§3.2 The Method of Images (鏡像法) §3.2.1 The...
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2013年度電磁気学2講義第2回(10/2)�§3.2 The Method of Images (鏡像法)
l この節では,導体がある場合に電場を求める方法の一つとして,鏡像法
(method of images) について説明する.
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§3.2.1 The Classic Image Problem (鏡像法の例題) l 接地された,無限に広い導体平面から距離dの位置に点電荷q(>0)が
置かれている.このとき導体平面より上の領域に生じる電場を求めよ.
l 点電荷qは導体表面に負電荷を誘起する. l 電場は,点電荷qによって直接生じる電場と,誘起電荷によって生じる
電場の和で与えられる.
l しかしながら,導体表面にどのような電荷分布が生じるかは,あらかじ
めわかっていることではない.
l 単純にCoulombの法則より電場,あるいはポテンシャルを計算すること
はできない. 2
+q
- - - - - - - - - - - - - - - -
鏡像法 l 電荷分布が与えられたとき,それによって生じる電場を求めるには,
適当な境界条件のもとでPoisson方程式を解けばよい.
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l (0,0,d)に点電荷qが置かれているときのz>0の領域における電荷分布は
l 次の2つの境界条件が課されている.
1. 導体表面z=0でV=0 (導体平面が接地されているので). 2. 無限遠方でV→0.
l 第1の一意性の定理により,上の境界条件を満たすPoisson方程式の解は一つしか存在しない.
l したがって,もしも何らかの方法によってPoisson方程式と境界条件を満たすポテンシャルを見つけることが出来れば,それが求める正しい解である.
⇥2V = � 1�0
⇥
⇥(r) = q�(x)�(y)�(z � d)
4
l 電荷+qが(0,0,d)に,電荷-qが(0,0, -d)に置かれているものとして,導体
平面は存在しないものとする.
l この状況でのポテンシャルは容易に求まる.
V (x, y, z) =1
4⇥�0
�q⇤
x2 + y2 + (z � d)2� q⇤
x2 + y2 + (z + d)2
⇥
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一意性の定理によって,二つの問題はz>0の領域では同じ解を持つ.
l この問題のz>0の領域における電荷分布は元々の(導体平面がある
場合)での電荷分布と同じ⇒同じPoisson方程式.
l ポテンシャルは二つの境界条件を満足する.
1. 導体表面z=0でV=0. 2. 無限遠方でV→0.
導体平面が存在する場合の,正しいポテンシャルを与える.
V (x, y, z) =1
4⇥�0
�q⇤
x2 + y2 + (z � d)2� q⇤
x2 + y2 + (z + d)2
⇥
(z ⇥ 0)
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+q
- - - - - - - - - - - - - - - -
+q
-q
導体が存在する系の電場を求める問題を,仮想的な電荷による電場を求める問題に置き換えて解く方法を鏡像法(method of images)と呼ぶ.仮想的な電荷を鏡像電荷(image charge)という. 鏡像電荷は,もともとの問題と同じ境界条件を与えるように配置する.
鏡像電荷
§3.2.2 Induced Surface Charge (表面誘起電荷)
法線方向の微分
l 導体表面に誘起された電荷分布を求める.
l 誘起電荷の総和を計算する.
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-0.2
-0.1
0
-6 -4 -2 0 2 4 6
r / d (r=(x2+y
2)
1/2)
! /
(q /
d 2
)
Q =⇤
⇥(x, y)dxdy
=⇤ 2�
0d⇤
⇤ �
0rdr
�qd
2�(r2 + d2)3/2=
�qd⇥
r2 + d2
⇥�
0
= �q
⇥ = ��0⇤V
⇤n= ��0
⇤V
⇤z
����z=0
⇥(x, y) =�qd
2�(x2 + y2 + d2)3/2
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l 導体表面には負電荷が誘起されているので,電荷qには導体表面に向
かって引き寄せる力が働く.
§3.2.3 Force and Energy (力とエネルギー) Force
l この力は,電荷qと鏡像電荷-qの間に働くCoulomb力に等しい.
F = � 14⇥�0
q2
(2d)2z
+q
-------- --------
F
+q
-q
Energy
l 電荷qと鏡像電荷-qの系(仮想的な系)の静電エネルギーは
l 導体系の静電エネルギーは鏡像電荷の系とは異なる.
鏡像電荷の系の半分
W =�02
�E2d⇥ =
�02
�
z>0E2d⇥ +
�02
�
z<0E2d⇥
鏡像電荷の系では対称性より �02
�
z>0E2d⇥ =
�02
�
z<0E2d⇥
導体系では �02
�
z<0E2d⇥ = 0
W = � 14⇥�0
q2
2d
W = � 14⇥�0
q2
4d
仕事からエネルギーを求める
l 電荷qを無限遠方から運んでくるのに要する仕事から静電エネルギーを
求める.
W =� d
�
14⇥�0
q2
(2z)2dz = � 1
4⇥�0
q2
4d
-------- --------
+q +q
-q
仕事は二倍違う
W =� d
�F · dl, F =
14⇥�0
q2
(2z)2z
導体内のポテンシャルは0なので誘起電荷の移動は仕事を伴わない.
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§3.2.4 Other Image Problems(導体球がある場合の電場を求める問題)
例題: 図のように,接地された半径Rの導体球から距離aの位置に点電荷qが置かれている.このとき導体球の外側におけるポテンシャルを求めよ.
q� = �R
aq b =
R2
a解答: 右図のように鏡像電荷を置けばよい.
V =1
4⇥�0
�q
r1+
q�
r2
⇥
点電荷と鏡像電荷が作るポテンシャル
r1!
r2!
O!
P!
a!
(a)! (b)!
r1!
r2!
O!
P!
a!
(a)! (b)!
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r21 = r2 + a2 � 2ar cos �, r2
2 = r2 + b2 � 2br cos �
V =q
4⇤�0
�1⇥
r2 + a2 � 2ar cos ⇥� 1⇤
a2r2/R2 + R2 � 2ar cos ⇥
⇥
V (r = R) = 0
導体球面上でポテンシャルが0という境界条件を満たしている.
導体球面上(r = R)では
l 点電荷qは導体表面に誘起された負電荷
から力を受ける.この力は,点電荷qと鏡像
電荷q’の間に働くCoulomb力に等しい.
(原点Oから点電荷qへ向かう向きを正とする.)
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参考:アポロニウスの円
l 2定点A,Bをとり,点PをAP:BPが一定になるように動かすと,軌跡
は円を描く.これはアポロニウスの円とよばれている.
A B
P