第六課付録

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1 Japonská studia pro Univerzitu Palackého v Olomouci se zaměřením na modularitu a uplatnění v praxi, reg. č. CZ 1.07/2.2.00/28.0160 日本語中級第六課 ヤンデラ先生インタビュー 〈付録編〉 パラツキー大学哲学部アジア学科編 Tento projekt je spolufinancován Evropským sociálním fondem a státním rozpočtem České republiky.

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Japonská studia pro Univerzitu Palackého v Olomouci

se zaměřením na modularitu a uplatnění v praxi, reg. č. CZ 1.07/2.2.00/28.0160

日本語中級第六課

ヤンデラ先生インタビュー

〈付録編〉

パラツキー大学哲学部アジア学科編

Tento projekt je spolufinancován Evropským sociálním fondem a státním rozpočtem České republiky.

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〈本文1〉

ヤンデラ先生インタビュー(渋谷駅前の喫茶店にて)編集前

箸本:ヤンデラ先生、初めまして。付属高校新聞部の箸本と申します。それからこっちが、

大木:同じく新聞部の大木です。本日はよろしくお願いいたします。

ヤン:初めまして、チェコから勧学院大学に来ておりますヤンデラです。箸本さん、大木さん。こちら

こそよろしくお願いします。

箸本:それで、メールでもお伝えしましたが、大木も多少口を挟むことはあるかと思いますが、基本的

に機材担当で、私がメインでインタビューさせていただきます。

ヤン:はい。

大木:それで先生、確認なんですが、今日のお話は録音させていただいて、それをもとに、こちらでイ

ンタビュー原稿を作りまして、先生にお送りいたしますので、必要な所かあれば手をお入れくだ

さい。それから、記事にしないほうがいいところは、そのように言っていただければ、カットし

ますので。

ヤン:わかりました。でも、私が話したことはカットせずに載せてもらってかまいませんよ。ただ、録

音を起こした原稿も下さいませんか。記事でどう変わったかを確認したいですので。

大木:わかりました。そのようにさせていただきます。それでは、ここから録音しますので。ハッさん

始めて。

箸本:了解。では行きます。

ヤンデラ先生、本日はお忙しいところお越しくださって本当にありがとうございます。

ヤン:えっ、そこから始めるんですか。編集の段階で追加すればいいんじゃないですか。

大木:いえ、先生、編集と申しましても、録音にないのを追加するのは駄目だと久我に言われておりま

して、実際に記事に残すかどうかは別問題なのですが、これから始めることになっているんです

よ。

ヤン:そうなんですか。それは知らぬこととは言え、失礼致しました。では、さっきのに対する答えか

ら参りますね。

いえいえ、私はすぐそこの大学からの帰りですし、最近この店でコーヒーを飲んでから帰るこ

とも多いですから、ついでみたいなものですよ。お二人の方こそ、高校が終わってからここまで

来るのは大変だったんじゃないですか。

箸本:私も高校は埼玉なれども、実家は、

ヤン:えっ、なれどもですか。そこまで硬い言葉を使っていただく必要はないんですけど。

箸本:あっ、すいません。変な言葉を使ってしまいまして。顧問の久我からあれこれ釘を刺されていま

すもので、何か緊張してしまいまして。

ヤン:久我先生が何を仰ったかは知りませんけど、緊張なんてする必要ありませんよ。

箸本:そう言っていただけるとありたいです。それで、実家は都内で、学校帰りに足をのばせますので、

私たちにとっても渋谷で、というのはありがたかったんですよ。

ヤン:ということは、学校帰りに、よく寄り道しているわけですか。

箸本:いえっ、ええとですね。普段は一度うちに帰ってから出直すことが多い、……ということにして

おいてください。

ヤン:それは構いませんけど、オフレコってことにしてもいいですよ。

大木:そうですね、このままのほうが面白い気もしますし、記事にするときに考えることにします。そ

れで、そろそろ本題に入りたいのですが。

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ヤン:ええ、そうですね。じゃあ、何でも聞いてください。でも、久我先生風に言うと、ちゃんと答え

るかどうかはわかりませんけどね。

箸本:そんなこと仰らないで下さいよ。では、早速ですけれども、先生は今、勧学院大学で何をなさっ

ているんですか。

ヤン:ええとですね。ちょっと長い話になるんですが、勧学院大学と、パラツキー大学の間には、交流

協定が結ばれていまして、10年以上前から、交換留学が行われてきたんですが、最近、一昨年

だったと思うんですが、先生、研究者の交換もしようということになりまして、日本からチェコ

に田中先生という勧学院の先生がいらっしゃいまして、次はチェコから日本だということで、今

回私がチェコからの第一号としてやってきたんですよ。

箸本:交換留学があるということは、私たちもチェコに留学できるかもしれないということですか。

ヤン:ええ、勧学院大学からは、毎年二人か三人の学生がオロモウツに来ています。大学内での選考基

準は知りませんが、久我先生の話ではお二人は成績優秀らしいですから、このまま進学して真面

目に勉強していれば大丈夫だと思いますよ。

箸本:私は英語が苦手なんですけど、それでも大丈夫ですか。

ヤン:うーん。協定校の一つの学習院女子大学では、英語のトーイックだかトフルだかの試験の成績も

留学する学生を決める時に、重視するらしいですけど、勧学院ではそんな話は聞いたことがあり

ませんから大丈夫でしょう。それに、久我先生の話では、勧学院には英語ができる学生なんてい

ないらしいですからね。

大木:久我ちゃん、何言ってんだろ。

ヤン:えっ、ちゃん付けですか?

大木:あっ、言葉漏れちゃいました? すみません。

ヤン:いえいえ、それは構いませんけど。

大木:あの先生いつも英語は大事だから頑張って勉強しろよって言ってるので……。

箸本:でも、そう言えば、久我先生も、勧学院の出身で、できる外国語は漢文だけとか言ってることも

あるから、ほんとは英語なんか嫌いなのかもしれませんね。

ヤン:この前一緒に飲んだ時は、英語ができる奴は勧学院に来ちゃいけねえとか、よその大学に行けと

か何とか言ってましたよ。

箸本:本音と建て前ってやつですかね。でも、留学したら、英語ができないと大変じゃありませんか。

ヤン:いや、そんなこともないみたいですよ。もちろん授業は英語で行われるものを取ることが多いよ

うですけど、その授業で単位が取れなくても問題はないみたいですし、みんなうちの日本語を勉

強している学生たちと一緒にいろんなことをして楽しく過ごしていますよ。

箸本:でも、留学して勉強をおろそかにするのは間違っているような気がするんですけど。

ヤン:箸本さん、さすが久我先生の教え子だけあって、真面目ですねえ。日本から来る留学生はみんな、

アメリカや他のヨーロッパから来る学生に比べれば、真面目に勉強していますよ。ただ単位は取

らなくてもいいというだけです。それに、留学したら、学校の授業で学べること以外に、授業以

外で学べることも多いですから。

箸本:そういうものなんですか。

ヤン:ええ。オロモウツではチェコ語を使わないと、どうしようもないところがありますから、大学の

チェコ語の授業で英語で勉強したことを、うちの学生と日本語で復習してから、いろいろなとこ

ろで使えるので、帰るころには英語よりもチェコ語のほうが話が通じるようになって帰る留学生

も多いんですよ。

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箸本:へえ、ということは、チェコ語は簡単なんですか?

ヤン:どうなんですかね。私にとっては、母語ですから、何とも言えませんけど、外国の人にとっては

難しいと思いますよ。ただ、昔私が日本語を教えてもらった先生は、チェコ語が非常に堪能な人

だったんですが、覚えるのは大変だけど、使うのは英語よりずっと簡単だと言っていました。

箸本:へえ、日本人でもチェコ語ができる人がいるんですね。

ヤン:もちろんいますよ。数は英語ほどは多くないと思いますけどね。

箸本:私もチェコ語の勉強をしてみようかなあ。

大木:ハッさん、英語が苦手だって言ってるのに大丈夫?

箸本:それは、ちょっと不安かも。

ヤン:心配しないでください。英語とチェコ語は全然別の言葉ですから大丈夫ですよ。今私のところで

チェコ語を勉強している学生たちも勧学院の学生ですから、みんな英語は苦手だと言っています

よ。

箸本:へえ、そうなんですか。

ヤン:ええ、そうなんですよ。それに来年の前期まででしたら、私が日本語で教えていますから、大歓

迎ですよ。

箸本:じゃあ、その時はお願いしますね。

ヤン:お任せください。それに、私が帰った後も、うちの先生が誰か来るかもしれませんし、来なくて

も、うちからの留学生に、もちろん日本語ができる学生ですよ、チェコ語を教えさせることは可

能ですから、必要な時は仰ってください。

箸本:ありがとうございます。それで、ちょっと話がそれてしまったので、元に戻しまして、先生は研

究でいらっしゃったそうですが、何を研究なさっているんですか。

ヤン:ええと、文学なんですが、特に平安時代の文学を専門にしています。

箸本:と言うことは、『源氏』とか、『竹取』とかですか。

ヤン:ええ、そうです。ただ、一番の研究対象は和歌です。いつか『古今集』をチェコ語に翻訳したい

と思っているんですけど、まだまだ道遠しですね。

箸本:すごいですねえ。私、私達なんて、日本人ですけど、古文では試験のたびに苦しんでいますよ。

ヤン:私にとっては、現代の日本語であれ、昔の日本語であれ、外国語という点では同じですからね。

箸本:そういうものなのでしょうか。ところで、先生と日本の関わりについてお聞きしたいのですが。

例えば、私が初めて出会ったチェコに関係するものというと、多分音楽の時間に聞いたスメタナ

かドボルザークの音楽だったと思うんですが、先生が初めて出会われた日本、日本のものはどん

なものでしたか。

ヤン:そうですねえ。私が日本のことをちゃんと意識したのは、テレビドラマしょうかね。

箸本:ええと、それはチェコのテレビドラマなんですか。

ヤン:いいえ。もちろん、と言うと変かもしれませんが、日本のドラマです。

箸本:何というドラマだったか覚えていらっしゃいますか。

ヤン:ええ。チェコ語の題名は『ゴロー――白い犬』で、確か北海道に住んでいた家族が遠くに引っ越

すことになって、引っ越しの時に飼い犬とはぐれてしまうんです。そしてその犬が、家族に会う

ために北海道から本州に渡って旅をするというストーリーだったと思います。

箸本:ゴローという名前の犬が主人公なんですね。

ヤン:ええ、多分。それで日本語の勉強を始めてから調べてみたんですけど、日本語の題名は『黄金の

犬』というらしいんですよ。でも、誰に聞いてもこのドラマのことを知らなくて……。

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箸本:私もそんなドラマは聞いたことがありませんね。

ヤン:それは、箸本さんが生まれる前のものですから……。でも、留学時代に知り合った友人が調べて

くれまして、西村寿行という作家の小説を原作にして作られたドラマだったらしいんですよ。

箸本:西村寿行、ですか。

ヤン:ええ、私も読んだことはないんですが、友人の話では、エロ・グロ・バイオレンスの作家で、ジ

ャンルでいうとハードボイルドらしいですから、高校生の女の子であるお二人は知らなくて当然

だと思いますよ。

箸本:でも、チェコではそんなのを子供に見せていたんですか?

ヤン:うーん。小説は知りませんけど、ドラマには子供に見せられないようなシーンはなかったと思い

ます。私がはっきり覚えているのは、女の子が笛を吹くと、犬笛だと思うんですけど、ゴローが

それを聞いて駆け寄ってくるというシーンだけなので、何とも言えないんですが、私達子供は犬

が目当てで見ていましたから。

箸本:なるほど。他にもチェコで放送された日本のドラマや映画があるんですか。

ヤン:映画は、最近は本当にいろいろ放送されていますよ。黒沢明から、北野武、宮崎駿に至るまで。

ジャンルで言うとアニメから時代劇まで、時代で言うと戦後すぐのモノクロの映画から、最近の

ものまで。でも、私が子供の頃は、そんなに多くなかったと思います。ドラマは、私は見ていな

いのですが鷹だか、ハヤブサだかが題名についている時代劇が放送されたらしいですし、「風雲

タケシ城」でしたっけ、一般の人が出ていろいろな課題に挑戦する番組も、なぜか放送されてい

ましたし、ポケモンのような子供向けのアニメもあれこれ放送されていました。

箸本:へえ、意外と多いんですね。

ヤン:それに、チェコ製時代劇、ちょっと変な言い方になりましたけど、チェコ人の俳優たちが着物の

ようなものを着て演じる『大岡政談』もありました。背景も日本ぽいと言うか、東洋っぽい感じ

で、友人は違和感がありすぎて見ていられないって言っていましたけどね。

箸本:チェコ人の演じる時代劇ですか。見てみたいような、ないような……。

ヤン:ところで、日本ではどうです? チェコの映画やテレビドラマがテレビで放送されることはある

んですか。

箸本:うーん。私はこれまでチェコのことを意識したことがほとんどなかったので、わからないとしか

言いようがありません。すみません。

ヤン:まあ、遠くの国ですからね、仕方ありませんよ。

箸本:でもですね、今回ヤンデラ先生にお会いするにあたって、うちの学校の先生たちにあれこれ聞い

てみたんですよ。チェコのことについて何か知らないか。

ヤン:へえ、どんな答えが返ってきました?

箸本:世界史の先生は歴史的なこと、音楽の先生はクラシック音楽、体育の先生はスポーツ選手につい

てという感じで、みんな自分の専門分野に関係あることは知っているんですけど、それ 以外の

ことは知らないんですよ。それで、今度先生のインタビューを載せる号には、先生たちにチェコ

について知っていることを書いてもらうことにしました。

大木:でも、うちの高校って年寄りの先生が多くて、古い話ばっかりになりそうなんですよ。東京オリ

ンピックの話とか。

ヤン:ああ、体操のチャースラフスカーですね。

大木:ええ、確か、そんな名前でした。

箸本:チェコなの? チェコスロバキアじゃないの? なんて言う先生も多かったですし。

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ヤン:半分冗談なのかもしれませんよ。私も初めて日本に来た時にはよく言われましたし。旅行でチェ

コに来たことがある人はいませんでしたか?

箸本:何人かいましたけど、ツアー旅行だったのであわただしくて、プラハの街がきれいだったのと、

チェスキー・クルムロフというところのお城がすごくよかったことしか覚えていないと言ってい

ました。

ヤン:オロモウツに来たことがある先生はいませんでしたよね。

箸本:ええ、残念ながら。でも旅行でチェコに行った先生がガイドブックで名前は見たことがあると言

っていました。

ヤン:全く知られていないというわけではないんですね。ちょっと安心しました。

箸本:それで、映画の話に戻るんですが、まだ話を聞いていない先生の中に、外国映画が趣味という先

生がいますので、その先生ならチェコの映画について知っているかもしれませんから、知ってい

たらチェコの映画について書いてもらおうと思っています。

ヤン:へえ。ちょっと伺いたいんですが、先生方は、簡単に記事を書いてくださるんですか。

箸本:それは、一概には言えませんね。久我なんかは、ぶつくさ文句を言いながらも結局は書いてくれ

るんですけど。簡単には引き受けてくれない先生もいますので、その場合は、聞いた話を基にこ

っちで原稿を作って、それを直してもらうという形にすることもあります。

ヤン:結構本格的な編集者稼業ですね。

箸本:ええ、このやり方は、昔の先輩たちが久我に習ったらしいです。あの先生の奥さんって出版社で

編集者しているらしいですから。

ヤン:へえ、それは知りませんでした。

箸本:それに、記事を書きたがるけど文章が下手な先生もいて、そういうのをどう直すかも教えてもら

ったらしいです。

ヤン:へえ。私も聞いてみたいですね。あっ、すみません。何だか私がインタビューしているみたいに

なってしまいましたね。

箸本:いえいえ、その辺は後で何とでもできますから。では、話を戻しまして、先生と日本との出会い

はテレビドラマだったということなんですが、その後は?

ヤン:その後は、日本に関係するものなら、何でも読んだり見たりするようになって、やがて立派な日

本マニアができあがったわけです。

箸本:柔道や空手なんかの武道もなさったんですか?

ヤン:いえ、私はスポーツは嫌いではないのですが、格闘系は苦手なもので。でも、同級生の中には多

かったですね。子供の頃に日本の武道に触れてそれで日本語の勉強を始めたというのが。それで、

日本人の先生に、自分の流派の一番偉い有名な先生を知っているかという質問をして困らせてい

るのが何人もいました。

箸本:はあ、それは確かに困るでしょうね。武道家なんて私も全然知りませんし。

ヤン:でしょ。それで、私はそっちの野蛮な道は避けて、文学作品を読むようになったんですよ。実は

社会主義の時代から結構たくさんの本が訳されていましてね。中には梅崎春生のような日本人の

日本語の先生も知らないと言うような作家もいました。。

箸本:へえ、では、先生がチェコ語で読まれた日本の本の中で一番お好きだったのはどの本ですか?

ヤン:それが、私が古典文学に進んだ理由になるんですけど、漱石でも、太宰でも谷崎でもなくて、古

典文学のアンソロジーみたいなものがありましてね、それが一番好きだったので、学士の論文で

『古今集』を取り上げて以来、ずっと平安文学を研究対象にしているんです。

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(中略)

箸本:先生、最後にお聞きしたいことがあるんですけど、メールでインタビューの内容についてやり取

りさせていただいた際に、日本語の勉強を始めた理由については聞かないでほしいと仰っていま

したよね。どうしてなんですか。

ヤン:ああ、そう言えば、そんなこともお願いしましたね。うーん、あれはですね。このどうして日本

語の勉強を始めたかという質問は、日本語の勉強を始めて以来、もう何度も何度も、久我先生流

に言うと、死ぬほどされていましてね、まともに答えるのに嫌気が差して、嘘をついてしまうよ

うにと言うか、フィクションの答えを使うようになっていたんですけど、それももう嫌になって

しまいまして。この質問をされると不機嫌になっていた時期もあるんですよ。

箸本:へえ、なるほど。でも、ということは、今日のお話もフィクションという可能性もあるわけなん

ですか?

ヤン:いえいえ、そんなことはありません。心配しないで下さい。今日お話したことは、全て本当に本

当のことです。今日は、箸本さんの質問のおかげで、気持ちよく答えることができました。本当

にありがとうございます。

箸本:いえいえ、こちらこそ、お忙しい中お引き受けいただいただけでなく、本当に面白いお話をお聞

かせいただいて感謝の言葉もありません。

大木:本当に、今から原稿を作るのが楽しみですよ。それから先生、ぜひうちの高校にもいらっしゃっ

てください。

ヤン:ありがとうございます。大学のほうでも、高校に出かけて説明会があるというような話も聞いた

ことがありますし、機会がありましたら、ぜひ。

箸本:それがだめでも、機会は私たちで作りますので、よろしくお願いします。

大木:ええ、久我に話を持っていけば、学校行事として何か企画してくれるでしょうし、新聞部独自の

イベントということにしても、何とかなると思いますから。

ヤン:なんでもしますと言いたいところですが、あんまり変なことはさせないでくださいよ。

大木:その辺はもう、信頼してくださいと言うしかありませんね。

箸本:そうですよ、先生。あきらめて覚悟を決めてください。

ヤン:なんだか、ちょっと怖いような気もしますね。お手柔らかにお願いします。

語注

口を挟む 二人で話している時に、三人目が横から口を出すこと。

録音を起こす 録音などの音声データを、文字化すること。

オフレコ その場だけの話にして、他の人には言わないこと。聞かなかったことにするという意味で理

解してもいい。

釘を刺す 厳しく何度も注意すること。特に、変なことをしたり言ったりしないように注意する時に使

われることが多い。

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〈メールでのやり取り例〉

メール1

勧学院大学文学部

ヤン・ヤンデラ先生

突然メールを差し上げて申し訳ございません。私、勧学院大学付属高校新聞部

の箸本朋子と申します。この度は先生にお願い申し上げたいことがありまして、

メールを差し上げました。

さて、お願いと申しますのは、お忙しい中、申し訳ないのですが、私どもの新

聞部で毎月発行しております学校新聞のインタビューを受けていただけないか

ということです。先生の連絡先は、本校新聞部顧問の久我から教えてもらいまし

た。

それで、お引き受けいただける場合には、こちらからお願いすることですので、

時間、場所等はできるだけ先生の御都合に合わせますので、御都合のいい時間と

場所をご指定ください。また、具体的な内容などについては事前にメールで打ち

合わせさせていただきたいと思っております。

それでは、お仕事お忙しいとは思いますが、よろしくお願いいたします。

勧学院大学付属高校新聞部

箸本 朋子

メール2

箸本朋子さま

丁寧なメールありがとうございます。インタビューの件は貴校の久我先生から

もお話を伺っておりますので、引き受けようかと思っております。御期待に沿え

るような面白い話ができるかどうかわかりませんが、よろしくお願いいたします。

それから場所と時間についてですが、高校生の箸本さんに、平日の昼間を指定

するわけにもいきませんので、放課後か週末ということでいかがでしょうか。場

所は平日の場合には、大学の近くの渋谷まで出てきていただけるとありがたいで

す。週末の場合には、どこでもかまいません。

それではまた。よろしくお願いいたします。

ヤン・ヤンデラ

メール3

ヤンデラ先生

早速の御返事ありがとうございます。日時に関して授業にまで配慮していただ

きありがとうございます。私どもの高校では水曜日だけは終業時間が早いので、

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水曜日の午後で、先生の御都合のいい日にお願いできますでしょうか。また、メ

ールでの打ち合わせにもお時間をいただきたいので、来週以降の水曜日の、高校

から渋谷まで出向く時間を考えまして、午後 4時以降で、先生の御都合のいい日

時をご指定ください。また、場所に関しましても、大学まで出向くことも可能で

す。

それでは、今後ともよろしくお願いいたします。

勧学院大学付属高校新聞部

箸本 朋子

メール4

箸本さま

メールありがとうございます。日時の件ですが水曜日の 4時以降ということで

了解しました。来週はちょっと夜まで所用があって無理ですので、再来週の水曜

日の4時からということにさせてください。

場所は大学ではなく、渋谷駅近くの喫茶店でお願いできますか。名前は失念し

てしまったのですが、以前久我先生と一緒に行った渋い感じのいい喫茶店ですの

で、先生に聞いていただけれけばわかると思います。わからない場合には「古記

録を読む会」の会場と聞いていただければわかりやすいと思います。

それでは、お会いできるのを楽しみにしております。

ヤン・ヤンデラ

メール5

ヤンデラ先生

メールありがとうございます。日時、場所とも了解いたしました。喫茶店に関

しましては、以前大学見学の帰りに、久我に連れられて行ったことがありますの

で大丈夫です。がらがらのことが多いようですが、念のために、私、箸本の名前

で予約を入れておきますので、ないとは思いますが、万が一、先生のほうが先に

お着きの場合には、コーヒーなど召し上がりつつお待ちいただければと思います。

内容の打ち合わせに関しましては、また改めてメール差し上げたいと存じます。

それでは、お目にかかってお話をお聞きするのを楽しみにしております。

勧学院大学付属高校新聞部

箸本 朋子

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文型の復習

9中(を)(=のに。ところ)

・雪が降っている中、買い物に行きたくなかったので、夕食はカップラーメンで済ませることにした。

・仕事で忙しい日が続く中、何とか時間を作って先生のお見舞いに行った。

・この暑い中を、毎日学校に行って受験勉強をしている高校生たちは大変だと思う。

参考

15動詞(未然形)+ぬ+名詞(=ない。否定の助動詞「ず」の連体形が「ぬ」である。古い表現)

・まだ見ぬ人へのあこがれを詩に書き、雑誌に発表した。(=会ったことがない人)

・『沈まぬ太陽』という題名の小説を読んだことがある。(=沈まない太陽)

・血のつながらない親子関係を意味する「なさぬ仲」という古い言葉を、今でも使う人はいるのだろう

か。(漢字で書くと「生さぬ仲」になる)

※話し言葉で「ない」と同じ否定の意味で使われる「ん」は、この「ぬ」の音便形である。ここで少し

日本語の歴史の話をすると、室町時代ぐらいから、終止形ではなく連体形が文末に使われるようになっ

ていくのである。例文がちょっと方言ぽくなってしまった。

・出雲:頭、明日、暇だったら飲み行かん?(=行かない?)

長谷:明日は、ちょっと用事があるから行けんわ。(=行けないわ)

参考「とは言えども」

「雖も」と書くこともある。また「言えど」だけで使うこともある。硬い表現。

・日本人と言えども、外国に長く住んでいると日本語が怪しくなるものだ。

・いくら大統領と言えど、自分で好き勝手に総理大臣を決めることはできないはずである。

※他の動詞でも「仮定形+ども/ど」の形で使えるものがあるが、古い表現になる。

・働けど働けど暮らしが楽にならないという短歌があったと思う。

・お金はあれども時間がないので、どこにも行くことができない。

練習問題

➀正しいものを選びなさい。

1)この講演の依頼を引き受けるかどうかは、授業の予定を確認〔する/して/した〕上で、返事させ

ていただきます。

2)先生は、そんなことどうでも〔いい/よかった/よくない〕と言うふうに、手を振っていた。

3)チェコに留学〔する/して/した〕上で、英語はそれほど大切ではないと思います。

4)今朝は、窓が凍り付いて〔開かない/開いた/開かなかった〕ほど寒かった。

5)毎日毎日勉強する〔こと/もの/の〕に嫌気がさして大学を辞めてしまった。

6)私は日本に〔行く/行って/行った〕たびに、留学時代の友人と会ってお酒を飲みに行く。

7)友人は、学校から帰って〔来る/来て/来た〕とたんに、コンピュータをつけてゲームを始めた。

8)私は健康のために毎朝牛乳を〔飲む/飲んで/飲んだ〕ようにしている。

9)今週は会いたくない親戚が来ているので、うちに〔帰る/帰った/帰らない〕ようにしよう。

10)鈴木先生には、メールで連絡を〔取る/取って/取った〕上で、直接お電話を差し上げました。

11)部屋の中で花火を〔する/して/した〕上で大切なのは火災報知機のスイッチを切っておくことだ。

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12)もう今からでは変更〔せ/し/する〕ようはありませんので、予定通り明日来てください。

13)日本語は教科書を読むだけではできるように〔なる/なった/ならない〕。

14)私は大学まで英語を勉強したとは言え、それほど〔できる/できない〕わけではない。

15)今日は昼ごはんも食べられないほど〔忙しかった/暇だった/時間があった〕。

②次の文を完成させなさい。

1)先生が____________というふうに手を振っていたので、部屋を出て行こうとしたら、

呼び止められた。呼んでいたらしい。

2)その学生は授業が終わったとたん、___________________。

3)明日はオープンキャンパスなので、休日とは言え____________________。

4)記憶力には自信のある私でもおぼえ切れないほど____________________。

5)友人はうちに来るたびに________________________。

6)____________________という生活にはもう嫌気が差してしまった。

7)__________________ので、毎朝早く起きるようにしている。

8)勉強をおろそかにして遊んでばかりいると、___________________よ。

9)日本人の中には、日本の伝統文化に詳しい人もいれば、____________。

10)仕事の量が多い時は、残業することもあれば、__________________。

11)明日までに必要な書類を全部そろえた上で、___________________。

12)この国には美しい山もあれば____________ので、観光客が多い。

13)すばらしいと言うか、__________と言うか、何と言えばいいかわからない。

14)今までの生活に嫌気が差して、________________________。

15)忘れ物をしないように、必ず____________ようにしています。

16)私は、毎日この_____に沿って 10kmほどジョギングしています。

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副詞の復習

1早速(=すぐ。使い方に注意)

・昨日もらった給料で、今日早速新しいコンピューターを買った。

・早速ご返事をいただきまして本当にありがとうございます。

5突然(=急に、いきなり。不要かもしれませんが念のため)

・一緒にお酒を飲みながら話していた友達が、突然泣き出してびっくりした。

※同じ意味で「突如」という言葉もある。硬い表現。

・学校から帰ろうと思っていたら、突如激しい雨が降り出して、帰れなくなってしまった。

7この度(=今回。硬い表現)

・この度は、遠いところからお越しくださいまして、本当にありがとうございます。

・私、この度、北海道支社に転勤することとなりました。

8今後(=これから)

・今後は、このような問題が起こらないように、気を付けていきたいと思います。

・今後、どのように事業を展開するかについて会議を開きます。

・今後の予定は、メールでお送りしますので、確認しておいてください。

・今後ともよろしくお願いいたします。(仕事のメールの最後に使う)

14ほぼ(=ほとんど、だいたい)

・昨日のテストは、ほぼ間違いなくできたと思う。

・これから、ほぼ二ヶ月は、仕事が忙しくて寝る暇もなくなりそうだ。

16たまに

・普段はないのですが、たまに日本に帰りたくなることがあります。

・私は、たまにしか日本に帰らないので、今どんなマンガが人気なのかは知りません。

・父は仕事が忙しいのか、毎晩午前様だが、たまには私が寝る前に帰ってきてほしい。

参考 「滅多な」特別な使い方。

・滅多なことがない限り、試験には合格できると思います。(=滅多にないほど特別な)

・最近、やたら滅多ら忙しくて、もう死にそうです。(=とても、非常に、めちゃくちゃ)

練習問題

次の文の( )に適当な言葉を入れなさい。

1)いつもはまっすぐうちに帰るのですが、( )友達と一緒に飲みに行くこともあります。

2)チェコの人は毎週実家に帰る人が多いようですが、スロバキア人の私は( )帰れません。

3)最終決定ではありませんが、( )間違いなく来年日本に留学できそうです。

4)子供の頃は背が低かったので、( )背の高い人になりたいと思っていた。

5)田舎に帰って空港から実家の町までバスに乗ったら( )で、乗客は私一人だけだった。

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6)あの先生は、( )本当ですよという顔で嘘をつき、( )嘘ですよという顔で本当のこと

を言うので、どれを信じればいいのかわからない。

7)昨日皆川先生からメールが届いていたので、( )返事を書いてお送りした。

8)父は健康が自慢だったのに、道を歩いている時に( )倒れて救急車で運ばれてしまった。

9)相談がある人は、( )メールで内容を送ってください。

10)この件に関しては、今日は結論を出さずに、後日( )相談させてください。

11)( )電車が遅れそうな場合には連絡してください。試験の開始時間を遅らせます。

12)私( )本校に転勤してまいりました田中と申します。

13)青酸カリは( )少量でも飲むと人が死ぬらしいので、推理小説によく出てくる。

14)( )この授業では、練習問題はしませんので、必要な人は自分で練習してください。

15)冬が来れば、( )春になると言われても、寒いのは我慢できません。

16)これまでは勉強が足りなかったので、( )真面目に勉強して行こうと思います。

17)遊びに行く前に、( )宿題を終わらせておきなさい。

18)昔はよく東京に遊びに行ったものだが、最近は( )行かなくなってしまった。

19)申し込みの締め切りは九月二四日までですが、( )連絡をくれれば二五日でもいいです。

20)私が使っているのはそんなに高い筆ではありません。( )普通の安い筆です。

21)友人が作って持ってきてくれた料理は( )美味しそうに見えたが、何が入っているかわから

ないので食べずに犬にやった。

22)この書類は日付が古すぎますので、( )新しい日付で出してもらってください。

23)あの人は( )息をするように嘘をつくから、気をつけてくださいね。

24)うちの玄関は古くて開け閉めするたびに( )音を立ててうるさいので改築する予定です。

25)本物のマツタケなんて日本人でも( )食べられないものですよ。

「かねる」練習問題

①正しいものを選びなさい。

1)本を読んでいて時間を忘れて遅刻し〔かねる/かねない〕から、朝は本を読まないようにしている。

2)鴨料理は美味しいと思うのですが、食べるとお腹を壊し〔かねる/かねない〕から食べません。

3)授業中にそういう個人的なことを聞かれても、答え〔かねます/かねません〕。後で研究室まで聞

きに来てください。

4)あの人は口が軽くて、秘密だと言ったことも喋ってしまい〔かねる/かねない〕から、重要なこと

は教えないほうがいい。

5)レストランでスビーチコバーにするか、ベプショ・クネドロ・ゼロにするか、決め〔かねて/かね

ないで〕いたら、友人が勝手にオンドラーシュを頼んでしまった。

6)今日は強い風吹いていて、窓を開けておくと書類が飛ばされ〔かねる/かねない〕から、窓は閉め

てください。

7)この計画を実行に移した場合、大きな自然破壊が起こり〔かねる/かねない〕ので、私としてはこ

の計画に賛成し〔かねます/かねません〕。

8)私はこの仕事を会社の業務として致しておりますので、このような個人的な謝礼は受け取り〔かね

ます/かねません〕。

14

②次の文を完成させなさい。

1)窓を開けたままだと虫が入ってきかねないから、____________________。

2)____________________ので、私の口からは答えかねます。

3)___________________たら、学校から出られなくなりかねない。

4)___________________ので、本当の事は言いかねた。

5)あの人は酔っ払って変なことをしかねないから、____________________。

③動詞を正しい形にして入れなさい。

1)窓に座って外を見ていると( )かねないからやめなさい。ここは三階ですよ。

2)そんな鈴木先生でもすぐには( )かねる質問をするなんて、すごいですね。

3)今までチェコ語はぜんぜんできない振りをしてきたので、実はできるとは( )かねた。

4)遅くまで起きていると明日授業中( )かねないから、早く寝たほうがいいよ。

5)コンタクトレンズを付けたまま寝ると( )かねないから、気をつけてくださいね。

④適切な助詞を入れなさい。

1)江戸時代にあった奉行所という役所は、現在の警察( )裁判所( )兼ねているような役所

だった。

2)この学校は学生の数が少ないので、理科の先生( )数学の先生( )兼ねているそうです。

3)気分転換( )かねて、買い物に行くことにしました。

4)この冷蔵庫( )冷凍庫( )兼ねていますので、スイッチを切り替えれば氷も作れます。

15

〈本文2〉

練習問題

①正しいものを選びなさい。

1)お金があまりないので、10万円〔の/より/×〕以下のコンピューターを買おうと思う。

2)これは、きゅうりみたいに見えますが、実はトマトの〔種類/一種/種〕です。

3)この作品こそ隠れた日本文学の最高傑作だと〔言っては/言っても/言う〕過言ではない。

4)毎日野菜を十種類〔を/×/が〕食べなければならないといわれています。

5)この地方は、鎌倉時代から江戸時代〔に/を/が〕かけて島津氏に支配されていた。

6)このフリーソフトは、ソフトと言うより〔種類/一種/種〕のウィルスですからダウンロードしな

いほうがいいです。

②〔 〕内の言葉を使って一つの文を作りなさい。

1)〔以下/69点/テスト/この前/漢字/それぞれ/16課/10回/提出する/書く/新しい〕

2)〔あの人/10年/この問題/研究する/以上/いる/言う/専門家/過言/ない〕

3)〔日本/会社/分ける/大きく/種類/ある/三つ〕

4)〔チェコ/クリーシュテ/虫/いう/日本/一種/思う/ダニ〕

5)〔から/九州/東北/地域/広い/かける/今朝/雪/いる/降る〕

6)〔あくまで/私たち/話/間/誰/よう/言う/ない/する/これ〕

7)〔動物/この/見た目/違う/ちょっと/一種/実は/猫/思う〕

8)〔全部/種類/日本/分ける/方言/何/できる/こと/思う〕

9)〔あくまで/私たち/目指す/ない/あきらめる/頂上/富士山/登る〕

10)〔田んぼ/同じ/植える/米/品種/よる/地域/異なる〕

16

「次第」の練習問題

①正しいものを選びなさい。

1)それでは、田中が〔戻り/戻る/戻って〕次第、ご連絡させますので。

2)このホテルに泊まるかどうかは、値段〔の/が/×〕次第です。

3)皆川先生がご到着〔の/が/×〕次第、本日の会議を始めることにします。

4)最近次第〔に/で/×〕金の値段が上がっているようなので、私も買ってみようと思います。

5)プラハへの到着時間次第〔に/で/×〕、その後の予定を決めましょう。

6)来月ぐらいから次第〔に/で/×〕気温が下がって、冬が始まるでしょう。

②次の文を完成させなさい。

1)今日はうちに母親がいないので、授業が終わり次第_______________ならない。

2)日本にいけるかどうかは、_______________次第です。

3)_______________次第で、どのコンピューターを買うか決めようと思います。

4)ヤンデラ先生、_______________ので、_________次第、連絡ください。

5)お金が 100万円たまり次第、_______________と思う。

17

《本文3》

この教科書の登場人物の名前をどのようにして決めたか、説明しておきましょう。偽の名前を決める

時に参考にしてください。

1宮尾環

この人については、まずあだ名の「タマ」が先に決まりました。「タマ」になりそうな女性の名前の

中から、現在でも使われそうな名前ということで、「タマキ」が選ばれ、漢字も一番無難な「環」にな

りました。名字のほうは、「タマ」と言えば猫の名前ですから、猫に関係ありそうな名字を探したので

すが、「猫」の字はあまりに直接的で使いたくありませんでした。それで鳴き声の「ニャー」「ニャーオ」

に似た名字を探したのですが、「ニヤ」や「ニヤオ」では、気に入った名字を作れなかったので、少し

変えて「ミャーオ」から、「宮尾」にしました。

2秋野幹久

四課の会話文に出てきたミッキーマウスの話をするために、名前は「ミキ」で始まるものに決めまし

た。いくつか候補があった中から、この名前が選ばれたのは、直前に読んでいた小説の影響です。それ

がなければ、「幹朗」「三木助」「幹夫」「三樹三郎」なんて名前になっていたかもしれません。名字のほ

うは、最初の二文字に「ちゃん」をつけると女の子っぽくなるという条件で、最初に思いついたのが「ア

キちゃん」だったので、「野」を付けて「秋野」に決定。普通は使われない漢字を使って「穐あき

田た

」にす

るのも考えたのですが、自分でも授業中に読み間違えてしまいそうなのでやめました。

3久我通

これは、もう四課の会話のテキストに出てきた話をするためだけに作り出した名前です。ちなみに源

氏の久我家は実在しますので、興味のある人は調べてみましょう。昔の有名な女優に、この久我家出身

の人がいたような気がします。

4出雲たける

これも先に名前が決まりました。「タケちゃん」と呼ばせたかったのですが、漢字二文字の名前には

したくないという理由で、候補の中から「タケル」と「タケシ」が残りました。「タケシ」は知り合い

にいるのでやめて、「タケル」を選びました。漢字は、「猛」「武」「健」といくつか候補があったのです

が、どれがいいか私には決められませんでしたのでひらがなになりました。名字は、「タケル」と言え

ば日本神話に出てくる名前ですので、その中から二番目に有名な人物の名前を選びました。

5長谷川咲子

この人の場合には、あだ名の「お頭」が先に決まっていました。時代劇で「お頭」と呼ばれる人物と

言えば、長谷川平蔵ですので、名字は長谷川に決定。ちなみに、他の時代劇の主人公だと、徳川光圀みつくに

「ご隠居いんきょ

様」、大岡忠相ただすけ

は「お奉ぶ

行ぎょう

様」、遠山金四郎は「金さん」、銭形平次は「親分」と呼ばれること

が多いと思います。あだ名を「親分」にして、名字を「銭形」にしようかと考えたこともあるんですけ

どね。名前のほうは、読み方としては間違っていないけれども、日本人でも読むのが難しい名前と言う

ことでこの名前に決定。「恵美子え み こ

」「笑えみ

子こ

」という名前の女性も登場させて、名前談義をさせるという構

想もあったのですが、面白い話にならなかったので断念しました。

18

6池雅みやび

江戸時代が好きで江戸時代を勉強している学生だという設定がありましたので、江戸時代の画家

池大雅いけのたいが

を少しいじってこの名前にしました。名前は漢字で「小雅」と書くものにしたかったのですが、

この字では女の子の名前にできないので、「雅」だけ残して、女の子らしく「みやび」と読ませること

にしました。そして、名字と名前の間の「の」は現在では一般的ではないので外すことにしました。

7三鷹先生

この人の名前は決めていないのですが、名字はわりと有名な東京の地名で名字にも使えるものという

ことで選びました。その意味では、品川先生でも、渋谷先生でもよかったのですが、渋谷と品川は地名

として登場しているので、混乱を避けるために使いませんでした。

8鈴木先生

この人の名字は、私が決めたわけではありませんが、たぶん日本で最もよく使われる名字の一つだと

いうことで選ばれたのだと思います。ただ、今改めて考えると、あだ名だけでなく、名前も出てきてい

ませんね。

※その他の人は、その場で適当に昔の知り合いとか、小説なんかの登場人物から、名前を借りてきてい

ますから、聞かないでください。ただ小右記を読む研究会のメンバーの名前だけは、男も女も「美」の

字を使う名前にしました。それから、ヤンデラ先生がどうして、ヤン・ヤンデラになったのかは、私も

知りません。自分でありえそうな理由を考えてみてください。

19

矢野寺家の歴史

みなさん、私は一見外国人のような風貌をしていますが、実は生まれも育ちも静岡の日本人なんです。

ただ、先祖にヨーロッパ人もいまして、今日はその辺も含めまして私の家の歴史についてお話しろとい

うことですので、退屈かもしれませんが、最後までお付き合いください。

私自身も医者ですけれども、実家が江戸時代から続く医者の家系なんです。家伝によると、江戸時代

の中ごろ、今から三百年ぐらい前になりますかね、矢野村というところの百姓の三男坊だったうちの先

祖が、百姓と言ってもお金持ちの家だったらしくて、多分頭もよくて努力もしたんでしょう、大阪に遊

学させてもらった時に、蘭学と出会ったらしいんですよ。それで当時は蘭学と言えば医学ですから、医

者になろうと決意して、一度故郷に帰ってきた時に、当時矢野村の辺りは相良さ が ら

藩はん

の領地だったんですが、

藩主が田沼意次という方だったんですよ。その相良藩のお医者さんに小野寺順庵じゅんあん

という方がいらっしゃ

って、その方にお願いして弟子入りしたんです。何年か修行して一人前になって、独立する時に医者ら

しい名前をつけようということになって、矢野村の出身で師匠は小野寺だと言うことで、名字は矢野寺、

名前は師匠の名前から庵の字をもらって、良りょう

庵あん

という名前にしたんだそうです。良は地名の相良から

取ったんでしょうか。ちなみに、名前に庵を使うというのは今でも続いていまして、さすがに女の子に

は付けませんけど、男の名前には必ず庵の字を入れることになっています。その後、田沼家が失脚した

時に、小野寺先生は藩医を辞めて出身地の江戸に戻られたらしいんですが、良庵は町の医者として地元

に残ったんです。

その後代々、蘭学、すなわち西洋医学の研究のために、子供を長崎に遊学させたり、大阪や江戸に勉

強に送り出したりしていたらしいんですが、明治維新の後、ヨーロッパへの留学の道が開けた時に、当

時の当主の孝庵こうあん

が、これからは本場で学ばなければ駄目だということで、お金をかき集めて、山を一つ

二つ売ったという話も残っていますが、まだ二十歳前だった長男を、順庵、これは初代の師匠の名前を

そのまま頂いたものなんですけど、と改名させてヨーロッパに送り出したんです。それが明治 20年代

のことで、行き先がウィーンだったんです。初代の師匠、矢野寺家にとっては恩人の名前を与えられる

ぐらいですから、優秀だったんでしょうね。

数年後に留学を終えて帰国した時には、妻となる女性を連れていたそうなんです。その方が、――身

内に敬語を使うのはよくないことなんでしょうが、この方は、うちの一族では女神のように崇あが

められて

いる方で、子供の頃からの習慣ですので御勘弁ください――、ユリエ様と仰るんですが、本当によくで

きた方で、順庵の留学中も日本に帰国してからも、献身的に支え続けて、順庵は亡くなるまでずっと、

ユリエには頭が上がらないと言っていたんだそうです。ユリエ様は、来られた時にはまったくできなか

った日本語もやがて問題なくできるようになって、地元の人たちからも天女のようだと言われていたら

しいです。異国での生活が大変だったんでしょうか、ユリエ様は来日から 20年目、42歳で亡くなられ

たと伝わっています。順庵はその後も、20年ほど生きるのですが、再婚はしなかったようです。

考えてみれば、順庵は、森鴎外と同じような状況なんですけど、うちの先祖は藩に仕えていた名家と

いうわけでもありませんでしたし、もともと西洋医学を目指していたので、ヨーロッパからのお嫁さん

と言うのは大歓迎だったらしいです。その後も矢野寺家では、代々、息子たちのうち少なくとも一人は

優秀で、医者になったものが跡を継いで、現在の私に至るという次第です。

ここまでが、父方の矢野寺家の簡単な歴史なんですが、母方の尾場お ば

家の方にも外国の血が入っていま

して、こっちはあんまりいい話ではないんですけれども、祖母がいわゆるシングルマザーでして、未婚

の母だったのか、一度結婚して離婚した、ちょっと前に流行った言葉で言うと「バツ一」だったのか、

20

祖母も母も教えてくれませんのでわからないのですが、私の祖父に当たる人が、外国人、どうもチェコ

スロヴァキアの人だったらしいんです。祖父と言えないのは、会ったことがないからなんですけど、私

だけじゃなくて、母も会ったことがないらしいです。生前の祖母は、いつもやわらかい笑みを浮かべて

いて、まさに老貴婦人という言葉がぴったりだったんですが、この話をすると、怒りだすので詳しい話

は聞けなかったんですよね。母も、知っているのか、いないのか、何も教えてくれませんでしたし。

私自身も、祖母と同じようなもので、一度結婚しましたが今は離婚しています。以前アメリカに留学

と言うか、研修と言うかで滞在していた時に、チェコ人のユリエという名前の女性と知り合って、結婚

して子供まで生まれたんですが、長続きしませんでした。私も相手が、祖父に当たる人と同じ国の人か

もしれなくて、ユリエ様と同じ名前というので舞い上がっていたのかもしれません。やっぱりそういう

結婚というのは長続きしないものですね。彼女は生まれた息子を連れてチェコに帰ったんですが、養育

費はちゃんと払っていますし、息子も毎年一度は会いに来てくれます。息子の名前は、チェコ語の名前

を付けたいと言う彼女と、庵の字を入れたい私の妥だ

協きょう

で、キリアンという名前になりました。日本語

で書くときは、桐の木の桐がいいか、秋の霧の霧にするか悩みに悩んだんですけど、音読みした時に、

「トウアン」の方が、「ムアン」より響きがいいので、桐の木の方を選びました。息子が医者になって

くれたら、矢野寺桐庵と名乗らせるつもりです。チェコでは、母親の旧姓を使ってキリアン・パードロ

と名乗っているみたいですけどね。

息子が医者にならなかったら、私は再婚するつもりはありませんので、矢野寺家は私で断絶というこ

とになりますが、それはそれでかまわないと思います。形あるものは必ず滅びるのです。三百年も続い

たのだからよしとすべきでしょう。仏教的かどうかは知りませんが、諸しょ

行ぎょう

無む

常じょう

、万物ばんぶつ

流る

転てん

が日本人の

哲学なのですから。

〈裏話〉

ヤン:こんな感じでどうですか? 宮尾さん。

宮尾:えっ、先生、この前の飲み屋での与太話をここまで広げちゃったんですか。脱帽です。

ヤン:結構考えるの楽しかったんですよ。自分のことだと、プライバシーとか考えるから、言いたくな

いことも出てきますけど、フィクションだと何でも喋れますしね。

宮尾:そういうものなんですか。やってみたら面白いかもしれませんね。先生が日本人になったのだか

ら、私はチェコ人ですかねえ。ちょっと面白そうな名前と経歴を考えてみます。

ヤン:せっかくだから、チェコ語の授業でみんなにもやってもらいましょう。

宮尾:そうですね。それはいいかもしれません。池さんとか好きそうですもんね。

21

文型表現の復習

16出身(意味は問題ないと思うが、使い方に注意)

・私は九州出身なので寒いのが苦手です。=九州の出身

・オロモウツ出身の人は手を挙げてください。

・ヤンデラ先生のご出身はどちらですか。

※地名だけでなく組織、機関にも使える。

・パラツキー大学出身の人で、日系企業で仕事をしている人はどのぐらいいますか。

・前の大統領のクラウス氏は ODS(の)出身だったが、今の大統領のゼマン氏は CSSD(の)出身で

ある。次の大統領は共産党出身の人になるかもしれない。

※「出身地」「出身県」「出身校」「出身大学」「出身者」などの表現もある。

・昔、メンデルの出身地を探したことがあるのだが、同じ名前の村が二つあってどちらが本当の出身地

かわからなかった。

・東京でパラツキー大学(の)出身者の集まりが行われたので、私も参加しました。

18辺り(本来は「近く」と似た意味でだいたいの場所を表す表現)

・私は、あの日本語の本が置かれている本棚の辺りにいますので、用があったら呼んで下さい。

・ヤンデラ先生の家は、この辺りのはずなんですが。(住所の書かれた紙を見ながらって古い?)

※「この」などの指示語に付けるときには「へん」と読むことも多い。

・A:ちょっと疲れたので、この辺で休憩しませんか。(=この辺り)

B:もうちょっと頑張って、あの辺まで行きましょう。それから休憩です。

・おかしいなあ。駅の前って言ってたから、ここら辺にいるはずなんだけど。

※場所ではなくて大体の時間を表すのにも使える。

・みなさん、疲れているみたいですね。じゃあこの辺りで一度休憩を入れましょう。10分後に再開する

ので遅れないように戻ってきてくださいね。

・鈴木:ヤネさん、来週の週末辺りどう?

ヤン:そうだねえ。何とかなるかな。(何について話しているかは本人達しかわからない)

※例、候補を挙げる時にも使う。

・鈴木:さて、ヤネさん、今日はどこに行こうか。

ヤン:そうだねえ。赤牛のお店辺りはどうかな。

・最近、仕事が多くなってきたので、宮尾さん辺りに手伝いを頼んでみようと思う。

練習問題

①適当なものを選びなさい。

1)いつも宮尾さんにお願いするのは〔あれ/これ/それ〕だから、今回は池さんにお願いします。

2)先週のビールフェスティバルで、たくさんのビールを〔飲み/飲む/飲め〕に飲んだので、しばら

くお酒は飲まなくてもいい気分だ。

3)もう時間〔は/が〕時間だから、そろそろ終わりにしましょう。

4)私の出身〔地/県/校〕は、東京都の渋谷区にあります。

5)ちょっと早いですが、今日は〔これ/この/それ〕辺りで終わりにしましょう。

22

②次の文を完成させなさい。

1)第二次世界大戦中は、時代が時代だったから、___________________。

2)___________________ので、これから毎日働きに働いてお金を稼ごうと思う。

3)ヤンデラ先生はチェコの方らしいですが、チェコと言えば、_______________。

4)今は、季節が季節ですから、___________________。

5)私はオロモウツ出身なので、___________________。

副詞復習

23当時(=その時/あの時)

・鈴木さんとは 10年以上前に知り合ったのですが、当時私はパラツキー大学の学生で日本語を勉強し

ていました。

→10年以上前に鈴木さんと知り合った当時、私は私はパラツキー大学の学生で日本語を勉強していまし

た。

・私が初めて団体旅行でチェコに行ったのは、1980年代の中ごろですが、当時はまだチェコスロバキ

アで、観光ビザが必要でした。

・スパーマーケットで、偶然、私が高校に入学した当時の校長先生をお見かけした。

・明治維新当時の日本では、キリスト教だけでなく、日蓮宗の不ふ

授じゅ

不ふ

施せ

派も禁止されていた。

※年号に直接付けることもある。

・先の天皇が崩御なされた 1989年当時、私は高校三年生で大学受験のために勉強していました。

・第二次世界大戦が終結した 1945年当時のアメリカの大統領はルーズベルトだった。

練習問題

適切な言葉を入れなさい。

1)チェコ語もスロバキア語も、( )スラブ語に属しています。

2)私は( )外国人ですので、日本語が完璧にできるようにはなれないと思います。

3)スロバキア語のような難しい言葉がこんなに上手にできるなんて、マルティンくんは( )

天才ですね。

4)東京オリンピックが行われたのは、50年前のことですが、私の両親は( )まだテレビが

なかったので見ることができなかったそうです。

5)チェコはこんなに小さい国なのに、本当にたくさんの種類のビールがあってどれも非常に美味しい。

( )ビール王国と言われるにふさわしい。

6)私が始めて日本に来た( )の総理大臣は、確か小泉純一郎だったと思います。

7)ペトルくんとパベルくんは日本語能力試験のN1を受けましたが、( )問題なく合格でき

たそうです。

参考「すなわち」「仮定形+ば」と共に使って後に来ることが当然であることを示す。古い表現。

・食べ過ぎれば、すなわち太る。食べなさ過ぎれば、すなわちやせる。

23

擬音語擬態語

ジリジリ 目覚まし時計のベルの音。擬音語。擬態語として使うこともできる。その場合には焦ってい

る時の気持ちを表す。

パッチリ 目が大きく開いている様子を表す。擬態語。

グッスリ 気持ちよく眠っている様子を表す。擬態語。

ヘトヘト 非常に疲れている様子を表す。擬態語。

スッキリ 物を捨てた時に感じる気持ちのよさを表す。擬態語。味について使うと濁りのない味。

ホカホカ 暖かくて気持ちのいい様子を表す。擬態語。料理に使う場合には、できたてのまだ湯気の立

っている料理について使う。

アツアツ 食べ物や飲み物が非常に熱い時に使う。擬態語。特にご飯やスープに使うことが多い。

カリカリ 薄くて硬いものをかじる時に出る音を表す。擬音語。擬態語として使うとかじると音がでそ

うな様子を表す。

トロトロ 熱で物が溶けている様子、また液体が硬くなろうとしている様子を表す。擬態語。

ヒューと 強い風が一度だけ吹く音。擬音語。

ヒリヒリ 体の表面がひどく痛む様子を表す。擬態語。

シンシン 非常に静かな様子を表す。擬態語。

キラキラ 物が繰り返す光る様子を表す。擬態語。

クラクラ 頭をゆれてまっすぐにしていられない様子を表す。擬態語。

ワイワイ 内容はわからないがたくさんの人の声が聞こえてくる時に使う。擬音語。

ガヤガヤ 「ワイワイ」とほとんど同じ。こちらのほうがうるさい感じがする。擬音語。

ワンワン 犬の吠える声。擬音語。

キャンキャン 犬の吠える声。「ワンワン」より小さな犬の声。擬音語。

ブルッと 体が一度震える様子を表す。擬態語。音を感じる場合には擬音語。

バタンと ドアなどが激しくしまる音。また倒れる時の音。擬音語。

ギリギリ 差がほとんどないことを示す。擬態語。

ドタバタ あちこち音を立てて歩き回って仕事などをする様子。走りまわる様子でもいい。擬音語。擬

態語としても理解できる。

サクサク 降ったばかりの雪を踏んで歩く時の音。擬音語。

ポッカリ 大きなが穴が開いている様子を表す。擬態語。

ピョンと 軽く跳び上がる様子を表す。擬態語。

トンと 軽く飛び降りた時の音、もしくはその様子を表す。擬音語、擬態語。

カチカチ 非常に硬く固まっている様子を表す。擬態語。比喩的に緊張して体が固まっている様子を表

すのにも使われる。

ツルツル 滑りやすい様子を表す。擬態語。既出

バタバタ 激しく手などを振る様子を表す。擬態語。音を感じる場合には擬音語として理解することも

できる。また職場などが混乱している時にも使える。

ドスンと 大きなものが地面に落ちた時に立てる音を表す。擬音語。

パリパリ ガラスなどの薄いものが割れる音を表す。擬音語。

グキッと 手首や足首などの関節をひねった時に立てる音を表す。擬音語

24

ガツンと 強く一回たたく時の音を表す。擬音語。比喩的に擬態語としても使える。

ズキズキ 怪我の痛みや頭痛などが激しい時に使う。特に血管の脈拍が感じられるような時に使うこと

が多い。擬態語。音を感じると言うなら擬音語にしても可。

グッと 一度強く力を入れる時、力を入れて押す時に使う。擬態語。

グイと 「グッと」とほとんど同じ。擬態語。

タラッと 汗や血などが、一滴だけ流れ落ちる様子を表す。擬態語。

ポタポタ 液体が滴になって落ちる音を表す。擬音語。

ヨタヨタ 力が入らずまっすぐ歩けない様子を表す。擬態語。

ヨロヨロ 「ヨタヨタ」とほとんど同じ。擬態語

ガサゴソ カバンなどの中に手だけ入れてあれこれ探す様子を表す。擬態語。

ジャラジャラ 金属でできたいくつかのものがぶつかって立てる音を表す。擬音語。

ガチャリと 鍵などを開ける時の音を表す。擬音語。

ガラガラ 横に引いて開けるドアを開ける時の音を表す。擬音語。

ブルブル 「ブルッと」と同じ。ただし一度だけでなく、繰り返し震えるときに使う。擬態語。

スルッと 握っていたものが滑っていく様子を表す。擬態語。穴に抵抗なく入っていく時にも使える。

サッと 素早く何かをする様子。擬態語。

ガチャンと 金属やガラスなどの硬いものがぶつかって立てる音を表す。擬音語。

スーッと 平らなものの上を、滑っていく様子を表す。擬態語。

バタリと 勢いよく倒れた時の音を表す。擬音語。

ゴツンと 硬くて重いものがぶつかった時の音。擬音語。

ペタッと 平らなものに吸い付くように張り付く様子を表す。擬態語。

注意

ここでは、擬音語も擬態語もカタカナで表記したが、一般に擬音語はカタカナ、擬態語はひらがなで

書く傾向がある。ただし、強調や読みやすさのために擬態語をカタカナで書くことも多い。また、擬音

語・擬態語を勉強する時には、意味だけでなく、どんな動詞と共に使うかも覚える必要がある。「する」

と共に使うものが多いのは確かだが、それだけではないし、「する」と共には使えないものもあるので、

大事なものはしっかり覚えなければならない。