近代朝鮮の書記言語(by キタノクマ(@ursaqita))
Click here to load reader
-
Upload
kazuhiro-okada -
Category
Education
-
view
264 -
download
3
description
Transcript of 近代朝鮮の書記言語(by キタノクマ(@ursaqita))
どこどこゆくの、 近代朝鮮の書記言語
!
キタノクマ(@ursaqita)
TwiFULL SLiM #24
書記言語とは(1)
• 文字を一定の規則(言語の音韻体系・構文規則など)に基づいて組み合わせ、情報を記録したもの。 小松英雄(2000)『日本語書記史言論』(補訂版)、笠間書院
• 言語表現の中に高度の完結性が求められる。福島直恭(2008)『書記言語としての「日本語」の誕生』、笠間書院
書記言語とは(2)• ①口頭言語から規範化された書記言語②相対的に進んだ社会で、より早く確立され洗 練されてきた書記言語
• 近代社会とそれ以前の社会の間に存在する、書記言語の選択に相違
• 近代社会の新しい課題の解き方
近代朝鮮• 時代区分 開化期(1876~1897) →江華島条約 旧韓国時代(1897~1910) →大韓帝国成立 日本統治時代(1910~1945) →韓国併合⇒これらを合わせて「近代」と定義したい
• 特に19C末~20C初を中心に
近代以前(1)
• 中国語古典文(漢文)
• 吏読文
• 諺漢文(ハングル+漢字混交)
• 諺文(ハングル)
近代以前(2)
• 中国語古典文:正式の書記言語。公文書・学術・文芸の中心
• 口訣(吐):中国語古典文の読誦の際に用いられる 朝鮮語の付属語類
論語諺解
子i曰、學而時習之myən不亦説乎’a子ガ曰、學而時習之ナラバ不亦説乎カ ① ② ③
!
①主格標示 ②句の接続関係標示 ③疑問文標示
近代以前(3)
• 吏読文:下級役人による行政文書の書記言語
• ハングル登場(1447)までは実用書(法典・農書など)の翻訳にも利用されたが、以後行政文書以外の使用は減少
凡妻無應出及義絶之狀而出之者杖八十
凡妻亦(yə)可黜可絶之事無去乙(əpkənɨr)黜送爲在乙良(hʌkyənɨran)杖八十齊(cyəy)
凡妻ガ可黜可絶之事ナイノニ黜送シタモノヲバ杖八十セヨ
『大明律直解』(1395年)
近代以前(4)
• 諺文:ハングル文字、ハングル文字による書記
• 諺解の諺漢文:中国語古典語に口訣を付けたものに ハングル漢字混交(諺漢文)の朝鮮語訳を添える
論語諺解
近代以前(5)
• 中国語古典文(漢文) ⇒ 士大夫男性
• 吏読文 ⇒ 下級役人
• 諺漢文(ハングル+漢字混交) ⇒ 初等教育
• 諺文(ハングル) ⇒ 女性・庶民
近代朝鮮の書記言語(1)• 1876年の江華島条約(日朝修好条規)の正文 ①日本側 →漢字片仮名混交の漢文訓読体の日本語文 ②朝鮮側 →中国語古典文
• 「暫定合同条款」(1894.8)まで同じ様相
近代朝鮮の書記言語(2)• 公文書にハングルを採用:甲午改革(1894.11~)の一環として勅令で定め れ、その後、官報などを中心とした公文書に ハングルと漢字を交えた書記(國漢文)が広まる
• 外交文書にハングルを採用:1905年「韓日協商條約(日韓協約)」 1907年「韓日協約(日韓協約)」 1910年「韓國倂合əy關hʌn條約(韓國倂合ニ關スル條約)」
近代朝鮮の書記言語(3)• 漢城旬報(1883.10.30~1884.12):朝鮮最初の近代新聞 中国語古典文を書記言語として採用
• 漢城周報(1886.1.25~1888.7.14):漢城旬報の後続紙 中国語古典文・国漢文・国文を使い分け
近代朝鮮の書記言語(4)
• 井上角五郎(1860~1938):福沢諭吉の門下。朝鮮政府の漢城旬報と漢城周報の創刊を主導。晩年の述懐では漢城周報における漢文とハングルの混交文体が朝鮮の開化人士に与えた影響を述べる。
近代朝鮮の書記言語(5)• 皇城新聞(1898~1905):ハングル文→国漢文体
• 獨立新聞(1896~1899):ハングル文
• 大韓每日新報(1904~ ):ハングル文版を併刊
近代朝鮮の書記言語(6)
• 開化派によるハングル書記の採用 兪吉濬『西遊見聞』(1895) 李人稙『血ɨy涙』(1906) →漢文に口訣を付けて解いたぐらいの文体
近代朝鮮の書記言語(7)
• キリスト教とハングル書記
• 国文研究所(1907~1909)
• 朝鮮語学会