患者安全財団の準備

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患者安全財団の準備 笑顔のおうち患者安全財団 準備委員会 笑顔のおうちクリニック 学習システム開発 慈恵医大附属柏病院 麻酔科 まつもと たかひろ

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our project for patient safety foundation in Japan

Transcript of 患者安全財団の準備

Page 1: 患者安全財団の準備

患者安全財団の準備

笑顔のおうち患者安全財団 準備委員会 笑顔のおうちクリニック 学習システム開発

慈恵医大附属柏病院 麻酔科 まつもと たかひろ

Page 2: 患者安全財団の準備

医療の歴史・現状

2

Page 3: 患者安全財団の準備

1910年: フレクスナーレポート

“医学学校では 実践的な臨床研修と

強力な生物医学科学を” 3

Page 4: 患者安全財団の準備

「医療・医学に 科学を!」が もたらしたモノ

4

Page 5: 患者安全財団の準備

5

Page 6: 患者安全財団の準備

医学部・医科大は、 研究論文数を

業績の基盤にした

6

Page 7: 患者安全財団の準備

医学研究の一方、 臨床現場では

7

Page 8: 患者安全財団の準備

結果が重要か?

すばらしい手術だ! よくやった!

患者が死んだのは 残念だが。

8

Page 9: 患者安全財団の準備

これまでの医療者が目指したこと

9

専門職 知識技能

経験年数

知識・技能レベル

Page 10: 患者安全財団の準備

これまでの医療者が目指したこと

10

新人

中堅 熟達者

専門職 知識技能

経験年数

知識・技能レベル

Page 11: 患者安全財団の準備

そして、 フレクスナー・ レポートから 約100年後

11

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医療はどれほど危険か? (Leapeより改変)

1

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1 10 100 1000 10000 100000 1000000 10000000

危険

(>1/1000)

やや危険 超安全

(<1/100K)

バンジー

ジャンプ

登山

運転

化学工場

チャーター便

定期便

航空機

欧州鉄道

原子力発電

危険率(何人に1人遭遇するか)

年間死亡者総数

12

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医療はどれほど危険か? (Leapeより改変)

1

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1 10 100 1000 10000 100000 1000000 10000000

危険

(>1/1000)

やや危険 超安全

(<1/100K)

バンジー

ジャンプ

登山

運転

化学工場

チャーター便

定期便

航空機

欧州鉄道

原子力発電

危険率(何人に1人遭遇するか)

年間死亡者総数

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医療はどれほど危険か? (Leapeより改変)

1

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1 10 100 1000 10000 100000 1000000 10000000

1: 危険・

死者多数 3:まあ安全・

死者かなり

5:超安全・

死者少数

2: 危険・

死者少数 4: まあ安全・死者少数

危険率(何人に1人遭遇するか)

年間死亡者総数

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医療は危険 (Leapeより改変)

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危険

(>1/1000)

まあまあ

超安全

(<1/100K)

バンジー

ジャンプ

登山

運転

化学工場

チャーター便

定期便

航空機

欧州鉄道

原子力発電

危険率(何人に1人遭遇するか)

年間死亡者総数

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医療は危険 (Leapeより改変)

1

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1 10 100 1000 10000 100000 1000000 10000000

危険

(>1/1000)

まあまあ

超安全

(<1/100K)

医療

バンジー

ジャンプ

登山

運転

化学工場

チャーター便

定期便

航空機

欧州鉄道

原子力発電

危険率(何人に1人遭遇するか)

年間死亡者総数

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数字は、米国科学アカデミー医学研究所の推計値

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医療は危険 (Leapeより改変)

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危険

(>1/1000)

まあまあ

超安全

(<1/100K)

医療

バンジー

ジャンプ

登山

運転

化学工場

チャーター便

定期便

航空機

欧州鉄道

原子力発電

危険率(何人に1人遭遇するか)

年間死亡者総数

17

日本では 医療事故調査会(森功ら)が 年間死亡数が3万人から4万人と推定

推定:日本の医療

Page 18: 患者安全財団の準備

英国議会の患者安全報告

18

Page 19: 患者安全財団の準備

英国医療では、 安全第一の業界

(航空業など)に比べ、 安全技能が、

容認出来ないほど 遅れている

(55頁など, Patient Safety) 19

Page 20: 患者安全財団の準備

私の体験

20

Page 21: 患者安全財団の準備

急変だぁ 心肺蘇生術やんなきゃ!

21

Page 22: 患者安全財団の準備

私の取り組み 「患者安全といえば、

心肺蘇生術!」

Page 23: 患者安全財団の準備

23

Page 24: 患者安全財団の準備

2001年~2006年

心肺蘇生術(CPR)教育

約500床の病院で隔月、CPRコース開催

6年間(~2006年12月)受講者総数、約700名

24

Page 25: 患者安全財団の準備

心肺蘇生術教育は、 患者安全を促進できたのか?

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Page 26: 患者安全財団の準備

心肺

停止

イベントの数

院内心肺停止イベント登録数の変化

26

Page 27: 患者安全財団の準備

心肺

停止

イベントの数

院内心肺停止イベント登録数の変化

2000年、心肺蘇生術(CPR)国際ガイドライン後 世界各地でCPR教育とCPR登録が増加

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Page 28: 患者安全財団の準備

(N Engl J Med 2009; 361: 22-31)

生存

退院

率(%

院内心肺蘇生術(CPR)後,生存退院率の年次変化

28

Page 29: 患者安全財団の準備

(N Engl J Med 2009; 361: 22-31)

生存

退院

率(%

院内心肺蘇生術(CPR)後,生存退院率の年次変化

ガイドライン2000後CPR教育増加

29

Page 30: 患者安全財団の準備

(N Engl J Med 2009; 361: 22-31)

生存

退院

率(%

院内心肺蘇生術(CPR)後,生存退院率の年次変化

ガイドライン2000後CPR教育増加

CPR教育効果でCPR後の 生存退院率増加を期待していたが、、、

30

Page 31: 患者安全財団の準備

院内CPR後の生存退院率は改善せず

(N Engl J Med 2009; 361: 22-31)

生存

退院

率(%

院内心肺蘇生術(CPR)後,生存退院率の年次変化

ガイドライン2000後CPR教育増加

CPR教育効果でCPR後の 生存退院率増加を期待していたが、、、

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Page 32: 患者安全財団の準備

私の得た教訓

教育・訓練成果を 測定しなければ

努力が無駄になる 32

Page 33: 患者安全財団の準備

医療界の教育・学習は、やみくも

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Page 34: 患者安全財団の準備

新しい手術を習得しよう

認定看護師の 資格を

カテーテル 検査、上手に

なりたい

呼吸の リハビリ

面白いなぁ

内視鏡で出血止めたい

早く帰宅して、趣味を楽しもう

34

Page 35: 患者安全財団の準備

新しい手術を習得しよう

認定看護師の 資格を

カテーテル 検査、上手に

なりたい

呼吸の リハビリ

面白いなぁ

内視鏡で出血止めたい

早く帰宅して、趣味を楽しもう

【私見】医療者の学習は、個人まかせ。 組織の目的に応じた組織的学習は稀。

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Page 36: 患者安全財団の準備

医療者が個人、個人で 発達目指してきた

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新人

中堅 熟達者

専門職 知識技能

経験年数

知識・技能レベル

Page 37: 患者安全財団の準備

成果をあげる社会組織を眺めると

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Page 38: 患者安全財団の準備

軍隊教育での緊急課題 読み書きが十分に出来ない新兵に対して

兵器の使い方を短期的訓練で 習得させなければならない

(1頁、最適モデルによるインストラクショナルデザイン)

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Page 39: 患者安全財団の準備

企業にも組織目的達成を目指した 組織内学習がある

39

Page 40: 患者安全財団の準備

医療者は組織的に学んだか?

• 医療組織は組織目標を示しているか?

• 医療組織は組織パフォーマンス改善を実施しているか?

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Page 41: 患者安全財団の準備

患者安全財団を設立する理由1

医療組織ぐるみで 「患者安全パフォーマンス」改善が

医療の最優先課題

そんな組織を支援する団体が必要 41

Page 42: 患者安全財団の準備

患者安全への具体策

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Page 43: 患者安全財団の準備

患者安全組織創り

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Page 44: 患者安全財団の準備

英国議会の患者安全対策

• 現状:英国の病院内死亡が多い.

• 対策は4つ.

– ノンテクニカルスキル訓練

– 臨床薬剤師必要

– 診断スキル向上

– 根本原因分析の応用

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英国では、全ての医師と、医学生に ノンテクニカルスキル訓練を行うと決議

Page 45: 患者安全財団の準備

• 1977年3月27日,Los Rodeos空港 (スペイン)

• Pan Am機とKLM機が滑走路衝突 – 583名死亡

• 事故原因は航空技能や知識ではなかった

• 事故原因 – 管制とのコミュニケーション

– チームワーク,リーダーシップ

– 意思決定

– 疲労

航空機事故分析

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Page 46: 患者安全財団の準備

• 1977年3月27日,Los Rodeos空港 (スペイン)

• Pan Am機とKLM機が滑走路衝突 – 583名死亡

• 事故原因は航空技能や知識ではなかった

• 事故原因 – 管制とのコミュニケーション

– チームワーク,リーダーシップ

– 意思決定

– 疲労

航空機事故分析

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Page 47: 患者安全財団の準備

• 1977年3月27日,Los Rodeos空港 (スペイン)

• Pan Am機とKLM機が滑走路衝突 – 583名死亡

• 事故原因は航空技能や知識ではなかった

• 事故原因 – 管制とのコミュニケーション

– チームワーク,リーダーシップ

– 意思決定

– 疲労

航空機事故分析

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ノンテクニカル スキル

Page 48: 患者安全財団の準備

ノンテクニカルスキル(NTS)

• 欧州民間航空機関で最初に用いられた

• 定義:テクニカルスキルを補う – 認識的技能,

– 社会的技能,

– そして人材技能

– 安全と効果的パフォーマンスに寄与するもの.

• テクニカルスキルを増強させるスキル – NTSの欠如は過ちの可能性を増加させる

– ( Flin, R. BJA 105; 38-44 , 2010)

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Page 49: 患者安全財団の準備

ノンテクニカルスキルについては、 昨年の学会誌の拙論もご参照下さい

49 http://www.abdn.ac.uk/iprc/uploads/files/jjqsh%207%204(2012)_ProfMatsumoto.pdf

Page 50: 患者安全財団の準備

あらゆる職種に必要な技能

• どのような職種でも、2種類のスキル(技能)を適格に身につけることが要求される

• テクニカル・スキル

– その職種ならではの専門技能

– 仕事のための技能

• ノンテクニカル・スキル

– 特定の職種を超えた一般技能

– 安全のための技能

50

Page 51: 患者安全財団の準備

医療事故の主原因も, ノンテクニカルスキルの誤り

• 入院患者の約10%に医療過誤 – コミュニケーション不全,チームワーク破綻,意志決定の遅れによる

– Flin R, et al. p4, Safety at the Sharp End, Ashgate

• 日本での医療過誤(約3300例)の原因 – 確認を怠った:約15%

– 観察を怠った:約15%

– 判断を誤った:約15%

– 『医療事故情報収集等事業第20回報告書』

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Page 52: 患者安全財団の準備

現場で求められてきたこと

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新人

中堅 熟達者

専門職 知識技能

時間

知識・技能レベル

Page 53: 患者安全財団の準備

医療は危険 (Leapeより改変)

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100000

1 10 100 1000 10000 100000 1000000 10000000

危険

(>1/1000)

まあまあ

超安全

(<1/100K)

医療

バンジー

ジャンプ

登山

運転

化学工場

チャーター便

定期便

航空機

欧州鉄道

原子力発電

危険率(何人に1人遭遇するか)

年間死亡者総数

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専門職の知識と高い技術を追究しても、 患者安全は取り残されました。

Page 54: 患者安全財団の準備

患者安全のために、目指すこと

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新人

中堅 熟達者

専門職 知識技能

時間

知識・技能レベル

Page 55: 患者安全財団の準備

患者安全のために、目指すこと

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新人

中堅 熟達者

専門職 知識技能

時間

知識・技能レベル

中堅 熟達者

ノンテクニカルスキル

Page 56: 患者安全財団の準備

医療者患者安全技能訓練開発 (医療者ノンテクニカルスキル)

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Page 57: 患者安全財団の準備

駆け出し

一人前

卓越者

57

ある医療組織が求める 医療者レベル

Page 58: 患者安全財団の準備

駆け出し

一人前

卓越者

駆け出し

•態度1,

•技能1,

•知識1,

一人前

•態度a,

•技能a,

•知識a,

卓越者

•態度α,

•技能α,

•知識α,

医療者の発達程度を 知識・技能・態度 習得リストで表現

(コンピテンシー・リスト)

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Page 59: 患者安全財団の準備

駆け出し

•態度1,

•技能1,

•知識1,

一人前

•態度a,

•技能a,

•知識a,

卓越者

•態度α,

•技能α,

•知識α,

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患者安全1

•態度1,

•技能1,

•知識1,

患者安全2

•態度a,

•技能a,

•知識a,

患者安全3

•態度α,

•技能α,

•知識α,

医療者のコンピテンシーに 患者安全項目を創る

Page 60: 患者安全財団の準備

国際的な患者安全医療者 コンピテンシーの開発

• OECD(経済協力開発機構)キー・コンピンテンシの概念を応用

• ノンテクニカルスキルをコンピテンシー項目に盛り込む

• 国際的に応用可能な患者安全医療者コンピテンシーの開発と国際的応用へ

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Page 61: 患者安全財団の準備

患者安全技能訓練

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Page 62: 患者安全財団の準備

ついに、世界保健機関 (WHO) が 患者安全教育を推進しはじめた

62

Page 63: 患者安全財団の準備

WHO患者安全 カリキュラムガイドの応用

• 改善科学応用を推奨

– 改善出来る項目の設定

– 改善を明らかにする

• 医療組織での患者安全パフォーマンス改善プログラムに応用

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Page 64: 患者安全財団の準備

0.85

0.9

0.95

1

1.05

1.1

2009年 2010年 2011年

優良病院

他病院

64

患者安全指数

海外での先行例:指標変化追跡

Page 65: 患者安全財団の準備

65

• 2009年、心肺蘇生術の指導者講習会の依頼

– 断る

– 心肺蘇生術講習の成果が不明

• 全国51病院で心肺蘇生術後退院率調査を嘆願

• 2011年より調査開始

Page 66: 患者安全財団の準備

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

2009年 2010年 2011年

全社連

他病院

66

妄想・蘇生後生存退院率

国内組織での 訓練教育成果を指数変化で示す

取り組みの体験

• 2009年、心肺蘇生術の指導者講習会の依頼

– 断る

– 心肺蘇生術講習の成果が不明

• 全国51病院で心肺蘇生術後退院率調査を嘆願

• 2011年より調査開始

Page 67: 患者安全財団の準備

患者安全 組織パフォーマンス指数の開発

67

指標変化に基づく医療者安全教育・訓練の開発実施へ

Page 68: 患者安全財団の準備

患者安全財団を設立する理由2

患者安全指標の確立と 患者安全技能訓練プログラムの

研究開発が課題

そんな研究を支援する団体が必要 68

Page 69: 患者安全財団の準備

ZAITAKUから医療へのインパクト

69

Page 70: 患者安全財団の準備

70

他者の 痛み・苦しみを 支える活動

医療従事者

病院 教育・研究機関

世界各地の医療社会

在宅診療所

Page 71: 患者安全財団の準備

71

医療では、永い年月かけて、 医療組織のあり方が

練り上げられてきました

Page 72: 患者安全財団の準備

72

「患者安全」は、 医療の永い歴史では、

後付け的?

Page 73: 患者安全財団の準備

73

新しい領域「在宅医療」では、 「利用者安全」は、ビルト・インで

Page 74: 患者安全財団の準備

74

「利用者安全」基盤の組織創りへ 組織内学習と訓練を

Page 75: 患者安全財団の準備

75

(http://www.youtube.com/watch?v=ZjvJyjDoq5M)

ブラックホールに吸い込まれる恒星

旧来の医療機関が、 Zaitakuでの

利用者安全組織創りを 吸収

医療機関で 患者安全促進

Page 76: 患者安全財団の準備

76

Page 77: 患者安全財団の準備

患者安全財団を設立する理由3

患者安全組織の構築方略や 患者安全医療者訓練プログラムを

アジア・海外諸国へ提供

患者安全で国際貢献したい 77

Page 78: 患者安全財団の準備

あなたやご家族が、病院・在宅医療の患者・利用者になる頃には?

78

超危険

中危険

安全

時間

患者安全技能レベル

Page 79: 患者安全財団の準備

医療組織内学習システム開発・ 組織パフォーマンス指数開発

患者安全研究など 患者安全財団への

ご支援をお願い申し上げます

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