聾者向け文章読解支援における構文的言い換えの効果について

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聾者向け文章読解支援における 構文的言い換えの効果について 乾 健太郎、山本 聡美、野上 優、藤田 篤、乾 裕子 電子情報通信技術研究報告、 WIT99-2、pp9-14, 1999 プレゼンテーション:小平知範 1

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聾者向け文章読解支援における構文的言い換えの効果について

乾 健太郎、山本 聡美、野上 優、藤田 篤、乾 裕子 電子情報通信技術研究報告、WIT99-2、pp9-14, 1999

プレゼンテーション:小平知範

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研究課題1. どのようなパタンの文が聾者にとって難しいか

2. 聾者にとってテキスト中の読解困難な箇所の計算方法

3. 日本語のどのようなパタンの言い換えがあるか、またそれの体系化

4. 柔軟な言い換えにはどの計算機構が良いかそれをどのように高度化すれば良いか

5. 読解能力の個人差を考慮したユーザ適応2

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概要• 聾者 ー 聴覚障害者の一区分     音声言語獲得前に失聴した人が多い

• テキスト簡単化の可読性基準と言い換えパタンの 構築に向けてのアンケート調査の概要と結果分析

• アンケートから、適切に言い換えるための条件や規則を調査結果の分析後に作成すること

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テキスト簡単化とは• テキストに構文的・語彙的言い換え操作をし、これをより平易で理解しやすいテキストに変換する作業

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アンケート方法

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対象:聾学校教諭3人 可読性の5段階評価・低い場合はその要因を書く。

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調査文の作成方法

• 約50種類の構文的属性についての例文を数文ずつ収集・作例するとともに、各例文について可能な言い換えを数パタンずつ作成

• 問題は、100問。そのうち75文は共通の問題。各問最大5個まで互いに関係の深い文。

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関係の深い文

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理解困難な原因

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評価の結果• 共通問題(75文)中55文の言い換え文の評価

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91%に対して評価の一致 → 信頼できる

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可読性基準分析データ

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結果分析

• 1) 構文属性による可読性の差異  ー文構造の何が異なるか分析

• 2) 経験的知見に基づく可読性の差異  ー共通要因を分析

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構文属性ごとによる可読性の分布

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ヴォイス

• 動詞の4つの態のこと  能動態、受動態、可能,自発態、使役態

• 可読性の低いヴォイスに関する構文の中で比較して理解しやすいもの、そうでないものの違いを分析

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ヴォイスの可読性

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難しさの要因• 受動文の構文が持ってる根本的な難しさ、複雑さの現れ 

• 使役文の「視点の相違」と依頼・勧誘に使われる否定の形(~ませんか)が難しい。

• 手話の影響、多義によって生じる誤解

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今後の課題

• 言い換えの蓄積と体系化

• 言い換えのための言語知識の蓄積と適用アルゴリズムの開発

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