ゴール指向要求分析における構成要素に着目した分解に関する一考察

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ゴール指向要求分析における構成要素に着目した分解に関する一考察

筑波大学大学院 ビジネス科学研究科岡野 道太郎1

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はじめに• システム開発上、顧客が「開発するシステムのあるべき姿」を定めることは重要である。• ゴール指向要求分析は「あるべき姿」を示したトップゴールを分解し、開発可能な要求を導く• 要求: Lamsweerde[1] の System Requirement– 「ソフトウェア」や「他のシステムコンポーネントと協調して」 (cooperation) 実現される規範的な

(prescriptive) 文– 本研究ではコンポーネント=構成要素とする

[1] Axel van Lamsweerde,Requirements Engineering: From System Goals to UML Models to Software Specifications,Wiley,2009(18p) 2

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信号機のゴール分解(1)コンポーネント(青・赤)

コンポーネント間の協調・連携

1.コンポーネントに分解する(赤、青)2.分割されたコンポーネント(赤)から見て、他のコンポーネント(青)と共に行なう  こと(協調)も挙げる

要素分解

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信号機のゴール分解(2)• 信号機に「制御システム」というコンポーネント

• 制御システムに CPU は必須ではない– 現在は CPU→ 以前はリレーとタイマー:時代の変化– 時代の変化に影響されにくいコンポーネントの分解方法は?→リサーチクエスチョン

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時代の変化に影響されにくいコンポーネントの分割方法• 「あるべき姿」からシステムが満たすべき要求を、時代の変化に影響されにくく挙げる方法– 信号機の場合、道路交通法の目的「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資する」から、信号機の要求が導き出せることになっている– 道路交通法は、昭和35年から今まで続いている

• 道路交通法が時代の変化に影響されにくいコンポーネントの作り方に参考になるかも知れない

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道路交通法等における信号機の定義• あるべき姿:「道路交通法」1条 目的• 信号機の定義:「道路交通法」• 信号機の意味:「道路交通法施行令」– 第一条の二  設置、管理しなければならない– 第二条 信号の意味等

• 信号の種類:青色の灯火など• 信号の意味:歩行者は進行することができるなど

– 第三条 信号の灯火の配列• 配置(赤、黄、青の順)• 2 信号の順序(青、黄、赤など)• 3 信号機の構造、性能その他必要な事項は内閣府令で

道路交通法で「意味は政令で」と指定

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法律での「あるべき姿」の示し方• 道路交通法施行令の手法– 「種類」分けて、種類ごとに定義する– 「種類」間の関係を述べる

• 配置(空間的)、順番(時間的)– 構造等、細かいことは、委譲する

• 内閣府令• Lamsweerde の「要求」と同じ– 参考になるかも知れない

• この先、法律はどうなっているのか?– 内閣府令=道路交通法施行規則

定義に使う言葉は、「道路交通法」等でも定義→ 環境(文脈)

「種類」がコンポーネント

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信号機の構造• 道路交通法施行規則 (信号機の構造等)

– 第四条  信号機の構造及び燈器の高さの基準は、別表第一のとおりとする。– 2  青色の灯火の矢印及び黄色の灯火の矢印の種類及び形状は、別表第一の二のとおりとする。– 3  信号機の燈器の性能は、次の各号に定めるとおりとする。

• 一  燈火は、高速自動車国道及び自動車専用道路においては二百メートル、その他の道路においては百五十メートル前方から識別できる光度を有すること。• 二  燈火の光の発散角度は、左方、右方及び下方に、それぞれ四十五度以上のものであること。• 三  太陽の光線その他周囲の光線によつて紛らわしい表示を生じやすいものでないこと。

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信号機の構造

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法律での「あるべき姿」の示し方 2• 別表でも「縦型」「横型」と分け、最終的に1つの「種類」になったところで、図示している

– 「種類」に「分類」していき、最終的に1つの「種類」になったところで、図示している• 「種類」の順番

– 信号の構造→信号の燈器→燈器の矢印• 大分類→小分類

• なぜ、青と赤の信号から始めたのか?– 信号機の定義:電気により操作され、かつ、道路の交通に関し、灯火により交通整理等のための信号を表示する装置をいう

• 電気により操作される装置(上位・大分類)のうち「信号を表示する」• 「大分類」+「固有の部分」に「分類」する

– CPU :「電気により操作される装置」で議論される10

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本研究での提案手法• コンポーネントを分解するときに、– コンポーネントの要素全てを挙げるのでなく– そのコンポーネントの上位概念+上位概念と異なる部分(特徴)を挙げる(オブジェクト指向の継承)

• 信号機→電気制御装置+青信号+赤信号• コンポーネントの「協調」は上位概念と特徴との協調、及び特徴間の協調のみ挙げる– 上位概念を構成するコンポーネント間の協調は、その上位概念内で議論するはず

• CPU か、リレーかの議論は「電気制御装置」で行われる11

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例1:美味しいぺペロンチーノある事例: • 提案手法

– 「ぺペロンチーノ」を「パスタ」と「ぺペロンチーノ」の特徴に分解• 「パスタ」と比較し、「ぺペロンチーノ」の特徴を挙げる

– 特徴と上位概念・特徴間の協調を述べる• 麺の固さ等はパスタの中で議論

ぺペロンチーノの構造はわかるが、美味しいぺペロンチーノには何が欠けてはいけないのかが(要求仕様)は不明 →テストの要求仕様としては不十分Wikipediaで検索

Googleで検索12

上位概念 特徴

協調

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例2:信号機• コンポーネント+協調(空間的・時間的)• コンポーネントは上位概念+特徴だけでない– 青赤

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まとめ• ゴール指向要求分析はゴールを分解して、「あるべき姿」から開発可能な要求を導く• 要求:コンポーネント+コンポーネント間の協調

– 全てのコンポーネントを挙げると時代の変化に対応できない部分がでてくる• 出来るだけ時代の変化にも対応できるようなコンポーネントの挙げ方について研究した

– コンポーネントを分解するときに、コンポーネントの上位概念+上位概念と異なる部分(特徴)を挙げる方法もある– コンポーネントの「協調」は上位概念と特徴との協調(連携)、及び特徴間の協調(連携)のみ挙げる

• 時代の変化はどこに書く?14

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D-CASEとの関係• 前提(文脈)に環境を記述できるので、時代の変化を環境の変化として示せる

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技術の変化: ICT 発展交通量変化

制御装置と信号にわけることにより、影響を受ける範囲を限定

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デザイン思考等との関係• 上位概念+特徴で示すのであれば、(トップダウンによる分解でなく)ボトムアップで要求を挙げ、集約することも可能ではないか?

• 細々した要求をブレインストーミングで出す• 出てきた要求を親和図法でグループにまとめる• グループ間の相互作用を考え出す(強制連想法)

– →デザイン思考の手法• 要求間の矛盾の確認:ストーリーテリング(シナリオ)

– 機械学習、AIによる支援の可能性• 上位概念の抽出: wikipedia,検索(例1)→AIでも可能?• ペルソナとしての対話型BOT

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