章 複素数と方程式【解と係数の関係 ② 1Rœˆ... ·...

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『解と係数の関係』 前回から引き続き,『解と係数の関係』について学んでいきます。 それでは,復習を兼ねて 分でどうぞ 次方程式 [ D[ E の解が [ [ のとき,DE の値を求めよ。 DE E D DE F D S .解と. 係数の. 関係 』の利用 解が [ [ なので,『...』より, 解の和 D E D 解の積 DE E D E よって, D E P S 『解 ( 代入して 』の利用 [ は,解なので代入が出来る D E D E D E 同様にして, [ は,解なので代入が出来る D E D E ① と ② より,連立して, D E D E よって, D E P 解法を パターン紹介しました。 ...』の方がラクに解けますが, つ目の方法で解いた人も中にはいると思います。 ...』は“いつ使うのか”の判断が結構難しいですよね。 絶対ではないですが,参考までに“いつ使うのか”まとめておきます。 直接,解を求めると式が複雑になる ( など 和と積 基本対称式 が登場する 解から係数を求める 今回の問の解法の判断として ③ 解から係数を求める を使ってますね。 それでは,今回の内容に入ろうと思います。 前半の目標は,“解から 次方程式を作れるようになる”ことです。 解が となる 次方程式を つ求めよ。 数学Ⅱ 複素数と方程式【解と係数の関係 ② 】1R -1-

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『解と係数の関係』

前回から引き続き,『解と係数の関係』について学んでいきます。

それでは,復習を兼ねて 分でどうぞ

問  次方程式 の解が , のとき, , の値を求めよ。

 『 解と 係数の 関係 』の利用

解が , なので,『 』より,

解の和

・解の積

よって,

, …

 『解 代入して 』の利用

は,解なので代入が出来る

…①

同様にして,

は,解なので代入が出来る

…②

①と②より,連立して,

よって,

, …

解法を パターン紹介しました。

『 』の方がラクに解けますが, つ目の方法で解いた人も中にはいると思います。

『 』は“いつ使うのか”の判断が結構難しいですよね。

絶対ではないですが,参考までに“いつ使うのか”まとめておきます。

      ① 直接,解を求めると式が複雑になる など

      ② 和と積 基本対称式 が登場する

      ③ 解から係数を求める

今回の問の解法の判断として ③ 解から係数を求める を使ってますね。

それでは,今回の内容に入ろうと思います。

前半の目標は,“解から 次方程式を作れるようになる”ことです。

問 解が , となる 次方程式を つ求めよ。

数学Ⅱ 第 章 複素数と方程式【解と係数の関係②】

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 解から逆算して考えていきます。

解から逆算して

次方程式を作る

次方程式から

解を求める

解が , なので,

今回の目標がイメージ出来ましたか?

もう気付いた人もいるかもしれませんが,もう少し細かく見てみますね。

“ ・ ”

つまり,

“ 解の和 解の積 ”

と表すことが出来る。

裏を返せば,

次方程式を作るためには,“解の和と積”が必要

ということになります。

   

   

  

,       ,

また,問題文の“ つ求めよ”というのは,

を 倍した

         倍した

               

全部,解は,もちろん , 。すると,答えが一杯出てきちゃうので,

「たくさん答え書かないでね。 個だけ書けばいいよ」という意味です。

なので,答え方を統一しておきましょう。

原則:係数は整数で表し,約分しきっておくこと

例 : は, で割って とすること

例 : は, 倍して とすること

では,練習しましょう。

問 次の 数を解とする 次方程式を作れ。

  ,                    ,

  

  ,               ,

                

 “解の和と積”を求めて, 解の和 解の積 に代入。

解の公式より

  ,

 

和:

・積:

なので,

数学Ⅱ 第 章 複素数と方程式【解と係数の関係②】

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解の公式より

 和:

・積:

なので,

解の公式より

 

和:

・積:

なので,

解の公式より

 和:

・積:

なので,

これで,“和と積”が分かれば, 次方程式が作れますね。

早速,役に立つ所をお見せしましょう。

問 和が ,積が になる 数を求めよ。

 解法を パターン見せますね。

解法 :連立して解く

数を , とすると,条件より,

和: …①

積: …②

なので,①より, を②に代入して,

ⅰ と ⅱ はどちらも

と のペア。

単純に“和が ,積が ”

となる つの数を求めたいので

答えはまとめちゃう

“区別が無いときは同じものとする”

数学 で学びましたね。

よって,

ⅰ  のとき,①より,

ⅱ  のとき,①より,

実際は, 数 , の“区別が無い”ので,

, …

中学校で学ぶ連立方程式の解き方になります。

腕力派でも解けることが,大事

解の和 解の積解法 :『 』の利用

和が ,積が なので,

次方程式 が作れる。

を解くと,

これが,和が ,積が となる つの数なので,そのまま答えになる

数学Ⅱ 第 章 複素数と方程式【解と係数の関係②】

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使いこなせるかは置いといて,解法 の方が,サクッと答えが出ちゃいますね。

さらに,次のような問題でも使えます

まずは,自力で解いてみること。 分でどうぞ。

問 次の連立方程式を解け。

              

『 』は,いつ使うのか?確認して下さいね。

“ ② 和と積 基本対称式 が登場する”ときに使えます。

…①

…②

①より,②は,

「和が ,積が

になる つの数を求めよ」

と同じ問題よって,

和:

積:

なので, と を解とする,

次方程式 が作れる。

ちゃんと「和が ,積が 」

になっている

今回は, , と“区別がある”ので,

のとき,

のとき,…

う~ん なんか不思議な感じでイマイチ納得出来ないなぁ

では,参考までに,連立した解法も紹介しておきますね。

を消去しましょう。

①より, なので,②に代入すると,

よって,

あれ?

見覚えのある式

ⅰ  のとき,① より,

ⅱ  のとき,① より,

ちゃんと同じ答えになりましたね。

しかも,途中からは『 』を使った解答と似た式が出てきましたよ~

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では,今度は を消去してみます。

①より, なので,②に代入すると,

あれ?これも

見覚えのある式

よって,

ⅰ  のとき,①より,

ⅱ  のとき,①より,

気付きましたか?

急に“ ”が出てきてビックリした人もいると思いますが,実は

の は“ でもあり, でもある ”んです。

途中,似た式の

が出てきましたよね?

別に偶然出てきた訳ではありません。必然なんです。

逆に言えば,

“ でもあり, でもある”から,まとめて別の文字“ ”を使った

ということになります。

まとめると,

を求める , を求めることと同じ

ということです。

連立方程式

を解きたい

式変形をして

文字を消去する

ここが 番大変

文字が 種類の

方程式の

解を求める

今までの

 解法

和と積 基本対称式

の値を求める

『 』

 の利用

文字が

だけ

文字が

だけ

イメージ

イメージしやすい様に流れをまとめておきました。どっちの解法でもゴールは同じ。

とにかく,大事なことは“簡単に,文字が 種類の方程式が作れる”ということです

では, を解いていきましょう。

               …①

…②

“和と積”が分かれば, 次方程式が作れましたね。

でも,今回は“積”しか分かってません。どーしよ

① は“対称式”ですね。覚えてますか?

対称式は,基本対称式 和と積 で表すことが出来る

とゆーことで,①より,

   

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② より,

解の和 解の積ⅰ  のとき

次方程式

を解くと,

ちゃんと「和が ,積が 」

になっているし,①も成り立つ

よって,

は でもあり, でもあるので,

,…

解の和 解の積ⅰ  のとき

次方程式

を解くと,

ちゃんと「和が ,積が 」

になっているし,①も成り立つ

よって,

は でもあり, でもあるので,

,…

以上が,『 』の役に立つ解法の つです。

もう少しだけ,解から 次方程式を作っていきます。

問  次方程式 の つの解を , とするとき,次の 数を解とする

   次方程式を作れ。

     ,         ,          ,

  次方程式を作るためには,“解の和と積”が必要なのを忘れないこと。

 解が文字になっても同じです。

解は, , なので,

解の和:

解の積:

ここで,

, は の解なので,『 』より,

が成り立つ。

よって,

解の和:

解の積: ・

以上より,

, を解とする 次方程式は,

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 解は , なので,

解の和:

・解の積:

よって,

解の和:

解の積:

以上より,

, を解とする 次方程式は,

対称式は

基本対称式に直す 解は , なので,

解の和:

・解の積:

よって,

解の和: ・

解の積:

以上より,

, を解とする 次方程式は,

『 』を扱う問題は,次で最後になります。実力試しに解いて下さい。

“問題文を式へ”を意識して頑張ってみましょう。では, 分でどうぞ

問  次方程式 の つの解に,それぞれ を加えた数を解にもつ

   次方程式が であるという。定数 , の値を求めよ。

最初に,

つの解を ,

と置けるかが,勝負

実際に,解を求めると大変

の つの解を , とすると,『 』より,

また,

, に を加えた数 , を解にもつ 次方程式を作ると,

解の和:

解の積:

よって,さっき求めた,

なので,

解の和:

解の積:

よって,

, を解にもつ 次方程式は,

…①

また,

, を解にもつ 次方程式は, でもあるので,

①と同じ式にならないといけない。

よって,

係数比較すると,

の係数

定数項

数学Ⅱ 第 章 複素数と方程式【解と係数の関係②】

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より,

以上より,

, …

数学は,

“つなげる”こと,“まとめる”こと

が重要です。

あの式とこの式が同じと,“つなげる”

同じ余りで,“まとめる”

などなど。

今回は,

, を解にもつ 次方程式を 通りで表し,“つなげて 係数比較 ”あげまし

た。

闇雲に解くのではなく,常に“つなげる”こと,“まとめる”ことを意識して

立式してみて下さいね。

後半戦は,数学Ⅰでも扱った【解の配置問題】を学んでいきましょう。

先に断っておくと,今回『 』を使った解法は紹介しません。

理由は つ

時間に余裕があれば

授業で説明したいと思ってます

① 数学Ⅰでの解法をまず,マスターしてほしいから

② 『 』だと早く解けるが,応用が難しいから

です。

なので,『 』を使った解法は,各自で聞きに来て下さいね。

【解の配置問題】

では,そもそも【解の配置問題】とは何なのか?

次の問題文を見比べて下さい。

例   が異なる つの実数解をもつ

例   が異なる つの正の実数解をもつ

例 は,“解の個数だけ”なので

判別式 でおしまい

違いに気付きましたか?

例 にはないけど,例 にはある言葉。

そう  “ 正の ” ですね。

例 では“解の個数だけ”聞かれてますが,

少なくとも戸村は

例 では“解の場所 符号 まで”聞かれてますね。

そういった,問題を『解の配置問題』と呼んでいます。

では,『解の配置問題』の解法を紹介しておきます。

 『解の配置問題』… 解の個数 解の場所 符号

  ※ 理想のグラフを書く

   

① 判別式

② 軸

③ 端点

条件をリズミカルに 回

唱えれば覚えられる

簡単に,なぜ,条件が つ必要か,お話をします。

イメージは“ キャッチャー”です

数学Ⅱ 第 章 複素数と方程式【解と係数の関係②】

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① 判別式は,“アームの上下の動き”に対応します。

判別式 判別式判別式

 『判別式とグラフの関係』

② 軸は,“アームの左右の動き”に対応します。

軸 軸軸

③ 端 たん 点は,“アームの開き具合”に対応します。

この キャッチャーは

アームの開き具合まで

決められる特別製

少しはイメージが出来たでしょうか?

では,以上のことを踏まえて,例 を解いていきましょう。

例   が異なる つの正の実数解をもつように,定数 の値の

   範囲を定めよ。

解の配置問題は,最初に“理想のグラフ”を書きます。

では,

今回は,「異なる つの正の実数解をもつ」ようにグラフを,書いてみて下さい。

書けましたか?自分のグラフと見比べて下さいね。

解の配置問題は

理想のグラフが書けるかどうかに

懸かってます

そしたら,理想のグラフになって欲しいな~っと,グラフを見ながら,

つの条件を考えてみましょう。

① 判別式

                ② 軸

                ③ 端点 のとき,正

以上が,理想のグラフになるための条件になります。

理由を含めて, つずつ確認していきますね。

一緒に計算しながら読み進めていって下さい。

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① 判別式について

理想のグラフは, ヶ所で 軸と交わっているので,『判別式とグラフの関係』より

問題文に

「異なる つの実数解をもつ」

とあるので,これは大丈夫でしょう

では,計算してみましょう。

なので,

よって,

, …①

② 軸について

理想のグラフより,軸は より右側なので,

右側

ここで,

とし,平方完成すると,

           

よって,

               軸:

軸 なので,

                 

                 …②

“①判別式”と“②軸”だけじゃダメなの?ダメです。

逆に,ダメなグラフを書けますか?

①と②だけじゃ,こんなグラフもありえちゃいますよ。

条件

①判別式

②軸

を満たしているが,

「正と負の解を つずつもっている」グラフ

とゆーことで,

理想のグラフになるよう,最後に“アームの開き具合”を調整してあげましょう。

③ 端点について

理想のグラフと,ダメなグラフの違いを考えてみると,

正 軸より上

軸より下 負

理想のグラフ ダメなグラフ

端っこの点 端点 を代入したときの値が,“ 軸より,上か下か”で。

つまり,“正か負か”でグラフの開き具合が決まりそうですね。

よって,

理想のグラフは, 軸より上になって欲しいので,

端点 のとき,正 より大きい

数学Ⅱ 第 章 複素数と方程式【解と係数の関係②】

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を代入すると,

なので,

…③

① ~③ を全て満たして,理想のグラフは出来るので,

“同時に満たす”ときは,“共通部分”が答えでしたね。

① ①②

よって,① ~③ より,

ちなみに,

“軸 ”がダメな理由は,

軸 のとき,正と負の解を つずつもつから。

どんなに極細のグラフでも,

次関数は“軸に対して対称”だから

負の解をもってしまう

“端点 のとき, 以上”がダメな理由は,

解が と正の解の つになってしまうから。

は正でも負でもないので,

“異なる つの正の解”に反してしまう

以上が,『解の配置問題』の解法でした。

では,練習あるのみ 制限時間は 分。始め

問  が次のような異なる つの解をもつように,定数 の値の

   範囲を定めよ。

  つとも負         異符号       つの解がともに より大きい

  つの解は より大きく,他の解は より小さい

 「 つとも負」なので,理想のグラフは,下の図のようになっていれば

               よって,

                つの条件について考えると,

                ① 判別式      … ●印が対応している

                ② 軸         … 点線が対応している

                ③ 端点 のとき,正 … 印が対応している

あとは,計算するだけ。

① 判別式 について

なので, より,

             最初に で割った

数学Ⅱ 第 章 複素数と方程式【解と係数の関係②】

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, …①

② 軸について

とし,平方完成すると,

係数が複雑なときは,

『軸の公式』

  次関数 の軸は

 

を用いてもよい

なので,

              軸:

よって,軸 より,

               

               …②

③ 端点について

を代入したときの値が, 軸より上になって欲しいので,“正”となればよい。

よって,

① ①

②③

…③

以上,① ~③ より,

途中式など,少し省略したけど大丈夫そうですか?

理想のグラフ通りに, つの条件を考えることが,ポイントですよ。

『負の解をもつから,端点 を代入して負』など勘違いしないよーに。

 「異符号」つまり,「正の解と負の解を つずつもつ」なので,理想のグラフは,

下の図のようになっていれば

では, つの条件を考えていこうと思うんですが,

実は,今回の条件は『端点のみ』でいいんです

先に,まとめておきます。

具体的な点を,またぐときは端点のみ

この状態を

“またいでいる”とします

理由は後でお話します。先に解答をみせますね。

具体的な点 をまたいでいるので,

条件は,端点 のみ考えればよい。

負 軸より下

理想のグラフより,

を代入したときの値が, 軸より下になって欲しいので,“負”となればよい。

よって,

  …

条件に,判別式と軸が要らないことより,「 って端じゃないじゃーん」という

衝撃の方が大きいと思います。

数学Ⅱ 第 章 複素数と方程式【解と係数の関係②】

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端点は必ずしも『端』ではないので,注意して下さいね。

条件『③端点』の表現に合わせなければ,

正確には,

『具体的な点を,またぐときは,具体的な点の 座標の符号のみ』

になりますが,長くて覚えにくいので,『端点のみ』にしました。

ここでいう『端点』という言葉は,数学用語ではなく

『解の配置問題』専用の言葉なので

色々不都合が生じちゃうんです。

また,人によっては『端点』のことを

『 軸』『 座標』『境界』など表現することも。

戸村的には応用が全く効かなくなる『 軸』で覚えなければ

あとは,正直どれでも

なぜ,端点のみで良いのか考えていきます。

先に,『条件②軸』が必要ない理由から。

端点

軸 軸 軸

上の図から分かるように,軸の符号が正でも負でも,端点 の値が“負”なら

正の解と負の解を つずつもちますね。なので『軸』の符号は関係ないので,ムシ

『条件①判別式』が必要ない理由は,下の図から分かるように,

ある点 上の図では で 軸より下 負 にいれば,びよーんとグラフは伸びていく

ので,必ず 軸とぶつかる。しかも,放物線は左右対称なので,絶対 ヶ所ぶつかる。

よって,

下に凸のグラフで説明したが

上に凸のグラフではどうなるか

考えてみて欲しい

端点 の符号が“負” 異なる つの実数解をもつ

と言えるので,『判別式』はいらない。

簡単にいうと

“ 端点が判別式も兼ねてる ”ということです。

以上が,条件が『端点のみ』でよい理由です。

応用問題になる程,“理想のグラフ”が書けるかが勝負になります。

 「 つの解がともに より大きい」なので,理想のグラフは,下の図のようになっ

端点が であることを

強調させるため 軸は消去した

ていれば

数学Ⅱ 第 章 複素数と方程式【解と係数の関係②】

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よって, つの条件について考えると,

理想のグラフから条件を判断すること

なんでもかんでも, ではない

① 判別式

② 軸

③ 端点 のとき,正

細かい計算はすでに でしているので,省略しますよ。

① 判別式について

より,

, …①

② 軸について

軸: なので,軸 より,

…②

③ 端点について

を代入したときの値が, 軸より上になって欲しいので,“正”となればよい。

よって,

より,

①①

…③

以上,① ~③ より,

                 …

理想のグラフが書けて,“正しい”条件が考えられれば,同じような計算をするだけ

軸と端点の条件が“ ”に変わりましたね。

“軸 と端点 ”がダメな理由を考えましょう。

より大きい解をもつとは限らない

①のように, つとも より小さい解をもつ

②のように, つだけ より大きい解をもつ

グラフが考えられちゃう

① ②

先ほど同様,ダメなグラフが書けますか?

軸 がダメな理由の図

端点 がダメな理由の図

条件が“ のとき,正”だと

①のように, より小さい解をもつグラフが考えられちゃう

ちなみに,「 より大きい解」なので

条件が“端点 のとき, 以上”だと

②のように を解にもつのでダメ

① ②

数学Ⅱ 第 章 複素数と方程式【解と係数の関係②】

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 「 つの解は より大きく,他の解は より小さい」なので,理想のグラフは,

下の図のようになっていれば

負 軸より下

                 具体的な点 をまたいでいるので,

                 条件は『端点のみ』

理想のグラフより,

を代入したときの値が, 軸より下になって欲しいので,“負”となればよい。

よって,

より,

どうでしたか?

これで『解の配置問題』の典型問題は,ある程度網羅していると思います。

あとは,解の配置問題かどうか判断出来れば大丈夫でしょう。

演習を繰り返し,定着させていって下さいね。

悩みの種である

“ イコール 付けるか,付けないか問題”

は,その都度変わってくるので,

「このグラフでええのんかい?」「この条件でええのんかい?」と色々なパターンの

グラフを書いて,考えてみて下さい。

年生での疑問が少しでも解消されればいいなと思ってます。

最後に,解説までは出来ませんが,考え方だけ紹介して,おしまいにしようと思います。

では,お疲れ様でした。

問  が の範囲に異なる つの実数解をもつように

   の値の範囲を定めよ。

 “解の場所まで”聞かれているので,『解の配置問題』

理想のグラフは,

端点は“ 個”とは限らないよって, つの条件は,

         ① 判別式

         ②  軸

         ③ 端点 のとき 以上,かつ,端点 のとき 以上

以上より,

数学Ⅱ 第 章 複素数と方程式【解と係数の関係②】

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