ニコチン依存の本質

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ニニニニニニニニニ ニニニニニニニニニ 2010.7.21 2010.7.21 ニニニ ニニニ ニニ ニニニニニニニニ () ニニ ニニニニニニニニ () ニニニニニニニニニ ニニニニニニニニニ ニニニニニニニニニ ニニニニニニニニニ CCI CCI ニニ ニニニ ニニ ニニニ http://hatori.or.jp [email protected]

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ニコチン依存の本質. 2010.7.21 羽鳥裕  (医)はとりクリニック 神奈川県医師会理事 川崎市内科医会会長 CCI  川崎 産業医 http://hatori.or.jp [email protected]. ニコチン依存は、身体的依存と心理的依存がある ニコチン代替療法により身体的依存による離脱を緩和できる 心理的依存は喫煙による離脱症状緩和などの思い込みあり 喫煙者は喫煙の弊害を矮小化しやすい シナプス伝達不全の鬱病と共通の病態 禁煙したいのに禁煙できない と感じる病態でなく、 好きで吸っている 禁煙する気がない と考える病態に本質あり. - PowerPoint PPT Presentation

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ニコチン依存の本質ニコチン依存の本質

2010.7.212010.7.21

羽鳥裕 羽鳥裕 

(医)はとりクリニック(医)はとりクリニック

神奈川県医師会理事 川崎市内科医会会長神奈川県医師会理事 川崎市内科医会会長

CCICCI 川崎 産業医 川崎 産業医http://hatori.or.jp

[email protected]

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– ニコチン依存は、身体的依存と心理的依存があるニコチン依存は、身体的依存と心理的依存がある

•ニコチン代替療法により身体的依存による離脱を緩和でニコチン代替療法により身体的依存による離脱を緩和できるきる

•心理的依存は喫煙による離脱症状緩和などの思い込みあ心理的依存は喫煙による離脱症状緩和などの思い込みありり

•喫煙者は喫煙の弊害を矮小化しやすい喫煙者は喫煙の弊害を矮小化しやすい» シナプス伝達不全の鬱病と共通の病態シナプス伝達不全の鬱病と共通の病態» 禁煙したいのに禁煙できない と感じる病態でなく、禁煙したいのに禁煙できない と感じる病態でなく、» 好きで吸っている 禁煙する気がない と考える病態に本好きで吸っている 禁煙する気がない と考える病態に本質あり質あり

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米国公衆衛生長官報告書「ニコチン依存」( 1988年)  「喫煙習慣の本質はニコチン依存症」  英国王立内科学会報告書「英国におけるニコチン依存」 (2000年 )  ・中止することの困難性  ヘロインやコカイン、アルコールと同等  ・耐性の強さ         アルコールやヘロインと同等、コカインより強い

  ・離脱症状の強さ      アルコールやヘロインより弱いが、コカインより強い

米国AHRQ たばこ依存治療ガイドライン( 2000年)「ニコチン依存症は再発しやすいが、繰り返し治療することにより完治しうる慢性疾患である」

9学会合同 禁煙ガイドラン( 2005年)  「喫煙は喫煙病という全身疾患(依存症+喫煙関連疾患)」  「喫煙者は積極的禁煙治療を必要とする患者」         

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• 喫煙を続けると脳内報酬系が過剰に活性化さ喫煙を続けると脳内報酬系が過剰に活性化されるれる

•脳内報酬系神経ドーパミンが減少、脳内報酬系神経ドーパミンが減少、•ニコチン欠乏が報酬系の機能不全がおきると、ニコチン欠乏が報酬系の機能不全がおきると、•気分不快、いらいら、おちつかない気分不快、いらいら、おちつかない•喫煙すると、一時的に離脱症状が消えるだけ。喫煙すると、一時的に離脱症状が消えるだけ。

•ニコチン血中濃度の低下は、徐々に漸増するストレスとニコチン血中濃度の低下は、徐々に漸増するストレスと感じる感じる

•喫煙を続けるとニコチン切れのストレスを感じる喫煙を続けるとニコチン切れのストレスを感じる» 多量喫煙者の自殺率は非喫煙者の二倍以上多量喫煙者の自殺率は非喫煙者の二倍以上

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家族の喫煙で肺がん死は約家族の喫煙で肺がん死は約 22 倍に倍に

 喫煙は、様々ながんやメタボリックシンドローム、インフルエンザの発症 喫煙は、様々ながんやメタボリックシンドローム、インフルエンザの発症の危険性を高めることがわかっている。一方、こうしたリスクは、喫煙者本の危険性を高めることがわかっている。一方、こうしたリスクは、喫煙者本人だけのものではない。人だけのものではない。 実は、たばこから立ち上る副流煙中のニコチンや発がん物質などの有害物 実は、たばこから立ち上る副流煙中のニコチンや発がん物質などの有害物質の濃度は、喫煙者が吸いこむ煙(主流煙)の数倍から数十倍と濃く、受動質の濃度は、喫煙者が吸いこむ煙(主流煙)の数倍から数十倍と濃く、受動喫煙のリスクは高い。「副流煙中の有害物質の粒子は小さく、長時間空気中喫煙のリスクは高い。「副流煙中の有害物質の粒子は小さく、長時間空気中に浮遊するだけでなく、肺の奥深くまで入りこんでしまう」に浮遊するだけでなく、肺の奥深くまで入りこんでしまう」 また、たばこから立ち上る副流煙だけでなく、喫煙者が吐き出す呼気にも また、たばこから立ち上る副流煙だけでなく、喫煙者が吐き出す呼気にも有害物質は含まれる。一酸化炭素や揮発性有機化合物などの有害物質は、喫煙有害物質は含まれる。一酸化炭素や揮発性有機化合物などの有害物質は、喫煙後数十分にわたって呼気中に残り、周囲の空気を汚染する。つまり、「家庭後数十分にわたって呼気中に残り、周囲の空気を汚染する。つまり、「家庭内に喫煙者がいる場合、内に喫煙者がいる場合、『『たばこはベランダで吸っているから大丈夫たばこはベランダで吸っているから大丈夫』』とはとはいえないということ。家族へのたばこの害を軽減するためには、屋外で吸っいえないということ。家族へのたばこの害を軽減するためには、屋外で吸った場合にも、喫煙後た場合にも、喫煙後 3030分程度は家の中に入らない配慮が必要だ」分程度は家の中に入らない配慮が必要だ」空気清浄機を使っても、有毒なガス成分は除去できない。空気清浄機を使っても、有毒なガス成分は除去できない。 受動喫煙を続けると、様々な疾病のリスクが高まる。最も象徴的なのが肺 受動喫煙を続けると、様々な疾病のリスクが高まる。最も象徴的なのが肺がんだ。非喫煙者の妻が、がんだ。非喫煙者の妻が、 11 日日 2020本以上の喫煙をする夫を持つ合、非喫煙本以上の喫煙をする夫を持つ合、非喫煙者の夫を持つ人に比べて肺がんで死亡する率が約者の夫を持つ人に比べて肺がんで死亡する率が約 22 倍も高くなってしまう。倍も高くなってしまう。このほか、乳がんやぜんそく、早産、子供の中耳炎、歯周病などの危険性もこのほか、乳がんやぜんそく、早産、子供の中耳炎、歯周病などの危険性も高まる。高まる。

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• 軽いタバコ軽いタバコ– ライト・マイルドは、低ニコチン、低タールではない 詐欺的ライト・マイルドは、低ニコチン、低タールではない 詐欺的商法商法

– 葉に含まれるニコチン量は変わらない葉に含まれるニコチン量は変わらない– 代償性喫煙が起きるので、摂取ニコチン量は変わらない代償性喫煙が起きるので、摂取ニコチン量は変わらない– 一酸化炭素ヘモグロビンは増える、ニトロサミンは増える一酸化炭素ヘモグロビンは増える、ニトロサミンは増える– 副流煙発生量は増える 非喫煙者には迷惑副流煙発生量は増える 非喫煙者には迷惑– 低臭気タバコ プロジェクト・ステルス 環境タバコ煙暴露量低臭気タバコ プロジェクト・ステルス 環境タバコ煙暴露量増加増加

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タバコとタバコ関連病の流行モデルタバコとタバコ関連病の流行モデル日本日本 アメリカ、アメリカ、 EUEU、、 NZNZ

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• 主流煙 喫煙時主流煙 喫煙時•高温燃焼時 最高高温燃焼時 最高 900900度度 CC

• 副流煙 自然燃焼時  副流煙 自然燃焼時  (吸引してないとき)(吸引してないとき)

•低温燃焼時 最高低温燃焼時 最高 600600度度 CC

• タバコ煙の成分タバコ煙の成分•粒子相、ガス相 いずれにも発がん物質、気道毒性、心毒粒子相、ガス相 いずれにも発がん物質、気道毒性、心毒性性

• 発生が意図されたもの発生が意図されたもの•ニコチン、アンモニア、アセトアルデヒドニコチン、アンモニア、アセトアルデヒド

• 燃焼副産物燃焼副産物•ベンゾピレン、ダイオキシン、ホルムアルデヒドベンゾピレン、ダイオキシン、ホルムアルデヒド•高温で分解されるので、副流煙の方が有害物質が多い高温で分解されるので、副流煙の方が有害物質が多い

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•ニコチンニコチン– 副流煙中に大量の遊離塩基が含まれる副流煙中に大量の遊離塩基が含まれる– 遊離塩基は、燃焼時に葉から遊離し、生体吸収後は生体膜を通遊離塩基は、燃焼時に葉から遊離し、生体吸収後は生体膜を通過過

•ニトロサミンニトロサミン– たばこ煙には多量のニトロサミン 腺組織の発がんに関与たばこ煙には多量のニトロサミン 腺組織の発がんに関与– ガス相のニトロサミンは、受動喫煙の主要な発がん物質ガス相のニトロサミンは、受動喫煙の主要な発がん物質

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• 多環芳香族炭化水素多環芳香族炭化水素– ピレン、ベンゾピレン、アントラセンなどピレン、ベンゾピレン、アントラセンなど– 発がん物質、発がん補助、気道刺激発がん物質、発がん補助、気道刺激

•ダイオキシンダイオキシン– 多種多様、最高毒性のダイオキシンがたばこにあり多種多様、最高毒性のダイオキシンがたばこにあり– 低温燃焼で発生しやすい低温燃焼で発生しやすい– たばこ栽培には農薬制限がない 塩素系農薬が多いたばこ栽培には農薬制限がない 塩素系農薬が多い– 化学工場の廃棄煙濃度の化学工場の廃棄煙濃度の 200200倍倍

• 鉛鉛•テオブロミン、グリチルリチンテオブロミン、グリチルリチン

– 気管支拡張作用 タバコ煙を吸収させやすくする気管支拡張作用 タバコ煙を吸収させやすくする

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• 一酸化炭素一酸化炭素– 赤血球運搬能を低下赤血球運搬能を低下– 二次性多血症、血栓二次性多血症、血栓– 血管内皮の損傷血管内皮の損傷– アイドリング時に1%(アイドリング時に1%( 10,000PPM)10,000PPM) たばこ主流煙では3- たばこ主流煙では3-4%4%

– 喫煙喫煙 11 時間後、患者呼気からは時間後、患者呼気からは 10PPM10PPM(室内環境基準)をこえ(室内環境基準)をこえるる

•アンモニアアンモニア– 主流煙のp主流煙のp HH をあげることで多くのニコチンを吸収させるをあげることで多くのニコチンを吸収させる– アンモニア含有は副流煙が多い アンモニア含有は副流煙が多い – 副流煙の方が刺激性が強いのはこのため副流煙の方が刺激性が強いのはこのため

•アルデヒドアルデヒド– たばこ添加物質のグリセリンが燃焼すると出るたばこ添加物質のグリセリンが燃焼すると出る– ニコチンの依存性を形成ニコチンの依存性を形成

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脳内報酬系脳内報酬系ドパミン作働性シナプドパミン作働性シナプ

スス• ニコチンはアセチルコチン受ニコチンはアセチルコチン受容体に作用してドパミン放出容体に作用してドパミン放出を促進するを促進する

• 喫煙による喫煙による急激な急激なニコチン濃ニコチン濃度上昇は、一過性のドパミン度上昇は、一過性のドパミン過剰放出を起こす過剰放出を起こす

• ドパミン過剰放出によって負ドパミン過剰放出によって負のフィードバックが起こり、のフィードバックが起こり、シナプス前ニューロンのドパシナプス前ニューロンのドパミン放出能力が低下し、シナミン放出能力が低下し、シナプス後ニューロンのドパミンプス後ニューロンのドパミン受容体数が減少する受容体数が減少する

• ニコチンのない状態では、シニコチンのない状態では、シナプスの機能不全が起こるナプスの機能不全が起こる

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ニコチン濃度の変化ニコチン濃度の変化

喫煙喫煙 喫煙喫煙 喫煙喫煙

3030 ~~ 4040分分 3030 ~~ 4040分分

離脱症状離脱症状発現発現

離脱症状離脱症状発現発現

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米国医療研究品質局米国医療研究品質局 (AHRQ)(AHRQ)  プライマリケアのための禁煙治療ガイドラインプライマリケアのための禁煙治療ガイドライン

(5(5AA))Step1Step1

AAsksk(尋ねる)(尋ねる)すべての患者に喫煙の有無をすべての患者に喫煙の有無を聞く聞く

Step2Step2

AAdvisedvise(助言す(助言する)る)

すべての喫煙者に対して、すべての喫煙者に対して、「強く」「強く」「はっきりと」「はっきりと」禁煙を促す禁煙を促す

Step3Step3

AAssessssess(評価す(評価する)る)

禁煙の意欲や依存度を調べ、意欲が低禁煙の意欲や依存度を調べ、意欲が低ければ高めるければ高める

Step4Step4

AAssistssist(支援する)(支援する)具体的な禁煙の方法を伝授し、教材や具体的な禁煙の方法を伝授し、教材や薬剤を提供する薬剤を提供する

Step5Step5

AArrangerrange(調整す(調整する)る)

生じた問題点を検討して、対策を立て生じた問題点を検討して、対策を立てるる

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米国医療研究品質局米国医療研究品質局 (AHRQ)(AHRQ)  禁煙の動機強化のための5つの禁煙の動機強化のための5つの RR

RRelevanceelevance

(関連)(関連)

個人的な問題と関連づける個人的な問題と関連づける疾患・家族・趣味・結婚・妊娠・出疾患・家族・趣味・結婚・妊娠・出産産‥‥

RRisksisks

(疾患リスク)(疾患リスク)疾患リスクをはっきり示す疾患リスクをはっきり示す種類・大きさ・予後種類・大きさ・予後‥‥

RRewardsewards

(報酬)(報酬)禁煙のメリットに気づかせる禁煙のメリットに気づかせる健康・お金・時間・運動能力健康・お金・時間・運動能力‥‥

RRoadblocksoadblocks

(障壁)(障壁)禁煙への障壁を確認させる禁煙への障壁を確認させる離脱症状・タバコの効用離脱症状・タバコの効用‥‥

RRepetitionepetition

(反復)(反復)

機会を捉えて動機づけをくり返機会を捉えて動機づけをくり返すす回数・人数・場所回数・人数・場所‥‥

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9学会合同禁煙ガイドライン9学会合同禁煙ガイドライン20052005年年 1212月発表月発表

タバコを吸うのは、タバコを吸うのは、ニコチン依存症ニコチン依存症と関連疾患からなと関連疾患からなる「喫煙病」る「喫煙病」

喫煙者は喫煙者は積極的禁煙治療を必要積極的禁煙治療を必要とする「患者」とする「患者」 医師・歯科医師は、タバコを吸わない社会習慣の定着を医師・歯科医師は、タバコを吸わない社会習慣の定着を目指して指導性を発揮すべき目指して指導性を発揮すべき

医療従事者が行うべき禁煙治療医療従事者が行うべき禁煙治療 日常診療での禁煙治療日常診療での禁煙治療 集中的禁煙治療集中的禁煙治療

薬物療法薬物療法 行動療法行動療法

禁煙政策への積極的関与禁煙政策への積極的関与 禁煙環境の整備禁煙環境の整備 喫煙防止教育喫煙防止教育

日本循環器学会、日本呼吸器学会、日本小児科学会、日本産婦人科学会、日本口腔日本循環器学会、日本呼吸器学会、日本小児科学会、日本産婦人科学会、日本口腔外科学会、日本公衆衛生学会、日本心臓病学会、日本肺癌学会、日本口腔衛生学会外科学会、日本公衆衛生学会、日本心臓病学会、日本肺癌学会、日本口腔衛生学会

Circulation Journal 69, Supple IV, 1005-Circulation Journal 69, Supple IV, 1005-1103.1103.

http://www.twmu.ac.jp/DNH/byouki/http://www.twmu.ac.jp/DNH/byouki/index.htmlindex.html

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ニコチン依存症[対象患者の 4 条件]以下のすべての要件を満たす者であること

 (1) ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で、ニコチン依存症と診断   されたものであること。  (2) ブリンクマン指数(= 1 日の喫煙本数 × 喫煙年数)が 200以上の者。  (3) 直ちに禁煙することを希望している患者であること。  (4)「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、    当該治療を受けることを文書により同意している者であること。

[施設基準]

(1) 禁煙治療を行っている旨を、保険医療機関内の見やすい場所に掲示していること  (2) 禁煙治療の経験を有する医師が1名以上勤務していること  (3) 禁煙治療に係る専任の看護師又は准看護師を1名以上配置していること  (4) 禁煙治療を行うための呼気一酸化炭素濃度測定器を備えていること (5) 保険医療機関の敷地内が禁煙であること。   なお、保険医療機関が建造物の一部分を用いて開設されている場合は、当該   保険医療機関の保有又は借用している部分が禁煙であること。 (6) ニコチン依存症管理料を算定した患者のうち、喫煙を止めたものの割合等を、

   所定用紙用いて、社会保険事務局長に報告していること。

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厚生労働省健康局長通知厚生労働省健康局長通知「診療報酬の算定方法を定める件」等の改正等について「診療報酬の算定方法を定める件」等の改正等について

20062006年年 33 月月 66 日・保発第日・保発第 03060120306012 号号 ニコチン依存症管理料の新設ニコチン依存症管理料の新設

初回(初回( 11 週目)         週目)         230230点 点  22 、、 33 、、 44 回目(回目( 22 、、 44 、、 88 週目) 週目)  184184点点 55 回目(最終回)(回目(最終回)( 1212 週目)  週目)  180180点点

対象患者(以下の条件をすべて満たす者)対象患者(以下の条件をすべて満たす者) TDSTDS(タバコ依存スクリーニング)で依存を診断 (タバコ依存スクリーニング)で依存を診断 (全喫煙者の(全喫煙者の 5454%が陽%が陽性)性)

★★ブリンクマン指数(ブリンクマン指数( 11 日本数日本数 ×× 年数)年数) 200200以上以上(若年者は困難)(若年者は困難) 標準手引書での標準手引書での治療に文書で同意治療に文書で同意((日程通り5~7回の通院を確約日程通り5~7回の通院を確約))

施設基準施設基準 経験医師経験医師(非常勤でも可、経験の程度は記載なし)(非常勤でも可、経験の程度は記載なし) 専任の看護職員専任の看護職員(看護師又は准看護師、専従でなくても可)(看護師又は准看護師、専従でなくても可) 呼気一酸化炭素測定器呼気一酸化炭素測定器(薬事法承認番号のある機種)(薬事法承認番号のある機種) 医療機関の敷地内禁煙医療機関の敷地内禁煙(屋外喫煙所不可)(屋外喫煙所不可)

算定要件算定要件 禁煙成功率を地方社会保険事務局長へ報告(毎年7月)禁煙成功率を地方社会保険事務局長へ報告(毎年7月) ★★ 初回算定日から初回算定日から 11 年を超えないと再算定不可年を超えないと再算定不可

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バレニクリン(チャンピックス)の処方バレニクリン(チャンピックス)の処方

11 週  週  禁煙の開始予定禁煙の開始予定日を決めその1週間 日を決めその1週間 

      前から服用する      前から服用する 1日目~3日目  1日目~3日目  0.5mg0.5mg

錠を錠を 11 日1回食後(朝、日1回食後(朝、昼、昼、

            夕            夕は問わない)は問わない)

 4日目~7日目  4日目~7日目  0.5mg0.5mg錠を1日2回朝、夕食後錠を1日2回朝、夕食後

2週  2週  8日目に禁煙を8日目に禁煙を開始する開始する

      8日目~84日      8日目~84日目 1目 1mgmg 錠を1日2回錠を1日2回朝、朝、

      夕食後      夕食後

■■12週12週★★ 新薬扱いなので2週間処新薬扱いなので2週間処方のしばりがあり、方のしばりがあり、3ヶ3ヶ月間で7回月間で7回のの

 来院が必要になります。 来院が必要になります。      

チャンピックス錠による禁煙治療のスケジュール&費用(院外処方の場合)

4週後

8週後

12週後

2週後

0週

6週後

10週後

ニコチン依存症管理料は算定出来きません(再診料、外来管理加算、処方せん料のみ)

初診 ②再診 ③再診 ④再診 ⑤再診 ⑥再診①再診

1週後

禁煙開始

※2009年4月末日までは合計7回の診療薬価収載後1年まで

初診料+再診料(外来管理加算含む)1008点ニコチン依存症管理料 962点院外処方せん料 408点薬剤料(12週間分) 3766点合計 6144点

合計で・・・61440円

3割負担だと・・・18432円

<スケジュール>

<費用>

※禁煙治療のための標準手順書第3版より

※保険薬局が算定する調剤基本料、調剤料は別途かかります

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ニコチネル TTS貼付終了時の禁煙率  79.86%( 222/278例)

貼付終了 16週後の禁煙率79.34%( 169/213例)

ニコチネル TTS 特別調査 調査票収集症例数: 329 例 有効性解析対象: 278 例  16 週の追跡調査の対象: 213 例

ニコチネル TTS 特別調査の成績禁煙成功率 アップ

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HATORIHATORI    YutakaYutaka    2008.5.312008.5.31平成 19年度診療報酬改定結果検証に係る特別調査 ニコチン依存症管理料算定保険医療機関における禁煙成功率の実態調査結果概要(速報)

算定回数別の指導終了 9 ヵ月後の状況ー禁煙指導開始から 1年後ー

45.7

40.7

31.9

22.2

13.5

32.6

5.5

3.8

4.5

4.4

4.6

30.1

31.3

35.2

34.7

37.5

33.3

16.8

19.5

24.6

30.1

33.3

23.9

4.7

4.4

8.4

11.3

5.6

4.0

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

5回目終了( n=764)

4回目で中止( n=425)

3回目で中止( n=480)

2回目で中止( n=418)

1回目で中止( n=459)

合計( n=2,456)

禁煙継続 1週間禁煙 失敗 不明 無回答

2.0

禁煙成功率 アップ

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心血管系危険因子の変化

主要危険因子喫煙、脂質代謝異常、糖尿病、    60歳以上、                性別(男性及び閉経後の女性)、  心血管系疾患の家族歴( 65歳以下の女性または 55歳以下の男性)

喫煙、肥満( BMI 30≧ )、運動不足、脂質代謝異常、糖尿病、ミクロアルブミン尿または GFR<60mL/min、  年齢(男 55歳超、女 65歳超)、 心血管系疾患の家族歴( 65歳未満の女性または 55歳未満の男性)

標的臓器障害心疾患(左室肥大、狭心症/心筋梗塞の既往、冠動脈血管形成術の既往、心不全)脳卒中または一過性虚血発作腎障害末梢動脈疾患網膜症

JNCⅥ JNC7

Arch.Intern.Med,157,2413,1997、 JAMA,289,19,2560,2003より作成

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Fletcher BMJ 1645:1977

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喫煙するひとは糖尿病になりやすい喫煙するひとは糖尿病になりやすい(( The Osaka Health SurveyThe Osaka Health Survey ))

Suematsu C, et al. Diabetes Care. 1999.(倍)

0 0.5 1 1.5 2

非喫煙

過去喫煙

20本以下

30本以下

31本以上

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受動喫煙は糖尿病にも悪い受動喫煙は糖尿病にも悪い• 喫煙が糖尿病の発症リスクを増す 喫煙が糖尿病の発症リスクを増す

• 喫煙習慣のない人でも受動喫煙にさらされるとリスクが高くなる喫煙習慣のない人でも受動喫煙にさらされるとリスクが高くなる• 受動喫煙が糖尿病にも悪い受動喫煙が糖尿病にも悪い

 この研究は、米国の この研究は、米国の 4,5004,500人以上の男女を対象にしたコホート研究である人以上の男女を対象にしたコホート研究であるCARDIACARDIA(( Coronary artery risk development in young adultsCoronary artery risk development in young adults)で行)で行われた。医学雑誌「われた。医学雑誌「 British Medical JournalBritish Medical Journal(電子版)」に発表された。(電子版)」に発表された。

   19851985年から年から 8686年にかけて喫煙習慣の調査と健診を行い、年にかけて喫煙習慣の調査と健診を行い、 1515年後に追跡調査年後に追跡調査した。経口ブドウ糖負荷試験を行ったところ、喫煙者のした。経口ブドウ糖負荷試験を行ったところ、喫煙者の 2222%は血糖値が高く出て、%は血糖値が高く出て、多飲、多尿などの糖尿病の症状が出ていた。多飲、多尿などの糖尿病の症状が出ていた。

 喫煙習慣のない場合でも受動喫煙に常にさらされている人では、血糖値の異常が 喫煙習慣のない場合でも受動喫煙に常にさらされている人では、血糖値の異常がみつかる比率が高くなっていた。受動喫煙の危険がまったくない人はみつかる比率が高くなっていた。受動喫煙の危険がまったくない人は 1212%未満%未満だったが、受動喫煙にさらされている人ではだったが、受動喫煙にさらされている人では 1717%に増加した。%に増加した。

 研究では、喫煙は糖尿病と同じように冠動脈疾患に関連しており、また糖尿病と 研究では、喫煙は糖尿病と同じように冠動脈疾患に関連しており、また糖尿病と冠動脈疾患は高血圧や肥満、高脂血症などの危険因子を共有していることが指摘さ冠動脈疾患は高血圧や肥満、高脂血症などの危険因子を共有していることが指摘されている。れている。

 たばこの煙が耐糖能とインスリン分泌能に影響するのではないかと推測 たばこの煙が耐糖能とインスリン分泌能に影響するのではないかと推測

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喫煙する人は、関節リウマチになる危険性が高い喫煙する人は、関節リウマチになる危険性が高い 国内でも約 国内でも約 7070 万人 万人 このリウマチの原因は体全体を蝕む自己免疫性疾患の一つこのリウマチの原因は体全体を蝕む自己免疫性疾患の一つ

 この慢性関節リウマチのなり易さは、遺伝的な因子によりある程度決まっ この慢性関節リウマチのなり易さは、遺伝的な因子によりある程度決まっており、ある種の遺伝的背景を持つ人では、危険率が高い その一方で、ており、ある種の遺伝的背景を持つ人では、危険率が高い その一方で、喫煙などの生活習慣により、自己免疫疾患になるリスクが高くなる喫煙などの生活習慣により、自己免疫疾患になるリスクが高くなる 喫煙歴のある人ではリウマチになる危険率が高く、またその人の遺伝的 喫煙歴のある人ではリウマチになる危険率が高く、またその人の遺伝的な体質とも密接に関係しているな体質とも密接に関係している 研究では、関節リウマチの患者さん 研究では、関節リウマチの患者さん 858858 名と、対象として健康な人名と、対象として健康な人1,0481,048 名について、採血して遺伝子検査を行い、その結果と喫煙などの生名について、採血して遺伝子検査を行い、その結果と喫煙などの生活習慣に関する情報活習慣に関する情報 リウマチ患者さんには、共通なタンパク質のエピトープ( リウマチ患者さんには、共通なタンパク質のエピトープ( shared shared epitope, SEepitope, SE)の遺伝子がある この)の遺伝子がある この SESE 遺伝子の数(コピー数といいま遺伝子の数(コピー数といいます)が、患者さんによって異なり、よく悪性度の高い人ではコピー数が多す)が、患者さんによって異なり、よく悪性度の高い人ではコピー数が多くなる くなる 

 その結果、 その結果、 SESE 遺伝子が遺伝子が 11 個をもつ人で、喫煙歴のある人では、リウマ個をもつ人で、喫煙歴のある人では、リウマチになる確率がチになる確率が 7.57.5倍高い 倍高い  SESE 遺伝子を重複して遺伝子を重複して 22 個持つ人では、更に個持つ人では、更にそのリスクがそのリスクが 15.715.7倍にまで上昇倍にまで上昇

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喫煙と消化性潰瘍喫煙と消化性潰瘍

胃潰瘍の再発防止に関しては「薬を飲むことよりもたばこをやめること」がより重要。1日 60本以上の重喫煙者の胃潰瘍再発率は、 70.0%。

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受動喫煙受動喫煙– 環境タバコ煙(副流煙と呼出煙)をすわされること環境タバコ煙(副流煙と呼出煙)をすわされること

– EPAEPAによると 環境タバコ煙はグループによると 環境タバコ煙はグループ AA 発がん物発がん物質質

– WHOWHO 環境タバコ煙をグループ1 発がん物質 環境タバコ煙をグループ1 発がん物質

– 喫煙者との同居は 心疾患死亡リスクを30%増加喫煙者との同居は 心疾患死亡リスクを30%増加– 1991 1991  GlantzGlantz

– 安全なレベルの受動喫煙は存在しない 安全なレベルの受動喫煙は存在しない WHOWHO   20012001

– 分煙のみでは、受動喫煙被害を防止できない分煙のみでは、受動喫煙被害を防止できない–     

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朝日新聞 2005年7月1日朝日新聞 2005年7月1日

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バージャー病バージャー病

喫  煙喫  煙 歯周病歯周病