Astro-E2 衛星搭載 XIS の地上データ処理の最適化
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Transcript of Astro-E2 衛星搭載 XIS の地上データ処理の最適化
Astro-E2 Astro-E2 衛星搭載衛星搭載 XIS XIS の地上データ処理の最適化の地上データ処理の最適化宮内 智文、東海林 雅幸、林田 清、鳥居 研一、並木 雅章、勝田 哲、松浦 大介、常深 博(阪大理)、山口 弘悦、中嶋 大(京大理)、
幸村 孝由(工学院大)、村上 弘志、片山 晴善( JAXA )、他 Astro-E2 XIS チーム
概要概要 2005 年打ち上げ予定の Astro-E2 衛星搭載の X 線 CCD カメラ( XIS )システムは 3 台の表面照射型( FI ) CCD と 1 台の裏面照射型( BI ) CCD で構成される。これら 4 台のカメラとスペア品の地上較正実験は 2004 年秋に完了し、 Astro-E1 XIS 用に開発したデータ処理方法で解析を行ってきた。しかしこのデータ処理は、 Astro-E2 XIS に対して最適なものとは限らない。特に BI-CCD は今回が初導入のため、データ処理方法の再検討は必須である。 XIS のアナログ回路部( AE )から出力された CCD のフレームデータに対して、 XIS のデジタル回路部( DE )はダークレベル差し引きとイベント抽出を行う。抽出されたイベント情報は、指定されたモード( 5×5,3×3,2×2 )で地上に転送される。グレード判定とパルスハイト合成は地上データ処理で行う。 まず我々はイベント情報を詳細に調べ、イベント中心の縦横に隣接する 4 個のピクセルのうち、電荷転送方向と逆方向の 2 ピクセルに系統的に電荷が漏れ出していることを明らかにした。漏れ出し量は、 CCD の漏れ出し口から遠い位置でより顕著で、この現象が電荷転送非効率によるものであることを示している。電荷の漏れ出し量は 5.9keV の X 線に対して数 e- とわずかであるが、グレード判定では無視できない。我々は、実験データに基づいてこの漏れ出しを補正する方法を開発した。
22 .. 電荷の漏れ出し電荷の漏れ出し
33 .. 漏れ出しの補正漏れ出しの補正
44 .. まとめまとめ
電荷が漏れ出した状況では、スペクトルのピークの位置がずれてしまう。
•転送方向と逆方向に電荷が漏れ出していることが分かった。•電荷転送非効率( CTI) は、転送回数とエネルギーに依存することが分かった。•電荷漏れ補正に成功した。•データ処理の新しい方法として、電荷漏れ補正を導入した。 その他、 PHA 依存 Split threshold (山口 @ 京大理 ポスター W26b )、 Bad column filterを導入した。
補正後の BI-1 センサーの電荷漏れ出し(全イベント) @Mn Kα
参考文献 •東海林 雅幸 修士論文 ・・・大阪大学 2004•片山 晴善 修士論文 ・・・ 大阪大学 2000
PH(2) は転送回数の違いよる影響をほとんど受けていなが、 PH(7) は顕著にピークとなる Pixel level が高い値にシフトしている。シフトする値はエネルギー依存性があり、高いエネルギーほど大きくシフトする。
ピークがシフトする原因は、中心ピクセルから漏れ出す電荷転送非効率( CTI )である。
漏れ出した電荷量を見積もり、中心ピクセルに戻す補正を行う必要がある。
⇒ 一転送あたりに漏れ出す電荷量を求める。
11 .. グレード判定法グレード判定法
入射した X 線は、 CCD 中で光電吸収した後に、電子雲を形成する。電子雲は電極で収集されるまでに拡散する。
入射 X 線のエネルギーを正しく推定するためにグレード判別を行う。
ある閾値( Event threshold )を越え たものをイベントとみなす。複数のピクセルにまたがる場合、イ ベントの周りの電荷は、閾値( Split threshold ) を越えるもののみを足し合わせる。X 線 入射 電子雲の形成 電極で収集
24m
24m
大きくイベントが広がる grade7 は、エネルギー分解能を悪くするためデータ処理には用いず、grade02346 のみを使用する。
※
grade0
grade1
grade2
grade3
grade4
grade5
grade6
grade7
Event threshold 以上で最大(極大値)のピクセルレベルのピクセル
Split threshold 以上でイベントに含むピクセル
Split threshold 以上でイベントに含まないピクセル
CTI = (4.5±0.3)×10-6 [ transfer-1 ]
CTI= (1.72・ 10-4)×E-0.5 [transfer-1]
転送回数依存性
エネルギー依存性
転送回数に対する PH(7) の中心 PH の変化を調べた。転送回数が増えるにつれて、電荷が漏れ出していることが分かる。
このグラフの傾きから CTI を求めることができる。
エネルギーに対する CTI の変化を調べた。エネルギーが大きくなるにしたがって、 CTI が小さくなることが分かる。
CTI はエネルギーの – 0.5 乗に比例することが分かる。
転送回数による影響を調べるために、 CCD受光面を上図のように 4つに区切った。
X線入射位置とエネルギーの情報から、転送回数とCTIが分かるので、読み出し口から遠いピクセルへの電荷漏れ出し量を知ることができる。
漏れ出した電荷を中心ピクセルへ戻す補正が可能。
転送方向と逆に広がるイベントが多いことの原因を調べるために、イベント中心に対して読み出し口に近いピクセル (PH(2)) と遠いピクセル (PH(7)) の波高値を調べた。
温度依存性
このグラフから CTI のエネルギー依存性を求める。
CCD温度と CTI の関係を調べた。温度が上がるにつれて CTI が小さくなっていくことが分かる。これは、電荷トラップによるものだと考えられる。トラップされた電荷が再放出される時間は、温度が高いほど短く、温度が低いと長くなると考えればこの現象がうまく説明できる。
電荷漏れ補正
電荷転送非効率( CTI ):電荷を 1画素転送した時に失われる電荷の割合。
BI-1 センサーの電荷漏れ出し(全イベント) @Mn Kα
PH [ADU] PH [ADU]
PH [ADU] PH [ADU]
coun
tsco
unts
coun
tsco
unts
A
D
B
CPH [ADU] PH [ADU]
PH [ADU] PH [ADU]
coun
tsco
unts
coun
tsco
unts
A B
C D
転送回数
PH(7
)の
中心
PH [
AD
U]
PH ( E) [ADU]
CT
I [t
rans
fer-1
]
CCD温度 [ ]℃
CT
I [t
rans
fer-1
]
BI-1 センサーでは、補正によりカウント数が 5.9keV で 11% 、 8.6keVで 15%増加した。また、シングルイベントが 17%増加し、 grade3 と grade4 の割合もほぼ同じになった。 3連続イベントが減少することを確認した。
grade7 のような広がったイベントが補正されることによって、 grade02346 になりカウント数の増加につながった。
グレード分岐比
BI-1 のグレード分岐比( Mn-K )を調べた。
※grade8,9,10,11 はまとめて grade7 になる。grade
Rat
io [
%]
3連続イベント
本来なら同じ割合になるはずの grade3 と grade4 に差がある。全イベントについて縦方向への広がりを詳しく調べると、読み出し口に近い方へ広がったイベントが、全体の 4%だったのに対し、読み出し口から遠い方へ広がったイベントは 22% であることが分かった。さらに X 線イベントとしては考えにくい、イベント中心の上下に広がった 3連続イベントが 10% もあることが分かった。
転送方向と逆に広がるイベントが多い。
※grade8,9,10,11 はまとめて grade7 になる。
電荷漏れ補正に成功した。
grade
Rat
io [
%]
補正後のグレード分岐比
グレード分岐比
•中心の縦横に隣接する 4 ピクセルのうち、転送方向と逆方向のピクセル( PH(7) )に電荷が漏れ出していることが分かった。 ※横転送である PH(5) にも電荷が漏れ出していることが分かった。•読み出し口からの距離に比例して電荷の漏れ出し量が多くなっている。
読み出し口
CCD受光面
A
B
C
D
1024画素
1024画素
黒点線: PH(2) 赤実線: PH(7)
黒点線: PH(2) 赤実線: PH(7)