21世紀の社会構造に対応する 農業農村整備の展開方向 ·...

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21世紀の社会構造に対応する 農業農村整備の展開方向 (施策事例集) 資料 1-3 平成17年12月6日

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21世紀の社会構造に対応する

農業農村整備の展開方向

(施策事例集)

資料 1-3

平成17年12月6日

資 料 目 次

組織化・法人化を加速化する基盤整備

○農事組合法人さわやか田打 (広島県世羅郡世羅町、三原市)

企業参入や輸出等の農業経営戦略を支える基盤整備

○地域・企業協働基盤整備推進対策

○良好な営農条件を備えた基盤の確保によるリンゴの輸出 (青森県津軽地域)

○畑地かんがい施設による高品質な茶の輸出 (静岡県御前崎市他)

農業水利ストックの効率的な更新保全管理の考え方

○機能診断による施設の長寿命化 (開水路)

○機能診断による施設の長寿命化 (トンネル)

農地・農業用水等の資源保全施策の構築

○三郷堰地区の事例 (山形県天童市)

地域の資源を利用した循環型社会の構築

○バイオマス利活用と小水力発電の実施状況 (農村振興局分)

○バイオマス利活用フロンティア整備事業雫石地区 (岩手県岩手郡雫石町)

○農業用水路の落差を利用した小水力発電 (石川県松任市)

良好な農村景観の保全・創出

○街並み(景観)づくり100年運動 (山形県金山町)

農村地域の生物多様性の保全する農業農村整備

○メダカやタナゴなどのネットワークの保全 (鳥取県大谷地区)

農業を核とした地域の活性化

○1集落1農場、余剰労働力活用による観光農園の展開 (岩手県遠野市)

○基盤整備を契機に地域の活性化 (石川県珠洲市)

都市住民等の参画による地域の活性化

○滞在型市民農園に都市住民の希望殺到 (北海道秩父別町)

○中山間地域の新規就農者の定住促進 (広島県神石高原町)

○土地改良区がUターン就農者を積極的に呼びかけ (栃木県宇都宮市)

○NPOによる耕作放棄地解消と地域の活性化 (山形県須玉町)

○人材育成を支援するさまざまな仕組み

市町村の広域化に対応したネットワークの強化

○過疎化・高齢化に対応し、集落を超えて法人化 (山口県阿武町)

○中山間総合整備事業による情報基盤の整備 (広島県三次市)

1

集落営農組織化までの経緯

農事組合法人さわやか田打 (広島県世羅郡世羅町、三原市)

ほ場整備の実施を契機として、全戸参加の集落営農型の農業生産法人の設立。さらに、女性が主体となり、味噌、豆腐等の加工・販売など多角経営化。

○中山間地域において特定農業法人化。

○役員8人、オペレータ6人、非農家が準組合員と

して参加。

○育苗から管理作業まで全組合員が携わる体制

を確立。

○味噌、豆腐等の加工を行い、産直市やインターネット

で販売。

大型機械による作業できる作業で全員参加

集落営農の状況

組織化・法人化を加速化する基盤整備施策事例

農地集積の状況

事業実施前(未整備・個別経営) 事業実施後(法人化で一括経営)

○田打地区では、全戸が2種兼業(80a/戸)

各戸が農業機械を所有する非効率的な個別経営

H6 田打振興会 地域づくり再スタート

H7 田打振興会内に環境整備委員会設置

○ほ場整備の気運の高まり

H8 営農組合・土地改良区設立準備委員会に改組

H10 県営ほ場整備事業 採択

H11 集落営農型農業生産法人設立の方針決定

○農業生産法人「さわやか田打」を設立・地区農家59戸中51戸の参加・育苗から防除、畦畔・水管理等の作業も含めた作業体制を確立

事業実施を契機とし、地域の営農方針について4年間議論

と うち

集積率(H16) 90%大区画化率(1ha以上) 35%

大麦 13.1 ha

ハウス野菜 0.3 ha

水稲 28.6 ha

大豆 7.8 ha

2

(参考)農事組合法人さわやか田打の役割分担

総会:組合員51名、準組合員(非農家)10名

役員会

部員3名

部員3名

部員3名

理事会8名

組合長

専 務

総務部

労務機械部

栽培加工部

部 長副部長

部 長副部長

部 長副部長

庶務、経理、土地利用計画など

労務計画、機械利用など

栽培管理、生産物加工販売など

代かき

田植え

防除

稲刈り

水管理

育苗

播種

刈取

乾燥調整

農産物加工販売

野菜栽培

オペレーター6名

で大型機械運転

○作業分担の概要

組合員は出来る範囲で農作業に参加

○体制の概要

準組合員は地域の振興活動に参加

大豆・大麦

3

企業参入や輸出等の農業経営戦略を支える基盤整備施策事例

地域・企業協働基盤整備推進対策

地域農業を支える新たな担い手の育成・確保のために、農外企業の農業参入等を支援する基盤整備をモデル的に実施。

※PPPの手法を活用し、整備の段階から企業が関与

耕作放棄地

[事業実施前]

[事業完了時]

農作業受委託

市町村レンタル 農業企業

地元農家

農作業受委託

市町村レンタル 農業企業

地元農家作業受託からレンタルへステップアップ

[1年目]

農外企業

[3年目]市町村レンタル

地元農家農外企業

農作業受委託農外企業

※企業は事業の担い手として農地の受託や借入を年々増加

※農業経営が成り立つ農地を取得

※農業経営の確立 → 農業生産法人へ[事業完了後]

事業実施地区

16.5%

6.0%

9.8%

5.7%

31.1%

18.4%

18.1%

33.3%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0%

その他の分野

文化レジャー・観光分野

健康・福祉関連分野

情報通信(IT)関連分野

環境・リサイクル関連分野

農業等一次産業関連分野

建設関連分野(住宅リフォームを除く)

住宅リフォーム分野

資料:H17.5 建設業のソフトランディング対策に関するアンケート調査結果(北海道庁)

【具体的な取組内容の例】農業法人設立、酪農業、コントラクター事業オーストリッチの肥育・生産、観光農園既存施設で玉ネギ集荷

(参考)北海道における建設業の新分野進出・多角化の取組状況

取組分野 (複数回答可)

新分野

模索中

35.9%

進出しない

37.0%

既に進出し

ている

16.3%

無回答

4.0%

具体的に

検討中

6.8%

○農業への参入予定企業を

「経営体育成基盤整備事

業」の担い手として新た

に位置付け

○モデル地区を具体的に支

援し、実証的・先導的に

調査・検討。

○北海道下川町、青森県田舎館村、島根県大田市において平成17年度より実施中。

対策のイメージ

モデル調査

ハード・ソフト施策

4

企業参入や輸出等の農業経営戦略を支える基盤整備

良好な営農条件を備えた基盤の確保によるリンゴの輸出 (青森県津軽地域)

果実の輸出額トップであるりんごは、そのほとんどを青森県から輸出しているが、主要な産地では、畑地帯総合整備事業等により、良好な営農条件を備えた基盤を確保。

施策事例

多目的給水スタンド

手撒きに比べ、作業時間も低減

【りんご農地整備面積と輸出量の推移】

整備と輸出産地 整備による高品質化

○運搬時の荷痛みに伴う品質低下を防止

○防除用水の適期供給や防霜ファンによる品質の確保

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15

(

h

a

)

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

量(

t

)

りんご農地整備面積

輸出量

主たる輸出産地

畑総実施地区

青森市

弘前市

中南農業地域(津軽地域)

防霜ファン

5

企業参入や輸出等の農業経営戦略を支える基盤整備

畑地かんがい施設による高品質な茶の輸出 (静岡県御前崎市他)

施策事例

畑地帯総合整備事業によるかんがい用水の多目的利用により、安全で低コスト、高品質な茶を栽培、北米やドイツの他、中国、フランス、韓国等を対象に輸出促進。

本事業の用水施設整備による畑地かんがい、病害虫防除、施肥、凍霜害防止等の多目的利用により、 安心、安全、高品質な茶を栽培。これにより、安全で低コスト、高品質が求められる輸出緑茶に対応可能となった。

整備と輸出の関係 整備による高品質化

牧之原地区の畑かん整備面積と

地区の代表的茶工場Y社の輸出量

0

20

40

60

80

100

H12 H13 H14 H15 H16

数量(t)

100

200

300

400

畑かん施設整備面積(ha)

数量(t) 畑かん施設整備面積(ha)

畑地帯総合整備事業牧ノ原浜岡地区の受益農家が出荷する代表的茶工場では、北米を中心とした輸出量が、本地区の整備の進展に伴いH12年に45tであったものが平成16年には93t(日本の総輸出量のシェアの10%強)まで増加。

散水状況(上)と防霜かんがい状況(右)

6

施策事例 農業水利ストックの効率的な更新保全管理の考え方

施設の状況

・水路延長8km、受益面積700ha

・水路造成後40年が経過し、水路壁の摩耗が進行

施設の機能確保のための取組

【従来の対応】

ライフサイクルコスト

26百万円/年

【長寿命化に向けた取組】

ライフサイクルコスト:22百万円/年

年当たり4百万円の低減効果

・耐用年数を目安として、全線を一括して更新

・機能診断を行った結果、施設本体の強度を確認・摩耗の進行を抑制するための表面被覆工を実施

機能診断による施設の長寿命化 (開水路)

水路壁の劣化に対応し、従来であれば全線を一括更新するところ、表面被覆により施設の寿命を20年延伸。年当たり4百万円のコスト低減。

相模川左岸用水路 (神奈川県)

7

施策事例 農業水利ストックの効率的な更新保全管理の考え方

機能診断による施設の長寿命化 (トンネル)

トンネルの壁面にひび割れが発生。従来であれば全線を補修するところ、機能診断により一部のひび割れのみを補修し、施設の寿命を10年延伸。年当たり5百万円のコスト低減。

施設の状況

・耐用年数を目安として、全線を補修(内巻き工法)

・水路トンネル延長2.6km受益面積2,300ha

・施設造成後15年が経過し、トンネルの側壁にひび割れが発生

施設の機能確保のための取組

ライフサイクルコスト

45百万円/年

【長寿命化に向けた取組】

・機能診断を行った結果、施設の本体の安全を確認・高強度モルタル吹付工法によりトンネルの崩壊の原因となるひび割れを補修

ライフサイクルコスト:40百万円/年

年当たり5百万円の低減効果

【従来の対応】黒西合口トンネル (富山県)

8

施策事例 農地・農業用水等の資源保全施策の構築

土地改良区がコーディネート、集落が活動を支える重層的な維持保全管理体制が整い効率的・効果的な保全管理を実施。また、農業者と地域住民が一体となって、さまざまな環境保全活動を実施。

三郷堰地区の事例 (山形県天童市寺津・藤内新田集落)

主な共同作業の状況 農村の環境保全等の多様な活動

地先の農家が個人で年3回、共同作業として年1回実施。

草刈りは草刈り機を使用し、草は現地で土に還す。

土地改良区で実施。

農道

・草刈り

・処理状況

・見回り点検

土地改良区より維持管理費の支給を受けて、集落で泥上げ、草刈りを実施。

泥上げ作業は、非農家を含めた共同作業として年1回実施。

草刈りは、地先の農家が個人で年3回、共同作業として年2回実施。

泥は水路沿いに放置。

草刈りについては、草刈り機を使用し、草は現地で土に還す。

用排水路

・幹線用排水路

・小用排水路

・処理状況

かんがい期間の毎水曜日は“水”の日とし、地域における農業用水への共通認識を醸成したり、「ふれんどしっぷ水辺の郷サミット」の開催など、さまざまな環境保全活動を実施。

ゴミ拾い活動ふれあい農園

景観作物の植栽

9

施策事例 地域の資源を利用した循環型社会の構築

農業の自然循環機能の維持増進や農村の活性化を図るため、農村に存在する有機性資源(バイオマス)の利活用や農業用水路の落差を利用した水力発電等、自然エネルギーの活用を促進する必要。農村地域に豊富に存在するこれらの資源の利用促進のためには、一層の効率化と低コスト化に向けた取組が必要。

バイオマス利活用と小水力発電の実施状況 (農村振興局分)

農業用水路の総延長は約40万km、地球10週分にのぼることから、発電可能量は約5,600億ワット時。資料:未利用落差発電包蔵水力調査(経済産業省委託(財)新エネルギー財団(NEF)実施)による。

小水力発電

バイオマス利活用フロンティア事業等

凡 例

加治川沿岸地区(内の倉発電所、2900kW)

西目地区(西目発電所、740kW)

迫川上流地区(荒砥沢発電所、1000kW)

会津北部地区(大平沼発電所、570kW)

会津宮川地区(新宮川ダム発電所、1100kW)

新安積地区(安積疎水発電所、2260kW)

那須野腹地区(那須野ヶ原発電所、340kW)

胎内地区(鹿ノ俣発電所、960kW)

五城地区(五城発電所、1100kW)愛本新地区

(愛本新発電所、530kW)

庄川右岸地区(安川発電所、640kW)

庄川地区(示野発電所、550kW)

打尾川地区(臼中発電所、910kW)

中島地区(七ヶ用水発電所、640kW)

上郷新地区(上郷発電所、640kW)

備北地区(大佐ダム発電所、510kW)

高田地区(高田小水力発電所、282kW)

吉井川下流地区(新田原井堰発電所、2400kW)

川小田地区(川小田小水力発電所、720kW)

大野原地区(大野原発電所、260kW)

両築平野地区(両築発電所、1100kW)

十三塚原地区(竹山ダム発電所、190kW) 金峰新地区

(金峰発電所、170kW)

土幌地区(湿式メタン発酵施設の整備)

雫石地区(湿式メタン発酵、堆肥化施設の整備)

天城地区(湿式メタン発酵、堆肥化施設の整備)

川西地区(堆肥化施設の整備)

保内・大島地区(堆肥化施設の整備)

上越地区(木質バイオマス混錬技術施設の整備)

福岡地区(堆肥化施設の整備)

日田地区(湿式メタン発酵、堆肥化施設の整備)

鹿本地区(湿式メタン発酵、堆肥化施設の整備)

大宇陀地区(乾式メタン発酵、堆肥化施設の整備)

旭地区(湿式メタン発酵、堆肥化施設の整備)

愛東地区(炭化、バイオディーゼル施設の整備)

八尾地区(炭化、堆肥化施設の整備)

新庄地区(バイオエタノール)

十勝地区(バイオエタノール)

10

施策事例 地域の資源を利用した循環型社会の構築

町及び民間企業が出資した共同事業体により、町内の農場からの家畜排せつ物と学校などからの生ゴミを利用し、メタン発酵による発電を行い、施設内の電力として利用し、余剰電力は売電。同時に堆肥も生産し農場内で使用。

バイオマス利活用フロンティア整備事業雫石地区 (岩手県岩手郡雫石町)

整備の概要 施設の運営計画

○メタン発酵施設、堆肥化施設を総事業費10億円で農場敷地内に建設。

堆肥化施設

メタン発酵施設

エネルギー利用発電施設

施設内電力として利用

発電 約1,300MWh/年

約600MWh/年

堆肥 約6,000 t/年液肥 約13,000 t/年

雫石町

食品会社

学 校

食品加工場

農 場

食品会社

食品加工場

乳牛舎

鶏舎

肉・育成牛舎

乳牛糞

肉・育成牛糞

鶏糞

学校等給食等加工残渣

食品廃棄物

食品廃棄物

農場への売電

農場等

食品廃棄物 約8,000t/年

家畜排せつ物 約20,000t/年

食品廃棄物 約2,500t/年

バイオガス

液肥

堆肥

収入 食品廃棄物・家畜糞尿処理委託費(予定)売電収入等 136百万円/年

支出 人件費、維持管理費(予定)減価償却費 117百万円/年

○平成16年4月に事業運営会社「バイオマスパワーしずくいし」を設立し、余剰電力と堆肥の販売を事業化。平成18年3月から操業開始予定。

11

施策事例 地域の資源を利用した循環型社会の構築

手取川七ヶ用水土地改良区では、農業用用水路の落差を利用する小水力発電を整備し、一連の管理下にあ

る土地改良施設の操作に必要な電力を供給。

農業用水路の落差を利用した小水力発電 (石川県松任市)

○平成16年に県営かんがい排水事業で整備。(発電所:1,453百万円)

○北陸電力との買電契約を結び運転開始。

○最大出力630KWを発電。

整備の概要 収入と効果

m3

発電所全景(下流側)と内部の状況

発電水利パターン

4,441千円土地改良施設電力料72%の負担軽減

3,179千円売電差額

(人件費、減価償却費等)34,371千円支出

37,550千円売電収入

平成16年度収支

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

流量 

( /

期 別 水 量

0.0

60.0

50.0

40.0

30.0

20.0

10.0発電取水量

20 1320 4 11

8,89

15.00

8.89

13.91

20,39

19.82

20.85

30.00

50.10

31.21

13.91

(4/20~5/3の内1週間)凡 例

七ヶ用水水利権流量

発電所下流水利権水量

発電水利権水量

33.10

12

施策事例 良好な農村景観の保全・創出

町民が安心かつ快適に住める環境づくりの一環として、景観政策を推進。あわせて地場産業の振興や人と自然の共生を図る「街並み(景観)づくり100年運動」を推進。

街並み(景観)づくり100年運動 (山形県金山町)

農村景観保全の経緯 農村景観の配慮と保全

○明治11年にイギリス人女性イザベラ・バードが訪れ、 「日本奥地紀行」に人と自然の調

和した風景を賞賛。

○昭和58年より、100年前のイザベラ・バードの見た金山の風景を100年かけて取り戻そうと「街並み(景観)づくり100年運動」を推進。

○昭和55年コンクリート造りではなく雑割石で農業用水路を整備。錦鯉250尾余を放流し、町の景観政策のシンボルに。

○昭和61年に「金山町街並み景観条例」、「街並み形成基準」及び助成制度を制定。

景観条例に基づいて建設された農業集落排水施設

農業用水路「大堰」と錦鯉

農業、生活、自然、歴史、文化が凝縮された金山の風景

13

施策事例 農村地域の生物多様性の保全する農業農村整備

メダカ等の魚類が生息する良好な生息環境を維持し、生物多様性を保全する観点から、ほ場整備にあたって、地区全体でネットワーク(移動経路及び生息環境)を考慮した環境配慮対策を実施。

メダカやタナゴなどのネットワークの保全 (鳥取県大谷地区)

環境配慮対策の考え方

整備後の状況

○用水路についてはパイプライン化し、農業の効率化を推進。排水路部分を中心に生態系配慮を実施。

・移動経路の確保

水路などの水のある範囲の全域について魚類の移動経路を確保。

・生息環境の保全

1年を通じて水がある範囲について、魚類の産卵や生息場としての機能を重点的に確保。

○排水路部分を中心にメダカ等のネットワークを考慮した環境配慮対策を適切に組み合わせ、地区全体で生物を保全

残地を活用し、魚類や、両生類、昆虫類の生息環境を確保

用地に余裕がない区間は、魚巣ブロックにより生息環境を確保

多孔質護岸に魚巣ブロックを組み合わせ、様々な魚類の生息拠点を確保

現地の石を有効活用し、産卵や成育の拠点を確保

河川(下流側)

(上流側)

地区の概要

○工期H12~H18(予定)

受益面積 68.8ha

○基盤整備によりメダカ等が生息する貴重な環境が消失し、絶滅が危惧されたため、~生きものにやさしい大谷田んぼ~をスローガンに対策を実施。

凡 例

一時的水域

恒常的水域(1年中水がある排水路)

凡 例

(水量が多いときのみ水がある排水路)

14

施策事例 農業を核とした地域の活性化

一集落一農場、余剰労働力活用による観光農園の展開 (岩手県遠野市)

ほ場整備事業を契機とし、「一集落一農場」 を実現。低コスト化農業の実践とともに、余剰労働力を活用した

農産物の直売や加工食品開発を推進。

○H8宮守川上流生産組合を設立、農作業受託を開始

○H16.3農事組合法人化(183戸)○認定農業者21人○生産組合のオペレータ8人

ブルーベリー園

農地利用集積の状況 観光農園等の取組

○ブルーベリーなどの高付加価値作物の栽培や大豆の加工、さらには農産物直売所を経営。

基盤整備により大型農業機械の導入が可能となり労働時間削減

ブルーベリーの体験農園

農産物直売所 大豆加工工房

15

施策事例 農業を核とした地域の活性化

基盤整備を契機に地域の活性化 (石川県珠洲市)

ほ場整備の実施を契機に、5名の中核農家が水稲及び転作大豆の受託組織を育成し、法人を設立。さらに、米小売業の資格も取得し、有機米栽培等の直売を行うほか、都市との交流を促進。

○平成4年 大規模ほ場整備事業を契機に農事組合法人若山第一機械利用組合を設立し、水稲や転作大豆の作業受託

○平成7年 農業生産法人有限会社すえひろを設立し経営受託・作業受託

○平成8年 特定農業法人認定

法人化の経緯 様々な経営展開

水稲大豆

小豆など

水稲 大豆 小豆など

水稲 大豆 小豆など

水稲 大豆 小豆など

0 20 40 60 80

(ha)

7年

9年

11年

15年

品目別作付け面積

0 50 100

(ha)

7年

9年

11年

15年

作業受託面積 育苗

耕起

代かき

田植え

稲刈り

乾燥調製

低コスト・効率的な営農への取り組み水田直播・無人ヘリによる防除

減化学肥料・減農薬で栽培した米をブランド化平成13年度 石川県エコファーマー認定

平成12年 加工業者と共同出資してレトルト食品開発

都市と農村の交流促進による地域への若い活力導入

16

施策事例

滞在型市民農園に都市住民の希望殺到 (北海道秩父別町)

農村振興総合整備事業と新山村振興等農林漁業特別対策事業によって整備された滞在型市民農園の募集

に近郊の札幌市在住者を中心に定員枠の約2倍の応募。

都市住民等の参画による地域の活性化

市民農園の概要 滞在型農園への希望者

貸付内容 区 分 募集区画 貸付基準

簡易宿泊施設 畑 使用料

Aタイプ 7区画 1区画 1棟 100㎡ 年230,000円

Bタイプ 3区画 1区画 1棟 200㎡ 年250,000円

秩父別町交流体験農園なつみの里

滞在型市民農園の概要

札幌から自動車

で1時間強

秩父町が都市農村交流の促進のた

め、滞在型10区画・日帰り型28区

画の市民農園「なつみの里」を平成1

7年4月に開園。

滞在型農園の応募には、50~60代の札幌在住者を中心に10名の募集人数のところ23人が応募。

【平成17年度滞在型市民農園応募状況】

70代

2人40代

2人

50代

8人60代

11人

○ 年齢 ○居住地

北海道以外

3人

札幌市

13人

札幌市以外

の北海道

7人

ちっぷべつ

17

施策事例

新規就農の概要 営農状況

中山間地域の新規就農者の定住促進 (広島県神石高原町)

中山間総合整備事業による優良農地の確保と、県単独事業による定住施設整備を行い、村外からの新規就

農者を受け入れ。新規就農者によるトマトの生産は順調に増加し、市場でも高い評価。

トマトの作付面積と収穫量の推移

6.3

10 .0 10 .8

418626

937

0

2

4

6

8

10

12

H6(整備前) H9(整備中) H11(整備後)

) 0

200

400

600

800

1000

1200収

(t

作付け面積;ha 収穫量;t

中山間総合整備事業に

より造成されたトマト団地

県単独事業により整備

された新規就農者の定

住施設

○新規就農者が円滑に営農開始できるように、

基盤整備と併せてハウス、共同選果場を同

時期に建設。○平成7~9年の新規就農者募集は約300件の問い合わせがあり、9家族(平均年齢32歳)が定住。

生産されたトマトは、地域の共同選果場で集出荷。

都市住民等の参画による地域の活性化

18

施策事例

土地改良区がUターン就農者を積極的に呼びかけ (栃木県宇都宮市)

清原南部土地改良区では、基盤整備を契機に畑かん用水を使った組織的営農に転換。担い手対策として都

市に出ていた後継者に就農を呼びかけ、営農講習会、研修会を積極的に実施。

基盤整備を契機とした営農の組織化 新規就農促進などの取り組み

○県営畑地帯総合土地改良事業の実施を契機に

土地改良区が「明るいむらづくり推進会議」を組

織。

○担い手対策や高付加価値農業の確立、販路の

開拓に向けてさまざまな取り組み。

○都市在住の後継者に就農を呼びかけ、新規就農

者のために講習会、研修会を実施。○畑かんによる収益の大幅な向上もあり、約300名の組合員中、40代の後継者が30名超に。

○平成2年の事業実施以降、H17年4月までのUターンを含む新規就農者は38名に。

清原南部土地改良区

地域交流促進部会

明るいむらづくり推進会議

婦 人 部 会

営農専門部会

事業企画部会

都市住民等の参画による地域の活性化

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施策事例

NPOによる耕作放棄地解消と地域活性化 (山梨県須玉町)

構造改革特区の認定を受け、NPO法人「えがおつなげて」による耕作放棄地2.2haに大豆作付。都市農村交流の拠点として地域活性化。

耕作放棄地解消の概要 都市農村交流の概要

○農園として都市住民にも開放し、農業体験や田

舎暮らしの講習会も開催。

○地域の自然環境も利用し、子供の体験学習も実

施。

○町が農地を借り受けNPO法人に貸付。○全国から参加したボランティアにより2.2haの耕作放棄地に大豆、野菜を作付。

○地域の加工所などで、味噌などを加工販売。

ボランティアによる開墾 野菜の作付け 子供達の体験学習 家族連れでの農業体験

都市住民等の参画による地域の活性化

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施策事例

人材育成を支援するさまざまな仕組み

都市住民等の多様な主体の参画による地域活性化の促進のためには、受け入れ側における多様な人材育

成が不可欠。農業農村整備においても、施設の管理、環境、農地・農業用水等の資源保全等さまざまな分野

で人材育成を支援。

都市住民等の参画による地域の活性化

・土地改良区等が管理する施設の技術管理の指導又は助言、

及び技術者の育成(H15~)・基幹的な水利施設につき多面的機能に対する理解を深め、

非農家の管理参画を促す枠組み作り支援(H12~)

基幹的な水利施設の管理技術向上や管理体制の強化 (参考)都市と農村の交流を図るために育成が必要な人材

43.0%

45.8%

58.8%

61.5%

65.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

イベントや体験プログラムの企画などの総合企画が

できる人材

農林漁業体験等の指導ができる人材

地域住民の意見を集約できる人材

マーケティング等のノウハウを有する人材

農産物加工等の技術を有する人材

資料:都市と農村の交流に関する意識・意向について(平成12年10月調査)

農地・農業用水等の資源保全活動のリーダーの育成(H17~)

・農地・農業用水等の資源保全活動や農村環境の適切な管理の質的な向上を図る活動組織のコアとなる人材(市町村、土地改良区、JA、自治会、NPO等)を対象に参加・実践型の研修を実施。

環境相談員制度(H16~)

・農業農村整備事業における環境配慮の取組を支援するため、環境相談員が事業実施主体に助言。・環境相談員の助言を行う分野は、生物や景観、水質など多岐にわたりH16.7現在で241人が農林水産省に登録。

淡水魚類専門家

昆虫類専門家

景観専門家

環境相談員(人材バンク)

相談 派遣

事業実施予定地区

田んぼの学校(H11~)

・農地や水利施設を遊びと学びの場として活用することにより、豊かな感性と見識を持つ人を養成していくことをねらいとして実施。・(社)農村環境整備センターに支援センターを設け、テキストの紹介、指導者養成研修を実施。支援センターへの登録者数は現在1,007件。

環境保全の取り組みに対する支援

田んぼの生き物調査(H13~)

・環境省と農林水産省が連携して農業用水路やため池などの生物調査を実施。・平成16年度調査地点:魚類1922地点、カエル429地点

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施策事例 市町村の広域化に対応したネットワークの強化

過疎化・高齢化に対応し、集落を超えて法人化 (山口県阿武町)

山間地域という不利な条件でありながら、国営農地再編整備事業の実施を契機に4集落82haの農地を一括管理する「農事組合法人うもれ木の郷」を設立、地域を活性化。

「うもれ木の郷米」 「福賀スイカ」

集落営農の概要 経営展開の状況

○経営耕地面積 82ha○主要作目 水稲54ha、大豆15ha、すいか5ha、はくさい2ha○構成農家戸数 50戸(専業18戸、Ⅰ種兼業6戸、Ⅱ種兼業26戸○農地集積面積 82ha(利用権設定)

ほ場の大区画化と共に排水路、暗渠を整備し水田を汎用化

○「うもれ木の郷米」、「福賀(ふくが)すいか」など地域ブランドの確立にも積極的に取り組み、収益性の高い複合経営を実現。○組合員世帯の女性が「四つ葉サークル」を組織し、地域の環境美化運動や生鮮野菜の産直などに取り組み、地域の活性化に貢献

消費者との交流会の開催

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施策事例 市町村の広域化に対応したネットワークの強化

中山間総合整備事業による情報基盤の整備 (広島県三次市[旧君田村、旧布野村、旧作木村])

中山間総合整備事業で、生産基盤の整備を図ると共に、情報基盤施設を整備し農業情報、地域情報を発信。

中山間地域の合併市町村の連携や地域振興を促進。

○三次市では、合併に際し従来の自治振興区等の連合会を設置し、当該組織と連携し町づくりを推進。

○中山間総合整備事業により生産基盤の整備と共に情報基盤施設(さんそんネット)を整備。

情報基盤の概要整備の概要

農道やほ場整備を実施し、生産性向上と共に生活道を確保

中山間地域の地域振興、広域連携をより緊密にするため、地域農家に向けた農業情報等を発信すると共に、都市農村交流として地域の特産品、イベント情報等を消費者に発信。

57集落 23集落 85集落

7自治振興区 4自治振興区 12地域行政区

集落単位の自治組織を統合し大字毎の自治組織を設立。

さらに行政への住民窓口として自治組織の連絡調整のため旧村毎に自治連合会を設立。

集落連携の概要

生産基盤の整備

情報センター

インターネット

消費者 農家

・生産者情報・売れ筋ランキング・特産品案内・観光施設案内・地域イベント情報

・売上情報・売上自動集計

Web対応携帯

FAX

パソコン

自宅からパソコン

旅先でタッチパネル式公共端末

産地直売所

バーコードにより商品情報を読み取り○販売管理シムテム○地域情報システム

さんそんネット

産地直売所

君田自治連合会 布野自治連合会 作木自治連合会

( 行 政 )