第１回 未利用バイオマス・セミナー報告資料集

未利用バイオマスとしての

りんご剪定枝の利用－その課題と地域内連携ー

日時：2006年 3月 24日（金）15:00～ 17:00場所：弘前大学農学生命科学部 203教室

＜話題提供＞

１．りんご剪定の目的と剪定枝の堆肥化 塩崎雄之輔氏（弘大農学生命科学部）

２．りんご剪定枝の処理・利用の現状と課題 石岡豊氏（(有)ゴールド農園）

３．りんご剪定枝の堆肥利用の課題 青山正和氏（弘大農学生命科学部）

４．りんご剪定枝の培地利用の課題 片方陽太郎氏（弘大農学生命科学部）

５．廃木材リサイクルの現状と課題 高橋秀直氏（弘大農学生命科学部）

２００６年４月３０日

弘前大学農学生命科学部付属

未利用バイオマス研究センター（http://nature.cc.hirosaki-u.ac.jp/kohou2/biomass/index.html）

は じ め に

未利用バイオマス研究センター長 宮入一夫

農水産県である青森県は，農業水産資源に由来する未利用バイオマスの宝庫です．

バイオマスとは，再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものを指します

が，青森県の場合，地域特有の未利用バイオマスとして，稲わら，リンゴ絞り粕，リンゴ

剪定枝，長いも加工残渣，ホタテのウロ，貝殻などがあります．これまでもこれらの利活

用を目的に新しい技術が開発されてきましたが，なかなか産業として育たないのが現状で

す．

大学は平成 16年に法人化され，これまで以上に地域社会への貢献が求められています．当センターはこのような現状を踏まえ，農学生命科学部が有する技術・知識により未利用

バイオマスの利活用をはかり，地域産業の発展と活性化を目的に設置されました．現在，

関連する研究をおこなっている 7 名の教員から構成されており，これからの活動として勉強会、見学会、成果発表会等を予定しています．

その活動の一環として，セミナーを定期的に開催することとなりました．今回はその第 1回目のセミナーです．今回は，青森県の未利用バイオマスの一つであるリンゴ剪定枝を取

り上げ，その様々な利用法についての報告をお願いしました．また，未利用バイオマスの

利活用は，そもそも農水産業がなくては成立しませんが，その基盤となる農業や農家の実

際が未利用バイオマスを検討する際には忘れられがちです．そこで，農業生産者の石岡氏

から生産現場の生の声もお聞きすることといたしました．さらに，剪定枝は，素材として

は木質バイオマスですので，その素材同質性の観点から，住宅解体の際に発生する建築廃

材のリサイクルの現状についてもご報告いただくこととしました．

本セミナーおよびこの記録が，未利用バイオマスの利活用に関係する方々および青森県

の未利用バイオマス利活用推進の一助になれば幸いです．

2006年 4月 10日

1

リンゴ剪定の目的と

剪定枝の堆肥化について

　弘前大学農学生命科学部　

生物共生教育研究センター

藤崎農場

塩崎雄之輔

整枝剪定は何のために行う 金儲けのためだ！

　枝の一定の若さを保つ（衰弱させない・強勢にしない）　リンゴを直接ならせる短い枝（結果枝）をつくる衰弱した枝を更新するための強い枝（発育枝）もつくる結果枝と発育枝の割合を一定に保つ（６：４）６cm以上枝平均長は２０cm　　・・・・樹の寿命を長く保つ　管理しやすい樹をつくる樹を低く作る（光線がよく当たる）作業をするための空間を設ける（光線もよく当たる）農薬が樹冠の中まできちんととかかるようにする沢山の結実にも耐えられる丈夫な骨格枝をつくる　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・・生産費低減と収入増加

　　・・・・品質のよい果実と長期安定生産維持のため

葉と果実着生部の分布（Ｆｅｕｃｈｔ．1968，若干改変）左：無剪定樹　　　右：剪定樹

無剪定樹 剪定樹 無剪定樹の樹形変化（ヒルケンボイマー）

成木期の状態（一定の若さ）を出来るだけ長年月維持する。　そのためには剪定が必須である。　　　　

　　　

　　幼木期 　　成木期　　　 老木期　　　衰弱期

枝・芽の種類

二次生長（この部分の芽は充実不良、　　　　　　　　　　　　　　　普通切り捨てる）

腋芽 頂芽

長果枝

発育枝　１年生

短果枝　

（長さ１１－２０ｃｍ） １年生

中果枝（長さ６－１０ｃｍ）

（長さ５ｃｍ以下）

頂芽

腋芽

頂芽

年次の変わり目

年次の変わり目

果台2年生

１年生

果台（前年の果実着生痕）

３年生

果台枝

（前年の果実着生痕）　

イタリア南チロル地方

2

開心形樹　９ｍ×９ｍ植え　（１２．３本／１０ａ）

開心形‘ふじ’全摘葉調査から何が分かる

栽植距離： ９ｍ× ９ｍ、10a 当たり １２.３本植え１樹当たり着果数： ２,０９８個平均果重： ３０１ｇ１樹当たり収量： ６３１.５ｋｇ　（ 10a 当たり換算収量は毎年６トン位）樹齢：２７年生（撮影１９８９年）葉面積指数：３

　（土地面積の３倍の葉面積がある）　葉面積指数３.５を超えれば品質が悪くなる）平均葉面積：２０ ｃｍ２（樹勢により１６～２４cm2）

１果当たり葉枚数：７５枚（葉はとても大切な・・・）

　‘ふじ’／マルバ密植樹と半密植樹

100本／10a 植え 57本／10a 植え 剪定後のリンゴ樹

切落とされた枝

リンゴ剪定枝で作った堆肥

2005年 2003年

砕いた剪定枝

リンゴの剪定枝

• 剪定枝は、1960年頃までは自家用燃料、燃料がプロパンガス・灯油等にかわるに及んで焼却処分。一部の農家は、今でも太い枝を燃料。

• 青森県では1987年のりんご栽培指導要綱に初めてリンゴ剪定枝から堆肥を作る方法を掲載。

• 藤崎農場では1981年からリンゴ剪定枝を機械（チップスター）で破砕、堆肥作り開始。

• リンゴ園に、剪定枝（チップ）を生状態では放置できない。フラン病が蔓延している現状では増殖源になる。　　　堆肥（分解）にして園に戻す。

3

　　剪定枝　　　　　　　　その量、堆肥の材料作りと焼却処分の比較

　　　　　　　　　調査の方法

• ‘王林’、 ‘ふじ’樹供に直径5cm以下の枝を対象に比較した。 剪定枝量は10a当たりの生枝重量で示した。

• ‘王林’ （40a）の剪定枝は、1994年と1955年の2か年、剪定枝の生重量及び、チップ加工所要時間・焼却処分所要時間を比較した。

• 剪定枝は、均等に14個に分け、各7個ずつチップ用と焼却用にした。• チップ加工所要時間は破砕機に枝を入れてから最後の枝が破砕されるまで、焼却処分所要時間は点火から燃え残りの枝が完全におき（熾）の上にのるまでとした。

• 破砕機装着のトラクタはヤンマーFX22D、破砕機は形式PTO-7XR,フリーハンマー式である。

• トラクタの燃料消費量も調査した。

リンゴ剪定枝の

チップ作り

　 牽引式(トラクタ装着)

自走式

　　　結　　果

• 剪定枝の量は11年生の‘王林’が最も多い。 次いで12年生の‘王林’、主幹形‘ふじ’、開心形‘ふじ’の順である。 樹勢の強弱が関係している？ 樹勢適正で収量が5トン/10a程度の園地からは、剪定枝が400kg程度でる。

• 10a当たりのチップ加工所要時間と焼却処分所要時間の間にはほとんど差がない。 なお剪定枝が乾燥しているとチップ加工の時間が多くかかり、また風が強い日の焼却時間は短縮される。 農家の焼却時間はもっと短縮される・・・。 堆肥は年3- 4回切りかえす必要がある・・・。　破砕機の購入費（３５万円～２７０万円／台）・・・。

　　　　　　　総　　括

• 焼却処分の方が経営上有利・・・。　しかし堆肥は地力維持のために必要・・・。

• いずれが経営を有利にするかは農家の判断に委ねることにしたい。

栽植本数/10a 剪 定 枝

(栽植距離 m) 新鮮重 kg 収量kg/10a 樹冠占有面積率 　樹　　齢 　樹　　勢 調査樹数王　林 53.4 (5.3×3.5) 885 (100) 3,511 90.1 11 ('94) 　強　　勢 215王　林 53.4 (5.3×3.5) 699 ( 79) 2,991 90.1 12 ('95) 　強　　勢 215ふじ・開心形 12.3 (9.0×9.0) 232 ( 26) 4,104 56.2 17 ('81) 　適　　正 12ふじ・主幹形 41.7 (6.0×4.0) 429 ( 48) 5,103 76.7 11 ('81) やや強勢 10ふじ・主幹形 100.0 (4.0×2.5) 415 ( 47) 4,279 75.2 16 ('81) やや強勢 25

品種・樹形備　　　　　　　考

伐採する“計画密植栽培”を採用している。13年生時の収穫後に伐採した。間伐後の栽植本数は17.8本/王林は、初期収量を高めるために間伐樹を入れ、園内が混み合ってきたら間伐樹を小さくし、やがて

10a(7.5m×7.5m)である。調査時点の樹形はさまざまである。　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　

10a当たりのリンゴ剪定枝量

調　　査 チップ時の チップ加工 焼却時間 チップ加工 焼却時間 軽油消費量 軽油消費量

年. 月. 日 重量 kg/10a 時間 分/10a 分/10a 時間 分/100kg 分/100kg l/10a l/100kg '94. 5 . 2 771 264(100) 254(96) 32.8(100) 33.3(102) 5.95 0.782 '95. 5. 19 562 290(100) 310(107) 50.8(100) 57.0(112) 6.97 1.195　　　調査時のチップの平均含水率は1994年が40.1％、1995年が35.1％である。　　　　　　　　

　マルバカイドウ台木王林の計画密植栽培樹　　10a当たり剪定枝の処理時間

4

青　　山　　正　　和　（弘前大学農学生命科学部）

りんご剪定枝の堆肥利用の課題 非常にかさばる：軽トラック(最大積載量350kg)に　　

　　　　　　　　 満載しても150kg程度

園内で焼却（現状）

できるだけ園外に持ち出さずに堆肥化

剪定枝処理

原料による堆肥化の難易

　　　　　　　　　　難　　　　　　　　　　　　　　　　　易

　　　　　　木質物　＞　もみがら　＞　稲わら

　　　　　針葉樹　＞　広葉樹

剪定枝（休眠期）　＞　剪定枝葉（生育期）

坂本（2005）

踏圧を加え、窒素源を添加

リンゴ剪定枝堆肥化の手順（木枠を使用した場合）

積み上がった状態

剪定枝をチップ化して木枠に積み込む

灌水し、木枠を引き上げて積み込みを繰り返す

リンゴ剪定枝堆肥化の手順（木枠を使用した場合）

ローダーによる切り返し作業ビニールで覆って堆積終了

切り返し時の灌水切り返し後の堆積状況

チッパーＡ チッパーＢ

チッパーによるチップの大きさの違い

ﾁｯﾌﾟA 　　　　　　　　　　　ﾁｯﾌﾟB

5

堆積期間中の温度の推移

矢印は切り返しの時期を表す．

-10

0

10

20

30

40

50

60

70

80

0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330

堆積日数

温度（℃）

堆肥Ａ(中心)

堆肥Ａ(外周)

堆肥Ｂ(中心)

堆肥Ｂ(外周)

気温

↓

↓

↓

↓

↓

坂本・青山（2004）

リンゴ剪定枝 チッパーによる粉砕

積み込み 切り返し 後熟・仕上がり

○粉砕可能な剪定枝の量　 200～300kg/10ａ程度（直径５～６cm以下）

○剪定枝チップ１ｍ3*1

に対して，鶏ふん*2

70kgまたは，鶏ふん26kg＋石灰窒素５ｋｇを添加*3

○ほぼ１か月に１　　回の割合で，少なくとも３回行う．その際適宜，水分を補給する．

○最終切り返し終了　後３か月程度で使用可能

*1目安として1.8ｍ四方で高さ0.3ｍの木枠一杯分に相当．*2発酵鶏ふんまたは乾燥鶏

ふん．*3チップの粒径が比較的粗い場合は踏圧して，細かい場合は踏圧しない状態での１ｍ3に対する添加量．

リンゴ剪定枝の堆肥化方法（まとめ）

坂本（2005）

剪定枝堆肥、稲わら堆肥及びもみがら堆肥の成分組成

平均

最高最低

平均

最高最低

平均

最高最低

2.2b1.8a4.74.7a4.324.662.1b

2.4

1.8

3.4

0.5

9.2

1.0

10.6

1.2

5.6

2.5

42.6

17.2

69.9

57.7もみがら堆肥

4.3b0.5b2.90.8b3.619.577.3a

8.5

1.0

0.9

0.2

7.3

1.0

1.4

0.1

5.1

2.3

30.9

14.1

85.1

68.4稲わら堆肥

2.0b2.5a7.62.5ab4.225.669.4

2.4

1.0

3.1

2.3

15.5

3.0

5.3

1.0

5.8

2.5

35.5

15.5

74.5

65.7剪定枝堆肥

ｶﾘｳﾑﾏｸﾞﾈｼｳﾑ

ｶﾙｼｳﾑリン酸窒素

１ｔ当たりの含有量（ｋｇ）炭素率

(Ｃ/Ｎ)

　水分

(現物％)堆肥の種類

注）分析点数は剪定枝堆肥５、稲わら堆肥10、もみがら堆肥４点。異符号間（ａ、ｂ）で有意差あり。　　

坂本（2005） 坂本（2005）

試験区 幹 周 樹 高 総新しょう長

剪定枝堆肥ａ 4.8 b 176 b 186 b

剪 定枝堆肥ｂ 4.7 b 180 b 172 b

剪 定枝堆肥ｃ 4.9 b 181 b 167 b

稲 わら堆肥 4.5 b 170 ab 132 b

無 処 理 3.8 a 165 a 59 a

注 ）異なるアルファベット間には有意差があることを示す。

剪定枝堆肥の施用がリンゴ苗木生育に及ぼす影響

坂本（2005）

剪定枝堆肥の施用が土壌の化学性に及ぼす影響

試験区 ｐＨ 可給態 可給態 交換性塩基(H O) 窒素 リン酸 ｶﾙｼｳﾑ ﾏｸﾞﾈｼｳﾑ ｶﾘｳﾑ2

剪定枝堆肥ａ 5.82 b 4.68 b 1.6 ab 204 b 32.2 b 43.2 cd

剪定枝堆肥ｂ 6.25 c 3.97 b 1.8 b 364 c 36.1 bc 38.1 c

剪定枝堆肥ｃ 6.26 c 4.40 b 4.8 c 495 d 49.5 c 59.1 d

稲わら堆肥 5.03 a 2.37 a 0.9 ab 33 a 10.0 a 18.3 ab

無 処 理 4.93 a 2.03 a 0.6 a 14 a 11.7 a 15.7 a

注）ｐＨを除いて、単位は乾土100ｇ当たりのmg。異なるアルファベット間には有意差があることを示す。

リンゴ剪定枝堆肥を施用した場合の影響　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（まとめ）

施用効果（稲わら促成堆肥との比較）

　・リンゴ苗木に対する生育促進　　　　同等

　・土壌化学性（ｐＨ、交換性塩基等）の改良　　　優る

紋羽病への影響

　・紫紋羽病の接種試験の結果、

　　　半年以上堆肥化したリンゴ剪定枝堆肥では、発病を助長　　

　　　する傾向はみられなかった。　　

　　　　　　　

坂本（2005）

6

リンゴ剪定枝堆肥利用における課題　

１．より迅速な堆肥化法の開発

２．どれだけ普及できるか？

リンゴ剪定枝の迅速堆肥化試験

①稲わら+ 米ぬか + 鶏ふん(重量比 10：7：2)②リンゴ剪定枝 + 米ぬか+ 鶏ふん(重量比 10：7：2)

10

20

30

40

50

60

70

80

温度(℃)

0 7 14 21 28 35 42 49 56 63 70 77 84

堆積日数

リンゴ剪定枝

稲わら

気温

堆肥化中の温度変化　

0

50

100

150

収量指数

NPK 28日 56日 84日 182日 28日 56日 84日 182日

a

bab

稲わら堆肥 リンゴ剪定枝堆肥

bb

bb

bb

コマツナ地上部乾物収量の比較　（同記号は5%水準で有意差なし）　

剪定枝の粉砕、積み込みに要する作業時間

容積(m3)容積(m3)全量

　　　　　　　　粉砕、堆積量

　　3.5 　　253

1人1hr当たり

　　　0.2　（合計散水量：324ℓ）2人×2回　散　水

　　　79　1092　　13.93人×4.6hr作業全体

重量(kg)　

重量(kg)延べ作業時間(hr)

作業人数作業内容

注）作業全体の内訳は剪定枝の粉砕、窒素源添加、堆積、散水、ビニール被覆

使用した剪定枝チッパー

坂本（2005）

剪定枝堆肥の切り返しに要する作業時間

注）作業全体の内訳は剪定枝の粉砕、窒素源添加、堆積、散水、ビニール被覆

5686　 31 (1790)35合　計

1219　　 ７ (430)　　　６8/23（3回目）

1624　　 ９　(540)　　　９7/19（2回目）

2843　　15　(820)　　　206/20（1回目）全作業散水(水量:ℓ)切り返し

堆肥1t当たり作業時間

作業時間実施時期

切り返し時の散水坂本（2005）

7

剪定枝堆肥の施用に要する作業時間

注）運搬車に堆肥を積み込んで移動し（100ｍ）、施用した。施用量は10ａに600kg　　（運搬車２台分）とした。

作業全体

延べ作業時間(hr/10a)

1.60.9８×４喬木性台樹(成木)

1.81.1４×２わい性台樹(若木)

2.31.6４×２わい性台樹(成木)施用作業

栽植距離

（ｍ）

施用ほ場

運搬車への積み込み 樹幹周辺にマルチ施用

坂本（2005）

剪定枝堆肥の製造及び施用に要する経費

2,22627,240合　　計

1,92612,204 労働費

2059,526農機具費

201,361建物費

851,758光熱水費

－2,391肥料費

施用経費(10ａ当たり)

製造経費(１ｔ当たり)

項　　目

注）施用経費はわい化成木園の場合。農機具費については運搬車は個人所有、　　チッパー、トラクター及びローダーは３戸で共有として計算。

坂本（2005）

8

リンゴ剪定枝の培地利用の課題

弘前大学農学生命科学部　　

片　方　陽　太　郎

　　　　

第１回 未利用バイオマス・セミナー

060324

研究の目的

・リンゴ鹿角霊芝の付加的商品価値の探索　

農学的・生化学的生理作用の解明　

・リンゴ剪定枝のリサイクル的実用化　

・リンゴ剪定枝の生産培地への利用　

• 霊芝が若芽のまま生育したもので、鹿の角様の形状を取る

• 天然のものは数万本～数十万本に一本の割合で自然発生

• β-D-グルカンの含有率が霊芝やアガリクスの数倍以上と

されている

• 研究報告が霊芝より圧倒的に少なく，今後様々な方向での

　開拓の余地あり

鹿角霊芝

りんご鹿角霊芝

• 培地基材にりんごの剪定材を用いて培養

• 使用済みの培地を堆肥として再利用できるので，廃棄物が

縮小される（バイオコンバージョン技術）

バイオコンバージョン技術

剪定枝 チップ化

配合・瓶詰め

培養使用済み培地

堆肥

再利用

カ　キ サクラク　ワ リンゴ

各種剪定材を菌床に用いて栽培した鹿角霊芝子実体（１）

ウ　メ

ナ　ラ ブ　ド　ウ

各種剪定材を菌床に用いて栽培した鹿角霊芝子実体 （2）

9

廃棄物となった剪定材を菌床に用いた鹿角霊芝栽培が行われるようになった。

カ　キ

ク　ワ

サクラ

リンゴ

ウ　メ

ナ　ラ

ブドウ剪定材の違いで外観の異なる子実体が形成されることが明らかになってきた。

リサイクル型農業を目指して・・・廃棄物となる各種剪定材

子実体内の成分も異なるのではないか？

菌床に利用して鹿角霊芝を栽培

子実体の形状が異なる

剪定材の違いによる子実体内の成分を比較

水溶性多糖の構成糖および糖結合様式の比較

カ　キ

ク　ワ

サクラ

リンゴ

ウ　メ

ナ　ラ

ブドウ

(mol%) カ　キ ク　ワ サクラ ウ　メ リンゴ ナ　ラ ブドウ

Fuc 3.1 3.2 5.8 6.6 4.3 6.5 8.2

Ara 24.4 26.7 0.7 1.2 5.0 8.1 1.1

Rha 6.7 4.9 0.2 0.4 3.1 3.0 0.4

Gal 25.9 16.1 37.4 41.2 36.0 40.8 48.4

Glc 10.1 11.4 30.2 22.4 20.3 17.9 22.1

Xyl 18.2 21.6 2.1 1.8 4.9 7.7 2.8

Man 11.5 16.2 23.6 26.4 26.4 16.1 17.0

水溶性画分の中性糖の組成

◎　＞　○　＞　△　＞　×　＞　－

多 少

カ　キ ク ワ サクラ ウ メ リンゴ ナ　ラ ブドウ

ガラクタン系 ○ △ ○ ○ △ ◎ ◎

グルカン系 △ ○ ◎ ○ ◎ ○ ○

キシラン系 ◎ ◎ × △ ○ △ ×

多糖の種類

種々の剪定枝で栽培された子実体の多糖の種類

異なる剪定材を菌床に用いて栽培した鹿角霊芝は、子実体にそれぞれ特異的な糖組成が認められた。

異なる有効成分を含んだ鹿角霊芝栽培が可能であると考えられた。→ 創薬、目的に応じた製品開発

菌床に用いる剪定材が鹿角霊芝子実体の成分に影響を及ぼすことが考えられた。

廃棄物となる剪定材

有効利用選択・利用

１．活性物質と腫瘍細胞と

　　の関連性の吟味

2．活性物質の分子生物学

　　的検討

３．活性物質の実用化

癌細胞の種類、転移能

(In vitro)

クローニング、Ｉｎ　ｖｉｖｏ　で

の確認

創薬、医薬部外品

研究の方向性

10

廃木材リサイクルの現状と課題

未利用バイオマス・セミナー報告 2006.3.24

農学生命科学部 高橋　秀直

（１）ゴミ問題からみた住宅問題

建設業の廃棄物は、全体の2割程度、農業の方が多い。

産業別産廃排出割合 （2001年度）

電気・ガス・水道

業

22%

農　　　　　業

23%

建　　設　　業

19%

製　　造　　業

18%

その他

18%

不法投棄の内容 （2001年度）

6～7割は建設廃棄物。 大半は住宅取り壊しから

木くず22%

がれき類19%

汚泥16%

金属くず2%

動植物性残渣1%

繊維くずなど1%

廃ﾌﾟﾗｽﾁｯｸ類15%

その他1%

ｶﾞﾗｽ・陶器くず2%

その他の建設廃棄物21%

以前は、丸ごとゴミに──ミンチ解体

野焼き同然の焼却処理

2000年 建設リサイクル法2002年から完全施行

② 分別解体の義務化

③ コンクリート・アスファルト・木くずのリサイクル義務化

④ 発注者（住み手）・工務店にも責任

① 工事業者の登録制

11

分別解体風景

解体木材の用途は ‥‥

② チップ化 敷き料／堆肥

燃料／発電

① 再利用

③ 木炭（燃料／調湿材／水質・土壌改良材）

製紙・ボード用原料

④ サーマル・リサイクル

解体木材堆肥化の現状ボード用チップ生産の現状

住宅解体木材のほとんどは、焼却・埋め立て

行き詰まりつつある焼却

費用構造から見た解体木材リサイクルの問題

経営は処理費圧縮に掛かっている

解体請負費＝ 坪単価× 床面積 （不合理！）

請負費＞ 解体工事費＋運搬費＋処理費

限りなくゼロに近づけたい！

リサイクルも処理費圧縮が目的

“タダでも成り立つはず”処理費をめぐる攻防

リサイクル品に価格形成されず

12