Analysis and Testing of Lithium Ion Battery …...Analysis and Testing of Lithium Ion Battery...
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C10G-0081H
性能•安全性向上に貢献する
リチウムイオン二次電池材料分析•試験― 活物質、電解液、セパレータからセルまで ―
Analysis and Testing of Lithium Ion Battery Materials
■ セパレータ
■ 活物質
■ セル・モジュール
■ 電解液● 成分分析:FTIR● 加熱観察(細孔状態の変化):SPM● 細孔測定:オートポア● 熱特性(融解、収縮):DSC、TMA● 定性分析:XRD● 突き刺し強度試験:材料試験機 ● 圧縮試験:MCT● 引張試験/XY軸伸び幅計測:材料試験機● 損傷セパレータのひずみ観察:DIC解析
P.6P.7P.7P.8P.8P.9P.9
P.9 , P.10,P.11
● 粒径、分散・凝集評価:SALD● 活物質材料の微小圧縮試験:MCT● 表面・深さ方向の化学状態:XPS● 結晶構造:XRD● 正極・負極材の観察:X線CT● マッピング観察(EPMA)および導電性マッピング観察:SFT、SPM
P.4P.4P.6P.8P.14
P.3 , P.6
P.11P.12P.15
● 小型二次電池のひずみ観察:DIC解析● セルからの発生ガス分析:GC、GCMS● 小型LiBの非破壊内部構造観察:X線CT
● 熱特性評価、熱重量測定:DSC、TGA● 成分分析:GCMS、GC● 充電容量低下後の生成物解析:LCMS-IT-TOF
P.5P.12P.13
LiCoO2
PVdF
LiCoO2
LiCoO2
PVdF
LiCoO2
セル断面正極 負極
電解液正極集電箔 正極活物質 セパレータ 負極集電箔バインダー導電助剤 負極活物質
2
正極断面の活物質 / バインダ界面観察、導電性分布の微視的観察
天然黒鉛表面画像
負極材(グラファイト)の観察
人造黒鉛表面画像
レーザー顕微鏡輝度像(約 2400 倍)
ナノサーチ顕微微鏡SFT-4500
レーザー顕微鏡輝度像(約 6000 倍)
SPM位相像(約 10 万倍)SPM形状像(約 10 万倍)
レーザー顕微鏡画像(倍率約 2400 倍)
SPM高さ画像(倍率約 20,000 倍)
レーザー顕微鏡画像(倍率約 2400 倍)
SPM高さ画像(倍率約 20,000 倍)
試料提供:日本黒鉛工業株式会社様 日立化成株式会社様
赤色部が導電性の良い(電流値大)部分を示しています。
試料に電圧を印加しながら導電性カンチレバーに流れる電流量を測定、画像化
導電性が低い(抵抗が大きい)ためにカンチレバーに流れる電流量は小さい
導電性が高い(抵抗が小さい)ためにカンチレバーに流れる電流量は大きい
導電性マッピング模式図
SPM高さと導電性の重ね合わせ画像
試料提供:株式会社住化分析センター様リチウムイオン電池材料研究センター(LIBTEC)様
レーザー顕微鏡画像(倍率約 2400 倍) SPM高さ画像(倍率約 5000 倍)
LiCoOLiCoO2
PVdFPVdF
LiCoOLiCoO2LiCoO2
PVdF
LiCoO2
LiCoOLiCoO2
PVdFPVdF
LiCoOLiCoO2
LiCoO2
PVdF
LiCoO2
AAAAAAAAAAAAAAAAA
・電気化学用溶液セル:電解溶液中で電気化学反応による試料表面の変化をAFM観察。・雰囲気制御ユニット:嫌気・嫌水試料の観察、試料を過熱・冷却しながらの観察が可能。・グローブボックスへの設置、運用実績あり。
走査型プローブ顕微鏡SPM-9700
走査型レーザー顕微鏡と走査型プローブ顕微鏡を一台に集約
走査型プロ ブ顕微鏡
3
カーボンブラックの粒子径、分散 / 凝集評価
カーボンブラックは光を吸収しやすく測定が困難ですが、SALD-2300では散乱光の高感度測定を実現しており、分散処理前の凝集体からの強い散乱光だけでなく、分散処理後のサブミクロン粒子からの弱い散乱光であっても信頼性の高い測定を行うことができます。
・ 粒子径測定範囲:17 nm~2500 µm・ 0.1ppm~20%までの粒子濃度に対応・ 最短1秒間隔での連続測定機能により分散・凝集の過渡現象をモニタできます。・ 試料量15 µLから300 mLまでに対応(オプション選択)
レーザー回折式粒子径分布測定装置SALD-2300 シリーズ
相対粒子量(頻度)
分散状態が異なるカーボンブラック粒子の測定
電極スラリーの高濃度測定
高濃度サンプル測定ユニットを用いれば、活物質や導電助剤単体だけでなく、高濃度な電極スラリーを最小限の希釈で測定することができます。高濃度サンプル測定ユニットSALD-HC23と測定例
相対粒子量(積算)
相対粒子量(頻度)
測定ユニットを用いれば 活定ユニットを用いれば
活物質の圧縮試験結果
正極・負極活物質の微小圧縮試験
微小圧縮試験機MCT シリーズ
試料情報と試験結果
試料名LiMn2O4LiCoO2
破壊試験力[mN]1.6716.23
粒子径[µm]13.013.3
強度[MPa]7.7972.75
活物質圧縮試験の概念図
上部加圧圧子
試料散布
下部加圧盤
測長キットにより画面上で試料の長さ測定・画像保存を、抵抗測定キットにより導電性微粒子の接続抵抗と圧縮率との相関を得ることができます。高温システムにより室温から250℃までの高温環境下での微小圧縮試験が可能。上下の圧盤を電極として使い、圧縮試験を行いながら電気抵抗を測定します。
4
充放電前後の正極活物質と電解液の熱特性評価
未充電の正極活物質と電解液をSUS製耐圧セルにサンプリングし測定しました。300℃付近に小さな発熱変化が観察されます。
充電後の電池より得られた正極活物質と電解液を同様に測定しました。充電により活物質が不安定になり200℃付近より分解による大きな発熱ピークが観察されます。
電解液を測定しました。300℃付近で分解によると見られるシャープな発熱ピークが観察されます。
電池部材はSUS製耐圧セルに封入後DSCで測定します。今回、非常にコンパクトでグローブボックス内での操作が容易な油圧プレスを用いて試料作製を行いました。
示差走査熱量計DSC-60 Plus
SUS 製耐圧セル
ジグ油圧プレス
TGAによる電極材料の水分、揮発分の測定
200.00℃-0.033%
天然黒鉛
200.00℃-0.214 %
LiFePO4
110.00℃-2.387 %
200.00℃-3.245 %
LiTiO2
TGAにより正極材料、負極材料として使用されるL i FePO 4、天然黒鉛(日本黒鉛製)、LiT iO2粉末を加熱しその水分、揮発成分率の測定を行いました。各試料とも200℃までの減量率を示しました。特に、黒鉛の測定にはTGA - 5 1マクロ型熱重量測定装置+大型セルを用い、1g以上の試料をサンプリングすることにより、微量な減量を検出することができました。
熱重量測定装置TGA-50/51
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正極活物質の分散確認やバインダーおよび導電助剤の分布観察
電子線マイクロアナライザEPMA-1720/1720H
活物質表面皮膜(SEI)の化学状態評価
・ トランスファーベッセルによる大気非暴露分析(オプション)・ ナノメーターオーダーの深さ方向分析ナノメ タ オ ダ の深さ方向分析
KRATOS イメージング X線光電子分析装置AXIS-ULTRADLD
セパレータの組成・成分分析
バインダー、電解質、セパレータの組成・成分分析に有効です。ATR法により前処理をほとんど必要とせず、材料表面、薄膜の10 µm程度の微小領域の分析が可能です。
赤外顕微システムIRTracer-100
7008009001000110012001300140015001/cm
Abs
No1No2No3
試料①
試料②
試料③
ポリプロピレン
7008009001000110012001300140015001/cm
Abs
No1_tNo2_tNo3_t
試料①
試料②
試料③
ポリプロピレン
1回反射ATR法による表面の分析例 透過法による膜全体の分析
グローブボックスを用いた大気非暴露分析システム例(FTIR)
FTIRはメンテナンスが容易なように本体をGB外側面に設置し、透過窓を通してGB内部に設置した第二試料室で測定を行います。GB内部の光学系を設計すれば、透過法を初め、反射法、全反射法等ご要望の測定に対応できます。
GBと FTIR 接続例 GB内 FTIR 第二試料室
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SPMによるセパレータ細孔観察・加熱によるPoreの収縮観察よるセパレ タ細孔
走査型プローブ顕微鏡 SPM-9700雰囲気制御システム
試料① 試料② 試料③
異なる3種セパレータのポア観察
125℃室温 140℃
セパレータの融解により徐々にポアが縮小していく様子がわかります
試料①の加熱変化
水銀ポロシメータによるセパレータの細孔測定
1 2 3
0.01 0.1 10.0
0.5
Pore Size Diameter (μm)
Log
Dif
fere
nti
al I
ntr
usi
on
(m
L/g
)
3種セパレータの細孔分布測定例
試料番号①②③
細孔容積(mL/g)0.500.800.41
メディアン径(µm)0.180.130.07
・ 3種のセパレータの試料細孔についてのメディアン径は試料①>試料②>試料③であり、SPMによる観察結果と整合していることがわかります。
・ 同時に測定した細孔容積では試料②が他に比べて大きいことがわかります。
自動ポロシメータオートポアⅣ 9500 シリーズ
7
熱分析によるセパレータの熱特性評価
DSCによるセパレータの融解測定 TMAによるセパレータの収縮測定TMAによるセ
示差走査熱量計DSC-60 Plus
熱機械分析装置TMA-60
フィルムに微小な引張方向の負荷を与えながら、その伸びまたは収縮の寸法変化を測定します。2種試料をMD方向(長辺方向)とTD方向(短辺方向)で測定実施。試料①と②を比較するとMD、TDとも試料②のほうが高温で収縮が見られ、また試料①、②とも収縮量はMDよりTDのほうが小さく、さらにTD同士の比較では②より①の収縮率が小さいことがわかります。
異なる3種類のセパレータ、それぞれで100~150℃にかけてポリエチレンの溶解と考えられる吸熱ピークが測定されました。液体窒素冷却槽を内蔵しており、冷却過程の測定も可能です。
50.00 100.00 150.00Temp [°C]
−10.00
−5.00
0.00
5.00
mW
融解熱量 −134.8 J/g
130.2°C
−199.2 J/g融解熱量
137.2°C
−186.3 J/g融解熱量
137.1°C
①
②
③
2.00 mg
1.80 mg
1.98 mg
10°C/min
(PE)
(PE)
(PE)
(PP)
DSC
50 100 150Temp [°C]
−4000
−3000
−2000
−1000
0
μm
[温度プログラム]
加熱温度 ホールド温度 ホールド時間[°C/min][°C] [min]10.00 200.0 0
① TD
② MD
① MD
② TD
TMA
DSC測定結果 TMA測定結果
セパレータの定性分析、活物質の結晶構造解析
X 線回折装置XRD-6100
・ 正極材、負極活物質の結晶構造、配向、サイズの解析・ セパレータの定性分析、結晶化度、配向度などの解析・ ポリキャピラリ光学系により凹凸のある試料表面や曲率面を持つ試料の測定も可能。・ 空気あるいは不活性ガス雰囲気(N2)で最高1500℃までの加熱測定により各温度での比較が可能。また試料加熱・低温アタッチメントも利用できます。
X線回折パターン
検索結果01-074-3321 (Li0.99Ni0.01 ((Ni0.7Co0.15Al0.15)O2)01-007-1563 Li(Ni0.7Co0.3)O2
正極材料の回折パターンによる定性分析
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セパレータの引張試験における伸び幅測定
ビデオ式非接触伸び幅計TRView X 応力-ひずみグラフ 幅の減少量-伸びグラフ 試験の様子
非接触式のビデオ伸び幅計の利用により、試験力と共に伸び幅の測定が可能です。
異なる雰囲気温度中でのセパレータの突き刺し強度測定
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 100.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
試験力(N)
変位(mm)
25°C60°C
90°C
試験力、変位曲線 恒温槽内写真恒温槽
試験温度に対する最大試験力と最大変位
試験温度(℃)
25
60
90
最大試験力(N)
3.85
4.07
2.13
最大変位(mm)
4.45
6.63
6.68
25℃と60℃における試験力を比較すると、最大試験力は同等ですが、最大変位の値は60℃において増大していることがわかります。60℃と90℃における特性値を比較すると、90℃で最大試験力の低下が見られますが、最大変位については同様の値となっています。以上より、本試験に用いたリチウムイオン電池セパレータは60℃において、伸び特性が上がるにもかかわらず、強度の低下を示さないことが推測できます。
*防爆チャンバーによるセル圧壊試験実績あり
微小圧縮試験機によるセパレータの圧縮試験
微小圧縮試験機MCT シリーズ
試料番号①②③
最大試験力(mN)49.949.950.0
厚さ(µm)202010
圧縮量(µm)3.6513.3711.038
圧縮率(%)18.316.910.4
圧縮率(%)=(圧縮量)÷(厚さ)×100(%)
・ セパレータは製造工程、使用中に圧力を受けるために、品質を保つ上で構造材料単体での強度評価が重要です。
・ 高温システムにより室温から250℃までの高温環境下での微小圧縮試験が可能。
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異なる温度でのセパレータの(引張方向・垂直方向)引張強度試験
精密万能試験機 AGS-X(恒温槽オプション)
ダンベル試験片(イメージ図)短辺方向
長辺方向
① TDRT60°C90°C
0 200 400 600 800 1000 12000
50
100
150
200
ひずみ(%)
応力(N/mm2 )
① MDRT60°C90°C
0 100 200 300 4000
50
100
150
200
ひずみ(%)
応力(N/mm2 )
② TDRT60°C90°C
0 200 400 600 800 1000 12000
50
100
150
200
ひずみ(%)
応力(N/mm2 )
② MDRT60°C90°C
0 100 200 300 4000
50
100
150
200
ひずみ(%)
応力(N/mm2 )
Fig.1 「試料①短辺方向」の応力‒ひずみ Fig.2 「試料①長辺方向」の応力‒ひずみ
Fig.3 「試料②短辺方向」の応力‒ひずみ Fig.4 「試料②長辺方向」の応力‒ひずみ
Fig .1およびFig2 .において、数値で比較すると試料①長辺方向は試料①短辺方向と比べて、引張強度が約5倍の値となり、また破断ひずみが約1/15に減少しています。また、Fig.3およびFig.4から試料②短辺方向の引張強度は試料①短辺方向の約2倍になり、また破断ひずみは大幅に減少していることがわかります。
Table 1 試料①および②の短辺方向と長辺方向の機械的特性値
25 °C
試料
①短辺方向
①長辺方向
②短辺方向
②長辺方向
引張強度(MPa)
36.9
175.6
78.2
129.5
破断ひずみ(%)
471.4
26.8
138.5
34.1
引張強度(MPa)
35.4
162.5
68.8
118.3
破断ひずみ(%)
898.8
57.0
347.6
105.3
引張強度(MPa)
19.3
129.9
33.8
58.7
破断ひずみ(%)
1044.0
76.7
427.9
367.2
60 °C 90 °C
試験温度に対する機械的特性についても、25℃と60℃におけるサンプルの破断ひずみと引張強度を比べると、試験温度の上昇によって、60℃における破断ひずみの値は2倍程度大きくなっているにもかかわらず、引張強度の低下はわずかなことがわかります。上記と同様、60℃と90℃におけるこれらの特性値を比較すると、破断ひずみは25℃と60℃の値を比べた場合と同様に値が大きくなる傾向がありますが、引張強度については値が著しく低下していることがわかります。
10
リチウムイオン二次電池のDIC解析・評価
物体表面のランダムパターンを物体変形前後で比較し、パターンの移動量を調べる手法。高温下における部材、大型構造物および顕微鏡下における微小部材のひずみ解析などにも利用可能。
DIC解析(Digital Image Correlation) DIC解析システム構成
精密万能試験機オートグラフ AG-Xplus*引張/圧縮/突き刺し試験に使用
非接触式伸び幅計TRViewX*デジタル動画取得に使用
StrainMaster (LaVision GmbH)*画像解析に使用
リチウムイオン二次電池セパレータの引張試験 引張サイクル試験に対するひずみ観察(DIC解析)
セパレータが損傷を受けた場合を想定して、突き刺し損傷後のセパレータがどのようなひずみ特性を示すのかを、引張試験および一定の試験力を目標値とした引張サイクル試験を実施して評価しました。
■セパレータの引張試験(撮影速度30 fps、画像は20秒間隔)負荷速度10 mm/min
突き刺し試験
損傷発生
損傷部(円孔)
標点
■セパレータの引張サイクル試験(撮影速度30 fps)目標試験力20 N、負荷速度20 mm/min、サイクル数20
試験力(N)
ストローク(mm)0 1 2 3 4 5 6 7 8
0
5
15
10
20① ②③
④⑤⑥⑦ ‥‥ ⑳
20 N引張負荷時のひずみ分布(図中の番号は試験力•ストローク線図の番号と対応)
サイクル試験回数が増加するごとに損傷部(円孔)にひずみが集中
試験前 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦
リチウムイオン二次電池 電池筐体の圧縮試験に対するひずみ観察(DIC解析)
本試験においては、携帯電話に使用されるリチウムイオン二次電池を小形圧盤を用いて圧縮し、負荷を加えた際に発生したひずみ分布を観察しました。
■電池筐体の圧縮試験(撮影速度30 fps、画像は6秒間隔)負荷速度1 mm/min、300 Nまで圧縮
リチウムイオン二次電池筐体
圧縮試験
圧縮部位
青色はひずみ量が小さいことを示しており、赤色へと色が近づくにつれてひずみ量が大きいことを示しています。
小形圧盤直下でひずみが発生
① ② ③ ④ ⑤
⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩
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GCMSによる電解液の分析、リチウムイオン二次電池からの発生ガスの分析
GCによる水素を含む無機ガス類およびC1~C3の炭化水素類の一斉分析
高感度ガスクロマトグラフシステムTraceraでは、水素を含む無機ガス類とC1~C3までの炭化水素類の一斉分析が可能です。従来の装置で必要だったキャリアガス切り替えや複数装置の併用が必要ありません。Traceraが搭載するBID検出器は高感度のため、数十µLの少量サンプルでも分析が可能です。
充放電を繰り返して容量維持率が60%から100%(初期品)のラミネートタイプの電池を準備しました。これらの内部発生ガスを測定し、酸素と窒素を除く無機ガス類およびC3までの炭化水素類の組成比を求めたところ、容量維持率が低下するに伴って水素の比率が低下し、炭化水素類の比率が増加する様子が確認できました。
溶媒として使用されるジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびエチレンカーボネートがライブラリ検索結果から確認できました。また、添加剤として使用されるビニレンカーボネートが同様に同定できました。
アルミラミネートセル型のリチウムイオン二次電池を80℃で5日間保管した後、発生したガスをガスタイトシリンジで直接採取し、GC-MSを用いて定性分析した結果です。セル中で発生した成分や電解液由来の成分が多数同定されました。
ガスクロマトグラフ質量分析装置GCMS-QP2010 Ultra
高感度ガスクロマトグラフシステムTracera
電池劣化に伴う組成比の変化(酸素と窒素を除く成分) n=3平均値
発生ガスのクロマトグラム例
ガ
*ガスタイトシリンジを用いて発生ガスを採取、 GCに50 µL注入*O2、N2は注入時の混入ブランクを含む*カラムには信和化工製 MICROPACKED ST (1mm I.D., 2m)を使用
組成比(%)
100
90
80
70
60
50
40
30
10
20
0
0
4
8
12
初期品 容量維持率約85% 容量維持率約70% 容量維持率約60%
H2 CO CO2 CH4 C2H4 C2H6 C3H6 C3H8
CO CO2 CH4 C2H4 C2H6 C3H6 C3H8
12
LCMS-IT-TOFによる劣化電解液中生成物解析(多変量解析)
LCMS-IT-TOFは、高速液体クロマトグラフと、イオントラップ型質量分析計(IT)および飛行時間型質量分析計(TOF)を結合させた、液体クロマトグラフ質量分析装置です。ITによるMS n能力と、TOFによる高分解能・精密質量測定の能力を兼ね、従来型のLC/MS/MSでは不可能であったMSnにおける精密質量測定を可能にしました。
充電済みの電池から充放電を繰り返した電池にいたるまで、様々な容量維持率をもつ電池(3~100%)から取り出された電解液について、LCMS-IT-TOFを使用して測定を実施しました。
データ処理には、ピーク抽出ソフトウェア Profiling Solution 1 . 1を使用しました。このソフトウェアは、分析した多数のデータファイル中のピークを自動的に検出し、表にまとめます。この表を多変量解析ソフトウェアなどの統計的手法を用いて解析することにより、データ間の変動(違い)をとらえることができます。
多変量解析を行った結果、容量維持率(3%、15%)、30%、(60%、70%、85%、100%)のグループに分類することができました。
低容量維持率(3%、15%)に特徴的な成分である
m/z 335.103の組成推定結果から、C10H24O8P2であることが予測されました。さらに、過去の知見より構造を予測し、MS2、MS3測定結果におけるプロダクトイオンを帰属することで、構造の確認を行いました。
液体クロマトグラフ質量分析計LCMS-IT-TOF
PLSスコアプロット ローディングプロット
m/z 335.103をプリカーサイオンとしたMS2、 MS3データ
容量維持率 容量維持率に特徴的
高 高
低
3%,15%
30%
60%,70%, 85%,100%
低
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産業用X線CT装置による正極・負極材の観察例
軟素材を高拡大、高コントラストで3次元観察可能です。任意の断面像が得られ、表面だけでなく、微小内部構造を3次元的に観察できます。
新品の携帯電話用リチウムイオン二次電池と劣化電池とを同時撮像し、形状比較を行った例です。新品電池と劣化電池とを3次元解析ソフトウェアで新品電池を基準に位置照合し、形状のずれ量(変形量)を色で表現しています。 正極・負極端子部、ケース端部は変形がほとんど無く(緑色)、カバー中央部の変形量が大きい(赤色)ことが確認できました。
正極材(コバルト酸リチウム)CT画像 負極材(カーボン)CT画像
Volume Rendering画像:正極材 Volume Rendering画像:負極材+Cu電極板
新品電池 劣化電池
新品電池縦断面像 劣化電池縦断面像新品電池と劣化電池の形状比較解析結果
新品電池と劣化電池のVolume Rendering 画像
新品電池と劣化電池のMPR 画像
マイクロフォーカス X線 CT システム inspeXio SMX-100CT
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産業用X線CTによる18650型リチウムイオン二次電池の劣化観察
劣化電池では、円周状に巻かれた中心部分が変形している様子が確認できます。
産業用X線CTによる携帯電話用LiB内部構造観察
セパレータにより分離された電極(正極と負極)が巻いた状態で電解液に浸漬されている構造を見ることができます。
産業用X線CTによる破裂リチウムイオン二次電池の観察例
60℃の環境下において1日~2週間放置させた小容量リチウムイオン二次電池のX線CT画像
温度試験槽内で加熱し、過充電を加えることで強制的発火・破裂させた18650型リチウムイオン二次電池の観察例です。破裂したリチウムイオン二次電池は内部の電極・セパレータが変形しています。加熱を続けることで発火・破裂が進み、安全弁等の蓋が外れた様子が観察されました。
60℃の環境下において1日~2週間放置させた小容量リチウムイオン二次電池の観察例です。熱負荷により、金属容器が膨張している様子が確認できます。
破裂燃焼した電池内部CT画像 TAB部が破損した電池内部CT画像
データ提供:成蹊大学 理工学部 物質生命理工学科 小島先生、山崎先生、加藤先生、菅沼先生、片山様
破裂した電池のVolume Rendering画像
マイクロフォーカス X線 CT 装置inspeXio SMX-225CT
MPRMPR
VV
新品 1日 1週間 2週間
15
リチウムイオン二次電池材料分析•試験
リチウムイオン二次電池用 評価装置マトリクス
3656-10402-500NS
組成(ICP、XRF)結晶(XRD、ラマン)粒径(粒度分布)電子状態(XPS)比表面積/細孔分布(ガス吸着)
結晶(XRD、ラマン)比表面積/細孔分布(ガス吸着)
結晶(XRD、ラマン)粒径(粒度分布)比表面積/細孔分布(ガス吸着)微小圧縮試験(MCT)
組成(ICP)
組成(LC、ICP)
組成(GCMS、ICP)
組成(GCMS、GC、LC)
構造(FTIR)接着力(万能試験機)
構造(FTIR)細孔(SEM)細孔分布(自動ポロシメータ)熱特性(TG)引張強度(万能試験機)釘差し試験(材料試験機)
圧縮強度(万能試験機)釘差し試験(材料試験機)内部観察(X線CT装置)
分子量分布(GPC)表面形状(SPM)組成(FTIR)
部材 部位 良く用いられる成分 評価項目(分析装置)
正極
負極
セパレータ
電解液
セル
活物質
導電助剤
活物質
微量添加物質
溶媒
電解質
添加剤
単体、モジュール
バインダー
バインダー
LiCoO2(コバルト酸リチウム)Coの代わりにMn、Niなども使用
フッ化ビニリデン(ポリビニリデンフロライド;PVDF)
炭素(カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト他)
カーボン、グラファイト
Li、P、Cu、Na、Co、Ca、K等
SBR(スチレンブタジエン系ラテックス)CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVDF
ポリオレフィン系(高密度ポリエチレン)
エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等
LiPF6、LiBF4
ビニレンカーボネート等