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カンボジア JICA 医療技術者育成システム強化 プロジェクト A News Letter from JICA HRD Project No.41 Nov 2013 The Project for Strengthening Human Resources Development System of Co-medical ループで患者様を担当し、どのよう な病気で何が問題となりうるのかと いう病態生理を学び、必要な情報を 収集し看護計画を立てるという看護 過程の実践の一部を取り入れまし た。学生たちは一日中調べ物をする こともあるそうです。そして、実習 の最後には、グループ発表を行いお 互いの経験を共有します。技術を提 供する以外は、ベッドサイドにいる こともなく、所在なげに病棟にたた ずむ通常の学生の姿とは大違いで す。 Sothoeunさん自身も学生指導を行 なうためには、まず自分自身が疾患 を十分に理解しなければいけないと 20134月までに帰国した卒業生は 20名、それぞれが元の職場に復帰 し、タイで学んだ看護知識や技術を 同僚や学生たちに伝えようと取り組 んでいます。 タケオ州立病院のOm Sothoeunんは、以前は結核病棟のスタッフ看 護師でしたが、現在は看護部研修担 当に任命され、学生の臨地実習責任 者となっています。 日本における臨地実習は、一人一人 の生徒が患者様を受け持ち、指導教 員および実習指導者の助言を受けな がら、情報収集・アセスメント・計 画・実践・評価という看護過程を実 践します。一方、カンボジア国で は、看護技術の習得が優先事項であ り、患者様との関わりは点滴や採血 といった処置を通じてしか行なわれ ていないのが現状です。 Sothoeunさんはタイで学んだ臨地 実習の方法を取り入れ、学生がグ ブリッジ看護学士(BSN)コース卒業生の活動 (タケオ州立病院) プロジェクトで支援を行っている、 看護学士収得コースの卒業生(第1 期生、第2期生 合計20名)はカン ボジアに帰国後、全員が元の職場に 復帰をして働いています。現在の卒 業生たちの活動状況に関して、これ から数回に分けてご紹介をいたしま す。 JICA 医療技術者育成システム強 化プロジェクト 長期専門家 虎頭恭子 勉強に励んでいるそうです。院内を 周る際も病棟スタッフに声をかけ学 生への指導を促すSothoeunさん、 このような彼の姿は学生にとって理 想の看護師像として映っているので はないでしょうか。また看護部長 も、Sothouenさんがタイから戻っ てきて、学生指導や院内研修が良く なったと高く評価しています。 実践を通して周囲から評価される BSNコース卒業生の姿を見られるの は、嬉しい限りです。彼らが看護職 の将来のリーダーとして、タイでの 学びを十分に活かすことができるよ う、プロジェクトは支援を続けてい きます。 写真上 学生がまとめた実習教材を持つSothounさん

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カンボジア JICA 医療技術者育成システム強化

プロジェクト

A News Letter from JICA HRD Project No.41 Nov 2013

The Project for Strengthening Human Resources Development System of Co-medical

ループで患者様を担当し、どのよう

な病気で何が問題となりうるのかと

いう病態生理を学び、必要な情報を

収集し看護計画を立てるという看護

過程の実践の一部を取り入れまし

た。学生たちは一日中調べ物をする

こともあるそうです。そして、実習

の最後には、グループ発表を行いお

互いの経験を共有します。技術を提

供する以外は、ベッドサイドにいる

こともなく、所在なげに病棟にたた

ずむ通常の学生の姿とは大違いで

す。

Sothoeunさん自身も学生指導を行

なうためには、まず自分自身が疾患

を十分に理解しなければいけないと

2013年4月までに帰国した卒業生は

計20名、それぞれが元の職場に復帰

し、タイで学んだ看護知識や技術を

同僚や学生たちに伝えようと取り組

んでいます。

タケオ州立病院のOm Sothoeunさんは、以前は結核病棟のスタッフ看

護師でしたが、現在は看護部研修担

当に任命され、学生の臨地実習責任

者となっています。

日本における臨地実習は、一人一人

の生徒が患者様を受け持ち、指導教

員および実習指導者の助言を受けな

がら、情報収集・アセスメント・計

画・実践・評価という看護過程を実

践します。一方、カンボジア国で

は、看護技術の習得が優先事項であ

り、患者様との関わりは点滴や採血

といった処置を通じてしか行なわれ

ていないのが現状です。

Sothoeunさんはタイで学んだ臨地

実習の方法を取り入れ、学生がグ

ブリッジ看護学士(BSN)コース卒業生の活動 (タケオ州立病院)

プロジェクトで支援を行っている、

看護学士収得コースの卒業生(第1期生、第2期生 合計20名)はカン

ボジアに帰国後、全員が元の職場に

復帰をして働いています。現在の卒

業生たちの活動状況に関して、これ

から数回に分けてご紹介をいたしま

す。

JICA 医療技術者育成システム強

化プロジェクト

長期専門家 虎頭恭子

勉強に励んでいるそうです。院内を

周る際も病棟スタッフに声をかけ学

生への指導を促すSothoeunさん、

このような彼の姿は学生にとって理

想の看護師像として映っているので

はないでしょうか。また看護部長

も、Sothouenさんがタイから戻っ

てきて、学生指導や院内研修が良く

なったと高く評価しています。

実践を通して周囲から評価される

BSNコース卒業生の姿を見られるの

は、嬉しい限りです。彼らが看護職

の将来のリーダーとして、タイでの

学びを十分に活かすことができるよ

う、プロジェクトは支援を続けてい

きます。

写真上 学生がまとめた実習教材を持つSothounさん

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カンボジア JICA

医療技術者育成システム強化

プロジェクト

国立小児病院

カンボジアには小児専門の病院はい

くつかありますが、100%国の予算で

運営されているのはこの国立小児病

院だけです。ただ、運営資金は自力

で担っていますが、医療機材や施設

設備、建物は外国からの支援に頼っ

ています。150床の病院で、外来に

は毎日200名以上の患者さんが受診

します。入院する子供たちの多くは

下痢やデング熱などの感染性疾患で

す。治療費無料の患者さんは全体の

30%ほどいますが、それでも付添家

族の食事代がないからと、治療途中

で村に帰ってしまう親子もいます。

また、未熟児やICUに入る重症ケー

スでは治療費は殆ど徴収できませ

ん。治療が複雑化すればかかる費用

も大きく、家族は負担しきれなくな

ります。病院経営上の課題は多く、

スタッフの給料は一向に上がりませ

ん。そのため半数以上のスタッフ

は、医療系学校や民間クリニックの

仕事を掛け持っています。

カンボジアの看護

この国の看護師の育成は、ポルポ

ト政権が終結した直後に再開されま

した。当時、激減した医療従事者の

育成は急務でした。私と一緒に仕事

をする看護部長さんは、その頃

(1980年)、短期の教育を受けて准看

護師になり現在の病院に勤務しまし

た。彼女はカンボジア看護教育の変

遷の中、勉強を続けてきました。

(1年間の養成コース、3年制の専門

学校、1年間の幹部養成コースな

ど)カンボジアの看護教育は何度も

もとで看護師は仕事をしています。

約160名の看護師は年代ともに教育

内容が異なり知識レベルもまちまち

です。それでも国立病院として年間

1000人以上の看護学生の実習受け入

れも行わなければなりません。その

指導的立場に立てる看護人材は著し

く不足しています。現場には看護の

ロールモデルもいないのが現状なの

です。また、病院では、命の平等が

守られない場面や、倫理観が問われ

るような事象にもたびたび遭遇しま

す。看護の現場が抱えている課題は

山積しており、自分の無力感や焦燥

感に見舞われることもたびたびあり

ます。

そんな現状の中、私はカウンター

パートである看護部長と一緒に、病

棟師長会議の効果的運営、各病棟師

長の管理能力の強化、看護部が取り

組む看護師の技術レベルの向上(院

カンボジアの医療の現場から

修正されながら現在の3年制と4年制

の教育にたどり着いたのです。

しかし今だ、看護師は専門職と認め

られず、医師のお手伝いさんと思わ

れる環境が続いています。JICA人材

育成のプロジェクトが支援している

看護規則が成立すると、専門職とし

ての定義付けがなされ、病院には看

護部がおかれ、幹部看護師は看護組

織のリーダーとして看護の質とサー

ビスを保証する責任を担うことが初

めて規則として成立するわけです。

私の活動

国立小児病院に配属されて1年が

経過しました。私は3代目のシニア

海外ボランティアとして、国立小児

病院の看護部で幹部看護職が管理業

務を理解できるように、日々の業務

に一緒に取り組みながらその組織作

りをお手伝いしています。

実は病院の組織図上の看護部の位

置づけは今一つ不明確です。看護部

長は私が来て約3か月後にやっと選

任となりました。それまでは病棟の

師長も兼任していたので、実質的に

看護部としての活動は殆ど不可能で

した。病棟は感染症内科、呼吸器内

科、消化器内科、外科、ICU、外来

等々、に分かれており各病棟医師の

JICAシニア海外ボランティア

清水直美

今回は、プノンペンにある国立小児

病院に派遣中の清水直美(シニアボ

ランティア;看護師)さんの活動を

ご紹介いたします。清水さんは、当

プロジェクトで支援を行っている看

護学士収得ブリッジコースの卒業生

への帰国後の指導も行っています。

上;国立小児病院。 下; 師長会議

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カンボジア JICA

医療技術者育成システム強化

プロジェクト

すが、小児病院ではできるだけ彼女

たちにロールモデルになってほしい

と考えています。患者さんや家族に

どのように声をかけ何を観察し、看

護を展開していくのか理論だけしか

わからなかった若い看護師たちに看

護過程の実際を見せてほしいと希望

しています。

現場に戻ったばかりの彼らは、タ

イの看護に及ばないカンボジアの看

護の現状をどのように改善していく

か、毎日課題を突き付けられていま

す。まだまだ学んだことに対する応

用力、創意工夫、現状の課題分析能

力に欠けますが、改善していこうと

いう意欲が感じられます。

内教育など)、病院サービスに果た

す役割の理解と実施、人材管理、院

内感染への取り組み、等と多岐にわ

たる業務に取り組んでいます。幹部

看護師3名は、業務計画や、院内教

育の計画の立て方や実施、評価など

もまだまだ未熟で実施できません。

今年はやっとワークショップを行い

年間活動計画の作成に取り組むこと

ができました。来年は初めて計画に

沿って活動に取り組む練習です。

これからも現場の課題に取り組んで

いくのはカンボジアの幹部看護師で

す。私が2年間でできることはわず

かなものですが、彼らが課題に取り

組む方法や考える力を身に着けてい

くことを支援したいと思い一緒に現

場を回り課題について考えます。い

つか小児病院の看護師が人にやさし

い、レベルの高い看護を提供してい

けることを願って。

学士看護師

赴任し約半年が過ぎた頃、JICA人

材育成システム強化プロジェクトの

支援で、タイの大学で看護を学んだ

2名の学士看護師が病院に戻ってき

ました。2名は病棟主任へ昇格しま

した。そして2人には病棟の中で看

護の改善に取り組んでもらうほか

に、看護部の管理業務も手伝っても

らうことが架せられました。私とし

ては心強い味方が増えたような心境

でした。

彼女たちが看護部の活動に参加す

るのは現在週1-2日程度ですが、副

看護部長2名も病棟との兼務のた

め、今までなかなか進まなかった書

類の作成や、英語からクメール語へ

訳した教材の開発などに助力を発揮

しています。私が現地語で伝えにく

いことなども彼らがいることでコ

ミュニケーションの壁がより低く感

じられるようにもなりました。学歴

を上げるとどうしてもすぐに指導者

となるイメージの強いカンボジアで

年齢も若く、経験年数も少ない彼

女達は、幹部看護師として活躍する

のはまだ先のことになりますが、タ

イで学んできた知識をほかの看護師

たちに見せ、伝えてくれること、そ

して看護部の業務を手伝うことで組

織や管理体制について学び、リー

ダーシップやマネージメントの力を

蓄えていくことを期待しています。

学士看護師がその知識と行動力を

もって、いつかこの国の看護を引率

するリーダーとして育ってほしいと

願ってやみません。

カンボジアの医療の現場から (つづき)

上;2014年の看護部活動計画作成のためのワークショップ 下; 巡回指導

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カンボジア JICA

医療技術者育成システム強化

プロジェクト

クター」としての働きをしていまし

た。国立母子医療センターにて分娩

室を見学させていただいた際は、分

娩室のスタッフが足りないことか

ら、児娩出が間近になったころにな

らないと産婦が分娩室に移動してく

ることができないという現状を知り

ました。また、NICUでは筋緊張も

なく全身チアノーゼとなっている

1500gにも満たない未熟児にアン

ビューバックを施しているのが医療

者ではなく児の父親であった現場に

はショックを受けました。このよう

に、看護師が「ミニドクター」とし

て働かなくてはならない現状の裏に

は、絶対的に医療者が不足している

ことを実感する機会となりました。

また、こうした人員不足や環境が

整備されていないという現実もある

ことから、「看護」という概念や

「看護観」をそれぞれの専門職者が

考えたり実践する機会がないのでは

ないかと感じる場面もありました。

国立母子医療センターに勤務する助

産師に看護観について話しを伺う機

会がありましたが、その方は「本当

は一人一人の妊産褥婦に寄り添った

このたび、開発途上国での保健医

療、母子保健、看護・助産の実際に

ついて学ぶことを目的に、2013年9月15日~26日の12日間カンボジア

に滞在しました。滞在中には国立医

療技術学校、カンボジア赤十字社、

保健省、JICAカンボジア事務所、

国立母子医療センター、プノンペン

市立病院、コンポンチャム州立病

院、プノンペンとコンポンチャム州

の保健センターを訪問し、家庭訪問

にも同行させていただきました。

多くの施設や地域へ訪問し、カン

ボジアの現状を肌で感じながら、

JICAカンボジアでの「医療技術者

育成システム強化プロジェクト」の

具体的方策やその必要性について深

く学ぶことができたため、報告した

いと思います。

今回私は初めてカンボジアに行き

ました。これまでは日本の整った教

育環境に身を置き、カンボジアに比

べると物品も施設も整っている日本

で看護師として勤務してきました

が、カンボジアでは日本とはあまり

にも異なった現状に驚く場面が多々

ありました。そして、実習を通して

多くの施設を訪問し、現地の方々と

触れ合いながら日々を過ごすこと

で、カンボジアにおける母子保健分

野の現状を本当に実感することがで

きたと思います。その中でも特に大

学生を教える人が学士を持っていな

い専門学校卒の先生であったり、学

校教育のカリキュラムが未整備であ

るという点については驚きました。

また、カンボジアの病院で日本と

の違いとして強く感じたことは、

「看護師」や「助産師」の役割の違

いです。カンボジアでは日本で考え

る「看護」は家族の役割であり、看

護師は主に医療行為を行う「ミニド

日本赤十字看護大学 スタディツアー参加者からの感想

看護・助産を提供したい。ただ、現

実はそうはいかない。人が足りない

し、看護観を持っていないスタッフ

も多くいる。」と話してくださいま

した。この方の話しからは「寄り

添った看護・助産を提供したい」と

いう強い思いと、現実的にはうまく

いかないもどかしさが感じられまし

た。

このように、看護や助産に対して

熱い思いを持ったカンボジアの専門

職者の思いが実現するためにも、

JICAのように海外からの支援活動

は重要な役割を果たしているのでは

ないかと感じました。特に、質の高

い知識や技術を持つ医療者が少ない

カンボジアにおいては、教育者の育

成は特に強化すべき点であると感

じ、コンポンチャム州でのTraining Centerや学士ブリッジコースなど、

現行されているプロジェクトの必要

性を強く感じました。

また、JICA看護教育・行政専門

家である虎頭恭子氏は「今後はカン

ボジアにおける『看護』をつくって

いくことが必要」と話してください

ました。これは、今回のカンボジア

日本赤十字看護大学大学院看護学研

究科

国際保健助産学専攻実践コース1年

三浦菜緒

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カンボジア JICA

医療技術者育成システム強化

プロジェクト

世界保健人材連盟とは

世界全体を見渡すと、結核・マラリ

ア・HIVなどの感染症が流行し、母

や子供の衛生や保健の状態の悪い

国々と、医師・看護師などの保健に

関わる人材のいない国々は驚くほど

一致しています。その多くはサハラ

砂漠以南のアフリカ、南アジアなど

の国々です。状況を改善するための

一つの目安として人口1000人あた

り2.5人の医師・看護師・助産師が

必要とされていますが、これらの国

の多くは0.1人以下、しかも首都に

集中して、保健医療の必要なへき地

に定着して働いてくれる人材はなか

なか見つかりません。一方で発展し

た国々も高齢化や保健のニーズに対

応して保健人材に求められる技能

(人材の質)も変化します。数の不足

や都市部への集中、人材の質に関す

る課題などの共通の課題を協力して

解決しようと、2006年に世界の

国々の保健省・国連機関・非政府機

関(NGO)や職能団体などが集ま

り、世界保健人材連盟(Glo ba l Health Workforce Alliance: GHWA)が結成されました。2年に

一度、会議を開いて、国レベルでの

政策や成功事例に関する情報交換を

したり、共通の課題に向けた解決策

を話あったりしています。今回は11月10-13日、ブラジルレシフェ市

で第3回グローバルフォーラムが開

催され、世界93か国から約2000名が、カンボジアからは保健省教育担

当次官補・人材養成部副部長・医師

カウンシル理事の3名が参加し、カ

ンボジアの取り組みを発表しまし

た。

カンボジアの取り組み

カンボジアは過去20年の保健省の取

り組みを通じて、全国の病院診療所

に看護師・助産師が2名ずつ働くよ

うになり、田舎の保健センターにい

つ行っても基礎的な保健医療サービ

スが受けられるようになりました。

GHWA (Global Health Workforce Alliance) 会議への参加

JICA 医療技術者育成システム

強化プロジェクト

チーフアドバイザー 藤田則子

日本赤十字看護大学 スタディツアー参加者からの感想(続き)

での実習を通し自身でも強く感じた

点でもありました。カンボジアの宗

教や文化に合わせた看護の概念や看

護観などを海外からの支援者でな

く、現地の医療従事者が考えていく

ことができればカンボジアにおける

看護・助産の質の向上につながるの

ではと感じました。また、保健医療

の現状を改善するためには、医療に

関する分野以外にも、経済、交通、

政治、ジェンダー、文化、宗教など

多側面からのアプローチが必要であ

ることを実感し、考えさせられる実

習となりました。

今回の実習にてカンボジアでの貴

重な経験を通して、様々な学びを深

めることが出来たと思います。特

に、開発途上国における海外ドナー

による支援について具体的に学ぶこ

とができたことは、今後日本で国際

保健について学んでいく上でもいつ

か海外協力活動に携わっていく上で

も大きな経験となったと感じまし

た。そのため、今後もカンボジアの

保健医療の実情や情勢について関心

を寄せながら、国際保健について考

えていきたいと思いました。

最後になりましたが、今回快く施

設への訪問を受け入れて下さった関

連施設の職員の皆様、そして、各地

でお世話になりましたすべての方々

に心より感謝申し上げます。

11月にブラジルで開催された世界保

健人材連盟(Global Health Work-

force Alliance: GHWA)第3回グ

ローバスフォーラムでプロジェクト

活動を発表しました。GHWA会議

に参加をした藤田チーフアドバイ

ザーからの活動報告をご紹介いたし

ます。

中;カンボジアからの参加者 下; カンボジア保健省次官補

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カンボジア JICA

医療技術者育成システム強化

プロジェクト

くは公的機関(中央地方政府・公立

学校・公立病院)でしたが、NGOのような非政府機関だけではなく、

収益を求めるプライベート病院や私

立大学学校、労働組合や職能団体な

ども保健人材に関する議論に参加

し、問題意識を共有していくことの

重要性も話し合われました。

カンボジアにいると政府高官として

超多忙な保健省の仕事相手。でも一

緒に旅をすると、お食事やお買いも

の、お互い仕事を離れた話もできる

いい機会となります。しかし、カン

ボジアから片道2日以上、ブラジル

は遠かった・・・。

レシフェは海のきれいなリゾートで

した。「さめに注意」の看板で誰も

海水浴はしませんでしたが、次官補

は朝ジョギングをされたそうです。

このように人材の数の面では充足し

つつあるものの、この10年の治安改

善と経済成長、若年人口の増加に伴

い、教育ビジネスが活発になり私立

校が急増、学校での教育の質、ひい

ては卒業して病院や診療所で働く医

師や看護師たちの質をどう保つかが

保健省・教育省の大きな課題となっ

ています。これに対して、当プロ

ジェクトやWHOなどの支援を得つ

つ、カンボジア政府がここ数年進め

てきたのは、一定の基準を満たした

看護学校や医科大学を認可する、共

通の卒業試験を実施して教育の成果

を確認する、共通卒業試験を合格し

た者にのみ免許を与え医療や看護行

為を認める、免許は更新制とし継続

教育を受け知識や技能を常に最新に

保つ、という制度づくりでした。プ

ロジェクトがこれまで支援してきた

看護規則は学校認可・国家試験・免

許制度の枠組みの根幹をなす法律と

いうわけです。これらの枠組みは保

健人材の規制枠組みとも呼ばれます

が、ASEAN域内で医師や看護師が

自由に移動できるような体制づくり

を進めているということもあり、こ

こ数年世界的にも話題となっていま

す。今回の第3回グローバルフォー

ラムでも議題の一つとして取り上げ

られ、カンボジアからの発表に対し

てその努力は評価され、議論を呼び

ました。またこれまで援助活動の多

左端はセネガル保健省アドバイザー

(永井真理氏)。2007年から一年

間母子保健センターの長期専門家で

カンボジアにもおなじみの方です。

GHWA (Global Health Workforce Alliance) 会議への参加(続き)

ブラジルでもかぼちゃを食べます。

かぼちゃの語源はカンボジア。でも

でかい!中に入っているのはかにの

クリーム煮。最後はかぼちゃのデ

ザートになります。

11月7日;ユサナラ次官補と協議(看護規則)

11月8日-11月16日;ブラジルGHWA会議

11月12日-13日; カンポートRTC、タケオ州病

院、パティ郡病院訪問

11月15日;TSMC訪問、HRDD部長と協議(看

護規則)

11月17日;NPH訪問

11月30日;タイ セントルイス大学卒業式

12月22日;藤田CA赴任

12月23日;赤熊専門家赴任(30日離任)

1月6日;学士看護師収得ブリッジコース卒業生との

協議

1月26日-30日;PMAC会議

1月28日;タイ セントルイス大学訪問

ホ ー ム ペ ー ジ も ご 覧 下 さ い 。

http://www.jica.go.jp/project/cambodia/004/index.html

ブラジル人は肉食。大きさはフライパン大、これをブラジル美女は2人で

ぺろり・・・日本人は4人がかりでも食べきれませんでした。