リーダーシップとは何か?
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Transcript of リーダーシップとは何か?
今月のアルバイト研修テーマは
リーダーシップとは何か
です。
ちなみにこれは高橋メソッドと呼ばれる手法です。
結構楽しいのでマネしてみてください。
さて、本題。
本研修では、 「皮膚感覚で分かるリーダーシップ」 を伝えることを目的としています。
みなさんは 「リーダーシップ」 に抵抗感はありませんか?
日本人は 「リーダーシップ」 がニガテです。
「出る杭は打たれる」とか、 「バッシング」とか、 よくありますよね。 嫌ですよね、そういうの。
あと、「リーダーシップ」を 「命令をすること」とか、 「異議申し立てをすること」 だと思っている人も多いです。 それも嫌ですね。
でも、 本物の「リーダーシップ」 はそういうものではありません。 まずはそうした誤解を解きます。
リーダーシップとは何か
第一部
言葉遊びにならないよう、 まずは定義をしましょう。
仮に「リーダーシップ」を「率先して物事を動かす」ことだと定義します。
すると、 「組織やコミュニティには 利害関係や権力構造がある」 のに気づきます。
「率先して物事を動かす」と、 「利害関係や権力構造」も 変化させてしまう可能性があります。
そこで抵抗されたり、攻撃をされたりすることが起こります。 これがバッシングです。 今の日本はこればっかですね。
でも、 「物事を動かすこと」は 必ずしも既に存在する利害関係や権力構造に対して破壊的な影響をもたらすものとは限りません。
つまり、 方法論さえうまく身に付ければ、破壊的な影響を最小限にして、 物事を良くしていくことは可能です。
自分が乗っている船が沈みそうになったら逃げる? それも一つの選択肢ですが、 逃げるところは常に存在するわけではありません。
耐えたり逃げたりする以外に、 物事を変えてみれば、すっかり景色が変わることもあります。 ただ、誰も動かなければ、誰も付いていきません。
というより、 物事を変えていかないと今後の日本社会は立ち行かない状況です。 「後が無い」ってやつです。
アメリカに守ってもらって貿易で儲けられる時代は終わり、 人類史的にも経験の無い少子高齢化という時代がやってきています。
終身雇用制は崩壊し、労働生産性は先進国中で最低レベルです。資源もありません。 政治にも期待はできません。
つまり、この変化に個人としてどう適応できるかが今後の社会人にとって重要なポイントになってきます。
適応できなければ、競争力失ってコミュニティごと沈下していきます。 競争力がなければ、教育も技術力も、豊かな生活も維持できません。
競争力はモノを奪い合うのにも必要ですが、新しい可能性を作るときにも必要です。 たとえば、iPhoneとか。
iPhone は、ケータイに音楽プレーヤーやアプリなどの付加価値をつけることで、新しい市場を生み出しました。
iPhone を取り巻く市場によってapple は業績を回復、自社だけでなく関連企業にも利益をもたらしています。
「新しい可能性を作るために物事を動かす」 これがこれからの時代で求められるリーダーシップです。
また、コミュニティや組織に所属している個人は、一人で生活できているわけでありません。
つまり、見方を変えると、 「リーダーシップで新しい可能性を作ること」は 「自分が所属するコミュニティに対する恩返し」 であるとも言えます。
自分が死ぬときに、 「コミュニティに何か残せた」 と思えたら幸せじゃないですか?
「人生に意味を持たせたい」と思ったら、リーダーシップは大切な要素です。 そして、それは誰にでも可能なことです。
ということで、続けて どうやったら様々なリスクを最小限にして物事を動かせるかについてお伝えしたいと思います。
第一部・完
どうやったら物事を動かす際のリスクを最小化できるのか?
第二部
まずはリーダーシップの スタイルのお話。
先ほどご説明した通り、 リーダーシップは誰にでも可能です。 自分にあったスタイルでやれば無理が少なくて済みます。
リーダーシップは大まかに6種類のスタイルに分かれます。
1. 進むべきビジョンを示す 「ビジョンリーダーシップ」
2. メンバーを育てる 「コーチングリーダーシップ」
3. 利害関係を調整する 「調整リーダーシップ」
4. メンバーと同じ目線で考える 「仲良しリーダーシップ」
5. 実力主義、背中で語る 「実力リーダーシップ」
6. 規律と命令で動かす 「指示命令リーダーシップ」
調査によると、 日本で一番多いのは 「指示命令型リーダーシップ」 一番少ないのは 「ビジョンリーダーシップ」 だそうです。
でも、一番人気がないのも 「指示命令型リーダーシップ」 そして、一番人気があるのは 「ビジョンリーダーシップ」 です。
実に6割以上の人が 「ビジョンリーダーシップ」 を望んでいます。 やはりみんなで一緒に何かをするなら、成功イメージを共有しながらやりたいですよね。
みんなが納得できるビジョンを作って新しい可能性を探れば、 今やっていることを止めたり、メンバーを削ったりする必要も減り、 利害関係や権力構造との摩擦も少なくて済みます。
現実に物事を動かすには、 6つのリーダーシップのスタイルを組み合わせる必要があります。 まずは自分に合ったスタイルから始めて、他の要素を取り入れていくとうまくいくでしょう。
では、 「新しい可能性を探すために、 みんなで物事を動かす」際に 必要な具体的テクニックについてお話します。
ビジョンの作り方、 コミュニケーション、 人間関係や政治に関するスキル はたくさんあり、 正直なところ一朝一夕に身に付くものではありません。
「メンバーの幸福度は リーダーの苦労に反比例する」 …という格言(?)もあるぐらい。 一人前になるには、どんな職業でも 「1万時間」はやらないといけないそうです。
でも、行為としての リーダーシップの本質は シンプルです。
まず、問題はどこにあるかを 「観察する」
問題に巻き込まれないように、 一歩引いて全体を見ること。 ベランダから外の風景を見るように、人や物事がどう動いているのかを理解する。
次に、物事の問題について 「問いを投げかける」
問題の所在について、まず確認します。「問題があること」と「それが何か」についてメンバーと一緒に考えます。 もしかしたらメンバーは同じ問題をもっと深く考えているかもしれません。
さらに、その問題についての 「見解を示す」
問題を共有したら、自分の見解を示します。 ここでメンバーとの見解をすり合わせて、共有できるビジョンを作ります。
最後に、ビジョンに基づいて 「行動を実行する」
「絵に描いた餅」には価値はありません。みんなで餅を食べるために行動するのが一番大事なことです。
ビジョンを形にするための行動は地道なトライアル&エラーの積み重ねで形作られます。 ここが一番難しい。
「見解を示す」までは口先だけでも可能です。でも、口先だけの人は信用されません。 信用されないと、コミュニティや組織の行動にはつながりません。
また、リーダーシップを発揮して行動を実行したとしても、常に成功するわけではありません。 世の中には「解が存在しない」問いもあるし、リソースや政治の問題などで解に辿りつけないこともたくさんあります。
また、仮に成功したとしても、嫉妬や利害関係、権力構造の変化による攻撃を受ける可能性もあります。
それでも、座して死を待ったり、 沈むドロ舟でみんなで沈没したり、あるいは自分だけ逃げ出すよりも、「リーダーシップ」を発揮することを選ぶ人がいた時、 彼・彼女はどうやったらそれに耐えられるのだろう?
第二部・完
リーダーシップを実現するために必要なマインドセットとは?
第三部
まず、自分の行動に対する 「短期的な評価や報酬を求めない」 これは大事です。
リーダーシップは 「観察する」 「問いを投げかける」 「見解を示す」 「行動を実行する」 のサイクルのくり返しで達成されるものです。
リーダーシップの取り組みは地道なトライアル&エラーの積み重ねです。 短期的には成果が出ないため、各ステップで評価を求める気持ちを出してしまうと、すぐに心が折れます。
特に今の日本にはリーダーシップを理解する土壌がないので、見返りの期待はしないことです。
さらに、 リーダーシップにつきものの、批判や個人攻撃に対応できるマインドセットも重要です。
人は利害関係が絡んだり、示されたものが理解できないと思ったり、自分が想像したものと違うという理由、そしてリーダーシップを発揮できる人への嫉妬などで、「気に入らない」と思うと、簡単に個人攻撃をします。 これへの対処は極めて重要です。
自分がやったことへの批判や個人攻撃は、 「役割に対するフィードバックである」 と考えると、吸収できるようになります(…余裕さえあればw)。
自分もいちプレーヤーであることを理解して、再び「全体として観察する」と、相手のアクションが理解できるようになります。
とはいえ、人間の心とは弱いものです。 個人攻撃に耐えられる人はそうそういないですし、未知の問題に率先して取り組むときは誰だって心細いものです。
そこで、同じように 「リーダーシップを発揮している人、あるいは発揮しようとしている人とつながりを持つ」 ことが大事です。 そういう人は探せば一定の割合でいます。
大事なのは、 リーダーシップを実行している人、実行しようとしている人に対するリスペクト(敬意)を持つことです。 こういうのは言動で伝わります。
リーダーシップを持つ勇気へのリスペクトを持っている人同士なら、こうした批判や個人攻撃の痛みなどの事情を理解し合うことができます。 これは大変な励みになります。
もっといいのは、 ロールモデル(将来のお手本)やメンター(尊敬できる指導者)を持つこと です。
ロールモデルは自分の未来像として、メンターは心強い助言を与えてくれる存在として、信念を支えてくれます。
新しいことに挑戦して、短期的な評価も得られず、無視や攻撃を受けていると、自分のやっていることが正しいかどうか不安になるときがあります。 こうしたとき、彼ら・彼女らは力になってくれます。
ロールモデルやメンターは人によって異なりますが、 鉄の下駄を履いてでも探しましょう。
…と、リーダーシップには いろいろと面倒なことがつきものですが、 物事が良くなるのは楽しいこと です。
できる範囲から始めればリスクが少なく、テクニックを身に付けることができるので、何か身の回りにどうにかしたいことがあったら、 他人任せでは無くリーダーシップで解決してみるのはどうでしょう?
第三部・完
参考文献
『最前線のリーダーシップ』マーティ・リンスキー, ロナルド・A・ハイフェッツ, 竹中 平蔵: 本 http://www.amazon.co.jp/dp/490324170X/
『デキる人は皆やっている 一流のリーダー術』: 森田 英一 http://www.amazon.co.jp/dp/475691151X/
『チームリーダーの仕事のルール』PHPエディターズ・グループ http://www.amazon.co.jp/dp/4569693830/