経済的寄与度を重視した橋梁管理手法の有効性に関するマルチエージェントシミュレーションによる分析...

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経経経経経経経経経経経 経経経経経経経経経経経経経経 経経経経経経経経経経経経経経経経経経経経経経 Yusuke Fukasawa The University of Tokyo 2016/11/10

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経済的寄与度を重視した橋梁管理計画の有効性に関するマルチエージェントシミュレーションによる分析Yusuke Fukasawa

The University of Tokyo2016/11/10

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研究の背景 本研究における仮説と目的 モデルの概要 実験結果・考察 結論

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Agenda

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研究の背景 本研究における仮説と目的 モデルの概要 実験結果・考察 今後の展望

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橋の老朽化と修繕予算の減少研究の背景

出典:国土交通省 橋梁の老朽化の現状 (H25)

寿命とされる 50 年が経過する橋梁の数は 今後 10 年間で 18% から 43% に増加する 修繕予算である道路事業費の減少が見込まれている

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研究の背景本研究における仮説と目的 モデルの概要 実験結果・考察 結論

Page 6: 経済的寄与度を重視した橋梁管理手法の有効性に関するマルチエージェントシミュレーションによる分析

経済価値を考慮したメンテナンス手法の提案本研究における仮説と目的

事後保全 予防保全

経済価値を考慮したメンテナンス

Life

Cyc

le C

ostSmall

Repair

Large Repair

Small Repair

Small Repair

Large Repair

Stre

ngth

先行研究予防保全によってライフサイクルコスト(LCC) を低減

橋の経済価値を考慮するメンテナンス手法を提案

いずれも橋の健全性のみ考慮+ 全て修繕が前提

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本研究の目的 本研究における仮説と目的

人々の効用を最大化耐久値によって橋梁の修繕を決定

耐久値と経済価値を併せて優先順位を考慮して橋梁の修繕を決定両メンテナンス手法の

ベストパフォーマンスを比較パラメータを変化させて

効用に関する応答曲面を描く

今回提案した手法についてマルチエージェントシミュレーションによる検討を行

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研究の背景 本研究における仮説と目的モデルの概要 実験結果・考察 結論

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道路ネットワークモデル本研究では仮想道路ネットワークモデルをベースとしたモデルを例として用いた

モデルの概要

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モデルを構成するエージェントモデルの概要

住民エージェント

各種経済活動を行う• 労働により所得を得る• 消費を楽しむ• 余暇を楽しむ

政府エージェント

この地域を統治する• 所得税の徴税• 橋梁のメンテナンス

橋梁

• 耐久値• 経済価値

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人々エージェントの行動 モデルの概要

消費と余暇

所得平日は決まったオフィスに向かって所得を獲得する

休日はランダムに商業地を選んで、余暇活動と消費活動を行う

勤労・商業エリア 住居エリア

全エージェントが帰ってきたら、一日が終了する

一日のはじめに各エージェントは一斉に自宅を出る

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住民エージェントの能力 モデルの概要

Parameters 平均 標準偏差( 一様乱数 )

所得 : W (Yen) 14581 500-1500

消費 : C (Yen) 9360 500-1500

余暇時間 : L (min) 300 50-150

Source: Ministry of Statistics Japan

AgentI-th

Earn

Consume

Leisure

Wi

Ci

Li

シミュレーション開始時に正規分布乱数で割り当てられる

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住民エージェントの効用 モデルの概要

あるエージェントの効用は次式を用いて定義する

as introduced by De Serpa(1971)

𝑈=( 𝐶𝑂𝐴𝑣𝐶𝑂 )

𝑝+( 𝐿𝐸

𝐴𝑣 𝐿𝐸 )𝑞−( 𝑀𝑂

𝐴𝑣𝑀𝑂 )𝑟

あるエージェントの 30 日間の消費額 あるエージェントの 30 日間の余暇時間 あるエージェントの 30 日間の移動時間…30 日間の平均消費額 ( 円 )…30 日間の平均余暇時間 ( 分 )…30 日間の平均移動時間 (step)

パラメータ 値153435

4557

30000

p,q,r 1/3 効用は 30 日間ごとに計算される

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モデルを構成するエージェントモデルの概要

住民エージェント

各種経済活動を行う• 労働により所得を得る• 消費を楽しむ• 余暇を楽しむ

政府エージェント

この地域を統治する• 所得税の徴税• 橋梁のメンテナンス

橋梁

• 耐久値• 経済価値

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橋の耐久値と経済価値 モデルの概要

0 5000000 10000000 15000000 200000000.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

橋の耐久値

0.01(廃棄基準値 )

橋 x の耐久値橋 x の内部蓄積ダメージ 蓄積経年時間 ( ステップ数 )

橋の経済価値は、その橋を通った 人々の経済能力の合計として定義する

橋 x の経済価値… エージェント i の所得額… エージェント i の 消費額

 

一年間ごとの値として計算… 橋 x の通過人数… 正規化パラメータ

橋の耐久値は経年変化に基づく ロジスティック曲線で低下する

交通量劣化を経年劣化に足しわせて劣化評価

平日 休日

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モデルを構成するエージェントモデルの概要

住民エージェント

各種経済活動を行う• 労働により所得を得る• 消費を楽しむ• 余暇を楽しむ

政府エージェント

この地域を統治する• 所得税の徴税• 橋梁のメンテナンス

橋梁

• 耐久値• 経済価値

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政府エージェントの行動 モデルの概要

所得税の徴税修繕

修繕延期

政府

タイプごとに異なる条件で橋の修繕・修繕延期を選択する

年間所得に応じて所得税を徴税する

政府は1 年ごとに行動する

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耐久値ベースメンテナンス モデルの概要

Sx が低い橋梁から順に修繕を行う予算が続くまで直し続ける

修繕候補リスト橋梁 x の耐久値 : Sx < Strength threshold

0

1

Strength threshold(0.2-0.8)

Series1

00.10.20.30.40.50.60.70.80.9Sx Budget Limitation

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耐久値 + 経済価値ベースメンテナンスモデルの概要

0

1

Strength threshold

Series1

0

20

40

60

80

100

120

𝐸 𝐴𝑉

𝐸 𝑙𝑖𝑚𝑖𝑡=𝐸 𝐴𝑣∗𝑬𝒕𝒉

𝐸 𝐴𝑉=1𝑁 𝑏

∑𝑖

𝑁𝑏

𝐸 𝑖

(0-1)

橋梁 x の経済価値 : Ex < Demand limitならば修繕候補からその橋梁を除外

Ex が高い橋梁から順に修繕する𝐸 𝑙𝑖𝑚𝑖𝑡

修繕候補リスト橋梁 x の耐久値 : Sx < Strength threshold

予算が続くまで直し続ける

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研究の背景 本研究における仮説と目的 モデルの概要実験結果・考察 結論

Page 21: 経済的寄与度を重視した橋梁管理手法の有効性に関するマルチエージェントシミュレーションによる分析

中心複合計画を用いた応答曲面実験結果・考察

初期予算

効用

初期予算

効用政府初期予算 10-50億Strength Threshold 0.2-0.8

Economic Threshold 0-1

Strength Threshold

Economic Threshold

効用

Strength Threshold初期予算

耐久値ベース

経済的価値ベース

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耐久値ベースの結果 実験結果・考察

耐久値の低下が小さい内に補修する方が、効用が高くなった ライフサイクルコスト最小化管理計画の有効性が示された

0.2 0.4 0.6 0.8 1.1

1.2

1.3

1.4

1.5

Strength base _x000d_Initial budget(10)

Strength base _x000d_Initial budget(50)

Strength Threshold

Util

ity

予防保全事後保全橋の耐久値が非常に低くなったら補修 橋の耐久値が少し低くなったら補修

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経済価値ベースの結果 実験結果・考察

Economic Threshold は 0.5付近で最も効果が高くなる 即ち、修繕候補の中で経済価値が低めの橋のみ除外 

する設定が最も有効的だということが示された

初期予算

EconomicThreshold

Economic ThresholdStrength Threshold

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経済価値考慮修繕の優位性実験結果・考察

耐久値のみで補修するより、経済的価値を考慮した 補修の方が社会全体の効用が大きい結果となった

0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1.1

1.2

1.3

1.4

1.5

Strength + Value base _x000d_Initial budget(10)Strength + Value base _x000d_Initial budget(50)Strength base _x000d_Initial budget(10)

Strength limit

Util

ity

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研究の背景 本研究における仮説と目的 モデルの概要 実験結果・考察結論

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結論橋梁の健全性と経済価値を組み合わせた管理手法を提案し、道路ネットワークモデル上で行うマルチエージェントシミュレーションでその効果を検証したパラメータを変化させて、住民エージェントの効用の平均を反応変数とした応答曲面を描き、最適点を分析した得られた結果として、どの管理手法でも、事後保全よりも予防保全を行う方が高い社会的効果を得ることを検証できたまた、今回提案した経済価値を考慮する管理手法は既存の橋梁の健全性のみを重視する手法よりも高い効果が得られた

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今後の展望 今後の展望

経済価値についての、詳細な分析• 経路選択ゲームによるメカニズムの分析

マルチエージェントシミュレーションモデルについて見直しを行い、再実験を行う• サイズとプロポーションの修正 ( 橋梁と住民の比率・政府予算など )

• 橋の修繕に時間を発生させる 人間同士のインタラクションによって得られる結果にどのような差があるのかを経済実験で測る