平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1...

107
平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び 管理実態に関する調査事業) 調査報告書 平成30年3月

Transcript of 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1...

Page 1: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

平成29年度

省エネルギー政策立案のための調査事業

(工場等におけるエネルギーの使用状況及び

管理実態に関する調査事業)

調査報告書

平成30年3月

Page 2: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)
Page 3: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

目 次 第1部 調査の概要 ·························································· 1

第1章 概要 ································································ 1

1.1 調査の目的と内容 ·················································· 1

1.2 調査実施件数 ······················································ 1

1.3 調査期間 ·························································· 1

1.4 調査結果の概要 ···················································· 2

第2章 調査対象の選定 ······················································ 3

2.1 調査対象の選定方法 ················································ 3

2.2 調査実施件数 ······················································ 4

第2部 工場等現地調査の結果 ················································ 5

第1章 調査の方法 ·························································· 5

1.1 事前準備 ·························································· 5

1.2 現地調査 ·························································· 8

1.3 判断基準の遵守状況の評価 ·········································· 8

1.4 現地調査のまとめ ················································· 10

第2章 調査の結果 ························································· 11

2.1 判断基準の遵守状況(総合評価点) ································・ 11

2.2 判断基準の遵守状況(項目別) ····································· 18

2.3 原単位の推移と悪化要因 ··········································· 25

2.4 原単位の改善策 ··················································· 31

2.5 原単位の算定方法 ················································· 36

2.6 省エネルギー活動状況 ············································· 41

2.7 調査結果の推移 ··················································· 45

第3章 調査結果の考察 ····················································· 48

3.1 考察の目的及び内容 ··············································· 48

3.2 分析結果 ························································· 49

3.3 分析結果の考察 ··················································· 52

第3部 パイロット調査の結果 ··············································· 55

第1章 調査の方法 ························································· 55

1.1 事前準備 ························································· 55

1.2 現地調査 ························································· 56

1.3 判断基準の遵守状況の評価 ········································· 56

1.4 現地調査のまとめ ················································· 56

第2章 調査の結果 ························································· 57

2.1 主力工場等の判断基準の遵守状況(総合評価点) ····················· 57

2.2 主力工場等の判断基準の遵守状況(項目別) ························· 60

2.3 原単位の推移と悪化要因 ··········································· 64

2.4 原単位の算定方法 ················································· 68

2.5 エネルギー管理統括者及びエネルギー管理企画推進者の職務 ··········· 72

Page 4: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

第4部 調査後のまとめ ····················································· 82

第1章 現地調査に関するアンケート調査結果 ································・ 82

1.1 アンケート調査の方法 ············································· 82

1.2 アンケートの回答結果 ············································· 84

第2章 登録調査機関の活用状況に関するアンケート調査結果 ··················· 91

第3章 エネルギー管理士の教育ニーズに関するアンケート調査結果 ············· 95

3.1 アンケート調査の方法 ············································· 95

3.2 アンケートの回答結果 ············································· 96

第4章 調査対象事業者からの意見・ 要望 ···································· 101

4.1 意見・ 要望の集計結果 ············································ 101

4.2 意見・ 要望の内容 ················································ 102

Page 5: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

1

平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

調査報告書

第1部 調査の概要

第1章 概要

1.1 調査の目的と内容

エネルギーの使用の合理化等に関する法律(以下「省エネ法」という。)に基づき指定を受け

た特定事業者又は特定連鎖化事業者(以下「特定事業者等」という。)の中から、平成28年度

に開始された事業者クラス分け評価制度により「Bクラス」に位置付けられた事業者が設置する

第一種及び第二種エネルギー管理指定工場等(以下「指定工場等」という。)を対象として、「工

場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」(以下「判断基準」とい

う。)の遵守状況及びエネルギー消費原単位の悪化要因等を調査し、指定工場等におけるエネル

ギー管理及び省エネルギー活動の実態を把握するとともに、当該事業者に省エネルギー取組の促

進を図った。

また、平成28年度に開始された事業者クラス分け評価制度により「Bクラス」に位置付けら

れた事業者で指定工場等を持たない特定事業者のうち、省エネ法定期報告書において、判断基準

の遵守項目を「整備(配置、実施)していない」と報告した事業者に対して、判断基準の遵守事

例とその質疑応答に関する資料集を配布し、判断基準の遵守状況やエネルギー管理関係者の業務

実施状況等について訪問調査を行うことにより、判断基準等に関する理解を深め、更なる省エネ

ルギー活動の促進を図った。

さらに、当該調査結果に基づき、指定工場等及び指定工場等を持たない特定事業者等における

エネルギー管理の実態について分析及び評価を行い、今後の省エネルギー施策を検討するための

基礎資料を作成した。

本事業は資源エネルギー庁からの委託により実施した。

1.2 調査実施件数

(1)工場等現地調査

「Bクラス」に位置付けられた事業者が設置する指定工場等 (410 件)

(2)パイロット調査

「Bクラス」に位置付けられた特定事業者等のうち、これまで現地調査を実施していな

い指定工場等を持たない事業者 ( 51 件)

総合計 (461 件)

1.3 調査期間

平成29年7月26日~平成30年3月30日

Page 6: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

2

1.4 調査結果の概要

1.4.1 工場等現地調査

①判断基準の遵守状況について評点化した結果は、全工場等の平均で 91.6 点であり、判断基準

は概ね遵守されている。

②判断基準の項目別にみると、事業場(専ら事務所)では「発電設備、コージェネ設備」、また工

場では「廃熱の回収利用」が他の項目に比べて比較的遵守されていない状況であった。

③原単位を5年度間(平成24年度~平成28年度)平均で1%以上改善した件数は事業場で23.1%、

工場で 29.0%であった。

④事業場が工場に比べて原単位を改善した割合が少ない理由は、事業場の多くが平成 23 年 3月

の東日本大震災後に大幅な節電対策を実施し、冷暖房の使用などを厳しく制限していたが、

その後、作業環境を考慮して使用条件を緩和した事例が多数あったためと考えられる。

⑤原単位に関する事業者の意識は高く、現地調査において、原単位の算定方法、悪化要因及び

改善策について意見交換を行った。また、原単位の算定方法については、エネルギーの使用

量と密接な関係を持つ値を見直したことがあるかという問いに対して、検討中であると回答

した事業者もあった。

1.4.2 パイロット調査

①判断基準の遵守状況について評点化した結果は、全工場等の平均で 86.4 点であり、判断基準

は概ね遵守されているが、不十分な事業者も見受けられた。

②判断基準の項目別にみると、事業場(専ら事務所)では「照明設備、昇降機、動力設備」、また

工場では「空調・給湯設備」が他の項目に比べて遵守されていない状況であった。

③原単位を 5 年度間(平成 24年度~平成 28年度)平均で 1%以上改善した事業者は 23.5%で

あった。

④原単位に関する事業者の意識は高く、現地調査において、原単位の算定方法、悪化要因及び

改善策について意見交換を行った。事業ごとにエネルギーの使用量と密接な関係を持つ値を

細かく設定している事業者もあれば、全て延床面積等で統一している事業者等もあり、状況

に合わせて見直しの可能性についても意見交換を行った。

Page 7: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

3

第2章 調査対象の選定

2.1 調査対象の選定方法

2.1.1 工場等現地調査

(1)調査対象

平成 28 年度に提出された省エネ法定期報告書において事業者全体のエネルギー消費原単位の

平成 23~27 年度の5年度間平均原単位変化が以下の要件に合致するため、事業者クラス分け評価

制度において「Bクラス」に位置付けられた特定事業者等を対象とした。

要件1:事業者全体のエネルギー消費原単位の 5年度間平均原単位が 99%を超えており、かつ、

平成 26 年度及び平成 27年度の原単位が対前年度比で増加しているもの。

要件2:事業者全体のエネルギー消費原単位の 5年度間平均原単位が 105%を超えているもの。

(2)調査先の選定方法

上記の特定事業者等が設置する指定工場等に関する平成28年度の省エネ法定期報告書指定第8

表の報告内容(判断基準の遵守状況)を予め評価し、その評価結果が低い指定工場等を中心に選

定された指定工場等を対象とした。

<備考>

①平成 29年 3月 31 日時点で指定されている指定工場等を抽出対象とした。

②平成 27 年度及び平成 28 年度に登録調査機関による適合書面の交付を受けている工場等は抽

出対象外とした。

③平成 27~28 年度に本現地調査を実施し、調査結果の評価点が 80 点以上であった工場等を設

置する特定事業者等は抽出対象外とした。

2.1.2 パイロット調査

(1)調査対象

平成 28 年度に提出された省エネ法定期報告書において、事業者全体のエネルギー消費原単位の

平成 23~27 年度の 5年度間平均原単位変化が上記2.1.1(1)項の要件に合致するため、事

業者クラス分け評価制度において「Bクラス」に位置付けられた特定事業者等のうち、これまで

現地調査を実施していない指定工場等を持たない事業者を対象とした。

(2)調査先の選定方法

上記の特定事業者等のうち、平成 28年度の省エネ法定期報告書特定第 8表の報告内容(判断基

準の遵守状況)の中で、「整備(配置、実施)していない」と報告した項目を有する事業者及び

評価結果が低い事業者の多い業種を中心に選定された特定事業者等を対象とした。

<備考>

①平成 29 年 3 月 31 日時点で指定されている特定事業者等のうち指定工場等を持たない事業者

を抽出対象とした。

②平成 27 年度及び平成 28 年度に登録調査機関による適合書面の交付を受けている特定事業者

等は抽出対象外とした。

Page 8: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

4

2.2 調査実施件数

2.2.1 工場等現地調査の実施件数

調査対象を選定後、特定事業者の指定が取消となった等の理由で調査対象から外したものを除

く 410 件について調査した。その内訳を表 1.2.1 に示す。

表 1.2.1 工場等現地調査の実施件数

経済産業局 指定工場等 合計

( )内は事業者数※ 第一種 第二種

北海道経済産業局 1 5 6 ( 5)

東北経済産業局 12 16 28 ( 24)

関東経済産業局 60 128 188 (154)

中部経済産業局 18 27 45 ( 35)

近畿経済産業局 20 50 70 ( 54)

中国経済産業局 14 11 25 ( 19)

四国経済産業局 6 9 15 ( 15)

九州経済産業局 7 16 23 ( 19)

内閣府沖縄総合事務局 3 7 10 ( 9)

合計 141 269 410 (334)

※:複数の指定工場等が対象となった事業者がある。

2.2.2 パイロット調査の実施件数

調査対象を選定後、特定事業者の指定が取消となった等の理由で調査対象から外したものを除

く 51件について調査した。その内訳を表 1.2.2 に示す。

表 1.2.2 パイロット調査の実施件数

経済産業局 件数

北海道経済産業局 0

東北経済産業局 1

関東経済産業局 33

中部経済産業局 4

近畿経済産業局 9

中国経済産業局 2

四国経済産業局 0

九州経済産業局 2

内閣府沖縄総合事務局 0

合計 51

Page 9: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

5

第2部 工場等現地調査の結果

第1章 調査の方法

1.1 事前準備

1.1.1 技術調査員の選定及び指導

(1)技術調査員の選定方法

一般財団法人省エネルギーセンター(以下「センター」という。)は、エネルギー管理士又は

これと同等の省エネに関する知識及び経験を有する専門家をエネルギー使用合理化専門員として

登録している。

本調査では、このエネルギー使用合理化専門員又は同等の技術と経験を有する者の中から、省

エネ法に精通し、かつ工場やメーカー等で 5年以上の実務経験を持つ者を、遵守事項・禁止事項

等を定めた技術調査員規約への同意を得た上で技術調査員として委嘱し、職員とともに調査を実

施した。

技術調査員の支部別人数を表 2.1.1 に示す。

(2)技術調査員の指導方法

調査実施の公平性・統一性を確保するため、「技術調査員の現地調査実施要領」を、また、判断

基準の解釈の統一性を保持するため、「工場等判断基準の解釈に関する留意点」及び「工場等判

断基準の遵守状況の評価判定方法」等の解説資料を整備した。

これらの内容を周知徹底するため、技術調査員を対象に、工場調査実施説明会をセンターの支

部毎に表 2.1.1 に示す日程にて開催して、説明及び質疑応答を行った。

表 2.1.1 工場調査に従事した技術調査員数

経済産業局等 センター支部 技術調査員数 技術調査員向け

説明会開催日

北海道経済産業局 北海道支部 5 平成 29 年 9 月 12 日

東北経済産業局 東北支部 9 平成 29 年 9 月 7 日

関東経済産業局 本部 35 平成 29 年 9 月 6 日

中部経済産業局 東海支部 8 平成 29 年 9 月 7 日

北陸支部 6 平成 29 年 9 月 12 日

近畿経済産業局 近畿支部 10 平成 29 年 9 月 19 日

中国経済産業局 中国支部 8 平成 29 年 9 月 12 日

四国経済産業局 四国支部 9 平成 29 年 9 月 21 日

九州経済産業局 九州支部 7 平成 29 年 9 月 21 日

内閣府沖縄総合事務局

合計 97 -

1.1.2 現地調査の協力依頼、日程調整及び事前調査書の作成依頼

(1)事業者への協力依頼

調査対象の事業者に対し、センターから以下の書類を送付して調査への協力を依頼し、調査の

了解を得るとともに、現地調査日の日程の調整を実施した。

Page 10: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

6

①センターからの協力依頼

②資源エネルギー庁からの協力依頼

③現地調査の対象に選定された事業所

④現地調査日程調査書

⑤現地調査についての事前説明会の開催のご案内

⑥参考資料(事業者クラス分け評価制度、現地調査及びパイロット調査の実施方針)

(2)事前調査書の記入依頼

調査対象の事業者に対し、以下の事前調査書等の書類を送付し、事前に記入して送付してもら

うよう依頼した。

①現地調査事前調査書

②現地調査事前調査書添付書類(総括表・個票)

③事前調査書記入方法

④参考資料(総括表・個票の記入例、グロス値の考え方、判断基準項目番号記載例等)

⑤調査に当たってのお願い事項・進行予定表等

⑥管理標準の例

⑦工場等判断基準の遵守事例集

⑧工場等判断基準についてのよくあるご質問

(3)事前調査書の様式及び記入方法の書類のホームパージへの掲載

事前調査書の記入に関する上記(2)項の書類及び下記1.1.3項の事前説明会の説明用資

料をセンターのホームページに掲載し、閲覧及びダウンロード出来るようにした。

1.1.3 事前説明会の開催

現地調査業務を円滑に進めるために、表 2.1.2 に示すように調査対象の事業者に対して事前説

明会を全国 10ヶ所で合計 11回開催(出席率 93%)し、調査の趣旨、内容及び事前調査書の作成

方法等に関して説明し、質疑応答を行った。

表 2.1.2 事前説明会の開催日及び参加者

地区 開催日 調査対象

事業者数

出席

事業者数 出席率

出席

人数

北海道 平成 29 年 9 月 11 日 5 5 100% 9

東北 平成 29 年 9 月 8 日 24 24 100% 47

関東(第 1回) 平成 29 年 9 月 1 日 154 141 92% 273

関東(第2回) 平成 29 年 9 月 4 日

中部(東海地区) 平成 29 年 9 月 8 日 35 32 91% 68

中部(北陸地区) 平成 29 年 9 月 11 日

近畿 平成 29 年 9 月 20 日 54 50 93% 110

中国 平成 29 年 9 月 13 日 19 17 89% 36

四国 平成 29 年 9 月 22 日 15 14 93% 23

九州 平成 29 年 9 月 20 日 19 17 89% 35

沖縄 平成 29 年 10 月 4 日 9 9 100% 15

合計 334 309 93% 616

Page 11: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

7

1.1.4 事前調査書等の確認修正

事業者から提出された事前調査書及び総括表・個票については、センターの職員が記載内容を

確認し、必要に応じて修正し、現地調査用の資料とした。なお、記入方法等についての調査先か

らの問合せには、考え方や具体的な計算方法等、詳細に対応することによって、相互理解を図っ

た。

1.1.5 現地調査日程年間スケジュールの作成及び調査員の選定

現地調査日程の年間スケジュールを作成の上、変更の都度、資源エネルギー庁省エネルギー・

新エネルギー部省エネルギー課(以下「省エネルギー課」という。)へ送付し、関係官庁の同行者

を確認した。

現地調査を実施する調査員については、技術調査員 97名及びセンター職員 8名の合計 105 名の

中から、エネルギー使用量が多く設備の種類が多い工場等については原則として調査員 2 名、そ

れ以外は原則として 1名を選定した。

調査先には現地調査の日時、調査員氏名及び同行者氏名を通知するとともに、調査員及び同行

者には事前調査書及び関連書類を予め送付して事前に内容を確認した上で、現地調査を実施した。

調査員の派遣数を表 2.1.3 に示す。410 件の調査に対し、延べ 477 名が従事した。

表 2.1.3 調査件数と調査員派遣数

調査対象 種類 調査件数 調査員

派遣数

指定工場等 第一種 141 199

第二種 269 278

合計 410 477

Page 12: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

8

1.2 現地調査

現地調査は、調査員が調査対象の工場等を訪問し、エネルギー管理者(又はエネルギー管理員)

及び実務担当者を主体に、都合がつけばエネルギー管理統括者、エネルギー管理企画推進者及び

工場等の責任者等の応対により、原則として 10時から 17 時までの間で実施した。

現地では、あらかじめ提出を受けた事前調査書等に基づき、必要に応じて調査先の書面や記録

紙等を閲覧の上、以下の内容についてヒアリングにより調査した。

①全般(工場等の概要、主要エネルギー使用設備等)

②判断基準遵守状況

③原単位の変化状況、悪化又は良化の理由、改善策及び取組状況

④省エネルギー活動の状況

⑤意見交換

なお、②判断基準の遵守状況については、主要設備の総括表及び個票に基づいて確認し、総合

評価点算出表によって評点化した。調査範囲は、全エネルギー使用量の概ね 80%程度、又は個票

10 枚程度を目安(ただし原則として予定時間内に調査出来る範囲)とした。

1.3 判断基準の遵守状況の評価

現地調査の結果から、指定工場等の判断基準の遵守状況について、以下のとおり評点化した。

1.3.1 設備ごとの個票による評価

設備ごとの個票により、エネルギー使用設備に適用する判断基準の項目毎に管理標準の設定状

況と遵守状況を以下の基準により「○」、「△」、「×」で評価した。(図 2.1.1 の①参照)

(1)設定状況の評価

当該設備に関係する判断基準の項目が管理標準に反映されているかどうかについて評価

○:反映されている

△:一部反映されている

×:反映されていない

(2)遵守状況の評価

管理標準に定められているとおりに実行されているかどうかについて評価

①「管理又は基準」

○:管理標準で定められている管理又は基準に基づいて行われている

△:一部行われている

×:行われていない

②「計測及び記録」及び③「保守及び点検」

○:管理標準で定められている頻度の 80 パーセント以上の頻度で実施

△:50 パーセント以上 80 パーセント未満の頻度で実施

×:50 パーセント未満の頻度で実施

④「新設に当たっての措置」

前年度に新設・更新された設備について、判断基準で留意事項の規定がある場合に評価

○:当該事項を遵守している

×:遵守していない

Page 13: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

9

1.3.2 個票ごとの評点化

個票ごとに、「○」は 2点、「△」は 1点、「×」は 0点として合計し、当該設備の工場等全体に

対するエネルギー使用割合を掛けて重み付け評価点を計算した。また、同様に、全て○であった

場合の重み付け満点を計算した。(図 2.1.1 の②参照)

図 2.1.1 設備ごとの個票

1.3.3 全体集計

全ての個票の重み付け評価点の合計を、重み付け満点の合計により除して 100 を乗じた値を総

合評価点とした。(図 2.1.2 の①参照)

図 2.1.2 総合評価点算出表

(工場用)

評価点(A) 満点(B)重み付け評価点(D)

重み付け満点(E)

総合評価点

A×C B×C (D/E)×100

(1) 2 24 24 15.4% 369.6 369.6 100.0燃料の燃焼 9 15 16 33.6% 504.0 537.6 93.7

11 7 8 18.3% 128.1 146.4 87.50.0 0.0 #DIV/0!

小計 46 48 67.3% 1001.7 1053.6 95.0

(2-1) 2 15 16 15.4% 231.0 246.4 93.7加熱・冷却 9 23 24 33.6% 772.8 806.4 95.8伝熱 10 24 24 8.6% 206.4 206.4 100.0

11 34 34 18.3% 622.2 622.2 100.012 32 32 1.5% 48.0 48.0 100.0

事業所名:○○会社□□工場 指定工場番号:*******

判断基準の項目設備若しくは

設備群名又は個票番号

エネルギー使用割合(C)

総合評価点算出表 (調査機関用)

11 21 24 18.3% 384.3 439.2 87.512 17 20 1.5% 25.5 30.0 85.0

0.0 0.0 #DIV/0!小計 195 212 97.4% 1807.6 1947.4 92.8

(6-2)  1 14 14 1.9% 26.6 26.6 100.0照明・昇降機 0.0 0.0 #DIV/0!

0.0 0.0 #DIV/0!小計 14 14 1.9% 26.6 26.6 100.0

合計 551 574 5961.9 6218.6 95.8

①全ての個票の重み付け評価点の合計を、重み付け

満点の合計により除して 100 を乗じた値を総合評

価点とした。

合  計 ー ー 24 22 46

2.判断基準の大項目別の評価(調査機関使用欄)

項目番号 評価点小計 満 点 重み付け満点

(1) 24 24 369.6

(2-1) 15 16 246.4

(2-2) 0 0 0.0(3) 23 24 369.6

(4-1) 0 0 0.0(4-2) 0 0 0.0(5-1) 6 6 92.4(5-2) 0 0 0.0(6-1) 21 22 338.8(6-2) 0 0 0.0

合 計 89 92 1416.8

369.6

重み付け評価点

012

80

0.0354.2

0.0

0 0.092.4

0 0.03

46 1370.6

0.00

11 323.4

231.0

該当判断基準項目数

12

個票 (工場用)

個票番号

2

管理標準整理番号

1.判断基準遵守状況の評価

①管理又は基準番 号 設定状況 遵守状況 備     考

(1)①ア 空気比の設定 ○ ○ ○ ○ 管理標準1.24~1.40/実測1.35

(1)①イ 基準空気比の設定 ○ ○ ○ ○ 基準空気比に合致

(1)①ウ 複数の燃焼設備の負荷配分、効率等 ○ ○ ○ ○ 自動制御

(1)①エ 燃料の性状に合わせた燃焼管理 △ △ ○ ○ LPG成分表で管理されている

(2-1)①ア 加熱機器用蒸気の圧力、温度、流量設定等 ○ ○ 非該当 給水余熱なし

(2-1)①キ ボイラー給水の水質管理 ○ ○ ○ ○ 管理表による。管理範囲外値あり

(2-1)①コ 被加熱側熱媒体の圧力・温度・量の設定 ○ ○ ○ ○ 基準0.75~0.8MPa以下

管理標準****,ボイラーメーカー点検表,日報,作業手順書

蒸気ボイラー 430 15.4

内容(管理標準・基準の項目名) 調査員チェック

指定工場番号:*******

エネルギー使用量(kl) エネルギー使用割合(%)設備又は設備群名

②○△×の点数を合計し、エネルギー使用割合を掛

けて重み付け評価点を計算。同様に重み付け満点

を計算。

①判断基準項目

毎に○△×で

評価

Page 14: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

10

1.4 現地調査のまとめ

1.4.1 現地調査報告書の作成

現地調査を実施した調査員が所定の様式及び評価欄に記入した個票等にて報告書案を作成し、

センターが精査の上、現地調査報告書を作成した。

作成した報告書は、月毎にまとめて省エネルギー課へ提出した。

1.4.2 調査先への通知

調査結果については、「総合評価点」、「判断基準遵守状況の評価コメント(優れていると考えら

れる点、改善が望ましい点等)」及び「原単位に関するコメント」を記入した通知書を作成し、調

査先に送付した。その後、調査先から通知書について問い合わせがあった場合は、対応した。

また、全ての現地調査が終了後、調査結果の概要をまとめ、調査先に送付した。

1.4.3 アンケート調査

(1)調査後のアンケート

調査後、アンケートを実施し、今回の調査による調査先の省エネルギー取り組みへの効果(影

響)及び調査の今後の実施方法に役立つ意見等を確認した。

また、併せて、登録調査機関の活用状況についても調査した。

(2)エネルギー管理士の教育ニーズ調査

エネルギー管理士の資格でエネルギー企画推進者、エネルギー管理者又はエネルギー管理員に

選任された者は資質向上講習を受けないので、彼らの教育の機会やニーズを把握し、今後の省エ

ネルギー施策の基礎資料とするためのアンケートを行うことにより調査した。

Page 15: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

11

第2章 調査の結果

2.1 判断基準の遵守状況(総合評価点)

2.1.1 総合評価点の概要

指定工場等の判断基準の遵守状況を現地調査により評点化して、指定工場等ごとの総合評価点

を算出した。総合評価点の区分ごとの平均値を表 2.2.1 及び図 2.2.1 に示す。

結果は以下のとおりである。

①全体の平均点は 91.6 点であり、判断基準は概ね遵守されていると考えられる。

②事業場と工場(※)の区分では、事業場が 90.4 点、工場が 91.8 点と工場の方がやや高かっ

た。

③事業場、工場とも、第一種の方が第二種よりも高い傾向があった。

※ 判断基準の「1.専ら事務所その他これに類する用途に供する工場等」を以下「事業場」、

「2.工場等(1.に該当するものを除く。)」を以下「工場」、事業場又は工場等を以下「工場

等」という。

表 2.2.1 指定工場等の総合評価点

調査区分 事業場 工場

全体 第一種 第二種 事業場全体 第一種 第二種 工場全体

総合評価点平均 94.1 89.3 90.4 93.9 90.6 91.8 91.6

調査件数 10 33 43 131 236 367 410

図 2.2.1 指定工場等の総合評価点

80

85

90

95

100

第一種 第二種 第一種 第二種

事業場 工場 全体

総合評

価点

Page 16: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

12

2.1.2 エネルギー使用量と総合評価点

調査した指定工場等 410 件について、総合評価点のエネルギー使用量に対する分布を図 2.2.2

に示す。また、エネルギー使用量と総合評価点の範囲ごとの件数を表 2.2.2 に示す。

エネルギー使用量が多いほど総合評価点が高い範囲に分布し、エネルギー使用量が少ないほど

総合評価点が低い範囲に分散している傾向が見られる。

図 2.2.2 指定工場等のエネルギー使用量と総合評価点の分布

表 2.2.2 指定工場等のエネルギー使用量と総合評価点の分布

年間エネルギー 使用量

点数範囲 3千kL未満

3千kL以上 5千kL未満

5千kL以上 1万kL未満

1万kL以上 10万kL未満

10万kL以上 100万kL未満

100万kL以上 合計

90点以上100点未満 176 36 42 22 1 1 278

80点以上90点未満 92 15 10 0 1 0 118

70点以上80点未満 4 1 0 0 0 0 5

60点以上70点未満 3 0 0 1 0 0 4

60点未満 5 0 0 0 0 0 5

合計 280 52 52 23 2 1 410

2.1.3 総合評価点の分布

総合評価点の分布状況を、5 点ごとに区分した範囲の件数により、事業場と工場の分布を図

2.2.3 に、また、第一種と第二種の分布を図 2.2.4~図 2.2.5 に示す。

その結果は以下のとおりである。

①事業場、工場ともに、95 点以上 100 点未満の範囲に入る件数が最も多く、点数が低くなるに

したがって件数が減少する同様の傾向を示した。

②第一種と第二種を比較すると、80点以上の分布状況はほぼ同様であるが、80 点未満に分布す

るのは、ほとんどが第二種であった。

30

40

50

60

70

80

90

100

110

100 1,000 10,000 100,000 1,000,000 10,000,000

総合

評価

エネルギー使用量 kL/年

Page 17: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

13

図 2.2.3 総合評価点の分布(事業場/工場)

図 2.2.4 総合評価点の分布(事業場)

図 2.2.5 総合評価点の分布(工場)

0

6

21 1

0 0 0 0 0 0 0 0 0 02

119

7

10 0 0

10 0 0

1 10

0

5

10

15

20件数

事業場(一種)

事業場(二種)

数値は件数

217

11 8 2 0 0 0 1 0 0 0 1 1 011

138

99

64

44

3 2 3 0 0 0 1 1 0 10

20

40

60

80

100

120

140件数

事業場

工場

数値は件数

6

63

31

20

91 0 1 0 0 0 0 0 0 0

5

7568

4435

2 2 2 0 0 0 1 1 0 10

10

20

30

40

50

60

70

80件数

工場(一種)

工場(二種)

数値は件数

Page 18: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

14

2.1.4 業種別の総合評価点

総合評価点の業種別の平均点及び点数範囲を表 2.2.3 に示す。

平均点は業種により異なり、82.1 から 98.0 点まで分布している。全体の平均点である 91.6 点

よりも平均点が低い業種は最低点が 30点台や 40点台等の低いものを含んでいる場合が多く、平

均点が 98.0 点と最も高い「テ.金融業・不動産業」は最低点でも 96.5 点と高めの範囲にあった。

ただし、平均点が低い業種でも最高点はほどんどの業種で 95 点以上であるので、判断基準を良

好に遵守している工場等は業種によらず存在している。

また、業種ごとの総合評価点の分布状況を、5点ごとに区分した範囲の件数により図 2.2.6 に

示す。多くの業種は 95 点~100 点の範囲が最も件数が多いが、業種によってはそれより低い範囲

に分布している場合もあった。

表 2.2.3 指定工場等の業種別の総合評価点

業 種(注1) 業種中分類

番号 件数

総合評価

点平均

範囲

最低点~最高点

ア.食料品製造業・農業 01,09 66 90.6 33.2~100

イ.飲料・たばこ・飼料製造業 10 11 88.7 49.9~99.7

ウ.繊維工業 11 8 86.5 80.1~95.1

エ.木材・木製品製造業 12 8 95.3 89.4~99.4

オ.パルプ・紙等製造業 14 8 93.4 88.6~98.5

カ.印刷・同関連業 15 10 85.4 68.5~93.9

キ.化学工業・石油製品・石炭製品製造業 16,17 34 93.0 81.7~100

ク.プラスチック製品・ゴム製品製造業 18,19 21 92.6 80.5~99.8

ケ.窯業・土石製品製造業・鉱業・採石業 05,21 27 93.5 76.4~100

コ.鉄鋼業 22 33 91.7 80.4~100

サ.非鉄金属製造業 23 18 89.5 69.2~98.9

シ.金属製品製造業 24 18 89.6 73.6~99.9

ス.機械器具・その他の製造業 25,26,32 18 92.4 80.8~100

セ.電子部品・電気機械器具等製造業 28,29,30 21 91.2 80.4~100

ソ.輸送用機械器具製造業 31 36 94.3 80.4~100

タ.電気・ガス・熱供給・水道業 33,34,35,36 10 95.3 80.7~100

チ.運輸業 47,48 4 87.0 69.6~100

ツ.卸売業・小売業 56 6 89.2 84.2~94.5

テ.金融業・不動産業 62,69 6 98.0 96.2~100

ト.研究機関・教育・地方公務 71,81,98 9 94.4 89.2~98.6

ナ.宿泊業 75 8 82.1 37.0~98.3

ニ.生活関連・複合サービス業・娯楽業 78,79,80,87 6 93.2 84.9~99.6

ヌ.医療業 83 10 87.1 44.9~100

ネ.サービス業(他に分類されないもの) 88,90,93 14 96.0 90.0~99.9

合 計 - 410 91.6 33.2~100

注1)日本標準産業分類の中分類による。なお、件数が少ない業種は類似業種にまとめた。

Page 19: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

15

図 2.2.6(1) 指定工場等の業種別の総合評価点の分布(1)

図 2.2.6(2) 指定工場等の業種別の総合評価点の分布(2)

図 2.2.6(3) 指定工場等の業種別の総合評価点の分布(3)

4

3

1

3 3

2

5

1 1 1 1 1

0

1

2

3

4

5

6件数

エ.木材・木製品製造業

オ.パルプ・紙等製造業

カ.印刷・同関連業

数値は件数

2

1211

7

2

7

9

4

11

11

8

5

1 1

0

2

4

6

8

10

12

14件数

キ.化学工業・石油製品・石炭製品製造業

ク.プラスチック製品・ゴム製品製造業

ケ.窯業・土石製品製造業・鉱業・採石業

数値は件数

1

26

16

119

1 1 14 3 2 1 11 1

3 3

0

5

10

15

20

25

30件数

ア.食料品製造業・農業

イ.飲料・たばこ・飼料製造業

ウ.繊維工業

数値は件数

Page 20: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

16

図 2.2.6(4) 指定工場等の業種別の総合評価点の分布(4)

図 2.2.6(5) 指定工場等の業種別の総合評価点の分布(5)

図 2.2.6(6) 指定工場等の業種別の総合評価点の分布(6)

1

8

13

7

4

65

2

4

1

45 5

3

1

0

2

4

6

8

10

12

14件数

コ.鉄鋼業

サ.非鉄金属製造業

シ.金属製品製造業

数値は件数

1

8

24

31

75

35

2

20

5 6

31

7

2

0

5

10

15

20

25件数

ス.機械器具・その他の製造業

セ.電子部品・電気機械器具等製造業

ソ.輸送用機械器具製造業

タ.電気・ガス・熱供給・水道業

数値は件数

1 1 1 1

2

3

11

5

4 4

1

0

1

2

3

4

5

6件数

チ.運輸業

ツ.卸売業・小売業

テ.金融業・不動産業

ト.研究機関・教育・地方公務

数値は件数

Page 21: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

17

図 2.2.6(7) 指定工場等の業種別の総合評価点の分布(7)

32

1 1 1

3

1 1 112 2

4

1

9

5

0123456789

10件数

ナ.宿泊業

ニ.生活関連・複合サービス業・娯楽業

ヌ.医療業

ネ.サービス業(他に分類されないもの)

数値は件数

Page 22: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

18

2.2 判断基準の遵守状況(項目別)

2.2.1 事業場の判断基準の項目別の遵守状況

事業場の判断基準の項目別の評価点の平均点を、指定区分別に表 2.2.4 及び図 2.2.7 に示す。

結果は以下のとおりである。

(1)全般的な傾向

①指定区分別にみると、概ね各項目とも、第一種の方が第二種よりも高い傾向にあった。

②項目別にみると、「(4)受変電設備、BEMS」及び「(6)事務用機器、民生用機器」が 95 点以上

で、比較的遵守されていた。

③一方、「(5)発電専用設備、コージェネ設備」が 83.3 点と最も低く、次いで、「(3)照明設備、

昇降機、動力設備」の 86.7 点と「(2)ボイラー設備、給湯設備」の 87.6 点が低かった。

(2)平均点が高い項目の状況

① (4)受変電設備

・受変電設備は、この設備のもとに事業所の各設備が接続されていることから重要設備であ

り、各事業所とも遵守状況は良好であった。

② (6)事務用機器、民生用機器

・これらの機器は従事者が日常使用する機器であり、不要時の停止等の管理も徹底されてい

ることから遵守状況は良好であった。

(3)平均点が低い項目の状況

① (2)ボイラー設備、給湯設備

・空気比の管理標準が未設定の場合や、設定されていても判断基準の別表に記載された基準

空気比を満たしていない場合があった。

・また、管理標準が設定されていても、実測値が設定値を超えたまま処置されていない場合

が散見された。その理由は、保守メーカー任せで無関心、管理値の認識が不十分、老朽化

等のため空気比の調整が困難等である。

・ボイラー設備は保守管理を保守メーカー等の外部業者に委託している場合が多く、保守点

検は実施されているが、管理の主体が外部業者任せとなって、管理する意識が薄くなって

いる傾向がある。

【管理不十分な場合の改善対策】

・空気比の管理値(判断基準の別表に該当する場合はその値)を定め、定期的な計測・記録

によって実際の値を確認し、管理値を外れている場合は燃焼設備を調整することで、過剰

な空気を削減して過剰に使用していた燃料を削減することが出来る。

・老朽化等で空気比の調整が困難である場合には、点検及び必要に応じた補修又は更新が必

要となる。調査先によっては、老朽化更新の機会を利用して最新の高効率ボイラーに更新

することによって、省エネの成果をあげた事例もあった。

・また、保守点検を外部業者に委託している場合は、点検結果等を確認し、管理に役立てる

ことが重要である。

② (3)照明設備、昇降機、動力設備

・照度管理が実施されていない場合があり、特に日本工業規格(JIS)等に準ずる照度基準に

Page 23: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

19

よる管理標準が設定及び遵守されていないことがあった。

・また、照度の計測・記録が不十分であり、実際の照度が把握されていない場合もあった。

・不要時の消灯などは多くの事業場で実施されていたが、JIS の照度基準等を考慮した管理

にまでは意識が及んでいないものと考えられる。

【管理不十分な場合の改善対策】

・JIS では、事務所、商業施設、学校などの施設や作業の種類等に応じた推奨照度が詳細に

規定されているので、これに準じた管理標準を設定し、定期的な計測・記録によって実際

の照度を確認し、過剰な照明を防ぐことで省エネを図ることが出来る。

③ (5)発電専用設備、コージェネ設備

・事業所によって遵守状況に差があった。重要な設備であるのにもかかわらず、空調器など

と違って作業環境に直接影響することが少ない設備であるため一部の事業場で管理が不十

分であった。

・対象が 5件と少なく、点数が低い事業場があったので平均点が低くなった。

【管理不十分な場合の改善対策】

・発電関連設備は効率よく稼働させることが重要であり、判断基準に則って管理標準を設定

し、発電効率等を監視しながら最適運転を図れば、省エネの効果も大きい。

(4)その他の項目

① (1)空気調和設備、換気設備

・事業場では主要設備の一つであり、室温の設定等の基本的な管理については、比較的遵守

されていた。

・しかし、空調構成設備の総合効率の管理及び計測・記録等については不十分な場合があっ

た。

・特に、熱源設備について、外気条件の季節変動等に応じた冷温水温度の設定等が不十分な

場合があった。

【管理不十分な場合の改善対策】

・日々の温度管理等も重要であるが、季節変動等を考慮した熱源設備の管理等により、年間

を通じた効率的な運転が可能となるので、省エネの観点からの管理や計測・記録が必要で

ある。

・また、総合効率は老朽化や空調設備内の汚れの進行によっても悪化するので、計測・記録

の結果の推移を把握することも、適切な保守や更新につながることになる。

・老朽化更新を経済的な理由で先延ばしている場合でも、効率の低下の進行が定量化出来れ

ば、設備更新の採算性が評価出来る。

・市販の空調設備は年々効率が向上しているので、実際に更新した事業所では省エネに効果

的だったとの意見が多かった。

② (7)業務用機器

・業務用機器は、医療機器、実験装置、厨房機器及びその他の多様な機器を含んでおり、こ

れらは医療、研究、外食提供等の業務の遂行が最優先される傾向が強いので、省エネ管理

まで意識が及ばない場合がある。

・また、エネルギー管理の範囲から除外されていることもあって、エネルギー使用割合が比

Page 24: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

20

較的低い場合には調査対象とならなかったこともあるので、実際の遵守状況は調査結果よ

りも低い可能性がある。

【管理不十分な場合の改善対策】

・業務用機器の省エネを進める方策は、それを使用する部門における省エネの重要性の認識

や機器管理のルール化がまず必要との認識が、調査した多くの事業場で示された。

・そこで、省エネ意識を事業所内で共有することがまず重要である。

・また、具体策として、業務用機器をリスト化して最低限の使用ルールを定めることや、機

器が多数ある場合には、対象機器を選定して管理を徹底する等の方策が考えられる。

表 2.2.4 事業場の項目別の評価点(平均点)

調査区分

判断基準項目

第一種 第二種 事業場全体

評価件数 平均点 評価件数 平均点 評価件数 平均点

(1)空気調和設備、換気設備 10 96.2 33 90.0 43 91.4

(2)ボイラー設備、給湯設備 7 89.1 21 87.1 28 87.6

(3)照明設備、昇降機、動力設備 10 88.3 32 86.2 42 86.7

(4)受変電設備、BEMS 2 100.0 16 95.0 18 95.6

(5)発電専用設備、コージェネ設備 1 100.0 4 79.2 5 83.3

(6)事務用機器、民生用機器 2 100.0 7 100.0 9 100.0

(7)業務用機器 8 89.6 18 89.5 26 89.5

注 1:評価件数は、その項目が該当した調査先の件数

注 2:平均点は、各項目における各調査先の評価点の相加平均値

図 2.2.7 事業場の項目別の評価点

50

60

70

80

90

100

評価点

事業場(一種)

事業場(二種)

事業場全体

Page 25: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

21

2.2.2 工場の判断基準の項目別の遵守状況

工場の判断基準の項目別の評価点の平均点を、指定区分別に表 2.2.5 及び図 2.2.8 に示す。

結果は以下のとおりである。

(1)全般的な傾向

①指定区分別にみると、概ね各項目とも、第一種の方が第二種よりも高い傾向にあった。

②項目別にみると、「(4-1)発電専用設備」が 99.3 点、「(2-1)加熱設備等」が 96.8 点と高かっ

た。

③一方、「(3)廃熱の回収利用」が 78.8 点と最も低く、次いで低い順に、「(2-2)空調・給湯設備」

が 86.2 点、「(4-2)コージェネ設備」が 88.3 点、「(5-1)放射・伝導等による熱損失防止」が

88.9 点、「(6-2)照明・昇降機、事務用・民生用機器」89.1 点と比較的低かった。

(2)平均点が高い項目の状況

① (2-1)加熱設備等

・概ね遵守されていた。この項目は蒸気などの媒体による加熱等についての温度や量等の管

理が主体であり、製造工程でも重要な因子であることから、比較的管理が出来ていると考

えられる。

・ただし、管理温度の上限値と下限値の両方が明確になっていない場合もあった。省エネの

観点から管理範囲を設定すると、蒸気等の削減につながる可能性がある。

② (4-1)発電専用設備

・遵守されていた。発電専用設備は工場の各設備に電気を供給する重要設備であるので、十

分管理されていたものと考えられる。ただし、設備があったのは工場 367 件のうちの 12件

と少なかった。

(3)平均点が低い項目の状況

① (2-2)空調・給湯設備

・作業場や工場内事務所で空調設備の管理が不十分である場合があった。また、作業場では

管理は実施しているが、工場内事務所の管理は不十分である場合もあった。

・一方、クリーンルーム等が設置されている場合には、温度、湿度等の要素を細かく管理さ

れていることが多く、工場により差があった。

・また、作業環境の確保の観点から温度は管理されていても、空調設備の総合効率の管理等

が実行されていない場合もあった。

・特に、熱源設備について、外気条件の季節変動等に応じた冷温水温度の設定等が不十分な

場合が散見された。

・また、総合効率を管理するための計測・管理が不足していることもあった。

【管理不十分な場合の改善対策】

・日々の温度管理等も重要であるが、季節変動等を考慮した熱源設備の管理等により、年間

を通じた効率的な運転が可能となるので、省エネの観点からの管理や計測・記録が必要で

ある。

・また、総合効率は老朽化や空調設備内の汚れの進行によっても悪化するので、計測・記録

の結果の推移を把握することも、適切な保守や更新につながることになる。

Page 26: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

22

② (3)廃熱の回収利用

・廃ガスの温度又は回収率の管理標準の設定及び計測・記録が不十分である場合が多かった。

・廃ガスの温度等が設定されていても判断基準の別表に記載された基準温度等を満たしてい

ない場合があった。

・なお、上記の管理不十分な例は、廃熱回収設備が付帯していることが多いボイラーよりも、

工業炉の方が多かった。工業炉は構造が業種や工程により多様であって、設置コスト、設

置スペース又は廃ガスの性状等の制約で廃熱回収設備を設置していない場合もあり、廃熱

回収の視点がやや不足しているためと思われる。

・また、蒸気ドレンの廃熱の回収利用の範囲が未検討で設定されていない場合も散見された。

・廃ガスや蒸気ドレン等の廃熱は熱損失に直結する項目であるが、管理が不十分であった理

由は、燃焼や加熱設備における製品側の管理に主眼が置かれているために、廃ガスや蒸気

ドレン等の付帯項目の管理にまで意識が及んでいないためである。

【管理不十分な場合の改善対策】

・廃ガスについては、廃熱回収設備がある場合には、廃ガスの温度又は回収率の管理値(判

断基準の別表に該当する場合はその値)を定め、定期的に計測・記録することによって、

廃熱を十分回収することが出来るとともに、汚れや老朽化の進行状況が把握出来るので、

適切な保守や老朽化更新につなげることが出来る。

・廃ガスの廃熱回収設備がない場合には、管理値と計測・記録の結果を照合することによっ

て、廃熱回収設備の新設等の改善策を検討する基本データが把握出来る。

・蒸気ドレンの回収利用についても、管理及び計測・記録によって、回収設備がある場合に

は適切な保守や老朽化更新につなげることが出来、回収設備がない場合には、回収利用す

る範囲を検討するための基本データが把握出来る。

③ (4-2)コージェネ設備

・コージェネを稼働させているのは工場 367 件のうち 10 件と少なく、そのほとんどの工場で

は、前述の「(4-1)発電専用設備」と同様に管理標準の設定及び遵守は良好であったが、一

部の工場で不十分であったために平均点が低下した。

【管理不十分な場合の改善対策】

・コージェネ設備は効率よく稼働させることが重要であり、判断基準に則って管理標準を設

定し、発電効率等を監視しながら最適運転を図れば、省エネの効果も大きい。

・また、コージェネ設備の発生蒸気の有効利用が重要であり、電気だけでなく熱利用と合わ

せた総合的な管理が必要である。

④ (5-1)放射・伝導等による熱損失防止

・熱の損失を防止するための炉壁の温度の計測・記録等が不十分な場合があった。

・また、配管等の断熱保温の保守点検が不十分な場合があり、調査時に、配管の断熱保温が

一部損傷したままとなっていた事例もあった。

・スチームトラップの保守点検についても不十分な場合もあり、調査時に、故障したままの

スチームトラップから蒸気が漏れていた事例もあった。

・管理が不十分である理由は、前述の「(3)廃熱の回収利用」と同様に、加熱設備の管理の観

点が製品側中心で、断熱部分の熱損失防止管理にまで及んでいないためと考えられる。

Page 27: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

23

【管理不十分な場合の改善対策】

・炉壁の温度管理については、管理値を定め、定期的に計測・記録することで、炉壁の耐火

物等の劣化状況が把握出来、熱損失を最小限にすることが出来る。

・断熱保温やスチームトラップについては、保守点検の管理標準を定めて、定期的に実施す

ることで、保温外れやスチームトラップ故障による熱損失を防止することが出来る。

⑤ (6-2)照明・昇降機、事務用・民生用機器

・事業場と同様に、照度管理が実施されていない場合があり、特に JIS 等に準ずる照度基準

による管理標準が設定及び遵守されていないことがあった。

・また、照度の計測・記録が不十分であり、実際の照度が把握されていない場合もあった。

・不要時の消灯などは多くの工場で実施されていたが、JIS の照度基準等を考慮した管理に

までは意識が及んでいないものと考えられる。

【管理不十分な場合の改善対策】

・JIS では、工場の作業の種類等に応じた推奨照度が詳細に規定されているので、これに準

じた管理標準を設定し、定期的な計測・記録によって実際の照度を確認し、過剰な照明を

防ぐことで省エネを図ることが出来る。

(4)その他の項目

① (1)燃料の燃焼の合理化

・比較的遵守されていたが、空気比の管理値が設定されていない場合や、実測値が基準値を

超えている場合があった。その理由は、燃焼管理の主体が不完全燃焼の防止と被加熱物の

品質管理にあり、過剰空気の管理までは考慮されていないためと考えられる。

【管理不十分な場合の改善対策】

・空気比の管理値を定め、定期的な計測・記録によって実際の値を確認して調整することで、

過剰に使用していた燃料を削減することが出来る。

・工業炉の改造や更新が出来れば大きな省エネ成果が得られるが、設備投資コストが大きい

ために先送りしていることも多い。しかし、小ロット多品種化や新製品の増加等のニーズ

に対応するために最新式の炉への更新を実施し、省エネとなった事例もあった。

② (5-2)抵抗等による電気損失防止

・比較的遵守されていたが、力率が成り行き任せとなっている等の、管理が不十分な場合が

あった。受変電設備の管理は電気の専門家に任せきりのところも多く、操業の現場では管

理の意識が薄い場合も見られた。

【管理不十分な場合の改善対策】

・受変電設備は、この設備のもとに事業所の各設備が接続されていることから重要設備であ

り、力率の維持等の管理の充実によって、電気損失を防止することが出来る。

③ (6-1)電動力応用・電気加熱設備等

・工場ではモーター等の多くの電動力応用設備があり、多くの電気を使用していることが多

いので重要な項目であり、比較的遵守されていた。

・ただし、電圧・電流等の電気の損失低減のための管理及び計測・記録について、電圧と電

流の両方又は片方の管理及び計測・記録を実施していない場合があった。

Page 28: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

24

【管理不十分な場合の改善対策】

・電動力応用設備は大小の設備が多数使用されているので、工場の実態に応じて管理の範囲

を定める等の実際的な管理標準の設定及び遵守が必要である。

・また、計測機器が個々の設備には設置されていない場合も多かったが、設備の電源盤での

集中管理や、臨時の計測機器を用いる方法等を工夫すれば、管理は可能である。

・計測機器の恒久的な設置には投資が必要であるが、測定機器とデータ処理システムを導入

して電気使用を「見える化」し、大きな省エネ成果を上げた事例もあった。

表 2.2.5 工場の項目別の評価点(平均点)

調査区分

判断基準項目

第一種 第二種 工場全体

評価件数 平均点 評価件数 平均点 評価件数 平均点

(1)燃料の燃焼の合理化 116 94.3 203 90.4 319 91.8

(2-1)加熱設備等 124 98.2 222 96.0 346 96.8

(2-2)空調・給湯設備 63 89.2 132 84.7 195 86.2

(3)廃熱の回収利用 117 84.3 195 75.4 312 78.8

(4-1)発電専用設備 5 100.0 7 98.8 12 99.3

(4-2)コージェネ設備 7 100.0 3 61.1 10 88.3

(5-1)放射・伝導等による熱損失防止 130 91.5 230 87.4 360 88.9

(5-2)抵抗等による電気損失防止 55 94.4 78 91.9 133 92.9

(6-1)電動力応用・電気加熱設備 131 93.7 235 90.2 366 91.5

(6-2)照明・昇降機、事務用・民生用機器 70 91.7 134 87.7 204 89.1

注 1:評価件数は、その項目が該当した調査先の件数

注 2:平均点は、各項目における各調査先の評価点の相加平均値

図 2.2.8 工場の項目別の評価点

50

60

70

80

90

100

評価点

工場(一種)

工場(二種)

全体

Page 29: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

25

2.3 原単位の推移と悪化要因

2.3.1 原単位の推移

(1)事業場

事業場の原単位の状況について、5 年度間(平成 24 年度~平成 28 年度)のデータが得られた

39 件について、5年度間平均で 1%以上改善した件数を表 2.2.6 及び図 2.2.9 に示す。

改善の状況を整理すると以下のとおりである。

①5年度間平均で1%以上改善した事業場は23.1%で、後述の工場の29.0%よりやや低かった。

②その背景として、事業場の多くは平成23年3月の東日本大震災後に大幅な節電対策を実施し、

冷暖房の使用などを厳しく制限していたが、その後、作業環境を考慮して使用条件を緩和し

た事例が多数あったことが挙げられる。

③指定区分別では、第一種の方が第二種よりも約 13 ポイント高かった。第一種で改善した事業

所の改善理由は、設備の大幅な更新が出来たこと等である。

表 2.2.6 事業場の 5年度間平均原単位変化

5 年度間

平均原単位変化

第一種 第二種 事業場全体

件数 割合 件数 割合 件数 割合

1%以上改善 3 33.3% 6 20.0% 9 23.1%

1%改善未達成 6 66.7% 24 80.0% 30 76.9%

合計 9 100.0% 30 100.0% 39 100.0%

図 2.2.9 事業場の 5年度間平均原単位変化

(2)工場

工場の原単位の状況について、5年度間(平成 24年度~平成 28年度)のデータが得られた 352

件について、5年度間平均で 1%以上改善した件数を表 2.2.7 及び図 2.2.10 に示す。

改善の状況を整理すると以下のとおりである。

①5年度間平均で 1%以上改善した工場は 29.0%であった。

②昨年度の結果では 23.1%であったので、やや増えている。

③指定区分別では、第一種が第二種よりやや多かったが、大きな差異はなかった。

33.3%

20.0%

23.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事業場(一種)

事業場(二種)

事業場全体

割合1%以上改善 1%改善未達成

Page 30: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

26

表 2.2.7 工場の 5年度間平均原単位変化

5 年度間

平均原単位変化

第一種 第二種 工場全体

件数 割合 件数 割合 件数 割合

1%以上改善 33 25.8% 69 30.8% 102 29.0%

1%改善未達成 95 74.2% 155 69.2% 250 71.0%

合計 128 100.0% 224 100.0% 352 100.0%

図 2.2.10 工場の 5年度間平均原単位変化

(3)特定事業者

調査した工場等を設置している事業者単位での原単位の改善の状況について、5 年度間(平成

24 年度~平成 28 年度)のデータが得られた 332 件について、5年度間平均で 1%以上改善した件

数を表 2.2.8 及び図 2.2.11 に示す。

改善の状況を整理すると以下のとおりである。

①事業者単位の原単位を 5年度間平均で 1%以上改善した事業者は 19.0%であった。

②この原単位変化は、Bクラス事業者の選定年度(平成 23 年度~平成 27 年度の原単位)から

1年分更新された 5年度間の値ではあるが、1%以上改善に転じた割合は 2割以下と少ない。

③原単位変化について、工場等とそれを設置している事業者の相関をとると、図 2.2.12 に示す

ように両者には相関係数 0.50 の相関が見られたことから、工場等の原単位の変化が事業全体

の変化にも強く影響しているといえる。

④したがって、本調査で詳細に調査した工場等の原単位悪化の要因は、事業者の原単位悪化の

要因にも当てはまると考えられる。

表 2.2.8 特定事業者の 5年度間平均原単位変化

件数 割合

1%以上改善 63 19.0%

1%改善未達成 269 81.0%

合計 332 100.0%

注)複数の工場が調査対象となった事業者もあるので、工場

等数 410 件に対し、事業者は 332 件

25.8%

30.8%

29.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

工場(一種)

工場(二種)

工場全体

割合1%以上改善 1%改善未達成

Page 31: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

27

図 2.2.11 特定事業者の 5年度間平均原単位変化

図 2.2.12 原単位変化についての工場等とそれを設置する事業者の相関【相関係数:0.50】

2.3.2 原単位の 5年度間の推移

原単位の 5年度間推移について、各年度の前年度比の推移を図 2.2.13 に示す。事業場はほぼ横

ばいであるのに対し、工場ではこれまで悪化傾向にあったが、平成 28 年度には改善傾向に転じた。

この理由は、後述のとおり、生産量の減少傾向が弱まったか増産傾向に変わったのためではない

かと考えられる。

図 2.2.13 工場・事業場別の原単位の前年度比の推移

19.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事業者

割合

1%以上改善 1%改善未達成

80

90

100

110

120

130

140

80 90 100 110 120 130 140

工場

等の

5年度

間平

均原

単位

変化

事業者の5年度間平均原単位変化

90%

95%

100%

105%

110%

H25年度平均 H26年度平均 H27年度平均 H28年度平均

前年度比

工場(n=364) 事業場(n=43)

Page 32: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

28

2.3.3 原単位を改善出来なかった要因

(1)事業場

原単位を 5 年度間平均で 1%以上改善出来なかった事業場について、その要因を分類した結果

を表 2.2.9 及び図 2.2.14 に示す。結果を整理すると以下のとおりである。

①「利用者数の増加」が 36.7%と最も多く、次いで「業務規模の拡大」の 33.3%であった。こ

れらは 4 番目の「設備の増強」とともに、事業場の利用人数や利用内容等の拡大によるもの

である。これは、経営上は望ましいことであるが、原単位の分母を床面積等としていると、

原単位は悪化した結果になる。

②「作業時の環境対策」が 3 番目に多く 30.0%であった。これには、平成 23 年の東日本大震

災直後には冷暖房の使用等を厳しく制限していたが、その後、作業環境を考慮して使用条件

をやや緩和した場合等が多く含まれている。

表 2.2.9 事業場で原単位を 5年度間平均で 1%以上改善出来なかった要因(複数回答)

悪化要因 事業者数 割合%

利用者数の増加 11 36.7

業務規模の拡大 10 33.3

作業等の環境対策 9 30.0

設備の増強 8 26.7

設備の劣化 7 23.3

利用時間の変更 4 13.3

原単位設定の不備 4 13.3

設備の故障 3 10.0

気候の変動 2 6.7

その他 2 6.7

(1%改善未達の事業者数) (30) -

注)割合はその要因が該当する事業場の割合%を示す。

図 2.2.14 事業場で原単位を 5年度間平均で 1%以上改善出来なかった要因(複数回答)

(割合はその要因が該当する事業場の割合%を示す。)

36.7 33.3

30.0 26.7

23.3

13.3 13.3 10.0

6.7 6.7

0

10

20

30

40割合 %

Page 33: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

29

(2)工場

原単位を 5 年度間平均で 1%以上改善出来なかった工場について、その要因を分類した結果を

表 2.2.10 及び図 2.2.15 に示す。結果を整理すると以下のとおりである。

①「製品構成の変化」が約 52.4%と最も多かった。これは、付加価値が高く、そのため製造過

程でエネルギーを多く使用する必要がある製品に移行しているためである。

②次いで「生産の減少」が 39.6%で「小ロット多品種化」が 30.8%あった。

③上記の三つの要因は、市場ニーズの変化等による外的要因であり、変化に合わせて工場の操

業を対応させているものと考えられる。

④なお、これらのうち、「製品構成の変化」と「小ロット多品種化」の割合は昨年度の調査結

果とほぼ同様であったが、「生産の減少」は昨年度の約 50%から今年度は約 40%に減少し、

生産の経年的な減少傾向がやや緩まったとも見える。

Page 34: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

30

表 2.2.10 工場で原単位を 5年度間平均で 1%以上改善出来なかった要因(複数回答)

悪化要因 工場数 割合%

生産構成の変化 131 52.4

生産の減少 99 39.6

小ロット多品種化 77 30.8

設備の増強 58 23.2

設備の劣化 44 17.6

作業等の環境対策 33 13.2

試運転、試作品等 24 9.6

業務規模の拡大 23 9.2

設備の故障 20 8.0

原材料等の変化 18 7.2

製品価格の減少 16 6.4

原単位設定の不備 13 5.2

燃料構成の変化 10 4.0

生産性・安全性向上 8 3.2

利用者数の増加 4 1.6

管理標準等の不備 4 1.6

利用時間の変更 3 1.2

気候の変動 3 1.2

資源保護対策 2 0.8

取組方針の不備 2 0.8

その他 5 2.0

(1%改善未達の事業者数) (250) -

注)割合はその要因が該当する工場の割合%を示す。

図 2.2.15 工場で原単位を 5 年度間平均で 1%以上改善出来なかった要因(複数回答)

(割合はその要因が該当する工場の割合%を示す。)

52.4

39.6

30.823.2

17.613.2

9.6 9.2 8.0 7.2 6.4 5.2 4.0 3.2 1.6 1.6 1.2 1.2 0.8 0.8 2.00

10

20

30

40

50

60割合 %

Page 35: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

31

2.4 原単位の改善策

現地調査では、原単位の改善策について、悪化要因を基に調査先と意見交換を行った。その結

果抽出された改善策を分類し体系化してまとめた。分類結果を表 2.2.11 に示し、その内容を以下

に記述する。

表 2.2.11 工場等現地調査に基づく原単位の改善対策の項目

改善策の項目

(1)判断基準の遵守による改善策

(2)老朽化等に伴う更新による改善策

(3)主な外的要因に対する改善策

(4)原単位の運用管理の見直しによる改善策

(5)工場等の管理標準の整備及び活用による改善策

(6)事業者全体の判断基準の遵守による改善策

(7)その他の改善策

また、改善策の例として、センターが実施した中小企業等の省エネ診断で提案した事例(出展:

一般財団法人省エネルギーセンター「省エネ診断事例集」)を四角枠内に記した。

凡例を下記に示す。なお、設備費用は一般的な概算値である。

事例:改善のタイトル (業種:原油換算エネルギー使用量)

内容:改善提案の内容

削減効果:削減量の原油換算値(使用量に対する削減率)

設備費用:一般的な概算値(設備投資不要の場合は省略)

設備概要:該当する設備の概要

(1)判断基準の遵守による改善策

2.2項で記述したように、判断基準の各項目の遵守が不十分である場合には、その項目の管

理標準を整備及び遵守することにより、無駄なエネルギー使用をなくすことが出来る。具体的な

改善策は以下のとおりである。

①照明設備の管理

・不要時及び不要場所の消灯を基本に立ち返って実行する。東日本大震災直後は、事業場を

中心に実行されたが、調査では、その後時間の経過とともに守られなくなったとの声も聞

かれた。

・JIS では、事務所、商業施設、学校、工場等の施設や作業の種類等に応じた推奨照度が詳

細に規定されているので、これに準じた管理標準を設定し、定期的な計測・記録によって

実際の照度を確認し、過剰な照明を防ぐ。

事例:事務室の昼休み時間及び残業時間帯の部分消灯(事務所ビル:1,800kL/年)

内容:事務室において昼休みの消灯や残業時間帯に部分消灯を行うことで、電力消費量を

削減することを提案

削減効果:35.1kL/年(削減率 2.0%)

設備概要:蛍光灯 約 4,200 台

Page 36: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

32

②空気調和設備

・季節変動等を考慮した熱源設備の管理等により、年間を通じた効率的な運転を行う。

・総合効率は老朽化や空調設備内の汚れの進行によっても悪化するので、計測・記録の結果

の推移を把握し、適切な保守や更新を行う。

事例:非作業時の設定温度適正化(印刷用マスク製造工場:1,200kL/年)

内容:クリーンルームの設定温度は、夜間などの非作業時(12 時間)も日中と同じとなって

いるので、22℃から 24℃の設定にする(冷房期間の 7か月)ことを提案

削減効果:10.5kL/年(削減率 0.9%)

設備概要:チラー(85.4kW、76.8kW)

③燃焼設備(ボイラー、工業炉等)

・空気比の管理値を定め、定期的な計測・記録によって実際の値を確認し、管理値を外れて

いる場合は燃焼設備を調整することで、過剰な空気を削減して過剰に使用していた燃料を

削減する。

事例:ボイラー空気比の適正化(化学工業:740kL/年)

内容:燃焼空気を現状の 1.49 から 1.3 に低減し、熱損失の削減を図ることを提案

削減効果:3.3kL/年(削減率 0.4%)

設備概要:ボイラー(150kW)

④廃熱の回収利用(燃焼設備等の廃ガス、蒸気ドレン等)

・廃ガスの廃熱回収設備がある場合には、廃ガスの温度又は回収率の管理値を定め、定期的

に計測・記録することによって、汚れの進行や老朽化が把握出来、適切な保守や老朽化更

新につなげられる。廃熱回収設備がない場合には、管理値と計測・記録の結果を照合する

ことによって、廃熱回収設備の新設等の改善策を検討する。

・蒸気ドレンの回収利用について、管理及び計測・記録によって、回収設備がある場合には

適切な保守や老朽化更新を実施し、回収設備がない場合には回収利用する範囲を検討する。

事例:廃温水の利用(プラスチック製品製造工場:530kL/年)

内容:成形機の廃温水を地下タンクに回収し、ボイラー給水予熱に活用している。更に休

日の乾燥室(65℃、現状は蒸気加熱)熱源として有効活用し、蒸気の削減を図る。

削減効果:10.8kL/年(削減率 2.0%)

設備費用:300 千円(回収 0.4 年)

設備概要:成形機(油圧モーター5.5kW×3台、3.7kW×17 台)

⑤放射・伝導等による熱損失防止

・工業炉等の炉壁温度について、管理値を定め、定期的に計測・記録することで、炉壁の耐

火物等の劣化状況を把握し、補修等によって熱損失を最小限にする。

・断熱保温やスチームトラップについては、保守点検の管理標準を定めて、定期的に実施す

ることで、保温外れやスチームトラップ故障による熱損失を防止する。

Page 37: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

33

事例:成形機・押し出し機への保温カバーの設置(住宅建材製造工場:2,628kL/年)

内容:成形機及び押し出し機のシリンダー部に保温カバーを設置し、放熱を防止すること

を提案

削減効果:116kL/年(削減率 4.4%)

設備費用:600 千円(回収 0.1 年)

設備概要:生産設備(プラスチック成形機)

(2)老朽化等に伴う更新による改善策

①空調設備の高効率設備への更新

・老朽化による効率低下が進んでいる場合には、補修又は更新によって効率向上を図る。老

朽化更新は、設備稼働に支障が無い場合は予算化が先送りされることも多いが、総合効率

に関するデータの経時変化を把握することで、現在のエネルギー損失を推定して採算性を

考慮した検討が出来ると考えられる。

・また、一般に最新の空調機器は効率が向上しているので、更新により大きな省エネ効果が

得られた事例も多い。

事例:空調機の更新、暖房器具の高効率化(卸売市場:640kL/年)

内容:昭和 49 年製の温水ボイラー及び電動圧縮機による冷温水を循環し、床置エアコンに

より空調している。高効率の天吊型パッケージ空調に更新することを提案

削減効果:9.1kL/年(削減率 1.4%)

設備費用:300 千円(回収 4.6 年)

設備概要: 空調機(17.5kW)、温水ボイラー(A重油消費 9kl/年)⇒高効率空調器

②照明設備の高効率設備への更新

・LED等の高効率照明に更新する。段階的に実施している事例は多い。

事例:高効率照明への更新(病院:400kL/年)

内容:新館病室廊下照明及びナースステーション照明をLED照明に交換することを提案

削減効果:5.2kL/年(削減率 1.3%)

設備費用:2,706 千円(回収 9.3 年)

設備概要:蛍光灯 162 台

③ボイラー、その他の装置の更新

・老朽化更新等の機会をとらえて、最新の高効率の設備に更新する。

・ボイラーの場合は、これまでの省エネ活動の成果で蒸気の使用量が減っている場合も多く、

小型化することが出来れば、更に省エネとなる。

事例:高効率ボイラーへの更新(食料品製造工場:320kL/年)

内容:現状の炉筒煙管ボイラーは設置後 26年が経過し更新時期に当たるので、効率の高い

都市ガス焚小型貫流ボイラーに更新することを提案(熱効率 87%⇒97%)

削減効果:12.1kL/年(削減率 3.8%)

設備費用:2,200 千円(回収 2.2 年)

設備概要:A重油焚炉筒煙管ボイラー(年間使用量 120kL)

Page 38: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

34

(3)主な外的要因に対する改善策

(3-1)工場の場合(生産量の減少、製品構成の変化、小ロット多品種化に対する改善策)

①固定的なエネルギーの分析と削減

・生産量の減少により原単位が悪化している場合には、固定的なエネルギー使用の影響が大

きいので、固定エネルギーの現状を把握し、その削減に努める。

・具体策として、ボイラー及び空気圧縮機の圧力低下、適正台数管理及び更新等がある。

事例:コンプレッサー吐出圧力の低減(木材・木製品製造工場:1,152kL/年)

内容:吐出圧力 0.75MPa で運転されており、使用機器の必要圧力等を考慮すると余裕があ

るので、0.1Mp 低下させることを提案

削減効果:5.9kL/年(削減率 0.5%)

設備概要:コンプレッサー5.5kW~55kW×8台

・また、固定的に使用している空調や照明の運用管理や高効率機器への更新も考えられる。

改善策は前述の(1)~(2)項に示した通りである。

②製品構成の変化の対策

・製品又は工程によってエネルギーの使用状況を把握することが重要であり、その分析結果

によって、改善策を検討する。

・なお、製品構成の変化が原単位に与える影響が大きい場合には、後述のように原単位の分

母が適切かどうかを検討することも考えられる。

③小ロット多品種化の対策

・品種の入れ替え時の生産に寄与しないエネルギー消費の増加や稼働効率の低下等の悪化要

因が考えられるので、これらについて分析し、その結果によって改善策を検討する。

(3-2)事業場の場合(利用者数や業務規模の拡大に対する改善策)

①固定的なエネルギーの分析と削減

・空調や照明などの固定的なエネルギー使用の影響が大きいので、現状を把握して、必要最

小限の管理を図る。具体的な改善策は前述の(1)~(2)項に示したとおりである。

②関係者の省エネ意識の共有化

・業務用ビル、商業施設及び病院等の施設では、オーナー、管理者、テナント及び一般利用

者等が省エネについて共通意識を持つことが重要であるので、連絡会の設置や共通の管理

標準の整備等により、省エネに対する意識と方法を共有化する。

(4)原単位の運用管理の見直しによる改善策

①原単位の推移の詳細な分析と改善テーマの検討

・単なる推移確認だけではなく、固定的なエネルギーの寄与、設備や工程ごとのエネルギー

使用状況、定常的又は突発的な悪化(良化)要因の分析等を実施することによって、今後

の省エネ対策のテーマの発掘と検討を行う。

②原単位の算出方法の見直し

・現在の原単位の分母に用いている項目が適切ではないために、原単位がエネルギー使用状

況を適切に表せていないと考えられる場合が、調査では散見された。例として、省エネ対

策を実施しているにもかかわらず、市場ニーズ対応でエネルギー多消費型の製品の割合が

大きく増加したため、生産量単純合計を分母として算定している原単位が悪化している場

Page 39: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

35

合等があった。この場合、エネルギー使用量に相当する重み付け係数による換算生産量に

分母に見直す等の対応が考えられる。

・ただし、分母の見直しは、原単位改善の解決策ではなく、適切に省エネ推進状況を評価す

るための手段であるので注意が必要である。

(5)工場等の管理標準の整備及び活用による改善策

①管理標準の現場で活用されるマニュアル体系化

・調査では、管理標準は作成されていても管理部門での運用に留まり、実際に操業している

現場では別の作業手順書を使用しているため、現場では省エネの観点が薄くなっている事

例が見られた。そこで、これらの規定類の関連付けを明確にして体系化することによって、

省エネを意識した操業管理を行うことで省エネを図ることが出来る。

②管理標準の管理値等の見直し

・調査では、管理標準が長期間見直されていないこともあった。また、管理内容があいまい

で管理値の上限・下限等が設定されていない場合や、管理幅が広すぎて実際には役立って

いない場合もあった。そこで、必要な管理値を設定し、定期的または必要時に見直すこと

が、継続的に省エネを図っていくためには重要である。

(6)事業者全体の判断基準の遵守による改善策

①取組方針・目標の設定、遵守及び評価を実施するための取り組み

・取組方針を、例えば「原単位を年間1%削減」と設定していても、それを実行するための

取り組みの具体的な方法が設定されてないために、省エネが進んでいない場合もあった。

・省エネの成果を上げている例として、事業者の取組方針を受けて工場等の目標を設定し、

更に各部門の個別目標に展開して、担当者、スケジュール及び評価方法を決めて実行する

システムを回すことによって、持続的な省エネ改善を実行している事例があった。このよ

うに、取組方針を実現するための具体的な方策を立てることが重要である。

②中長期計画に設定した高効率化設備への更新や業務効率化等の省エネ対策の確実な実行

・計画された省エネ対策を、具体的な実施計画を立てて、実行に移すことが重要である。経

営状況などによって、投資案件が先延ばしされることもあるが、実施計画を立てていれば、

時機を見てすぐに復活させることが出来る。

(7)その他の改善策

その他、各工場等での個別の設備について、調査での意見交換により摘出された個別の改善

案を実行する。

Page 40: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

36

2.5 原単位の算定方法

原単位の算定では、エネルギー使用量と密接な関係を持つ値を計算式の分母として用いるが、

採用した分母によって原単位は影響を受け、エネルギーの使用とは関係なく原単位が変動する場

合や、省エネ改善の成果を上げているにもかかわらず原単位に反映されない場合等がある。

調査では、原単位の分母の内容や採用理由、また、見直しの実績や検討の有無等を調査し、事

業者からも多くの意見が出されたので、その結果をまとめて、以下に記述する。

2.5.1 現状の原単位の分母

(1)事業場

原単位の算定式に使用されている分母の種類を図 2.2.16 に示す。

①「床面積」を分母としている場合が 76.7%と多かった。その理由は、建て増ししても対応出

来ることや、同種の他の施設との比較が出来るためとの意見が多かった。また、事業場では

床面積とすることが一般的なので特に理由はないとの声もあった。

②一方で、現在は「床面積」を分母にしているが、原単位が利用人数や稼働時間の変化により

変動するので、エネルギーの使用状況の把握が的確に出来ない場合があるとの意見もあった。

③次いで「利用人数」が 9.3%あり、エネルギーの使用量が利用人数によって変化する事業場

等で使用されていた。

④また、「床面積」×「稼働時間」等、二つの要素を掛け合わせた値としている事業場も 4.7%

あった。これは、エネルギー使用量と密接な関係を持つ要素が一種類ではないことを示して

いる。

⑤「金額」は、病院等で使用されており、利用者の施設の使用方法が外来及び入院では異なり、

また、エネルギー多消費型の高度医療機器の使用の有無等に影響を受けるため、金額が最も

適していると考えているためである。

原単位の算定方法についての関心は高く、後述のように、見直しを実施済み又は検討中である

事業場もあった。

図 2.2.16 原単位の算定に使用している分母の種類(事業場)

1.床面積76.7%2.利用人

数 9.3%

3.床面積

×稼働時

間 4.7%

4.金額2.3%

5.その他7.0%

事業場数:43

Page 41: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

37

(2)工場

原単位の算定式に使用されている分母の種類を図 2.2.17 に示す。

①「生産量(単純合計)」を分母としている場合が 60.2%と多かった。

②しかし、生産品目によって単位製品当たりのエネルギーの使用量が異なる場合には、前記の

原単位の悪化要因にもあったように、市場ニーズの変化によって生産構成が変わることも多

く、原単位の変動要因となる。

この対策としては、「生産量(重み付け合計)」を用いる方法がある。単位製品当たりのエネ

ルギーの使用量が大きく異なる生産品目又は生産品目群ごとに重み付け換算係数を設定して

各換算生産量を求めて合計する方法である。この分母を採用している工場は 12.8%あった。

また、単純合計からの見直しを検討している工場もあったので、今後増加すると考えられる。

③「金額」が 2番目に多く、17.4%あった。その理由は、付加価値の高い製品(エネルギー消

費量も多い)は製品単価も高いので、製品ごとの重み付けが出来るため、また、設置する工

場等で統一することによって、工場間の比較が出来るためである。また、付加価値の高い製

品比率を増やすという経営方針と合致しているとの意見もあった。

④しかし、金額では、顧客との関係で製品単価がエネルギー消費量とは無関係に変動する場合

があるとの意見もあった。

この対策としては、生産量等の他の値への変更もあるが、金額の設定方法として取引先との

価格設定に左右される売上額ではなく、社内で設定した固定価格による生産評価額を用いる

等の工夫も見られた。

⑤「原料・中間製品量」を分母としているのは、廃棄物等の処理工場の他、原料の性状により

歩留まりが大きく変化する工場や、生産品目の種類や比率の変化が大きい工場等である。

⑥「床面積」を採用しているのは、クリーンルームがある場合等である。

⑦また、「稼働時間」や「人数」等を用いている工場もあったが、その理由は、労働人数や労

働時間が会社方針により切り替わることがあるためとのことであった。

⑧事業場と同様に原単位の算定方法についての関心は高く、後述のように、見直しを実施済み

又は検討中である工場もあった。

図 2.2.17 原単位の算定に使用している分母の種類(工場)

1.生産量

(単純合

計)60.2%

2.金額17.4%

3.生産量

(重み付

け合計) 12.8%

4.原料・

中間製品

量 6.0%

5.稼働時

間 1.4%

6.床面積0.8%

7.利用人

数 0.3%

8.人数×

床面積0.3%

9.その他0.8%

工場数:367

Page 42: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

38

2.5.2 原単位の分母別の改善状況

(1)事業場

原単位の分母別に、5 年度間平均で 1%改善した事業場の割合を図 2.2.18 に示す。

①改善した事業場の割合は、原単位の分母として使用が最も多い床面積を用いている場合を除

くと、床面積×稼働時間を使用している場合は 50.0%と、事業場全体を大きく上回り、次い

で利用人数を用いている場合が 33.3%と多かった。

②利用人数や稼働時間はエネルギー使用量と比較的密接に関連していると考えられるので、省

エネの成果が原単位に反映されて原単位が改善されたものと考えられる。

図 2.2.18 原単位の分母別の改善状況(事業場)

(2)工場

原単位の分母別に、5 年度間平均で 1%改善した工場の割合を図 2.2.19 に示す。

①改善した工場の割合は、利用人数及び人数×床面積を用いている場合は 100%と高く、また、

金額、生産量(重み付け合計)も工場全体より高かった。これらの項目は、エネルギー使用

量と比較的密接に関連していると考えられるので、省エネの成果が原単位に反映されて原単

位が改善されたものと考えられる。

②生産量に関する二つの項目を比較すると、生産量(重み付け合計)が生産量(単純合計)よ

りも 11.9 ポイント高かった。これらの工場では、製品構成が多様であるため、重み付け合計

とすることによって、適切に原単位管理が出来るとの意見が多く聞かれた。

図 2.2.19 原単位の分母別の改善状況(工場)

25.1%34.4%37.0%

28.6%20.0%

0.0%100.0%100.0%

66.7%29.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1.生産量(単純合計)

2.金額

3.生産量(重み付け合計)4.原料・中間製品量

5.稼働時間

6.床面積

7.利用人数

8.人数×床面積

9.その他

工場全体

割合1%以上改善 1%改善未達成

22.6%33.3%

50.0%0.0%0.0%

23.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1.床面積

2.利用人数

3.床面積×稼働時間

4.金額

5.その他

事業場全体

割合1%以上改善 1%改善未達成

事業場数:39

工場数:352

Page 43: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

39

2.5.3 原単位の算定方法の見直し

(1)見直しの状況

調査対象がBクラスの事業者が設置する工場等であったことから、原単位に関する意識は高く、

算定方法についても、エネルギーの使用量と密接な関係を持つ値として原単位の分母に用いる項

目の選定について見直しを実施または検討中の工場等があった。その状況を図 2.2.20 に示す。

①事業場では見直しを実施したのは 2.3%(1件)と少なかったが、検討中は 23.3%あった。

②工場では見直しを実施したのは 18.3%あり、これに検討中のものを加えると 46.4%が見直し

を実施または検討中である。

③見直しの理由は、分母が不適切である場合、エネルギーを適切に管理していても、管理状況

とは関係の薄い要素の影響を大きく受けて原単位が変動する場合があるので、これらの変動

分を極力除いて、省エネ努力の成果を原単位で適切に評価したいとの考えによるものである。

④更に、見直しは考えていないと当初回答した工場等であっても、調査時の意見交換において

今後検討するとの考えを示した場合もあるので、今後更に見直しが増加すると考えられる。

図 2.2.20 原単位の分母の見直しについて

(2)見直しの内容

(2-1)事業場

事業場で見直した事例は 1件のみであり、従来は延床面積に換算係数を掛けて分母を算出して

いたが、この換算係数の計算方法が不適切であることが判明しために、見直したものである。

(2-2)工場

原単位の分母の見直し実績がある工場について、見直し前後での分母を図 2.2.21 に示す。見直

しの内容及びその理由は以下の通りである。

①見直し前は生産量(単純合計)が 50.7%と多かったが、見直し後は生産量(重み付け合計)

と金額がそれぞれ 31.3%、34.3%と大きく増加した。この理由は、生産量の単純合計では、

製品の種類や工程等の多様化に対応出来なくなっているためである。

②生産量(重み付け合計)に見直した理由は、より高品質を求める市場ニーズの変化への対応

や経営方針による高付加価値製品へのシフト等により、エネルギー多消費型の製品の生産割

合が増えてきていることへの対応である。

③また、「金額」への見直し理由についても、②の理由と同様であった。更に金額を用いるメリ

ットは、多種多様な製品を製造している場合にも数値の把握が確実に出来ることや、複数の

工場の比較が出来ることがある。ただし、金額が売上額である場合は、取引先との価格設定

2.3

18.3

23.3

28.1

74.4

53.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事業場

工場

割合

見直し実績あり 見直しを検討中 見直しは考えていない

Page 44: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

40

の変化に左右されるとの欠点がある。この対策として、社内で設定した生産評価額を用いて

いる事例もあった。

図 2.2.21 原単位の分母の見直し前後での比較(工場)

(3)原単位の算定方法を見直した工場等の原単位の改善割合

工場等の原単位の改善状況を、分母の見直しを実施した工場等と実施していない工場等とで比

較して表 2.2.12 及び図 2.2.22 に示す。

分母を見直した実績のある工場等の方が、原単位を改善した割合が以下のようにかなり多かっ

た。

①原単位を 5 年度間平均で 1%以上改善した割合は、「見直し有」が 45.5%と「見直し無」を

20.6 ポイント上回る結果であった。

②調査時のヒアリングでも、データを検証し、原単位の分母を見直した結果、省エネの成果に

よって原単位が削減出来たことが分かるようになったとの意見が聞かれた。

表 2.2.12 原単位の分母の見直し実績の有無による原単位の改善割合の比較

5 年度間

平均原単位変化

見直し有 見直し無

件数 割合 件数 割合

1%以上改善 30 45.5% 81 24.9%

1%改善未達成 36 54.5% 244 75.1%

合計 66 100.0% 325 100.0%

図 2.2.22 原単位の分母の見直し実績の有無による原単位の改善割合の比較

50.7

22.4

29.9

34.3

9.0

6.0

6.0

31.3

4.5

6.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

見直し前

見直し後

割合

生産量(単純合計) 金額

原料・中間製品量 生産量(重み付け合計)床面積・利用人数・稼働時間・その他

45.5%

24.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

見直し有

見直し無

割合1%以上改善 1%改善未達成

Page 45: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

41

2.6 省エネルギー活動状況

2.6.1 省エネルギー活動の状況

(1)省エネルギー組織、体制及び活動

省エネルギー活動を担う組織、体制及び活動状況の調査結果を表2.2.13及び図2.2.23に示す。

結果は以下のとおりである。

①「a」項の省エネ推進体制については、整備している工場等の割合は 93.7%と、概ね実施さ

れている。

②しかし、活動の実態をみると、「b」項のエネルギー使用状況等の検討会を実施しているのは

80.0%、「c」項の目標を設定して工場全体の改善活動を実施しているのは 84.6%といずれ

も「a」項より低く、体制は整備していても、活動の実態が伴っていない場合がある。

③その背景として、調査においても人手不足(募集しても応募がない)、業務多忙及び上司の理

解不足等の理由で活動が停滞しているとの意見や、エネルギー管理者又はエネルギー管理員

が孤軍奮闘しているとの実態を調査先から伺った。

④事業場と工場を比較すると、事業場の方が各項目とも低かった。

⑤特に「d」項の現場の小集団活動や、「e」項の評価・表彰制度及び「g」項の教育は、事業

場では半数以下であった。

表 2.2.13 省エネルギー組織、体制及び活動状況(単位:割合%)

(事業場又は工場の件数)

項 目

事業場 工場 全体

(43) (367) (410)

a.省エネルギー推進体制を整備している 74.4 95.9 93.7

b.エネルギー使用状況及び原単位推移等の検討会を実施している 69.8 81.2 80.0

c.省エネ目標を設定し、工場等全体で改善活動を実施している 55.8 88.0 84.6

d.現場の小集団活動等の改善活動を実施している 41.9 64.3 62.0

e.改善提案制度等の従業者に対する評価・表彰制度がある 16.3 60.2 55.6

f.トップの省エネルギー推進に関する強い意識、指導がある 62.8 85.3 82.9

g.研修会等への参加やOJT等の教育を実施している 32.6 62.1 59.0

図 2.2.23 省エネルギー組織、体制及び活動状況

0

20

40

60

80

100割合%

事業場

工場

Page 46: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

42

(2)省エネ活動状況と原単位の改善状況

各活動の実施状況と原単位の改善状況の関連について調べた。前項で記述した各活動項目ごと

に、それを実施していない工場等についての原単位の改善状況(5年度間平均で 1%以上改善)を

図 2.2.24 及び図 2.2.25 に示す。

その結果は以下のとおりである。

①事業場では、各活動を実施していない場合は、原単位を改善した割合が事業場全体値の23.1%

をほとんどが下回った。特に、「d」項の現場の小集団活動等を実施していない事業場は、9.5

ポイント下回り、省エネ活動が現場にまで浸透していない場合等が該当すると考えられる。

②工場でも、各活動を実施していない場合は、原単位を改善した割合が工場全体値の 29.0%を

全ての項目で下回った。特に「a」項の推進体制の整備及び「c」項の工場全体の改善活動

を実施していない工場は、それぞれ 12.3 ポイント、13.6 ポイント下回り、これらの整備、

実行が省エネ改善に重要であることがわかる。

この結果から、省エネの各活動は原単位の改善に効果を上げていると考えられる。

図 2.2.24 省エネ活動の各項目を実施していない場合の原単位の改善状況(事業場)

図 2.2.25 省エネ活動の各項目を実施していない場合の原単位の改善状況(工場)

18.2%

18.2%

17.6%

13.6%

25.0%

15.4%

18.5%

23.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

a.推進体制の整備無し

b.検討会の実施無し

c.工場等全体の改善活動無し

d.現場の小集団活動等無し

e.評価・表彰制度無し

f.トップの意識・指導無し

g.研修・OJT等の教育無し

事業場全体

割合1%以上改善 1%改善未達成

16.7%

23.4%

15.4%

27.2%

24.5%

21.2%

26.7%

29.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

a.推進体制の整備無し

b.検討会の実施無し

c.工場等全体の改善活動無し

d.現場の小集団活動等無し

e.評価・表彰制度無し

f.トップの意識・指導無し

g.研修・OJT等の教育無し

工場全体

割合1%以上改善 1%改善未達成

Page 47: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

43

2.6.2 その他のエネルギー管理の状況

(1)エネルギー使用実態の把握の頻度及び最小範囲

エネルギー使用実態の把握の状況について、図 2.2.26~図 2.2.28 に示す。結果は以下のとお

りである。

①把握の頻度

・月ごとに把握している場合が事業場、工場ともに7割近くあり、最も多かった。季節ごと

のエネルギー使用状況が把握出来るので、詳細に分析すれば省エネに役立つデータとなる。

・時間ごとかそれ以上把握しているのは、制御システムを使用している場合等である。

図 2.2.26 エネルギー使用実態の把握の頻度

②把握の最小範囲

・工場等単位での把握が事業場、工場とも最も多かった。

・事業場では全体又は建屋ごとよりもさらに詳しく把握出来ているのは 23.3%と少なく、設

備ごと等の詳細な把握による分析は困難である場合が多い。

・工場では、ライン又は工程ごとや設備ごとに把握出来ているのは 46.8%あったので事業場

よりは詳細な分析が出来る場合が多い。

・一方、BEMS や FEMS 等を導入することによって、エネルギー使用状況を見える化して省エ

ネを推進している例も見られ、分析環境には個別の工場等により大きな差がある。

図 2.2.27 エネルギー使用実態の把握の最小範囲

③製品ごとの把握【工場の場合】

・製品ごとに把握しているのは 24.3%に留まった。

・原単位の悪化要因として製品構成の変化を挙げた工場は、製品ごとのエネルギー使用量が

把握出来ていない場合も多く、実態の把握が望まれる。

14.0

7.4

0.0

0.5

69.8

67.3

9.3

14.7

7.0

10.1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事業場

工場

割合a.年度ごと b.数か月ごと c.月ごと d.日ごと e.時間ごと以上

46.5

37.6

30.2

15.5

4.7

30.2

18.6

16.6

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事業場

工場

割合a.工場等全体 b.建屋ごと c.ライン又は工程ごと d.設備ごと

Page 48: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

44

図 2.2.28 エネルギー使用実態の製品ごとの把握

(2)管理標準における管理値設定の状況

省エネを図るためには、適切な管理値を定めて、無駄なエネルギーの使用を防止する必要があ

る。そこで、省エネにつながる管理値等を具体的に設定しているかどうかを調査し、その結果を

図 2.2.29 に示す。結果及び事例は以下のとおりである。

①十分設定していたのは事業場、工場ともに半数を下回った。

②不十分であった主な事例は以下のとおりである。

・管理標準が「効率を上げるよう管理する」といった記載であり、数値基準が無い。

・数値基準があっても、製品規格や品質基準等によるもので、省エネの観点が不足している。

・管理標準がほとんど見直されておらず、実質的に機能していない。

・管理標準には具体的な記述がなく、現場の作業手順等には数値基準があるが、管理標準と

作業手順が連携していない。

・判断基準の理解不足で、管理標準の設定が不十分である。

③一方、管理値を省エネに生かしている以下の事例があった。

・多くの管理項目について上限値と下限値を設定して、品質管理と省エネを両立させている。

・工業炉の生産性向上の改善を実施し、その結果を管理値に反映させた。

・照明の照度を JIS の基準に沿った設定により管理し、実際に省エネとなった。

・管理値を運転日誌に記載することによって、運転員が管理値を外れた場合にすぐ対応出来

るようにしている。

図 2.2.29 管理標準における管理値設定の状況

24.3 75.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

工場

割合a.主要製品等ごとに把握している b.製品ごとには把握していない

46.5

45.2

48.8

52.6

4.7

2.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事業場

工場

割合a.十分設定 b.不十分だが一応設定 d.ほとんど設定なし

Page 49: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

45

2.7 調査結果の推移

事業者クラス分け評価制度が開始され、昨年度(平成 28 年度)の調査から「Bクラス」に位置

付けられた事業者が設置する指定工場等が対象となったことから、この制度開始前の調査結果と

比較して、どのような傾向があるか考察した。なお、過去の調査データは、ホームページに公表

された報告書に記載された内容を用いた。

2.7.1 調査の対象

本年度を含め、過去 4 年度の調査対象を表 2.2.14 に示す。

平成 26 年度は無作為抽出主体であり、平成 27 年度は 5年度間平均原単位が 99%を超えている

もの、平成 28及び 29 年度はこの条件に過去 2年度の前年度比悪化の条件が加わっている。

表 2.2.14 工場等現地調査の対象

年度 対象となる主要条件 調査件数

事業場 工場 合計

平成26年度 無作為抽出の工場等主体 90 298 388

平成27年度 特定事業者及び設置する指定工場等の5年度間平均原

単位変化が両方とも99%を超えている指定工場等主体 88 402 490

平成28年度 Bクラスの事業者(注1)が設置する指定工場等で

指定第 8表の評価結果により選定された工場等 54 422 476

平成29年度 同上 43 367 410

注1)Bクラスの要件は、下記のいずれかの要件に合致する事業者

要件1:事業者全体のエネルギー消費原単位の 5年度間平均原単位が 99%を超えており、か

つ、平成 25 年度及び 26年度の原単位が対前年度比で増加しているもの

要件2:事業者全体のエネルギー消費原単位の 5年度間平均原単位が 105%を超えているもの

2.7.2 判断基準遵守状況の総合評価点の推移

過去 4年度間の総合評価点の推移を図 2.2.30 に、また、総合評価点の分布状況について、事業

場を図 2.2.31 に、工場を図 2.2.32 に示す。

今年度(平成 29 年度)の結果を過去の結果と比較して整理する以下のとおりである。

①総合評価点の平均値は、年度ごとに下がっている。特に今年度と無作為抽出が主体の平成 26

年度を比較すると、事業場で 4.4 点、工場で 1.2 点下がっている。

②総合評価点の分布は、事業場では平成 26年度は 95点~100 点の高い点数範囲の件数が他の

範囲の 3倍以上あったが、年々低い範囲に移行している。

③工場の分布でも点数の低い範囲への移行傾向が同様に見られ、80点未満の件数も増加してい

る。

④以上のように、総合評価点は無作為主体の平成 26 年度から平成 29年度にかけて、対象選定

の原単位の条件が厳しくなるほど低下し、Bクラスが対象となって 2年目の今年度が最も低

い結果となった。

Page 50: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

46

図 2.2.30 総合評価点平均値の推移

図 2.2.31 総合評価点の分布の推移(事業場)

図 2.2.32 総合評価点の分布の推移(工場)

94.8 93.0 93.6 94.2

92.0 92.6 90.4

91.8

88

90

92

94

96

98

100

事業場 工場 事業場 工場 事業場 工場 事業場 工場

H26 H27 H28 H29

7

52

16

95

1

6

39

26

11

41 12

1821

8

3 22

17

118

2 1 1 1

0

10

20

30

40

50

60件数

H26

H27

H28

H29

数値は件数

6

138

78

52

19

1 1 1 1 1

31

193

101

46

22

1 6 2

15

193

101

63

39

2 2 1 5 111

138

99

64

44

3 2 3 1 1 10

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200件数

H26

H27

H28

H29

数値は件数

Page 51: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

47

2.7.3 原単位の改善状況の推移

原単位を 5年度間平均で 1%以上改善した工場等の割合の推移を図 2.2.33 に示す。推移の状況

は以下のとおりである。

①総合評価点の推移と同様、対象を選定する原単位の条件が厳しくなるほど、改善した割合は

概ね低下している。

②事業場の推移を見ると、平成 26年度の無作為抽出を基準として、平成 27年度から主要な選

定条件が原単位となったので、改善した割合は低下しており、平成 28年度以降は更に原単位

条件が厳しいBクラスとなったので、改善割合は更に低下している。

③工場の推移を見ると、事業場と同様、平成 27年度から主要な選定条件が原単位となったので、

改善した割合は低下した。

④なお、平成 27年度に事業場の方が工場に比べて改善した割合が多い理由は、このときの原単

位推移の対象期間が平成 22 年度から平成 26年度であるため、平成 26年度が冷夏・暖冬であ

った影響が空調等の使用比率が大きい事業場で顕著に表れたためと、平成 23 年度以降の東日

本大震災後の事業場を中心とした大規模な節電対策の成果によると考えられる。

図 2.2.33 原単位を 5年度間平均で 1%以上改善した工場等の割合の推移

71.6%

48.7%

64.8%

20.6%

41.2%

23.1% 23.1%29.0%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

事業場 工場 事業場 工場 事業場 工場 事業場 工場

H26 H27 H28 H29

割合%

Page 52: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

48

第3章 調査結果の考察

3.1 考察の目的及び内容

省エネ法では事業者に対し、判断基準を遵守すること、また、原単位を中長期的に見て年平均

1%以上低減することを目標とすることを求めている。

また、平成 28 年度から事業者クラス分け評価制度が開始されたことから、各クラスの事業者に

おける原単位の改善状況と判断基準の遵守状況との相関について整理すると、図 2.3.1 のイメー

ジ図のように示すことが出来る。

判断基準の遵守状況が良好であれば原単位は改善され、両者には一般的には相関があると考え

られるが、相関していない場合には表 2.3.1 に示す理由があると推測出来る。

そこで、判断基準の遵守状況と事業者の原単位の改善状況の相関に着目して調査結果を分析し、

相関の有無を確認するとともに、相関していない場合の理由及び対策について考察した。

図 2.3.1 「原単位の改善状況」と「判断基準の遵守状況」の相関イメージ

表 2.3.1 判断基準の遵守状況と原単位の改善状況が相関していない場合に考えられる理由

イメージ図の

該当箇所

判断基準の

遵守状況

原単位の

改善状況 考えられる理由

左上 × ○ ・判断基準に沿わない形で省エネに取り組んでいる。

・原単位の活動量(分母)が適切に設定されていない。等

右下 ○ ×

・改善余地がないレベルまで省エネに取り組んでいる。

・管理標準が適切でなく改善が必要。

・原単位の活動量(分母)が適切に設定されていない。等

Page 53: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

49

3.2 分析結果

(1) 判断基準の遵守状況と原単位の改善状況の相関分析

工場等の判断基準の遵守状況を評価した「総合評価点」と事業者の原単位の改善状況を表す 5

年度間の「平均原単位変化率」の相関について、表 2.3.2 の観点で相関分析を行った。

表 2.3.2 判断基準の遵守状況と原単位の改善状況の相関分析の観点

相関分析の観点 対象データ

①原単位分母の種類別

②工場、事業場別

③業種別

④工場・事業場の規模別(第一種、第二種)

工場等現地調査のデータ 410 件

(ただし分析の内容により、データが

ある件数)

①原単位の分母の種類別

原単位の分母の種類に着目した結果(件数が少ない分母は除く)を図 2.3.2 に示す。

生産量(重み付け合計)の場合に総合評価点と平均原単位変化率の間に弱い相関が見られ、こ

の原単位が比較的省エネ改善の状況がわかる指標となっていることがわかった。

図 2.3.2 原単位の分母の種類別の総合評価点と平均原単位変化率の相関

R² = 0.0444

60%

70%

80%

90%

100%

110%

120%

40 60 80 100 120

平均

原単

位変

化率

総合評価点

生産量(重み付け合計)(n=47)

R² = 3E-05

60%

70%

80%

90%

100%

110%

120%

40 60 80 100 120

平均

原単

位変

化率

総合評価点

金額( n=65)

R² = 0.0067

60%

70%

80%

90%

100%

110%

120%

40 60 80 100 120

平均

原単

位変

化率

総合評価点

床面積( n=36)

R² = 0.0069

60%

70%

80%

90%

100%

110%

120%

40 60 80 100 120

平均

原単

位変

化率

総合評価点

生産量(単純合計) (n=218)

92.0

Page 54: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

50

金額は、付加価値の高い(したがってエネルギー使用量が多い)製品の増減を反映するので、

生産量(重み付け合計)と同様に相関があると思われるが、エネルギー使用と無関係な単価の増

減の影響を受けることも多いので、相関が認められないものと思われる。

また、利用人数も外的要因の影響を反映するものと考えられるが、件数が少なかった。

②工場、事業場別

図 2.3.3 に示すとおり、ほとんど相関は見られなかった。また、総合評価点の平均点である 91.6

点以上を高得点とした場合、工場、事業場とも、総合評価点は高いが原単位目標未達成の事業所

が多く存在することが分かった。

図 2.3.3 工場、事業場別の総合評価点と平均原単位変化率の相関

③業種別

製造業が 330 件を占めており、他業種の件数が少なかったことから製造業のみを対象に相関分

析を行った結果、図 2.3.4 に示すとおり、変化率の間に相関はほとんど見られなかった。また、

総合評価点は高いが原単位目標が未達成の事業所が一定数存在することが分かった。

図 2.3.4 業種別の総合評価点と平均原単位変化率の相関

R² = 0.0007

60%

70%

80%

90%

100%

110%

120%

40 60 80 100 120

平均

原単

位変

化率

総合評価点

製造業(n=330)

R² = 0.0008

60%

70%

80%

90%

100%

110%

120%

40 60 80 100 120

平均

原単

位変

化率

総合評価点

工場(n=364)

R² = 0.0057

60%

70%

80%

90%

100%

110%

120%

40 60 80 100 120

平均

原単

位変

化率

総合評価点

事業場(n=43)

Page 55: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

51

④工場・事業場の規模別(第一種、第二種)

図 2.3.5 に示すとおり、相関はほとんど見られなかった。

図 2.3.5 規模別の総合評価点と平均原単位変化率の相関

(2)判断基準の遵守状況は高得点だが、原単位改善が未達成となっている理由の分析

(1)の分析の結果、総合評価点と平均原単位変化率の間には、生産量(重み付け合計)を用

いた場合は一定の相関が見られ、それ以外の場合は相関は見られなかった。

そこで、相関が見られない理由を検討するため、判断基準の遵守状況が高得点だが、原単位改

善が未達成となっている事業者の理由を分析した。

分析のため、総合評価点が平均点の 91.6 点以上の工場等(工場及び事業場)で、原単位改善が

未達成となっているものを対象にその要因を集計した結果を図 2.3.6 に示す。

図 2.3.6 判断基準の遵守状況が高得点だが原単位目標は未達成の理由

(割合の数値は、対象となる工場等 163 件のうち、その要因が該当する工場等の割合を示す)

45%

31%

26%25%

18%

12%11%8% 8% 8% 6% 6% 6% 6% 4% 3% 1% 1% 1% 2%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

生産構成の変化

生産の減少

設備の増強

小ロット多品種化

作業等の環境対策

業務規模の拡大

設備の劣化

利用者数の増加

設備の故障

試運転、試作品等

製品価格の減少

原単位設定の不備

原材料等の変化

燃料構成の変化

生産性・安全性向上

利用時間の変更

資源保護対策

気候の変動

管理標準等の不備

その他

割合 %

R² = 0.0007

60%

70%

80%

90%

100%

110%

120%

40 60 80 100 120

平均

原単

位変

化率

総合評価点

第二種(n=267)

R² = 5E-06

60%

70%

80%

90%

100%

110%

120%

40 60 80 100 120

平均

原単

位変

化率

総合評価点

第一種(n=140)

Page 56: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

52

この結果から、原単位改善が未達成である要因として、生産構成の変化(エネルギー多消費製

品比率の増加等)、生産の減少又は小ロット多品種化等の外的要因(景気や市場ニーズ等)等の外

的要因によるものが多いことが分かった。

したがって、判断基準が遵守されていても原単位が改善されていない場合には、外的要因の影

響を受けていることが要因である場合が多く、その影響が原単位に十分反映されていないと考え

られる。

3.3 分析結果の考察

分析結果から、以下のことがわかった。

①判断基準を遵守していても原単位が改善されていない工場等が一定数存在し、その理由のひ

とつは、外的要因の影響が十分に原単位に反映されていないためである。

②原単位の分母を重み付け生産量としている場合には、判断基準の遵守状況と原単位の改善状

況には相関があったことから、分母を適切に選定すれば、省エネの取組状況をより適切に評

価出来る可能性がある。

そこで、省エネの取組状況をより適切に評価するための分母の選定方法について検討し、以下

に記載する。

(1)事業者による原単位の分母の基本的な選定方法

基本的な選定方法を以下に示す。データを適切に分析し、原単位に影響を与える要素を絞り込

み、その結果によって原単位を選定する方法である。

①現状のエネルギー使用量データの整理

・エネルギーの使用量を把握する。このとき、主要設備別又は主要製品別等の原単位に影響を

与えうる単位で把握することが望ましい。また、年度合計ではなく月別等が望ましい。

・常設の計測機がなくても、定格容量、稼働時間等から推定する方法や、臨時の計測機を使用

する方法もある。

②現状のエネルギー使用量データの分析

・使用量と関連データを整理し、推移グラフや相関図等を用いて分析する。

・推移と変化の要因について、特に外的要因に注意して考察する。

・工場の場合:製品構成の変化、製造方法等などの変化、生産量の変化、設備の老朽化・不

調、設備の増設、等

・事業場の場合:利用者数の増加、事業規模の拡大、設備の増強、等

③エネルギー使用量に関連する可能性のある要素の絞り込み

・散布図等を利用して要素を絞り込む

・工場の例:生産量、製品構成比率、原料使用量、金額、操業時間、工数、クリーンルーム

稼働率、等

・事業場の例:延床面積、稼働面積、利用者数、利用時間、等

④原単位の分母の選定

・単一の要素が見つかれば、それを原単位の分母に選定する。

⑤原単位の分母の選定(単一の要素では困難な場合)

・選定の例を以下に示す。

Page 57: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

53

【例1】重み付け生産量

・生産量と生産構成の変化が要素である場合等が該当する。基準年度を決めて、製品群ごと

の単位生産量当たりのエネルギー使用率から係数を決めて換算生産量を算出する。

【例2】床面積×利用者数(二つの要素の積)

・増築等の床面積の変化と利用者数の変化の両方がある場合等が該当する。他の要素の組み

合わせでもよい。

【例3】生産評価金額

・売上額が単価の変動影響を受ける場合等に、単価を販売価格ではなく生産評価額として固

定する方法である。

・単価は製品(群)ごとに設定してもよい。この場合は製品(群)ごとの係数を設定するこ

とと同じことになり、例 1の重み付け生産量と考え方は同じである。

【例4】生産量換算合計額

・主要製品と異なる単位の生産がある場合に、同一エネルギーを使用するときの両者の生産

量の比を係数として主要製品の単位に換算して合計する方法である。考え方は例 1 と同じ

である。

(2)選定の実例

外的要因等の影響が原単位に十分に反映されていない例と、その場合の考えられる対策(適切

な分母の選定)を現地調査の結果等から考察し、表 2.3.3 に示す。

表 2.3.3 外的要因等の影響が原単位に影響を及ぼす事例と十分に反映されていないケース

業種 外的要因等 現在の原単

位の分母

外的要因等の影響

を反映出来る原単

位の分母の例

工場 景気が良くなり、工場の稼働率が向上 床面積 生産量

工場 生産量当たりのエネルギー使用量が大きい高

付加価値製品の生産が増加 単純生産量 重み付け生産量

工場 市場ニーズに合わせて小ロット品が増加し、

切り替え時のエネルギー消費が増加 単純生産量

小ロットに対応し

た重み付け生産量

工場 製品の単価の変更により、エネルギー使用量

と関係なく原単位が悪化 売上額 生産評価額

工場

重量単位と個数単位の 2種類の製品があるた

め、共通評価が出来る売上額を分母としたが、

単価の下落で原単位が悪化

売上額 生産量換算合計額

事務所 利用人数の拡大 床面積 利用人数

商業ビル 増築による床面積拡大及びビル内施設の変更

による利用人数の変化 床面積 床面積×利用人数

病院 エネルギー消費が多い高度医療機器が増加 病床数 売上高

ホテル 宿泊者の増加や宴会などが増加 部屋数 利用人数、売上高

データセ

ンター

サーバーの設置数や稼働率が増加し、エネル

ギー使用量が増加 床面積

売上高、サーバー設

置数

店舗 提供サービスが多様化し、設備が増加 床面積 売上高、利用人数

ただし、原単位管理の本来の目的は、今後も省エネ改善を継続的に図っていく上での指標とす

ることであり、分母の選定は原単位管理のスタートラインに立つことである。

Page 58: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

54

したがって、分母を頻繁に変更したり、単に原単位の計算結果を小さくするためだけに安易に

変更することがないように留意する必要がある。

(3)更なる方策

以下のような検討を行い、その結果を公表すると、適切な原単位管理に資すると考えられる。

①原単位の分母設定の基本的な考え方の整理

⇒原単位の分母として本来満たすべき要件を整理し、適切な原単位の分母の設定の基本的な

考え方を取りまとめる。

・外的要因の影響を適切に反映出来るものであること

・エネルギー使用量との相関が最も高い原単位の分母を設定すること、また必要に応じて

複数の指標を組み合わせた原単位の分母についても検討すること 他

②代表的なセクターの原単位の分母の設定方法の整理

⇒「①原単位の分母設定の基本的な考え方」を踏まえ、代表的なセクターの原単位の分母の

設定方法や他業種への展開方法等をまとめる。

③原単位の分母の見直しの考え方の整理

⇒社会情勢等の変化等、当初想定していなかった外的要因の影響が大きくなった場合に原単

位の分母の見直しの考え方について整理する。ただし、単に原単位の計算結果を小さくする

ためだけに、分母を安易に変更することがないよう留意する。

Page 59: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

55

第3部 パイロット調査の結果

第1章 調査の方法

1.1 事前準備

1.1.1 調査の協力依頼、日程調整及び事前調査書の作成依頼

(1)事業者への協力依頼

調査対象の事業者に対し、センターから以下の書類を送付して調査への協力を依頼し、調査の

了解を得た。

①センターからの協力依頼

②資源エネルギー庁からの協力依頼

③パイロット調査日程調査書(様式)

④パイロット調査事前調査書(後日、Excel 版をメールで送付)

⑤パイロット調査事前調査書記入方法

⑥パイロット調査にあたってのお願い事項・進行予定表

⑦工場等判断基準の遵守事例集

⑧工場等判断基準についてよくあるご質問

(2)現地調査を実施する事業所及び日程の調整及び決定

現地調査を実施する主力工場等を、主力事業のうちでエネルギー使用量が最も多い事業所等か

ら事業者に選定してもらい、訪問日程も含めて調整の上、決定した。

1.1.2 事前調査書等の確認修正

事業者から提出された事前調査書については、センターの職員が記載内容を確認し、必要に応

じて修正し、現地調査用の資料とした。なお、記入方法等についての調査先からの問合せには、

考え方や具体的な計算方法等、詳細に対応することによって、相互理解を図った。

1.1.3 現地調査の対象事業所の個票の作成

事前調査書に記載された現地調査対象事業所の設備情報により、設備ごとの個票案をセンター

で作成(工場等現地調査の個票記載例を利用)し、以下の書類とともに事業者に送付及びメール

送信して、事業者による作成(個票案の内容確認と自己評価の記入)を依頼した。

①パイロット調査のご連絡及び個票の作成依頼

②個票

③個票の目的及び自己評価方法

④パイロット調査にあたってのお願い事項・進行予定表(再送)

⑤工場等判断基準に関する資料(判断基準の概要、項目番号記載例)

1.1.4 現地調査日程年間スケジュールの作成及び調査員の選定

現地調査日程の年間スケジュールを作成の上、変更の都度、省エネルギー課へ送付し、関係官

庁の同行者を確認した。

調査員については、センター職員 7 名の中から調査先ごとに 1 名を選定し、現地調査を実施し

た。

Page 60: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

56

1.2 現地調査

現地調査は、調査員が調査対象の主力工場等を訪問し、エネルギー管理企画推進者及び実務担

当者を主体に、都合がつけばエネルギー管理統括者等の応対により、原則として 10 時から 17 時

までの間で実施した。

現地では、あらかじめ提出を受けた事前調査書等に基づき、必要に応じて調査先の書面や記録

紙等を閲覧の上、以下の内容についてヒアリングにより調査を実施した。

①全般(事業者の概要、現地調査対象事業所の概要等)

②事業者全体の判断基準遵守状況

③現地調査対象の事業所の判断基準遵守状況

④原単位の変化状況、悪化又は良化の理由、改善策及び取組状況

⑤エネルギー活動の状況

⑥意見交換

なお、③の現地調査対象の事業所の判断基準の遵守状況については、主要設備の個票に基づい

て確認し、総合評価点算出表によって評点化した。

1.3 判断基準の遵守状況の評価

現地調査の結果から、対象事業所の遵守状況について評点化した。評点化の方法は、工場等現

地調査の方法(第2部第1章1.3項)と同様である。

1.4 現地調査のまとめ

1.4.1 現地調査報告書の作成

現地調査を実施した調査員が所定の様式及び評価欄に記入した個票等にて報告書案を作成し、

精査の上、現地調査報告書を作成した。

作成した報告書は、月毎にまとめて省エネルギー課へ提出した。

1.4.2 調査先への通知

調査結果については、「総合評価点」、「判断基準遵守状況の評価コメント(優れていると考えら

れる点、改善が望ましい点等)」及び「原単位に関するコメント」を記入した通知書を作成し、調

査先に送付した。その後、調査先から通知書について問い合わせがあった場合は、対応した。

また、全ての現地調査が終了後、調査結果の概要をまとめ、調査先に送付した。

1.4.3 アンケート調査

(1)調査後のアンケート

調査後、アンケートを実施し、今回の調査による調査先の省エネルギー取り組みへの効果(影

響)及び調査の今後の実施方法に役立つ意見等を確認した。

また、併せて、登録調査機関の活用状況についても調査した。

(2)エネルギー管理士の教育ニーズ調査

エネルギー管理士の資格でエネルギー企画推進者に選任された者は資質向上講習を受けないの

で、彼らの教育の機会やニーズを把握し、今後の省エネルギー施策の基礎資料とするためのアン

ケートを行うことにより調査した。

Page 61: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

57

第2章 調査の結果

2.1 主力工場等の判断基準の遵守状況(総合評価点)

2.1.1 総合評価点の概要

主力工場等の判断基準の遵守状況を現地調査により評点化して、主力工場等ごとの総合評価点

を算出した。総合評価点の区分ごとの平均点を表 3.2.1 及び図 3.2.1 に示す。

結果は以下のとおりである。尚、調査した1件は一部調査対象設備等の開示がされず、総合評

価点を算出出来なかったため、除外している。

①全体の平均点は 86.4 点であり、判断基準は概ね遵守されているが、不十分な事業者も見受け

られた。

②事業場と工場の区分では、事業場が 84.7 点、工場が 88.3 点と工場の方が高かった。

表 3.2.1 主力工場等の総合評価点

調査区分 事業場 工場 全体

総合評価点平均 84.7 88.3 86.4

調査件数 26 24 50

図 3.2.1 主力工場等の総合評価点

図 3.2.1 主力工場等の総合評価点

2.1.2 エネルギー使用量と総合評価点

調査した主力工場等51件の中で、調査先からエネルギー使用量の提示があった39件について、

総合評価点のエネルギー使用量に対する分布を図 3.2.2 に示す。また、エネルギー使用量と総合

評価点の範囲ごとの件数を表 3.2.2 に示す。

エネルギー使用状況量にかかわらず、総合評価点が高いものと低いものがあり、工場等によっ

て判断基準の遵守状況が大きく差がある。

80

85

90

95

100

事業場 工場 全体

総合評

価点

Page 62: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

58

図 3.2.2 主力工場等のエネルギー使用量と総合評価点の分布

表 3.2.2 主力工場等のエネルギー使用量と総合評価点の分布

年間エネルギー 使用量

点数範囲 100kL未満

100kL以上 500kL未満

500kL以上 1000kL未満

1000kL以上 1500kL未満

合計

90点以上100点未満 1 5 9 4 19

80点以上90点未満 3 2 3 4 12

70点以上80点未満 0 1 2 1 4

60点以上70点未満 1 1 1 1 4

合計 5 9 15 10 39

2.1.3 総合評価点の分布

総合評価点の分布状況を、5点ごとに区分した範囲の件数により、事業場と工場の分布を図

3.2.3 に示す。前項に記載した通り、各範囲に分散しており、95 点~100 点に集中してい指定工

場との場合と大きく異なっている。

図 3.2.3 総合評価点の分布

1

8

3

1

6

12

1

33

6

3 3

6

0

2

01

0

2

4

6

8

10

件数

事業場

工場

40

50

60

70

80

90

100

110

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600

総合評価点

エネルギー使用量(kL/年)

Page 63: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

59

2.1.4 業種別の総合評価点

工場等現地調査及びパイロット調査の総合評価点を合わせた形で、業種別の平均点を表 2.2.3

に示す。

パイロット調査において、工場等調査で業種別総合評価点範囲の最低点より下回った業種とし

ては、機械器具・その他の製造業、輸送用機械器具製造業、情報通信・運輸業、卸売業・小売業、

金融業・不動産業、研究機関・教育・地方公務がある。

表 3.2.3 業種別の総合評価点(工場等現地調査及びパイロット調査合計)

業種 業種中分類番号 件数※ 総合評価点

平均

ア.食料品製造業・農業 01,09 69(3) 90.1

イ.飲料・たばこ・飼料製造業 10 11(0) 88.7

ウ.繊維工業 11 8(0) 86.5

エ.木材・木製品製造業 12 8(0) 95.3

オ.パルプ・紙等製造業 14 9(1) 93.3

カ.印刷・同関連業 15 10(0) 85.4

キ.化学工業・石油製品・石炭製品製造業 16,17 34(0) 93.0

ク.プラスチック製品・ゴム製品製造業 18,19 23(2) 91.7

ケ.窯業・土石製品製造業・鉱業・採石業・設備工事業 05,08,21 29(2) 93.2

コ.鉄鋼業 22 35(2) 91.8

サ.非鉄金属製造業 23 20(2) 88.4

シ.金属製品製造業 24 18(0) 89.6

ス.機械器具・その他の製造業 25,26,27,32 23(5) 91.5

セ.電子部品・電気機械器具等製造業 28,29,30 21(0) 91.2

ソ.輸送用機械器具製造業 31 37(1) 93.7

タ.電気・ガス・熱供給・水道業 33,34,35,36 13(3) 96.3

チ.情報通信業、運輸業 37,41,47,48 6(2) 90.8

ツ.卸売業・小売業 54,56,57,58,59,60 15(9) 85.4

テ.金融業・不動産業 62,69 10(4) 92.7

ト.研究機関・教育・地方公務 71,81,98 14(5) 93.2

ナ.宿泊業・飲食サービス業 75,76 13(5) 83.1

ニ.生活関連・複合サービス業・娯楽業 78,79,80,87 10(4) 89.0

ヌ.医療業 83 10(0) 87.1

ネ.サービス業(他に分類されないもの) 88,90,93 14(0) 96.0

合 計 460(50) 91.1

※:( )内の数字は、パイロット調査の件数。

Page 64: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

60

2.2 主力工場等の判断基準の遵守状況(項目別)

2.2.1 事業場の判断基準の項目別の遵守状況

事業場の項目別の評価点の平均点を表 3.2.4 及び図 3.2.4 に示す。

結果は以下のとおりである。

(1)全般的な傾向

①「(4)受変電設備、BEMS」を評価したのは 1事業所で 100 点であった。その他は 80点から 90

点の間にあり、平均点の高い順番に「(7)業務用機器」「(2)ボイラー設備、給湯設備」「(1)

空気調和設備、換気設備」「(3) 照明設備、昇降機、動力設備」となった。

②「(5)発電専用設備、コージェネ設備」「(6)事務用機器、民生用機器」は今回の調査では評価

対象とならなかった。

③管理を協力会社へ委託している場合、協力会社が設備の管理、計測記録、保守点検などを実

施することにより評価は高くなった。

④計測・記録が出来ていない事業所が多く、評価を下げる要因となった。

(2)項目別の状況

① (4)受変電設備

・調査対象とされたのは 1事業所であった。年 1回の点検が実施されており、遵守状況は良

好であった。

② (6)業務用機器

・業務用機器は、冷凍・冷蔵設備、厨房設備、試験設備など、多種多様な設備が含まれてい

る。これらの設備は顧客向けサービスの一環で使用されていることが多く、その場合に温

度の設定やその記録などがしっかりと行われている場合があった。

・一方で設備が必要なだけ稼動していれば良いとして、管理が十分なされていない場合もあ

った。

③ (2)ボイラー設備、給湯設備

・設備の管理を協力会社へ委託している場合、協力会社の下で管理、計測記録、保守点検が

着実に実施されていた。

・自社で管理をしている場合、通常どおり稼動しているかという確認やチェックはされてい

るが、空気比などの管理値を設定することや、省エネという観点から運転状況を記録する

ということが行われていない状況が見られた。

④ (1)空気調和設備、換気設備

・事業場では主要設備の一つであり、熱源については協力会社へ管理を委託している場合や、

計測記録については BEMS などを活用して実施ている場合などがあった。

・評価が低い事業所では、温度や湿度の管理値が設定されていても、計測記録が実施されて

いないという状況が多く見られた。

⑤ (3)照明設備、昇降機、動力設備

・照明の照度を設定し、定期的に計測記録を行っている事業所が見られた。この場合、日本

工業規格(JIS)等に準ずる照度基準による管理標準が設定されている場合が多かった。

・一方で評価点が低い事業所では、照度などの計測記録が実施されていない場合が多かった。

また、照度基準が設定されていない場合もあった。

Page 65: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

61

表 3.2.4 事業場の項目別の評価点(平均点)

調査区分

判断基準項目

事業場

評価件数 平均点

(1)空気調和設備、換気設備 26 84.3

(2)ボイラー設備、給湯設備 5 85.8

(3)照明設備、昇降機、動力設備 25 81.8

(4)受変電設備、BEMS 1 100.0

(5)発電専用設備、コージェネ設備 0 -

(6)事務用機器、民生用機器 0 -

(7)業務用機器 14 87.9

注 1:評価件数は、その項目が該当した調査先の件数

注 2:平均点は、各項目における各調査先の評価点の相加平均値

図 3.2.4 事業場の項目別の評価点

2.2.2 工場の判断基準の項目別の遵守状況

工場の項目別の評価点の平均点を表 3.2.5 及び図 3.2.5 に示す。結果は以下のとおりである。

(1)全般的な傾向

①「(2-1)加熱設備等」が 96.2 点、「(5-1)放射・伝熱等熱損失防止」が 95.9 点と高かった。

②一方、「(2-2)空調・給湯設備」74.5 点と最も低く、次いで低い順に「(3)廃熱の回収利用」

が 76.9 点、「(1)燃料の燃焼」78.9 点、「(6-2)照明・昇降機、事務用・民生用機器」80.3 点と比

較的低かった。

③「(6-1)電動力応用設備等」は 88.5 点であった。「(4-1)発電専用設備」「(4-2)コージェネ設

備」は今回の調査では対象とならなかった。

(2)項目別の状況

① (2-1)加熱設備等

・プロセス用ボイラー、加熱炉(電気炉、燃焼炉)、冷却水などの管理について、概ね遵守さ

れていた。この項目は製造工程でも重要な因子であることから、比較的管理が出来ている

と考えられる。

Page 66: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

62

② (5-1)放射・伝導等による熱損失防止

・ボイラー、冷凍・冷蔵機器、空気調和設備の断熱に関する保守点検について、メーカー点

検、日常点検などにより実施されていた。

③ (6-1)電動力応用・電気加熱設備等

・加工機械等の生産設備、あるいは水処理や焼却炉等の主要設備の周辺流体設備など、主要

な設備に位置付けられる場合において概ね遵守されていた。

・ただし、ユーティリティ用のボイラーの電動機の保守点検や、空調設備などの電流・電圧

の計測記録について、十分に実施されていない場合があった。

④ (6-2)照明・昇降機、事務用・民生用機器

・照明の照度を設定し、定期的に計測記録を行っている工場が見られた。

・一方、照度の計測・記録が不十分であり、実際の照度が把握されていない場合がある。ま

た、照度基準が設定されていない場合もあった。

・不要時の消灯などは多くの工場で実施されていたが、照度管理、特に JIS の照度基準等を

考慮した管理にまでは意識が及んでいないものと考えられる。

⑤ (1)燃料の燃焼の合理化

・空気比の管理において、管理値が設定されていない場合や、排ガス温度や残存酸素濃度が

計測記録されていない場合が見られた。空気比を設定することや管理することについての

知識が不足していることが考えられる。

⑥ (3)廃熱の回収利用

・廃ガスの温度又は回収率の管理標準の設定及び計測・記録が不十分である場合が多かった。

燃焼や加熱設備における製品側の管理に主眼が置かれているために、廃ガスの温度や回収

等の管理にまで意識が及んでいないためであると考えられる。

⑦ (2-2)空調・給湯設備

・空調温度の計測記録が不十分な場合が多かった。また、事務所あるいは工場の温度等の設

定がされていない場合も見られた。

表 3.2.5 工場の項目別の評価点(平均点)

調査区分

判断基準項目

工場

評価件数 平均点

(1)燃料の燃焼の合理化 14 78.9

(2-1)加熱設備等 14 96.2

(2-2)空調・給湯設備 10 74.5

(3)廃熱の回収利用 13 76.9

(4-1)発電専用設備 0 -

(4-2)コージェネ設備 0 -

(5-1)放射・伝導等による熱損失防止 17 95.9

(5-2)抵抗等による電気損失防止 0 -

(6-1)電動力応用・電気加熱設備 24 88.5

(6-2)照明・昇降機、事務用・民生用機器 11 80.3

注 1:評価件数は、その項目が該当した調査先の件数

注 2:平均点は、各項目における各調査先の評価点の相加平均値

Page 67: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

63

図 3.2.5 工場の項目別の評価点

50

60

70

80

90

100評価点

Page 68: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

64

2.3 原単位の推移と悪化要因

2.3.1 原単位の推移

(1)事業場及び工場

パイロット調査で実施した主力工場等の事業場及び工場の原単位の状況について、5年度間(平

成 24年度~平成 28年度)のデータが得られた事業場 24 件、工場 23件について、5年度間平均

で 1%以上改善した件数を表 3.2.6 及び図 3.2.6 に示す。

なお、原単位は主力工場等単独のデータはほとんどなかったので、主力事業のデータを用いた。

改善の状況を整理すると以下のとおりである。

①5 年間平均で 1%以上改善した事業場は 36.0%、工場は 17.4%で、工場が低かった。

②工場等現地調査に比べると、事業場は約 13 ポイント高く、工場は約 12ポイント低かった。

表 3.2.6 事業場及び工場の 5年度間平均原単位変化

5年度間

平均原単位変化

事業場 工場

件数 割合 件数 割合

1%以上改善 9 36.0% 4 17.4%

1%改善未達成 16 64.0% 19 82.6%

合計 25 100.0% 23 100.0%

図 3.2.6 事業場及び工場の 5年度間平均原単位変化

(2)特定事業者

パイロット調査した事業者単位での原単位の改善について、5 年度(平成 24 年度~平成 28 年

度)のデータが得られた 51 件について、5年度間平均で 1%以上改善した件数を表 3.2.7 及び図

3.2.7 に示す。

改善の状況を整理すると以下のとおりである。

①事業者単位の原単位を 5 年度間平均で 1%以上改善した事業者は 23.5%であった。

②この原単位変化は、Bクラス事業者の選定年度(平成 23年度~27年度の原単位)から 1 年

分更新された 5年度間の値であるが、1%以上改善に転じた割合は、2割程度と少ない。

③原単位変化について、工場等とそれを設置している事業者の相関をとると、図 3.2.8 に示す

ように両者には相関係数 0.53 の相関が見られたことから、工場等現地調査と同様に主力工場

等の原単位の変化が事業全体の原単位悪化の要因に当てはまると考えられる。

Page 69: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

65

表 3.2.7 特定事業者の 5年度間平均原単位変化

件数 割合

1%以上改善 12 23.5%

1%改善未達成 39 76.5%

合計 51 100.0%

図 3.2.7 特定事業者の 5年度間平均原単位変化

図 3.2.8 原単位変化についての主力工場等とそれを設置する事業者の相関

【相関係数:0.53】

80

90

100

110

120

130

140

80 90 100 110 120 130 140

主力工場等の5年度間平均原単位変化

事業者の5年度間平均原単位変化

23.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事業者

割合1%以上改善 1%改善未達成

Page 70: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

66

2.3.2 原単位を改善出来なかった要因

(1)事業場

原単位を5年度間平均で1%以上改善出来なかった事業場について、その要因を分類した結果

を表 3.2.8 及び図 3.2.9 に示す。結果を整理すると以下のとおりである。

①「事業規模の拡大」が 41.2%と最も多く、これは事業集結や新規事業の開始等により事務

所・店舗等が増加し、原単位を床面積等としていると、原単位は悪化した結果になる。

②「設備の劣化」が2番目に多く 23.5%であった。これは設備、機器、保有物件等の経年劣

化による効率低下等が原因である。

③「その他」としては、追加された施設の原単位変更失念、競合店出現による売上減、事業

分割の影響等がある。

表 3.2.8 事業場で原単位を 5年度間平均で 1%以上改善出来なかった要因(複数回答)

悪化要因 事業場数 割合%

事業規模の拡大 7 41.2

設備の劣化 4 23.5

原単位設定の不備 3 17.6

設備の増強 2 11.8

生産の減少 1 5.9

原材料の変化 1 5.9

取組方針の不備 1 5.9

利用者の増加 1 5.9

気候の変動 1 5.9

製品価格の減少 1 5.9

その他 8 47.1

注)割合はその要因が該当する事業場の割合%を示す。

図 3.2.9 事業場で原単位を 5年度間平均で 1%以上改善出来なかった要因(複数回答)

(割合はその要因が該当する事業場の割合%を示す。)

(2)工場

原単位を5年度間平均で1%以上改善出来なかった工場について、その要因を分類した結果を

41.2

23.517.6

11.8

5.9 5.9 5.9 5.9 5.9 5.9

47.1

0

10

20

30

40

50割合 %

Page 71: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

67

表 3.2.9 及び図 3.2.10 に示す。結果を整理すると以下のとおりである。

①「小ロット多品種化」が 31.8%と最も多く、高付加価値化による工程増、事業改変による多

品種化でエネルギー量が増加している。

②次いで「生産の減少」、「生産構成の変化」が 27.3%であった。

③上記の三つの原因は、工場等現地調査でも上位を占めている項目である。

④「その他」の要因としては、天災の影響で不眠・不休の対応によるエネルギー量増加や共同

使用工場のエネルギー使用按分比率の変更等がある。

表 3.2.9 工場で原単位を 5 年度間平均で 1%以上改善出来なかった要因(複数回答)

悪化要因 工場数 割合%

小ロット多品種化 7 31.8

生産の減少 6 27.3

生産構成の変化 6 27.3

試運転・試作品等 4 18.2

業務規模の拡大 3 13.6

設備の劣化 3 13.6

原単位設定の不備 3 13.6

原材料の変化 3 13.6

設備の増強 2 9.1

取組方針の不備 2 9.1

利用者の増加 1 4.5

気候の変動 1 4.5

利用時間の変更 1 4.5

管理標準等の不備 1 4.5

その他 4 18.2

注)割合はその要因が該当する工場の割合%を示す。

図 3.2.10 工場で原単位を 5 年度間平均で 1%以上改善出来なかった要因(複数回答) (割合はその要因が該当する工場の割合%を示す。)

Page 72: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

68

2.4 原単位の算定方法

2.4.1 現状の原単位の分母

(1)事業場

原単位の算定式に使用されている分母の種類を図 3.2.11 に示す。

①「床面積」を分母としている場合が、61.5%と多かった。理由としては、一般的に使用され

ていることや、店舗やテナントの増減に対応出来る等の意見があった。

②次いで「金額」及び「利用人数」が 15.4%で、「金額」は年間を通じて需要に大きな変動が

ある業種や、売上の変動がエネルギー使用量と相関があるためであり、「利用人数」は社内で

数値の把握が容易であることや、各事業の統一単位として採用している等の意見があった。

③また、二つの要素を掛け合わせた「床面積×稼働時間」は 7.7%であった。

図 3.2.11 原単位の算定に使用している分母の種類(事業場)

(2)工場

原材料の算定式に使用されている分母の種類を図 3.2.12 に示す。

①「生産量(単純合計)」を分母としている場合が 40%と多かったが、生産構成の変化に対応

する「生産量(重み付け合計)」を採用しているところは無かった。

②「原料・中間製品量」が 20%で、廃棄物処理工場と各事業を工程毎に管理を実施している

工場等が採用している。

③次いで、「金額」及び「床面積」が 16%である。「金額」は、受注生産体制であるためや工

数も含めて金額換算で生産を管理している等、また「床面積」は、異なった製品製造に対

応する際に統一出来る単位として採用している等の意見があった。

④「稼働時間」は 8%である。製品により工場の操業度が変わるため等の意見があった。

図 3.2.12 原単位の算定に使用している分母の種類(工場)

Page 73: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

69

2.4.2 原単位の分母別の改善状況

(1)事業場

原単位の分母別に、5年度間平均で 1%改善した事業場の割合を図 3.2.13 に示す。

①改善した事業場の割合は、原単位の分母として使用が最も多い床面積を用いている場合を除く

と、金額を使用している場合は 50.0%と、事業場全体を大きく上回り、次いで利用人数を用い

ている場合が 33.3%と多かった。

②工場等現地調査では、床面積×稼働時間が割合が高かったが、パイロット調査では0%であった。

図 3.2.13 原単位の分母別の改善状況(事業場)

(2)工場

原単位の分母別に、5年度間平均で 1%改善した工場の割合を図 3.2.14 に示す。

①改善した工場の割合は、床面積 33.3%と高く、生産量(単純合計)、原料・中間製品量も 20%

と工場全体より高かった。

②金額、稼働時間の改善した工場の割合は 0%であった。

図 3.2.14 原単位の分母別の改善状況(工場)

24.0%

0.0%

33.3%

50.0%

31.3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

事業場全体

4.床面積×稼働時間

3.利用人数

2.金額

1.床面積

割合1%以上改善 1%改善未達成

事業場数:25

17.4%

0.0%

33.3%

0.0%

20.0%

20.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

工場全体

5.稼働時間

4.床面積

3.金額

2.原料・中間製品量

1.生産量(単純合計)

割合1%以上改善 1%改善未達成

工場数:23

Page 74: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

70

2.4.3 原単位の算出方法の見直し

(1)見直しの状況

調査対象がBクラスの事業者であったことから、原単位に関する意識はあり、算定方式につい

てもエネルギー使用量と密接な関係を持つ値として原単位の分母に用いる項目の算定について見

直しを実施または検討中の工場等があった。その状況を図 3.2.15 に示す。

しかし、工場等現地調査の結果に比べると、見直しは考えていないの比率が高い。。

①事業場では見直しを実施したのは 11.5%、これに検討中のものを加えると、15.3%であっ

た。

②工場では、見直しを実施したのは 12.0%、これに検討中のものを加えると、32%であった。

③見直しの理由は、工場等現地調査と同様に省エネ努力の成果を原単位で適切に評価したい

との考えによるものである。

④更に、見直しは考えていないと当初回答した工場等であっても、工場等現地調査と同様に

調査時の意見交換により、今後検討するとの考えを示した場合もあるので、今後更に見直

しを行う事業者が増加すると考えられる。

図 3.2.15 原単位の分母の見直しについて

(2)見直しの内容

(2-1)事業場

事業場で見直した事例は 3 件であるが、見直しの内容及びその理由は以下のとおりである。

①原単位の延床面積について、実際に使用しているすべての延床面積範囲へ変更した。

②各店舗の営業時間が異なるため、延床面積の係数に営業時間を採用した。

③見直し前は、延床面積×稼働時間であったが、使用電気量が延床面積に比例するデータか

ら変更した。

(2-2)工場

工場で見直した事例は 3 件であるが、見直しの内容及びその理由は以下のとおりである。

①延床面積を原単位としていたが、生産数量が電気使用量と相関があるため変更した。

②生産数量(単純合計)を原単位にしていたが、多種の事業を行う中で各事業の工場におけ

る経営上の主な数量として原材料量が適切と判断して、変更した。

③売上高を原単位にしていたが、電気使用量増加は労働時間増加に比例し、製造現場と事務

系の労働時間に差があるため、平均労働時間に変更した。

(3)原単位の算定方法を見直した主力工場等の原単位の改善割合

主力工場等の原単位の改善状況を、分母の見直しを実施した主力工場と実施していない工場等

とで比較して表 3.2.10 及び図 3.2.16 に示す。

Page 75: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

71

分母を見直した実績のある主力工場等の方が、原単位を改善した割合が工場等現地調査と同様

にかなり多かった。

原単位を 5 年度間平均で1%以上改善した割合は、「見直し有」が 66.7%と「見直し無」を 52.4

ポイント上回る結果であった。

表 3.2.10 原単位の分母の見直し実績の有無による原単位の改善割合

5 年度間

平均原単位変化

見直し有 見直し無

件数 割合 件数 割合

1%以上改善 4 66.7% 6 14.3%

1%改善未達成 2 33.3% 36 85.7%

合計 6 100.0% 42 100.0%

図 3.2.16 原単位の分母の見直し実績の有無による原単位の改善割合の比較

Page 76: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

72

2.5 エネルギー管理統括者及びエネルギー管理企画推進者の職務

表 3.2.11 に示すエネルギー管理統括者及びエネルギー管理企画推進者の管理項目及び職務内

容に基づく実行状況を現地にて確認し、下記評価基準をベースに職務評価の点数付けを実施した。

5:十分に出来ている(9 割以上)

4:おおむね出来ている(7-8 割程度)

3:出来ていることと出来ていないことが半々程度(4-6 割程度)

2:あまり出来ていない(2-3 割程度)

1:ほとんど出来ていない(1 割以下)

各項目に対する職務の評価点付けの結果を図 3.2.17~図 3.2.24 に示す。

また、調査対象事業者に各管理項目について、重要な項目を選定してもらい、整理した結果を

表 3-2-12 に示す。

結果は以下のとおりである。

①エネルギー管理体制の整備、エネルギー使用の合理化の取組方針、文書管理の職務に対する評

価は全般的に高かった。

②5点満点で、平均点が「おおむね出来ている」の点数 4点を超えた職務の評価は

・エネルギー管理体制の整備におけるエネルギー管理組織

・エネルギー使用合理化の取組方針制定

・文書管理におけるエネルギー使用の記録

である。

③管理標準に基づくエネルギー管理の実施、改善目標の設定と中長期計画の策定・見直しの職務

に対する評価は全般的に低かった。

④平均点が「あまり出来ていない」の点数2点台の職務の評価は

・エネルギー管理体制の整備における表彰制度導入

・管理標準に基づくエネルギー管理における管理標準の更新

・エネルギー使用実態の把握とエネルギー消費原単位評価における原単位による改善検討

・改善目標の設定と中長期計画の策定・見直しにおける比較と改善点発掘

である。

⑤図 3.2.25に職務評価の点数付けの平均点と重要度のチェック数の相関を示す。相関係数は 0.68

で相関が高い。

Page 77: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

73

表 3.2.11 エネルギー管理統括者及びエネルギー管理推進者の管理項目及び職務内容

(1) エネルギー管理体制の整備職務内容

①エネルギー管理組織

本社、各事業場・工場、各部にわたるエネルギー管理体制を整備している。(例:全社省エネルギー推進体制を組織し、その下部組織として各事業所に省エネルギー推進体制を組織する、など。)

② 職務の明確化構築したエネルギー管理体制に基づいて、トップマネジメント層から現場従事者層まで、それぞれの立場で行うべき職務を明確にし、エネルギー管理規定等に明記している。

③ 進捗確認全社の「省エネルギー推進委員会」や、本社、事業所毎の「省エネルギー推進会議」などを設け、定期的に省エネルギーの進捗確認を行う仕組みを構築している。

④ 推進活動地道な省エネルギー活動を推進して行く活動や支援体制の整備を行っている。(例:省エネルギー推進会議等が、省エネパトロール等で全社の活動を活性化させ、支援する、など。)

⑤ 表彰制度優秀な省エネ活動(例えば、グループや個人の活動)や担当者を表彰するような制度を導入している。

(2) エネルギー使用の合理化の取組方針、目標設定職務内容

① 取組方針エネルギーの使用の合理化を推進するための取組方針を定めている。

②取組方針の内容

取組方針には、エネルギーの使用の合理化に関する目標(例えば、具体的な達成目標)、設備の新設及び更新に対する方針(例えば、達成目標と整合性の取れた投資基準)を含んでいる。

③ 中長期目標エネルギー管理統括者、エネルギー管理企画推進者が中心となって取組方針に沿った全社の中長期省エネルギー目標を策定している。

④部門ごとの目標設定

全社の中長期の省エネルギー目標に沿って、各部門がそれぞれの実態に応じて主体的に取り組める省エネルギー目標を設定している。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

⑤計画・目標の評価

取組方針に沿って立てられた計画や目標が確実に進捗しているか定期的に評価し、不充分な場合は取組強化を図っている。

⑥方針、目標、計画の見直し

省エネルギーの取組状況や社会情勢の変化を考慮して、取組方針や目標、実施計画を定期的に見直している。

⑦評価手法の見直し

取組方針の遵守状況の評価手法を定期的に精査し、必要があれば変更している。

(3) 周知、人材、教育、資金職務内容

① 情報の周知従業員全員に取組方針の周知を図るとともに、情報(例えばエネルギー価格の動向、エネルギーコストの割合、活動の成果や他の事業所における成功事例など)を提供している。

② 人材確保 省エネルギーを推進するために必要となる人材を確保している。

③ 教育日常のエネルギー管理レベル向上のために、関係従業員の教育を計画的に行っている。

④ 資金確保 省エネルギーを推進するために必要となる資金を確保している。

管理項目

管理項目

管理項目

Page 78: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

74

(前ページのつづき)

(4) 管理標準に基づくエネルギー管理の実施職務内容

① 管理標準の整備「工場等判断基準」に基づく「管理標準」を定めてエネルギー管理を行っている。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

② 管理標準の遵守管理標準に定めた内容に従い、対象設備のエネルギー管理、設備の運用、点検、保守、計測を実施している。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

③書類による結果の保管

管理標準に基づく設備の運用、点検、保守、計測の結果は書類にまとめ保管している。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

④ 管理標準の更新

改善点や不足部分は管理標準に確実に反映するとともに、管理標準に基づくエネルギー管理が確実に進めることが出来るようになれば、管理値の更なる見直しを進めている。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

(5) エネルギー使用実態の把握とエネルギー消費原単位評価職務内容

①エネルギー使用の把握

エネルギーの種類別に、エネルギーの発生、輸送、消費に至るまでの流れを計測により定量的に把握している。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

②データの収集・分析

エネルギー使用データは、関連する設備の操業条件、気象条件、稼働率などのデータと併せて収集・整理し、その後のエネルギー使用実績の分析に役立ている。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

③データの見える化

データの見える化を進め、関係者でエネルギー使用状況の共有化と新たな省エネ課題の発掘・改善に繋げている。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

④ 達成状況の評価事業者、事業場・工場ごとにエネルギー使用量、エネルギー消費原単位を算出し、省エネルギー目標に対する達成状況の評価を行っている。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

⑤原単位による改善検討

エネルギー消費原単位は、固定分と変動分に分けて評価を行い、具体的な改善検討に繋げている。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

管理項目

管理項目

Page 79: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

75

(前ページのつづき)

(6) 改善目標の設定と中長期計画の策定・見直し

職務内容

①中長期計画の設定・見直し

エネルギー使用の合理化の中長期目標の達成見込みを評価し、中長期計画及び省エネルギー改善目標の設定・見直しをしている。

②比較と改善点発掘

同業他社等との比較・評価を進め、省エネルギー改善点の発掘に繋げている。

③事業所の改善目標

全社目標に基づく中長期の省エネルギー改善目標を各工場・事業場目標へブレークダウンし、年度の省エネルギー改善目標を設定している。

④改善案の参考資料

設備投資を伴う中長期計画の作成では、工場等判断基準の「新設に当たっての措置」及び「目標部分」をチェックし、該当する設備は告示「中長期的な計画の作成のための指針」を参考にしている。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

⑤投資採算性の評価

省エネルギー投資を行ったものについては、投資採算性の評価を行い、類似機器への横展開計画を立案している。

(7) 省エネルギー改善案の具体化と実施職務内容

①改善のステップ1

設備保全、管理強化、操業改善に取組んでいる。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

②改善のステップ2

設備改善、設備付加に取組んでいる。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

③改善のステップ3

プロセス変更、高効率設備導入に取組んでいる。(エネルギー管理企画推進者としてこれを指導している。)

④ 社外資源の利用プロセス変更、高効率設備導入による改善案の実施に当たっては、ESCO事業、EMS事業者、各種補助金制度の活用を検討している。

(8) 文書管理職務内容

①エネルギー使用の記録

すべての工場等の名称、所在地及びエネルギー使用量の状況を把握し、記載した書面を作成、更新、保管している。

②省エネ活動の記録

省エネルギー活動の管理体制、取組方針及び遵守状況・評価結果を文書化している。

管理項目

管理項目

管理項目

Page 80: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

76

図 3.2.17 職務の評価付け結果 (1)エネルギー管理体制の整備

図 3.2.18 職務の評価付け結果 (2)エネルギー使用の合理化の取組方針

Page 81: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

77

図 3.2.19 職務の評価付け結果 (3)周知、人材、教育、資金

図 3.2.20 職務の評価付け結果 (4)管理標準に基づくエネルギー管理の実施

Page 82: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

78

図 3.2.21 職務の評価付け結果 (5)エネルギー使用実態の把握とエネルギー消費原単位評価

図 3.2.22 職務の評価付け結果 (6)改善目標の設定と中長期計画の策定・見直し

Page 83: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

79

図 3.2.23 職務の評価付け結果 (7)省エネルギー改善案の具体化と実施

図 3.2.24 職務の評価付け結果 (8)文書管理

Page 84: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

80

表 3.2.11 エネルギー管理統括者及びエネルギー管理推進者の管理項目の重要度チェック数

(複数チェック含む)

管理項目 重要度

チェック数

(1)エネルギー管理体制の整備

①エネルギー管理組織 28

②職務の明確化 10

③進捗確認 15

④推進活動 17

⑤表彰制度 4

(2)エネルギー使用の合理化の

取組方針、目標設定

①取組方針 24

②取組方針の内容 14

③中長期目標 10

④部門ごとの目標設定 10

⑤計画・目標の評価 12

⑥方針、目標、計画の見直し 7

⑦評価手順の見直し 0

(3)周知、人材、教育、資金

①情報の周知 15

②人材確保 11

③教育 14

④資金確保 14

(4)標準に基づくエネルギー管

理の実施

①管理標準の整備 16

②管理標準の遵守 15

③書類による結果の保管 7

④管理標準の更新 4

(5)改善目標の設定と中長期計

画の策定・見直し

①エネルギー使用の把握 15

②データの収集・分析 10

③データの見える化 13

④達成状況の評価 8

⑤原単位のよる改善検討 8

(6)改善目標の設定と中長期計

画の策定

①中長期計画の設定・見直し 21

②比較と改善点発掘 3

③事業所の改善目標 9

④改善案の参考資料 2

⑤投資採算性の評価 10

(7)省エネルギー改善案の具体

化と実施

①改善のステップ1 20

②改善のステップ2 9

③改善のステップ3 9

④社外資源の利用 7

(8)文書管理 ①エネルギー使用の記録 20

②省エネ活動の記録 11

Page 85: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

81

図 3.2.25 職務評価平均点と重要度チェック数

【相関係数:0.69】

0

1

2

3

4

5

0 5 10 15 20 25 30

職務評価平均点

重要度チェック数

Page 86: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

82

第4部 調査後のまとめ

第1章 現地調査に関するアンケート結果

工場等現地調査及びパイロット調査の終了後に調査先に対してアンケートを実施し、調査を受

けたことによる効果及びご意見並びに登録調査機関の活用状況についてお伺いしてその結果を整

理した。

本章では、工場等現地調査及びパイロット調査に関する結果を記載し、登録調査機関の活用状

況については次章で記載する。

1.1 アンケート調査の方法

現地調査実施後に、表 4.1.1 のアンケートにより実施した。

表 4.1.1 アンケートの設問内容

【調査による効果について】

Q1.今回の調査は省エネを進める上で有意義であったとお考えですか。

a.大変有意義であった b.有意義であった

c.あまり役にたたなかった d.わからない

(Q1でa又はbとご回答された方に伺います。)(c又はdとご回答された方はQ6へ進んでください。)

Q2.どのような点が有意義であったとお考えですか。(複数回答可)

a.企画推進者の職務についての理解が深まった(注)

b.アドバイスや省エネ事例等の情報が参考になった(注)

c.判断基準の遵守についての理解が深まった

d.管理標準の作成方法や運用方法がわかった

e.原単位を改善するヒントとなった

f.支援策の情報が得られた

g.社内に省エネの必要性が認識されるきっかけとなった

h.その他

【注:a.及びb.の項目は、パイロット調査のアンケートのみの項目】

Q3.調査を受けたことで、社内の意識等に変化があったとお考えですか。

a.大きな意識変化があった b.やや意識変化があった

c.特に変化はなかった

a又はbとご回答された場合は、どのような意識変化であったかご記入ください。

Q4.調査の実施後、既に取組の改善等を行った項目があればお答えください。

Q5.調査の実施後、今後取組の改善等を行う予定の項目があればお答えください。

(Q6とQ7は、Q1でc又はdとご回答された方に伺います。)

Q6.調査の効果が余りなかった又は不明であったのは、どのような点に要因があるとお考えで

すか。

Q7.調査の効果を高めるために、必要と考えられる措置等についてお考えがあればお答えくだ

さい。

Page 87: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

83

【調査の実施方法について】

Q8.訪問調査時の技術調査員の対応は適切でしたか。

a.適切であった b.どちらかといえば適切であった

c.どちらかといえば不適切であった d.不適切であった

c又はdとご回答された場合は、不適切であった内容をご記入ください。

Q9.調査依頼から訪問調査までの省エネルギーセンターの対応は適切でしたか。

a.適切であった b.どちらかといえば適切であった

c.どちらかといえば不適切であった d.不適切であった

c又はdとご回答された場合は、不適切であった内容をご記入ください。

Q10.その他のご意見がありましたらご記入ください。

【以降は、登録調査機関の活用状況に関してお伺いします】

Q11.登録調査機関に確認調査申請書を提出し認定を受ければ、定期報告書の提出等が免除さ

れる確認調査制度があります。

このような制度をご存じですか。

a.はい b.いいえ

(いいえとご回答された方はQ14に進んでください)

Q12.(Q11ではいとご回答された場合)登録調査機関の活用を検討したことはありますか。

a.はい b.いいえ

(いいえとご回答された方はQ14に進んでください)

Q13.(Q12ではいとご回答された場合)実際に活用したことはありますか。

a.はい b.いいえ

(いいえとご回答された方はQ13-2に進んでください)

Q13-1.実際に活用した場合、その際のご感想、またその後活用しなくなった理由 (費用が

高額 等)をお聞かせください。

Q13-2.活用しなかった場合、その理由を選択してください。(複数回答可)

a.制度(当該年度の定期報告書提出免除、合理化計画作成指示対象外)に魅力を感

じない

b.現運用(3年間工場等現地調査対象外等)に魅力を感じない

c.確認調査費用が高額

d.近くに登録調査機関がなかった

e.登録調査機関に依頼(相談)したが断られた →断られた理由:( )

f.その他:( )

Q14.登録調査機関制度に関するご意見ご要望等がありましたらご記入ください。

Page 88: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

84

1.2 アンケートの回答結果

アンケートは表4.1.2のとおり、調査対象の461件に対して送付し、436件の回答(回収率94.6%)

を得た。

表 4.1.2 アンケートの回収結果

調査区分 調査対象 調査件数 回答有 回収率

工場等現地調査 指定工場等 410 387 94.4%

パイロット調査 指定工場等を持たない特定事業者等 51 49 96.1%

合計 461 436 94.6%

1.2.1 調査による効果について

(1)「Q1.今回の調査は省エネを進める上で有意義であったとお考えですか。」

回答結果を図 4.1.1 に示す。

「a.大変有意義であった」が 42.9%、「b.有意義であった」が 54.1%であった。合計 97.0%

が「有意義であった」と回答しており、この調査が多くの事業者にとって効果的であったことを

示している。

図 4.1.1 「Q1.調査が有意義であったか」への回答結果(回答数:461 件)

(2)Q1.で「a.大変有意義であった」又は「b.有意義であった」と回答した場合の継続

設問に対する回答

(2-1)「Q2.どのような点が有意義であったとお考えですか。」

回答結果を図 4.1.2 及び図 4.1.3 に示す。工場等現地調査とパイロット調査は選択肢が多少違

うので、個別に集計した。

結果は以下のとおりである。

①工場等現地調査では、「c.判断基準の遵守についての理解が深まった」が最も多く 31.1%、

「d.管理標準の作成方法や運用方法がわかった」の 25.9%と「e.原単位を改善するヒン

トとなった」の 18.3%が続いた。調査では判断基準に基づく管理標準の設定と遵守及び原単

位の管理と改善を大きなテーマにしていることから、その成果があったと考えられる。

②パイロット調査では、「a.企画推進者の職務についての理解が深まった」が 18.1%と最も

多く、「b.アドバイスや省エネ事例等の情報が参考になった」も 16.0%あったことから、

調査で意図した企画推進者への働きかけや省エネ情報の提供が効果的であったことがわかる。

また、工場等現地調査で多かった「c.」、「d.」及び「e.」も多かった。

a.大変有

意義42.9%

b.有意義54.1%

c.余り役

に立たな

かった1.6%

d.はっき

りしない1.4%

Page 89: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

85

図 4.1.2 工場等現地調査の「Q2.どのような点が有意義であったか」への回答結果

(Q1.で有意義と回答した事業者からの回答(複数回答で 935 件))

図 4.1.3 パイロット調査の「Q2.どのような点が有意義であったか」への回答結果

(Q1.で有意義と回答した事業者からの回答(複数回答で 144 件))

(注:「a.」及び「b.」の選択肢はパイロット調査のみ)

(2-2)「Q3.調査を受けたことで、社内の意識等に変化があったとお考えですか。」

回答結果を図 4.1.4 に示す。「a.大きな意識変化があった」が 23.0%、「b.やや意識変化が

あった」が 58.5%で、合計 81.5%の事業者に意識の変化があった。

意識変化があった場合の内容について、自由記載欄の記載内容を集計し、分類した結果を表

4.1.3 及び図 4.1.5 に示す。結果は以下のとおりである。

①「a.省エネ推進の重要性の認識が高まった」が 53.5%で最も多かった。現地調査でもBク

ラス脱却を目指すとの意識が見られたので、この結果につながっている。

②次に多かった「b.管理標準による管理の重要性を認識した」(24.8%)と「c.管理が不十

分なところがあることを認識した」(10.6%)は判断基準で要求されている管理標準に関する

c.判断基準の

遵守について

の理解が深

まった31.1%

d.管理標準の

作成方法や運

用方法がわ

かった25.9%

e.原単位を改

善するヒントと

なった18.3%

f.支援策の情

報が得られた7.1%

g.社内に省エ

ネの必要性が

認識される

きっかけとなっ

た14.5%

h.その他3.1%

a.企画推進者

の職務につい

ての理解が深

まった(注)18.1%

b.アドバイスや

省エネ事例等

の情報が参考

になった(注)16.0%

c.判断基準の

遵守について

の理解が深

まった16.0%

d.管理標準の

作成方法や運

用方法がわ

かった16.7%

e.原単位を改

善するヒントと

なった18.1%

f.支援策の情

報が得られた3.5%

g.社内に省エ

ネの必要性が

認識される

きっかけとなっ

た8.3%

h.その他3.5%

Page 90: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

86

意識変化であり、現地調査においても、判断基準に則していない又は理解不足であったとこ

ろが判明した等の声が多く聞かれた。

図 4.1.4 「Q3.意識変化があったか」への回答結果(回答数:422 件)

表 4.1.3 「Q3.意識変化の内容(自由記入)」への回答の分類結果

区 分 件数 割合 %

a.省エネ推進・活動の重要性の認識が高まった 192 53.5

b.管理標準による管理の重要性を認識した 89 24.8

c.管理が不十分なところがあることを認識した 38 10.6

d.原単位管理の重要性の認識が高まった 24 6.7

e.上司や他部門の省エネ法に対する遵法意識が高まった 12 3.3

f.その他 4 1.1

合 計 359 100.0

Q3.で意識変化ありと回答した事業者からの回答(複数回答あり)

図 4.1.5 「Q3.意識変化の内容(自由記入)」への回答の分類結果(複数回答で 359 件)

a.大きな

意識変化

あり23.0%

b.やや意

識変化あ

り58.5%

c.特に変

化なし18.5%

a.省エネ推進・

活動の重要性

の認識53.5%

b.管理標準に

よる管理の重

要性を認識24.8%

c.管理が不十

分なところがあ

ることを認識10.6%

d.原単位管理

の重要性を認

識6.7%

e.上司や他部

門の省エネ法

に対する遵法

意識3.3% f.その他

1.1%

Page 91: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

87

(2-3)「Q4.調査の実施後、既に取組の改善等を行った項目があればお答えください。」

自由記入事項を集計し、分類した結果を表 4.1.4 及び図 4.1.6 に示す。結果は以下のとおりで

ある。

①「a.管理標準等の見直しを実施した」が 48.4%と最も多かった。次いで「b.設備の運用

改善又は更新等を実施又は決定した」で 31.1%であった。最初に取り組むべき対策として管

理標準を見直し、順次具体的な省エネ対策に移されたものである。

②また、「d.原単位算定方法等の見直しを検討した」も 9.3%あった。調査では製品構成の変

化等の外的要因の影響で、省エネの努力が原単位に表れていないため、原単位の分母の選定

が議論されたことも多く、早速検討に入った事例である。

表 4.1.4 「Q4.既に実施した項目(自由記入)」への回答の分類結果

区 分 件数 割合 %

a.管理標準等の見直しを実施した 78 48.4

b.設備の運用改善又は更新等を実施又は決定した 50 31.1

c.省エネ推進活動等の見直しや強化を実施した 18 11.2

d.原単位算定方法等の見直しを検討した 15 9.3

合 計 161 100.0

Q1.で有意義と回答した事業者からの回答(複数回答あり)

図 4.1.6 「Q4.既に実施した項目(自由記入)」への回答の分類結果(複数回答で 161 件)

(2-4)「Q5.調査の実施後、今後取組の改善等を行う予定の項目があればお答えください。」

自由記入事項を集計し、分類した結果を表 4.1.5 及び図 4.1.7 に示す。分類した結果はQ4の

既に実施した内容と同様の案件項目となった。結果は以下のとおりである。

①Q4.で既に実施した案件は 161 件であったが、Q5.で予定している案件は 406 件と 1.5

倍あり、まず出来ることから始め、徐々に拡大していく予定を立てていると思われる。

②「a.管理標準等の見直し」が 37.7%と最も多いが、Q4.の実施済の 48.4%よりは低くな

り、直すぐに出来るところから着手したことが伺える。

表 4.1.5 「Q5.今後実施予定の項目(自由記入)」への回答の分類結果

a.管理標準等

の見直しを実

施した48.4%

b.設備の運用

改善又は更新

等を実施又は

決定した31.1%

c.省エネ推進

活動等の見直

しや強化を実

施した11.2%

d.原単位算定

方法等の見直

しを検討した9.3%

Page 92: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

88

区分 件数 割合 %

a.管理標準等の見直しを予定している 153 37.7

b.設備の運用改善又は更新等を予定している 123 30.3

c.省エネ推進活動等の見直しや強化を予定している 61 15.0

d.原単位算定方法等の見直しを予定している 69 17.0

合計 406 100.0

Q1.で有意義と回答した事業者から回答(複数回答あり)

図 4.1.7 「Q5.今後実施予定の項目(自由記入)」への回答の分類結果(複数回答で 406 件)

(3)Q1で「c.あまり役にたたなかった」又は「d.わからない」と回答した場合の継続設

問に対する回答

(3-1)「Q6.調査の効果が余りなかった又は不明であったのは、どのような点に要因がある

とお考えですか。」について

Q1で、調査があまり役にたたなかった又は不明であったと回答した事業者による、その要因

についての意見を集約すると、以下のとおりである。

・既に判断基準の遵守や省エネ対策は実施しているので、更なる調査による効果は薄い。

・判断基準に照らし合わせた管理面の調査が主体であり、具体的な省エネ改善の提案などが少

なかった。

(3-2)「Q7.調査の効果を高めるために、必要と考えられる措置等についてお考えがあれば

お答えください。」

前設問の事業者による、調査の効果を高めるための必要措置についての意見を集約すると、以

下のとおりである。

・設備の消費エネルギーを減らすことを主眼とする調査で省エネ改善の提案を増やして欲しい。

・判断基準の内容の解説や、遵守による効果の解説を受ける機会が欲しい。

a.管理標準等

の見直しを予

定している37.7%

b.設備の運用

改善又は更新

等を予定して

いる30.3%

c.省エネ推進

活動等の見直

しや強化を予

定している15.0%

d.原単位算定

方法等の見直

しを予定してい

る17.0%

Page 93: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

89

1.2.2 調査の実施方法について

(1)「Q8.訪問調査時の技術調査員の対応は適切でしたか。」

回答結果のまとめを図 4.1.8 に示す。内容は以下のとおりである。

①「a.適切であった」が 88.7%で、「b.どちらかといえば適切」を加えると、99.3%が適

切との回答であった。

②一方、「c.どちらかといえば不適切であった」が 3 件(0.7%)あった。今後の調査に生か

すべき貴重な意見であり、その内容は以下の通りである。「d.不適切であった」は無かった。

・話の内容がわかりづらく技術担当者のみがわかって話を進めていた。(1件)

・調査員が工場側の取組内容を理解されなかった。(1件)

・対応が少し威圧的だった。(1件)

図 4.1.8 「Q8調査員の対応」への回答結果(回答数 435)

(2)「Q9.調査依頼から訪問調査までの省エネルギーセンターの対応は適切でしたか。」

回答結果のまとめを図 4.1.9 に示す。内容は以下のとおりである。

①「a.適切であった」が 79.1%で、「b.どちらかといえば適切」を加えると、97.7%が適

切との回答であった。

②一方、「c.どちらかといえば不適切であった」が 7 件(1.6%)、「d.不適切であった」が

3件(0.7%)あった。今後の調査に生かすべき貴重な意見であり、内容は以下の通りである。

・調査日がある程度指定されおり、調整に苦慮した(2件)

・対応が傲慢と感じた(2件)

・忙しいので(事前資料等の)催促はやめてほしい(2件)

・質問したことへの回答が不適当であった(2件) ・その他(2件)

図 4.1.9 「Q9.省エネルギーセンターの対応」への回答結果(回答数 435)

a.適切88.7%

b.どちら

かといえ

ば適切10.6%

c.どちら

かといえ

ば不適切0.7%

d.不適切0.0%

a.適切79.1%

b.どちら

かといえ

ば適切18.6%

c.どちら

かといえ

ば不適切1.6%

d.不適切0.7%

Page 94: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

90

(3)「Q10.その他のご意見がありましたらご記入ください」

自由記入事項を集計し、分類した結果を表 4.1.6 及び図 4.1.10 に示す。結果は以下のとおりで

ある。

①「a.調査及び調査員への謝辞」が最も多く 41.6%を占めた。原単位を改善するために必要

な省エネルギー対策等に関して、これまで気づかなかったこと等に関する調査員のアドバイ

スや説明が良かったとの意見が多かった。また省エネの意識が高まったことが「d.省エネ

推進等の意思表明」(7.4%)にも表れている。

②次いで「b.工場調査に関する意見・感想」が 34.2%あった。Bクラス指定を受けたことか

ら、工場調査への期待と関心が高まっている。工場調査で判断基準の理解が深まったとの意

見がある一方で、判断基準の遵守状況の詳細な調査は必ずしも原単位改善に直結しないので

はないかといった意見や、省エネ改善策の提示を主体にした調査を望むとの意見もあった。

③また、「c.省エネに関するアドバイス、情報提供の希望」が 8.7%あり、自社の省エネ改善

の指導や他社事例の収集等が出来る機会を求める意見が多かった。

④「e.省エネ法に関する意見・要望」(5.4%)の内容は、判断基準が細かすぎて対応が困難

との意見や判断基準の内容を企業の規模や業種によって区別して欲しいとの要望等であった。

表 4.1.6 「Q10.その他の意見」への回答結果

区分 件数 割合 %

a.調査及び調査員への謝辞 62 41.6

b.工場調査に関する意見・感想 51 34.2

c.省エネに関するアドバイスや情報提供の希望 13 8.7

d.省エネ推進等の意思表明 11 7.4

e.省エネ法に関する意見・要望 8 5.4

g.その他・感想等 4 2.7

合計 149 100.0

意見のあった事業者からの回答を集計(複数回答あり)

図 4.1.10 「Q10.その他の意見」への回答結果

a.調査及び調

査員への謝辞41.6%

b.工場調査に

関する意見・

感想34.2%

c.省エネに関

するアドバイス

や情報提供の

希望8.7%

d.省エネ推進

等の意思表明7.4%

e.省エネ法に

関する意見・

要望5.4%

f.その他・感想

等2.7%

Page 95: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

91

a.知って

いる11.9%

b.知らな

い88.1%

a.検討し

たことが

ある23.1%

b.検討し

たことは

ない76.9%

第2章 登録調査機関の活用状況に関するアンケート調査結果

アンケートは表4.2.1のとおり、調査対象の461件に対して送付し、436件の回答(回収率94.6%)

を得た。(第1章の現地調査後のアンケートの設問の一部として実施した。)

表 4.2.1 アンケートの回収結果

調査区分 調査対象 調査件数 回答有 回収率

工場等現地調査 指定工場等 410 387 94.4%

パイロット調査 指定工場等を持たない特定事業者等 51 49 96.1%

合計 461 436 94.6%

(1)「Q11.登録調査機関に確認調査申請書を提出し認定を受ければ、定期報告書の提出等が免

除される確認調査制度があります。このような制度をご存じですか。」

回答結果を図 4.2.1 に示す。

「a.知っている」は 436 件中 52 件で、11.9%

であった。

図 4.2.1 制度の認知(回答数:436 件)

(2)「Q12.(Q11ではいとご回答された場合)登録調査機関の活用を検討したことはあります

か。」

回答結果を図 4.2.2 に示す。

「a.検討したことがある」は52件中12件で、

23.1%であった。

図 4.2.2 活用検討の有無(回答数:52 件)

Page 96: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

92

a.活用し

たことが

ある0.0%

b.活用し

たことは

ない100.0%

(3)「Q13.(Q12 ではいとご回答された場合)実際に活用したことはありますか。」

回答結果を図 4.2.3 に示す。

「a.活用したことがある」との回答はなかっ

た。

したがって、「Q13-1.」の活用した場合の感想

等についても、回答はなかった。

図 4.2.3 実際の活用の有無(回答数:12 件)

(4)「Q13-2.活用しなかった場合、その理由を選択してください。(複数回答可)」

回答結果を表 4.2.2 及び図 4.2.4 に示す。その結果をまとめると、以下のとおりである。

①活用しなかった理由は、「c.確認調査費用が高額」が最も多く 29.2%あった。

②次いで「a.制度(当該年度の定期報告書提出免除、合理化計画作成指示対象外)に魅力を

感じない」の 25.0%と「b.現行運用(3年間工場等現地調査対象外等)に魅力を感じない」

の 16.7%であり、魅力を感じていない場合を合計すると 41.7%を占めた。

③なお、「h.その他」の主な内容は以下のとおりである。

・費用を掛けるほどメリットのある制度と感じない。

・まだ検討段階である。

・会社の事業規模に対して費用等明確に理解出来ていない。

表 4.2.2 制度を活用しなかった理由(回答数:12件)

選択項目 選択件数

(複数回答) 割合

a.制度(当該年度の定期報告書提出免除、合理化計画作成指

示対象外)に魅力を感じない 6 25.0%

b.現行運用(3 年間工場等現地調査対象外等)に魅力を感じ

ない 4 16.7%

c.確認調査費用が高額 7 29.2%

d.指定工場数が多い(注) 0 0.0%

e.近くに登録調査機関がなかった 1 4.2%

f.複数の指定工場が離れた場所にある等、1つの登録調査機

関では対応が困難であった(注) 2 8.3%

g.登録調査機関に依頼(相談)したが断られた 0 0.0%

h.その他 4 16.7%

合 計 24 100.0%

注)d.及び f.の項目は、パイロット調査対象へのアンケートでは除外。

Page 97: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

93

図 4.2.4 活用しなかった理由(回答数:12 件、選択件数 24 件(複数回答))

(5)「Q14.登録調査機関制度に関するご意見ご要望等がありましたらご記入ください。」

自由記入事項を集計し、同様の意見をまとめて分類した結果を表 4.2.3 及び図 4.2.5 に示す。

その結果をまとめると、以下のとおりである。

①制度やメリットを理解していないため、「a.制度の内容を調べて検討したい」が 28.8%と

最も多く、「b.制度の詳細をもっと知りたい」も 13.8%あった。また、制度を調べるにあ

たり、「c.制度がわかりにくい」との意見が 6.3%あった。

【意見の例】(文末のアルファベットは分類の記号を表す。)

・どのような制度なのか、確認した上で検討したい。(a.)

・有料で確認調査とあるが、費用がどれくらいなのかを知りたい。(b.)

・免除される条件を知りたい。(b.)

・WEB サイトにて制度を確認したが、それでもメリット、デメリットが分かり難かった。(c.)

②制度そのものを認知していなかったため、「d.制度をもっとPRしてほしい」が10.0%、「e.

制度を知らなかった」が 7.5%あった。

【意見の例】

・このような登録制度があるのであれば、もっと周知してほしかった。(d.)

・制度を知らなかった。(e.)

③制度を利用するための労力と費用が多大な割にメリットが少ないと考えたため、「f.制度や

現行運用に魅力を感じない」とした意見も 17.5%と比較的多かった。

【意見の例】

・本制度に関して調べてみたが、費用、調査対応等の労力を考慮すると、この制度を利用す

るだけのメリットが感じられない。(f.)

・認定を受けても、年度内に限り定期報告書の提出等が免除されるのは費用をかけてまで認

定を受ける魅力に乏しい。複数年にわたり免除される制度であれば検討する。(f.)

④一方、定期報告書を作成すること自体を省エネ推進活動の一部と捉え、「g.定期報告書は自

社で作成すべき」との積極的な意見も 6.3%あった。

【意見の例】

a.制度に魅

力を感じな

25.0%

b.現行運

用に魅力

を感じない

16.7%c.費用が

高額

29.2%

d.指定工

場数が多

0.0%

e.近くに機

関なし

4.2%

f.1つの機

関では対

応困難

8.3%

g.断られた

0.0%

h.その他

16.7%

Page 98: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

94

・定期報告書を実際に作成した方が事業所内のエネルギー使用量の詳細が理解出来るので、

省エネ意識が向上すると思われる。(g.)

・定期報告書作成自体を社内コミュニケーションの1つと考えているので、制度を活用する

ことは無いと思う。(g.)

⑤「h.制度の利用は考えていない」は 10%あった。

【意見の例】

・従来から省エネには積極的に取り組んでいるので、この制度の活用は考えていない。(h.)

・当社の指定工場は全国に離れており、対応が困難であるし、現状問題はない。(h.)

・有料と言う事で、今のところは考えていない。(h.)

表 4.2.3 その他の意見の分類・集計結果(意見数 80 件)

件数 割合

a.制度の内容を調べて検討したい 23 28.8%

b.制度の詳細をもっと知りたい 11 13.8%

c.制度がわかりにくい 5 6.3%

d.制度をもっと PRしてほしい 8 10.0%

e.制度を知らなかった 6 7.5%

f.制度や現行運用にに魅力を感じない 14 17.5%

g.定期報告書は自社で作成すべき 5 6.3%

h.制度の利用は考えていない 8 10.0%

合計 80 100.0%

図 4.2.5 その他の意見の分類・集計結果

a.調べて検

討したい

28.8%

b.詳細を知

りたい

13.8%

c.わかりに

くい

6.3%

d.PRしてほ

しい

10.0%

e.知らな

かった

7.5%

f.魅力を感

じない

17.5%

g.自社で作

成すべき

6.3%

h.利用しな

10.0%

Page 99: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

95

第3章 エネルギー管理士の教育ニーズに関するアンケート調査結果

エネルギー管理企画推進者(以下「企画推進者」という。)、エネルギー管理者及びエネルギー

管理員(以下「管理者等」という。)の選任後の教育については、エネルギー管理講習「新規講習」

修了者に対しては、法令上、資質向上講習の受講が義務付けられているが、エネルギー管理士の

場合、免状取得後は、法令に定められた講習等の機会が無く、選任後の教育等の状況は明らかで

はない。このため、エネルギー管理士の資格により選任された企画推進者及び管理者等を対象に、

今回の調査先に対してアンケートを実施し、教育の現状やニーズを調査した。

3.1 アンケート調査の方法

調査先の企画推進者、管理者等に対し、表 4.3.1 のアンケートにより実施した。

表 4.3.1 アンケートの設問内容

①選任要件

a.エネルギー管理士 b.エネルギー管理講習新規講習修了者(以下の②~⑦は記入不要)

②現状1:組織として、教育(=講習会、講演会、OJT等)を受ける体制が整っていますか。

a.整っている b.やや整っている

c.どちらともいえない d.あまり整っていない

e.整っていない

③現状2:現在、どのような内容について教育を受けていますか。(複数選択可)

a.省エネに係る政策動向 b.エネルギー管理(体制構築、着眼点等)

c.省エネ設備・機器の最新動向 d.他事業者の省エネルギー実施事例

e.判断基準の解説・管理標準の作り方 f.法定手続き(定期報告書等の書き方等)

g.具体的な省エネ実施方法 h.その他

i.特になし

具体的に :( )

④現状3:③の内容について、誰から教育を受けていますか。(複数回答可)

a.社外(の講師や専門家など) b.社内(の先輩社員や上司など)

c.その他

具体的に :( )

⑤現状4:年間にどの程度の頻度で教育を受けていますか。

年間( )回程度

⑥ニーズ1:今後、どのような内容について知識を習得したいと思っていますか。(複数選択可)

a.省エネに係る政策動向 b.エネルギー管理(体制構築、着眼点等)

c.省エネ設備・機器の最新動向 d.他事業者の省エネルギー実施事例

e.判断基準の解説・管理標準の作り方 f.法定手続き(定期報告書等の書き方等)

g.具体的な省エネ実施方法 h.その他

i.特になし

具体的に :( )

⑦ニーズ2:⑥の内容について、知識を習得する方法として希望する形態はどれですか。(複数選択可)

a.省庁等からのメールマガジン b.定期刊行物

c.企業・団体等が行う講習会への参加

d.国の制度(数年毎の受講義務)としての講習会への参加

e.その他

具体的に :( )

Page 100: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

96

3.2 アンケートの回答結果

アンケートは表 4.3.2 のとおり、調査対象の 461 件の企画推進者及び管理者等 744 名に対して

実施し、701 件の回答(回収率 88.2%)を得た。

表 4.3.2 アンケートの回収結果

対象者 調査区分 アンケート回答

工場等現地調査 パイロット調査 合計 回答有 回収率

企画推進者 334※ 51 385 330 85.7%

管理者等 410 0 410 371 90.5%

合計 744 51 795 701 88.2%

※ 複数の指定工場が対象となった事業者があるため、事業者数は 334 件である。

3.2.1 企画推進者、管理者等の選任要件

設問「①選任要件」の集計結果を図 4.3.1 に示す。企画推進者の 24.2%(80 件)、管理者等の

37.5%(139 件)、合計では 31.2%(219 件)がエネルギー管理士の資格による選任であった。

図 4.3.1 企画推進者、管理者及び管理員の選任要件

(集計数:企画推進者 330、管理者等 371、合計 701)

上記の選任要件でエネルギー管理士の資格により選任された者から、教育の現状とニーズにつ

いて、各設問の回答を受け、その結果を以下に記載する。

3.2.2 エネルギー管理士の現状の教育状況

(1)「②現状1:組織として、教育(=講習会、講演会、OJT等)を受ける体制が整っていま

すか。」

回答結果を図 4.3.2 に示す。「a.整っている」のは合計で 29.4%にとどまった。管理者等の

方が企画推進者よりも 8.3 ポイント上回っていたのは、管理者等は工場等の勤務が多く、省エネ

を含む技術的な教育の場が比較的あるためと推定される。

24.2

37.5

31.2

75.8

62.5

68.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

企画推進者

管理者等

合計

割合

a.エネルギー管理士 b.エネルギー管理講習新規講習修了者

Page 101: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

97

図 4.3.2 組織としての教育体制

(集計数:企画推進者 79、管理者等 139、合計 218)

(2)「③現状2:現在、どのような内容について教育を受けていますか。(複数選択可)」

回答結果を図 4.3.3 に示す。結果は以下のとおりである。

A.特に多い項目はなく、全般的に各テーマに分散していた。

B.全体では「c.省エネ設備・機器の最新動向]が 19.8%と最も多く、「d.他事業者の省エ

ネルギー実施事例」(15.5%)と「g.具体的な省エネ実施方法」(12.9%)と合わせて、省

エネ対策に直接つながる設備の更新や改造のための内容が多かった。

C.また、「a.省エネに係る政策動向」(15.5%)と「f.法定手続き(定期報告書等の書き方等)」

(12.9%)等の省エネ法に関わる内容もそれぞれ 10%以上あった。

D.具体例では、以下のような内容があった。

・経済産業局や省エネルギーセンター等が開催する講習会

・メーカー主催による事例発表会や見学会等

・社内やグループ会社の責任者や担当者が集合しての技術検討会等

図 4.3.3 現在の教育内容

(集計数:企画推進者 234、管理者等 332、合計 566(複数回答))

24.1

32.4

29.4

32.9

31.7

32.1

24.1

19.4

21.1

11.4

13.7

12.8

7.6

2.9

4.6

0% 20% 40% 60% 80% 100%

企画推進者

管理者等

合計

割合

a.整っている b.やや整っている c.どちらともいえない

d.あまり整っていない e.整っていない

16.7

14.8

15.5

9.8

6.0

7.6

19.7

19.9

19.8

14.1

16.6

15.5

9.4

9.9

9.7

12.8

13.0

12.9

12.0

13.6

12.9

0.4

1.8

1.2

5.1

4.5

4.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

企画推進者

管理者等

合計

割合

a.省エネに係る政策動向 b.エネルギー管理(体制構築、着眼点等)

c.省エネ設備・機器の最新動向 d.他事業者の省エネルギー実施事例

e.判断基準の解説・管理標準の作り方 f.法定手続き(定期報告書等の書き方等)

g.具体的な省エネ実施方法 h.その他

i. 特になし

Page 102: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

98

(3)「④現状3:③の内容について、誰から教育を受けていますか。(複数回答可)」

回答結果を図 4.3.4 に示す。結果は以下のとおりである。

A.社外講師が半分以上を占め、全体で 58.6%あった。

B.社内講師は、管理者等が企画推進者より 9.8 ポイント多く、工場内の上司や先輩を具体的に

あげた回答も多かった。

C.具体例では、社外については、経済産業局、省エネルギーセンター、関連団体(工業会など)

及びメーカー等、社内については、上司、先輩及び技術系社員等であった。企画推進者が講

師を務める例もあった。

D.その他は、インターネットや雑誌等の媒体と、特別な講師は立てないが検討会への参加が教

育と考えられる場合等である。

図 4.3.4 教育をする人(組織)

(集計数:企画推進者 89、管理者等 167、合計 256(複数回答))

(4)「⑤現状4:年間にどの程度の頻度で教育を受けていますか。」

回答結果を図 4.3.5 に示す。年 2~5回が最も多く、合計の 48.9%であった。また、毎月実施

しているのも 11.4%あり、定例会議の利用や外部コンサルとの会議等であった。

図 4.3.5 教育の頻度

(集計数:企画推進者 80、管理者等 139、合計 219)

59.6

58.1

58.6

22.5

32.3

28.9

18.0

9.6

12.5

0% 20% 40% 60% 80% 100%

企画推進者

管理者等

合計

割合

a.社外(の講師や専門家など) b.社内(の先輩社員や上司など)

c.その他

21.3

35.3

30.1

56.3

44.6

48.9

2.5

4.3

3.7

2.5

5.8

4.6

1.3

1.4

1.4

16.3

8.6

11.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

企画推進者

管理者等

合計

割合

1回/年 2~5回/年 6回/年

12回/年 不定期 記載なし

Page 103: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

99

3.2.3 エネルギー管理士の教育のニーズ

(1)「⑥ニーズ1:今後、どのような内容について知識を習得したいと思っていますか。(複数

選択可)」

回答結果を図 4.3.6 に示す。結果は以下のとおりである。

A.全体では「g.具体的な省エネ実施方法」が 20.5%と最も多く、次いで「c.省エネ設備・

機器の最新動向」(18.6%)と「d.他事業者の省エネルギー実施事例」(18.5%)であり、

省エネ対策に直接つながる設備の更新や改造のための内容が多かった。

B.この傾向は、前述の現状の教育と同様であるが、「g.具体的な省エネ実施方法」が現状より

も 7.6 ポイント多く、具体的方法を求める意向が強いことを表している。

C.また、「a.省エネに係る政策動向」は 12.8%と現状よりやや少ないものの、具体例で法改

正や補助金に関する情報を求めるニーズは多かった。

D.具体例では、以下のような内容があった。

・費用対効果の高い改善の実施方法や実例

・法改正に関する情報

・補助金に関する知識

・原単位の適切な算定方法

図 4.3.6 教育のニーズ

(集計数:企画推進者 230、管理者等 435、合計 665(複数回答))

(2)「⑦ニーズ2:⑥の内容について、知識を習得する方法として希望する形態はどれですか。

(複数選択可)」

回答結果を図 4.3.7 に示す。結果は以下のとおりである。

A.「c.企業・団体等が行う講習会への参加」が全体の 35.8%で最も多く、他は概ね 20%前後

であった。

B.具体例では、各種講習会の他、ウォークスルー省エネ診断等が挙げられた。

C.また、講習会の開催方法についての記載もあり、任意出席形式を望む意見と、逆に資質向上

講習のようにある程度義務化された講習の定期的な開催を望む意見の両方があった。

16.1

11.0

12.8

11.3

14.3

13.2

17.4

19.3

18.6

19.1

18.2

18.5

10.0

10.6

10.4

4.3

5.5

5.1

19.6

20.9

20.5

1.7

0.2

0.8

0.4

0.0

0.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

企画推進者

管理者等

合計

割合

a.省エネに係る政策動向 b.エネルギー管理(体制構築、着眼点等)

c.省エネ設備・機器の最新動向 d.他事業者の省エネルギー実施事例

e.判断基準の解説・管理標準の作り方 f.法定手続き(定期報告書等の書き方等)

g.具体的な省エネ実施方法 h.その他

i. 特になし

Page 104: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

100

図 4.3.7 知識を習得する形態の希望

(集計数:企画推進者 147、管理者等 255、合計 402(複数回答))

23.8

21.2

22.1

22.4

18.8

20.1

31.3

38.4

35.8

19.0

20.0

19.7

3.4

1.6

2.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

企画推進者

管理者等

合計

割合

a.省庁等からのメールマガジン

b.定期刊行物

c.企業・団体等が行う講習会への参加

d.国の制度(数年毎の受講義務)としての講習会への参加

e.その他

Page 105: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

101

第4章 調査対象事業者からの意見・要望

4.1 意見・要望の集計結果

現地調査で事業者から伺った意見・要望を内容によって分類し、表 4.4.1 及び図 4.4.1 に示す。

結果をまとめると以下のとおりであり、内容は事項に記載する。

①最も多かったのは、「A.省エネ推進目標に対する意見・要望」で 41.2%あり、原単位算定

方法や改善目標に関する意見等であった。

②また、「B.各種情報の提供への意見・要望」(12.0%)、「C.行政へのその他の意見・要望」

(10.8%)、「D.省エネ補助金の制度への意見・要望」(9.3%)と続き、省エネ情報の提供

や支援制度への要望に関するご意見が寄せられた。

表 4.4.1 調査対象事業者からの意見・要望の集計

事業者からの意見・要望内容 件数 割合%

A.省エネ推進目標に対する意見・要望 175 41.2%

B.各種情報提供への意見・要望 51 12.0%

C.行政へのその他の意見・要望 46 10.8%

D.省エネ補助金の制度への意見・要望 42 9.9%

E.判断基準等に関する意見・要望 39 9.2%

F.講習会、省エネ診断等への意見・要望 26 6.1%

G.所管官庁への書類提出等に関する意見・要望 26 6.1%

H.その他 20 4.7%

合計 425 100.0%

現地調査で意見・要望があった 313 事業者の内容を集計(複数意見あり)

図 4.4.1 調査対象事業者からの意見・要望の集計

A.省エネ推進

目標に対する意

見・要望41.2%

B.各種情報提

供への意見・要望12.0%

C.行政へのそ

の他の意見・要望10.8%

D.省エネ補助

金の制度への意

見・要望9.9%

E.判断基準等

に関する意見・要

望9.2%

F.講習会、省

エネ診断等への

意見・要望6.1%

G.所管官庁へ

の書類提出等に

関する意見・要望6.1% H.その他

4.7%

Page 106: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

102

4.2 意見・要望の内容

意見・要望の具体的な内容については以下のとおりである。

A.省エネ推進目標に対する意見・要望

内容の多くは原単位改善目標に関するものであった。事業者の原単位の悪化によって、Bク

ラスに指定されたため、関心が高まったことによる。

主な意見・要望は以下の通りである。

・現在の原単位は生産構成の変化が反映されていないので、原単位の分母を見直したい。そ

の方法を教えて欲しい。(調査時に個別に回答した)(同様意見多数あり)

・外的要因により原単位の悪化を余儀なくされている。例えば、製品に対する要求品質の上

昇、公害対策の実施又は良好な作業環境の確保などである。原単位の評価ではその実情を

考慮して欲しい。(同様意見多数あり)

・中長期目標としての年平均原単位 1%の改善目標を継続することは、年を追うごとに困難

になり非常に厳しい状況になって来ている。政策的に緩和して欲しい。(同様意見多数あり)

B.各種情報の提供への意見・要望

「同業他社の省エネ対策の実施例や最新の技術的な改善事例の情報が欲しい」等の意見が多

数寄せられた。特に同業他社の改善事例や原単位の算定方法の事例の紹介を望んでいた。

一般的な省エネ改善事例については、資源エネルギー庁や当センターのホームページ等を紹

介し、また原単位の算定方法については、調査時に個別に説明した。

主な意見・要望は以下の通りである。

・同業他社の原単位の算定方法を教えて欲しい。(同様意見多数あり)

・同業他社の改善事例を教えてほしい。(同様意見多数あり)

・省エネ改善のアイディア情報が欲しい。(同様意見多数あり)

・省エネ活動は利益に直結するので、積極的に予算化して実施するための省エネルギーの具

体例について知りたい。

C.行政へのその他の意見・要望

Bクラス指定の解除や条件緩和を望む意見も多く寄せられた。理由は先の「A. 省エネ推進

目標に対する意見・要望」に寄せられた内容と同じく、原単位の改善目標の達成が難しくなっ

て来ていることによる。

主な意見・要望は以下の通りである。

・原単位のみの評価でクラス分けするのではなく、事業特有の事情や事業者の努力の結果も

評価して欲しい。(同様意見多数あり)

・再生可能エネルギーを使用している点に関して、優遇措置をお願いしたい。

また、次のような行政の対応を期待する意見もあった。

・BM(ベンチマーク)制度の提供範囲を拡大して欲しい。事業所の位置付けがわかり、省エ

ネ活動推進の一助となる。

・省エネ活動推進に向けて、テナント入居者の協力のあり方について、省エネ法において、

より踏み込んだ内容として欲しい。

D.省エネ補助金の制度への意見・要望

事業者が進める省エネ対策には費用面で限界があるので、国の補助金制度により支援して欲

Page 107: 平成29年度 省エネルギー政策立案のための調査事業 - METI1 平成29年度省エネルギー政策立案のための調査事業 (工場等におけるエネルギーの使用状況及び管理実態に関する調査事業)

103

しいとの意見が多くあった。

また、補助金を活用した省エネ投資は原単位改善に極めて効果的なものだと広く認識されて

おり、応募要件の緩和等の具体的な内容が多かった。主なものは以下の通りである。

・補助金の応募要件の緩和をして欲しい。(同様意見多数あり)

・補助金を複数年度にわたって活用出来るようにして欲しい。

・募集枠について、大企業でも利用出来るチャンスを増やして欲しい。

・担当者が、補助金情報を楽に入手出来るようにして欲しい。

・公募開始から応募締め切の期間が短いので延長して欲しい。

・申請手続きに多大な労力と費用を要しており、採択されないときのリスクが大変大きくな

っている。簡潔な補助金申請や申請書作成に係る支援等を望む。また、実施後の報告の簡

略化もお願いしたい。

E.判断基準・管理標準に関する意見・要望

意見の多くは、「判断基準の内容の解釈が難しいので、自社設備の管理標準への具体的な適用

方法がわかりにくい」、「工場調査でアドバイスをうけ理解が深まった」との内容であった。

F.講習会、省エネ診断等への意見・要望

省エネ推進の新たな打開策を見つけるため、講習会や第3者による省エネ診断に関心を寄せ

る事業所が多かった。当センターで実施しているものやホームページで確認出来るもの等を紹

介した。なお、当センターが実施している省エネ診断は中小企業が対象なので、対象条件を緩

和して欲しいとの要望があった。

管理講習や管理研修について、開催場所の追加や実施時期の変更に関する要望があった。ま

た、管理標準に関する講習会開催を望む声もあった。

G.所管官庁への書類提出等に関する意見・要望

省エネ法以外にも他の省庁や自治体に同様の報告書の提出があるので、一本化出来ないか、

また報告書作成ツールが毎年のように変更になるので、何年間か固定していただけないかとの

要望があった。

H.その他

その他の意見・要望の中で、特徴的なものを以下に記す。

・外部専門家を活用して、エネルギー管理の充実を図りたい。

・ISOの取組みを強化することにより、今後の省エネ活動の充実につなげたい。

以上