3.5. 空中写真判読 - maff.go.jp...3.5. い 境 る ( 2 渡辺 空中写真 写真判読と...

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3.5. 2 空中写真 写真判読と て適正な写真判読を区画線・形状と ・色調 ・模様( ・きめ( ・陰影 判読によっ 3-14)。 また、実際 宏(1993判読 は、写真上 断を下す、主として 囲み、その大きさ パターン) テクスチて、区画しに判読作最新森林に写されとである。 、以下の 5 部を分析 ー) 内部をカ 3-14 をする際測テキス25 いる像を2 つの要素して樹高テゴリー判読によ、反射式ブック,p 察・分析総合的に疎密度をけする考区分イメ体鏡を用pp81,日本て被写体断し、周テゴリー方をイメて、互い業技術協種類や性と異なるけするもジとして重なり合につ 分の であ した 2

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3.5.

2 渡辺

空中写真

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の写真を並べ、立体的に観測しながら、対象となる外来植物の分布域を区画した。

写真 3-1に判読に使用した反射式実体鏡を、写真 3-2には判読作業の様子を示した。

写真 3-1 判読に使用した反射式実体鏡

写真 3-2 判読作業の様子

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3.5.1. 分布基図作成

分布基図は、写真判読において、予備判読工程で作成される図面である。

予備判読工程は、判読基準を策定し、現地予備調査により画像に写る外来植物を照

合しながら、画像サンプルを取得して、その画像サンプルを基に、同じように写真上

に写る林分を外来植物の分布域として区画するものである。

なお、後述の判読結果に対する精度検証は、分布基図について実施した。

(1)判読基準の策定

外来植物の判読は、単木を対象とせず、ほぼ一様な外来植物がまとまって分布して

いる「林分」を単位として区画した。判読による区画の最小面積は、概ね 0.1haを基

準として区画した。

表 3-3~表 3-5に判読項目を示した。

表 3-3 外来植物種の判読項目

区分 記号 外来植物種

木本類

A アカギ

R リュウキュウマツ

M モクマオウ

G ガジュマル

Si シマグワ

Gi ギンネム

So ソウシジュ

K キバンジロウ

Ra ランタナ

Sa シマサルスベリ

草本類

a アオノリュウゼツラン

(サイザルアサを含む)

s シンクリノイガ

o オオバナセンダングサ

c コマツヨイグサ

タケ類 b タケ・ササ

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判読対象となる外来植物のうち、木本類については、種名だけでなく、樹冠疎密度

(林地面積に対する樹冠被覆部分の面積率)及び樹高(外来植物の平均樹高)につい

ても区分した。

樹冠疎密度と樹高の判読基準をそれぞれ以下に示した(表 3-4、表 3-5)。

表 3-4 樹冠疎密度の判読基準

記号 樹冠疎密度区分 判読基準

D1 10%未満 対象となる外来植物の樹冠面積が、10%未満であ

ると判断される区画。

D2 10%以上30%未満 対象となる外来植物の樹冠面積が、10%以上

30%未満であると判断される区画。

D3 30%以上50%未満 対象となる外来植物の樹冠面積が、30%以上

50%未満であると判断される区画。

D4 50%以上70%未満 対象となる外来植物の樹冠面積が、50%以上

70%未満であると判断される区画。

D5 70%以上 対象となる外来植物の樹冠面積が、70%以上であ

ると判断される区画。

表 3-5 樹高の判読基準

記号 樹高区分 判読基準

H1 5m未満 対象となる外来植物の平均樹高が 5m 未満である

と判断される区画。

H2 5m以上10m未満 対象となる外来植物の平均樹高が 5m 以上 10m

未満であると判断される区画。

H3 10m以上15m未満 対象となる外来植物の平均樹高が10m以上15m

未満であると判断される区画。

H4 15m以上 対象となる外来植物の平均樹高が 15m 以上であ

ると判断される区画。

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(2)現地予備調査

外来植物対象種について、空中写真判読の検出可能性を確認し、写真に写っている

映像と現地に分布する外来植物の生育状況との関係を照合するため、現地予備調査を

実施した。

現地予備調査は、平成 21年 9月 6日~14日にかけて、父島、南島、母島の主要部

を対象に実施した。調査は原則として踏査による確認によるものとしたが、父島、兄

島、弟島、孫島、東島、西島の周囲については、船上からの確認によるものとした(写

真 3-3)。

写真 3-3 船上からの確認の様子(正面は東島に生育するギンネム林)

現地予備調査の結果、竹類のタケとササは空中写真上からの識別が困難であったこ

とから、同一区分のタケ・ササとした。

また、草本類(アオノリュウゼツラン、シンクリノイガ、オオバナセンダングサ)

も、写真上からの識別が困難であったことから、踏査による照合及び聞き取りによる

結果から区画するものとした。

但し、写真 3-4、写真 3-5に見られるような道路沿いの小面積の分布域については、

空中写真からも検出できず、かつ最小区画面積である 0.1haに満たないため、区画対

象外とした。

なお、コマツヨイグサについては、現地で分布の確認ができず、聞き取りにおいて

も位置が不明確だったので、分布基図・分布図A並びに外来植物分布図への区画表記

を行わなかった。

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写真 3-4 道路脇のアオノリュウゼツラン(父島)上層木はモクマオウ、中層木はギンネムが繁茂しているため、空中写真からは下層のアオノリュウ

ゼツランもギンネムも検出できない。

写真 3-5 道路脇のオオバナセンダングサ(母島)ギンネムが帯状に繁茂しているが、その下層にオオバナセンダングサが生育しているため、空中写

真からは検出できない。

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(3)写真上における判定基準

主要な外来植物である「アカギ」、「モクマオウ」、「ギンネム」について、写真上の

特徴及び森林判読用カラー画像の立体写真を示した(図 3-15~図 3-20)。

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a.アカギ

(写真の場所は母島の石門地域、下段画像の黄色線で囲まれた区画がアカギ林)

【写真上の特徴】

・色は濃い赤色。

・樹冠縁は円形で、比較的はっきりしている。

・上層林冠は、全体的にモコモコしている。

図 3-15 写真上の特徴(アカギ)

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【立体写真】

肉眼またはポケット実体鏡で立体判読できるようにした組み写真。

(左:c9-11、右 c9-12)※撮影方向の関係上、立体写真の方位は、北が上にはならない。

【参考】自然色で表示したトゥルーカラー画像(オルソ補正済)

図 3-16 立体写真とトゥルーカラー画像(アカギ)

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b.モクマオウ

(写真の場所は父島の洲崎地域、下段画像の黄矢印が指す区画がモクマオウ林)

【写真上の特徴】

・色はピンク・青緑・黒色が粒状に入り混じる。

・樹冠縁は不整形である。

・上層林冠は、樹冠の影も写り、立体視すると針状に突き出ているように見える。

図 3-17 写真上の特徴(モクマオウ)

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【立体写真】

肉眼またはポケット実体鏡で立体判読できるようにした組み写真。

(左:c3-39、右 c3-40)※撮影方向の関係上、立体写真の方位は、北が上にはならない。

【参考】自然色で表示したトゥルーカラー画像(オルソ補正済)

図 3-18 立体写真とトゥルーカラー画像(モクマオウ)

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c.ギンネム

(写真の場所は父島の宮之浜地域、下段画像の黄矢印が指す区画がギンネム林)

【写真上の特徴】

・色は薄いピンク色で所々に青緑色が混じる。

・樹冠縁はほとんど確認できず、林冠も不鮮明である。

・上層林冠はぼやけて不鮮明、全体的にカーペット状に滑らかに見える。

図 3-19 写真上の特徴(ギンネム)

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【立体写真】

肉眼またはポケット実体鏡で立体判読できるようにした組み写真。

(左:c4-30、右 c4-31)※撮影方向の関係上、立体写真の方位は、北が上にはならない。

【参考】自然色で表示したトゥルーカラー画像(オルソ補正済)

図 3-20 立体写真とトゥルーカラー画像(ギンネム)

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(4)分布基図作成

予備判読によって得られた外来植物の分布域を、1/5000 の森林基本図に移写し、

スキャンニングによるデジタル化(図 3-21)を行った上で、分布域の区画をデジタ

イズすることにより GISデータを作成した。

本調査においては、本工程における外来植物分布区画の GIS データを図面化した

ものを分布基図とした。

※緑色の線で囲まれた区画が判読により外来植物分布域と判断された箇所。

図 3-21 分布基図(GISデータ化する前の状態)

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3.5.2.分布図 A作成

現地予備調査で踏査できなかった地域を対象に現地照合を実施し、その結果を反映

した分布図Aを作成した。

なお、分布図Aは、予備判読で作成した分布基図を基にして、外来植物分布域の修

正及び追加を行った図面である。

(1)現地詳細調査

現地詳細調査は、平成 21年 11月 13日~21日にかけて実施した。

踏査地域は、予備調査の際、悪天候により上陸できなかった兄島、弟島をはじめと

して、父島、母島においてもアクセスに時間を要する奥地(例:写真 3-6 父島の西海

岸)の森林地域に範囲を広げて調査を実施した。

写真 3-6 父島の西海岸地域(遠望)

(2)分布図A作成

現地詳細調査によって、現地予備調査で確認できなかった地域を踏査し、判読結果

との詳細な照合を行い、より現実に即した判読結果となるように、分布基図における

外来植物分布域の修正及び追加を行った「分布図 A」を作成した(図 3-22)。

その結果、分布基図作成時点では、父島と母島だけで約 800 区画にのぼる外来植

物の分布区画が、分布図A作成時点で、約 1,000区画に増加した。

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※緑色の線が分布基図で作成した区画、青色の線が現地詳細調査により外来植物分布域と判断され

た箇所。

図 3-22 分布図 A(GISデータ化する前の状態)

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3.6. 外来植物分布図の作成結果分布図 Aの GISデータに、精度検証を行った 185地点分の結果を反映した外来

植物分布図を作成した(図 3-23~図 3-28)。作成した外来植物分布図は、外来植物

種のほか、除去計画を立てる上で大きな要素である樹冠疎密度を組み合わせによっ

て表現した。

外来植物分布図の作成により検出された島毎の外来植物名一覧を以下に示した

(表 3-6)。なお、孫島においては、判読の結果、外来植物が検出されなかった。

表 3-6 分布図に区画された外来植物島名称 外来植物種名 島名称 外来植物種名

父島

アカギ

母島

アカギ

リュウキュウマツ リュウキュウマツ

モクマオウ モクマオウ

ガジュマル ガジュマル

ギンネム シマグワ

ソウシジュ ギンネム

ランタナ ソウシジュ

アオノリュウゼツラン キバンジロウ

オオバナセンダングサ アオノリュウゼツラン

タケ・ササ オオバナセンダングサ

南島 シンクリノイガ

兄島

リュウキュウマツ

モクマオウ

ランタナ

弟島

リュウキュウマツ

モクマオウ

ガジュマル

シマサルスベリ

西島 モクマオウ

ギンネム

東島 モクマオウ

ギンネム

※キバンジロウ、ランタナ、シマグワ、シマサルスベリ、アオノリュウゼツラン、オオバナセンダングサは空中写真から識別できなかったため、現地踏査による照合及び聞き取りにより区画した。また、コマツヨイグサは、現地で分布確認できず、また聞き取りでも位置が不明確だったため、区画していない。

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図 3-23 小笠原諸島における外来植物分布図(父島・南島)

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図 3-24 小笠原諸島における外来植物分布図(兄島)

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図 3-25 小笠原諸島における外来植物分布図(弟島)

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図 3-26 小笠原諸島における外来植物分布図(西島)

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図 3-27 小笠原諸島における外来植物分布図(東島)

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図 3-28 小笠原諸島における外来植物分布図(母島)

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3.7. 外来植物分布図の利用における留意事項作成した外来植物分布図を駆除対策等で利用するに当たって、前提条件を整理して

留意事項とした。

外来植物分布図の利用における留意点

●外来植物分布域は、2008年 11月~2009年 1月に撮影された空中写真

を使用し、空中写真判読により区画した。

●外来植物分布域の最小区画面積は0.1ha を基準としており、0.1ha 未満も

しくは単木は区画していない。分布図上に表現されていない場合でも、現地

では外来植物が分布している可能性は高い。

●空中写真は上層林冠しか写っていないため、上層林冠を構成していない中層

及び下層を構成する外来植物は区画していない。

●樹種によって判読の精度に高低があるので注意して使用する。

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4. 精度検証4.1. 精度検証の概要

写真判読により区画された外来植物の判読結果について、判読精度の検証を目的と

して、精度検証を実施した。

精度検証は、予備判読が終了した段階で作成された分布基図の結果を検証対象とし

た。

精度検証の実施に際しては、最適な検証方法を検討した上で現地検証を行い、判読

結果と現地検証結果を比較して正答率を算出した。

なお、検証の客観性を保持するため、写真判読により外来植物分布図作成担当の「写

真判読チーム」とは別に、精度検証を担当する「検証チーム」を編成して、検証を実

施した。

4.2. 検証対象地域精度検証の対象地域は、父島及び母島の国有林内(一部民有林含む)を対象として

現地検証を実施した。

4.3. 検証方法の検討写真判読や衛星画像等の遠隔探査により得られた情報を基にして作成された成果

の精度検証は、一般的に下図のような考え方で実施される(図 4-1)。

図 4-1 精度検証の概念図

(分類データ)

(検証データ)

(ユーザ精度)(プロデューサ精度)

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評価計算を行う手法としては、データ作成者(Producer’s)と利用者(User’s)の

一致率による評価が考えられるが、評価を行うに当たって、図 4-1のマトリックスを

作成する必要がある。

マトリックスの作成に際し、以下の 3点について検討した。

● 検証データの取得方法

● 検証データのユニットの設計

● 検証データ数の設計

4.3.1.検証データの取得方法

本項で述べる検証データは、検証対象である分布基図と異なる方法で取得された情

報で、かつ真値として利用されることから、極力正確である必要がある。そのため、

最も正確な情報を作成する手段として、現地での目視検証を行うものとした。

4.3.2.検証データのユニットの設計

統計的評価のためには評価対象とする分布基図から検証データのサンプルを選定

する必要がある。このサンプルのユニットをどのように設定するかについて、システ

マティックサンプリングとランダムサンプリングの 2つの方法が考えられる。

(1)システマティックサンプリング法

検証対象地域に対して一定間隔で碁盤の目状の網をかけ、その格子点をユニット

(図 4-2中の青丸部)とする方法。

図 4-2 システマティックサンプリングの例

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(2)ランダムサンプリング法

写真判読により区画した個別区画(図 4-3 中の黄色線)に対して検証区を設定し、

この中からランダムで選定した区画(図 4-3中の赤で塗られた区画)をサンプリング

ユニットとする方法。この場合、分布基図の区画線を現地で確認しつつ、判読結果を

検証することになる。

図 4-3 ランダムサンプリングの例

検証方法について検討した結果、下記の理由により、ランダムサンプリング法を採

用し、判読によって区画された個別の外来植物分布域をユニットとした。

・自然地形

父島や母島の森林内は地形が複雑で入り組んでいる場所や急崖地も多く、物理

的にアクセス不可能な箇所がある。

・アクセスの利便性

システマティックサンプリングだと点から点への移動となり、路網密度が低い

小笠原諸島では、徒歩による移動がほとんどで検証地点間の移動に時間がかかり、

検証可能な地点数が少なくなる。

・固有種への配慮

国有林野のうち、多くの部分が生態系保護地域に設定されていることから、固

有の動植物等への影響に配慮し、林内を移動することによる調査圧を軽減する必

要がある。

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4.3.3.検証データ数の設計

検証に必要なデータ数は、分布基図を外来植物種の有無だけで捉え、その合否を問

う 2項分布モデルと解釈するか、判読項目の各項目を含んだ多項モデルとして解釈す

るかによって大きく異なるが、本調査では前者である 2項分布モデルとして検証を行

った。

父島及び母島において、外来植物の分布域として分布基図で区画された約 800 区

画(ポリゴン)から、検証が困難である 5ha 以上の大面積区画を検証対象外とした

うえで、ランダムに区画を選定した。

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4.4. 現地検証現地検証は、判読により作成した区画を検証単位として、検証対象箇所をランダム

に選定して、現地で目視確認を行った。その際、位置の再現性を確保するため、検証

地点の緯度・経度を記録し、林内の写真を撮影した。

目視確認は、判読項目と同じ項目である樹種・樹冠疎密度・樹高とし、それらが上

から見えるかどうかの検証を行うものとし、上空から見えないと思われるものは検証

対象外とした。例えば、検証では、低木層に外来植物が多く分布していたとしても、

上層林冠が別の在来種で構成されており、上空からは検出不可能であると思わる場合

は、外来植物種なしと判断した。

実際の現地検証では、写真 4-1のハンディ GPSツール(商品名:MoriView)を用

いて、判読により作成した区画線と現在地をリアルタイムで確認しながら検証した。

現地検証は、平成 21年 11月 13日~28日にかけて、父島及び母島において実施し

た。

図 4-4及び図 4-5は、その検証地点を示したものである。また、図 4-6~図 4-10に

現地検証の様子(判読結果が一致した事例と不一致の事例)、図 4-11に現地検証野帳

のサンプルを示した。

写真 4-1 現地検証に使用したツール(GPS で現在地を特定し、背景地図上で現在位置を確認する。写真は GPS を接続していない状態)

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図 4-4 父島における検証実施地点

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図 4-5 母島における検証実施地点

Page 32: 3.5. 空中写真判読 - maff.go.jp...3.5. い 境 る ( 2 渡辺 空中写真 写真判読と て適正な判 写真判読は を区画線で。・形状と ・色調 ・模様(

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判読結果 検証結果

アカギ林 アカギ林

図 4-6 現地検証の様子(母島石門地域)注:空中写真上の黄色丸印は、対象となる区画の代表的箇所とし、位置情報取得と写真撮影を行った地点。