総務委員会 都市行政調査報告書 · ⑵ kanazawaスマホアプリコンテスト...

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平成27年度 総務委員会 都市行政調査報告書 ○調査日 平成27年8月18日~8月21日 ○調査先・調査事項 【金沢市】 ・ オープンデータの推進について ・ 男女共同参画の取組みについて 【長野市】 ・ 住民自治協議会の取組みについて 【さいたま市】 ・ 公共施設マネジメント計画について

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平成27年度

総務委員会 都市行政調査報告書

○調査日 平成27年8月18日~8月21日 ○調査先・調査事項

【金沢市】

・ オープンデータの推進について

・ 男女共同参画の取組みについて

【長野市】

・ 住民自治協議会の取組みについて

【さいたま市】

・ 公共施設マネジメント計画について

所管事務調査報告書(総務委員会)

総務委員会

委 員 長 菊 地 ル ツ

副委員長 渡 辺 喜代美

委 員 稗 貫 秀 次

委 員 藤 澤 昌 隆

委 員 村 田 光 成

委 員 佐々木 勇 一

委 員 稲 葉 典 昭

同 行

政策推進部長 阿 部 信 一

総務部長 山 崎 雅 市

市民活動部長 草 森 紳 治

議会事務局総務課議事係主任

服 部 亮

総務委員会は、所管事務に関する調査のため、平成 27年8月 18日から8月 21日までの4日

間において、石川県金沢市(8月 19日)、長野県長野市(8月 20日)、埼玉県さいたま市

(8月 21日)を訪問し、本委員会の所管事務中、重要政策の企画及び総合計画に関する事項、

財産に関する事項、情報に関する事項、市民活動に関する事項、男女共同参画に関する事項に

関し、説明聴取、質疑応答及び資料収集を行った。

なお、収集した資料については、議会事務局図書室において保管している。

以下、訪問順にその概要を報告する。

- 1 -

調査項目① 『オープンデータの推進について』 調 査 先:金沢市

調査日等

月 日:平成27年8月19日(水)

場 所:金沢市役所

説 明:市長公室 情報政策課 ICT推進室

室 長 松田 俊司 氏

主 査 神田 現 氏

調査概要

1 事業の位置づけ

金沢市は、平成25年3月に「世界の交流拠点都市金沢をめざして」と題した新たな都市

像を策定し、平成26年2月には、この実現に向けて今後10年間に実施すべき施策をとりま

とめた重点戦略計画を策定した。オープンデータの推進については、この計画の主要施策

である「絆づくり」のなかで、市民協働を推進する事業として位置づけられており、公共

データを二次利用可能なかたちで公開し、住民や民間事業者等にそのデータを活用しても

らい、市民に役立つものを作成してもらうことで、市民の利便性向上や地域の活性化につ

なげていくことを目的として取組みが進められている。

◎ 「世界の交流拠点都市金沢」重点戦略計画

主要施策 <魅力づくり> ~ 個性を伸ばす ~

<まちづくり> ~ 都市機能を高める ~

<ものづくり> ~ 活力を生み出す ~

<ひとづくり> ~ 未来を育む ~

<環境づくり> ~ 自然と共に生きる ~

<暮らしづくり> ~ 安心して暮らせる ~

<絆づくり> ~ 協働を進める ~

オープンガバメントの構築

情報通信技術を利活用し、市政情報を可能な限り市民に提供することにより、自分たち

の手で必要な事業を展開することができるよう金沢版のオープンガバメントを構築する。

◇オープンガバメントの構築

前期(25~27年度) 中期(28~30年度) 後期(31~34年度)

オープンデータの推進

実験的な公共サービスの支援等

オープンデータの範囲拡大

民間による公共サービス支援等

オープンデータの充実等

- 2 -

2 平成27年度の取組み

① オープンガバメントの構築

② オープンデータ化推進に向けた指針の策定

③ オープンデータの拡充

④ オープンデータコンテストの開催

※ 情報インフラの整備促進

金沢市公衆無線LAN「KANAZAWA FREE Wi-Fi」の拡充

3 公開しているオープンデータ

⑴ 施設データ

市が管理している一部施設の情報を公開

○ 公開時期 平成25年1月~

○ データ件数 約2,300件

【全14項目】 ①観光 ②文化・芸術 ③生涯学習 ④くらし ⑤こども

⑥スポーツ施設 ⑦福祉・健康 ⑧ビジネス ⑨学校 ⑩公園

⑪駐車場・駐輪場 ⑫ふらっとバス ⑬レンタサイクルまちのり

⑭避難所

○ データの取得方法

・ CVSファイルのダウンロード

・ APIによるデータ取得

○ データ項目

緯度・経度、ジャンル、施設名称、概略、住所、連絡先、開館時間、休館日、

料金、備考、リンク

○ ライセンス

クリエイティブコモンズの「表示」(CC BY)による公開

※金沢市からの提供情報であることを表示し、情報発信元

へのリンクを掲載することで、二次利用・商用利用が可能

⑵ 画像データ

市が保有している観光地や施設などの画像データを公開

○ 公開時期 平成26年3月~

○ データ件数 約680件

○ データ項目

写真、メタデータ(撮影場所(住所、地域、座標)、画像解像度、撮影日 等)

○ ライセンス

クリエイティブコモンズの「表示」(CC BY)による公開(一部商用利用不可)

- 3 -

⑶ イベント情報

金沢芸術創造財団が管理している施設のイベント情報を公開

○ 公開時期 平成26年3月~

○ 対象施設(7施設)

金沢能楽美術館、金沢湯桶創作の森、金沢卯辰山工芸工房、、金沢市民芸術村、

金沢市アートホール、金沢市文化ホール、金沢歌劇座

○ 提供形式

JSON (JSON:JavaScript Object Notation)形式

○ ライセンス

クリエイティブコモンズの「表示」(CC BY)による公開

4 オープンデータの活用状況

⑴ 金沢市公式アプリ

施設オープンデータを活用して市有施設の情報検索や、スマートフォンの位置情報を

利用した道案内、ホームページと連動した防災情報の取得等が行える。

⑵ KANAZAWAスマホアプリコンテスト

金沢に関連したアプリコンテストを開催(平成23年度~)

○ 「オープンデータ部門」を新設(平成25年度~)

・ 応募条件 金沢市のオープンデータを利用すること

・ 応募総数 15作品(平成25年度)

・ 主な作品

◇ 「かなざわ避難支援ナビ」(平成25年度グランプリ)

避難所データを使ったアプリ。気象庁から配信される災害情報をアプリで受信

し、最寄りの避難所まで誘導する。

◇ 「金沢すきま旅」(平成26年度市長奨励賞)

施設データを使ったアプリ。出張や観光中にできた空き時間を入力することで、

その時間に合った観光ルートをおすすめしてくれる。

⑶ KANAZAWAアプリ開発塾

オープンデータを活用したアプリの開発を目指す若者を育成(平成26年度~)

・ 募集対象 2名以上の学生グループ

・ 目 的 「金沢を元気にするアプリケーション」をテーマに、自ら地域の課題を

発見し解決するアプリを開発

・ 支援体制 エンジニアやデザイナー等による定期的なセミナーの開催や、個別アド

バイスによるアプリ開発の支援を行う

・ 開発作品

◇ 「Gyozy」(石川高専越野研究室)

イベント情報データを使ったアプリ。視覚的に分かりやすいデザインでイベント

を紹介する。

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⑷ 民間の活用状況

◇ 「あるんけ金沢」(㈱ビットストリーム)

金沢近郊の店舗情報等を掲載した地域密着型のポータルサイト「あるんけ金沢」に

画像データ等を使用

◇ 「アーバンホーム」(㈱アーバンホーム)

ホームページの不動産掲載地図に、施設データを利用して公共施設の位置情報など

を掲載

5 シビックテックの取組み

市民がテクノロジーを活用して地域課題を解決する取組み

○ 「Code for Kanazawa」(平成25年5月設立(平成26年2月一般社団法人化))

◇目 的 市民の課題を集め、その課題を整理・分析した上で、ソフトウェアやハード

ウェア(仕組みや方法)を開発し課題解決を図る

◇構 成 エンジニア、デザイナー、起業家、映像作家など幅広い人材で構成

◇開発物 「5374(ゴミナシ)」

・ ごみ出しのわかりにくさを、ITでシンプル

に解決し、いつどのゴミが収集されているかを

見やすく表示

・ 全国70都市以上で公開中

・ 金沢市では環境部門からのデータ提供のほか、

周知面でも協力

◇活 動 「Code for Japan BrigadeMeetup」(平成26年8月)

全国29のCodeforコミュニティが金沢市で初のミー

ティングを開催

「インターナショナルオープンデータデイ」(平成27年2月)

世界中の国や都市などの公共基幹が取り組んでいるオープンデータ施策を

サポートして、利用を促進するイベントを開催

6 今後の展望

○ シビックテックの取組みを進める。

※「5374(ゴミナシ)」アプリ

市民

団体

行政

アプリ

KANAZAWAスマホアプリコンテスト

KANAZAWAアプリ開発塾

Code for Kanazawa

オープンデータ

技術者、企業、学生等が、オープン

データを活用し、地域課題の解決の

ためのアプリを開発

決課題の洗い出し

徐々にシビックテックが市内

に広がりつつある

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○ 金沢と全国との人と情報の交流を通じて、さらなる市民協働を促進させる。

○ 「世界の交流拠点都市金沢」重点戦略計画を着実に実施し、新たな価値の創造と持続

的発展を図る。

主な質疑

Q.オープンデータの活用状況は。

A.WEB制作会社や不動産会社、出版社、報道関係の会社などの活用事例がある。なお、オ

ープンデータの活用の自由度に影響を及ぼすと思われるため、活用に対する報告義務は設け

ていない。

Q.画像データは、写真の専門家が撮影したものか。

A.専門家に委託したものと、職員が撮影したものがある。著作権の問題があり、整理は必要

になる。山梨と静岡が実施しているプロジェクトでは、画像データを市民等から広く募集し

ているが、当市では、ある程度の質を確保したいという思いもあり、公募は行っていない。

今後、市民参加という点で、画像データ等を提供したいといった需要への対応が課題である。

Q.オープンデータを活用したアプリが開発されているようだが、アプリの活用状況やその効

果は。また、市民協働をどのように推進しているのか。

A.市民協働の推進では、民間団体である Code for Kanazawa の設立が大きな推進力になって

いる。核となる民間団体や人がいるかいないかで、市民協働の推進状況も違ってくる。市と

してそういう団体や人を育成、サポートしていくことが重要と考えている。また、アプリの

活用状況の指標としては、アプリの数がある。アプリの数が増えれば、使用者も増加すると

考えられる。そのため、さらなるコンテストの充実や周知に努めたい。

Q.アプリのアップデートは製作者が行うのか。

A.製作者が行う。概ね3年ごとのサイクルになると思われる。

Q.本事業を情報関係の部署が担当することになった経緯は。また、データの管理や鮮度につ

いて、他部署との連携はどのように行っているのか。

A.市長がICTを活用したまちづくりをマニフェストに掲げていたこともあり、当初は企画

部門で本事業を担当していたが、ICT推進室の創設に伴い、当課で担当することとなった。

他都市では産業・観光部門が担当している事例もある。また、データ管理は各所管部署が行

い、ICT推進室がサポートする体制をとっている。リアルタイムで処理しなければならな

いデータはほとんどなく、月または年1回の更新を行っている。

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Q.金沢市を含む4市2町(金沢市・白山市・かほく市・野々市市・津幡町・内灘町)におけ

る広域連携の取組みの進捗状況は。

A.オープンデータにおける広域連携は今後の課題と認識している。周辺市町においてオープ

ンデータの取組みを進めているので、それらをどのようにつなぎ、公開していけるかが課題

である。観光分野では、国のオープンデータサイトを利用するのも一つの方法であり、コス

トのメリットがあるが、国のサイトに画一的に掲載されるため、各自治体の色がでないとい

ったデメリットもある。

調査項目② 『男女共同参画の取組みについて』 調 査 先:金沢市

調査日等

月 日:平成27年8月19日(火)

場 所:金沢市役所

説 明:市民局人権女性政策推進課

課 長 東田 真澄 氏

主 査 南 友紀 氏

調査概要

1 新金沢市男女共同参画推進行動計画の概要

⑴ 計画策定の趣旨

金沢市では、平成13年12月に「金沢市男女共同参画推進条例」を制定した後、この条

例に基づき、平成15年3月に「金沢市男女共同参画推進行動計画」を策定し、男女共同

参画の施策を推進してきた。社会情勢の変化に対応するため、金沢市においても女性を

はじめとする多様な人材の活用による社会の活性化や、男性や子どもにとっても暮らし

やすいまちづくりを進めることが、喫緊の課題となっており、国や県の動向を勘案しな

がら、男女共同参画社会の実現に向けて今後10年の目標と施策の方向性を示す新たな計

画を策定した。

⑵ 計画の理念

男女が自立した人間として社会のあらゆる分野でいきいきと輝くことのできる社会の

形成を総合的、計画的に推進する。

① 男女が性別により差別されることなく、その人権が尊重される社会

② 男女が固定的な役割を強制されることなく、多様な生き方を選択できる社会

③ 男女が社会の構成員として、市の政策又は方針の立案及び決定に平等に参加する機

会が確保される社会

④ 男女が社会的・文化的な性別(ジェンダー)をこえて、家庭生活及びその他の社会

生活において責任を共に担う社会

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⑤ 男女が互いの性を尊重し、性と生殖に関する健康と権利を認め合う社会

⑥ 男女が国際社会における男女共同参画の取組みと協調し、連携を深め合う社会

⑶ 基本目標と重点課題

【基本目標】

男女共同参画社会の実現に向け、6つの「基本目標」、19項目の「課題」を掲げ、こ

れに基づく施策を総合的に展開する。

男女共同参画の推進に向けた意識の改革

方針の立案及び決定過程への女性の参画の拡大

就業分野において男女が個性と能力を発揮できる社会の実現

ワーク・ライフ・バランスの推進

女性の人権と身体が守られる社会の実現

国際社会を視野に入れた男女共同参画の推進

【重点課題】

本計画では、特に早急に取り組む必要のある下記の5つの課題については、今後5年

間(計画前期期間)において、重点的に施策を展開する。

⑷ 計画の推進

① 市民に対して積極的な情報提供を行い各種団体等と連携を深め、計画の推進を図る。

② 女性センターを男女共同参画推進の拠点とし、情報・学習機会の提供等を行う。

③ 積極的な数値目標を設定し、定期的に点検・評価する。

④ 市民からの苦情等の申出を処理するため、苦情処理機関を設置する。

⑸ 計画の位置づけ

本計画は、金沢市の新たな都市像となる「世界の交流拠点都市金沢をめざして」に基

づく部門別計画の一つであるとともに、男女共同参画施策を総合的に推進するため、市

の各部門の施策を男女共同参画の視点で横断的にとらえるものである。

基本目標Ⅰ

基本目標Ⅱ

基本目標Ⅲ

基本目標Ⅳ

基本目標Ⅴ

基本目標Ⅵ

<5つの重点課題>

① 社会における女性の活躍(ポジティブ・アクション)の促進

② 方針の立案及び決定過程への女性の参画の拡大

③ ワーク・ライフ・バランスの推進

④ 地域コミュニティ活動等における男女共同参画の推進

⑤ 配偶者等からの暴力の防止及び被害者支援の充実

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⑹ 数値目標

計画の進捗状況を客観的に把握するため数値目標を設定

【数値目標】

基本目標 項目 目標値

(※目標年度) H25年度末 H26年度末

基本目標Ⅰ

「金沢市男女共同参画推進行動計画」の

認知度 80% ― ―

「男女共同参画」の認知度 80% ― ―

男女共同参画出前講座の実施回数 30回/年 20回/年 13回/年

男女共同アドバイザー登録者数 100人

(2017) 14人 22人

基本目標Ⅱ 市審議会等における女性委員の割合 法令・条例

40%

28.35%

(H26.4.1)

26.78%

(H27.4.1)

それ以外

30%

28.42%

(H26.4.1)

22.33%

(H27.4.1)

市審議会等において女性不在の審議会数 0

(H26.4.1)

10

(H27.4.1)

公民館長の女性比率 30%

3.3%

(H26.4.1)

1.6%

(H27.4.1)

小中学校PTA会長の女性比率 30%

1.2%

(H26.4.1)

2.5%

(H27.4.1)

農業委員における女性比率 30%

11.5%

(H26.4.1)

11.5%

(H27.4.1)

町会長の女性比率 30%

3.2%

(H26.4.1)

2.6%

(H27.4.1)

コミュニティ防災士の女性比率 30%

16.33%

(H26.4.1)

18.97%

(H27.4.1)

家族経営協定の締結数 30協定

(2017) 30協定 30協定

基本目標Ⅲ 女性活躍促進実践プログラムモデル

事業者数 50社 ― ―

母子自立支援プログラム策定件数 50件

(2014) 19件 22件

基本目標Ⅳ ワーク・ライフ・バランスの認知度 50% ― ―

市男性職員の育児休業取得率 5% 62.6% 60.3%

市男性職員の育児休暇取得率 55%

(2014) 62.6% 60.3%

子育て夢ステーションの設置数 160カ所

(2014) 142カ所 142カ所

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子育てサロンの設置数 39カ所

(2014) 40カ所 39カ所

休日保育実施箇所数 7カ所

(2014) 7カ所 7カ所

病児一時保育の箇所数 7カ所

(2014) 7カ所 7カ所

ファミリーサポートセンター提供会員数 800人

(2014) 598人 598人

はたらく人にやさしい企業表彰数 毎年5社 3社/年 2社/年

放課後児童クラブ数 80カ所

(2014) 83カ所 84カ所

基本目標Ⅴ 女性相談支援室の認知度 80%

(2014) ― ―

デートDV予防啓発出前講座実施数 市内中学校 0 0

子宮頸がんワクチンの接種率 100% 13.00% 推奨せず

※目標年度については、計画期間の平成34年(2022)年度としているが、各関連プランで目標値を定めている

ものについては、( )内に目標年度を記載

※年度末時点以外の数値については、数値下の( )内時点における数値を記載

2 条例制定及び都市宣言に至った経緯

⑴ 条例制定の経緯

金沢市では、平成13年12月の定例市議会において、議員提案により「金沢市男女共同

参画推進条例」(平成14年4月1日施行)が制定される。議会が自ら検討会を設置し、

勉強会を重ね、条例を制定。この条例は、男女共同参画の推進について、基本理念を定

め、市・市民・事業者の責務を明らかにし、あらゆる分野において平等な男女共同参画

の実現を目的としている。

⑵ 都市宣言の経緯

(平成24年)

・11月 金沢市文化ホールで「第22回男女共同参画全国都市会議inかなざわ」が開

催され、金沢市女性議員をはじめ、多数の議員が参加し、「男女共同参画

施策の現状と今後の課題」について理解を深めた。

(平成25年)

・6月 女性議員勉強会で男女共同参画都市宣言について協議し、議長へ要望する

ことを合意。

・7月 女性議員5名が議長に要望。

・9月 議会代表者会議にて、女性議員が宣言文を作成することに決定。学識経験

者からも意見を聴取。

・11月 女性議員から議長へ宣言文案提出、各派代政策調整会議で検討。

・12月 「男女共同参画都市宣言」を議会議案として本会議に上程。

・3月 市民フォーラムの開催。

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3 今後の課題

新たな行動計画において、基本目標ごとに数値目標を設定し、本計画の推進を図ってい

るが、平成25年度と平成26年度の結果を比較すると、数値が低下している項目があり、今

後の課題として認識している。このため、各項目の数値を目標値に近付けられるようさら

なる推進活動に努める必要がある。

主な質疑

Q.庁内推進体制の強化として、連絡会議を設置しているとのことだが、こうした連絡会議は、

市役所全体ではどれくらい設置されているのか。また、各会議の運営状況は。

A.推進計画や行動計画を策定している部署では、全庁横断的な連絡会議を設置している。ま

た、各会議では、計画の進捗状況を把握するため、前年度の評価や次年度の方向性の確認な

どが行われている。

Q.基本目標であるワーク・ライフ・バランスの項目のうち、男性職員の育児休業と育児休暇

という項目があるが、両者の違いは。

A.育児休業は子どもが生まれた後の育児を行うための休暇、育児休暇は出産の立会いや退院

の介助のための休暇として区分している。平成26年度の実績は、育児休業が1.5%、育児休暇

が60.3%であり、育児休暇に比べ育児休業の取得率は非常に低い。

Q.育児休業の取得率が上がらない背景には、社会的、物理的な様々な要因があり、市役所の

中でも仕組みや考え方が変わらないと、現実的には広がっていかないと考えるが、取得率向

上へ向けてどのように取り組んでいるか。また、女性活躍推進庁内プロジェクトにおける提

案内容やその効果は。

A.職員に対して意識啓発を定期的に通知しているが、効果は薄い。今年、内閣府では第4次

男女共同参画基本計画のなかで、男性の働き方の見直しを重点項目として掲げられており、

当市としても、国の動きを受け、プランの見直しと施策への反映を考えている。また、女性

活躍推進庁内プロジェクトでは、仕事の見える化や庁内の基幹系パソコンを利用した個人ス

ケジュールの共有など提案されており、実現化が今後の課題である。

Q.各種団体の女性比率の目標値を 30%と設定しているが、女性比率向上に向けて、各種団体

に対してどのような働きかけを行っているのか。

A.政府が2020年度までに指導的地位に就く女性の割合の目標値を30%に設定したことに基づ

き、当市においても同様の目標値を設定した。各種団体には、その都度働きかけはしている

が、目標値の達成には厳しい状況となっている。

Q.男女共同参画に対する地域の現状は。

A.石川県は女性の就業率が全国8位だが、指導的地位に就く女性の割合は全国40番台である。

多世帯家族が多く、共働きしやすい環境のため、就業率は高いが、指導的地位に就く女性の

割合が低い状況となっている。

- 11 -

Q.男女共同参画について、どのような普及啓発活動を行っているのか。また、苦情処理機関

の認知度は。

A.普及啓発活動としては、男女共同参画アドバイザーの養成、出前講座、セミナーや集会へ

の講師派遣、情報誌るうぷの発行等を行っている。また、苦情処理機関については、広報誌

など、いろいろな場面で周知を図る必要があると考えている。

Q.支援講座の参加率及び参加者の年齢層は。

A.昨年度は、受講者は188人、定員割れした講座は少なかった。受講者の主な年齢層は30代、

40代である。

Q.女性センターの各事業について、他の部署に関連する事業も含まれているようだが、それ

ぞれの所管部署において事業を担当しているのか。

A.全ての事業を人権女性政策推進課と女性センターが担当している。もともと教育委員会部

局で所管している事業もあったが、組織改編に伴い、女性センターを男女共同参画の活動拠

点に位置づけ、教育委員会部局から市民局へ全ての事業を移管した。

Q.人権女性政策推進課と女性センターの女性職員の割合は。

A.当課は、6人体制で、女性は非常勤職員1人含め計3人と男性職員3人。女性センターは、

5人体制で、男性の館長1人と女性の非常勤職員が4人。

Q.石川県の男女共同参画推進計画の策定状況が 100%であるが、その背景は。

A.もともと女性就業率が高い土地柄で、男女共同参画に対する関心が高かったことに加え、

各市町村に対して計画を策定するよう県の働きかけがあったことが大きな要因と思われる。

Q.男女共同参画アドバイザーの男女比率は。また、特定のエリアの登録者数を重点的に増や

すなど、登録者数の増加に向けた戦略の考え方は。

A.アドバイザー登録者22人のうち男性3人、女性19人。まずは、アドバイザーには、居住地

域で講師の役割を担ってもらいたいと考えている。戦略については今後の検討課題。

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調査項目③ 『住民自治協議会の取組みについて』 調 査 先:長野市

調査日等

月 日:平成27年8月20日(木)

場 所:長野市役所

説 明:市民生活部 地域活動支援課

課長補佐 藤田 啓一 氏

主 査 芦沢 浄次 氏

主 査 諸野脇 一成 氏

調査概要

1 都市内分権の推進

長野市では、これまで公平性・公正性の確保の観点から、市内全域を対象に画一的な施

策を行い、地域ごとに異なる施策を行っていなかったが、それぞれの地域には、市街地、

住宅地、中山間地などの地域特性があり、住民のニーズも様々であることから、地域の実

態に即したまちづくりを展開する必要性があった。このため、「自分で出来ることは自分

で、自分だけでできないことは地域で、地域だけで出来ないことは行政で行う」という補

完性の原理のもと、市が地域住民の活動を積極的に支援し、地域課題の迅速かつ効果的な

解決を図る都市内分権システムの取組みを進めている。

<都市内分権のイメージ図>

住民の福祉の

増進に向けて

自分たちの地域は

自分たちでつくる

地 域

住民自治を

支援する

市協 働

地区住民が望むサービスの提供が可能となり、

市民の満足度が高まる

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2 住民自治協議会

「自助、互助、公助」の補完性の原理のもと、住民の福祉の増進を目的に、市と協働し

て個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図るための組織として「住民自治協議会」が

長野市32地区において設立され、平成22年度から本格的な活動を行っている。住民自治協

議会は地区の特性を生かした活動を総合的に行う住民主体の任意の自治組織である。

⑴ 設立地区

長野市は、明治以降の合併時の市町村単位を基礎とした市内32の地区割で構成されて

おり、この地区ごとに住民自治協議会を設立している。

⑵ 組織概要

<性格> ・ 地区を代表する組織

・ 住民や各種団体の役割分担を明確にした組織

・ 計画性を持つ組織

<役割> ・ 地区住民の意見を集約し市へ提案

・ 地区課題を解決するため独自事業の実施

・ 市が行っている事業を協定により実施

市内 32 地区には、行政連絡区が存

在しており、行政連絡区数の合計は

478 である。また、各地区にある支所

(第一から第五地区は本庁が所管)を

住民自治協議会の拠点として位置づ

け、支所長等を「地区活動支援担当」

に任命し住民自治協議会を側面的に

支援している。

帯広市では、

単位町内会にあたる

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<体制> 下図は標準的な組織例であり、部会の構成等は各地区によって異なる。

地域活動支援課

地区住民自治協議会

総務部会 安全防災部会 健康福祉部会 教育部会 環境部会

住民自治協議会の協力団体

消防団防犯協会

交通安全協会

民生児童委員協議会 学校PTA 老人クラブ

地区活動支援担当(支所)

協働・支援・マネジメント

協力

⑶ 市との関係性

市及び住民自治協議会は、共通の目的である住民の福祉の増進に向かって協働する関

係であることを条例制定し明確化している。また、この条例に基づき、市と住民自治協

議会において協働して行う事務に関し、それぞれが行うべき役割を明確にするとともに、

市が住民自治協議会に対して行う支援に関し必要な事項を定めることを目的として、基

本協定を締結している。

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⑷ 事務の内容

【必須事務】・・・19事務(平成27年度)

◇ 統計調査員、民生・児童委員候補者などの推薦等

◇ ごみ集積所備品管理・巡回指導等

◇ 人権教育・啓発活動

◇ 広報ながの等の配布

◇ 行政連絡代表者・世帯数調査、土木要望の現地調査と取りまとめ等

◇ 共同募金・日赤社資等の募集と取りまとめ など

【選択事務】・・・33事務(平成27年度)

◇ 防犯灯設置・維持管理、交通安全指導等の協力等

◇ ゴミゼロ運動、地域緑化等の環境美化事業

◇ 地域たすけあい事業、保健センターだよりの回覧、

健康づくり講座の開催等の福祉健康事業

◇ 男女共同参画の推進、公民館報の配布、成人式の運営等

◇ 青少年健全育成事業

◇ 「活き生き○○(地区)みんなでトーク」の開催 など

3 都市内分権の具体的取組み内容

⑴ 住民自治協議会への活動支援

① 地区活動支援担当・支所等による支援

支所については支所長、第一から第五地区については市民活動支援課長並びに地区

担当職員を地区活動支援担当に任命し、次の支援を行う。

○ 地区活動支援担当の業務

・ 都市内分権に関する住民への理解及び促進を図ること

・ 住民自治協議会の活動を支援すること

・ その他都市内分権の目的を達成するため市長が必要と認めること

<具体的な支援内容>

◆ 住民活動の側面的支援

活動に伴う課題の整理やコンプライアンス、予算や決算に関する専門的見

地からの助言、市有情報や先進事例の情報提供など、住民自治協議会の活動

を側面的に支援

◆ 住民自治協議会の事務局を担当

当分の間は、住民自治協議会の事務局を担い、様々な問題や課題の発生に

対処。ただし、行政が携わることが望ましくない会計出納事務などは、住民

自治協議会が独自に雇用する事務局職員等に対応を依頼

◆ 地区まちづくり計画の策定支援

住民自治協議会の将来像や目標を定め、その実現に向けた「地区まちづく

り計画」の策定や見直しを支援

- 16 -

② 事業担当課による支援

事業担当課(ここでは地域行政に関する事業を行うすべての担当課のことをい

う。)は、これまで以上に地域の実情や特性に精通・配慮することで、地域住民の要

望を的確に把握し、その実現に向けて、担当する専門分野の立場から、地区活動支援

担当や都市内分権課と連携して対応。特に、これまで各種団体を所管していた課は、

団体で実施してきた活動を住民自治協議会に移行する際に生じる課題や疑問等に対し、

解決に向けて積極的に支援を行う。

③ 財政的支援

【地域いきいき運営交付金】

各地区の住民自治協議会が使途を決定することで、自主的かつ自立的な取組みを

支援。住民自治協議会の運営、活動など、使途を限定しない一括交付金。

<実 績> 32地区総額 294,091千円(平成26年度)

<人 件 費> 1地区あたり1,900千円の事務局職員の人件費を含む(世帯の多い

地区へは10~30万円を加算)→事業費として使用することが可能

<積 立 金> あらかじめ定めた事業計画に基づき交付金の一部を積立て可能

<繰 越 金> 当該年度交付金の3割以内

【地区住民自治活動保険料助成制度】⇒平成27年度から一括交付金へ移行

住民自治協議会と行政連絡区や自治会の活動における偶然の事故や損害賠償責任

を補償する保険料の50%までを助成。 <予 算 額> 6,920千円(平成26年度)

<契 約 者> 住民自治協議会(地区単位)

<補償対象> 住民自治協議会の活動と位置づけることで、行政連絡区や自治会

の活動も補償対象としている

<加入地区> 全住民自治協議会が加入

【地域やる気支援補助金】

住民自治協議会からの事業提案を受けて、補助対象事業を決定。 <予 算 額> 9,000千円(H27年度)1地区700千円上限

<補 助 率> 事業実施に要する費用の内8/10以内

<選考委員会> 審議会委員4名+市民生活部長

<事業内容>

・ 農産物販売のための朝市やトラック市開催

・ イベントやコンサートの開催

・ 歴史的文化財の継承・紹介

・ 防災・防犯マップの作成

・ 地区内の観光ツアーの実施、マップの作成

・ 災害時に備えた無線機購入と訓練

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・ トレッキングコースの整備

・ ホタルの飼育や環境整備 など

<事業実績>

年度 申請 採択

地区 事業 金額(千円) 地区 事業 金額(千円)

平成22年度 18 32 16,080 15 18 9,790

平成23年度 16 22 11,049 13 18 9,868

平成24年度 17 18 12,487 14 14 9,867

平成25年度 17 19 12,322 14 16 9,439

平成26年度 13 15 9,595 13 13 8,873

⑵ 住民自治協議会の設立に伴う各種団体・組織の見直し

平成21年度をもって、市が主導して設置した各種団体の連合組織と市長が特定の役員

等に対して一律に実施してきた委嘱制度を廃止し、平成22年度からは、これら団体へ交

付されていた補助金等を住民自治協議会に一括交付している。

※地区組織のあり方は地区で決定 ※市長メッセージを行政連絡区の

代表者(区長)へ

4 都市内分権と住民自治協議会の今後の展開

住民自治協議会のより良い発展を図るとともに、住民自治協議会の活動を持続可能な住

民活動として定着できるよう取組みを進める。 ⑴ 地域活動に対する市の支援

① 地域を支援する体制の整備

廃止した市連合組織

・区長会連合会

・交通安全推進委員会

・保健補導員会連合会

・環境美化連合会

・地域公民館連絡協議会連合会

・少年育成委員会

・青少年育成市民会議

・子ども会育成連絡協議会

・人権同和教育促進連絡協議会

廃止した委嘱制度

・区長

・交通安全推進委員

・交通安全母の会連合会理事・代議員

・高齢者交通安全推進員

・男女共同参画市民推進員

・保健補導員

・環境美化推進員

・青少年健全育成指導員

・少年育成委員

・人権同和教育指導員

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◇ 支所長権限の強化と支所機能の充実

・ 本庁の担当課との連携強化、職員配置の最適化、危機管理体制の機能強化等

・ 支所長(地区活動支援担当)の裁量で助成する「支所発地域力向上支援金」制

度を創設(H26年度~)

◇ 住民自治協議会の活動拠点の整備

◇ 住民自治協議会活動の周知

◇ まちづくり計画などの策定や見直し支援

② 住民自治協議会への財政支援

◇ 財政支援策の見直し

・ 財政支援策全体について再検討し、必要なものは地域いきいき運営交付金への

一括化を図る

⑵ 住民自治協議会活動の継続へ向けた取組み

① 組織の効率化や活動内容の見直し支援

・ 若者や女性などの人材やNPOなどの取込み

② 支所、地域への市設置機関、住民自治協議会の連携

・ 市立公民館と支所が連携し、地域におけるリーダーや担い手など育成された人材

が地域で活躍できるように支援

③ 住民自治協議会相互の交流・連携

・ 地域の再認識、郷土愛の醸成

・ 他の地域の活動方法を参考に活性化等に役立てる

④ 自主財源の確保に向けた取組み

・ 他地区等の事業・補助制度の情報提供

⑤ 住民自治協議会と市の相互理解の推進

・出前講座や活き生きトークの機会を利用

⑶ 市民理解の促進及び市職員の意識改革の推進

① 市民理解の促進

◇ 住民自治協議会活動の紹介

◇ 地域を支える人材の育成・確保

・ 子どもの頃から地域活動に触れる機会を設けて、理解の醸成を図る

・ 団塊の世代や退職をした世代に向けて地域活動への参加を促す

② 市職員の継続的意識改革の推進

◇ 市職員の意識改革

・ 継続的に研修の実施

・ 住民自治協議会活動への積極的な参加

◇ 地域づくりのコーディネート能力を有する職員の育成

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主な質疑

Q.長野市で設立されている住民自治協議会は、地方自治法で規定されている地域協議会とし

ての位置づけになるのか。

A.住民自治協議会は、当市の行政連絡区同様、地域住民による任意の組織であり、会長等に

おいても組織の中で選任されており、当市からは選任していない。

Q.各地区の支所は行政が設置した建物を指すのか。また、支所長と事務局長の違いは。

A.近隣自治体との合併の経緯で各地区に支所を設置しており、これは建物を指す。また、支

所長は市の職員であり、事務局長は住民自治協議会の職員である。

Q.住民自治協議会の体制は、行政連絡区の代表者が集まり決められているのか。また、会長

は、行政連絡区長等から互選されるのか。

A.住民自治協議会は、行政連絡区をはじめ、様々な団体によって体制がつくられている。ま

た、地区によって会長の選出は異なり、区長が選出されている協議会もあれば、区長以外の

方が選出されている協議会もある。

Q.住民自治協議会における自主財源の確保に向けた取組みとは。

A.例えば広報紙の発行における民間企業の広告掲載による広告料収入や、農産物販売の朝市

やトラック市を開催における中山間地域を活用した市民菜園用圃場の貸出しによる使用料収

入など、地域の特色をいかした取組みを考えているが、実際は難しい面もあり今後の課題と

認識している。

Q.事務局職員や事務局長の報酬では、生計を維持することが難しいのでは。

A.事務局職員の報酬については、引上げや社会保険の適用を求める声もあり、検討課題とし

て認識している。また、事務局長については、会社を退職された方などに担っていただいて

いる場合が多く、会長や区長は短い期間で変わる場合もあり、協議会を支える核として事務

局長の役割は大きい。ただし、担い手の確保が課題である。

Q.区長の位置づけは。

A.区長には3つの顔がある。区から選ばれた代表としての顔、住民自治協議会の中で活動を

中心的に推進していく顔、住民自治協議会を通さない区独自の業務について市と対話する顔。

こうした区長の役割の複雑化が課題となっている。

Q.区において交付金で事業を行う場合、住民自治協議会に申請をすれば、市への申請は必要

ないのか。

A.市への申請は必要ない。なお、地区によって予算配分の考え方が異なる。地区の活動や行

事を少なくして、区を中心に活動や行事を行う場合は、区に対する予算配分が多くなる。反

対に、地区の活動や行事を多くした場合は、区に対する予算配分は少なくなる。

- 20 -

Q.区に加入していない市民への行政サービスは、どのように行われているのか。

A.行政サービスについては、加入、未加入にかかわらず受けられる。一例として、広報の配

布では、未加入世帯も含めた全世帯に配布するよう、必須事務として住民自治協議会と協定

を結んでいる。

Q.区の行事や活動で事故などがあった場合の責任の所在は。

A.住民自治協議会と区の活動における事故や賠償責任に対しては、住民自治協議会が契約者

となっている地区住民自治活動保険で対応している。

Q.住民自治協議会ごとに活動内容に濃淡がでてくると思われるが、市としての対応は。

A.地区ごとの活動の濃淡に関しては、地区の実情や世帯数など、一定の地域性と認識している。

Q.全地区に消防団組織は存在するのか。

A.全地区にある。当初、住民自治協議会の組織として、安全防災部会の中に消防団組織をい

れるかについて議論があった。防災訓練時は、住民自治協議会と消防団で協力して行うが、

実際に災害が発生した場合、命令指揮系統が異なるため、最終的に協力団体として位置づけ

ることとなった。

Q.行政連絡区の加入率は。

A.長野市全体の加入率は 96%。

Q.行政連絡区における課題は。また、会費は徴収し

ているのか。

A.課題は少子高齢化による住民の減少や、役員の担

い手不足、社会の個人主義化などさまざま。また、

会費は徴収しており、金額は区によって異なる。

Q.集合住宅居住者に対して不動産業者からの仲介などによる加入促進の仕組みはあるのか。

A.加入促進の取組みを行っている地区もあるが、不動産業者の理解がなければ難しいのが現

状と認識している。なお、大学生の加入促進に向けて、市内大学との連携を始めたところで

ある。

Q.地域活動支援課の職員体制は。

A.都市内分権にかかわる担当者は6名。

Q.選択事務には、必須事務同様、重要な事務も含まれているのではないか。

A.都市内分権がはじまる前は、必須事務と選択事務の全ての事務を市から区に対して依頼し

ていたが、都市内分権の取組みに伴い、一律でやったほうが効率の良いものを必須事務、そ

のほかを選択事務として整理した。選択事務については、必要に応じて市の助言を受けなが

ら各地区の判断で決定していく。

- 21 -

調査項目③ 『公共施設マネジメント計画について』 調 査 先:さいたま市

調査日等

月 日:平成27年8月21日(金)

場 所:さいたま市役所

説 明:都市戦略本部 行財政改革推進部

公共施設マネジメント推進担当

主 幹 野口 敦史 氏

調査概要

1 計画策定の背景と目的

さいたま市では、財政状況が厳しさを増す中、インフラを含む公共施設の老朽化が進ん

でおり、「公共施設の高齢化」は、今後の行財政運営に極めて大きな影響を及ぼす問題で

あった。こうした公共施設の実態をハード面、ソフト面から正確に把握し、将来生じる改

修・更新投資額を予測した上で、公共施設の整備、改修・更新、管理運営のあり方を示し、

市民と危機感・問題意識を共有することにより、市民とともに具体的な行動につなげてい

くことを目的として、平成24年6月に公共施設マネジメント計画が策定された。本計画で

は、「これからの100年」を見据えて、複合化等による機能の充実化や、より少ない施設で

の効果的・効率的なサービスの提供など、新しい時代にあった公共施設の再構成を目指し

ている。

2 現状と課題

⑴ 施設の現状と課題

○ 多くの施設を保有している

<施設数>:約1,700施設

<建物の床面積>:約260万㎡

<建物の床面積割合>

市役所・区役所・ 消防署など 13.1%

ホール・公民館・ コミュニティセンター・ 体育館など 12.6%

公園・上下水道関連の 建物など 8.9%

老人福祉センター・ 保育園・病院など

6.8%

市営住宅 5.1%

その他施設 1.7%

学校など 51.8%

学校が半分を占める

(築 30 年以上が大半)

- 22 -

○ 今後、大規模改修や建替えの大きな波が見込まれる

→ 昭和40~50年代築の建物が多い

→ 旧耐震基準の建物の床面積割合は約50%

→ 特に老朽化しているのは、学校教育施設や市営住宅など。また、都市基盤系施設

においても、道路・橋梁や上水道の管渠等において老朽化の進展がみられる

⑵ 人口・ニーズの現状と課題

○ 今後、急速に少子高齢化が進展しつつ人口が増加から減少に転ずる

→ 全国の政令市中、トップスピードで高齢化と少子化が同時進行

→ 平成37年~42年を境に人口減少に転ずる

○ 地区によって傾向が大きく異なる

→ 市平均地域、郊外型高齢化進展地域、都心型高齢化進展地域、若年層集積地域な

ど、地区により傾向が異なる

⑶ 財政の現状と課題

○ 財政状況が厳しさを増す中、投資的経費全体の平準化を図り、総額を抑制してきた

が、一方で公共施設の老朽化に伴う改修・更新にかかる経費は増加傾向にある

→ 平成16~23年度の普通建設事業費は、ほぼ横ばい

→ 一方で維持補修・改修経費は増加傾向

○ 今後、さらに大幅に改修・更新コストが増加し、多額の財源不足になる

→ 現状の施設を維持すると、今後40年の年平均で155億円の財源不足、1年当たり現

在の2.2倍の経費がかかる。

→ 今のままの予算額でいくと、現在の公共施設の45%しか更新できない。

現在改修・更新

にかけているお金

128億円

今後40年の平均は

283億円2.2倍

今の予算のままだと 55%

更新

できない

45%

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3 全体目標の設定

施設の改修・更新にかかる将来コストの試算結果(一般財源ベースで年平均155億円の財

源不足)を踏まえ、全体目標(三原則)を設定。

【ハコモノ三原則】

① 新規整備は原則として行わない(総量規制の範囲内で行う)

・ 長寿命化、アセットマネジメントなど適正な管理を行い、既存施設の有効活用を

図り、新規整備は原則として行わない。

・ 新設が必要な場合は、中長期的な総量規制の範囲内で、費用対効果を考慮して行

う。

② 施設の更新(建替)は複合施設とする

・ 施設の統合・整理や遊休施設の活用、

学校を含めた施設の複合化等によって、

機能を維持しつつ、施設総量を縮減す

る。

・ 複合施設においては、管理・運営に

ついても一元化・効率化する。

・ 施設の複合化により空いた土地は、

活用・処分を促進する。

③ 施設総量(総床面積)を縮減する

・ 市内の施設全体の総床面積を60年間で15%程度縮減することが必要であり、スク

ラップアンドビルドを徹底する。

・ 総人口が今後40年で4%減少することを踏まえ、施設を更新する際には、床面積

を縮小することを基本とする。

・ 旧市単位で設置され重複している施設、分野(小分類)を超えて重複している機

能(会議室、ホール等)については、統合・整理を検討する。

・ 稼働率の低い施設は運営改善を徹底し、なお稼働率が低い場合は、統合・整理を

検討する。

【インフラ三原則】

① 現状の投資額(一般財源)を維持する

・ 少子高齢化、人口減少に対応した持続可能な都市づくりを推進する。

・ インフラは十分な水準に達していないため、現状の投資額の範囲内で、費用対効

果や経済波及効果を考慮し、新設及び改修・更新をバランスよく実施する。

② ライフサイクルコストを縮減する

・ 長寿命化を可能な限り図るとともに、計画的、効率的な改修・更新を推進する。

・ PPPなど、民間活力を活用し、機能を維持・向上させつつ、改修・更新コスト及び

管理運営コストを縮減する。

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・ 道路や公園などの公共空間の立体利用や公共空間の有効活用により、コストの縮

減及び自主財源の確保を図る。

③ 効率的に新たなニーズに対応する

・ バリアフリー、環境、防災などの新たなニーズに対しては、効率的な整備・対応

を推進する。

4 アクションプランの取組み

アクションプランでは、さいたま市公共施設マネジメント計画の計画期間(平成24~62

年度)を4期に分け、本計画で定めた「ハコモノ三原則」や「インフラ三原則」などの全

体の方針・目標に基づき、施設分野ごとに具体的な方針やコスト推計、工程表等をまとめ

ている。

○ アクションプラン策定により見込まれる効果と今後の課題

・ アクションプラン策定前には、公共施設を改修・更新するには現状の2.2倍のコスト

がかかる試算であったが、アクションプラン策定後は1.1倍まで縮小。

・ アクションプランを実施することにより、現状の投資額(一般財源ベース)を維持

すれば、概ね公共施設の改修・更新を持続的に行うことが可能。

・ 将来コストが現状を超過している約10%分については、インフラでH26~H27年に分

野別の長寿命化計画を策定することで圧縮を図るとともに、PPPの推進、施設複合化、

維持管理コストの削減など、さらなる取組みにより縮減を図る。

【アクションプランによる将来コストの推移】

基準額

(H25予算)A

第1期

(H26~H32)

第2期

(H33~H42)

第3期

(H43~H52)

第4期

(H53~H62)

H26~H62計

(年平均)B B/A

ハコモノ 54億円 580億円

(83億円/年)

598億円

(60億円/年)

616億円

(62億円/年)

481億円

(48億円/年)

2,275億円

(62億円/年) 1.14

インフラ 187億円 1,275億円

(182億円/年)

1,884億円

(188億円/年)

2,065億円

(207億円/年)

2,322億円

(232億円/年)

7,543億円

(204億円/年) 1.09

計 240億円 1,855億円

(265億円/年)

2,482億円

(248億円/年)

2,681億円

(268億円/年)

2,803億円

(280億円/年)

9,819億円

(265億円/年) 1.10

○ アクションプランの推進

・ 本プランの工程表に従い、実際の改修・更新を行う際には、「事前協議制度」によ

り公共施設マネジメント部署と事前に協議を行う。

・ 公共施設マネジメント白書を毎年度発行し、本プランの進行管理を行う。

- 25 -

5 市民との協働による推進

市民と情報・問題意識を共有し、合意形成しながら計画を推進することが重要である。

○ 出前説明会、わかりやすいリーフレットの作成・配布、

シンポジウムの開催など、多角的なPRを推進する。

○ 抽象的な概念や理念だけでなく、具体的な事例におい

て、実際に市民と意見交換を行うことで、わかりやすい

PRや市民意見の取込みにつなげる。

○ 個別施設の更新等の検討に際しては、施設の複合化を

原則として地域の実情などを勘案しつつワークショップ

等により市民との意見交換・合意形成に十分配慮しなが

ら推進する。

主な質疑

Q.公共施設マネジメント計画と地方人口ビジョン・地方版総合戦略とのかかわりは。

A.今後、策定されるまちづくり計画や、立地適正化計画、地方版総合戦略などの計画策定に

おいて、財政の健全化を維持するための施設のあり方の基準になるものと考えている。

Q.長寿命化等を図ることにより、改修や更新にかかる今後 40 年の平均費用が 2.2 倍から 1.1

倍に縮減できるとのことだが、予防保全の全体シミュレーションは行っているのか。

A.全ての施設を対象として、施設ごとにシミュレーションを行った。現状、新設している建

物もあるが、今後はアクションプランに基づき施設ごとに改修や更新を進めていく。

Q.新しい計画を策定するうえで、地域住民の意見を直接聴き、かたちにしていくことは重要

であると考えている。貴市では地域住民との意見交換会の参加者数が大変多いが、何か工夫

していることはあるのか。

A.自治会や、学校、保育園などに訪問したり、通知を出したりするなど、粘り強く事前説明

を行った。職員が市民とどれだけかかわりをもって接するかが重要。

Q.施設ごとの予防保全計画の策定状況は。

A.平成 39年までには、学校など 300平米以上の大規模な施設に対して、何らかの予防保全を

行う予定。

市立大宮北高校漫画研究部などの協力

により作成されたパンフレット

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Q.パンフレットの作成経費は。

A.1部あたり 30円。5000部作成。

Q.施設の複合化では、建築年次の違いなど、課題があると思われるが、どのように優先順位

を決めて進めていくのか。

A.核となる施設や複合化可能な周辺施設の状況、既存施設や跡地の利活用、新しい施設への

アクセスなど、様々なことを総合的に考えることが必要。さらに、その考え方を地域住民に

丁寧に説明し合意形成を図ることが計画を進めるうえで重要である。