Ⅷコカ・コーラの CM...

28
Ⅷコカ・コーラの CM 分析 1964 キャッチコピー:「スカッとさわやかコカ・コーラ」 タイトル:山(ハイキング) 楽曲名;コカ・コーラの唄(スカッとさわやか) 歌手:フォー・コインズ シチュエーション:季節は夏。男女 4 人が山にハイキングに来ているという設定。休憩の 際にコカ・コーラを水で冷やし、食事をしながらコカ・コーラを飲んでいる。疲れた時に コカ・コーラを飲めば、スカッとするという爽快感をアピール。 ☆経済状況 高度経済成長まっただ中の日本であり、64 年に開催された東京オリンピックによるオリン ピック景気とも呼ばれた好景気の時代。景気調整が進展すると同時に、アメリカの景気上 昇で輸出が大幅に伸び国際収支が好転した。IMF8 条国へ移行や OECD への加盟と開放経 済体制に進んだ。 1966

Transcript of Ⅷコカ・コーラの CM...

Page 1: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

Ⅷコカ・コーラの CM 分析

①1964 年

キャッチコピー:「スカッとさわやかコカ・コーラ」

タイトル:山(ハイキング)

楽曲名;コカ・コーラの唄(スカッとさわやか)

歌手:フォー・コインズ

シチュエーション:季節は夏。男女 4 人が山にハイキングに来ているという設定。休憩の

際にコカ・コーラを水で冷やし、食事をしながらコカ・コーラを飲んでいる。疲れた時に

コカ・コーラを飲めば、スカッとするという爽快感をアピール。

☆経済状況

高度経済成長まっただ中の日本であり、64 年に開催された東京オリンピックによるオリン

ピック景気とも呼ばれた好景気の時代。景気調整が進展すると同時に、アメリカの景気上

昇で輸出が大幅に伸び国際収支が好転した。IMF8 条国へ移行や OECD への加盟と開放経

済体制に進んだ。

②1966 年

Page 2: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

キャッチコピー:「仲良くさせるのはコカ・コーラだけ」

タイトル:雪だるま

楽曲:コカ・コーラの唄(スカッとさわやか)

歌手:フォー・コリンズ、安田章子・祥子

シチュエーション:季節は冬。男女2人が暖かい部屋で、暖炉で暖まりながら、そしてス

キーをしながらコカ・コーラを飲んでいる。コカ・コーラによって人との関係が更に深ま

るということを表現している。

☆経済状況

輸出好調、財政支出増大に支えられて在庫調整が進み、生産・出荷の増加が続いた。前年

までは経済が安定していたが、設備投資もようやく上向きに転じ、景気は「いざなぎ景気」

といわれる景気の上昇過程にはいった。札幌での冬季オリンピック開催が決定される。ま

た、白黒テレビの普及率が 94%を超した。

③1968 年

キャッチコピー:「明るい笑い声はコカ・コーラが連れてきた」

タイトル:輪投げ

楽曲名:同曲

歌手:フォー・コインズ、スリー・バブルス

シチュエーション:季節は冬。流行りの服にギターを持った男女 5 人が部屋でホームパー

ティーをしている。コカ・コーラの瓶を輪投げに使用している。最後にコカ・コーラをグ

ラスに注ぎ、炭酸特有の爽やかな音を出すことで視聴者の興味をかきたてている。

☆経済状況

日本経済は 3 年続きの高成長を達成し、GNP が世界 2 位となる。テレビのカラー放送も急

速に増加したが、カラーテレビの普及率は 5.4%。海外経済は、アメリカのドル防衛策強化

に続き、未曾有のゴールド・ラッシュやベトナム停戦など流動的であった。

Page 3: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

④1969 年

キャッチコピー:「コークを飲もうよ 」

タイトル:ピンキーとキラーズ 自動販売機

楽曲名:恋がしたくて(コークをのもうよ)

歌手:ピンキーとキラーズ

シチュエーション:当時人気のあったピンキーとキラーズが出演。このころ町に設置され

ていたコカ・コーラの自動販売機を大々的にアピールしている。

☆経済状況

輸出競争力が増し、高い経済成長と国際収支の大幅黒字が定着するようになった。海外旅

行が本格化し始め、海外に対する憧憬が薄まってくる。カラーテレビと乗用車の普及が一

段と進んだ。

また、同年コカ・コーラが年に 36 億本を売って売り上げ日本一の食品会社となった。

★テレビ CM と経済状況の関係性

1960 年前期 「高度経済成長期」

高度経済成長に向かう日本人のアメリカ文化への熱烈な憧れを元に、アメリカからきた

瓶入りの炭酸飲料という新しい飲料の面を強く印象づけようとした。そして 60 年代は、あ

えて日本の若者を起用することで高度経済成長の中で、このような飲料を高級品ではなく

新しいライフスタイルに合う若者の飲み物というイメージをつけた。

また、覚えやすいキャッチコピーはアメリカで使用されている「デリシャス・アンド・リフ

レッシング」(おいしくて・さわやか)からきているもので、「さわやか」はコカ・コーラのキー

ワードになっている。楽曲内に取り入れるなどして、この覚えやすいキャッチコピーは大成功

した。

1960 年後期 「国際化の中の日本~豊かさへの挑戦~」

カラー放送の増加とともに CM もカラー化。色をふんだんに使い、時代の最先端を行く

Page 4: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

CM を作ると同時に流行のファッションに身を包んだ若者にはコカ・コーラが必需品と言っ

ているような CM が特徴となる。景気が高成長を遂げているのと同時に、お酒を飲むよう

にグラスにコカ・コーラを移して飲むという華やかな世界観がこの年代には多く作られて

いる。

⑤1970 年

キャッチコピー:「Big New Life 冬」

タイトル:Big New Life

楽曲:コカ・コーラの唄 新世界

歌手:デューク・エイセス、シンガーズ・スリー

シチュエーション:季節は冬。ゲレンデでスキーやスノボなどのスポーツを行ったときに

コーラを飲んで爽快な気持ちにすることをアピールしている。CM の最後に「スカッとさわ

やかコカ・コーラ」を強調している。楽曲がとても印象的で、思わず覚えて口ずさみたく

なる。

☆経済状況

前年 9 月に実施された予防的引き締めで大型景気も下期にはストップした。また日本万国

博が大阪で開幕し、広告界に人間回復ムードの広告続出した年である。さらに、公害 14 法

が成立し、被害者救済制度スタートした。このため公害に関する広告が増加した年である。

Page 5: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

⑥1972 年

キャッチコピー:「コークの世界 春」

タイトル:コークの世界

楽曲:コークの世界

歌手:西郷輝彦

シチュエーション:鳥を捕まえようとしたり、自転車に乗っていたり、さまざまなシーン

とコーラが交互に登場する。CM の最後に「スカッとさわやかコカ・コーラ」の文字ととも

に「このひとときコークの世界」とメッセージを付け加えている。→楽曲が印象的でさわ

やかな曲調。飲む瞬間を味わってほしいという思いが伝わってくる。

☆経済状況

1972 年は生産・出荷ともに上昇し、月を追うごとに景気は回復した。後半には、景気は回

復過程から上昇に移行し、急テンポの拡大を続けた。また、時の商品としてカラーテレビ、

自転車、ファーストフード、低公害車、ハッチバック車が人気となった。

⑦1976 年

キャッチコピー:「サマーヒート」

Page 6: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

タイトル:Come on in Coke 76

楽曲:Come on in Coke 76

歌手:B.J.トーマス

シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

を行いながらコーラを飲むというもの。CM の最後に「暑い夏ならなおのこと コークの快

い刺激が待っている 世界中どこへいってもどんなに乾いてもコークのさわやかさが待っ

ている さぁあなたもスカッとさわやかコカ・コーラ」というセリフがある。→英語の楽

曲と最後のセリフが印象的。世界中にむけてコーラをアピールしている。

☆経済状況

1976 年は政局の不安が続くにつれ、景気の中だるみ現象が見え始め、より強力な対応策が

迫られることになる。また同年にロッキード疑獄事件が発覚し、田中角栄前首相逮捕され

た。

⑧1978 年

キャッチコピー:「スカッとさわやかコカ・コーラ」

タイトル:Come on in Coke 78

楽曲:Come on in Coke 78

歌手:トランザム

シチュエーション:76 年代と同じく季節は夏で外国人起用。サーフィンやスカイダイビン

グなどスポーツを行う姿が登場する。CM の最後に「スカッとさわやかコカ・コーラ」とセ

リフがある。

☆経済状況

年間を通して円高が問題となった。政策効果の民間需要への点火はなかなかみられず、内

外不均衡の解決も進まないままだった。一方、経済には新たな変革の芽も生まれ、産業界

には活力ある発展を目指す動きもみられた。

Page 7: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

★テレビ CM と経済状況の関係性 1970 年代前期 「ゆとりある生活へ」

あまり裕福な生活ではないにも関わらず、人々はゆとりある生活を求めるようになった。

そのため CM ではスノボや自転車、スキーに関わるシチュエーションにし、豊かな生活感

をアピールしている。しかし、1973 年は月を追うごとに景気は回復の基調を強めた。年後

半には、景気は回復過程から上昇に移行し、卸売物価が急騰して景気過熱の懸念さえみら

れるほど急テンポの拡大を続けた。こうして景気が良くなり、アップテンポな BGM を起用

し印象付ける工夫を図っている。

1970 年代中期 「第二次海外旅行ブーム」

1973 年に変動相場制となり、円高が進んだ。この円高の進行により海外旅行ブームに拍

車をかけることとなった。こうして航空会社もキャンペーンを展開し続け、人々は海外に

対する興味が強まった。コカ・コーラの CM においても、1976 年頃から日本人ではなく外

国人を CM モデルに起用するようになり、BGM も英語の楽曲となった。このように、海外

に向けての CM に移行していることが感じられる。

1970 年代後期 「回復の年」

景気上昇に勢いは予想外にも衰えなかった。テレビ CM では、3 分ときには 6 分といっ

た長い CM が定着し、商品主役型の技術的に洗練された CM が相次いだ。このため、中期

とそれほど大きな CM の変化はないが、「スカッとさわやかコカ・コーラ」というキャッチ

フレーズに合うような夏を場面とし、サーフィンなどのスポーツを行う姿を起用している。

また、当時のファッションにおいて省エネのための軽装化革命が行われ、ミセスの間では

タンクトップやストラップレスブラジャーが流行した。このためコカ・コーラの CM にお

いても外国人女性がコカ・コーラのタンクトップを着用し、流行を意識していることが判

明した。

⑨1983 年

Page 8: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

キャッチコピー:「コーク 好き」

タイトル:’83 早見優

楽曲名:Yes Coke Yes ‘83(夏色のナンシー)

歌手:早見優

シチュエーション:早見優がキャッチボールをしたり、海に行ったりと全面に早見優を押

し出している。早見優がコカ・コーラを飲みながら食事をする場面もあるが、コカ・コー

ラ自体よりも早見優でインパクトを残そうとしている CM。

☆経済状況

原油価格の低下や米国経済の拡大によって輸出が急速に増大し、ようやく長期にわたる低

迷から脱して回復過程に入ったが、個人消費などの内需は変わらず停滞を続けた年であり、

全体としての景気回復の足取りは弱かった。

また、ストレス社会やいじめ社会が広まり、出勤拒否症候群などの○○症候群という言葉

が流行。そのような世相を反映して「おしん」が大ブームとなる。

⑩1985 年

キャッチコピー:Coke is it!

タイトル:’85 遊園地

楽曲名:Coke is it ’85 遊園地

歌手:楠木勇有行、叶央介、EVE

シチュエーション:若者がコカ・コーラを持ちながら遊園地で踊るというもの。それに伴

い、曲調がミュージカル調になっている。

☆経済状況

2 年前からの景気回復過程を受けて景気拡大を続けたが、後半に入るとアメリカ景気のスロ

ーダウンと円高による輸出の鈍化が目立ち、内需も個人消費や住宅投資が盛り上がりをな

くし、景気は徐々に減速傾向を見せ始めた。

Page 9: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

⑪1987 年~1988 年

キャッチコピー:I feel Coke

タイトル:ある 1 日編 春

楽曲名:I feel Coke ‘87

歌手:佐藤竹善

シチュエーション:従来の若者だけでなく、幼い子供から年配層まで老若男女を問わず出

演させており、その登場人物がコカ・コーラを持って飲んでいるというもの。

キャッチコピー:I feel Coke

タイトル:ある 1 日編「秋冬」

楽曲名:I feel Coke ‘87

歌手:佐藤竹善

シチュエーション:お正月用 CM であるため、登場する女性は着物、男性は袴を着ている。

Page 10: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

主な年齢は 20 代で若者向け。今までの瓶のコカ・コーラをではなく、缶のコカ・コーラを

持たせている。

キャッチコピー:I feel Coke

タイトル:オフィス編

楽曲名:I feel Coke ‘88

歌手:佐藤竹善

シチュエーション:場面はオフィスで、従来の CM よりもターゲットの年齢層を高くした

もの。スーツに身を包んだ男女が、仕事中や休憩時間にコカ・コーラを飲んでいる。多く

の若者がこの CM を観て、社会人の世界に憧れを抱いていたそうだ。

☆経済状況

80 年代後半は、いわゆる「バブル景気」突入の時代。円高・原油安の効果により物価が安

定し個人消費、住宅投資など国内民間需要の確実な伸びに支えられ、回復から拡大の時期

に入った。また、企業活動も生産・収益とも回復し始め、設備投資も非製造業・製造業と

も上向きに転じ、近年まれにみる好景気が続いた。

★テレビ CM と経済状況の関係性

1980 年前期 「日本経済の持続的成長」

特に日本の有名芸能人の起用が目立つ。これは、日本も先進国となり、もはやアメリカ

が絶対的ではなくなったという背景が関係している。日本経済の停滞や、社会にあふれる

マイナスの雰囲気に対抗するかのように女性芸能人を起用し、爽やかさを演出。

また、今までのような瓶とグラスだけでなく、紙パックや紙コップで飲むといった新し

いスタイルも取り入れ、様々な食事にコカ・コーラが合うようにも演出されている。

Page 11: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

1980 年中期 「新たな成長」

アメリカが最も輝いていたという時代背景もあり、1950 年代のアメリカの雰囲気を強く

出した CM が多く作られた。BGM はロックンロールやアメリカのミュージカル調のものが

ほとんどで、出演者も外人のような彫の深くハッキリした顔立ちばかりである。

1980 年後期 「バブル景気突入」

80 年代後半は、バブル期に突入ということもあり、日本全体が若返った時代であるのと

関係し、今までのターゲットである子供や若者だけでなく、子供のころにコカ・コーラが

誕生し馴染みのある日本人の若いサラリーマンや OL 世代がオフィスなどでコカ・コーラを

飲みながら人生を謳歌するという構造が使われはじめた。基本的にコカ・コーラの CM は

「若者」のステレオタイプを使用しているが、この年代ではその制限をあえてはずしてい

た。

その狙いの元、ターゲットである大人に向けた静かな曲調の曲を初めて使用した年代で

もある。

⑫1992 年

キャッチコピー:「さわやかになるひととき」

タイトル:マイファーストコーク

シチュエーション:映画館で子供がポップコーンを食べていると、大人の知人がコーラを

持って登場し、コーラはどのような味がするのか子供が興味を持つ。そして、子供は大人

にコーラをもらい飲んだ感想が「喉がシュワーっとしておいしい!それにスカっとする」

と言う。珍しく楽曲がない CM となっている。→炭酸の爽快感をアピールしている。子供

がターゲットである。

☆経済状況

企業設備投資の減少と個人消費の停滞により景気後退が続き、販売不振や固定費の増加で

企業収益が悪化し、経費節減、雇用調整の動きが広がった。賃上げやボーナスの低伸長率、

Page 12: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

残業料減少などで消費マインドも次第に低下した。最大規模の総合経済対策が 8 月末に打

ち出されたが、景気回復の兆しが見られないまま年末を迎えた。

⑬1995 年

キャッチコピー:「always Coca-Cola」

タイトル:バイク

楽曲:奥田民雄

シチュエーション:男の子が教習所でバイクの免許を取得し、晴れてバイクに乗って楽し

んでいるとき、コーラを飲んで一休みしている。→どんなときでもコーラと共に過ごして

ほしいということをアピールしている。

☆経済状況

年初から阪神大震災、オウム真理教事件、急激な円高、金融機関の相次ぐ経営破綻などが

続き、夏まで景気は冷え込む一方であった。9 月には公定歩合が史上最低の水準に引き下げ

られ、為替相場が1ドル= 100 円台に戻り、最大規模の経済対策が打ち出された結果景気

の底割れの事態は避けられ、再び回復を探る動きとなった。

⑭1999 年

Page 13: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

キャッチコピー:「Live The Moment ココロが踊りだす」

タイトル:春が来た

楽曲:川村結花

シチュエーション:季節は春。卒業式、入学式、新しい環境、任務をやり遂げた達成感な

ど春らしさを感じさせながらも、コーラを飲んで心を躍らせわくわくさせることをアピー

ルしている。

☆経済状況

大規模公共事業や住宅ローン減税、日銀のゼロ金利政策の政策効果が下支えをした年であ

る。企業収益が改善に向かい、企業の景況感も底を打った。しかし、企業のリストラによ

り雇用・所得環境は厳しさを増し、自動車販売、百貨店・スーパー売上高などは低迷を続け

た。

★テレビ CM と経済状況の関係性

1990 年前期 「バブル崩壊」

バブル崩壊を期に 1980 年代に物質的欲求を満たした消費者のニーズは「モノの豊かさか

ら心の豊かさへ」と価値意識の転換を図ったのが 1990 年代である。このような消費者ニー

ズの変化によりコカ・コーラの CM では、1980 年代ではあまり具体的なコカ・コーラの品

質についての CM は行われていなかったのに比べ、1990 年代では「シュワーとしていてス

ッキリする」と炭酸の爽快感について説明を加えている。コカ・コーラを飲み、消費者の

心がスッキリした気持ちになることをテレビ CM でアピールしていることが感じられた。

1990 年代中期 「デフレスパイラル」

1990 年代半ばでは自動車・関連品やサービス・レジャーの広告が活発化した。このため

コカ・コーラの CM はバイクの教習所でコカ・コーラを飲んでいるシーンが起用されたの

ではないかと考えられる。

また、1995 年には阪神大震災が発生し孤独と不安が生まれている消費者に対して、「いつ

でもコカ・コーラと共にしてほしい」というメッセージを伝え、安心感を与えるテレビ CM

となっている。

1990 年代後期 「日本の改革」

不況からようやく脱出傾向になり、回復の兆しが見えてきた。こうして広告でも「日本

を元気にする」というスローガンを掲げた内容が増加し、日本の強みや日本のいいところ

をポジティブな姿勢で見つけ出し、見直していく方向へ進んだ。コカ・コーラの CM にお

いても春らしく、新しいことにたくさん挑戦しワクワクしていこうという前向きな気持ち

を表す CM となっている。

Page 14: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

⑮2001 年

キャッチコピー:「No Reason Coca cola」

タイトル:No Reason Coca Cola 波の鼓動

楽曲名:波乗りジョニー

歌手:桑田佳祐

シチュエーション:深夜のオフィスで一人残業をするサラリーマンがコカ・コーラを飲ん

でストレスから解放されているというもの。コカ・コーラが栄養ドリンク的な役割を果た

している。

☆経済状況

年初から景気後退を続けた年。2001 年の実質経済成長率は-0.5%と 3 年ぶりのマイナスと

なった。後半には IT 不況により大手電機メーカなどによる大規模なリストラ計画の発表に

米同時多発テロが重なり景気悪化が一段と進んだ。世界的な景気減速傾向のなかで、輸出、

設備投資が落ち込み住宅投資も悪化し、個人消費の低迷も深刻化した。百貨店の売上げは

持ち直しの兆しが見られたが、スーパーは低迷。家電は 4 月以降、自動車は 9 月以降前年

割れし、外食や海外旅行も落ち込んだ。インターネット広告が伸び悩んだ一方で、衛星メ

ディアの広告費が増した。

Page 15: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

⑯2004 年

キャッチコピー:「このシゲキで、わたしは変わる。」

タイトル:スカイダイビング編

楽曲名:JADED

歌手:エアロスミス

シチュエーション:場面はこれからスカイダイビングをする飛行機の中からスタート。な

かなか飛び出せない青年が、コカ・コーラを飲むことで一歩を踏み出すというもの。

そして、最終的に青空をキャンバスにした巨大なコカ・コーラのボトル型フォーメーショ

ンが完成する。

☆経済状況

前年からの景気回復基調が続いたが年後半にはやや減速感が出た。実質経済成長率は 2.7%

のプラスとなり、企業収益は 3 年連続の増収増益となるが、個人消費にかげりが見え始め

輸出も停滞し始める。世界的なドル安で年間を通して円高となり、株は4月までは上昇し

たがその後は大きな変動が見られなかった。自動車と住宅着工は 2 年連続増加。百貨店や

スーパーは低迷。家電は五輪効果や猛暑の影響で 2 年連続増加となった。

⑰2005 年

Page 16: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

キャッチコピー:「繋がる瞬間に」

タイトル:春のバトン編、夏のバトン編、クリスマス編

楽曲:Dreamland

歌手:BENNIE K

シチュエーション:瓶のコカ・コーラが登場し、春ならスーツで通勤中に飲むシーン、夏

なら海や学生の部活動の練習中、クリスマスではケーキを作る職人がコカ・コーラを飲む

シーンがあり、コカ・コーラを人から人へバトンタッチする様子が描かれている。まさに

キャッチコピーの「繋がる瞬間に」に合った CM である。

☆経済状況

8 月に政府および日銀が景気の踊り場脱却を宣言するなど回復基調を強めた。また企業収益

は 4 年連続の増収増益、個人消費と輸出も堅調であった。アメリカの相次ぐ利上げなどの

影響で年間を通して円安が続き、株は年間に 40%上昇し年末には1万 6.000 円台を回復。

さらに、住宅着工は 3 年連続の増加。自動車は前年並み。低迷が続く百貨店やスーパーは

マイナス幅が縮小。家電も好調であった。

⑱2006 年

Page 17: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

キャッチコピー:「Coke,please」

芸能人:KREVA 明石家さんま

シチュエーション:芸能人が「コカ・コーラを飲もうよー」と歌っているのが印象的。KREVA

の場合は夏のビーチでラップ調に歌い、明石家さんまの場合はサッカーの応援と共にアッ

プテンポに歌っている。CM の最初に瓶のふたが大きく登場し、蓋を開ける「ポン」という

音を使用している。この音でより消費者はコカ・コーラを飲みたくなると感じられた。

☆経済状況

2006 年は堅調な輸出、旺盛な設備投資、底堅い個人消費を背景に景気回復基調を維持し、

11 月には景気拡大期間がいざなぎ景気を追い抜き戦後最長更新した。また、企業収益は 5

年連続の増収増益し、年間を通して円安が続いた。百貨店やスーパーは低調であり、家電

は薄型テレビを中心に好調であった。

⑲2007 年

キャッチコピー:「The Coke Side of Life(Coke のきいた人生を)」→世界共通のコピ

ーを使用。

Page 18: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

楽曲:熱帯夜

歌手:RIP SLYME

シチュエーション:iTunes 限定の CM である。あまりインパクトがない。

☆経済状況

2007 年は景気回復基調を維持したが、弱含みに推移した。年間を通して、アジア向けを中

心に輸出が好調、設備投資と個人消費も底堅さを示したが、夏以降は改正建築基準法の影

響で住宅投資が急減した。また、アメリカのサブプライムローン問題を端緒とした金融不

安が拡大したことにより円高・株安・原油高が急進するなど懸念材料が続出し、景気先行

きに対する不透明感が広まった。百貨店やスーパーは低調。家電は薄型テレビが大幅に伸

長した。

⑳2012 年

キャッチコピー:「Move to the beat of London」

楽曲:HEART BEAT

歌手:加藤ミリヤ

シチュエーション:ロンドンオリンピックと提携を行い宣伝している CM。音楽に

のって人々が踊りコカ・コーラを飲んで乾杯する楽しそうな雰囲気である。コカ・

コーラの商品がメインとは感じられず、楽曲とオリンピックの宣伝がメインに感じ

られた。

☆経済状況

東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、引き続き持ち直している

ものの、そのテンポは緩やかになっている。しかし、欧州債務危機による世界経済の減速

や円高に伴う輸出の鈍化と、個人消費の下振れ懸念などを背景に景況不安が強まった。

★テレビ CM と経済状況の関係性

2000 年前期 「改革なくして成長なし」

Page 19: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

2000 年に入り IT 化が急速に進みパソコン・ケータイの普及率が一気に増加。豊かな経

済成長を遂げるかと思いきや、IT 不況やテロなどにより一気に経済は悪化していった。そ

して 2002 年になると緩やかな景気回復が始まったという経済の移り変わりが激しい時代。

そんな時代を象徴するかのように 2001 年にはオフィスが舞台、今までのコカ・コーラに

はなかった、残業という「マイナスのイメージ」からスタートする CM が打ち出された。

また、2004 年はコカ・コーラが 1 年を通じてグローバルな登場人物と場面設定を CM で使

用し、日本全体に漂っていた閉塞感にとらわれている日本人に向けて、コカ・コーラが持

つ刺激と爽快感をきっかけに「前向きに生きよう」「心も体もポジティブになろう」とい

うメッセージを「このシゲキで、わたしは変わる」というコピーで伝えている。

2000 年代後期 「情報化、高齢化の進展」

携帯電話やインターネットの普及が爆発的に伸び、まさに生活必需品となった。情報化

と並んで発展したのは高齢化である。広告においてもこのような社会現象を表すようにな

った。また、高齢社会は健康志向ももたらすようになった。こうして、2000 年代後半の広

告は iTunes 限定の広告や、サッカーの応援中にコーラを飲む姿など、情報化・高齢化の発

展に基づく健康志向に反映されていると考える。

⑧テレビ CMと屋外広告の関係性 最近では、CM と連動して屋外広告として広告を打ちだしたり広告キャンペーンを行った

りする企業が多くある。なぜなら、今や CM は多くの企業が行っていること、また若者の

テレビ離れが問題となっており、Twitter や Facebook などの SNS が生活の中心になって

いることから、もはやテレビ CM だけではなく人目を引く奇抜な広告や広告キャンペーン

を行うことで、テレビやインターネットのニュースで取り上げられ大きな話題となること

もあるからである。また、人目を引く広告を行うことで、それを見た消費者が SNS を通じ

て写真などを自分の身近な人に発信していき、結果的により多くの消費者に商品や企業を

知ってもらうことができるので、テレビ CM と連動させることで、より人々の印象に残り

やすくなるのである。

以上のことから、テレビ CM と屋外広告を同時に行った企業の広告を調査した。

Ⅰ屋外広告とは

屋外広告は常時または一定期間、屋外で公衆に表示される看板類のことを指し、駅構内

やバスなどの交通広告も含まれる。屋外広告は、美観や安全、交通などに関係することか

ら日本の屋外広告の規制は海外に比べとても厳しく、屋外広告物法・建築基準法・道路交

通法や自治体の条例などにより多くの制限がある。

Page 20: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

屋外広告の効果測定指標として、「DEC (Daily Effective Circulation) =1 日の有効通行

量」があり、日本では広告代理店・屋外広告業界等による屋外広告調査フォーラムが管理

している。

☆屋外広告の種類

・大型映像ボード : 電光掲示板とも呼ばれ、LED による大画ビジョン。例)渋谷スクラ

ンブル交差点前 Q-FRONT の電光掲示板。

・デジタルサイネージ : デジタル映像パネルで駅構内やショッピングモールなどに設置

されている。

・ネオンサイン : 繁華街のビルの屋上や壁面などに設置されている。

・ビルボード : 都市部のビルやマンションなどの屋上に設置された大型の看板。

・ポスターボード: 主に街路に設ける看板。

Ⅱ屋外広告例

①コカ・コーラ

テレビ CM を調査したコカ・コーラの屋外広告と広告キャンペーンである。コカ・コー

ラは 2004 年に「コカ・コーラ C2」というおいしさはそのままで、カロリーを従来のコカ・

コーラの半分にした次世代の新しいコーラを発売した。テレビCMでは中田英寿を起用し、

話題となった。以下はその際に行った広告である。

ますは屋外広告。発売を記念し、カロリー半分をかけて東京タワー史上初の上下半分ず

つ交互に東京タワーを点灯させるというハーフライトアップを行った。これは多くのブロ

グなどで写真とともに記事が書かれていたり、朝の情報番組でも取り上げられていたりし

た。

次は、コカ・コーラ C2 の広告キャンペーン。広告キャンペーンとして、CM・東京タワ

ーの屋外広告と同時期に日本のコカ・コーラ史上最大規模である約 500 万本の全国サンプ

Page 21: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

リング「TRY!コカ・コーラ C2 サンプリング」を約 1 ヶ月行った。内容は、試飲用のコカ・

コーラ C2 を積んだコカ・コーラ色の大型トラック 3 台が全国の主要 15 都市を周るという

もので、サンプリングの他にも、渋谷ではダーツゲームを使用してオリジナル賞品の当た

る抽選コーナーなどのイベントも行った。また、公式ソフトドリンク・スポンサーをつと

めた、「アテネ 2004 オリンピック聖火リレー/東京」のトーチオブジェを設置し、聖火リ

レー速報パネルで聖火リレーの模様を来場者に見せるというイベントも実施。このように、

サンプリングだけでなく、各地域独自のサンプリング活動を行った。

多くの屋外広告やキャンペーンが行われている渋谷・新宿においても調査を行った。

<渋谷>

②東京ディズニーリゾート

2012 年 3 月に東急田園都市線渋谷駅構内に東京ディズニーシーで人気のキャラクターで

あるダッフィーの巨大壁面広告ポスターを掲示した。費用は 7 日間で 150 万円以上をかけ

た。

この屋外広告は、同時期に東京ディズニーシーでスタートした新スペシャルイベント

「ミッキーとダッフィーのスプリングヴォヤッジ」で、初めてダッフィーが主役を務める

ことから掲示。幅は 291.2cm、高さは 206cm で、ダッフィーの人気の秘訣である「触り心

地」を再現するため、広告にはぬいぐるみと同じ生地を採用。ダッフィーの顔やお尻 、足

の裏が表現され、実際に触ることができ、この触り心地の良さを手軽に体験してもらおう

というのが広告の狙いであった。

このポスター広告と同時期にはテレビ CM も放送し相互効果を高め、ポスター掲示が終

了した後は、東急東横線や京王本線などの車内中吊り広告にもぬいぐるみ生地と同じ生地

で製作したポスターを登場させた。

この屋外広告は特に女性からの注目を集め、写真付きで Twitter にツイートしていた女性

が多くいた。また、多くのテレビでも取り上げられ宣伝効果が高まった広告であると言え

る。

Page 22: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

③ベネッセコーポレーション

2010 年 4 月に東急東横線渋谷駅に、Twitter と連動した「こどもちゃれんじ」の広告を

掲出。

この広告は Twitter 上の同社アカウント「@kodomo_happy」で「こどもがいて、よかっ

た。」というエピソードを募集し、投稿されたつぶやきをポスターに張り付けていくという

内容で、掲出直後は空白だったポスターに、毎日シールとしてプリントされたつぶやきが

貼付けられ、最終日には全ての空白がつぶやきで埋め尽くされた。

ベネッセの入会者数が 1 年で最も多いという新年度・新学期開始時期へ向けて、認知向

上や入会促進を目的に行われた広告であると共に、Twitter を連動させることで多くの子育

て世代を巻き込むことができ、またエピソードを掲載した広告を見消費者に、「子どものい

る人生っていいな」「子育てって楽しそう」と感じてもらうために企画された広告となって

いる。

Twitter と広告を連動させ、かつ毎日シールを貼り足していくという特殊な形態をとった

ことで、「面白いことをしている」と興味を持つ消費者が増加し、本来「こどもちゃれんじ」

や「しまじろう」に接点の無い消費者も関心を持ったことから、認知拡大というねらいを

達成した広告である。

Page 23: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

<新宿>

④日清食品ホールディングス

2012 年 2 月下旬に新宿駅メトロ新宿駅地下街にて「日清焼そば U.F.O」のリニューアル

に伴い、費用 500 万以上をかけて世界初のカップ焼きそば専門カウンターバー「日清焼そ

ば U.F.O リニューアル体感広告~ヤキソ BAR~」の体感広告を行った。

この広告は、商品リニューアルに伴い、新しく打ち出した CM の世界観を再現したもの

で、5 席のカウンターバーがあり、バーのようにボトルの代わりにやかんが並べられ、バー

テンダーのような女性も配置し、券売機で200円の食券を買うとリニューアルされたU.F.O

が食べられるという、テレビの映像では伝えきれないものをリアルに伝え、ポスターでも

展示でもない商品現物を味わえる世界初の体感広告である。

この広告には多くの反応があった。まず、通る人は必ずと言って良いほど足を止め、中

には写真を撮っていく人も多く twitter では 1 週間で約 4,000 件のリアクション、ウェブ系

ニュースでは 20 社に取り上げられ、2 ちゃんねるではこの広告についてのスレッドまで立

っていた。実際に体験する人も多く 40 分待ちになるほどの人気であった。そして実際に、

営業担当者が流通のバイヤーを連れてきて売り上げにもつながり、数字の上でも成功した

広告である。

Page 24: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

また、リニューアルのプレス発表も同じ場所で行われた。通常のプレス発表の場合は、

限られた記者だけがホテルなどの会場へ入ることが許されるクローズドな場となるが、こ

のプレス発表では、実際のプレス席には入れないものの、CM キャラクターの俳優が登場し、

実際にカウンターの中でカップ焼きそばを記者たちにふるまうというプレス発表の様子は

すべてオープンであったため、サラリーマンなど多くの通行人が足を止めて見ていったそ

うだ。このように、広告・プレス発表のやり方も含め、既存の概念を打ち破ったトータル

な広告・PR 戦略であることはもちろんだが、経験したくなる楽しさを作り上げたことが成

功要因であったと考えた。

⑤ハウス食品

ウコンの力発売当初の 2004 年から 2006 年ほどまで数多くの屋外広告を利用しプロモー

ション戦略を行った。

カレーやシチューのルウで広く知られるハウス食品であるだけに、ウコンの力は既存の

イメージとは全く違う分野の商品である上に、金色のデザインで野太い商品名のロゴであ

るため、認知度を上げ、定着化させるために様々な広告を行った。

まず、酒豪が多いとされる福岡の繁華街でサンプリングを実施し、全てのコンビニエン

スストアとドラッグストアにて商品を販売。売り上げはすぐに上昇したため、10 万本単位

の全国でのサンプリング作戦を実施した。

同時にテレビ CM を放送開始。屋外広告としては、主要都市にプロモーショントラック

Page 25: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

を走らせ、巨大な商品オブジェを地下鉄構内に設置し、目を引く屋外広告も打ち出した。

このオブジェは質感にまでこだわっていたため、写真を撮るだけでなく実際に触っていく

人も多く反響が大きかったため、商品の売り上げが安定してきた 2006 年ほどまで続いてい

た。

⑥カプコン

カプコンは 2011 年 8 月に 3DS 用ソフト「謎惑館 ~音の間に間に~」を発売。このゲー

ムは、“オトフォニクス”という立体音響技術を用いたアドベンチャーゲームで、ヘッドホン

を使ってプレイすることで、まるで自分の周囲で鳴っているかのように、音を立体的に聴

けるのが特徴となっている。

そのプロモーション戦略として丸の内線新宿駅の地下に、約 15m の大きな広告を設置し

た。「謎惑館」のアートワークが楽しめる他、手持ちのイヤホンやヘッドホンを広告の端

子に差すと、豪華声優を起用したここでしか聞けない限定の立体音響を聞くことができる

仕組みとなっている。さらに携帯電話から、広告に掲載されている番号へ電話をかけると、

無料でオリジナルメッセージを聞くこともできる。

Page 26: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

⑨まとめ~コカ・コーラの CMの歴史と今後の動向~

1960 年~2012 年現在までのコカ・コーラの CM と時代背景の分析結果をまとめた。

1960 年代はコカ・コーラの CM が開始された年代であり、コカ・コーラのイメージを視

聴者に定着させるために、高度経済成長に向かっている日本が思い描く若者の生活におい

て、コカ・コーラを飲むことによって仲間とのつながりが強まり、爽やかな気分になれる

というシチュエーションが一定のパターンになっていると考える。

1970 年代では、これまで日本人を CM に起用していたが外国人が起用されるようになっ

た。この日本人から外国人への変化は当時、外国人への憧れが強まり、海外旅行ブームが

起きたため海外が日本人にとって身近になり、外国人を CM に起用しても違和感がなくな

り人々に浸透していったのではないかと考える。また、コカ・コーラのキャッチコピーは

1960 年代と同様「スカッとさわやかコカ・コーラ」であるが CM に登場する人物が 1960

年代と比較し明らかに増加した。このことは、人と人との関わりをより重視した CM にし

たためであると感じられた。

1980 年代は、経済的にも CM においても変化が大きい時代で、年により CM 内容にばら

つきが出た時代となった。前半はアメリカが絶対的ではなくなり、時代を象徴する日本の

芸能人を多く起用するようになった。80 年代半ばになるとアメリカが輝きを取り戻したた

め、日本人のアメリカ文化に対する憧れが再び強くなり、コカ・コーラの CM にもアメリ

カを彷彿とさせる構成や人物を起用。80 年代後半に入ると、日本はバブル経済に突入した

ため、コカ・コーラという娯楽要素の強い飲料を大人も飲むという構造が CM に描かれ、

従来の若者だけでなくサラリーマンなどの大人も起用し始めたのではないだろうか。

1990 年代では、全体的に落ち着きが感じられる CM に変化した。非日常的なイメージを

持った CM からバイク教習でコカ・コーラを飲むといった日常的な CM になった。この変

化は当時バブルが崩壊し、不況に陥った経済状況から現実と向き合うためにストーリー性

のある CM になったのではないかと考える。

2000 年代では、まず前半の 2000~2004 年は若者が海でコカ・コーラを飲むシーンを常

Page 27: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

に起用し、コカ・コーラのイメージを定着させている。そして、「この刺激で私は変わる」

というキャッチコピーのもとコカ・コーラの持つスカッとした刺激、爽やかな気分で仕事

やスポーツをする、一日のはじまりにおいて「よし。頑張ろう」という気持ちにさせるこ

とを CM でアピールしていることが感じられた。こうして 2005 年では気合いを入れるドリ

ンクだけでなく、人とのつながりを大切にするためにコカ・コーラをバトンのように手渡

しし、回し飲みする CM に変化した。しかし、2006 年以降コカ・コーラメインよりも登場

する芸能人がメインに変化し、明るい CM で楽曲が印象的になった。こうして現在のコカ・

コーラの CM は「有名芸能人が出ているコカ・コーラの CM」へと変化した。

CM の分析結果から、コカ・コーラの CM の特徴はまず、基本的にキャッチフレーズ戦

略を行っていてシンプルで直接的なキャッチコピーを使用していることが分かる。このた

め、覚えやすく人々の記憶に残りやすいと考えられる。また、コカ・コーラは炭酸飲料で

あり、炭酸=甘く、口当たりが悪いというイメージをさけるためにスカッとした爽やかさ

をメインにアピールしていることが感じられた。また、時代背景に合った幅広いジャンル

の音楽の使用や時代を代表する芸能人の出演もコカ・コーラの CM の特徴である。つまり、

時代の流れに敏感でありいつの時代も若者を中心とする消費者の心を捉え、力強い支持を

得たためコカ・コーラの認知度は向上した。こうして、テレビ CM と時代背景には強い関

係性があり、毎年細かく変化を行い工夫しているのである。何年も変化せず消費者に CM

を覚えてもらうことも一つの手法であるが、時代に合った CM を行う方が消費者は興味を

持つのではないかと考えられる。

CM は時代を捉え、時代を創っている。つまり、消費者が時代ごとに何に注意を向け興味

を持っているのかを察知し、「今」を CM にて表現することで、流行という社会的な影響を

作り上げている。インターネットが普及している現在は、キャッチコピーで心に響かせる

というよりもインターネットや SNS と連動した CM を提供する時代になっている。今後の

CM はこのように、流行しているものを使用する傾向になっていくと考える。

Page 28: Ⅷコカ・コーラの CM 分析koichinakagawa.web.fc2.com/studentessay/tifann2.pdfタイトル:Come on in Coke 76 楽曲:Come on in Coke 76 歌手:B.J.トーマス シチュエーション:季節は夏。日本人ではなく外国人が水着で登場し、海でビーチバレー

⑩ 参考文献

・こころを動かすマーケティング 魚谷雅彦/著

・広告ハンドブック 井徳正吾/著

・広告都市・東京 北田暁大/著

・広告の誕生 北田暁大/著

・http://www.cocacola.co.jp/ 日本コカ・コーラ株式会社

・http://ja.wikipedia.org/wiki/ ウィキペディア コカ・コーラ

・http://www.admt.jp/library/statistics/ad_cost/gdp.html 広告図書館

・http://www.youtube.com/?gl=JP&hl=ja YouTube

・http://enterprisezine.jp/iti/detail/3676 IT Initiative

・http://www.insightnow.jp/article/4524 INSIGHT NOW!

・http://oh-ooh.com/?p=1470 ギャツビー カツラ広告

・http://www.cocacola.co.jp/corporate/release/pdf/352.pdf コカ・コーラ屋外広告

・http://www.fashionsnap.com/news/2012-03-26/duffy-shibuya/ ダッフィー広告

・http://dragonmayu.exblog.jp/17640934/ ダッフィー広告

・http://www.findstar.co.jp/articles/view/2034 ベネッセ広告

・http://www.oricom.co.jp/special/pick_up/003.html 日清やきそ BAR 屋外広告

・http://oh-ooh.com/?p=585 ウコンの力 屋外広告