2017.3.24 市中肺炎にステロイドは効く

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市中肺炎患者に対するプレドニゾン補助療法 :多施設共同二重盲検 ,無作為化プラセボ対照比較試験

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【 Introduction】 市中肺炎は長期間の罹患、死亡のリスクが高い。 市中肺炎では過剰な炎症性サイトカインの放出により肺機能不全を生じ得る。コルチコステロイドは抗炎症作用を示す。 コルチコステロイド補助療法は、肺炎球菌性肺炎に好ましい効果を示した事により、 1950年代以来議論されている。 市中肺炎で入院した患者でプラセボを対照に短期間のプレドニゾン補助療法の効果を調査した。

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【METHODS】  Study design and participants  2009年 12月 1日~2014年 5月 21日、市中肺炎で入院した患者は、入院 24時間以内に、スイスの 7つの 3次病院で登録された。●市中肺炎の定義 :胸部 X線写真で新しい浸潤影と、次の急性呼吸器徴候が 1つ以上存在する (咳、痰、呼吸困難、体温≧ 38.0℃,聴診で異常な呼吸音またはラ音、白血球>10000/μLまたは<4000/μL)。

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【METHODS】  Study design and participants●Inclusion criteria:18歳以上、市中肺炎で入院。●Exclusion criteria:インフォームド・コンセントを得られない、静注薬物を使用中、急性熱傷、過去3ヶ月以内の消化管出血、既知の副腎不全 (プレドニゾンの場合 0.5mg/kg/day以上を要する状態 )、妊娠、授乳中、重度の免疫抑制 (CD4細胞<350/μLの HIV感染、実質臓器移植後の免疫抑制療法、好中球<500/μL、化学療法中好中球 500-1000/μLで 500/μL未満に減少すると予期される、嚢胞線維症、活動性結核。

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【METHODS】  Randomisation and masking 患者は、 7日間プレドニゾン 50mg/日またはプラセボを投与する群に、 1:1で無作為に割り付けられた。 割り付けは、事前にコンピューターで生成した無作為化リストで盲検化された。プラセボは、地方のプレドニゾン製造業者で購入した。薬は、無作為化リストに従いスイス・バーゼル大学病院薬学科で同一の容器に包装された。患者、治療する医師、調査員、データ評価者は治療の割り当てに際し盲検化された。

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【METHODS】  Procedures●微生物学的評価 :ベースラインの血液サンプルを回収し、ウイルスを PCRで調べるため鼻咽頭拭いを行った。他の微生物学的評価は治療医に委ねた。●抗菌薬療法 :市中肺炎と判断するとすぐに抗菌薬を始めた。治療医はスイスの ERS/ESCMID ガイドラインに従い empirical regimenを選択した。殆どの患者はアモキシシリン・クラブラン酸またはセフトリアキソン単独で治療を始めた。臨床的にレジオネラ症の疑いがある、または ICUで治療を要する場合、 βラクタム系とクラリスロマイシンを併用した。病原体を特定するとすぐに感受性パターンに従い最適化された。

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【Outcomes】●primary endpoint: 臨床的安定までの期間 (バイタルサインが 24時間以上安定するまでの日数 )。 臨床的安定の定義 :体温≦ 37.8℃、心拍数≦ 100回 / 分、自発呼吸数≦ 24回 / 分、昇圧薬の投与なしで収縮期血圧≧ 90mmHg(高血圧患者の場合は≧ 100mmHg、精神状態が発症前レベルに回復、経口摂取が可能、適正な酸素供給(PaO2≧60mmHgまたはパルスオキシメトリ≧ 90 % )の全てを満たす場合。

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【Outcomes】●secondary endpoint: 退院、肺炎の再発、再入院、ICU入室、全死因死亡、静脈内抗菌薬療法の期間、PSI、市中肺炎の合併症 (ARDS、蓄膿症、肺炎の持続 )、コルチコステロイドの副作用 ( 例えば高血糖、高血圧、せん妄、院内感染、体重増加 )。  ICUに入院した患者では ICU 滞在時間、 ICU入院までの時間、 ICU 退院までの時間、昇圧薬療法の期間、人工呼吸器の期間。

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【METHODS】  Procedures  primary endpointは入院中 12時間毎に評価した。  secondary outcomesは退院後 30日目に電話で医療面接し評価した。  baseline dataは病歴、関連する併存症、肺炎の臨床的項目、肺炎重症度指数 (PSI)の算出に必要な変数を含む。 PCT、 CRP、白血球は、 1、3、 5、 7日目、退院前に検査し、グルコースを毎日検査した。

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【 Statistical analysis】 一次解析は ITT 解析。  primary endpontに関して、 Cox比例ハザード回帰で未調整ハザード比 (HR)、 95%CIを算出した。 臨床的安定を満たすまでに死亡した場合、死亡した日に観察を終了した。臨床的安定を満たさず生存している場合、 30日目で観察を終了した。全てのCIは両側 95% 信頼区間、両側 5%を有意水準とした。

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【 RESULTS】(Fig.1)Trial profile

プレドニゾン群 392人、プラセボ群 393 人を ITT 解析。

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【 RESULTS】(Table 1)Baseline characteristics

well balanced。患者の平均年齢は 74歳。487 人 /785 人 (62%)は男性。約半分は PSI class Ⅳ,Ⅴ。

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【 RESULTS】(Table 2)Overview of primary and secondary endpoints

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【RESULTS】(Table 2,Fig. 2)●primary endpoint:ITT 解析で臨床的安定までの期間中央値は、プレドニゾン群 3.0日 (IQR2.5-3.4)で、プラセボ群 4.4日 (IQR4.0-5.0)に比べ有意に短かった (HR1.33,95%CI1.15-1.50,p<0.0001)。●secondary endpoint: 退院までの期間中央値 (プレドニゾン群 6.0日 vs.プラセボ群 7.0日 ,p=0.012) および抗菌薬静注投与期間 (プレドニゾン群 4.0日 vs.プラセボ群 5.0日 ,p=0.011)は、プレドニゾン群で有意に短かった。 肺炎の再発、再入院、 ICU入室、全死因死亡、抗菌薬治療期間などは両群間に差はなかった。

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【 RESULTS】(Table 3)Complications and adverse events

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【RESULTS】(Table 3) 市中肺炎関連合併症 (ARDS、膿胸、挿管を要する呼吸不全、肺炎の持続、市中肺炎に伴う死亡 )はプラセボ群よりプレドニゾン群で低い傾向だった。 コルチコステロイドに伴う有害事象は、プレドニゾン群 24 %、プラセボ群 16 %で有意差を認める(OR:1.77,95 % CI:1.24 ~ 2.52,p = 0.0020)。 インスリン治療を要する高血糖の院内発症率は、プレドニゾン群 19 %で、プラセボ群 11 %に比し有意に高かった (OR:1.96,95 % CI:1.31 ~ 2.93,p =0.0010)。 他のコルチコステロイド投与に特徴的な有害事象は稀であり , 差を認めなかった。

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【 RESULTS】(data not shown) 敗血症で治療効果がより大きい傾向にある。  CRPは 3、 5、 7日目でプラセボ群よりプレドニゾン群で有意に低かった。  PCTは差はなかった。

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【DISCUSSION】●Resultsのまとめ  7日間プレドニン補助療法は臨床的安定までの期間を 1.4日間、入院期間を 1日間、静脈内抗菌薬療法を 1日間減らした。  30日以内の肺炎関連合併症はプラセボ群よりプレドニゾン群で低かった。 インスリン治療を要する高血糖の院内発症率はプラセボ群よりプレドニゾン群で高かった。 一方、他のコルチコステロイド投与に特徴的な有害事象は稀であり、両群で同様だった。

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DISCUSSION●ステロイドが有効だった理由 炎症性サイトカインは侵入した病原体の除外に有効であるが、持続すると有害である。 市中肺炎による非生存者は経時的に炎症性サイトカインの増加を示す。 コルチコステロイド投与は免疫反応を調整し、臨床的安定と入院期間を短縮する。

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DISCUSSION●ステロイドと重症度の関係 最近のレビューでは、コルチコステロイドは ICU入室した重度の市中肺炎患者で有益であるが、 ICU外のより軽度の市中肺炎では有益性を示さない。 本試験では、結果は ICU入室と無関係に同様だった。

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DISCUSSION●ステロイドと肺炎の再発の関係  Snijdersと colleaguesの研究によると、プラセボ群よりプレドニゾロン群でより再発が多く、コルチコステロイドで初めは抑制されていた炎症が再燃する事が関係している。 より大規模な本試験ではプレドニゾン群、プラセボ群で再発率は同様だった。両群の再発率は約 5%だった。   Snijdersと colleaguesの研究で再発の絶対数が少ない事を考慮すると、コルチコステロイド投与でわずかに再発が多いという知見は恐らく偶然である。

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DISCUSSION●ステロイドによる高血糖 インスリン治療を要する高血糖はプラセボ群よりプレドニゾン群で多かった。しかし、増加した高血糖は臨床的アウトカムに影響せず、入院期間を延長しなかった。  30日目に新しくインスリン療法を要する患者の数は少なかった。

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DISCUSSION●本試験の長所 最も大規模である。それゆえ , 臨床的安定までの期間 ,入院期間の差を示すための充分な検出力がある。 市中肺炎の全ての classの患者を含み、入院患者に毎日ルーチンの検査をした。しかし ICU入室患者 , 敗血症患者などではルーチンの検査を行わなかった。 以前の研究で使用されたデキサメタゾン静注と比較し , 本試験ではより簡単に投与できるプレドニゾン経口薬を使った。

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CONCLUSION プレドニゾン 7日間投与は合併症を増加させずに臨床的安定を早期にもたらす。