26 346 9...12 %の伸び。野菜類、加工品の売上は それぞれ18%、20%増加。...

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農産物直売所の集客と販売拡大への支援 活動期間:平成24年度~(継続中) 南魚沼地域の農業は水稲主体の生産構造であり、米価低迷等による 農業所得減少の影響が大きいことから、豪雪地において通年営業する 大規模な農産物直売所のオープンを契機に、農業者の所 得向上に向け た管内直売所の販売拡大に取り組んだ。 その結果、直売活動における農業者の技術が向上し、雪国ならではの付 加価値商品(乾燥野菜、雪中野菜)の販売等により、管内農産物直売所の 総売上げは平成26年に346百万円(前年比+9%)に増加した。 新潟県 具体的な成果 売上額の向上 ■新設直売所への来店者数は前年から 12%の伸び。野菜類、加工品の売上は それぞれ18%、20%増加。 ■管内直売所 総売上は 346百万円 にまで向上 した。 乾燥野菜・雪中野菜の商品化と販売 70を超える乾燥野菜や雪中保管野菜が 商品化され販売開始。 ■冬期の有力商 品となり、平成 2512月~ 26 年3月の野菜類 売上げは前年比 60%増加。 【雪中保管野菜商品】 直売活動取組者の増加 ■新規オープンした直売所へ農産物・加 工品を出荷する会員が100名から130に増加。 品揃えの拡大と販売力の向上 ■野菜類や加工品等の品揃えが拡大。ま た販売促進のスキルが向上 し、売上げ を伸ばす農業者が増加。 ■年間100万円以上売り上げる農業者数 平成24年:4 平成26年:9 普及指導員の活動 平成24■農業者に対し、直売活動への参加や園 芸生産への取組を働きかけ。 ■直売用のお薦め農産物研修会等を開催 し、品目や栽培方法を説明。 ■店舗づくりや商品PR手法についての研修 機会を設け、販売力強化を指導。 ■農産加工商品の開発改善セミナーを開 催し、農産加工への取組を促進。 平成25■冬期の品揃え対策として、乾燥野菜・雪 中保管野菜等の付加価値商品づくりを推 進。 ■実証展示、試作試験等により具体的な取 組方法を提案し、留意点等を情報提供。 ■先進取組事例を視察・研修。 平成26年~ ■農産加工組織の設立・運営、商品開発等 を、外部専門家と連携しながら支援。 ■企画・販売力強化セミナー等を開催し、商 品のブランド化や改善を意識付け。 普及指導員だからできたこと ・農産物等の生産~加工~販売まで幅広い 知識を持ち、他地域の事例等を知る普及指 導員だからこそ、直売活動へのきめ細かい 支援ができた。 ・農業者と密に接し、コーディネート力を持 つ普及指導員だからこそ、多くの関係者と 協力した取組ができた。

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農産物直売所の集客と販売拡大への支援 活動期間:平成24年度~(継続中)

○ 南魚沼地域の農業は水稲主体の生産構造であり、米価低迷等による 農業所得減少の影響が大きいことから、豪雪地において通年営業する 大規模な農産物直売所のオープンを契機に、農業者の所 得向上に向け た管内直売所の販売拡大に取り組んだ。 ○ その結果、直売活動における農業者の技術が向上し、雪国ならではの付 加価値商品(乾燥野菜、雪中野菜)の販売等により、管内農産物直売所の 総売上げは平成26年に346百万円(前年比+9%)に増加した。

新潟県

具体的な成果

1 売上額の向上 ■新設直売所への来店者数は前年から 12%の伸び。野菜類、加工品の売上は それぞれ18%、20%増加。 ■管内直売所 の総売上は 346百万円 にまで向上 した。

2 乾燥野菜・雪中野菜の商品化と販売 ■70を超える乾燥野菜や雪中保管野菜が 商品化され販売開始。 ■冬期の有力商 品となり、平成 25年12月~ 26 年3月の野菜類 売上げは前年比 60%増加。 【雪中保管野菜商品】

3 直売活動取組者の増加 ■新規オープンした直売所へ農産物・加 工品を出荷する会員が100名から130名 に増加。

4 品揃えの拡大と販売力の向上 ■野菜類や加工品等の品揃えが拡大。ま た販売促進のスキルが向上 し、売上げ を伸ばす農業者が増加。 ■年間100万円以上売り上げる農業者数 平成24年:4 → 平成26年:9

普及指導員の活動

平成24年 ■農業者に対し、直売活動への参加や園 芸生産への取組を働きかけ。 ■直売用のお薦め農産物研修会等を開催 し、品目や栽培方法を説明。 ■店舗づくりや商品PR手法についての研修 機会を設け、販売力強化を指導。 ■農産加工商品の開発改善セミナーを開 催し、農産加工への取組を促進。

平成25年 ■冬期の品揃え対策として、乾燥野菜・雪 中保管野菜等の付加価値商品づくりを推 進。 ■実証展示、試作試験等により具体的な取 組方法を提案し、留意点等を情報提供。 ■先進取組事例を視察・研修。

平成26年~ ■農産加工組織の設立・運営、商品開発等 を、外部専門家と連携しながら支援。 ■企画・販売力強化セミナー等を開催し、商 品のブランド化や改善を意識付け。

普及指導員だからできたこと

・農産物等の生産~加工~販売まで幅広い知識を持ち、他地域の事例等を知る普及指導員だからこそ、直売活動へのきめ細かい支援ができた。

・農業者と密に接し、コーディネート力を持つ普及指導員だからこそ、多くの関係者と協力した取組ができた。

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新潟県

農産物直売所の集客と販売拡大への支援 ~雪国ならではの付加価値商品づくりと販売力強化に向けた普及活動~

活動期間:平成 24 年~平成 26 年(継続中)

1.取組の背景

・新潟県南魚沼地域は県の南部に位置し、豊かな自然環境や温泉等の観光資源に

恵まれており、また国内でも指折りの豪雪地である。

・地域の農業は水稲主体の生産構造であり、米価低迷等による農業所得減少の影

響が大きい。

・一方で、観光客等、交流人口の多い地域の特徴を生かした農業の活性化が求め

られている。

・平成 24 年7月に管内では初めてとなる大規模な農産物直売所「四季味わい館」

がオープンしたことから、これらを指導対象として農業者の所得確保に向けた

管内直売所の販売拡大に取り組んだ。

2.活動内容(詳細)

(1)活動体制

・所内では6次産業化支援チームと地産地消担当職員が主体となり、JAな

ど関係機関と協力した上で、直売所における農産物の品揃え拡大や集客力

向上のための活動を実施。

(2)活動内容

ア 直売所参加農業者への意識付け

・「四季味わい館」のオープン時には、野菜等の商品不足が懸念されたため、

出荷協議会の設立に併せ会員に対する出荷品目や数量の見込み調査を実

施。

・調査結果を基に、開設時に多くの商品が出されるよう生産を働きかけると

ともに、比較的短期間で収穫可能な葉物野菜、カブ等の栽培を提案。

・農業者は小松菜やはつかだいこん等への栽培に取り組み、オープン時には

これらに加えきゅうり、アスパラガス等の地元産野菜が店頭に並んだ。

イ 生産対策・企画販売力の強化支援

・農業者が農産物の生産から加工・販売までの技術を向上させ、直売所の運

営に主体的に関われるよう、座学や視察など各種の研修を体系的に実施。

・「四季味わい館」のオープン直前から

これまでに、直売用野菜の栽培技術研

修会、販売力強化に向けた研修会、農

産加工商品の開発改善セミナー、農産

物直売所先進事例の視察研修会など、

計 30 回以上開催.

・農業者は各種の研修に積極的に参加

し、栽培や販売、加工品開発のスキル

アップにつながった。

・また、先進直売所の視察研修は、毎回

定員を上回る参加者があり盛況。 【積極的に研修に参加】

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ウ 雪国ならではの付加価値商品づくり支援

・豪雪地帯である当地域では冬期間の農産物生産が困難で商品が減少するこ

とから、雪国ならではの付加価値のある商品づくりを支援。

・保存が利き使い勝手の良い乾燥野菜や、糖度が増すとされる雪中保管した

野菜についての勉強会等により、取り組みを働きかけ。

・農業者の協力を得て様々な野菜の乾燥法を提示したり、簡易な野菜の雪中

保管法を実証展示して、効果と留意点を農業者に情報提供。

・JAが電気乾燥機を導入したこと等により、農業者は乾燥野菜の商品化を

開始。

・また、実証展示した野菜の雪中保管法を取り入れたり、古くからある方法

に工夫を加えるなどして雪中野菜の生産、販売に取組み。

3.具体的な成果(詳細)

(1) 会員数・品揃え(農産物、農産加工品)の増加と販売力の向上

・「四季味わい館」の出荷協議会員の

うち、農産物・加工品を出荷する会

員は当初の100名から130名に増加。

少量多品目の園芸生産等への意欲的

な取組が拡大。

・直売所で販売される野菜類や加工品

等の商品の品揃えが増加し、売上向

上に寄与。

・また、商品デザインや販売促進方法

などにおける農業者の販売力が向

上。 【加工品等の品揃えが拡大】

・これに伴い、「四季味わい館」で農産物等を年間に 100 万円以上売り上げる

会員数は、当初の4から9に増加。

(2) 乾燥野菜・雪中野菜の商品化と販売

・農業者による 70 を超える乾燥野菜商品や雪中保管野菜商品が数多く出され、

販売開始。

・店舗では冬期の有力商品として売上が増加。H25 年 12 月~H26 年3月期の野

菜類売上は前年比 60%増。

【商品化された乾燥野菜と雪中保管野菜】

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(3) 売上額の向上

・「四季味わい館」の H26 年

の来店者数は前年と比較し

12%の増加。売上は前年比

9%増となり、活動目標を

ほぼ達成。

・野菜類の売上げは前年比

18%の増加。また農産加工

品の売上は 20%の増加。

・管内直売所の総売上は 346

百万円にまで向上した。

4.農家等からの評価・コメント(四季味わい館出荷協議会役員 K氏)

・オープンして3年目の直売所だが、こ

こまで順調に仲間も増え、売上も拡

大。

・普及センターによる野菜の作り方や売

り方の研修、また県内外の直売所の視

察など、勉強する機会の創出に感謝。

・多くのお客様が直売所を訪れ、地域が

さらに活性化するよう、これからもサ

ポートに期待。

・仲間とともに研究しながら、直売所を

盛り上げていきたい。直売活動はとて

も楽しい。 【お客様で賑わう「四季味わい館」】

5.普及指導員のコメント(南魚沼農業普及指導センター・課長代理・

長谷川裕二)

・当該の直売所は道の駅に設置された管内初の大規模店舗であり、関係者の期

待も大きかった。

・様々な研修や視察を企画・開催したが、農業者等が年齢や性別を問わず非常

に熱心に参加していたのが印象的。

・直売所をもっと魅力ある施設とするため、直売活動の更なるレベルアップを支

援し、お客様を飽きさせずリピーターとなっていただけるよう、新しい打ち出

しや個性的な商品開発を提案していきたい。

6.現状・今後の展開等

(1) 農業者・農産物直売所の生産・販売・商品開発力等の更なる向上

農業者等の直売活動における技術向上を支援するとともに、観光地という立

地条件を活かした直売所の発展方向を提案。

(2) 新設予定の農産物直売所の安定運営

H27 年度に南魚沼市大和地区に開設する直売所に対し、栽培技術や農産加工

品開発等を支援。