衛星画像とセンサスデータを用いたQOLのマッピング
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衛星画像とセンサスデータを用いたQOLのマッピング
筑波大学生命環境系松下文経
2011年10月13日
QOL とは?• Quality of Life (QOL)
• 生活の質・人生の質・生命の質を指す。
• 医療福祉・都市計画・地理学・社会学・経済学・心理学・政治学・市場管理
• QOL の「幸福」とは? 身心の健康、良好な人間関係、やりがいのある仕事、快適な住環境、十分な教育、レクリエーション活動、レジャーなど
先行研究:アメリカ・インディアナポリス市の QOL マッピング( Li and
Weng, 2007)
環境指標(植生被覆率・不浸透面面積 ISA・地表面温度:衛星データ)社会経済指標(人口密度・住宅密度・教育レベル・収入・失業率など: センサスデータ
解析の流れ
主成分分析の結果
経済指標 環境指標 人口密度指標
アメリカ・インディアナポリス市 QOL 指標の空間分布
×0.4067 + ×0.2469
×0.2156 =-
+
Factor 1 Factor 2
Factor 3 QOL
本研究の目的
• 先行研究の手法を用いて日本におけるQOLを算出、地図化する。
• 先行研究と比較し、日本とアメリカの相違点を明らかにする。
• 日本国内での地域差を明らかにする。
使用データⅠ(衛星画像)
2000年 6 月 4 日東京都周辺における Landsat7/ETM+の画像
ISA比率 (Yang et al., 2010)
植生の被覆率 (Yang et al., 2010)地表面温度
使用データⅡ(センサスデータ 2000,2005)
使用データⅢ株式会社JPS発行 2011年版個人所得指標より
これらのデータを全て 1k㎡のメッシュに統一し、メッシュごとにQOLを算出する。
主成分分析の結果
固有値 寄与率 累積寄与率
主成分№ 1 4.909 44.62% 44.62%
主成分№ 2 2.157 19.61% 64.23%
主成分№ 3 1.576 14.33% 78.56%
主成分№ 4 0.884 8.03% 86.59%
主成分№ 5 0.651 5.92% 92.51%
主成分№ 6 0.495 4.50% 97.01%
主成分№ 7 0.193 1.75% 98.77%
主成分№ 8 0.068 0.62% 99.38%
主成分№ 9 0.042 0.38% 99.76%
主成分№ 10 0.017 0.16% 99.92%
主成分№ 11 0.009 0.08% 100.00%
主成分 1(環境+人口密度+経済指標)
主成分1の主成分負荷量
高得点なほど人口密度・ ISA ・地表面温度、また所得が高く、植被率が低い
生活環境重視の場合 QOLに対して負のファクター
経済重視の場合 QOLに対して正のファクター 指標の混在!
主成分 2(経済指標)
主成分2の主成分負荷量
高得点なほど経済指標が高く、生活レベルが高い
QOLに対して正のファクター
主成分 3(都市成熟度指標)
主成分3の主成分負荷量
高得点なほど居住面積が大きく、所得が低い
社会とのつながりが少ない QOLに対して負のファクター
QOLの計算
QOL = - ( 0.4462 * PC 1 ) +(0.1961 * PC 2) -(0.1433 * PC 3)
・各係数は主成分ごとの寄与率・PC n はそれぞれの主成分スコア・符号は各主成分がQOLに対し、正負どちらの働きを示すかを表す
QOL = + ( 0.4462 * PC 1 ) +(0.1961 * PC 2) -(0.1433 * PC 3)
生活環境重視の場合
経済重視の場合
算出されたQOL①
人口密度や住宅密度が低い農村部ほど高い結果に
① 生活環境重視の場合
算出されたQOL②
所得や高学歴者分布が高い都心部ほど高い結果に
② 経済重視の場合
まとめ
• 東京都における QOL のマッピングを行った。
• アメリカのインディアナポリス市と異なった結果となった。
• 日本とアメリカの生活スタイルが異なることを示唆した。
今後の予定
• 日本における他の地域でのQOLマッピングを行う(例えば、北海道、鹿児島など)。
• 他の有効となる指標はないか考察する。
• 様々なシナリオで QOL のマッピングを行う ( 例えば、駅・病院・学校・スパー・湖からの距離など)。