演題:価値のデザインからはじめるビジネス企画(後編解説)

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Copyright (C) 2014 Takumi Business Place Corporation All Rights Reserved (無断複製/転載を禁じます). Methodで目指す 「ビジネスエンジニアリング」 後編 解説付き 株式会社 BusinessPlace 代表取締役社長 萩本順三

Transcript of 演題:価値のデザインからはじめるビジネス企画(後編解説)

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匠Methodで目指す「ビジネスエンジニアリング」

後編 解説付き

株式会社 匠 BusinessPlace

代表取締役社長 萩本順三

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匠Methodモデル理解のポイント

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価値とは?

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・価値にはカタチがあるのか?触れるもの?見えるもの?感じるもの、こと?説明できる事?

・欲しい理由なぜ人はモノをほしくなるのか?

・買いたくなる理由人がモノを買いたいと思う理由。高くても買いたくなる理由。

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【解説】さて、ここから匠Methodを理解するためのポイントを解説しましょう。まずは、匠Methodの中で「価値」をどのように捉えているのか説明します。匠Methodで価値を対象とした見える化を行う必要性に気が付いた時に、まず「価値とは何か?」という事を考えました。

価値は形として存在するもの?

感性で感じるもの?

なぜ人は価値を感じて、対象をほしいと思うのでしょう?

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価値のカタチ

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これほしい?

デザイン・革新的、カッコいいライン、可愛い曲線斬新なカタチ、元気になるカタチ

○ 全体的印象・美しい、可愛い、綺麗、COOL!・安心・安全、壊れない

○ 機能的印象・多機能、使い易い、COOL!、新しい楽しい

○ 価格・安くて買いたい、高くて良さそう

○ 流行・誰もが欲しがる、皆が持っている

○ 差別化・自分だけのカタチや色

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【解説】たとえば、自動車をほしいと思う場合

デザイン、全体的印象、機能的印象、などなど人によってグッとくるものが異なるでしょうね。

また、流行っているから欲しい、流行らないニッチなものが欲しいと様々です。

それをここではこのような図として書いてみました。

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エンジニアリングと価値

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これほしい?

差別化 流行

デザイン

全体的印象

機能的印象

価格

デザイン形状に構造を合わせる

楽しさ使いやすさ

早い、強い壊れにくい

多彩な機能、魅力的な機能

コストダウン

品質バグがない

感覚的に使いやすい感動的な機能性

ビジネス価値

価値の実現エンジニアリング

(外の価値)

(内なる活動)

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【解説】先の図を、匠Methodでよく使用する「外の価値」、「内なる活動」に分けてみました。

「外の価値」とは、外側つまりはビジネス価値のように、外側(顧客等)誰かに提供する価値の事です。

「内なる活動」とは、「外の価値」を実現する際に必要とされる活動・行為の事で、つまりは価値の実現(How)です。

匠Methodの考え方として、かならず「外の価値」を明確にして「内なる活動」を洗練化させる事を常とします。

「内なる活動」、価値の実現こそ、これまでのエンジニアリングを発揮する領域でしょうね。

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ビジネス・エンジニアリング(外の価値と実現を融合)

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差別化 流行

デザイン

全体的印象

機能的印象

価格

デザイン形状に構造を合わせる

楽しさ使いやすさ

早い、強い壊れにくい

多彩な機能、魅力的な機能

コストダウン

品質バグがない

感覚的に使いやすい感動的な機能性価値の実現

エンジニアリング

・開発プロセスの改善・価値を早期検証できるプロセス

・開発モデルの洗練化・スピードの確保と品質を高めるモデリング

・プランニング手法・プロジェクトを成功に導くプランニング・変化に対応できる

実現のためのエンジニアリング

外の価値を描き、その描いたものをどう実現するかという観点で洗練化

・ビジネス価値を描くビジネスモデルを見える化・関係者合意

・ビジネス価値の検証ビジネス価値を実現とセットで早期検証

・価値をカタチにするプロセスプランニング、モデル、ブランド形成

価値を描くためのエンジニアリング

ビジネス価値

(外の価値)

(内なる活動)

感覚イメージ描く力

実現作る力

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【解説】匠Methodでは、「外の価値」の領域にもエンジニアリングに似た要素があるのだという考えを持っています。それは価値の構造を形式的な表現で表す事です。

それは「内なる行動」と同様な、モデル、プロセス、検証という方法で実現できるのです。

しかし、既にあるものから創り上げるという発想はありません。

価値が見えないとしても、価値の意味を定義し、それを関係者に見せつけ、共感させたり、合意形成したりするという考えなのです。

つまりは、ないものを形化する「描く力」が必要となります。

描く力はエンジニアの方は不慣れな場合が多いでしょうが、これからはエンジニア必須の能力となるものです。

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身についている技と、見せる技

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・仕事ができる・学んだ事、応用が利かない・人に価値を説明できない

形式知(見せる技)

暗黙知的

・仕事の価値を人に説明できる・表現・共感ができる

形式知

暗黙知的 (身についている技)

差別化 流行

デザイン

全体的印象

機能的印象

価格

デザイン形状に構造を合わせる

楽しさ使いやすさ

早い、強い壊れにくい

多彩な機能、魅力的な機能

コストダウン

品質バグがない

感覚的に使いやすい感動的な機能性価値の実現

エンジニアリング

ビジネス価値

(外の価値)

(内なる活動)

感覚イメージ描く力

実現作る力

・成功している事実(属人性)・失敗する原因不明(属人性)

・価値を表現・説明・共感できる・再現性

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【解説】また、「外の価値」も「内なる活動」と同様な課題が存在しています。それは暗黙知の状態という事です。

暗黙知の状態は気づきにくいという特徴があります。

「内なる活動」が暗黙知として気づいていない状態では、・仕事ができる・学んだ事、応用が利かない・人に価値を説明できないという事象が見られます。このような場合、人に説明できないために自分の価値を理解してもらえない。せっかく良い仕事していても、周りに認めてもらえず成果が理解されないなどといった問題があります。

同様に、 「外の価値」が暗黙知として気づいていない状態では、下記の事象だけが見られ、その原因までは理解できないものです。属人的に成功している場合は、次の成功する可能性が低いという事も言えるかもしれません。・成功している事実(属人性)・失敗する原因不明(属人性)また、このような状況では、お客様からお褒めいただいてから気が付くという控えめな日本固有の特徴が出すぎてしまい、強化すべき点を意識して強化する事ができず勿体ない状態であり、ビジネススピードを減速させます。

つまりは、 「内なる活動」と同様のテーマが「外の価値」にも存在しており、それをよりよい方向へ誘うには新たなエンジニアリング的手法が必要とされていると考えました。

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欲しくなる魅力はどこにある?

• 実は身近な所に存在する!

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消費者これほしい

プロジェクトのメンバー「これやりたい」 魅力的な

リーダー

魅力的なプロジェクト

システム開発のユーザ「これ欲しい」

企業「あの企業に入りたい」

システム要求

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【解説】価値だ!、価値だ!というと引いてしまう方もいるかもしれません。

しかし価値はどこにでも存在しているものなのですよ。

というか、価値を意識するという事は、どこにでも良い結果をもたらすのです。

実際に、価値を匠Methodに導入してからというもの、チームメンバーの目の色が変化していくのが手に取るように分かるので僕自身驚きました。

これは、価値を感じるためには、組織、会社という枠組みを外した外側から物事の本質を見抜く力につながり、それがパワーとなるのかと思います。

価値を表現する事は恥ずかしいという事はありません。その価値は何なのか、誰に対するものなのか、常に問う自分を持ちましょう。そのような考え方で「価値分析モデル」は作られています。

価値分析モデルは、実は匠Thinkという要求開発シンキングの下記の言葉に対する演習から生まれました。

「目的だけでは足りない、目的の価値を問え」

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ビジネス価値を描いてから作るということ

あなたにも関係する。=>自分の意識改革

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個人としての価値自分の能力をブランディングできていますか?

部門としての価値皆さんは、部門のブランディングができていますか?

会社としての価値会社の強みを外にブランディングができていますか?

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【解説】このような考え方で生まれた匠Methodのモデルは、小(自分)、中(部門、製品)、大(企業、社会)というように、小さな課題から大きな課題まで同じ方法で使えるものとして考えました。

本質的に素晴らしい本物であれば、大小変わりなく使える本質を元にしているという事が僕の信念にあります。

ですので、会社の価値を考える人は、部門も自分自身の価値も考える力が備わるべきという考えがあります。

そこに匠Methodの価値分析モデルの本質があります。価値分析モデルに登場するステークホルダには、会社もあれば、社長もいるでしょう。また、自分たちチームも存在しているでしょう?それらの価値を考える事こそ、この価値を描く訓練となり、そのうち組織や会社を超えた次元で物事を見たり、少しスコープを絞って部門で考えたり、あるいはもっとスコープを絞り自分も存在するチームの価値を考える。

そんな事を繰り返す事で、頭が元々潜在的に持っていたクリエイティブ思考に切り替わるのです。

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ビジネス価値を描いてから作る=>エンジニアリング改革

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価値の実現エンジニアリング

ビジネス価値

(外の価値)

(内なる活動)

オーナ(戦略的視点)

業務・営業(業務問題解決の視点)

IT担当(IT活用の視点)

ビジネス価値を描く活動(要求開発・こたつモデル)

・価値を描くことでブランド形成、プロモーションを早期に実施可能となる・価値を描くことで内部活動は洗練化・最適化できる・価値を描くことで作りの目標となる・価値を描いて公表する事で、内部の明確なミッションとなる

効果

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【解説】匠Methodは個人のテーマでも活用できるようになっています。たとえば自分自身のキャリア開発の目標定義などです。しかし、一般的な使い方としては、ビジネス企画です。ビジネス企画チームは、図のように要求開発のこたつモデルを形成します。こたつモデルとは、オーナー、業務(または営業)担当、IT担当という役割を持つ人たちをチームに入れて、その3つの役割でプロジェクトを進めるという考えです。オーナーは、そのビジネス企画を行う企業の役員またはビジネスプロダクトのオーナーです。

コタツモデルを僕が考えた時は、3つの視点を重視しました。

1つは、オーナーの戦略的視点です。この視点は、中長期的な価値を追い求める傾向にあります。2つめは、業務問題解決の視点です。この視点は、現在の価値を追い求める傾向にあります。この2つの視点で、将来の価値を「ビジョン、コンセプト、戦略」として描き、そのうえで現在の価値(現在やるべき事)を考えるようにするのです。そして3つめは、IT活用の視点です。これは今のビジネスITが絡まない事が少ないため、価値を描く際にその手段としてIT活用をイメージする事を同時に行うわけです。これを匠Thinkでは「結果イメージの予測」という言葉で表現しています。コタツモデルのチームは、3つの役割を持つ人たちを集めるという考えの前に、3つの視点を1人が持つべきという事をチーム全体に浸透させる事を重視しています。

中長期的な価値と現在の価値を両方持つというのは、実は、僕がIT企業に飛び込んだ際に考えていた自分戦略なのです。匠Thinkの言葉にも「現在の価値と将来の価値を考える」という言葉で、この事の重要性を表しています。また匠Method for Productのユーザコンセンサスモデルも実はこの発想により作成されたものなのです。

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心地よい価値の表現=>共感 事例価値デザインモデル

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匠BPの場合

ビジョン

コンセプト

言葉

意味 ストーリー

デザイン

オノ作りをITに変えた現代の匠を創出する。

匠BPのビジネスの仕組みを・匠メソッドで証明・雑誌等で説明

IT業界をより価値を生み出す業界に変革し、日本企業(ユーザ企業)を強くする。

現代の匠とは、・職人気質を取り戻すこと・ITをビジネスに繋げる道筋を知っている事

「匠」という漢字のオノ作りをITで表現する英字と漢字を融合したロゴ(世界初かな?)

※匠Method ビジネスエクスペリエンスより(2012.4)

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【解説】この図は、匠Methodのモデル「価値デザインモデル」のベースとなったものです。これは僕が価値形成を行う際に、「心地のよい価値」をデザインする時に使用してきたものです。匠Methodのモデルに採用された価値デザインモデルは、コンセプトを3つの文章で構成しますが、それ以外はこの図と同じです。

ビジョン…プロジェクトのビジョン、夢、向かうべき方向性コンセプト…3つのコンセプト(コンセプトとはビジョンを達成するために重要とする思想や機構)言葉…全体感を一言で説明するキャッチフレーズ意味…ここで表現したいプロジェクトの価値の全体的説明ストーリー…なぜ必要なのか、あるいは、価値獲得までの道のりをシナリオとして表現デザイン…ここで表現したいプロジェクトの価値をデザインとして表現

(例) 匠BusinessPlaceの企業価値

ビジョン、言葉、意味、デザイン、ストーリーの全体に統一感があるこれにより「心地よい価値」を演出するのです。ちなみに、実際のストーリーは企業秘(^^。匠メソッドで証明といった形で省略して書いています。

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価値の表現(価値デザインモデル)

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~心地よい価値の表現=>共感~自動車メーカーの場合(BMW)

ビジョン

コンセプト

言葉

意味 ストーリー

デザイン

駆け抜ける喜び

メカニズム(エンジニアリング)・シャーシ、ハンドリング、エンジンのバランス・エンジンオブザイヤーを毎回獲得・乗り味の最後の味付けは職人が担当

ECOを目指しつつ、走る楽しさを失わない

単なる移動体ではなく走ることに喜びを感じる

知的かつスポーティなデザイン

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【解説】この図は、自動車メーカーBMWの例ですが、これはあくまで僕が勝手に書いたものです。ここで、ストーリーは、エンジニアリングの方向性を示しました。価値と、その価値を獲得するためのストーリーがセットとなり、実際の価値形成を行いブランディングに繋げているという例です。

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価値の表現(ストーリーの重要性)

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ストーリーストーリー

人が魅力を感じるモノにはストーリーがある。

もの

価格

機能性

見た目

デザイン

企業のストーリー(アップル)

創造者のストーリー(ジョブズの生きざま)

製品のストーリー(製品の成長・コンセプト)

製品の活用ストーリー(ライフサイクルにおける活用)

表層的価値 深層的価値

一見してわかるいつの間にか人の心に忍び込む

価値の持続性

長い短い

※匠Method ビジネスエクスペリエンスより(2012.4)

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【解説】ここではiPhoneを使って価値の「表層的価値」と「深層的価値」を説明しています。この考えは僕が価値を追いかけていくうちに見えてきたものです。ここで、「深層的価値」は、実際に目に見えるものではなく、ストーリーとして頭にインプットされているという事実を理解しました。そしてストーリーは。いつの間にか人の心に偲び込み、価値の持続性は「表層的価値」より長いと思うのです。

このストーリーを作りだすというのは、製品開発にも企業にもとても重要な事ではないでしょうか?それ以外に、プロジェクトリーダがプロジェクトの魅力作り(チームの内外に向けて)を行う際にも重要なものです。しかし、深層的価値は疎かにしがちです。

深層的価値は、ストーリーとして表現します。ストーリーには色々ありますが、ひとつだけ特殊なものとしては、利用(活用)シーンです。(詳細は割愛しますが、このストーリーの開発が次の匠Methodのテーマとしています)

このストーリーの部分を、価値デザインモデルのストーリーの参考してください。

以上が価値デザインモデルの説明です。

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ビジネスのステークホルダを知る(匠BusinessEx手法より)

ビジネス戦略 業務オペレーション

ユーザビジネス

システム要求

システム システム

設計・開発

業務戦略業務オペレーション

自社業務

活用ユーザ

自社の開発担当

利用者

社員

企業のオーナー企画担当

企業の業務担当

自社のオーナー企画担当

自社の業務担当

領域 ステークホルダ表現方法

動的表現

静的表現

・価値分析モデル・価値デザインモデル

・ビジネス・ストーリ

プロセス

・価値創造ビュー・価値創造サイクル

プロセスの中で活用

適用

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【解説】次は価値はどこに存在するのかという話です。価値には領域があり、領域にはステークホルダが存在します。そしてそのステークホルダは領域に対してミッションを持ち、そのミッションを創造する事で、新たな価値が生まれます。

つまり価値を描くためには、そのステークホルダの領域を発掘する事が重要なのです。

また、その複数領域の価値の創発とバランスこそビジネスモデルとして重視すべき事です。

これが匠Methodの価値のデザインの本質であり、これは匠Methodの「ビジネスエクスペリエンス」というドキュメントにまとめているものです。

これは、ユーザエクスペリエンスとは異なるものですね。ユーザエクスペリエンスも最終ユーザに注力する魅力的な考えですが、匠Methodの「ビジネスエクスペリエンス」は、ビジネスの全体価値に注力します。

価値を感じるのは顧客も含む、ビジネスに絡む主要なステークホルダであり、そのステークホルダには領域(会社・部門・役割)によるミッションがあり、そのミッションにより価値の捉え方が異なるというわけです。

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領域の発見(匠BusinessEx手法より)

ビジネス戦略

業務オペレーション

システム要求

システム設計・開発

ビジネス戦略

業務オペレーション

ユーザ

• まずビジネス価値を向上させるために、関係する領域を発見・定義する必要があります。下記は要求開発4象限を応用した領域の例です。このような領域を見つけ出し、明確に定義を行います。

…最終的にサービスを活用するユーザ

…自社のサービスを活用するユーザ企業のビジネス戦略領域

…自社のサービスを活用するユーザ企業の業務領域

…自社の提供するサービスのビジネス戦略

…自社の提供するサービスを行う上で必要とされる業務領域

…自社の提供するサービスを実現するためのシステム要求

…自社の提供するサービスを実現するためのシステム設計・開発

ユーザ

サービス提供を受ける企業

サービスを提供する企業

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【解説】この領域を発見し、そこにいる何らかの役割を持つステークホルダを洗い出すのが、ステークホルダモデルなのです。ステークホルダモデルは割愛します。この図は、領域の一例です。

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価値分析モデル

• 価値分析モデルは次のようにステークホルダの価値とプロジェクトの目的(言い変えるとプロジェクトの戦略)を表すものです。次ページよりモデルの説明を行います。

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【解説】次は匠Methodのモデル「価値分析モデル」の説明です。「価値分析モデル」は「価値デザインモデル」と同様に、価値をデザインするためのモデルであり、ビジネス企画のスタートラインで行うモデルです。

「価値分析モデル」は、先ほど挙げた「ステークホルダモデル」というプロジェクトに深く関わるステークホルダ(利害関係者)をモデル図にした後に行いますが、これは割愛します。

「価値分析モデル」は、プロジェクトが成功し目的が達成した際に、ステークホルダが、どのような嬉しい事言葉を発するかを一生懸命考えて記述するものです。また、その記述の中に一部「嬉しい状態を作りだす仕組み」を記述します。魅力的な言葉を開発するという感覚が必要です。

嬉しい言葉はかならず「嬉しい」といった感情の表現を行ってください。これはプレゼン資料解説の前編で書いたように、嬉しい、良かった、などといった感情の表現を行う事で、参加者や価値分析モデルを見た人が自然とポジティブ思考になったり、クリエィティブ思考になるからです。なかなか表現が見つからない場合は「嬉しい」を連発してもかまいません。また、本当にステークホルダがこんな言葉を発するだろうかと考える事ができやすくなります。記述方法の詳細は省略しますが、価値表現は戦略的視点を入れましょう。嬉しい言葉に「△△によって○○が効率化できるようになり楽になって嬉しい」と書くのではなく、「 △△によって○○が効率化できるようになり、本来の拡販業務に集中できて嬉しい」と書くのです。

また、目的にはプロジェクトで達成すべき目的を記述します。これは最初から考えていた事を書いてください。そして初めに書いた価値の文章と目的を色・記号等で繋げます。すると、目的があるのに価値の記述がないとか、価値の記述があるのに目的がないなどの発見があるでしょう。

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価値分析モデルの効果

① プロジェクトゴールの効果プロジェクトが達成すべきゴールを価値表現(ステークホルダの嬉しい言葉)で行うために、何がゴールなのか事前に合意形成できる。

② プロジェクトの道しるべとなるプロジェクト進行中に価値分析モデルを読み直す事で、価値を達成するための課題に取り組んでいることを確認する事ができる。

③ プロジェクト評価プロジェクトがカットオーバーされた後、本当にステークホルダに書かれた価値の言葉を言っていただける状態であるかどうかでプロジェクトを評価できる。

④ 目的(戦略)の検証価値分析モデルは、価値からプロジェクト目的を導き出すために、プロジェクト目的が価値により検証できている。つまりは、手段的なプロジェクト目的で進まない。

⑤ 価値とプロジェクト目的の関係付け価値とプロジェクト目的の対応付けができているため、プロジェクトのそもそもの目的に繋げられていないといった価値主導の落とし穴を回避できる。

⑥ 参加者が価値に目覚めるコタツメンバーがステークホルダの価値を考えているうちに、価値に目覚める。参加者が価値について議論をしたり考える時間が増え、クリエィティブな視点を以前より多く持つ事につながる。

⑦ ステークホルダの巻き込み実際にステークホルダをプロジェクトの有用性を理解してもらう際に、価値として作成した文章を活用する。

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【解説】「価値分析モデル」をプロジェクトで使ってみると、様々な効果を検証できました。僕の思っていた数倍の効果が見られました。

プレゼン資料解説の前編でも書きましたが、 「価値分析モデル」は、匠Thinkの「目的だけでは足りない、価値を問え」という言葉の演習から生まれたものです。当初は目的から考えて、ステークホルダの価値に繋げましたが、匠Methodのモデルになってから、ステークホルダ=>価値の記述=>目的の順に作成するようになりました。

おそらくやればやるほど効果を実感できるモデルだと確信しています。

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価値分析モデル• 価値分析モデルの作法

① 価値分析のステークホルダは、外部(赤)と内部(青)で色分けすると良いでしょう。更に外部を直接のお客様(赤)とパートナー (黄色)に分類するのも良い方法です。

② 価値の言葉と目的(プロジェクト)を色で対応付けします。もし白黒印刷を前提とするならば記号を付けて対応付けしてください。

ステークホルダ

価値(嬉しい言葉)

目的(プロジェクト戦略)

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【解説】「価値分析モデル」の書き方の作法を少しだけご紹介します。ちなみに、モデリングツールはastahがお勧めです。

http://astah.change-vision.com/ja/

ただし、価値の記述などはコメントを使っています。それで十分です。これは僕が平鍋さんとお友達だから言っているわけではありません(^^本当に使える便利で、フリーでも使えるツールだからです。モデリングツールを使うと、その再編集や再利用時に非常に効果的です。また、編集機能でパワーポイントなどにも簡単に貼り付けできます。

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要求開発4象限(切れた世界をつなぐ)

ビジネス戦略

戦略・要求 オペレーション

ビジネス 表(価値) 裏(実現)

システム要求

システム

表(価値)

裏(実現)

システム開発

表(価値) 裏(実現)

What How

What

How

What How

業務オペレーション

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【解説】次は要求分析ツリーを説明します。その前に、匠Methodのベースとなる要求開発方法論の要求開発4象限についてお話しします。要求開発4象限は、僕が2006年ごろに要求開発のベースを考えていく際に、経営者にも開発者にも要求開発を端的にわかり易く説明する図として考え出したものです。この図は、ビジネス企画の領域として「ビジネス戦略」、「業務オペレーション」、「システム要求」があり、その下位にはシステム開発があります。ここで表しているのは、戦略側から「Howの手さぐり」と「Howの突き上げ(イノベーション)」や「Howのチューニング(試行錯誤)」などという匠Thinkの言葉で説明している行為によってはじめて価値形成が可能となるという事です。

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壁を壊して、合意形成の場を形成する

戦略的視点

技術活用の視点

業務の視点

ビジネスにとって価値のある

要求・要件

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こたつモデル

トップ&プロダクトオーナー

業務部門開発部門

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【解説】この図は、こたつモデルを示しています。このこたつモデルのメンバー(または視点)で、先に挙げた4象限の「戦略」、「業務オペレーション」、「システム要求」の姿を「Howの手さぐり」「Howからの突き上げ」により見える化します。

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要求の構造的な階層化(要求分析ツリー)

要求を上位・中位・下位で関係付けて見える化できる枠組みがある。

学生サービスの重点拡充

新サービスビジネスモデルの早期確立

標準業務モデルの確立

業務支援システム構築

業務要求 IT要求

○○による業務システム構築

商品管理の○○を××に改善する

○○視点での使いやすさ重視安心品質の確保

業務負担の軽減

利用代理店IDが増大することを見込したID管理

利用代理店IDが増大することを見込したID管理

システム開発費維持費の削減

戦略要求

ビジネス戦略

ビジネスオペレーション

戦略・要求 オペレーション

ビジネス 表(価値) 裏(実現)

システム要求

システム

表(価値)

裏(実現)

システム設計表(価値) 裏(実現)

What How

What

How

What How

要求分析ツリー

要求開発4象限

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【解説】ここでようやく要求分析ツリーがでてきました。このこたつモデルのメンバーで、戦略要求、業務要求、IT要求を導き出します。要求分析ツリーは、要求開発方法論で生み出されたモデルです。発案者は山岸さんであり、元々の僕の作成した要求開発方法論v0.6のトップダウン分析とボトムアップ分析をくっつけたような構造になっていますが、非常に素晴らしいモデルとなっています。

要求分析ツリーは、匠Methodのオリジナルではありませんが、匠Methodでは、要求分析ツリーの要求エリアを「戦略要求」「業務要求」「 IT要求」の3つに分類し、活用する目的をプロジェクト戦略に絞り込みをしました。また、要求分析ツリーの戦略要求や業務要求、IT要求の要素を、価値分析モデルや価値デザインモデル等から導き出すという価値=>要求(戦略、業務、IT)トレーサブルな世界を作りだしました。

それにより、下記のような効果が匠Netメンバー(匠Methodライセンシー企業)からでています

・プロジェクト要求の絞り込みが戦略から見て行えるので非常にやり易く、要求の爆発が防げる・業務要求やIT要求は、そもそも何のために必要かという意味が、戦略や価値という次元で説明可能・上層部門にIT予算を通す際に、説得力が増す。・本来実現すべき要求の検証が上位層で可能となるために、システム化効果が明らかに高い・要求分析ツリーで、ツリー上の枝ぶりをStep1,Step2<Step3といった風に分類でき、プロダクトのロードマップを視覚化できた。

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点の要求

要求定義の改善1

価値

戦略要求

業務要求

IT基本要求

システム要求

上位要求への階層的表現と合意形成

上位What-Why

ここから下はリアルな要求イメージ表現だけにする

これまでの要求分析・要件定義は点の要求を詳細化しているにすぎなかったのではないでしょうか?それでは、

要求は定まらず要求爆発が起こります。

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【解説】ここでこれまでの要求定義の問題を振り返ってみます。

これまでの要求定義は「点の要求」を多大なドキュメントとコストを使って詳細化してきたのではないでしょうか?それよりももっと上位にある業務要求や戦略要求そしてその価値を匠Methodを通して見える化することで、要求があまり変わらないという現象が生まれてきました。

「要求は変化する」これは事実です。しかし、「要求が変化している」という現象の中には、上位要求をデザインせずに、進めてしまっているという大きな問題があるのです。

要求工学の将来はここにあると考えています。

この図は、要求の構造を階層としてとらえている見える化であり、これがまさに価値モデル(価値デザインモデルと価値分析モデル)と要求モデル(要求分析ツリー)の組み合わせなのです。

点の要求から階層的要求へ!

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面の要求(プロセスの要求)

要求定義の改善2

業務要求

IT基本要求

システム要求

面の要求(業務変更、新業務からの要求)

業務変更

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【解説】もうひとつ要求の構造として重要となるのが、「面の要求」です。IT要求の上位要求としての業務要求は、業務の流れで形成されており、業務要求の検証は業務プロセスで捉えるべきという事です。そのために、匠Method for Service(ビジネス企画メソッド)では、ビジネスコンテキストフローという最もレベルの高いフロー(バリューチェーン的)を記述して、そこに要求分析ツリーの業務要求との関係性を確認したり、要求分析ツリーの業務要求を業務の流れの検証として、ビジネスコンテキストフローを活用しています。

この2つの要求表現が重要であり、点の要求の詳細化は、すべて作ってみようですよ(^^

つまりは、IT化ができやすくなった今、文書化するより動くもので要求の価値を証明した方が、どれだけ効率的でわかり易いか考えてみましょう。

昔で言うと「プログラムのロジックをフロー化していた時代」が点の要求表現であり、現在では、それはプログラムして検証するといったアプロ―チに変化しているという事実から学ぶべきなのです。

点の要求から、階層と面の要求へシフトせよ!

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匠Method for Service全体像

– 匠Method for Serviceは、企画(プロジェクト案件)のタイプによりカスタマイズすることができます。

• 下図を参考にして、次ページのパターンを見ながら使用するモデルを検討します。

◆要求分析ツリー

◆ステークホルダモデル

◆価値分析モデル

◆価値デザインモデル

◆ビジネスコンテキストフロー

◆SWOT分析シート

◆匠BSC戦略マップ

ベースモデル

組織モデル

◆ビジネスモデル図

◆ステークホルダ価値関連図

ビジネスモデル

◆概念モデル◆ユーザトランザクション ◆内部プロセス

◆プロジェクトシート

◆ゴール記述書

◆システムユースケース図

◆初期プラン

◆ビジネスユースケース図

共通A.ビジネスアイデアが具体化ビジネスの仕組み作り

B.企業戦略の強化。プロダクトとの関係性を見える化

C.関連部署が多く、複雑な組織の変革

D.プロジェクトへの落とし込み

E.システム開発への繋ぎ

◆ストーリーボードビジネスコンテキストフローの派生版

※その他設計モデルと併せて提案組織モデルの強化

プロジェクトモデル

システムモデル

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【解説】ビジネス企画メソッド(匠Method for Service)は、カスタマイズ可能です。この資料で説明したモデルは、すべてに共通のモデルです。他に、ゼロベースのビジネス企画の対応するためのビジネスモデル図や、比較的大きな規模の業務改革などに対応するためのユーザトランザクションモデル、内部プロセスモデル等非常にユニークなモデルを用意しています。この共通モデルを軸に、プロジェクトターゲットの特徴により、下記の組み合わせを使います。

そして重要なことは「一気通貫」。ビジネス企画を、時間をかけずに、こたつ形成を行ったプロジェクトの活動の中で、基本持ち帰りなしでその場で見える化するという活動です。通常の一般的な企画であれば「共通+D+E」で進みます。

パターン 説明 組み合わせ

A.ビジネス企画型 標準的なビジネス企画の際に使います。

システム企画含む =>共通+D+Eシステム企画含まず=>共通+D

B.ビジネスモデル企画型 アイデアはあるがビジネス収支モデルが確立できていないケースで使います。

システム企画含む =>A+共通+D+Eシステム企画含まず=>A+共通+D

C.大規模ビジネス企画型 標準的なビジネス企画で複数企業または複数部門が絡んだ業務改善のケースで使います。

システム企画含む =>共通+C+D+Eシステム企画含まず=>共通+C+D

D.経営企画型 ビジネス戦略を検討し、各部門の活動計画まで繋げます。ビジネス企画を行った後、企業戦略を強化したいという要望や、中期経営計画の活用などに使われます。

B+共通+D

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匠には誰もがなれるわけではない匠を目指そうとするものだけに、その権利は与えられる

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