4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R...

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4. 推計結果 りんごの分析結果 (1) 基本的な分析の結果 前節の手順で収集した調査表データをもとに、まずは、りんごについて基本的な分析を 行った。各グループの情報提供前と後のコンジョイント設問のデータを用いて、入れ子ロ ジットモデルで推定した結果は以下の8つの表のとおりである。係数の符号と統計的有意 性、また、モデルのあてはまりについても McFadden の擬似 R がほぼ全てにおいて 0.4 以上という良好な結果が得られた。 ※網掛け部分は有意でない。以下、同様。 Aグループ(1回目) 係数 標準誤差 t-ratio P-value 有機栽培 1.57177 0.26140 6.01298 0.0000 特別栽培 0.71633 0.13400 5.34589 0.0000 減農薬 1.05504 0.14047 7.51083 0.0000 価格 -0.03411 0.00413 -8.26002 0.0000 青森産 0.99463 0.13340 7.45605 0.0000 山形産 0.90356 0.13404 6.74095 0.0000 長野産 0.90533 0.11115 8.14516 0.0000 生産者名 1.07653 0.11238 9.57915 0.0000 生産者名+Tel 1.59697 0.11155 14.31630 0.0000 生産者名+写真 0.97130 0.20813 4.66687 0.0000 NOCHOICE -3.65509 0.30971 -11.80160 0.0000 IV(BUY) 0.84362 0.16347 5.16081 0.0000 IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0000 観察数 4128 ULL -3076.915 RLL -5425.956 McFadden's R 0.4321 Aグループ(2回目) 係数 標準誤差 t-ratio P-value 有機栽培 3.10956 0.14661 21.21020 0.0000 特別栽培 2.42735 0.13461 18.03230 0.0000 減農薬 0.96336 0.23403 4.11646 0.0000 価格 -0.03266 0.00405 -8.06018 0.0000 青森産 0.23495 0.15867 1.48081 0.1387 山形産 1.03896 0.22008 4.72082 0.0000 長野産 0.96415 0.20074 4.80295 0.0000 生産者名 1.33447 0.13566 9.83661 0.0000 生産者名+Tel 0.79485 0.15595 5.09682 0.0000 生産者名+写真 1.53890 0.13810 11.14350 0.0000 NOCHOICE -2.43453 0.45015 -5.40830 0.0000 IV(BUY) 0.96990 0.15987 6.06692 0.0000 IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0000 観察数 4128 ULL -2936.974 RLL -5291.486 McFadden's R 0.44415 125

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Page 1: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

4. 推計結果

① りんごの分析結果

(1) 基本的な分析の結果

前節の手順で収集した調査表データをもとに、まずは、りんごについて基本的な分析を

行った。各グループの情報提供前と後のコンジョイント設問のデータを用いて、入れ子ロ

ジットモデルで推定した結果は以下の8つの表のとおりである。係数の符号と統計的有意

性、また、モデルのあてはまりについても McFadden の擬似 R がほぼ全てにおいて 0.4

以上という良好な結果が得られた。

※網掛け部分は有意でない。以下、同様。

Aグループ(1回目)係数 標準誤差 t-ratio P-value

有機栽培 1.57177 0.26140 6.01298 0.0000特別栽培 0.71633 0.13400 5.34589 0.0000減農薬 1.05504 0.14047 7.51083 0.0000価格 -0.03411 0.00413 -8.26002 0.0000青森産 0.99463 0.13340 7.45605 0.0000山形産 0.90356 0.13404 6.74095 0.0000長野産 0.90533 0.11115 8.14516 0.0000生産者名 1.07653 0.11238 9.57915 0.0000生産者名+Tel 1.59697 0.11155 14.31630 0.0000生産者名+写真 0.97130 0.20813 4.66687 0.0000NOCHOICE -3.65509 0.30971 -11.80160 0.0000IV(BUY) 0.84362 0.16347 5.16081 0.0000IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0000観察数 4128ULL -3076.915RLL -5425.956McFadden's R 0.4321

Aグループ(2回目)係数 標準誤差 t-ratio P-value

有機栽培 3.10956 0.14661 21.21020 0.0000特別栽培 2.42735 0.13461 18.03230 0.0000減農薬 0.96336 0.23403 4.11646 0.0000価格 -0.03266 0.00405 -8.06018 0.0000青森産 0.23495 0.15867 1.48081 0.1387山形産 1.03896 0.22008 4.72082 0.0000長野産 0.96415 0.20074 4.80295 0.0000生産者名 1.33447 0.13566 9.83661 0.0000生産者名+Tel 0.79485 0.15595 5.09682 0.0000生産者名+写真 1.53890 0.13810 11.14350 0.0000NOCHOICE -2.43453 0.45015 -5.40830 0.0000IV(BUY) 0.96990 0.15987 6.06692 0.0000IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0000観察数 4128ULL -2936.974RLL -5291.486McFadden's R 0.44415

125

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Bグループ(1回目)係数 標準誤差 t-ratio P-value

有機栽培 1.38462 0.23518 5.88751 0.0000特別栽培 0.76785 0.11429 6.71854 0.0000減農薬 1.05007 0.12965 8.09929 0.0000価格 -0.03359 0.00440 -7.64161 0.0000青森産 0.90490 0.11790 7.67534 0.0000山形産 0.70516 0.11348 6.21396 0.0000長野産 0.85184 0.09850 8.64843 0.0000生産者名 0.86843 0.09743 8.91350 0.0000生産者名+Tel 1.44302 0.09835 14.67210 0.0000生産者名+写真 0.67282 0.18536 3.62973 0.0003NOCHOICE -3.96308 0.31254 -12.68040 0.0000IV(BUY) 1.00271 0.22109 4.53535 0.0000IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0000観察数 4016ULL -3093.005RLL -5229.102McFadden's R 0.40762

Bグループ(2回目)係数 標準誤差 t-ratio P-value

有機栽培 2.59595 0.22285 11.64890 0.0000特別栽培 1.70305 0.31725 5.36814 0.0000減農薬 -0.52276 0.69531 -0.75184 0.4521価格 -0.05954 0.01284 -4.63850 0.0000青森産 1.05142 0.39972 2.63042 0.0085山形産 2.11589 0.58887 3.59313 0.0003長野産 1.61486 0.40863 3.95194 0.0001生産者名 1.52688 0.20502 7.44758 0.0000生産者名+Tel 0.81922 0.21746 3.76733 0.0002生産者名+写真 1.54721 0.18947 8.16614 0.0000NOCHOICE -3.45752 0.36692 -9.42319 0.0000IV(BUY) 0.41749 0.10377 4.02311 0.0001IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0001観察数 4016ULL -3066.292RLL -5044.032McFadden's R 0.39119

126

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Cグループ(1回目)係数 標準誤差 t-ratio P-value

有機栽培 1.46265 0.26248 5.57236 0.0000特別栽培 0.72069 0.13260 5.43498 0.0000減農薬 0.94235 0.13159 7.16137 0.0000価格 -0.03448 0.00509 -6.76780 0.0000青森産 0.82527 0.13779 5.98950 0.0000山形産 0.84996 0.12896 6.59087 0.0000長野産 0.84898 0.11391 7.45310 0.0000生産者名 0.77694 0.11528 6.73957 0.0000生産者名+Tel 1.44322 0.10513 13.72810 0.0000生産者名+写真 0.93687 0.22960 4.08053 0.0000NOCHOICE -3.84814 0.31924 -12.05420 0.0000IV(BUY) 0.85780 0.19849 4.32169 0.0000IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0000観察数 4040ULL -3135.59RLL -5276.236McFadden's R 0.40483

Cグループ(2回目)係数 標準誤差 t-ratio P-value

有機栽培 3.03977 0.19893 15.28060 0.0000特別栽培 1.76332 0.25565 6.89739 0.0000減農薬 -0.54916 0.54933 -0.99968 0.3175価格 -0.05755 0.01035 -5.56110 0.0000青森産 1.27422 0.39829 3.19924 0.0014山形産 2.10404 0.51470 4.08794 0.0000長野産 1.95696 0.42898 4.56192 0.0000生産者名 1.80239 0.20644 8.73095 0.0000生産者名+Tel 1.18115 0.23520 5.02187 0.0000生産者名+写真 1.74094 0.19016 9.15525 0.0000NOCHOICE -3.24649 0.33671 -9.64170 0.0000IV(BUY) 0.43656 0.09118 4.78782 0.0000IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0000観察数 4040ULL -3034.23RLL -5082.848McFadden's R 0.40216

127

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Dグループ(1回目)係数 標準誤差 t-ratio P-value

有機栽培 1.32430 0.22991 5.76021 0.0000特別栽培 0.79398 0.11807 6.72485 0.0000減農薬 0.95956 0.12266 7.82302 0.0000価格 -0.03278 0.00433 -7.57145 0.0000青森産 0.75617 0.12200 6.19817 0.0000山形産 0.70855 0.11045 6.41483 0.0000長野産 0.84608 0.09812 8.62293 0.0000生産者名 0.85637 0.10085 8.49192 0.0000生産者名+Tel 1.46724 0.09586 15.30650 0.0000生産者名+写真 0.69598 0.18536 3.75483 0.0002NOCHOICE -3.94004 0.31108 -12.66560 0.0000IV(BUY) 0.97786 0.21735 4.49901 0.0000IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0000観察数 4352ULL -3294.077RLL -5696.977McFadden's R 0.42099

Dグループ(2回目)係数 標準誤差 t-ratio P-value

有機栽培 3.13121 0.17374 18.02290 0.0000特別栽培 2.14654 0.20444 10.49970 0.0000減農薬 0.39259 0.38953 1.00787 0.3135価格 -0.04677 0.00732 -6.38993 0.0000青森産 0.65816 0.27854 2.36288 0.0181山形産 1.30279 0.32168 4.04997 0.0001長野産 1.22861 0.28240 4.35057 0.0000生産者名 1.52092 0.16691 9.11235 0.0000生産者名+Tel 0.92463 0.19738 4.68448 0.0000生産者名+写真 1.83408 0.18212 10.07050 0.0000NOCHOICE -3.06432 0.35567 -8.61561 0.0000IV(BUY) 0.56416 0.10993 5.13214 0.0000IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0000観察数 4352ULL -3176.348RLL -5525.769McFadden's R 0.42438

128

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まず、有機栽培の WTP(willingness to pay)についてであるが、なにも情報の提示を行

わずに知識についてのクイズのみを行った D グループでみると、1 回目の 40.40 から 2 回

目には 66.95 まで、26.55 の上昇がみられた。つまり、有機栽培に関していくつか質問を

行ってその正解を提示するだけで有機栽培についての WTP は上昇したということになる。

有機栽培が環境にもよい、という情報を提示した A グループでは、1 回目の 46.08 から 2

回目には 95.20 まで、49.12 の上昇がみられたのに対して、有機栽培の第 1 の目的が食品

安全ではない、という情報を提示した B グループでは、1 回目の 41.22 から 2 回目の 43.60

まで、2.38 の上昇にとどまっており、両方の情報を提示した C グループも、1 回目の 42.42

から 2 回目の 52.82 まで、10.40 の上昇にとどまっている。したがって、各グループに情

報を提示したことの効果は、情報提示を行わなかった D グループの上昇幅を基準とすると、

A グループは+22.57、B グループは-24.17、C グループは-16.15 であった。

すなわち、消費者は有機栽培が食品安全を目的としていると誤解しているのが現状であ

ることが確認された。全てのグループにおいて、1回目より 2 回目の有機ラベルに対する

評価額が高まってはいるものの、情報提供を行わずに知識クイズだけを行った D グループ

を基準にそれぞれの変化を見てみると、有機栽培の第一の目的が食品安全ではなく環境で

あるということについて、消費者の誤解を解かないままで、環境にもよいというポジティ

ブな形で情報を提示した場合には WTP は大幅に上昇するが、有機栽培の第一の目的が食

品安全ではない、というネガティブな形で情報を提示した場合には WTP は情報を提示し

ない場合と比べて情報幅が大幅に小さく、両方の情報を提示した場合にもやはり小さくな

っている。

次に、特別栽培と減農薬についてであるが、1 回目は各グループとも減農薬の方が高い

水準であったのが、2 回目には逆になっており、A グループ以外では減農薬は有意でなく

なり、便宜的に計算された評価の平均値も非常に低い値か負になっている。また、特別栽

培についての各グループの傾向は有機栽培と似た傾向を示している。

したがって、消費者は特別栽培についてはあまり認知しておらず、減農薬が現在禁止さ

れていることもあまり認知されていない。このことから、特別栽培と減農薬について、よ

り明確に伝えていくことで消費者の選択行動は変化するといえる。

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※D は、情報提供をせず、知識クイズのみを行ったグループ

※網掛け部分はパラメタが有意でない。特に表記のないものは1%水準で有意。

りんご(WTPの変化、グループごとの比較)

1回目(A:提供前)

1回目(B:提供前)

1回目(C:提供前)

1回目(D:提供前)

2回目(A:有機=環境)

2回目(B:有機=安全?)

2回目(C:A+B)

2回目(D:情報提供なし)

有機栽培 46.08 41.22 42.42 40.40 95.20 43.60 52.82 66.95特別栽培 21.00 22.86 20.90 24.22 74.31 28.60 30.64 45.89減農薬 30.93 31.26 27.33 29.28 29.49 -8.78 -9.54 8.39青森産 29.16 26.94 23.94 23.07 7.19 17.66 22.14 14.07山形産 26.49 20.99 24.65 21.62 31.81 35.54 36.56 27.85長野産 26.54 25.36 24.62 25.81 29.52 27.12 34.01 26.27生産者名 31.56 25.85 22.53 26.13 40.85 25.65 31.32 32.52電話つき 46.82 42.96 41.86 44.76 24.33 13.76 20.53 19.77写真つき 28.47 20.03 27.17 21.23 47.11 25.99 30.25 39.21

(単位:円)

<各グループのWTP増分とΔDとの比較>

ΔA ΔB ΔC ΔD ΔA-ΔD ΔB-ΔD ΔC-ΔD

有機 49.12 2.38 10.40 26.55 22.57 -24.17 -16.15特別 53.31 5.74 9.74 21.67 31.64 -15.93 -11.93

減農薬 -1.44 -40.04 -36.87 -20.89 19.45 -19.15 -15.98

130

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<りんご WTP の比較(各グループの変化)>

<各グループの WTP の増分とΔD との比較>

-20

0

20

40

60

80

100

120

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

1回目(A:提供前) 1回目(B:提供前) 1回目(C:提供前) 1回目(D:提供前)

2回目(A:有機=環境) 2回目(B:有機=安全?) 2回目(C:A+B) 2回目(D:情報提供なし)

×

×

×

×

(円)

-60

-40

-20

0

20

40

60

ΔA ΔB ΔC ΔD ΔA-ΔD ΔB-ΔD ΔC-ΔD

有機 特別 減農薬

(円)

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(2) デモグラフィック属性などの分析

個人属性による違いを考慮するために、まず 1 回目のコンジョイント設問の回答データ

を用いて、先行研究でもよく用いられているようなデモグラフィック属性などによるサブ

サンプル分析を一通り行った。その結果、知識について特に顕著な傾向が見られた他は、

デモグラフィック属性はあまり政策的なインプリケーションが得られそうな結果は得られ

なかった。また、健康や環境への関心やりんごへのこだわり、表示に対する信頼などに関

しては、大体常識的な結果となった。分析結果の詳細については、補論1に記した。

(3) 知識水準による分析

デモグラフィック属性に基づくサブサンプル分析の結果を受けて、消費者間の差異によ

る違いを分析するため、本研究では特に知識水準による違いに焦点を当てた分析を行った。

なお、りんごの分析については、③有機栽培の表示についての知識を用いて推計を行って

いる。有機栽培についての各知識水準の結果は以下の通りである。

まず、知識水準の高いグループでは、なにも情報の提示を行わずに知識についてのクイ

ズのみを行った D グループでみると、1 回目の 55.04 から 2 回目には 72.40 まで、17.36

の上昇がみられた。情報提示を行った各グループでは、A グループでは、1 回目の 65.75

から 2 回目には 110.94 まで、45.19 の上昇がみられ、B グループでは、1 回目の 64.44 か

ら 2 回目には 90.16 まで、25.72 の上昇にとどまり、C グループでは、1 回目の 67.27 か

ら 2 回目には 95.52 まで、28.25 の上昇にとどまった。したがって、各グループに情報を

提示したことの効果は、情報提示を行わなかった D グループの上昇幅を基準とすると、A

グループは+27.83、B グループは+8.36、C グループは+10.89 であった。

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※網掛け部分はパラメタが有意でない。特に表記のないものは1%水準で有意。

<知識水準(高)>

1回目 2回目 1回目 2回目 1回目 2回目 1回目 2回目

有機栽培 65.75 110.94 64.44 90.16 67.27 95.52 55.04 72.40特別栽培 25.29 79.95 33.15 73.51 24.56 64.89 28.48 45.51減農薬 38.57 33.10 38.52 27.04 38.69 13.00 37.66 13.69青森産 28.93 -1.15 32.54 23.04 37.33 26.31 27.65 15.55山形産 42.55 24.25 30.00 37.24 35.24 36.33 23.98 32.93長野産 20.62 18.53 44.73 26.96 26.32 36.86 27.01 35.12生産者名 34.32 42.85 34.91 45.13 29.14 46.04 28.73 35.52電話つき 57.07 24.05 57.42 40.09 44.95 27.07 52.87 20.69写真つき 55.14 57.35 29.15 55.59 36.42 46.33 23.78 38.42

(単位:円)

A「有機=環境」 B「有機=安全?」 C「A+B」 D「情報提供なし」

-20

0

20

40

60

80

100

120

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

A「有機=環境」 1回目 A「有機=環境」 2回目

B「有機=安全?」 1回目 B「有機=安全?」 2回目

C「A+B」 1回目 C「A+B」 2回目

D「情報提供なし」 1回目 D「情報提供なし」 2回目

××

××

×

××

×

×

×××

(円)

133

Page 10: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

次に、知識水準の中程度のグループでは、なにも情報の提示を行わずに知識についての

クイズのみを行ったDグループでみると、1回目 45.94のから 2回目には 86.13まで、40.19

の上昇がみられた。情報提示を行った各グループでは、A グループでは、1 回目の 52.27

から 2 回目には 113.57 まで、61.30 の上昇がみられ、B グループでは、1 回目の 39.41 か

ら 2 回目には 45.58 まで、6.17 の上昇にとどまり、C グループでは、1 回目の 41.02 から

2 回目には 57.26 まで、16.24 の上昇にとどまった。したがって、各グループに情報を提

示したことの効果は、情報提示を行わなかった D グループの上昇幅を基準とすると、A グ

ループは+21.11、B グループは-34.02、C グループは-23.95 であった。

※網掛け部分はパラメタが有意でない。特に表記のないものは1%水準で有意。

<知識水準(中)>

1回目 2回目 1回目 2回目 1回目 2回目 1回目 2回目

有機栽培 52.27 113.57 39.41 45.58 41.02 57.26 45.94 86.13特別栽培 25.79 89.38 23.48 28.96 25.78 35.32 26.19 64.49減農薬 37.77 36.47 31.96 -7.65 29.30 -6.34 33.31 17.51青森産 26.48 2.87 26.44 13.97 24.65 18.62 20.07 9.38山形産 25.21 32.83 20.94 33.98 22.01 35.93 23.45 26.03長野産 32.08 30.96 22.38 26.73 27.87 31.55 29.25 24.16生産者名 36.21 48.02 28.57 24.99 24.66 30.78 28.99 37.53電話つき 54.59 32.29 45.37 9.28 47.92 21.97 46.68 23.36写真つき 28.31 55.33 22.19 25.48 20.28 29.42 26.01 46.64

(単位:円)

A「有機=環境」 B「有機=安全?」 C「A+B」 D「情報提供なし」

-20

0

20

40

60

80

100

120

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

A「有機=環境」 1回目 A「有機=環境」 2回目

B「有機=安全?」 1回目 B「有機=安全?」 2回目

C「A+B」 1回目 C「A+B」 2回目

D「情報提供なし」 1回目 D「情報提供なし」 2回目

×××

×

×

×

(円)

134

Page 11: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

そして、知識水準の低いグループでは、A グループを除くすべてのグループで、2 回目

の生産者名の表示以外のすべてのパラメタが統計的に有意な値を示さなくなっている。こ

のことから、情報提示によって混乱してしまったことがうかがえる。

従って、まず、知識水準の高い消費者は、情報提示による影響が他の水準の人たちに比

べて小さく、かつあまりネガティブな反応を示していない。次に、知識水準の中程度の消

費者は、情報提示によるネガティブな反応の振れ幅が大きい。そして、知識水準の低い消

費者は、情報提示によって混乱してしまったと考えられる。

※網掛け部分はパラメタが有意でない。特に表記のないものは1%水準で有意。

<知識水準(低)>

1回目 2回目 1回目 2回目 1回目 2回目 1回目 2回目

有機栽培 22.84 77.97 30.69 3.49 19.36 5.66 22.74 16.64特別栽培 12.74 69.70 16.49 -6.93 10.61 -9.09 21.53 0.29減農薬 17.04 40.70 27.08 -38.26 15.43 -34.96 17.33 -21.94青森産 44.03 8.02 27.48 22.30 18.75 23.13 30.34 20.81山形産 28.68 25.15 16.22 41.02 20.93 34.31 21.74 23.64長野産 25.87 24.58 21.41 25.66 24.05 24.75 23.11 17.12生産者名 30.65 30.51 16.80 12.97 20.44 13.03 24.14 13.10電話つき 36.97 10.84 30.31 1.54 38.56 4.50 41.94 6.71写真つき 13.27 35.90 7.90 2.85 27.30 5.94 11.96 14.31

(単位:円)

A「有機=環境」 B「有機=安全?」 C「A+B」 D「情報提供なし」

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

100

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

A「有機=環境」 1回目 A「有機=環境」 2回目

B「有機=安全?」 1回目 B「有機=安全?」 2回目

C「A+B」 1回目 C「A+B」 2回目

D「情報提供なし」 1回目 D「情報提供なし」 2回目

※2回目は、Aグループを除いて、ほとんどすべてのパラメタが有意でなくなっている。(表参照)※有意でない時の「×」マークは省略

(円)

135

Page 12: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

※網掛け部分はパラメタが有意でない。特に表記のないものは1%水準で有意。

<有機栽培に対する各グループのWTP>

A1 B1 C1 D1 A2 B2 C2 D2

知識高 65.75 64.44 67.27 55.04 110.94 90.16 95.52 72.40知識中 52.27 39.41 41.02 45.94 113.57 45.58 57.26 86.13知識低 22.84 30.69 19.36 22.74 77.97 3.49 5.66 16.64

(単位:円)

<有機栽培に対する各グループのWTP増分比較>

ΔA ΔB ΔC ΔD ΔA-ΔD ΔB-ΔD ΔC-ΔD

知識高 45.19 25.72 28.25 17.36 27.83 8.36 10.89知識中 61.30 6.17 16.24 40.19 21.11 -34.02 -23.95知識低 55.13 -27.20 -13.70 -6.10 61.23 -21.10 -7.60

(単位:円)

有機ラベルに対するWTP(グループ毎の増分比較)

-40

-20

0

20

40

60

80

ΔA ΔB ΔC ΔD ΔA ΔB ΔC ΔD ΔA ΔB ΔC ΔD

知識(高) 知識(中) 知識(低)

(円)

有機ラベルに対するWTP(情報提供なしΔDを基準にした比較)

-40

-20

0

20

40

60

80

ΔA-ΔD ΔB-ΔD ΔC-ΔD ΔA-ΔD ΔB-ΔD ΔC-ΔD ΔA-ΔD ΔB-ΔD ΔC-ΔD

知識(高) 知識(中) 知識(低)

(円)

136

Page 13: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

② 食用油の分析結果

(1) 基本的な分析の結果

次に、食用油の基本的な分析を行った。食用油に関するコンジョイント設問の回答デー

タを用いて、りんごと同様に入れ子ロジットモデルで推定した。結果は以下の8つの表の

とおりである。係数の符号と統計的有意性については良好な結果が得られた。また、モデ

ルのあてはまりについては、McFadden の擬似 R が全体的に 0.3 程度で、りんごの当ては

まりの良さには劣るものの、ある程度良好な結果が得られた。

食用油 Aグループ係数 標準誤差 t-ratio P-value

遺伝子組み換えでない 0.81138 0.07613 10.65820 0.0000

トクホ 2.36657 0.12565 18.83440 0.0000成分を含む 1.27882 0.10817 11.82190 0.0000ゼロ 0.94719 0.12348 7.67084 0.0000価格 -0.00930 0.00059 -15.78680 0.0000NOCHOICE -2.79997 0.14562 -19.22800 0.0000IV(BUY) 0.67501 0.05534 12.19860 0.0000IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0000観察数 4128ULL -3603.427RLL -5182.661McFadden's R 0.30412

食用油 Bグループ係数 標準誤差 t-ratio P-value

遺伝子組み換えでない 1.00943 0.07660 13.17860 0.0000

トクホ 2.07302 0.11763 17.62300 0.0000成分を含む 1.09634 0.09697 11.30560 0.0000ゼロ 0.93362 0.11253 8.29682 0.0000価格 -0.00834 0.00056 -14.81170 0.0000NOCHOICE -2.60555 0.15019 -17.34880 0.0000IV(BUY) 0.79674 0.06530 12.20040 0.0000IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0000観察数 4016ULL -3611.792RLL -4985.808McFadden's R 0.27495

137

Page 14: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

食用油 Cグループ係数 標準誤差 t-ratio P-value

遺伝子組み換えでない 1.08706 0.08092 13.43450 0.0000

トクホ 2.40240 0.12593 19.07670 0.0000成分を含む 1.02017 0.10639 9.58942 0.0000ゼロ 0.96931 0.12023 8.06234 0.0000価格 -0.00878 0.00062 -14.05810 0.0000NOCHOICE -2.52995 0.14441 -17.51940 0.0000IV(BUY) 0.68312 0.05732 11.91710 0.0000IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0000観察数 4040ULL -3604.388RLL -5039.18McFadden's R 0.28411

食用油 Dグループ係数 標準誤差 t-ratio P-value

遺伝子組み換えでない 0.88082 0.07775 11.32920 0.0000

トクホ 2.33402 0.12078 19.32490 0.0000成分を含む 1.07195 0.10910 9.82516 0.0000ゼロ 0.76646 0.12227 6.26839 0.0000価格 -0.01022 0.00063 -16.27360 0.0000NOCHOICE -2.90344 0.13625 -21.30950 0.0000IV(BUY) 0.60898 0.04988 12.20820 0.0000IV(NO) 1(fixed) 0 1.00E+10 0.0000観察数 4352ULL -3831.445RLL -5437.74McFadden's R 0.29483

138

Page 15: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

まず、遺伝子組み換え原料を使っていない、という表示の WTP についてであるが、な

にも情報の提示を行わなかった C グループでは、123.79 であったのに対して、遺伝子組

み換えでないことの表示は任意表示である、という情報を提示した A グループでは、87.21

にとどまり、トクホは国によってオーソライズされていることと食用油は基本的にコレス

テロールゼロである、という情報もともに提示した D グループでも、86.23 にとどまった。

したがって、情報提示を行わなかった C グループを基準とすると、A グループは-36.58、

D グループは-37.56 であった。

すなわち、消費者は遺伝子組み換え原料を使っていないことは、表示が義務づけられて

いるものと誤解しており、そうではないことがわかると、WTP は低下するといえる。

また、遺伝子組み換えに対する不安については、不安がないとする消費者でも遺伝子組

み換えでないことの表示は任意表示である、という情報を提示しなければ、水準は低いも

のの一定の WTP を示す結果となった。

次に、トクホの WTP についてであるが、なにも情報の提示を行わなかった C グループ

では、273.57 であったのに対して、トクホは国によってオーソライズされていることと食

用油は基本的にコレステロールゼロである、という情報を提示した B グループでは、

248.52 となり、遺伝子組み換えでないことの表示は任意表示である、という情報とともに

提示した D グループでは、228.48 となった。したがって、情報提示を行わなかった C グ

ループを基準とすると、B グループは-25.05、D グループは-45.09 であった。

この他、コレステロールを下げる成分を含む、という表示については、C グループでは

116.17、B グループでは 131.43、D グループでは 104.94 となり、情報提示を行わなかっ

た C グループを基準とすると、B グループは+15.26、D グループは-11.23 であった。そ

して、コレステロールゼロの表示については、C グループでは 110.38、B グループでは

111.92、D グループでは 75.03 となり、情報提示を行わなかった C グループを基準とする

と、B グループは+1.54、D グループは-35.35 であった。

すなわち、消費者は、コレステロールゼロという実質的には意味のない情報に対しても

反応しており、コレステロールを下げる成分をふくむ、という企業の自主的な表示と明確

に区別できていない。しかし、トクホについてはこれら二つの表示よりもかなり高い WTP

を示しており、政府によるオーソライズには一定の効果があるといえる。

139

Page 16: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<遺伝子組み換え表示に対するWTP>

C:提供なし A:任意表示D:トクホ・ゼロ情

報とあわせてA-C D-C

遺伝子組み換えでない 123.79 87.21 86.23 -36.58 -37.56(単位:円)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

遺伝子組み換えでない

C:提供なし A:任意表示 D:コレステ情報とあわせて

約37円(30%)の減少

(円)

140

Page 17: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

C:提供なし A:任意表示D:トクホ・ゼロ

情報とあわせてC:提供なし A:任意表示

D:トクホ・ゼロ情報とあわせて

遺伝子組み換えでない 156.89 121.74 112.46 33.59 18.98 20.30

(単位:円)※網掛け部分はパラメタが有意でない。特に表記のないものは1%水準で有意。斜体は10%有意

GM不安あり GM不安なし

<遺伝子組み換え食品に対する不安の有無とWTPの比較>

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

遺伝子組み換えでない

C:提供なし A:任意表示 D:トクホ・ゼロ情報とあわせて

遺伝子組み換え食品に対して不安のある消費者

約35円(22.5%)減

(円)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

遺伝子組み換えでない

C:提供なし A:任意表示 D:トクホ・ゼロ情報とあわせて

遺伝子組み換え食品に対して不安のない消費者(※AとDはパラメタが有意でない)

××

(円)

141

Page 18: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

※パラメタは全て1%有意

(2) デモグラフィック属性などの分析

りんごと同様、食用油の調査データについても、個人属性による違いを考慮するために、

先行研究でもよく用いられているようなデモグラフィック属性などによるサブサンプル分

析を一通り行った。しかしながら、あまり政策的なインプリケーションが得られそうな結

果は得られなかった。また、健康や環境への関心や食用油へのこだわりなどに関しては、

大体常識的な結果となった。分析結果の詳細については、補論2に記した。

<コレステロール表示に対するWTPの変化>

C:提供なし B:トクホ+ゼロD:GM情報とあわ

せてB-C D-C

トクホ 273.57 248.52 228.48 -25.05 -45.09成分を含む 116.17 131.43 104.94 15.26 -11.23

ゼロ 110.38 111.92 75.03 1.54 -35.35(単位:円)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

220

240

260

280

300

トクホ 成分を含む ゼロ

C:提供なし B:トクホ+ゼロ D:GM情報とあわせて

(円)

142

Page 19: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

(3) 知識水準による分析

デモグラフィック属性に基づくサブサンプル分析の結果を受けて、消費者間の差異によ

る違いを分析するため、りんごと同様、知識水準による違いに焦点を当てた分析を行った。

遺伝子組み換え原料を使用していない、との表示についての各知識水準の結果は以下の通

りである。

まず、知識水準の高いグループでは、なにも情報の提示を行わずに知識についてのクイ

ズのみを行った C グループでみると、138.77 であった。情報を提示した各グループでは、

A グループでは 104.50 にとどまり、D グループでも 93.60 にとどまった。したがって、

情報提示を行わなかった C グループを基準とすると、A グループは-34.27、D グループ

は-45.17 であった。

次に、知識水準の中程度のグループでは、なにも情報の提示を行わずに知識についての

クイズのみを行った C グループでみると、110.59 であった。情報を提示した各グループで

は、A グループでは 82.82 にとどまり、D グループでも 85.62 にとどまった。したがって、

情報提示を行わなかった C グループを基準とすると、A グループは-27.77、D グループ

は-24.97 であった。

そして、知識水準の低いグループでは、なにも情報の提示を行わずに知識についてのク

イズのみを行った C グループでみると、86.87 であった。情報を提示した各グループでは、

A グループでは 54.18 にとどまり、D グループでも 70.93 にとどまった。したがって、情

報提示を行わなかった C グループを基準とすると、A グループは-32.69、D グループは

-15.94 であった。

すなわち、なにも情報提示を行わなかった場合、知識水準の高い消費者ほど遺伝子組み

換え原料を使っていない、との表示に対して高い WTP を示すが、任意表示であるとの情

報を提示すると、こうした人ほど WTP は大きく低下するといえる。

コレステロールに関する表示については、まず知識水準の高いグループでは、トクホの

WTP については、なにも情報の提示を行わなかった C グループでは 311.38 であったのに

対して、情報を提示した各グループでは、B グループでは 236.00 となり、D グループで

は 242.76 となった。したがって、情報提示を行わなかった C グループを基準とすると、B

グループは-75.38、D グループは-68.62 であった。

この他、コレステロールを下げる成分を含む、という表示については、C グループでは

134.70、B グループでは 99.66、D グループでは 105.19 となり、情報提示を行わなかった

C グループを基準とすると、B グループは-35.04、D グループは-29.51 であった。そし

て、コレステロールゼロの表示については、C グループでは 152.74、B グループでは 73.30、

D グループでは 68.28 となり、情報提示を行わなかった C グループを基準とすると、B グ

ループは-79.44、D グループは-84.46 であった。

次に、知識水準の中程度のグループでは、トクホの WTP については、なにも情報の提

示を行わなかった C グループでは 279.40 であったのに対して、情報を提示した各グルー

143

Page 20: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

プでは、B グループでは 269.14 となり、D グループでは 235.06 となった。したがって、

情報提示を行わなかった C グループを基準とすると、B グループは-10.26、D グループ

は-44.34 であった。

この他、コレステロールを下げる成分を含む、という表示については、C グループでは

116.80、B グループでは 140.18、D グループでは 100.90 となり、情報提示を行わなかっ

た C グループを基準とすると、B グループは+23.38、D グループは-15.90 であった。そ

して、コレステロールゼロの表示については、C グループでは 101.92、B グループでは

129.04、D グループでは 74.31 となり、情報提示を行わなかった C グループを基準とする

と、B グループは+27.12、D グループは-27.61 であった。

そして、知識水準の低いグループでは、トクホの WTP については、なにも情報の提示

を行わなかった C グループでは 236.77 であったのに対して、情報を提示した各グループ

では、B グループでは 212.94 となり、D グループでは 188.74 となった。したがって、情

報提示を行わなかった C グループを基準とすると、B グループは-23.83、D グループは

-48.03 であった。

この他、コレステロールを下げる成分を含む、という表示については、C グループでは

98.22、B グループでは 163.31、D グループでは 113.63 となり、情報提示を行わなかった

C グループを基準とすると、B グループは+65.09、D グループは+15.41 であった。そし

て、コレステロールゼロの表示については、C グループでは 97.17、B グループでは 134.39、

D グループでは 87.34 となり、情報提示を行わなかった C グループを基準とすると、B グ

ループは+37.22、D グループは-9.83 であった。

すなわち、トクホの表示については、なにも情報提示を行わなかった場合、知識水準の

高い消費者ほど表示に対して高い WTP を示すが、トクホは国によるオーソライズがなさ

れているとの具体的な情報を提示すると、知識水準の高い消費者では WTP は大きく低下

するといえる。

コレステロールゼロの表示については、なにも情報提示を行わなかった場合、知識水準

の高い消費者ほど表示に対して高い WTP を示すが、この情報には実質的な意味はないと

の情報を提示すると、知識水準の高い消費者では WTP は大きく低下するが、知識水準が

中程度と低い消費者では、遺伝子組み換えについて任意表示の情報をともに提示したグル

ープのみ低下するといえる。

コレステロールを下げる成分を含む、という表示についても、やはりなにも情報提示を

行わなかった場合、知識水準の高い消費者ほど、表示に対して高い WTP を示すが、これ

が企業の自主的な表示であるとの情報を提示すると知識水準の高い消費者では WTP は大

きく低下し、それ以外の消費者では知識水準が中程度の消費者に、遺伝子組み換えについ

て任意表示の情報をともに提示したグループのみ低下するといえる。

したがって、知識水準の高い消費者ほど表示に対して敏感であり、情報提示による影響

も大きくなっている。また、知識水準の中・低程度の消費者では、両方の情報をともに提

144

Page 21: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

示したときにのみコレステロールゼロという実質的に意味のない情報に対する WTP が低

下しており、この情報がかなり難しいもので、同じ構造の情報を同時に提示することで理

解が容易になったことがうかがえる。

※パラメタは全て1%有意

C:情報なし A:任意表示D:トクホ・ゼロ情報と

あわせてA-C D-C

遺伝子組み換えでない

138.77 104.50 93.60 -34.27 -45.17

C:情報なし A:任意表示D:トクホ・ゼロ情報と

あわせてA-C D-C

遺伝子組み換えでない

110.59 82.82 85.62 -27.77 -24.97

C:情報なし A:任意表示D:トクホ・ゼロ情報と

あわせてA-C D-C

遺伝子組み換えでない

86.87 54.18 70.93 -32.69 -15.94

(単位:円)

<GM知識とWTP>

GM知識(低)

GM知識(中)

GM知識(高)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

遺伝子組み換えでない

GM知識(高) C:情報なし

GM知識(高) A:任意表示

GM知識(高) D:トクホ・ゼロ情報とあわせて

GM知識(中) C:情報なし

GM知識(中) A:任意表示

GM知識(中) D:トクホ・ゼロ情報とあわせて

GM知識(低) C:情報なし

GM知識(低) A:任意表示

GM知識(低) D:トクホ・ゼロ情報とあわせて

(円)

145

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※A グループ:遺伝子組み換えは任意表示

※D グループ:トクホとコレステ情報と共に A と同じ情報を提供

※C グループ:情報提供なし

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

20

A-C D-C A-C D-C A-C D-C

GM知識(高) GM知識(中) GM知識(低)

遺伝子組み換えでない(円)

146

Page 23: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

※パラメタは全て1%有意

C:情報なし B:トクホ・ゼロ情報D:GM情報とあわせ

てB-C D-C

トクホ 311.38 236.00 242.76 -75.38 -68.62

成分を含む 134.70 99.66 105.19 -35.04 -29.51

ゼロ 152.74 73.30 68.28 -79.44 -84.46

C:情報なし B:トクホ・ゼロ情報D:GM情報とあわせ

てB-C D-C

トクホ 279.40 269.14 235.06 -10.26 -44.34

成分を含む 116.80 140.18 100.90 23.38 -15.9

ゼロ 101.92 129.04 74.31 27.12 -27.61

C:情報なし B:トクホ・ゼロ情報D:GM情報とあわせ

てB-C D-C

トクホ 236.77 212.94 188.74 -23.83 -48.03

成分を含む 98.22 163.31 113.63 65.09 15.41

ゼロ 97.17 134.39 87.34 37.22 -9.83

(単位:円)

<コレステ知識とWTP>

コレステ知識(低)

コレステ知識(中)

コレステ知識(高)

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

トクホ 成分を含む ゼロ

コレステ知識(高) C:情報なし コレステ知識(高) B:トクホ・ゼロ情報 コレステ知識(高) D:GM情報とあわせて

コレステ知識(中) C:情報なし コレステ知識(中) B:トクホ・ゼロ情報 コレステ知識(中) D:GM情報とあわせて

コレステ知識(低) C:情報なし コレステ知識(低) B:トクホ・ゼロ情報 コレステ知識(低) D:GM情報とあわせて

(円)

147

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※ B は、トクホ・ゼロ情報を与えたグループ

※ D は、遺伝子組み換えでない表示が任意であるとの情報を与えたグループ

※ C は、情報提供を行わなかったグループ

-100

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

B-C D-C B-C D-C B-C D-C

コレステ知識(高) コレステ知識(中) コレステ知識(低)

トクホ 成分を含む ゼロ

(円)

148

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5. 結論と政策的インプリケーション

実証分析により得られた主要な結論は、以下に述べるようなものである。

まず、りんごについては、以下の3点がいえる。

① 「特別栽培」と「減農薬」について、1回目のコンジョイント分析では、各グループ

とも減農薬のほうを高く評価していた。しかし、減農薬表示が現在はガイドラインで

禁止されている旨、また、特別栽培の定義と合わせて、ふたつの違いを明確に情報提

供した後、2回目のコンジョイント分析を行うと、減農薬表示に関するパラメタは有

意ではなくなり、特別栽培に対する評価が減農薬に比べて相対的に高く評価されるよ

うになった。このことから、現状において、消費者は特別栽培を正確に認知しておら

ず、減農薬表示が禁止されていることもあまり認知されていないことがわかる。した

がって、その違いを明確にするガイドラインを制定し、そのキャンペーンを行ってい

くことで、消費者の選択行動は変化することが予想できる。その点で、政府によるガ

イドラインなどの整備とその周知には意味があると考えられる。

② また、消費者は有機栽培が食品安全を目的としていると誤解しているのが現状である

ことが確認された。有機栽培の第一の目的が食品安全ではなく環境であるということ

について、消費者の誤解を解かないままで、環境にもよいというポジティブな形で情

報を提示した場合には WTP は大幅に上昇するが、有機栽培の第一の目的が食品安全

ではない、というネガティブな形で情報を提示した場合にはその上昇幅が大幅に小さ

くなり、両方の情報を提示した場合にも小さくなっている。このことから、情報提供

の仕方によって、消費者の行動は大きく異なることがわかる。ネガティブな反応をも

たらすような情報に関しては、生産者には情報提供のインセンティブは存在しないた

め、政府が消費者教育などを通じて適切な情報を消費者に提供することには意味があ

るといえる。

③ 情報に対する反応の仕方は、消費者の知識水準や知識・情報のタイプによって異なっ

ていることがわかった。コンジョイント分析の結果、知識水準の高い消費者ほど正確

な情報を得ることによる反応の振れ幅が小さく、知識水準の低い消費者では混乱して

しまって、元々抱いていた信念も崩れてしまうという顕著な違いがみられた。

食用油に関しては、以下の3点がいえる。

① 消費者は遺伝子組み換え原料を使っていないことは、表示が義務づけられているもの

と誤解しており、そうではないことがわかると、WTP は低下した。

② また、コンジョイント分析の結果、食用油の「遺伝子組み換え原料を使用していない」

という表示には、遺伝子組み換え食品に不安を感じないとしている消費者でも、こう

した表示が任意表示であることを伝えなければ低水準ながら一定の WTP を示した。

149

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したがって、遺伝子組み換え食品については、こうした消費者の不安を払拭すること

も重要であろう。

③ 消費者は、「コレステロールゼロ」という実質的には意味のない情報に対しても反応し

ており、「コレステロールを下げる成分をふくむ」という企業の自主的な表示と明確に

区別ができていなかった。しかし、トクホについてはこれら二つの表示よりもかなり

高い支払い意思を示しており、明確に区別されている。従って、政府によるオーソラ

イズには一定の効果があるといえる。

④ 食用油では、知識水準の高い消費者ほどトクホなどの表示に敏感に反応しており、実

質的に意味のないコレステロールゼロという表示に対しても敏感に反応していた。そ

して、実質的に意味がないことを伝えると、こうした消費者ほどネガティブな反応を

示していた。

りんごの「減農薬」表示と食用油の「遺伝子組み換えでない」表示に関する結果から、

消費者へのアナウンスによって、選択行動が異なってくることが予想される。

また、消費者の知識水準に関して、りんごと食用油では異なるインプリケーションが得

られたが、りんごでは店頭で見分ける知識と料理・保存に関する知識、有機栽培について

の総合的な知識を測っていたのに対して、食用油では遺伝子組み換えやコレステロールに

ついての教科書的知識を測っており、こうした知識のタイプの違いが異なる結果の要因に

なったと推測される。

以上の実証分析からの結論を受けて、得られる示唆は以下のとおりである。

食用油の市場では、トクホを取得している高品質の商品が表示を行っているだけでなく、

ローエンドの製品でも実質的に意味のない情報であるコレステロールゼロという表示がな

されており、こうした表示を積極的に行うことで少しでも消費者にアピールしようとして

いる。この意味において、現実の市場は1節で述べた Grossman(1981)の議論と整合的な

状態といえる。

コンジョイント分析の結果、消費者はこうした実質的に意味のない情報の表示に対して

も WTP を示しており、「わざわざ表示しているからには、なにか意味があるのであろう」

と推測していることがわかる。このために、ローエンドの製品まで情報を自主的に開示し

ているのである。この点で、本研究の結果は、Fishman and Hagerty(2003)や

Mathios(2000)らのものとは異なっている。彼らは、開示された情報を観察できるが、正

しく評価できない消費者がある程度いる場合には、企業の情報開示のインセンティブが損

なわれ、「情報開示が完全には行われなくなる」ことを明らかにしているが、本研究の結果

は、開示された情報を過大評価してしまう消費者がいることによって、実質的には意味の

ない情報まで過剰に開示されてしまい、消費者がこれに反応してしまっているというもの

である。こうした状況では、情報が開示されないことよりも、過剰に情報が流されてしま

150

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うことのほうが問題となろう。ガイドラインで禁止される前に、定義が不明確なまま市場

で氾濫していた「減農薬」表示が消費者の混乱を招いていた事実もこの文脈で解釈されよ

う。

すなわち、生産者が積極的に様々な情報を出すことで少しでも消費者に対してアピール

しようとする一方で、消費者はこれらの情報を正しく区別できなかったり、開示された情

報を過大に評価してしまっているような場合には、単に情報開示を促すのではなく、認証

制度など、政府によるオーソライズや表示方法のガイドライン等によって、情報開示のル

ールを整備することのほうが重要となってこよう。

また、消費者の知識水準によって、情報への反応が異なっていることから、食品表示な

どの政策を行う場合には、情報開示方法を工夫するだけでなく、その情報を受け取る消費

者の知識そのものに働きかける、例えば消費者教育などによるサポートを行うことも重要

だといえる。

タバコの有害広告のような、本来的にネガティブな情報の場合、政府が強制開示を規制

すべきことは自明であるが、本研究の結果から、そのようなネガティブな情報でなくても、

それに対する消費者の反応や、企業の開示インセンティブによって、政府が規制を行うこ

とには意味があるといえよう。

151

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<情報の種類と政府の役割>

企業の開示インセンティブ

市場の失敗 政府の役割 政策手段

(+)正に反応する情報

例)有機農業は環境にやさしい  遺伝子組み換え原料を使っていません  トクホ、コレステロールゼロ など

⇒インセンティブあり(自主的に開示)

⇒ 情報の氾濫 ⇒ 情報の整理 ⇒認証制度

ガイドラインなど

(-)負に反応する情報

例)有機農業の第一目的は食品安全でない  遺伝子組み換えでないは任意表示  植物性油はコレステロールゼロ など

⇒インセンティブなし(開示されない)

⇒ 情報の不足 ⇒情報の発信

(正しい理解の促進)⇒ 消費者教育

適正評価 反応する ⇒ インセンティブあり ⇒ 適正な情報量 ⇒ 市場にゆだねる ⇒ なし

過小評価 反応しない ⇒ インセンティブなし ⇒ 情報の不足 ⇒ 消費者保護 ⇒ 強制開示

Negative ⇒ インセンティブなし ⇒ 情報の不足 ⇒ 消費者保護 ⇒強制開示

販売に対する直接規制

企業の出す情報に対する消費者の反応

情報

Non-Negative

過大評価(過剰評価)

情報のタイプ

152

Page 29: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<補論1> りんごのサブサンプル分析

本節のサブサンプル分析については、すべて一回目のコンジョイント設問の回答データ

を用いて分析を行った。推計表は省略するが、特に記載のない限り、結果はすべて1%水

準で有意、McFadden の R はほぼ全て 0.4 以上で、良好な結果といえる。

推計結果の主な特徴点は以下のとおりである。

○ 年齢階層別で見ると、10 代~20 代、60 代以上で総じて全ての属性に対して高い支払

い意思をもつ傾向があるのに対して、40 代、50 代ではこれらの階層よりも支払い意思

が小さい傾向がある。但し、「減農薬」表示については、年齢階層があがるに従って高

い支払い意思を示している。なお、10 代では特に産地属性への支払い意思が高いよう

である。

○ 性別では、産地属性、生産者情報属性に関して男性のほうが高い支払い意思を持って

いる。栽培属性については、「有機栽培」は男性、「特別栽培」「減農薬」は女性のほう

が支払い意思は高い。

○ 所得階層別でみると、「有機栽培」「減農薬」については、所得階層があがるに従って、

高い支払い意思をもつ傾向が見られる。それ以外はあまり傾向的な特徴は見られない。

○ 教育年数別で見ると、「有機栽培」「減農薬」については、教育年数が増えるに従って、

高い支払い意思をもつ傾向がある。それ以外はあまり傾向的な特徴は見られない。

○ 「健康への関心が高い」層や「環境への関心が高い」層では、関心が低い層に比較し

て、栽培属性、生産者情報属性に関しては高めの支払い意思を持つ傾向がある。

○ 子供の有無、人数については、特徴的な傾向は見られなかった。

○ りんごの消費頻度で見ると、「有機栽培」「減農薬」表示に関しては、消費頻度が高い

グループのほうが高い支払い意思を持つ傾向がある。

○ りんごに対するこだわりがある層のほうが、すべての属性について高い支払い意思を

もっている。

○ 有機食品の購買頻度が高い層は、あまり買わない層と比較して、栽培属性、生産者情

報属性に対する支払い意思が高い。

○ 有機ラベルの表示を信頼している層は、そうでない層と比較して、栽培属性に対する

支払い意思が高い。

○ 知識水準別に見ると、知識水準が高いほうが、栽培属性、生産者情報属性を高く評価

している。産地属性に関しては、特徴的な点は見られない。

153

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<年齢>

10~20歳代 30代 40代 50代 60歳以上

有機栽培 48.09 49.00 36.57 38.47 45.55特別栽培 27.84 22.04 21.59 18.49 25.98減農薬 17.29 24.43 27.57 26.60 40.10青森産 48.58 25.37 26.95 16.52 25.67山形産 48.20 25.86 19.57 16.04 22.82長野産 46.79 25.48 20.84 20.07 27.31

生産者名 33.19 23.50 24.38 19.28 32.41電話つき 56.03 41.30 39.67 36.55 52.18写真つき 24.18 24.54 16.63 25.41 27.39

(単位:円)

<性別>

男性 女性

有機栽培 44.58 42.13特別栽培 17.49 23.31減農薬 26.16 31.83青森産 33.12 22.41山形産 31.00 20.03長野産 30.29 21.70

生産者名 32.46 23.90電話つき 47.82 41.01写真つき 27.64 24.17

(単位:円)

<年齢と性別>

<10~30代・男性>

<40~50代・男性>

<60才以上・男性>

<10~30代・女性>

<40~50代・女性>

<60才以上・女性>

有機栽培 52.47 35.41 48.18 47.26 39.44 40.43特別栽培 23.24 14.77 20.04 25.72 21.63 27.30減農薬 17.75 19.80 40.45 25.41 30.17 37.36青森産 29.77 31.94 29.18 35.94 12.72 21.34山形産 31.92 31.65 21.72 33.29 8.51 20.96長野産 36.55 26.49 23.05 32.01 14.82 26.56

生産者名 26.26 31.58 34.31 28.04 13.86 27.85電話つき 44.23 46.63 46.33 47.48 30.15 50.73写真つき 27.79 26.60 25.89 20.49 20.25 27.19

(単位:円)

154

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0

10

20

30

40

50

60

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

10~20歳代 30代 40代 50代 60歳以上

(円)

0

10

20

30

40

50

60

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

男性 女性

(円)

155

Page 32: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

0

10

20

30

40

50

60

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

<10~30代・男性> <40~50代・男性> <60才以上・男性>

<10~30代・女性> <40~50代・女性> <60才以上・女性>

(円)

156

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<所得>

200万円未満200万~500万

円未満500万~900万

円未満900万円以上

有機栽培 35.26 42.53 43.03 48.33特別栽培 18.34 25.74 22.09 21.74減農薬 27.87 27.44 31.58 31.03青森産 24.64 26.90 29.03 20.74山形産 21.17 23.71 24.47 23.43長野産 16.10 28.40 27.49 27.93

生産者名 21.43 27.56 28.52 24.77電話つき 30.90 47.38 47.76 44.52写真つき 19.83 23.37 24.90 28.93

(単位:円)

<教育年数>

12年以下(中高・専門高)

14年程度(専門学校・短大)

16年以上(大卒・院卒)

有機栽培 39.81 40.05 45.16特別栽培 23.12 22.90 19.28減農薬 26.47 30.29 32.04青森産 23.06 22.97 28.61山形産 23.21 17.76 25.04長野産 24.31 22.01 26.93

生産者名 25.07 21.98 28.23電話つき 44.13 39.54 44.39写真つき 26.95 20.65 22.38

(単位:円)

157

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0

10

20

30

40

50

60

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

200万円未満 200万~500万円未満 500万~900万円未満 900万円以上

(円)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

12年以下(中高・専門高) 14年程度(専門学校・短大) 16年以上(大卒・院卒)

(円)

158

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<健康関心>

健康関心高い 健康関心低い

有機栽培 49.04 30.93特別栽培 22.23 15.34減農薬 34.57 16.32青森産 23.12 29.06山形産 21.44 26.04長野産 25.14 23.12

生産者名 27.02 25.83電話つき 45.30 37.21写真つき 29.88 19.50

(単位:円)

<環境関心>

環境関心高い 環境関心低い有機栽培 53.74 19.18特別栽培 22.92 18.23減農薬 37.36 14.25青森産 28.88 30.54山形産 27.12 25.05長野産 28.38 23.28

生産者名 32.84 25.20電話つき 50.93 36.90写真つき 34.53 12.48

(単位:円)

159

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0

10

20

30

40

50

60

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

健康関心高い 健康関心低い

(円)

0

10

20

30

40

50

60

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

環境関心高い 環境関心低い

(円)

160

Page 37: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<子供の有無と人数、年齢>

子供なし 子供1人 子供2~3人 子供4人以上未就学児童が

いる小中高以上の子供がいる

有機栽培 46.56 45.01 36.05 37.00 31.68 42.66特別栽培 25.41 25.19 16.06 29.69 13.49 19.89減農薬 26.66 34.02 27.82 43.68 20.40 31.65青森産 31.41 23.91 26.84 21.99 17.51 23.47山形産 27.33 17.46 27.15 11.29 20.01 23.37長野産 29.78 21.99 27.12 23.40 20.34 22.04

生産者名 27.80 23.65 30.09 31.17 15.27 27.16電話つき 46.12 35.36 49.68 56.53 32.66 44.35写真つき 23.59 18.81 28.20 10.27 18.01 29.05

(単位:円)

0

10

20

30

40

50

60

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

子供なし 子供1人 子供2~3人 子供4人以上

(円)

161

Page 38: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<りんごの消費頻度>

毎日 週1~3 月1ほとんど食べな

い有機栽培 48.76 40.88 38.79 41.39特別栽培 23.97 25.83 17.85 21.17減農薬 41.02 32.47 23.22 12.94青森産 27.72 27.72 25.43 21.21山形産 21.08 24.58 22.81 29.06長野産 24.82 28.86 22.84 30.85

生産者名 31.55 29.31 22.94 21.46電話つき 43.98 51.19 38.48 47.11写真つき 24.95 26.49 20.43 29.56

(単位:円)

<りんごに対するこだわりの有無>

こだわりがある こだわりがない

有機栽培 47.79 38.01特別栽培 24.66 17.90減農薬 35.84 22.21青森産 32.91 18.48山形産 27.65 20.32長野産 30.80 20.14

生産者名 32.40 20.37電話つき 51.60 36.08写真つき 28.60 23.53

(単位:円)

162

Page 39: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<りんごの消費頻度>

<りんごに対するこだわりの有無>

0

10

20

30

40

50

60

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

毎日 週1~3 月1 ほとんど食べない

(円)

0

10

20

30

40

50

60

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

こだわりがある こだわりがない

(円)

163

Page 40: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<有機食品の購買頻度>

よく買う あまり買わない

有機栽培 66.23 23.59特別栽培 33.05 13.57減農薬 43.65 18.62青森産 26.31 29.70山形産 28.76 21.97長野産 33.09 20.31

生産者名 33.30 24.48電話つき 58.76 33.37写真つき 38.01 13.98

(単位:円)

<有機表示への信頼>

信頼している 信頼していない

有機栽培 57.17 17.67特別栽培 28.39 15.57減農薬 37.95 18.62青森産 21.95 34.09山形産 25.07 24.60長野産 23.48 23.35

生産者名 26.76 30.80電話つき 47.99 38.30写真つき 32.84 12.59

(単位:円)

164

Page 41: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<有機食品の購買頻度>

<有機表示への信頼>

0

10

20

30

40

50

60

70

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

よく買う あまり買わない

(円)

0

10

20

30

40

50

60

70

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

信頼している 信頼していない

(円)

165

Page 42: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<知識水準別>

<Q22-Q24の点数合計が0~5

点>

<Q22-Q24の点数合計が6~

14点>

<Q22-Q24の点数合計が15

~19点>

有機栽培 26.18 37.94 58.21特別栽培 12.24 20.89 29.81減農薬 18.08 26.49 39.04青森産 26.28 22.02 28.64山形産 21.96 20.76 26.34長野産 22.08 22.57 22.66

生産者名 22.74 22.81 37.68電話つき 35.76 39.79 57.62写真つき 16.93 19.91 38.25

(単位:円)

0

10

20

30

40

50

60

70

有機栽培

特別栽培

減農薬

青森産

山形産

長野産

生産者名

電話

つき

写真

つき

<Q22-Q24の点数合計が0~5点><Q22-Q24の点数合計が6~14点><Q22-Q24の点数合計が15~19点>

(円)

166

Page 43: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<補論2 食用油のサブサンプル分析>

本節のサブサンプル分析については、情報提供を行っていない C グループのみのコンジ

ョイント設問の回答データを用いて分析を行った。りんごと同様、推計表は省略するが、

特に記載のない限り、結果はすべて1%水準で有意、McFadden の R はほぼ全てにおいて

0.3 前後で、ある程度良好な結果といえる。

推計結果の主な特徴点は以下のとおりである。

「遺伝子組み換えでない」表示に関する特徴的な点

○ 年齢が高くなるに従って、「遺伝子組み換えでない」という表示に対する支払い意思が

高い傾向がある。

○ 女性よりも、男性のほうが、「遺伝子組み換えでない」表示に対する支払い意思が高い

傾向がある。

○ 所得階層があがるに従って、「遺伝子組み換えでない」表示に対する支払い意思が高い

傾向がある。

○ 教育年数に関しては、特徴的な点は見られない。

○ 健康に対する関心、環境に対する関心が高い層のほうが、「遺伝子組み換えでない」表

示に対する支払い意思が高い。

○ 食用油に対するこだわりがある回答者のほうが、そうでない回答者よりも、「遺伝子組

み換えでない」表示に対する支払い意思が高い。

コレステロールについての表示に関する特徴的な点

○ 30 代と 60 代以上のグループが、全てにおいて高い支払い意欲をもつ傾向がある。コ

レステロールゼロの表示に関しては、10 代~20 代でパラメタが有意でなく、即ち食用

油を選択するときに「コレステロールゼロ」表示を考慮していないようである。

○ 女性よりも、男性のほうが、全体的に支払い意思が高い。

○ 所得階層については、特徴的な点は見られない。

○ 教育年数に関しては、大卒以上のグループは、総じてコレステロールに関する表示に

対する支払い意思が小さい傾向がある。

○ 健康に対する関心、環境に対する関心が高い層のほうが、コレステロールに関する表

示に対する支払い意思が高い。

○ 食用油に対するこだわりがある回答者のほうが、そうでない回答者よりも、全ての表

示に対する支払い意思が総じて高い。

167

Page 44: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<年齢>

18歳~20代 30代 40代 50代 60歳以上

遺伝子組み換えでない 107.0 117.5 111.4 119.3 151.8トクホ 208.7 277.3 212.5 275.2 353.0

成分を含む 53.1 120.9 103.0 105.8 172.6ゼロ 10.1 142.7 99.2 91.5 169.6

(※網掛け部分は有意でない。特に記載のないものは1%有意。斜体は1 (単位:円)

<性別>

男性 女性

遺伝子組み換えでない 88.4 70.2トクホ 228.3 187.5

成分を含む 100.4 97.7ゼロ 95.1 69.3

(単位:円)

168

Page 45: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<年齢>

<性別>

0

50

100

150

200

250

300

350

400

遺伝子組み換えでない トクホ 成分を含む ゼロ

18歳~20代 30代 40代 50代 60歳以上

(円)

0

50

100

150

200

250

遺伝子組み換えでない トクホ 成分を含む ゼロ

男性 女性

(円)

169

Page 46: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<所得>

200万未満200万以上~500

万未満500万~900万未

満900万以上

遺伝子組み換えでない 113.2 109.4 130.2 185.2トクホ 279.3 243.6 316.6 316.3

成分を含む 135.4 90.0 157.3 130.4ゼロ 124.9 87.9 159.6 95.2

(単位:円)

<教育年数>

12年以下(中高・専門高)

14年程度(専門学校、短大)

16年以上(大卒・院卒)

遺伝子組み換えでない 111.8 152.6 121.2トクホ 289.7 321.9 234.0

成分を含む 135.4 140.4 89.6ゼロ 131.5 146.3 71.0

(単位:円)

170

Page 47: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<所得>

<教育年数>

0

50

100

150

200

250

300

350

遺伝子組み換えでない トクホ 成分を含む ゼロ

200万未満 200万以上~500万未満 500万~900万未満 900万以上

(円)

0

50

100

150

200

250

300

350

遺伝子組み換えでない トクホ 成分を含む ゼロ

12年以下(中高・専門高) 14年程度(専門学校、短大) 16年以上(大卒・院卒)

(円)

171

Page 48: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<関心>

健康関心(高) 環境関心(高) 健康関心(低) 環境関心(低)

遺伝子組み換えでない 140.2 139.5 82.1 88.7トクホ 309.8 302.7 181.1 201.4

成分を含む 129.3 130.0 85.1 73.5ゼロ 129.5 125.5 62.2 56.9

(単位:円)

<食用油に対するこだわりの有無>

A+ B+ C+ D+

遺伝子組み換えでない 132.15 196.67 184.78 121.37トクホ 336.66 359.69 379.23 290.79

成分を含む 180.68 167.85 146.62 124.72ゼロ 143.28 162.67 165.23 96.99

A- B- C- D-

遺伝子組み換えでない 45.20 72.03 75.25 48.28トクホ 170.25 170.24 184.80 153.87

成分を含む 90.95 105.12 88.47 77.97ゼロ 59.74 80.23 65.24 47.32

(単位:円)

こだわりあり

こだわりなし

172

Page 49: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

<健康関心・環境関心>

<食用油に対するこだわりの有無とグループ比較>

0

50

100

150

200

250

300

350

遺伝子組み換えでない トクホ 成分を含む ゼロ

健康関心(高) 環境関心(高) 健康関心(低) 環境関心(低)

(円)

0

50

100

150

200

250

300

350

400

A+ B+ C+ D+ A- B- C- D-

こだわりあり こだわりなし

遺伝子組み換えでない トクホ 成分を含む ゼロ

(円)

173

Page 50: 4. (1) McFadden R 0 · 性、また、モデルのあてはまりについてもMcFadden の擬似R がほぼ全てにおいて0.4 以上という良好な結果が得られた。

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