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8.2 ねじ部品 5/28 - 1.六角ボルト・ナット 六角ボルト 六角ナット ねじ用語 JIS B 0101:2013

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8.2 ねじ部品 5/28 - ①

1.六角ボルト・ナット 六角ボルト 六角ナット ねじ用語 JIS B 0101:2013

8.2 ねじ部品 5/28 - ②

1.六角ボルト・ナット s:ボルトの二面幅 s:ナットの二面幅 d:おねじの外径(呼び径) d:めねじの谷の径(呼び径) b:ねじ部 m:ナットの高さ l :呼び長さ

8.2 ねじ部品 5/28 - ③

1.六角ボルト・ナット (1)通しボルト 2つ以上の部品(例えばA、B)に穴をあけ、 ボルトを通してナットで締め付ける (2)押さえボルト(ねじ込み) 部品の一方Bにめねじを加工して、 他の部品Aには穴をあける ボルトはAからBに向かって通して 締め付ける (3)植込みボルト 植込みボルトは両端にねじが加工してある ボルトの一端は部品Bのめねじに半永久的に ねじ込み、もう一端は部品Aナットで 締め付ける

部品A (穴)

部品B (穴)

部品A (穴)

部品B (めねじ)

部品A (穴)

部品B (めねじ)

8.2 ねじ部品 5/28 - ④

2.新六角ボルト (1)六角ボルトの種類 (a)呼び径六角ボルト 円筒部径と呼び径とがほぼ等しいもの (b)有効径六角ボルト 円筒部径が有効径にほぼ等しいもの (c)全ねじ六角ボルト 円筒部がなくボルトの軸部がすべてねじ部のもの

ねじの呼び径 円筒部径 =

M10 10mm =

ねじの呼び径 円筒部径 <

M10 9.026mm <

ねじの呼び径 円筒部なし

M10 なし

有効径 円筒部径

8.2 ねじ部品 5/28 - ⑤

2.新六角ボルト (2)六角ボルトの部品等級 部品等級A B C 表面性状(粗さ)6.3a 12.5a (3)六角ボルトの強度区分 強度区分 3.6 5.6 8.8 4.6 5.8 9.8 4.8 6.8 10.9 A2-70 A4-70 A2-50 A4-50 (4)六角ボルトの形状および寸法

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3.新六角ナット (1)六角ナットの種類 (a)六角ナット ナットの呼び高さmが0.8d以上のもの m≧0.8d ひく (b)六角低ナット ナットの呼び高さmが0.8d未満のもの m<0.8d

d

m

m

8.2 ねじ部品 6/ 4 - ①

3.新六角ナット (2)六角ナットの形式による分類 (a)六角ナット -スタイル1、 -スタイル2、 -スタイルC (b)六角低ナット スタイル区分なし、面取りの有無による区分 (3)六角ナットの部品等級 部品等級A B C (4)六角ナットの強度区分 強度区分 4 5 6 8 9 10 12 (5)六角ナットの形状および寸法

8.2 ねじ部品 6/ 4 - ②

4.ボルトの保証荷重(並目ねじ)JIS B 1051

8.2 ねじ部品 6/ 4 - ③

5.ナットの強度区分およびそれと組合わせるボルトJIS B 1052

強度区分

材     質

3.6 普通鋼、炭素鋼、SWCH(冷間圧造用炭素鋼)など

4.6 普通鋼、炭素鋼、SS400、S20C

4.8 炭素鋼、普通鋼SS400相当、SWRCH6R、SWRCH材

5.6 炭素鋼、S45C、S25Cなど

5.8 炭素鋼

6.8 炭素鋼、S45C、SCM432

8.8炭素鋼(ただし焼入れ焼戻しや合金元素で強化)S45C、熱処理で強化したSWRCH38Kなど

9.8SNB7(高温用合金鋼)、SCM435、炭素鋼(ただし焼入れ焼戻しや合金元素添加で強化)

10.9 合金鋼、SCM435、SCM440

12.9 合金鋼、SCM435

8.2 ねじ部品 6/ 4 - ④

5.ナットの強度区分およびそれと組合わせるボルトJIS B 1052

8.2 ねじ部品 6/ 4 - ⑤

※1鋼の特性と強度区分

ねじ部品の材料には、鋼、ステ

ンレス鋼、合金鋼、非鉄金属、プ

ラスチックなどが用いられる。材

料に引張荷重を不え、荷重による

伸びをグラフに表すと、右図のよ

うな荷重-伸び線図になる。ねじ

部品に多く用いられる鋼には軟鋼

と硬鋼とがあり、両者には降伏点

の現れ方に特徴がある。

荷重-伸び(応力-ひずみ)線図

8.2 ねじ部品 6/ 4 - ⑥

※1鋼の特性と強度区分

A点を上降伏点と言い、一般に降

伏点と呼ぶ。AA‘は曲線となるた

めフックの法則に従わないが、荷

重を徐荷した場合には永久ひずみ

は残らない。よって、A点より右側

が塑性変形となる。D点の最大荷重

点を単に引張強さと言う。

A=320N

D=400N のとき

A/D=320/400=0.8となり、

この材料の強度区分を4.8と称する。

軟鋼(延性(えんせい)材料)の場合

A D

400N

320N

8.2 ねじ部品 6/ 4 - ⑦

※1鋼の特性と強度区分

右図のように明瞭な降伏点を示

さない材料の場合は、 一定の永久

ひずみ(通常は0.2%の永久ひず

み)を生じる 公称応力σ0.2をオフ

セット法により求め、 降伏応力と

みなし、これを耐力と呼ぶ。

硬鋼(脆性(ぜいせい)材料)の場合

P:比例限荷重 E:弾性限荷重 B:最大荷重 F:破断荷重 σ0.2:0.2%耐力

σ0.2

荷重(応力)

伸び(ひずみ)→

※2 強度区分4.8とは

一の位の4は引張強さを100で割った値を示す。4の場合の引張強さは

400N/mm2である。小数点第一位の8は降伏点あるいは耐力を引張強さで

割った値である。よって、4.8の降伏点は、400×0.8=320N/mm2

8.2 ねじ部品 6/ 4 - ⑧

※3 ステンレス鋼ねじの強度区分

ステンレス鋼は鉄に12%以上のクロムと他元素(ニッケル・モリブデン・チタ

ン等)を添加し、耐食性・耐熱性を向上させた合金鋼である。

一般には大気中で自己丌動態被膜を形成し錆びにくい。金属組織により、オース

テナイト系・フェライト系・マルテンサイト系の3種類に大別される。また添加

元素の配合により数多くの種類があり、耐食・加工・磁性等それぞれの特性が強

化される。そのため、使用環境・用途・加工法に適した特性のステンレス鋼を幅

広く選択することができる(http://www.yura-sansyo.co.jp/knowledge/)。

8.2 ねじ部品 6/ 11 - ①

6.植込みボルト 7.その他のねじ部品 (1)四角ボルト、ナット (2)止めねじ (3)小ねじ (4)木ねじ、タッピンねじ (5)特殊な形のボルト、ナット ①六角穴付ボルト ②アイボルト ③ちょうボルト、ナット ④みぞ付き六角ナット ⑤Tみぞボルトナット ⑥座金組込み六角ボルト ⑦フランジ付六角ボルト、ナット ⑧基礎ボルト ⑨丸ナット 8.締結用部品の公差 9.スパナ、ねじ回し 10.座金 11.ねじのゆるみ止め

(1)

(2)

(3)

(4)

10

8.2 ねじ部品 6/ 11 - ②

12.ねじの大きさの計算

(1)引張り力(引張荷重)によるねじの強度計算

(2)せん断力(せん断荷重)によるねじの強度計算

(3)ねじ山の数(ねじ山のせん断荷重又は面圧)の強度計算

(4)引張りとねじり(複合荷重)によるねじの強度計算

(5)ねじ部品の疲れ強度(硬鋼の場合、強度区分8.8以上)

(6)固定用、漏れ止め用ボルト?

(1)

(4) (3) (2)

8.2 ねじ部品 6/ 11 - ③

12.ねじの大きさの計算

(1)引張り力(引張荷重)による計算

一般的に引張りまたは圧縮力で発生する応力σ

は、ボルトに働く荷重Fをそのボルトの断面積

Aで除算したものになる。

応力𝜎=ボルトに働く荷重𝐹

ボルトの断面積𝐴

𝐴 =𝜋𝑑2

4

𝐴 =𝐹

𝜎

ボルトの断面積AをJIS規格では

ねじの有効断面積と呼び、

A= 𝐴𝑠, 𝑛𝑜𝑚で表す。 𝑛𝑜𝑚 : 𝑛𝑜𝑚𝑖𝑛𝑎𝑙 名目的なという意味

8.2 ねじ部品 6/ 11 - ④

12.ねじの大きさの計算

(1)引張り力(引張荷重)による計算

8.2 ねじ部品 6/ 11 - ⑤

12.ねじの大きさの計算

(1)引張り力(引張荷重)による計算

※ 便覧8-37 8・41表参照 おねじ部品の保証荷重(有効断面積)

※ AsとAeとは

As:Stress Area (JIS B 1082)

Ae:Effective Sectional Area(有効断面積)(機械用語辞典S47.9)

8.2 ねじ部品 6/ 11 - ⑥

12.ねじの大きさの計算

(1)引張り力(引張荷重)による計算

①ねじの有効断面積

ねじの有効断面積 (𝐴𝑠, 𝑛𝑜𝑚) の計算式

は、JIS B 1082 「ねじの有効断面積及

び座面の負荷面積」に規定されている。

𝐴𝑠, 𝑛𝑜𝑚 =𝜋

4

𝑑2 + 𝑑3

2

2

𝐴𝑠, 𝑛𝑜𝑚 = 0.7854(𝑑 − 0.9382𝑃)2

𝐴𝑠, 𝑛𝑜𝑚 :メートルねじの有効断面積

(mm2)

π:3.1416

𝑑 :おねじの外径(mm)

𝑑1 :おねじの谷の径(mm)

𝑑2 :おねじの有効径(mm)

𝑑3 : 𝑑1

- 𝐻/6 (mm)

𝑃 :ねじのピッチ(mm)

𝑛𝑜𝑚 : 𝑛𝑜𝑚𝑖𝑛𝑎𝑙 名目的なという意味

𝐴𝑠

8.2 ねじ部品 6/ 11 - ⑦

軟鋼 硬鋼(合金鋼)

機械的性質12.9の0.2%耐力RP0.2は最小引張強さ1220×0.9≒1100N/mm2となる 機械的性質4.8の下降伏点ReLは最小引張強さ420×0.8≒336(340)N/mm2となる

(JIS B 1051)

8.2 ねじ部品 6/ 11 - ⑧

12.ねじの大きさの計算

(1)引張り力(引張荷重)による計算

②計算例(その1)

1本の六角ボルトでF=200kgfの引張荷重を繰返し(片振り、

鋼の安全率S=5)受けるのに適正なサイズを求める。

六角ボルトの材質はSS400、硬さHRB71、強度区分4.8と

する。

荷重FをSI単位に変換すると、重力加速度g=9.8m/s2

として、F=200×9.8≒1960N

降伏点ReL =340N/mm2、安全率S=5とし、

許容引張応力σt = ReL/S=340/5 =68N/mm2

断面積A=F/ σt =1960/68≒28.8mm2

A=𝐴𝑠, 𝑛𝑜𝑚≒28.8mm2以上のボルト、M8を使用する。

(M7も該当するが優先順位2となるため、一般的なM8を使用)

8.2 ねじ部品 6/ 11 - ⑨

12.ねじの大きさの計算

(1)引張り力(引張荷重)による計算例

②計算例(その1)続き

28.8mm2

優先順位2⇒ 優先順位1⇒

8.2 ねじ部品 6/ 11 - ⑩

8.2 ねじ部品 6/ 11 - ⑪

12.ねじの大きさの計算

(1)引張り力(引張荷重)による計算

③安全率について

荷重の種類とアンウィンの安全率S(便覧4-5、4・3表)

静荷重(死荷重) a Ⅰ 静荷重

片振り(繰り返し) b Ⅱ 動荷重

両振り(交番) b Ⅱ 動荷重

衝撃荷重(衝撃) c Ⅲ 動荷重