8.4-1...第8章 環境影響の調査、予測及び評価 8.4 悪臭 - 562 - - 8-4-2 -...

81
第8章 環境影響の調査、予測及び評価 8.4 悪臭 - 8-4-1 - - 561 - 8.4 悪臭 8.4.1 調査 (1)調査方法 1)調査項目 悪臭の調査項目は、表 8.4-1 に示すとおりである。 表 8.4-1 悪臭の調査項目 調査項目 文献その他の 資料調査 現地調査 悪臭の状況 臭気指数 特定悪臭物質 アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、 硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、 アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、 ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、 ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、 イソブタノール、酢酸エチル、 メチルイソブチルケトン、トルエン、スチレン、キシ レン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、 ノルマル吉草酸、イソ吉草酸 気象の状況 風向、風速、気温、湿度 2)調査地域 調査地域は、事業実施区域及びその周辺とした。 3)調査方法 ア 現地調査 (ア)調査期間 悪臭の現地調査期間は、表 8.4-2 に示すとおり、悪臭が発生しやすい時期とさ れる夏季とした。 表 8.4-2 悪臭の現地調査期間 調査項目 調査日 悪臭 の状況 臭気指数 特定悪臭物質 夏季 平成 28 年 8 月 2 日(火) 気象の状況 平成 28 年 1 月 1 日(金)~12 月 31 日(土)

Transcript of 8.4-1...第8章 環境影響の調査、予測及び評価 8.4 悪臭 - 562 - - 8-4-2 -...

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.4 悪臭

    - 8-4-1 - - 561 -

    8.4 悪臭

    8.4.1 調査

    (1)調査方法

    1)調査項目

    悪臭の調査項目は、表 8.4-1 に示すとおりである。

    表 8.4-1 悪臭の調査項目

    調査項目 文献その他の

    資料調査 現地調査

    悪臭の状況

    臭気指数 - ◯

    特定悪臭物質

    アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、

    硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、

    アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、

    ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、

    ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、

    イソブタノール、酢酸エチル、

    メチルイソブチルケトン、トルエン、スチレン、キシ

    レン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、

    ノルマル吉草酸、イソ吉草酸

    - ◯

    気象の状況 風向、風速、気温、湿度 - ◯

    2)調査地域

    調査地域は、事業実施区域及びその周辺とした。

    3)調査方法

    ア 現地調査

    (ア)調査期間

    悪臭の現地調査期間は、表 8.4-2 に示すとおり、悪臭が発生しやすい時期とさ

    れる夏季とした。

    表 8.4-2 悪臭の現地調査期間

    調査項目 調査日

    悪臭

    の状況

    臭気指数

    特定悪臭物質 夏季 平成 28 年 8 月 2 日(火)

    気象の状況 平成 28 年 1 月 1 日(金)~12 月 31 日(土)

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.4 悪臭

    - 562 - - 8-4-2 -

    (イ)調査地点

    悪臭の調査地点は、図 8.4-1 に示すとおりである。

    悪臭の状況(臭気指数、特定悪臭物質)は事業実施区域敷地境界上の 2 地点(調

    査日当日の風上及び風下)とし、気象の状況は「8.1 大気質、イ 気象の状況」

    (p.8-1-6)に示した地上気象の調査地点№1(事業実施区域内)とした。

    なお、詳細な位置は、調査当日の風向を確認した上で、計画施設の風上・風下

    になる敷地境界上を選定した。

    (ウ)調査方法

    悪臭の状況及び気象の状況の調査方法は、表 8.4-3 に示すとおりである。

    表 8.4-3 悪臭の調査方法

    調査項目 調査方法

    悪臭

    の状況

    臭気指数 「嗅覚測定法マニュアル(環境省)」に準拠した方法として三点

    比較式臭袋法

    特定悪臭

    物質

    「特定悪臭物質の測定方法」(昭和 47 年環境庁告示第 9 号)に準

    拠した方法

    気象の状況

    「8.1 大気質 イ 気象の状況」(p.8-1-6)における地上気象

    (事業実施区域内)の調査結果を引用する方法

    なお、悪臭の試料採取時には、悪臭の状況の調査地点において、

    ビラム式風向風速計により風向及び風速並びにアスマン通風乾湿

    計により気温及び湿度を観測した。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.4 悪臭

    - 8-4-3 - - 563 -

    図 8.4-1 悪臭調査地点

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.4 悪臭

    - 564 - - 8-4-4 -

    (2)調査結果

    1)悪臭の状況

    ア 現地調査

    悪臭の状況の調査結果は、表 8.4-4 に示すとおりである。

    特定悪臭物質は 2 地点とも定量下限値未満であり、規制基準(第 2 種地域)に適

    合していた。また、臭気指数は 2 地点とも 10 未満であり、規制基準(第 2 種地域)

    に適合していた。

    表 8.4-4(1) 悪臭の状況の調査結果(臭気指数等)

    注 1)風向、風速、気温及び湿度は、試料採取時にビラム式風向風速計又はアスマン通風乾湿

    計により観測したものであり、これにより事業実施区域の風上及び風下を判断した。 2)規制基準は「悪臭防止法」に基づく第 2 種地域の規制基準値を示す。

    表 8.4-4(2) 悪臭の状況の調査結果(特定悪臭物質) 単位:ppm

    注)特定悪臭物質は武豊町では「悪臭防止法」に基づく規制の対象外であるが、参考まで

    に規制対象である臭気指数と同じ第 2 種地域の規制基準値を示す。

    風上 風下

     臭気指数 - 10未満 10未満 15

     風向 - 南東 南東 -

     風速 m/s 1.8 1.5 -

     気温 ℃ 31.2 34.4 -

     湿度 % 66 59 -

    調査項目 単位調査日:平成28年8月2日

    規制基準

    試料採取時の状況

    風上 風下

    アンモニア 0.1未満 0.1未満 2

    メチルメルカプタン 0.0002未満 0.0002未満 0.004

    硫化水素 0.002未満 0.002未満 0.06

    硫化メチル 0.001未満 0.001未満 0.05

    二硫化メチル 0.0009未満 0.0009未満 0.03

    トリメチルアミン 0.0005未満 0.0005未満 0.02

    アセトアルデヒド 0.005未満 0.005未満 0.1

    プロピオンアルデヒド 0.005未満 0.005未満 0.1

    ノルマルブチルアルデヒド 0.0009未満 0.0009未満 0.03

    イソブチルアルデヒド 0.002未満 0.002未満 0.07

    ノルマルバレルアルデヒド 0.0009未満 0.0009未満 0.02

    イソバレルアルデヒド 0.0003未満 0.0003未満 0.006

    イソブタノール 0.09未満 0.09未満 4

    酢酸エチル 0.3未満 0.3未満 7

    メチルイソブチルプトン 0.1未満 0.1未満 3

    トルエン 1未満 1未満 30

    スチレン 0.04未満 0.04未満 0.8

    キシレン 0.1未満 0.1未満 2

    プロピオン酸 0.003未満 0.003未満 0.07

    ノルマル酪酸 0.0001未満 0.0001未満 0.002

    ノルマル吉草酸 0.00009未満 0.00009未満 0.002

    イソ吉草酸 0.0001未満 0.0001未満 0.004

    調査項目調査日:平成28年8月2日 規制基準

    (参考)

    特定悪臭物質

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.4 悪臭

    - 8-4-5 - - 565 -

    2)気象の状況

    ア 現地調査

    事業実施区域内で通年観測した気象の状況は、表 8.4-5 に示すとおりである。

    年間の気象の状況は、最多風向は北西、平均風速は 3.0m/s、平均気温は 17.2℃、

    平均湿度は 69%であるが、現地調査を実施した夏季(6 月~8 月)には、年間とは

    逆の風向きとなり、最多風向は南東、平均風速は 2.8m/s、平均気温は 26.1℃、平均

    湿度は 75%である。

    表 8.4-5 気象の状況(事業実施区域内:平成 28 年 1 月~12 月)

    平均 最大 平均 最低 最大 平均 最低 最大

    冬季(12~2月)

    北西 3.1 10.1 7.6 -3.6 20.0 62 13 98

    春季(3~5月)

    北西 3.2 12.6 15.5 0.4 31.6 67 22 98

    夏季(6~8月)

    南東 2.8 8.0 26.1 12.9 36.7 75 30 97

    秋季(9~11月)

    北西 2.7 13.6 19.6 4.4 32.3 73 29 97

    通年 北西 3.0 13.6 17.2 -3.6 36.7 69 13 98

    最多風向

    風速(m/s) 気温(℃) 湿度(%)時期

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.4 悪臭

    - 566 - - 8-4-6 -

    8.4.2 予測及び評価

    (1)予測方法

    1)土地又は工作物の供用(施設からの悪臭の漏洩)

    ア 予測事項

    施設からの悪臭の漏洩に関する予測事項は、表 8.4-6 に示すとおりである。

    表 8.4-6 予測事項(施設からの悪臭の漏洩)

    予測の対象となる要因 予測事項

    施設からの悪臭の漏洩 臭気指数

    イ 予測地域

    悪臭の拡散の特性を踏まえ、悪臭に係る環境影響を受けるおそれがあると認めら

    れる事業実施区域周辺とした。

    ウ 予測対象時期

    予測対象時期は、計画施設の稼働が定常状態となる時期(平成 35 年度)とした。

    エ 予測方法

    事業計画に基づく悪臭に係る環境配慮事項とともに、同様の悪臭防止対策を講じ

    ている類似施設における測定結果を基に定性的に予測した。

    類似施設の調査は、同じごみ処理方式で、処理能力がほぼ同じで、最近に竣工し

    た A 施設における現地調査結果を用いた。計画施設と類似施設の比較は表 8.4-7 に

    示すとおりである。また、類似施設においては、計画施設と同様に表 8.4-8 に示す

    悪臭対策を実施している。

    類似施設の調査地点は図 8.4-2、臭気指数の調査結果は表 8.4-9 に示すとおりで

    ある。類似施設の調査結果によると、供用開始した平成 25 年度から平成 27 年度ま

    で、敷地境界における臭気指数はいずれも 10 未満であった。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.4 悪臭

    - 8-4-7 - - 567 -

    表 8.4-7 計画施設と類似施設の比較

    項目 計画施設 類似施設(A 施設)

    供用開始時期 平成 34 年 4 月(予定) 平成 25 年 4 月

    処理方式 全連続燃焼式焼却炉

    (ストーカ方式)

    全連続燃焼式焼却炉

    (ストーカ方式)

    処理能力 処理能力:283 t/日

    (141.5t/日×2 炉)

    処理能力:288t/日

    (144t/日×2 炉)

    表 8.4-8 類似施設の悪臭対策

    ・ごみピット内及びプラットホーム内は常に負圧に保ち、臭気の外部への漏洩を防

    ぐ。

    ・ごみピット内及びプラットホーム内からの吸引空気は燃焼用空気として利用し、

    臭気の熱分解を図る。

    ・ごみピットの投入扉は自動扉とし、ごみ投入時以外は閉じておく。

    ・プラットホームの入口には自動扉(二重扉)を、出口にはエアーカーテンを設置

    することにより臭気の漏洩を防ぐ。

    ・焼却炉全休炉時には脱臭装置を使用する。

    表 8.4-9 類似施設の調査結果

    調査項目

    調査結果

    北側

    敷地境界

    西側

    敷地境界

    南側

    敷地境界

    臭気指数

    平成 25 年度 10 未満 10 未満 10 未満

    平成 26 年度 10 未満 10 未満 10 未満

    平成 27 年度 10 未満 10 未満 10 未満

    注)各年度 4 回ずつ実施した調査結果の範囲を示す。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.4 悪臭

    - 568 - - 8-4-8 -

    図 8.4-2 類似施設における悪臭の調査地点の位置

    (2)予測結果

    1)土地又は工作物の供用(施設からの悪臭の漏洩)

    計画施設の供用時には、類似施設と同程度の悪臭防止対策を講じることから、類

    似施設と同程度の悪臭の状況になると考えられる。

    類似施設における現地調査結果を予測結果として、事業実施区域で適用される規

    制基準と合わせて表 8.4-10 に示す。敷地境界における臭気指数は 10 未満となり、

    規制基準値(15)を下回ると予測する。

    表 8.4-10 敷地境界上における臭気指数の予測結果と規制基準

    項 目 単位 予測結果 規制基準

    臭気指数 - 10 未満 15 以下

    注)「規制基準」は、悪臭防止法に基づく規制地域(第 2 種地域)の規制基準値を示す。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.4 悪臭

    - 8-4-9 - - 569 -

    (3)評価

    1)評価方法

    ア 環境影響の回避・低減に係る評価

    環境影響が、事業者により実行可能な範囲内でできる限り回避・低減されているか

    どうかについて評価した。

    イ 環境保全に関する基準等との整合性に係る評価

    環境影響の予測結果を踏まえて、環境保全に関する基準等との整合性が図られて

    いるかどうかについて評価した。

    2)環境保全措置

    ア 土地又は工作物の供用(施設からの悪臭の漏洩)

    施設からの悪臭の漏洩において、環境影響を実行可能な範囲でできる限り回避・

    低減するために実施する環境保全措置は、表 8.4-11 に示すとおりである。

    表 8.4-11 環境保全措置(施設からの悪臭の漏洩)

    環境保全措置 実施

    主体

    効果及び措置に

    よる環境の変化 不確実性の程度

    措置に伴い生ずる

    おそれのある影響

    プラットホーム及び敷地内道

    路は定期的に清掃するととも

    に、プラットホーム及びごみピ

    ット内への消臭剤散布により、

    悪臭防止に努める。

    事業者 悪臭への影響の

    低減が期待できる。 小さいと考える。 特になし。

    脱臭装置の維持管理を徹底し、

    悪臭防止に努める。 事業者

    悪臭への影響の

    低減が期待できる。 小さいと考える。 特になし。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.4 悪臭

    - 570 - - 8-4-10 -

    3)評価結果

    ア 土地又は工作物の供用(施設からの悪臭の漏洩)

    (ア)環境影響の回避・低減に係る評価

    施設からの悪臭の漏洩については、ごみピットには投入扉、プラットホーム出

    入口には自動扉及びエアーカーテンを設置し、ごみピットやプラットホーム内は

    常に負圧に保ち、臭気の外部への漏洩を防ぐ。加えて、吸引空気を燃焼用空気と

    して使用し、臭気の熱分解を図るとともに、脱臭装置を設置して悪臭対策を講じ

    る計画である。また、同程度の悪臭防止対策を講じている類似施設の調査結果に

    おいても、臭気指数は 10 未満であり、環境影響の程度は小さいと判断する。また、

    前掲表 8.4-11(p.8-4-9)に示す環境保全措置を実施することから、悪臭に係る

    環境影響が事業者の実行可能な範囲内でできる限り回避・低減が図られているも

    のと評価する。

    (イ)環境保全に関する基準等との整合性に係る評価

    敷地境界における臭気指数は 10 未満であり、悪臭防止法に基づく規制基準値

    (15)を下回ることから、悪臭の環境保全に関する基準等との整合が図られてい

    るものと評価する。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 8-5-1 - - 571 -

    8.5 水質

    8.5.1 調査

    (1)調査方法

    1)調査項目

    水質の調査項目は、表 8.5-1 に示すとおりである。

    表 8.5-1 水質の調査項目

    調査項目 文献その他の

    資料調査 現地調査

    水質の状況

    平水時

    水素イオン濃度(pH)

    化学的酸素要求量(COD)

    全窒素(T-N)

    全燐(T-P)

    ◯ ◯

    降雨時

    浮遊物質量(SS)

    流量

    濁度

    - ◯

    土質の状況 - ◯

    2)調査地域

    調査地域は、水質の状況については計画施設からの排水が流入する既設排水管及

    びその放流先となる海域とし、土質の状況については事業実施区域とした。

    3)調査方法

    ア 水質の状況

    (ア)文献その他の資料調査

    「3.1.5 水象、水質、水底の底質その他の水に係る環境の状況」のうち「(2)

    水 質」(p.3-22~)に示す、武豊町及び愛知県の水質調査地点のうち、調査地域

    の海域に位置する K-3 地点(愛知県)及び武豊港地点(武豊町)の過去 5 年間の

    調査結果を収集・整理した。調査地点は、図 8.5-1 に示すとおりである。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 572 - - 8-5-2 -

    図 8.5-1 水質の調査地点(文献その他の資料調査)

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 8-5-3 - - 573 -

    (イ)現地調査

    a 調査期間

    水質の状況の現地調査期間は、表 8.5-2 に示すとおりである。

    表 8.5-2 水質の状況の現地調査期間

    調査項目 調査期間

    水 質 の

    状況

    【平水時】

    水素イオン濃度(pH)

    化学的酸素要求量(COD)

    全窒素(T-N)

    全燐(T-P)

    冬季 平成 28 年 2 月 23 日(火)

    春季 平成 28 年 5 月 21 日(土)

    夏季 平成 28 年 7 月 7 日(木)

    秋季 平成 28 年 11 月 14 日(月)

    【降雨時】

    浮遊物質量(SS)

    流量

    濁度

    降雨時

    平成 28 年 5 月 16 日(月)~5 月 17 日(火)

    平成 29 年 2 月 22 日(水)~2 月 23 日(木)

    b 調査地点

    調査地点は、図 8.5-2 に示すとおりである。

    調査地点は、工事中及び供用時の排水を排出する既設排水管のうち事業実施区

    域内の集水桝(№2 地点)及び既設排水管の放流先となる海域(№1 地点)とした。

    既設排水管では、№2 地点の集水桝より上流側には、現況において排水を流す

    施設等がないため、水は流れておらず、降雨時に雨水が流れるのみである。この

    ため、平常時については№2 地点で調査を実施できないことから、№1 地点のみ調

    査を実施した。

    c 調査方法

    調査方法は、表 8.5-3 に示すとおりである。

    表 8.5-3 水質の状況の調査方法

    調査項目 調査方法

    水素イオン濃度(pH) 「水質汚濁に係る環境基準」(昭和 46 年 12 月環境庁告示第 59 号)

    に定める方法

    なお、四季の調査については、潮位変動の生じる海域が調査地点で

    あることを考慮して、下げ潮時、干潮時及び上げ潮時に分けて採水

    した。なお、詳細な調査方法は、資料編「資料 4-1 海域における

    採水について」に示すとおりである。

    化学的酸素要求量(COD)

    全窒素(T-N)

    全燐(T-P)

    浮遊物質量(SS) 「水質汚濁に係る環境基準」付表 9 に定める方法

    流量 JIS K 0094 8.4 に定める方法

    濁度 JIS K 0101 9.2 に定める方法

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 574 - - 8-5-4 -

    図 8.5-2 水質の調査地点(現地調査)

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 8-5-5 - - 575 -

    イ 土質の状況

    (ア)現地調査

    a 調査期間

    土質の状況の現地調査期間は、表 8.5-4 に示すとおりである。

    表 8.5-4 土質の状況の現地調査期間

    調査項目 調査期間

    土質の状況 平成 28 年 4 月 30 日(土)

    b 調査地点

    調査地点は、前掲図 8.5-2(p.8-5-4)に示すとおりである。

    工事の実施時における排水の濁りによる影響を把握するため、計画施設の位置

    を踏まえ掘削が考えられる代表的な 1 地点(№3 地点)とした。

    c 調査方法

    土質の状況を調査するため沈降試験を行った。沈降試験の調査方法は、表 8.5-5

    に示すとおりである。

    表 8.5-5 土質の状況の調査方法

    調査項目 調査方法

    土質の状況

    「沈降試験」

    「水質汚濁に係る環境基準」(昭和 46 年 12 月環境省告示第 59

    号)付表 9 及びメスシリンダー法注)

    注)土の試料と水をメスシリンダーに入れて十分に撹拌した後、時間の経過とともに

    一定の深さから採水し、浮遊物質量を測定する方法。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 576 - - 8-5-6 -

    (2)調査結果

    1)水質の状況

    ア 文献その他の資料調査

    文献その他の資料調査による水質の状況の調査結果は、表 8.5-6 及び図 8.5-3 に

    示すとおりである。

    衣浦港南部の K-3 地点(環境基準点:C 類型・Ⅳ類型)では、pH は環境基準の上

    限付近で推移しており、COD、T-N 及び T-P は平成 23 年度から平成 27 年度を通して

    環境基準を達成していた。

    武豊町が測定している武豊港地点では、pH が 7.8~8.2、COD が 3.3~4.7mg/L、T-N

    が 0.53~0.9mg/L、T-P が 0.092~0.14mg/L であった。

    表 8.5-6 文献その他の資料調査による水質の経年変化

    項目 調査地点 平成

    23 年度

    平成

    24 年度

    平成

    25 年度

    平成

    26 年度

    平成

    27 年度 環境基準

    水素イオン濃度

    (pH)

    K-3 8.4 8.4 8.3 8.4 8.3 7.0~

    8.3 武豊港 8.0 8.0 7.8 8.1 8.2

    化学的酸素要求量

    (COD)

    K-3 3.3

    (4.0)

    3.2

    (4.2)

    3.4

    (4.5)

    3.7

    (5.0)

    3.4

    (4.6) 8 以下

    武豊港 4.7 4.7 3.7 3.3 4.5

    全窒素(T-N) K-3 0.62 0.54 0.37 0.46 0.58

    1 以下 武豊港 0.9 0.86 0.75 0.53 0.82

    全燐(T-P) K-3 0.077 0.069 0.062 0.057 0.078

    0.09 以下 武豊港 0.14 0.092 0.107 0.10 0.14

    注)値は年平均値を示し、COD の( )内は 75%値を示す。

    図 8.5-3 文献その他の資料調査による水質の経年変化

    7.6

    7.8

    8.0

    8.2

    8.4

    8.6

    平成

    23年度

    平成

    24年度

    平成

    25年度

    平成

    26年度

    平成

    27年度

    pH

    K-3 武豊港

    0.0

    2.0

    4.0

    6.0

    8.0

    10.0

    平成

    23年度

    平成

    24年度

    平成

    25年度

    平成

    26年度

    平成

    27年度

    COD(mg/L)

    K-3 武豊港

    0.0

    0.5

    1.0

    1.5

    2.0

    平成

    23年度

    平成

    24年度

    平成

    25年度

    平成

    26年度

    平成

    27年度

    T-N(mg/L)

    K-3 武豊港

    0.00

    0.05

    0.10

    0.15

    0.20

    平成

    23年度

    平成

    24年度

    平成

    25年度

    平成

    26年度

    平成

    27年度

    T-P(mg/L)

    K-3 武豊港

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 8-5-7 - - 577 -

    イ 現地調査

    (ア)水質の状況(四季調査)

    水質の状況の調査結果は、表 8.5-7 に示すとおりである。なお、詳細な調査結果

    は、資料編「資料 4-2 水質調査結果の詳細」に示すとおりである。

    №1 地点では pH 及び T-P が春季及び夏季において環境基準値を上回っていた。

    表 8.5-7 水質調査結果(№1 地点)

    (イ)水質の状況(降雨時調査)

    降雨時調査の調査結果は、表 8.5-8、表 8.5-9、図 8.5-4 及び図 8.5-5 に示すとお

    りである。

    第 1 回目の降雨時調査では、№1 地点の濁り(SS)は大きく変化しなかったが、

    №2 地点の SS は降り出し 3 時間後に 150mg/L まで上昇した。

    なお、調査対象とした 5 月 16 日~17 日の降雨は、南知多地域気象観測所での観

    測記録によると、16 日 20 時過ぎから降り出し、17 日 9 時前まで降り続いた。この

    間の降水量の合計は 47.0mm に達し、1 時間降水量の最高値は 12.0mm/時(17 日 1 時)

    であった。

    第 2 回目の降雨時調査では、№1 地点の濁り(SS)は大きく変化しなかったが、

    №2 地点の SS は降り出し直後の 130mg/L が最高値であった。

    なお、調査対象とした 2 月 22 日~23 日の降雨は、22 日 22 時過ぎから降り出し、

    17 日 9 時過ぎまで降り続いた。南知多地域気象観測所での観測記録によると、この

    間の降水量の合計は 16.5mm に達し、1 時間降水量の最高値は 3.5mm/時(23 日 3 時)

    であった。

    冬季 春季 夏季 秋季

    H28.2.23 H28.5.21 H28.7.7 H28.11.14

    水温 ℃ 15.2~16.4 22.2~25.2 28.1~28.4 8.0~8.1

    水素イオン濃度(pH)

    - 8.1~8.2 8.7~8.9 8.2~8.5 8.0~8.1 7.0~8.3

    化学的酸素要求量(COD)

    mg/L 2.1 5.7 4.5 1.5 8以下

    全窒素(T-N) mg/L 0.40 0.74 0.40 0.44 1以下

    全燐(T-P) mg/L 0.039 0.29 0.22 0.056 0.09以下

    透視度 度 100以上 29~54 37~100以上 100以上 -

    時期

    環境基準採水年月日

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 578 - - 8-5-8 -

    表 8.5-8 降雨時の水質調査結果(第 1 回:平成 28 年 5 月 16 日~17 日)

    注)網掛けした数値は、最高値を示す。

    図 8.5-4 降雨時の水質調査結果(第 1 回)

    ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪

    採水月日 - 5/16 5/16 5/16 5/16 5/17 5/17 5/17 5/17 5/17 5/17 5/17

    採取時刻 - 21:00 21:58 23:01 23:58 0:59 1:58 2:58 4:04 5:30 7:28 9:26

    水温 ℃ 20.6 20.7 20.5 20.6 20.6 20.3 20.6 20.1 19.8 19.9 20.3

    浮遊物質量(SS) mg/L 7.7 8.6 6.3 5.9 6.9 6.2 5.6 5.3 5.8 4.8 4.9

    流量 m3/秒 - - - - - - - - - - -

    濁度(カオリン換算値) ppm 8.6 9.1 8.2 7.8 8.5 8.2 5.9 5.4 7.0 6.5 7.7

    回目

    項目降雨時調査:第1回

    No.1(放流先海域)

    ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪

    採水月日 - 5/16 5/16 5/16 5/16 5/17 5/17 5/17 5/17 5/17 5/17 5/17

    採取時刻 - 21:01 21:56 22:59 23:55 0:55 1:56 2:55 3:56 5:25 7:26 9:29

    水温 ℃ 17.4 17.6 18.6 19.0 19.1 18.3 17.8 17.9 17.8 16.9 17.8

    浮遊物質量(SS) mg/L 1.8 16 53 150 44 26 25 34 33 31 5.8

    流量 m3/秒 0.0005 0.0002 0.0018 0.10 0.015 0.013 0.014 0.016 0.0096 0.0014 0.0001

    濁度(カオリン換算値) ppm 25.0 158.2 108.3 193.3 117.4 91.7 86.4 89.7 82.4 65.6 13.7

    回目

    項目降雨時調査第1回

    No.2(排水管集水桝)

    0.0

    20.0

    40.0

    60.0

    80.0

    100.0

    120.0

    140.0

    160.0

    180.0

    200.0

    ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪

    (浮遊物質量(mg/L)) No.1(放流先海域)

    No.2(排水管集水桝)

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 8-5-9 - - 579 -

    表 8.5-9 降雨時の水質調査結果(第 2 回:平成 29 年 2 月 22 日~23 日)

    注)網掛けした数値は、最高値を示す。

    図 8.5-5 降雨時の水質調査結果(第 2 回)

    ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩

    採水月日 - 2/22 2/23 2/23 2/23 2/23 2/23 2/23 2/23 2/23 2/23

    採取時刻 - 23:00 0:00 0:58 1:58 2:58 3:57 4:57 6:00 7:00 9:00

    水温 ℃ 12.9 12.2 12.6 13.2 13.6 13.2 13.4 13.6 13.7 12.8

    浮遊物質量(SS) mg/L 6.4 5.1 4.8 4.3 4.1 4.5 4.4 4.4 3.5 5.1

    流量 m3/秒 - - - - - - - - - -

    濁度(カオリン換算値) ppm 8.0 7.5 6.4 4.7 4.2 4.4 4.9 4.6 4.4 4.6

    回目

    項目降雨時調査:第2回

    No.1(放流先海域)

    ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩

    採水月日 - 2/22 2/23 2/23 2/23 2/23 2/23 2/23 2/23 2/23 2/23

    採取時刻 - 23:10 0:02 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 9:00

    水温 ℃ 10.1 8.2 10.8 11.0 11.5 11.7 11.7 12.0 12.3 12.5

    浮遊物質量(SS) mg/L 130 79 39 30 23 20 13 27 35 18

    流量 m3/秒 0.0005 0.0016 0.0083 - - - - 0.017 0.0123 0.0001

    濁度(カオリン換算値) ppm 318.0 ≧326.2 50.2 56.3 64.4 65.6 49.4 86.4 91.3 59.2

    回目

    項目降雨時調査第2回

    No.2(排水管集水桝)

    0.0

    20.0

    40.0

    60.0

    80.0

    100.0

    120.0

    140.0

    160.0

    180.0

    200.0

    ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩

    (浮遊物質量(mg/L)) No.1(放流先海域)

    No.2(排水管集水桝)

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 580 - - 8-5-10 -

    2)土質の状況(沈降試験)

    沈降試験の結果は、表 8.5-10 及び図 8.5-6 に示すとおりである。

    沈降試験における浮遊物質量(濁水)の初期濃度は、造成工事における事例の中

    で最大の 2,000mg/L に設定した。試験の結果、60 分経過後の浮遊物質量は、前掲表

    8.5-8(p.8-5-8)に示す降雨時調査における浮遊物質量のピーク値(150mg/L)を下

    回っていた。

    表 8.5-10 沈降試験の結果

    経過時間(t)

    (分)

    浮遊物質量

    (mg/L)

    0 1,957

    0.3 1,888

    1 1,475

    2 1,150

    5 672

    15 395

    30 215

    60 129

    240 59

    1,440 29

    図 8.5-6 沈降試験の結果

    1

    10

    100

    1000

    10000

    0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600

    懸濁物質量(mg/L)

    経過時間(分)

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 8-5-11 - - 581 -

    8.5.2 予測及び評価

    (1)予測方法

    1)工事の実施(掘削、盛土等の土工)

    ア 水素イオン濃度(pH)

    (ア)予測事項

    掘削、盛土等の土工に関する予測事項は、表 8.5-11 に示すとおりである。

    表 8.5-11 予測事項(掘削、盛土等の土工)

    予測の対象となる要因 予測事項

    掘削、盛土等の土工 コンクリート工事に伴うアルカリ排水

    (水素イオン濃度(pH))

    (イ)予測地域

    予測地域は、工事中の排水が流入する既設排水管の放流先である海域(衣浦港)

    とした。

    (ウ)予測対象時期

    予測対象時期は、コンクリート打設等の土工時期とした。

    (エ)予測方法

    工事計画に基づく環境配慮事項及び現地調査結果を踏まえて、定性的に予測し

    た。

    イ 浮遊物質量(SS)

    (ア)予測事項

    掘削、盛土等の土工に関する予測事項は、表 8.5-12 に示すとおりである。

    表 8.5-12 予測事項(掘削、盛土等の土工)

    予測の対象となる要因 予測事項

    掘削、盛土等の土工 水の濁り(浮遊物質量(SS 濃度))

    (イ)予測地域

    予測地域は、工事実施時の排水が流入する既設排水管の放流先である海域とし

    た。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 582 - - 8-5-12 -

    (ウ)予測対象時期

    予測対象時期は工事の実施期間のうち、掘削、盛土等の土工が実施され、裸地

    が出現する時期とした。

    (エ)予測方法

    仮設沈砂池の排出口における排水の濁り(SS 濃度)は図 8.5-7 に示す手順で推

    計し、排水先の既設排水管における現況の SS 濃度と比較することで、放流先海域

    (衣浦港)への影響の程度を定量的に予測した。

    図 8.5-7 仮設沈砂池の排出口における SS 濃度の予測手順

    a 予測条件

    (a)仮設沈砂池へ流入する濁水

    仮設沈砂池へ流入する濁水の発生量及び SS 濃度は、以下に示すとおり設定

    した。

    (ⅰ) 濁水発生量の設定

    工事実施時に仮設沈砂池に流入する濁水発生量は、主に掘削、盛土等の土工

    を実施する事業実施区域東側(ごみ焼却施設等の建屋を含む範囲)約 2.0ha と

    その他の西側の区域とに分けて集水域を設定し、以下に示す計算式により設定

    した。

    (c)仮設沈砂池における

    濁水(SS 濃度)の低減効果

    (a)仮設沈砂池へ流入する濁水

    (b)仮設沈砂池の諸元

    土質の沈降特性

    (沈降試験結果)

    濁水発生量の設定

    ・降雨強度(降水量)

    ・集水面積

    ・流出係数

    SS 濃度の設定

    仮設沈砂池排出口における排水

    (水量、SS 濃度)

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 8-5-13 - - 583 -

    Q0=(a1・Rf・f1+a2・Rf・f2)/(1,000・3,600)

    Q0 :濁水発生量(m3/秒)

    a1、a2:集水域の面積(ha)(表 8.5-13 参照)

    Rf :1 時間降水量(㎜/時)(表 8.5-13 参照)

    f1、f2 :流出係数(表 8.5-13 参照)

    表 8.5-13 計算条件の設定(集水域の面積、1 時間降水量、流出係数)

    項目 条件 設定根拠

    集水域の面積(ha) 改変部 :2.0

    未改変部 :3.0

    主に掘削、盛土等の土工を実施する事業実施区域東側の区

    域を改変部とし、その他の西側の区域を未改変部とした。

    1 時間降水量(mm/時) 25

    過去 10 年間の降雨データ(南知多地域気象観測所)より

    降雨強度の下位から 99.5%以上を網羅し、網羅できない降

    雨強度の 1 区分当りの度数が一桁台となる降水量(25mm)

    を設定した。(表 8.5-14 参照)

    流出係数 改変部 :0.5

    未改変部 :0.3

    「面整備事業環境影響評価技術マニュアル(Ⅱ)」(平成

    11 年、面整備事業環境影響評価研究会)より引用した。

    (ⅱ) 降雨条件

    対象事業実施区域に最寄りの南知多地域気象観測所における過去 10 年間の

    時間降雨量の度数分布は、表 8.5-14 に示すとおりである。

    予測に用いる降雨条件は、このデータを元に、降雨強度の下位から 99.5%以

    上を網羅する降水量(25mm/h)とした。

    表 8.5-14 時間降雨量度数分布(南知多地域気象観測所)

    注)各年の度数の総数は、本来1年間の時間数に等しいため、8,760(平年)または 8,784(閏年)となるが、実際には欠測

    が生じているためこれらに一致しない。相対度数の分母は降水量データが確認できる 10 年間分の累計とした。

    時間 観測年 10年間の合計

    降雨量 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成[mm/h] 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年 27年 28年

    総数 8,757 8,760 8,760 8,760 8,784 8,760 8,759 8,760 8,784 8,760 87,644 100 - 0(降雨無) 8,234 8,051 8,043 8,170 8,046 8,175 8,201 8,126 8,011 8,097 81,154 - -0.5~ 5 471 626 647 536 687 524 507 576 707 608 5,889 90.74 90.74

    ~10 31 62 43 37 33 43 33 44 40 36 402 6.19 96.93~15 13 11 19 12 9 8 12 9 16 11 120 1.85 98.78~20 4 6 3 2 5 6 5 2 4 2 39 0.60 99.38~25 2 1 2 2 3 1 0 2 3 4 20 0.31 99.69~30 1 1 0 0 0 3 0 1 1 1 8 0.12 99.82~35 1 1 2 0 1 0 0 0 2 1 8 0.12 99.94~40 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0.02 99.95~45 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.00 99.95~50 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0.02 99.97~55 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0.02 99.98~60 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.00 99.98~65 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0.02 100.00~70 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.00 100.00~75 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.00 100.00~80 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.00 100.00

    合計度数相対度数(%)

    累計度数(%)

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 584 - - 8-5-14 -

    (ⅲ) 濁水の SS 濃度の設定

    工事実施時に仮設沈砂池に流入する濁水の SS 濃度は、改変部と未改変部に

    分けて、表 8.5-15 に示すとおり設定した。

    表 8.5-15 工事実施時に発生する濁水の SS 濃度

    区 分 SS 濃度(mg/L) 設定根拠

    改変部 2,000 「面整備事業環境影響評価技術マニュアル(Ⅱ)」よ

    り、造成工事における SS 濃度の最大値とした。

    未改変部 150 工事実施前の降雨時調査結果を、未改変部からの濁水

    の SS 濃度として設定した。

    (b)仮設沈砂池の諸元

    工事の実施に先立ち設置する仮設沈砂池の容量及び配置は、表 8.5-16 及び

    図 8.5-8 に示すとおりとした。

    なお、仮設沈砂池の配置は、仮設沈砂池の排水(処理水)を既設排水管に排

    出する計画であることから、既設排水管の集水桝に近い場所とし、仮設沈砂池

    の設置数及び面積等(個別の寸法)については、工事実施前に計画される工事

    計画の中で具体化する予定であることから、予測検討の条件としては、1 か所

    で処理するものと仮定した。

    表 8.5-16 仮設沈砂池の諸元

    項目 計画値

    仮設沈砂池の設置数(か所) 1

    仮設沈砂池の容量(m3) 500

    注)仮設沈砂池の容量は、「砂防指定地内行為技術審査基準」(平

    成 22 年、愛知県建設部)における 50m3/ha~200m3/ha を参

    考に、1ha 当り 100m3 として算定した。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 8-5-15 - - 585 -

    図 8.5-8 仮設沈砂池の配置

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 586 - - 8-5-16 -

    (c)仮設沈砂池における濁り(SS 濃度)の低減効果

    仮設沈砂池で処理した排水が、排出口でどの程度まで SS 濃度が低下するの

    かを、土質の沈降特性(経過時間-SS 濃度の関係(前掲表 8.5-10(p.8-5-10)

    参照))を元にして推計した。

    (ⅰ) 排出口における排水の SS 濃度の推計式

    事業実施区域内の土壌を用いた沈降試験結果(経過時間-SS 濃度の関係)は

    図 8.5-9 に示すとおりである。この試験結果を元にして、濁水の滞留時間(経

    過時間)-SS 濃度の関係式を設定し、排水の SS 濃度の推計式とした。

    滞留時間-SS 濃度の関係式は次のとおりである。

    [関係式](SS 濃度(mg/L))= 1,655.6☓(滞留時間(分))-0.581

    図 8.5-9 沈降試験結果(経過時間-SS 濃度)

    (ⅱ) 仮設沈砂池における濁水の滞留時間

    仮設沈砂池における濁水の滞留時間は、仮設沈砂池の容量と濁水発生量(仮

    設沈砂池への流入量)から、以下に示す関係式に基づき算出した。

    (滞留時間(分))=(仮設沈砂池の容量(m3))/(濁水発生量(m3/秒))/60

    算定の結果は、表 8.5-17 に示すとおりである。

    表 8.5-17 仮設沈砂池の滞留時間

    名称 仮設沈砂池

    の容量(m3)

    濁水発生量

    (m3/秒)

    滞留時間

    (分)

    仮設沈砂池 500 0.131944 約 63.2

    SS濃度(mg/L)

    経過時間(分)

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 8-5-17 - - 587 -

    (ⅲ) 仮設沈砂池の排出口における排水の SS 濃度及び排水量

    設定した滞留時間-SS 濃度の関係式を用いて、仮設沈砂池の排出口における

    排水の SS 濃度を算出した結果は、表 8.5-18 に示すとおりである。

    仮設沈砂池の排出口における排水の SS 濃度は 149mg/L と推計する。

    表 8.5-18 仮設沈砂池の排出口における排水の SS 濃度の推計結果

    項目 仮設沈砂池

    の容量(m3)

    排水の SS 濃度

    (mg/L)

    排水量

    (m3/秒)

    推計結果 500 149 0.131944

    注)排出口における排水量は、仮設沈砂池に流入する濁水量と同じとした。

    (d)既設排水管における現況降雨時の SS 濃度

    仮設沈砂池からの排水を排出する既設排水管における現況 SS 濃度(降雨時)

    は、降雨時調査結果(前掲表 8.5-8(p.8-5-8)及び表 8.5-9(p.8-5-9)参照)

    より、最大 150mg/L であった。(表 8.5-19 参照)

    表 8.5-19 降雨時調査実施時の SS 濃度(既設排水管:№2)

    降雨時調査実施日 SS 濃度(mg/L)

    平成 28 年 5 月 16 日~17 日 1.8~ 150

    平成 29 年 2 月 22 日~23 日 13 ~ 130

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 588 - - 8-5-18 -

    2)土地又は工作物の供用(汚水の排出)

    ア 水の汚れ(化学的酸素要求量(COD)、富栄養化(全窒素(T-N)、全燐(T-P)))

    (ア)予測事項

    汚水の排出に関する予測事項は、表 8.5-20 に示すとおりである。

    表 8.5-20 予測事項(汚水の排出)

    予測の対象となる要因 予測事項

    汚水の排出 水の汚れ(化学的酸素要求量(COD))

    富栄養化(全窒素(T-N)、全燐(T-P))

    (イ)予測地域

    予測地域は、供用時の排水が流入する既設排水管の放流口近傍(海域)とした。

    (ウ)予測対象時期

    予測対象時期は、計画施設の稼働が定常状態となる時期(平成 35 年度)とした。

    (エ)予測方法

    事業計画に基づく環境配慮事項、現地調査結果を踏まえて、事例の引用により

    放流先海域の水質への影響の程度を定量的に予測した。

    a 排水の諸元

    計画施設の稼働に伴う排水は、生活系排水及びプラント系排水がある。

    生活系排水は浄化槽で処理後、既設排水管に排水し、東側海域に放流する計画で

    ある。

    プラント系排水は、排水処理施設で適正に処理した後、炉内噴霧等により再利用

    (クローズドシステム)する計画である。

    既設排水管に排出される排水の諸元は、表 8.5-21 に示すとおりである。

    表 8.5-21 計画施設からの排水の諸元

    項目 諸元

    排水量(m3/日) 5

    COD(mg/L) 30 以下

    T-N(mg/L) 20 以下

    T-P(mg/L) 4 以下

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 8-5-19 - - 589 -

    b 排水の拡散状況

    新田の実験式により、海域に放流される排水が放流口から拡散する影響範囲を予

    測した。

    新田の実験式は以下に示すとおりである。

    <新田の実験式>

    logA=1.226・logQ+0.0855

    A =r2・π/2(拡散する角度は 180 度とした。)

    A:拡散面積(m2)

    r:拡散距離(m)

    Q:排水量(m3/日)

    図 8.5-10 予測イメージ

    c 放流先海域の現況の水質

    排水が放流される海域の現況の水質は、現地調査結果(№1)より表 8.5-22 に

    示すとおりである。

    表 8.5-22 放流先海域の現況の水質

    項目 水質

    COD(mg/L) 1.5 ~5.7 [3.5]

    T-N(mg/L) 0.40 ~0.74[0.50]

    T-P(mg/L) 0.039~0.29[0.15]

    注)水質の値は、現地調査結果(№1)の範囲を示す。

    また、[ ]内は平均値を示す。

    r

    陸域 海域

    Q放流口

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 590 - - 8-5-20 -

    (2)予測結果

    1)工事の実施(掘削、盛土等の土工)

    ア 水素イオン濃度(pH)

    コンクリート工事に伴う排水は、pH が放流先海域の現況濃度(現地調査結果:8.0

    ~8.9)の範囲内になることを確認した上で、既設排水管に排水し、事業実施区域

    東側の海域(衣浦港)に放流する計画である。

    イ 浮遊物質量(SS)

    工事実施時における濁水は、仮設沈砂池に集め濁りを低減した後、既設排水管に

    排水し、事業実施区域東側の海域(衣浦港)に放流する計画である。

    仮設沈砂池の排出口における排水の SS 濃度は 149mg/L と予測する。

    2)土地又は工作物の供用(汚水の排出)

    ア 水の汚れ(化学的酸素要求量(COD)、富栄養化(全窒素(T-N)、全燐(T-P)))

    供用時の排水を海域へ放流する際の拡散距離の予測結果は、表 8.5-23 に示すとお

    りである。

    海域へ放流した排水は、放流口から約 2.4m の範囲で拡散すると予測する。

    表 8.5-23 予測結果(汚水の排出)

    項目 排水の拡散距離(m)

    COD 2.4

    T-N 2.4

    T-P 2.4

    注)「排水の拡散距離」は、新田の実験式において算出

    される 60 倍希釈される拡散面積に基づき計算した範

    囲であり、海域への放流口からの距離を示す。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 8-5-21 - - 591 -

    (3)評価

    1)評価方法

    ア 環境影響の回避・低減に係る評価

    環境影響が、事業者により実行可能な範囲内でできる限り回避・低減されている

    かどうかについて評価した。

    2)環境保全措置

    ア 工事の実施(掘削、盛土等の土工)

    掘削、盛土等の土工において、環境影響を実行可能な範囲でできる限り回避・低

    減するために実施する環境保全措置は、表 8.5-24 に示すとおりである。

    表 8.5-24 環境保全措置(掘削、盛土等の土工)

    環境保全措置 実施

    主体

    効果及び措置に

    よる環境の変化 不確実性の程度

    措置に伴い生ずる

    おそれのある影響

    コンクリート工事に伴う排水

    は、状況に応じて中和処理等を

    行う。

    事業者 水質への影響の

    低減が期待できる。 小さいと考える。 特になし。

    台風、集中豪雨等が予想される

    場合には、できる限り濁水が発

    生しないよう、中止を含めた工

    事工程の変更及び盛土部への

    シート掛けなどの適切な濁水

    流出防止対策を講じる。

    事業者 水質への影響の

    低減が期待できる。 小さいと考える。 特になし。

    仮設沈砂池には竹そだ柵等を

    設置することにより、濁りの低

    減効果を高める。

    事業者 水質への影響の

    低減が期待できる。 小さいと考える。 特になし。

    仮設沈砂池からの排水の濁り

    の状況に応じて、凝集剤を添加

    し、濁りの低減効果を高める。

    事業者 水質への影響の

    低減が期待できる。 小さいと考える。 特になし。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 592 - - 8-5-22 -

    イ 土地又は工作物の供用(汚水の排出)

    汚水の排出において、環境影響を実行可能な範囲でできる限り回避・低減するた

    めに実施する環境保全措置は、表 8.5-25 に示すとおりである。

    表 8.5-25 環境保全措置(汚水の排出)

    環境保全措置 実施

    主体

    効果及び措置に

    よる環境の変化 不確実性の程度

    措置に伴い生ずる

    おそれのある影響

    供用時における排水処理施設

    の維持管理の徹底に努める。 事業者

    水質への影響の

    低減が期待できる。 小さいと考える。 特になし。

    供用時における排水量は、排水

    の 諸 元 ( 前 掲 表 8.5-21

    (p.8-5-18)参照)以下とし、

    今後の施設計画を検討する中

    で、できる限り排水量が少なく

    なるよう検討する。

    事業者 水質への影響の

    低減が期待できる。 小さいと考える。 特になし。

    3)評価結果

    ア 工事の実施(掘削、盛土等の土工)

    (ア)水素イオン濃度(pH)

    a 環境影響の回避・低減に係る評価

    予測結果によれば、コンクリート工事に伴う排水は、pH が放流先海域の現況濃

    度(現地調査結果:8.0~8.9)の範囲内になることを確認した上で、既設排水管

    に排水し、事業実施区域東側の海域に放流する計画であることから、放流先海域

    への水質の影響の程度は小さいと判断する。また、前掲表 8.5-24(p.8-5-21)に

    示す環境保全措置を実施することから、水質に係る環境影響が事業者の実行可能

    な範囲内でできる限り回避・低減が図られているものと評価する。

    (イ)浮遊物質量(SS)

    a 環境影響の回避・低減に係る評価

    予測結果によれば、仮設沈砂池の排出口からの排水の SS 濃度は、既設排水管

    における現況の SS 濃度と同程度以下であると予測することから、放流先海域への

    濁りの影響の程度は小さいと判断する。また、前掲表 8.5-24(p.8-5-21)に示す

    環境保全措置を実施することから、水質に係る環境影響が事業者の実行可能な範

    囲内でできる限り回避・低減が図られているものと評価する。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.5 水質

    - 8-5-23 - - 593 -

    イ 土地又は工作物の供用(汚水の排出)

    (ア)水の汚れ(化学的酸素要求量(COD)、富栄養化(全窒素(T-N)、全燐(T-P)))

    a 環境影響の回避・低減に係る評価

    供用時に海域に放流した排水は、放流口から約 2.4m までの範囲で拡散すると

    予測する。また、60 倍希釈での各物質の濃度は、放流先海域の水質と同等以下と

    予測する。以上のことから、放流先海域の水質への影響の程度は小さいと判断す

    る。また、前掲表 8.5-25(p.8-5-22)に示す環境保全措置を実施することから、

    水質に係る環境影響が事業者の実行可能な範囲内でできる限り回避・低減が図ら

    れているものと評価する。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 594 - - 8-6-1 -

    8.6 地盤・土壌

    8.6.1 調査

    (1)調査方法

    1)調査項目

    地盤・土壌の調査項目は、表 8.6-1 に示すとおりである。

    事業実施区域の北側隣接地において土壌汚染が確認されていることから、「愛知県

    土壌汚染等対策指針」(平成 26 年 10 月愛知県告示第 526 号)に規定する土壌含有量

    調査、土壌ガス調査及び土壌溶出量調査を行った。

    表 8.6-1 地盤・土壌の調査項目

    調査項目 文献その他

    の資料調査 現地調査

    土地利用状況 ○ -

    土壌含有量調査(第 2 種特定有害物質)

    カドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、

    シアン化合物、水銀及びその化合物、セレン及びその化合物、

    鉛及びその化合物、砒素及びその化合物、ふっ素及びその化

    合物、ほう素及びその化合物

    ○ ○

    土壌ガス調査(第 1 種特定有害物質)

    四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、

    1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、

    1,3-ジクロロプロペン、ジクロロメタン、

    テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、

    1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ベンゼン

    - ○

    土壌溶出量調査(第 2 種特定有害物質、第 3 種特定有害物質)

    カドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、

    シアン化合物、水銀及びその化合物、セレン及びその化合物、

    鉛及びその化合物、砒素及びその化合物、ふっ素及びその化

    合物、ほう素及びその化合物

    シマジン、チウラム、チオベンカルブ、PCB、有機りん化合物

    ○ ○

    土壌環境基準調査(土壌の汚染に係る環境基準項目[銅を除く])

    カドミウム、全シアン、有機燐、鉛、六価クロム、砒素、

    総水銀、アルキル水銀、PCB、ジクロロメタン、四塩化炭素、

    1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、

    シス-1,2-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、

    1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、

    テトラクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン、チウラム、

    シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、セレン、ふっ素、

    ほう素

    - ○

    ダイオキシン類調査 - ○

    ダイオキシン類

    気象の状況 ○ -

    注 土壌の汚染に係る環境基準項目のうち、銅は農用地に限るものとして基準が設定されていること

    から除外した。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 8-6-2 - - 595 -

    2)調査地域

    土壌汚染の状況は、事業実施区域の土地の形質変更が想定される区域について調

    査を行った。ダイオキシン類の状況は、事業実施区域内及びその周辺で調査を行っ

    た。

    3)調査方法

    ア 文献その他の資料調査

    (ア)土地利用状況

    事業実施区域に関連する土地の用途に関する情報(登記簿、空中写真、住宅地

    図、製鋼所社史、製鋼所配置図、聞き取り調査資料)を収集・整理した。

    (イ)土壌汚染の状況

    北側隣接地の土壌汚染状況調査結果を収集・整理した。

    (ウ)気象の状況

    調査地域における愛知県及び武豊町管理の大気汚染測定局等の平成 23 年度~

    平成 27 年度の過去 5 年間の測定結果を収集・整理した。

    イ 現地調査

    (ア)調査期間

    地盤・土壌(土壌汚染の状況)の現地調査期間は、表 8.6-2 に示すとおりであ

    る。

    表 8.6-2 地盤・土壌(土壌汚染の状況)の現地調査期間

    調査項目 調査期間

    土壌含有量調査

    平成28年 2月 8日(月)

    平成28年 6月27日(月)

    ~ 7月 8日(金)

    土壌ガス調査

    平成28年 6月30日(木)

    ~ 7月 5日(火)

    平成28年12月 1日(木) (30m区画:B3)

    (10m区画:B6-1~B6-4,B6-6)

    土壌溶出量調査

    平成28年 6月27日(月)

    ~ 7月 8日(金)

    平成28年12月 2日(金) (深度調査)

    土壌環境基準調査 (土壌の汚染に係る環境基準項目[銅を除く])

    平成28年 2月 8日(月)

    ダイオキシン類調査 平成28年 2月 8日(月)

    平成29年 3月15日(水)

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 596 - - 8-6-3 -

    (イ)調査地点

    現地調査地点は、図 8.6-1(1)~(3)に示すとおりである。

    土壌汚染の状況(ダイオキシン類を除く)の調査は、図 8.6-1(1)に示すとおり、

    事業実施区域の北東端を起点に 30 メートル四方の調査区画を設定して、調査地点

    を配置した。土壌環境基準の調査地点は、30 メートル四方の調査区画の B3 区画

    に配置した。

    ダイオキシン類の調査地点は、表 8.6-3、図 8.6-1(2)及び図 8.6-1(3)に示す

    とおり、6 地点とした。

    なお、№5 及び№6 の 2 地点は、「8.7 地下水の状況及び地下水質」における地

    下水のダイオキシン類の調査結果(p.8-7-11)において環境基準を上回った地点の

    周辺とした。

    表 8.6-3 土壌汚染の状況調査地点(ダイオキシン類)

    № 地点名

    1 事業実施区域内

    2 大屋敷地区町有地

    3 ゆめたろうプラザ

    4 郷北第 2 ちびっこ広場

    5 事業実施区域内

    6 事業実施区域内

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 8-6-4 - - 597 -

    (ウ)調査方法

    地盤・土壌(土壌汚染の状況)の調査方法は、表 8.6-4 に示すとおりである。

    表 8.6-4 地盤・土壌(土壌汚染の状況)の調査方法

    調査項目 調査方法

    土壌含有量調査 「愛知県土壌汚染等対策指針」

    (平成 26 年 10 月愛知県告示第 526 号)に基づく方法

    土壌ガス調査 「愛知県土壌汚染等対策指針」

    (平成 26 年 10 月愛知県告示第 526 号)に基づく方法

    土壌溶出量調査 「愛知県土壌汚染等対策指針」

    (平成 26 年 10 月愛知県告示第 526 号)に基づく方法

    土壌環境基準調査 「土壌の汚染に係る環境基準について」

    (平成 3 年 8 月環境庁告示第 46 号)に基づく方法

    ダイオキシン類調査 「ダイオキシン類に係る土壌調査測定マニュアル」

    (平成 21 年 3 月環境省)に基づく方法

    注)土壌溶出量調査と土壌の汚染に係る環境基準は、同一の調査方法が規定されている。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 598 - - 8-6-5 -

    図 8.6-1(1) 土壌汚染の状況調査地点(土壌含有量、土壌ガス、土壌溶出量)

    注)土壌環境基準調査は、B3 区画で実施した。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 8-6-6 - - 599 -

    図 8.6-1(2) 土壌汚染の状況調査地点[ダイオキシン類(事業実施区域)]

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 600 - - 8-6-7 -

    図 8.6-1(3) 土壌汚染の状況調査地点[ダイオキシン類(周辺地域)]

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 8-6-8 - - 601 -

    (2)調査結果

    1)文献その他の資料調査

    文献その他の資料調査による土地利用状況及び土壌汚染の状況の調査結果は、

    「3.1.7 地盤、地下水及び土壌の状況」における「(3)土壌汚染」(p.3-38)、気象

    の状況の調査結果は、「3.1.1 気象、大気質その他の大気に係る環境の状況」におけ

    る「(1)気象」(p.3-3~)に示すとおりである。

    2)現地調査

    ア 土壌含有量調査

    土壌含有量調査の調査結果は、表 8.6-5 に示すとおり、鉛及びその化合物が 22

    区画で土壌含有量基準を上回っていた。鉛及びその化合物(土壌含有量)の調査結

    果の分布は、図 8.6-2 のとおりである。

    なお、鉛及びその化合物が、土壌含有量基準を超過していたことから、汚染の拡

    散防止のための応急の措置(現地への関係者以外の立入禁止)を実施した。

    表 8.6-5 土壌含有量調査結果

    調査項目 土壌含有量

    (mg/kg)

    土壌含有量基準

    (mg/kg)

    基準超過区画数/

    調査区画数

    カドミウム及びその化合物

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 602 - - 8-6-9 -

    図 8.6-2 土壌汚染の状況[鉛及びその化合物(土壌含有量)]

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 8-6-10 - - 603 -

    イ 土壌ガス調査

    土壌ガス調査の調査結果は表 8.6-6 に示すとおり、テトラクロロエチレンが 1

    区画で検出された。テトラクロロエチレンの調査結果の分布は、図 8.6-3 のとおり

    である。

    なお、土壌ガスが検出された場所は、汚染の拡散防止のための応急の措置(不透

    水シートによる雨水の遮断)を実施した。

    表 8.6-6 土壌ガス調査結果

    項目 土壌ガス濃度

    (volppm)

    定量下限値

    (volppm)

    検出区画数

    /調査区画数

    四塩化炭素 不検出 0.1 以下 0/24

    1,2-ジクロロエタン 不検出 0.1 以下 0/24

    1,1-ジクロロエチレン 不検出 0.1 以下 0/24

    シス-1,2-ジクロロエチレン 不検出 0.1 以下 0/24

    1,3-ジクロロプロペン 不検出 0.1 以下 0/24

    ジクロロメタン 不検出 0.1 以下 0/24

    テトラクロロエチレン 不検出 ~ 0.1 0.1 以下 1/24

    1,1,1-トリクロロエタン 不検出 0.1 以下 0/24

    1,1,2-トリクロロエタン 不検出 0.1 以下 0/24

    トリクロロエチレン 不検出 0.1 以下 0/24

    ベンゼン 不検出 0.05 以下 0/24

    土壌ガス調査の調査対象物質が検出されたため、テトラクロロエチレンの検出さ

    れた 30m 区画内で 10m 単位区画の土壌ガス調査を行い、さらに、その結果の高濃度

    地点においてボーリングを実施し、深度方向の土壌溶出量調査(地下水が存在する

    場合は、その地下水調査)を行った。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 604 - - 8-6-11 -

    図 8.6-3 土壌汚染の状況(土壌ガス:テトラクロロエチレン)

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 8-6-12 - - 605 -

    (ア)テトラクロロエチレン検出区画の詳細調査

    a 土壌ガス調査(10m 単位区画)

    テトラクロロエチレン詳細調査地点は、図 8.6-4 に示すとおり、テトラクロロ

    エチレンが検出された B6(30m 区画)を 10m 単位区画に 6 分割し、30m 区画の土

    壌ガス調査地点を含む B6-5 単位区画以外の 5 地点について、テトラクロロエチ

    レン及び分解生成物の土壌ガス調査を行った。

    調査結果は、図 8.6-5 に示すとおり、いずれも不検出であった。

    図 8.6-4 土壌汚染の状況調査地点(土壌ガス)10m 単位区画

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 606 - - 8-6-13 -

    図 8.6-5 土壌ガス調査結果(テトラクロロエチレン及び分解生成物)

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 8-6-14 - - 607 -

    b 相対的高濃度地点での土壌溶出量調査

    土壌ガス調査(30m 区画)での、テトラクロロエチレンの相対的高濃度地点と

    なる 10m単位区画 B6-5地点においてボーリングにより深度方向の土壌を採取し、

    土壌溶出量調査を行った。

    調査結果は、表 8.6-7 に示すとおりで、いずれの深度も全て土壌溶出量基準に

    適合していた。

    表 8.6-7 相対的高濃度地点での土壌溶出量の深度調査結果

    [テトラクロロエチレン及び分解生成物]

    項目 土壌溶出量

    (mg/L)

    土壌溶出量基準

    (mg/L)

    基準適合

    状況 調査深度

    クロロエチレン(別名塩化ビニ

    ル又は塩化ビニルモノマー)

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 608 - - 8-6-15 -

    ウ 土壌溶出量調査

    土壌溶出量の調査結果は、表 8.6-9 に示すとおりである。(土壌環境基準調査結

    果についても、土壌溶出量調査と同一の調査方法で行っていることから合わせて示

    した。)

    調査結果は、ふっ素及びその化合物が 3 区画で土壌溶出量基準を上回っていた。

    ふっ素及びその化合物(土壌溶出量)の調査結果の分布は、図 8.6-6 のとおりであ

    る。

    なお、ふっ素及びその化合物が、土壌溶出量基準を超過していたことから、組合

    は汚染の拡散防止のための応急の措置(不透水シートまたはアスファルト舗装によ

    る雨水の遮断)を実施した。

    表 8.6-9 土壌溶出量調査結果

    項目 土壌溶出量

    (mg/L)

    土壌溶出量基準

    (mg/L)

    基準超過区画数/

    調査区画数

    2

    カドミウム及びその化合物

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 8-6-16 - - 609 -

    図 8.6-6 土壌汚染の状況[ふっ素及びその化合物(土壌溶出量)]

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 610 - - 8-6-17 -

    エ 土壌環境基準調査

    土壌環境基準の調査結果は、表 8.6-10 に示すとおり、いずれも環境基準に適合

    していた。

    表 8.6-10 土壌環境基準調査結果

    注)「検出されないこと」とは、定量結果が検査方法の定量下限値を下回ることをいう。

    オ ダイオキシン類

    ダイオキシン類の調査結果は、表 8.6-11 に示すとおり、全ての地点で環境基準

    に適合していた。

    表 8.6-11 土壌のダイオキシン類調査結果

    単位:pg-TEQ/g

    項目

    事業実施

    区域 周辺地域 事業実施区域

    環境基準

    №1 №2 №3 №4 №5 №6

    ダイオキシン類 3.5 4.9 11 0.48 17 11 1,000 以下

    分析項目 単位 分析結果 環境基準 定量下限値

    カドミウム mg/L 0.001未満 0.01以下 0.001

    全シアン mg/L 0.1未満 検出されないこと 0.1  

    有機燐 mg/L 0.1未満 検出されないこと 0.1

    鉛 mg/L 0.005未満 0.01以下 0.005

    六価クロム mg/L 0.02未満 0.05以下 0.02

    砒素 mg/L 0.005未満 0.01以下 0.005

    総水銀 mg/L 0.0005未満 0.0005以下 0.0005

    アルキル水銀 mg/L 0.0005未満 検出されないこと 0.0005

    PCB mg/L 0.0005未満 検出されないこと 0.0005

    ジクロロメタン mg/L 0.002未満 0.02以下 0.002

    四塩化炭素 mg/L 0.0002未満 0.002以下 0.0002

    1,2-ジクロロエタン mg/L 0.0004未満 0.004以下 0.0004

    1,1-ジクロロエチレン mg/L 0.002未満 0.1以下 0.002

    シス-1,2-ジクロロエチレン mg/L 0.004未満 0.04以下 0.004

    1,1,1-トリクロロエタン mg/L 0.0005未満 1以下 0.0005

    1,1,2-トリクロロエタン mg/L 0.0006未満 0.006以下 0.0006

    トリクロロエチレン mg/L 0.002未満 0.03以下 0.002

    テトラクロロエチレン mg/L 0.0005未満 0.01以下 0.0005

    1,3-ジクロロプロペン mg/L 0.0002未満 0.002以下 0.0002

    チウラム mg/L 0.0006未満 0.006以下 0.0006

    シマジン mg/L 0.0003未満 0.003以下 0.0003

    チオベンカルブ mg/L 0.002未満 0.02以下 0.002

    ベンゼン mg/L 0.001未満 0.01以下 0.001

    セレン mg/L 0.002未満 0.01以下 0.002

    ふっ素 mg/L 0.41 0.8以下 0.08

    ほう素 mg/L 0.1未満 1以下 0.1

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 8-6-18 - - 611 -

    8.6.2 予測及び評価

    (1)予測方法

    1)工事の実施(掘削、盛土等の土工)

    ア 予測事項

    掘削、盛土等の土工に関する予測事項は、表 8.6-12 に示すとおりである。

    表 8.6-12 予測事項(掘削、盛土等の土工)

    予測の対象となる要因 予測事項

    掘削、盛土等の土工

    残土による土壌汚染

    ふっ素及びその化合物

    鉛及びその化合物

    なお、テトラクロロエチレンは、詳細調査結果が土壌溶出量基準及び地下水質

    基準に適合していたことから予測の対象としなかった。

    イ 予測地域

    予測地域は、事業実施区域とした。

    ウ 予測対象時期

    予測対象時期は、工事の実施期間のうち掘削、盛土等の土工により残土が発生

    する時期(平成 31 年度)とした。

    エ 予測方法

    現地調査結果及び事業計画に基づく環境配慮事項を踏まえて、定性的に環境影

    響を予測した。

    2)土地又は工作物の供用(ばい煙の排出)

    ア 予測事項

    ばい煙の排出に関する予測事項は、表 8.6-13 に示すとおりである。

    表 8.6-13 予測事項(ばい煙の排出)

    予測の対象となる要因 予測事項

    ばい煙の排出 ダイオキシン類の土壌への沈着

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 612 - - 8-6-19 -

    イ 予測地域

    予測地域は、「8.1 大気質」における「8.1.2 予測」(p.8-1-58~)で予測され

    た、ばい煙の排出に伴うダイオキシン類の最大着地濃度地点とした。

    ウ 予測対象時期

    予測対象時期は、計画施設の稼働が定常状態となる時期(平成 35 年度)とし

    た。

    エ 予測方法

    予測は、「8.1 大気質」における「8.1.2 予測」の表 8.1-75(p.8-1-126)で予

    測された、ばい煙の排出(ダイオキシン類)の最大着地濃度及び現地調査結果か

    ら、土壌への沈着による影響の程度を予測した。

    (2)予測結果

    1)工事の実施(掘削、盛土等の土工)

    現地調査により、事業実施区域でふっ素及びその化合物(溶出量)並びに鉛及び

    その化合物(含有量)について土壌汚染等対策基準を上回る値が確認されており、

    掘削、盛土等の土工により、土壌汚染の拡散及び地下水の汚染が発生する可能性が

    考えられる。

    工事の実施に当たっては、工事着手前に土地の形質変更部分に対する土壌汚染状

    況調査・詳細調査等を実施し、法令等に基づき必要な汚染土壌の除去等の措置を確

    実に行う。これにより、掘削、盛土等の土工による土壌汚染の拡散の可能性は小さ

    いと予測する。

    2)土地又は工作物の供用(ばい煙の排出)

    「8.1 大気質」における「8.1.2 予測及び評価」の表 8.1-75(p.8-1-126)によれ

    ば、ダイオキシン類の最大着地点の寄与濃度は 0.000271pg-TEQ/m3と予測された。

    この値は、事業実施区域及びその周辺における大気中のダイオキシン類現地調査結

    果(全季の平均値:0.023~0.034pg-TEQ/m3)と比較すると 1%程度で、大気中の濃

    度への寄与は小さいことから、ばい煙の排出による土壌への沈着は小さいと予測す

    る。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 8-6-20 - - 613 -

    (3)評価

    1)評価方法

    ア 環境影響の回避・低減に係る評価

    環境影響が、事業者により実行可能な範囲内でできる限り回避・低減されているか

    どうかについて評価した。

    イ 環境保全に関する基準等との整合性に係る評価

    環境影響の予測結果を踏まえて、環境保全に関する基準等との整合性が図られて

    いるかどうかについて評価した。

    2)環境保全措置

    ア 工事の実施(掘削、盛土等の土工)

    掘削、盛土等の土工において、環境影響を実行可能な範囲でできる限り回避・低

    減するために実施する環境保全措置は、表 8.6-14 に示すとおりである。

    表 8.6-14 環境保全措置(掘削、盛土等の土工)

    環境保全措置 実施

    主体

    効果及び措置に

    よる環境の変化 不確実性の程度

    措置に伴い生ずる

    おそれのある影響

    工事用資材等運搬車両が退出

    する際は、構内でタイヤに付着

    した土砂を十分除去した上で

    退出する。

    事業者 土壌汚染の拡散防

    止が期待できる。 小さいと考える。 特になし。

    建設発生土は放置せず、防じん

    シート、防じんネット等で養生

    するなど、粉じんの発生・飛散

    等を抑制する。

    事業者 土壌汚染の拡散防

    止が期待できる。 小さいと考える。 特になし。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 614 - - 8-6-21 -

    イ 土地又は工作物の供用(ばい煙の排出)

    ばい煙の排出において、環境影響を実行可能な範囲でできる限り回避・低減する

    ために実施する環境保全措置は、表 8.6-15 に示すとおりである。

    表 8.6-15 環境保全措置(ばい煙の排出)

    環境保全措置 実施

    主体

    効果及び措置に

    よる環境の変化 不確実性の程度

    措置に伴い生ずる

    おそれのある影響

    計画施設からの排出ガスは、大

    気汚染防止法等で規制されて

    いる排出基準を踏まえた自主

    規制値を設定し遵守する。

    事業者

    大気質への影響が

    低減されることに

    より、土壌環境への

    影響の低減も期待

    できる。

    小さいと考える。 特になし。

    燃焼施設並びに、排出ガス処理

    施設の適正な運転管理を行う。 事業者

    大気質への影響が

    低減されることに

    より、土壌環境への

    影響の低減も期待

    できる。

    小さいと考える。 特になし。

    各設備は、定期点検を実施し、

    常に正常な運転を行うよう維

    持管理を徹底する。

    事業者

    大気質への影響が

    低減されることに

    より、土壌環境への

    影響の低減も期待

    できる。

    小さいと考える。 特になし。

    3)評価結果

    ア 工事の実施(掘削、盛土等の土工)

    (ア)環境影響の回避・低減に係る評価

    予測結果によれば、掘削、盛土等の土工に伴う地盤・土壌への環境影響の可能性

    が想定されるため、工事着手前に土壌汚染の有無を確認し、前掲表 8.6-14(p.8-6-20)

    に示す環境保全措置を実施することから、地盤・土壌に係る環境影響が事業者の実

    行可能な範囲内でできる限り回避・低減が図られるものと評価する。

    (イ)環境保全に関する基準等との整合性に係る評価

    現地調査により、事業実施区域でふっ素及びその化合物(溶出量)並びに鉛及び

    その化合物(含有量)について土壌汚染等対策基準を上回る値が確認されている。

    このため、工事の実施に当たっては、工事着手前に土地の形質変更部分に対する土

    壌汚染状況調査・詳細調査等を実施し、法令等に基づき必要な汚染土壌の除去等の

    措置を確実に行うことから、土壌汚染に係る基準との整合は図られるものと評価す

    る。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.6 地盤・土壌

    - 8-6-22 - - 615 -

    イ 土地又は工作物の供用(ばい煙の排出)

    (ア)環境影響の回避・低減に係る評価

    予測結果によれば、ばい煙の排出に伴う土壌への沈着による環境影響は小さいと

    予測する。また、前掲表 8.6-15(p.8-6-21)に示す環境保全措置を実施することか

    ら、地盤・土壌に係る環境影響が事業者の実行可能な範囲内でできる限り回避・低

    減が図られるものと評価する。

    (イ)環境保全に関する基準等との整合性に係る評価

    ばい煙の排出に伴うダイオキシン類の大気中の濃度への寄与は小さいものと考え

    られ、ダイオキシン類対策特別措置法に係る基準との整合が図られているものと評

    価する。

    なお、ふっ素及びその化合物については、地下水質のモニタリングを継続し、環境

    基準を超過した場合又は著しい値の変化が確認された場合は、直ちに関係機関に報告

    し、新たな措置を検討する。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.7 地下水の状況及び地下水質

    - 616 - - 8-7-1 -

    8.7 地下水の状況及び地下水質

    8.7.1 調査

    (1)調査方法

    1)調査項目

    地下水の状況及び地下水質の調査項目は、表 8.7-1 に示すとおりである。

    表 8.7-1 地下水の状況及び地下水質の調査項目

    調査項目 文献その他

    の資料調査 現地調査

    地形、地質及び地盤の状況 ○ ○

    地下水位及び地下水質の状況

    ○ ○

    ・地下水位

    ・地下水質

    (地下水の水質汚濁に係る環境基準項目)

    カドミウム、全シアン、鉛、六価クロム、砒素、総水銀、

    アルキル水銀、PCB、ジクロロメタン、四塩化炭素、

    クロロエチレン[別名塩化ビニル又は塩化ビニルモノマー]、

    1,2-ジクロロエタン、

    1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、

    1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、

    トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、

    1,3-ジクロロプロペン、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、

    ベンゼン、セレン、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ふっ素、

    ほう素、1,4-ジオキサン

    (ダイオキシン類による地下水の汚染に係る環境基準)

    ダイオキシン類

    (その他)

    塩分

    地下水の利用状況 ○ -

    2)調査地域

    調査地域は、事業実施区域及びその周辺とした。

    3)調査方法

    ア 地形、地質及び地盤の状況

    (ア)文献その他の資料調査

    地形、地質及び地盤の状況について、「地形分類図(半田)(1/25,000)」(昭和 53

    年、愛知県)、「地形分類図(師崎・蒲郡)(1/25,000)」(昭和 63 年、愛知県)、「表

    層地質図(半田) (1/25,000)」(昭和 53 年、愛知県)、「表層地質図(師崎・蒲郡)

    (1/25,000)」(昭和 63 年、愛知県)及び「愛知県活断層アトラス」(平成 9 年、愛

    知県)を基に、当該情報を整理・解析した。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.7 地下水の状況及び地下水質

    - 8-7-2 - - 617 -

    (イ)現地調査

    a 調査期間

    地形、地質及び地盤の状況の現地調査期間は、表 8.7-2 に示すとおりである。

    表 8.7-2 地形、地質及び地盤の状況の現地調査期間

    調査項目 調査期間

    地形、地質及び地盤の状況

    (地盤の状況)

    平成 28 年 1 月 6 日(水)~ 1 月 25 日(月)

    平成 28 年 6 月 27 日(月)~ 7 月 7 日(木)

    b 調査地点

    調査地点は、図 8.7-1 に示す 8 地点とした。

    c 調査方法

    地形、地質及び地盤の状況の調査方法は、表 8.7-3 に示すとおりである。

    表 8.7-3 地形、地質及び地盤の状況の調査方法

    調査項目 調査方法

    地形、地質及び地盤の状況

    (地盤の状況)

    土壌地下水汚染調査機(ECO-3V 型)及びボーリング機械

    による地盤試料の採取、及び採取試料の観察

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.7 地下水の状況及び地下水質

    - 618 - - 8-7-3 -

    図 8.7-1 地下水の状況及び地下水質の調査地点

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.7 地下水の状況及び地下水質

    - 8-7-4 - - 619 -

    イ 地下水位及び地下水質の状況

    (ア)文献その他の資料調査

    地下水質の状況について、平成 23 年度~平成 27 年度の過去 5 年間における愛

    知県の地下水質の調査結果を収集・整理した。

    (イ)現地調査

    a 調査期間

    地下水位及び地下水質の状況の現地調査期間は、表 8.7-4 に示すとおりである。

    表 8.7-4 地下水位及び地下水質の状況の現地調査期間

    調査項目 調査期間

    地下水位及び

    地下水質の状況

    地下水位

    春季 平成 28 年 5 月 1 日(日)~31 日(火)

    夏季 平成 28 年 7 月 1 日(金)~31 日(日)

    秋季 平成 28 年 11 月 1 日(火)~30 日(水)

    冬季 平成 28 年 12 月 1 日(木)~31 日(土)

    地下水質

    冬季 平成 28 年 2 月 24 日(水)

    春季 平成 28 年 5 月 21 日(土)

    夏季 平成 28 年 7 月 7 日(木)

    秋季 平成 28 年 11 月 9 日(水)、14 日(月)

    四季

    以外

    平成 28 年 8 月 31 日(水)

    平成 29 年 2 月 27 日(月)

    平成 29 年 5 月 22 日(月)

    b 調査地点

    調査地点は、図 8.7-1 に示すとおりである。事業実施区域内の表層付近(p.8-7-

    6 に後述する盛土、浚渫土層)に賦存する最も浅い深度の地下水を対象とした観測

    孔を 5 か所(№1~№5)に設置した。

    地下水位は、№1~№5 の 5 地点、地下水質は№1 の 1 地点で実施した。なお、

    地下水質のうちふっ素及びダイオキシン類については、№1~№5 の 5 地点で実施

    した。

  • 第8章 環境影響の調査、予測及び評価

    8.7 地下水の状況及び地下水質

    - 620 - - 8-7-5 -

    c 調査方法

    地下水位及び地下水質の調査方法は、表 8.7-5 に示すとおりである。

    表 8.7-5 地下水の調査方法

    調査項目 調査方法

    地下水位及び

    地下水質の状況

    地下水位 自記水位計による 1 時間毎の連続観測による方法

    地下水質

    「地下水の水質汚濁に係る環境基準について」(平成 9 年環

    境庁告示第 10 号)、「ダイオキシン類による大気の汚染、水

    質の汚濁(水底の底質の汚染を含む。)及び土壌の汚染に係

    る環境基準」(平成 11 年環境庁告示第 68 号)に基づく方法

    ウ 地下水の利用状況

    (ア)文献その他の資料調査

    地下水の利用状況(井戸の利用等の状況)についての情報の収集を収集・整理

    した。

    (2)調査結果

    1)地形、地質及び地盤の状況

    ア 文献その他の資料調査

    地形、地質の状況の調査結果は、「3.1.6 地形及び地質の状況」(p.3-32~)に示

    すとおりである。また、地盤