています.

6.3 検定・仮説の設定

有意水準を選択します.有意水準の初期値は 5%

です.

6.4 検定結果の確認

[OK]ボタンをクリックすると,データ数,対

立仮説,有意水準等の組み合わせで,フリードマン

検定表が使用できる場合は,検定表の有意点値と比

較し,検定しています.

フリードマン検定表が使用できない場合は,χ2近

似で検定しています.

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 統計量 Fr 統計量 Fr

2 検定結果 帰無仮説が棄却さ

れる/されない

■解釈のポイント

検定統計量 Frは 5.067,確率 5%の統計量 frは

8.533であり,5.067<8.533=Fr0.05となります.

よって有意水準 5.0%で帰無仮説は棄却されず「因

子Aの効果はない」が採択されます.

3-6. フリードマン検定

12-4-1

検出力とサンプルサイズ

PART

12

第4章

第4章 検出力とサンプルサイズ

検出力とは,帰無仮説H0(μ=μ0,σ=σ0 など)が成立していないときに,このH0 を正しく棄却する

確率1-βの値のことを意味します.

本機能は,平均の違う母集団や母分散の違う母集団について,この検出力を求めたり,検出力(識別

する確率)をある値以上確保したりするのに,必要なサンプルサイズを算出することができます.このサン

プルサイズは,検定・推定をするときに,必要なサンプルサイズの目安となります.

(検出力は,改訂された JIS Z 9041-4[データの統計的方法 第4部:平均と分散に関する検定方法

の検出力]として記載されています.)

■機能構成

各機能別のシステムメニュー構成を以下に示します.

機能 タブ 解析操作 内容

機能の選択 母分散,2つの母分散の比など機能を選択

する.

問題の選択 入手したいデータ(検出力,サンプルサイ

ズ)を選択する.

パラメータ設定 検定方法等パラメータを設定する.

検出力

検出力曲線 指定された条件で検出力曲線を描く.

結果表示 入力されたパラメータの一覧と,対応する出力

結果を表示する.

検出力値 X軸のメモリに対する検出値を一覧する.

サンプルサイ

検出力曲線 指定された条件で検出力曲線を描く.

結果表示 入力されたパラメータの一覧と,対応する出力

結果を表示する.

検出力値 X軸のメモリに対する検出値を一覧する.

(最も適切なサンプル数を太線表示)

12-4-2

4-1.検出力とサンプルサイズ

1.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[検出力とサンプルサイズ]

1.2 検出方法

機能の選択ダイアログで,検出力やサンプルサ

イズを求める対象となる検定方法を選択します.

検定方法のボタンをクリックします.

1.3 問題の選択

問題の選択ダイアログで,何をやろうとしてい

るかを明らかにします.求めたい値(検出力/サ

ンプルサイズのどちらか)を選択します.

1.4 パラメータ設定

1.4.1 検出力(1-β)を求める場合

パラメータ選択ダイアログで,計算に使用するパ

ラメータを入力・選択します.データを入力後,

[OK]ボタンをクリックします.

検出力を求める際に入力する必要のある設定およ

びパラメータは以下のとおりです.

1.4.2 サンプルサイズを求める場合

パラメータ選択ダイアログで,計算に使用する

パラメータを入力・選択します.データを入力後,

[OK]ボタンをクリックします.

検定方法 パラメー

サンプル

サイズ

選択 入力 入力

母平均 両側

右片側検定

(片側a)

左片側検定

(片側b)

平均の差

μ-μ0

2つの母平

均の差

平均の差

μ1-μ2

n1,n2

データに対

応がある場

合の母平均

の差

差δ-δ0 n

母分散 n

2つの母分

散の比

母分散 母標準偏差 危険率

選択 入力 入力

母平均 既知,未知 σ α

2つの母

平均の差

既知,未知 σ1,σ2

データに

対応があ

る場合の

母平均の

既知,未知 σ

母分散 σ,σ0

2つの母

分散の比

σ1,σ2

4-1. 検出力とサンプルサイズ

12-4-3

検出力とサンプルサイズ

PART

12

第4章

サンプルサイズを求めるまでの入力方法,パラメ

ータは以下のとおりです.

1.5 検出力曲線

サンプルサイズを指定して検出力を求める場合に

は,入力したサンプルサイズに対応した検出力値と

検出力曲線を表示します.入力したサンプルサイズ

に対応する検出力曲線が太線で表示され,前後2本

ずつ一定幅でサンプルサイズを変更した場合の検

出力曲線が表示されるので,サンプルサイズによっ

て検出力がどの程度変わるのかがわかります.

また,画面上部に,入力されたパラメータ,右側の

縦軸には,危険率αの値,入力したサンプルサイズ

に対応した検出力値が表示されています.

画面右側には,グラフの色と対応するサンプルサ

イズが表示されています.

検出力値からサンプルサイズを求める場合には,

入力された検出値に対してもっとも適切なサンプル

サイズの検出力曲線が太線で表示され,右側の縦軸

に入力された検出力値が表示されます.

(両側検定のグラフ)

(右片側検定のグラフ)

(左片側検定のグラフ)

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 サンプルサイズの

違いによってどう

変化するか

検出力曲線

1.5.1 結果表示

ツールボタン[結果表示]をクリックします.

検定方法 パラメー

検出力1

-β

選択 入力 入力

母平均 両側

右片側検定

(片側a)

左片側検定

(片側b)

平均の差

μ-μ0

任意の数

値を入力

(危険率

αの値よ

り大きな

値)

2つの母平

均の差

平均の差

μ1-μ2

データに対

応がある場

合の母平均

の差

差δ-δ1

母分散

2つの母分

散の比

母分散 母標準偏

危険率

選択 入力 入力

母平均 既知,未知 σ α

2つの母平

均の差

既知,未知 σ

データに対

応がある場

合の母平均

の差

既知,未知 σ

母分散 σ,σ0

2つの母分

散の比

σ1,σ2

4-1. 検出力とサンプルサイズ

12-4-4

”入力”のラジオボタン(サンプルサイズあるいは検

出力(1-β))をクリックし,サンプル数あるいは検

出力値を入力し,[計算開始]ボタンをクリックすると

[出力]欄に計算結果を表示します.また,[OK]ボタ

ンをクリックすると,計算された結果をもとに,検出力

曲線を再描画します.

1.6 検出力値

X軸の目盛に対応する検出力値を検出力曲線の

グラフごとに一覧表示します.目盛をオプションで変

更して表示グラフ上の値の確認にご利用ください.

なお,表の一番右側の数値は,指定パラメータから

計算で求めた検出力線ごとの検出力値を表示して

います.

4-1. 検出力とサンプルサイズ

12-5-1

確率値の計算

PART

12

第5章

第5章 確率値の計算

本機能は,二項分布,ポアソン分布などの離散分布や,標準正規分布,F分布などの連続分布に対

して,入力されたパラメータや数値をもとに該当する分布の確率や分位点を求めるもので,数値表の利

用に変わるものをコンピュータで実現しています.ある分布とパラメータや上限・下限値を仮定して,目的

となる確率値や分位点を手軽に計算することができます.

本手法では,対象として以下の分布を扱っています.

分布

連続分布

標準正規分布

正規分布

対数正規分布

F分布

t分布

カイ二乗分布

一様分布

指数分布

ガンマ分布

ワイブル分布

離散分布

一様分布

2項分布

負の2項分布

ポアソン分布

超幾何分布

※連続分布は,分布の選択をするときに確率と分位点を求めるメニューが別々になっています.

※離散分布は,確率を求める機能だけになります.ただし,2 項分布だけは棄却限界値を求められま

す.

■機能構成

各機能別のシステムメニュー構成を以下に示します.

機能 解析操作 内容

機能の選択(1.2) 連続分布,離散分布を選択する.

分布の選択(1.3) 分布リストから分布を選択する.

連続分布(1.4) パラメータの入力を行って確率値を計算す

る.(連続分布)

履歴表示(1.5) それまでの計算履歴を確認する.

離散分布(1.6) パラメータの入力を行って確率値を計算す

る.(離散分布)

12-5-2

※確率と分位点について

本機能で使われる「確率」,「分位点」は以下のようなものです.

確 率:指定された値より大きい値をとる確率,小さい値をとる確率,ある

いは指定した2つの値の間の確率です.

分位点:指定された値を上側確率(分布によっては両側確率)とする値が表

示されます.

(例)標準正規分布の場合(ただし,図は表示されません)

(1)分位点から確率を求める

・上限値=1.5と指定した場合

・上限値=1.5,下限値=0.0と指定した場合

(2)確率から分位点を求める

・確率=0.30と指定した場合

この部分の確率が

求められます.

-3.000 -1.500 0.000 1.500 3.0000.0

0.1

0.2

0.3

0.41.500

-3.000 -1.500 0.000 1.500 3.0000.0

0.1

0.2

0.3

0.41.500

-3.000 -1.500 0.000 1.500 3.0000.0

0.1

0.2

0.3

0.40.000

上側確率,下側確率,間の

確率が求められます.

-3.000 -1.500 0.000 1.500 3.0000.0

0.1

0.2

0.3

0.40.524

この値が求められ

ます.

この部分の

確率が 0.30

12-5-3

確率値の計算

PART

12

第5章

5-1.確率値の計算

1.1 手法の選択

選択方法 [手法選択]-[検定・推定]-[確率値の計算]

1.2 機能の選択

機能の選択ダイアログで,連続分布/離散分布

を選択します.いずれかのボタンをクリックしま

す.

1.3 分布の選択

分布の選択ダイアログで,求めたい分布を選択

します.分布の種類を選択してから[OK]ボタン

をクリックします.

(連続分布の場合)

(離散分布の場合)

1.4 連続分布

パラメータに該当する点,例えば下限値や上限

値,各種パラメータあるいは上側確率値などを入

力して[計算開始]ボタンをクリックすると,出

力欄に計算結果が表示されます.

選択された分布によって,入力できるパラメータ,出

力される値は違ってきます.それぞれ,以下のように

なります.

分布名

パラメータ(入力) 出力

標 準 正

規 分 布

(確率)

下限値 P(X<=下限

値)

P(X>=下限

値)

上限値 P(X<=上限

値)

P(X>=上限

値)

下限値・上限値が共に

入力されている場合

P( 下限値

<=X<=上限

値)

P(X<=下限

値 ,X>= 上

限値)

標 準 正

規 分 布

( 分 位

点)

上側確率(0.0~1.0) X(分位点)

5-1. 確率値の計算

12-5-4

分布名

パラメータ(入力) 出力

正 規 分

布 ( 確

率)

平均(μ)

標準偏差(σ)

※必須条件

下限値 P(X<=下限

値)

P(X>=下限

値)

上限値 P(X<=上限

値)

P(X>=上限

値)

下限値・上限値が共に

入力されている場合

P( 下限値

<=X<=上限

値)

P(X<=下限

値 ,X>= 上

限値)

正 規 分

布(分位

点)

平均(μ) X(分位点)

標準偏差(σ)

上側確率(0.0~1.0)

対 数 正

規 分 布

(確率)

ln(X)の平均(μ)

ln(X)の標準偏差(σ)

※必須条件

下限値 P(X<=下限

値)

P(X>=下限

値)

上限値 P(X<=上限

値)

P(X>=上限

値)

下限値・上限値が共に

入力されている場合

P( 下限値

<=X<=上限

値)

P(X<=下限

値 ,X>= 上

限値)

対 数 正

規 分 布

( 分 位

点)

ln(X)の平均(μ) X(分位点)

ln(X)の標準偏差(σ)

上側確率(0.0~1.0)

分布名

パラメータ(入力) 出力

F 分布

(確率)

分子の自由度(ν1)

分母の自由度(ν2)

※必須条件

下限値 P(X<=下限

値)

P(X>=下限

値)

上限値 P(X<=上限

値)

P(X>=上限

値)

下限値・上限値が共に

入力されている場合

P( 下限値

<=X<=上限

値)

P(X<=下限

値 ,X>= 上

限値)

F 分布

( 分 位

点)

分子の自由度(ν1) X(分位点)

分母の自由度(ν2)

上側確率(0.0~1.0)

t 分 布

(確率)

自由度(ν)

※必須条件

下限値 P(X<=下限

値)

P(X>=下限

値)

上限値 P(X<=上限

値)

P(X>=上限

値)

下限値・上限値が共に

入力されている場合

P( 下限値

<=X<=上限

値)

P(X<=下限

値 ,X>= 上

限値)

t 分 布

( 分 位

点)

自由度(ν) X(分位点)

両側確率(0.0~1.0)

5-1. 確率値の計算

12-5-5

確率値の計算

PART

12

第5章

分布名

パラメータ(入力) 出力

カイ二乗

分布(確

率)

自由度(ν)

※必須条件

下限値 P(X<=下限

値)

P(X>=下限

値)

上限値 P(X<=上限

値)

P(X>=上限

値)

下限値・上限値が共に

入力されている場合

P( 下限値

<=X<=上限

値)

P(X<=下限

値 ,X>= 上

限値)

カイ二乗

分布(分

位点)

自由度(ν) X(分位点)

上側確率(0.0~1.0)

指 数 分

布 ( 確

率)

λ

※必須入力

下限値 P(X<=下限

値)

P(X>=下限

値)

上限値 P(X<=上限

値)

P(X>=上限

値)

下限値・上限値が共に

入力されている場合

P( 下限値

<=X<=上限

値)

P(X<=下限

値 ,X>= 上

限値)

指 数 分

布(分位

点)

λ X(分位点)

上側確率(0.0~1.0)

分布名

パラメータ(入力) 出力

ガンマ分

布 ( 確

率)

形状パラメータ(k)

尺度パラメータ(λ)

※必須条件

下限値 P(X<=下限

値)

P(X>=下限

値)

上限値 P(X<=上限

値)

P(X>=上限

値)

下限値・上限値が共に

入力されている場合

P( 下限値

<=X<=上限

値)

P(X<=下限

値 ,X>= 上

限値)

ガンマ分

布(分位

点)

形状パラメータ(k) X(分位点)

尺度パラメータ(λ)

上側確率(0.0~1.0)

ワイブル

分布(確

率)

形状パラメータ(m)

尺度パラメータ(η)

位置パラメータ(γ)

※必須条件

下限値 P(X<=下限

値)

P(X>=下限

値)

上限値 P(X<=上限

値)

P(X>=上限

値)

下限値・上限値が共に

入力されている場合

P( 下限値

<=X<=上限

値)

P(X<=下限

値 ,X>= 上

限値)

ワイブル

分布(分

位点)

形状パラメータ(m) X(分位点)

尺度パラメータ(η)

位置パラメータ(γ)

上側確率(0.0~1.0)

5-1. 確率値の計算

12-5-6

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 条件を変えること

で,出力値の違い

を確認する.

確率と分位点の関

■解釈のポイント

様々な分布の数表に記述されている確率や分位

点の値を求めることができます.

1.5 履歴表示

連続(離散)分布パラメータ入力画面から,[履歴]

ボタンを押すと,以下のような画面が表示され,これ

までの計算履歴を確認することができます.

行を選択して[確定]ボタンをクリックすると,その内

容が前画面に表示されます.

1.6 離散分布

離散分布を選択している場合,分布の選択(1.3

参照)後に以下の画面が表示されます.パラメータ

に各種の数値を入力して[計算開始]ボタンをク

リックすると,出力欄に計算結果が表示されます.

選択された分布によって,入力できるパラメータ,出

力される値は違ってきます.それぞれ,以下のように

なります.

分布名

パラメータ(入力) 出力

一 様 分

n

x

P(X=x)

P(X<x)

P(X<=x)

P(X>x)

P(X>=x)

2項分布 試行回数(n)

成功確率(p)

成功回数(x)

P(X=x)

P(X<x)

P(X<=x)

P(X>x)

P(X>=x)

2項分布

(棄却限

界値)

試行回数(n)

成功確率(p)

有意水準(0.0~1.0)

棄却限界

負の2項

分布

成功回数(c)

成功確率(p)

失敗回数(x)

平均値(m)

P(X=x)

ポアソン

分布

平均値(m)

実現回数(x)

P(X=x)

P(X<x)

P(X<=x)

P(X>x)

P(X>=x)

超 幾 何

分布

母集団の要素の数(N)

ある属性をもつ要素の

数(M)

標本の大きさ(n)

ある属性をもつ要素の

抽出回数(x)

P(X=x)

■評価・検討項目

チェック項目 使用する統計量等

1 条件を変えること

で出力値の変化を

みる

出力値

■解釈のポイント

様々な分布について,条件に基づいた確率を計

算することができます.

5-1. 確率値の計算