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MEMS-FPI 分光センサ
目次 1. 概要 ................................................................................................................................................................. 1 2. 構造 ................................................................................................................................................................. 1
2-1 MEMS-FPI チューナブルフィルタ ................................................................................................................. 2 3. 特性 ................................................................................................................................................................. 2
3-1 絶対最大定格 ............................................................................................................................................. 2 3-2 フィルタ制御電圧とピーク透過波長 .............................................................................................................. 3 3-3 波長分解能 ................................................................................................................................................. 4 3-4 バンドパスフィルタの分光透過率 ................................................................................................................. 5 3-5 Pull-in 現象 ................................................................................................................................................. 6 3-6 温度特性 .................................................................................................................................................... 8 3-7 サーミスタ特性 .......................................................................................................................................... 13 3-8 MEMS-FPI チューナブルフィルタの透過率 ................................................................................................. 14 3-9 入射光の開口角、入射角 .......................................................................................................................... 15 3-10 InGaAs PIN フォトダイオード ................................................................................................................... 17
4. 使用方法 ........................................................................................................................................................ 18 4-1 接続例 ...................................................................................................................................................... 18 4-2 評価回路 .................................................................................................................................................. 18 4-3 評価系の例 ............................................................................................................................................... 19 4-4 応用例 ...................................................................................................................................................... 20
5. Q&A ................................................................................................................................................................ 21
1. 概要 MEMS-FPI分光センサは、印加電圧により透過波長を可変できるMEMS-FPI (Fabry-Perot Interferometer: ファブリペ
ロー干渉計)チューナブルフィルタとInGaAs PINフォトダイオードを1パッケージに収めた超小型センサです。赤外域に感
度波長範囲をもち、プラスチックや溶液中の物質の識別用、ガス・水分検出用などの小型機器への組み込みに適してい
ます。
2. 構造 MEMS-FPI分光センサは、MEMS-FPIチューナブルフィルタ、受光素子(フォトダイオード)などから成ります。光入射方
向と同軸上にMEMS-FPIチューナブルフィルタと受光素子を配置したシンプルな構成です。本製品は分光センサであり
ながら、単素子の受光素子を使用しており、高価な多チャンネルの受光素子を使う必要がありません。
技術資料
2
[図2-1] 内部構造
KIRDC0108JC
2-1 MEMS-FPI チューナブルフィルタ
MEMS-FPIチューナブルフィルタは、エアギャップを介して、上部ミラーと下部ミラーを対向させています [図2-2]。ミ
ラー間に電圧を印加し、その静電引力によってエアギャップの調整を行います。そのため、上部ミラーはメンブレン (薄
膜)構造となっています。エアギャップがmλ/2のときに、おおむね波長λが透過するフィルタとして機能します (m: 整数)。
フィルタ制御電圧を大きくすると静電引力によりエアギャップは小さくなり、ピーク透過波長が短波長側へシフトします。
基板には、赤外フィルタとしてSiを用いています。ミラーには、一般的な半導体材料であるSiO2、SiN、Poly-Siなどの誘
電体多層膜が適用できます。
[図2-2] MEMS-FPIチューナブルフィルタの断面図
KIRDB0109JA
3. 特性
3-1 絶対最大定格
絶対最大定格を一瞬でも超えると、製品の品質を損なう恐れがあります。必ず絶対最大定格の範囲内で使用してくだ
さい。フィルタ制御電圧については「5. Q&A/Q3」を参照してください。
注) MEMS-FPI分光センサは静電気管理対象品です。取り扱い時には、静電気による破壊および劣化の防止のために
注意する必要があります。詳細は、製品に添付された取扱説明書を参照してください。
受光素子
MEMS-FPIチューナブルフィルタ
配線基板
スペーサ
バンドパスフィルタ
犠牲層エッチングホール
白色光
透過波長 λ
上部ミラー
下部ミラー
エアギャップ
基板
3
3-2 フィルタ制御電圧とピーク透過波長
MEMS-FPI 分光センサは、フィルタ制御電圧によりピーク透過波長を可変することができますが、両者の関係は線形
ではありません [図 3-1]。
[図3-1] ピーク透過波長―フィルタ制御電圧 (代表例)
KACCB0482JA
フィルタ制御電圧とピーク透過波長の関係を多項式でフィッティングして、その定数 (電圧―波長換算係数)を求める
必要があります。この多項式を用いると、フィルタ制御電圧からピーク透過波長を計算することができます。
・フィッティングの例
7 次の多項式 [式 (3-1)]でフィッティングをします。
λ = a0 + a1∙V + a2∙V2 + a3∙V
3 + a4∙V4 + a5∙V
5 + a6∙V6 + a7∙V
7 …(3-1)
λ: ピーク透過波長
V: フィルタ制御電圧
定数 a0~a7 を算出するためには、8 つ以上のフィルタ制御電圧におけるピーク透過波長を測定する必要があります。
フィルタ制御電圧を等間隔に設定する方が、ピーク透過波長の測定値と近似値のズレは小さくなります。
代表例として、C13272-02によるフィッティングの例を表3-1に示します。表3-1のフィッティングに用いた定数を表3-2
に示します。
注) 定数 a0~a7 の値は、個々の製品の固有値です。この値は、感度波長範囲に限り有効です。式(3-1)により算出され
る値は参考データで、保証するものではありません。個々の製品の定数 a0~a7 は、製品に添付されるリファレンス
データシートに参考データとして掲載されています。
フィルタ制御電圧 (V)
ピーク透過波長
(nm
)
(Ta=25 °C, 入射角=0°, 受光素子NA=0.09)1900
1800
1700
1600
1500
1400
130030 402010
C14272
C13272-02
4
[表 3-1] フィッティングの代表例 (C13272-02)
フィルタ制御電圧
(V)
ピーク透過波長 (nm)
測定値 近似値 近似値 - 測定値
22.0 1892.4 1892.4 0.00
24.0 1873.1 1873.1 -0.01
26.0 1849.7 1849.8 0.04
28.0 1822.5 1822.4 -0.05
30.0 1790.7 1790.7 0.01
32.0 1752.5 1752.6 0.06
34.0 1705.7 1705.6 -0.08
36.0 1645.7 1645.7 0.03
37.0 1607.7 1607.8 0.07
38.0 1560.9 1560.8 -0.18
38.3 1544.0 1544.2 0.12
[表 3-2] フィッティング (表 3-1)に用いた定数 (電圧―波長換算係数, C13272-02, 代表例)
定数 値
9.32970688702291 × 104
-2.27370182059617 × 104
2.41116075642313 × 103
-1.41227604475764 × 102
4.93485461095617 × 100
-1.02915632281714 × 10-1
1.18655280570192 × 10-3
-5.83788694189641 × 10-6
表3-2の定数を式 (3-1)に代入して計算すると、ピーク透過波長とフィルタ制御電圧の関係は図3-1と同等になりま
す。
3-3 波長分解能
MEMS-FPI の波長分解能は、スペクトルの半値幅 (Full Width Half Maximum)に基づいて定義されています [図 3-2]。
スペクトルのピーク値に対する 50%の部分のスペクトルの広がりとして定義します。
図 3-3 に MEMS-FPI 分光センサの波長分解能の測定例を示します。
5
[図3-2] 半値幅の定義
KACCC0320JB
[図3-3] 波長分解能―ピーク透過波長 (代表例)
KACCB0483JA
3-4 バンドパスフィルタの分光透過率
MEMS-FPI 分光センサには、感度波長範囲以外をカットするバンドパスフィルタを内蔵しています。バンドパスフィルタ
の分光透過率特性を図 3-4 に示します。
波長
相対光量
半値幅
50%
50%
ピーク透過波長 (nm)
波長分解能
(半値幅
) (n
m)
(Ta=25 °C, 入射角=0°, 受光素子NA=0.09)
10
8
20
18
16
14
12
1550 1600 1650 1700 1750 1800 18501350 1400 1450 1500
C14272 C13272-02
6
[図3-4] 内蔵バンドパスフィルタの分光透過率特性 (代表例)
(a) C14272
KACCB0476JB
(b) C13272-02
KACCB0433JC
3-5 Pull-in 現象
MEMS-FPIチューナブルフィルタを動作させる上で、Pull-in現象について注意する必要があります。Pull-in現象は、電
界によりミラーが引き合う静電引力と上部ミラーがもつバネの力の釣り合いが取れなくなることによって発生します。通
常は、上記の2つの力が釣り合った場合にMEMS-FPIチューナブルフィルタの上部ミラーの位置が決定され、そのエア
ギャップに伴った波長を透過させることができます。しかし、フィルタ制御電圧がある値以上になると静電引力の方がバ
ネの力よりも強くなり、力のバランスが崩れ、上部ミラーが下部ミラーに貼り付いてしまいます。この現象がPull-in現象で
す。下部ミラーに貼り付いた上部ミラーは、容易には剥がれません。このため、MEMS-FPIチューナブルフィルタを駆動さ
せる際には、フィルタ制御電圧の調整に注意する必要があります。なおPull-in現象が発生するエアギャップは、エア
ギャップ初期値の2/3程度です。
MEMS-FPI チューナブルフィルタのフィルタ制御電圧とピーク透過波長の関係を図 3-5 に示します。フィルタ制御電圧
が0 Vのときのピーク透過波長の2/3になるとPull-in現象が発生し、ピーク透過波長が急激に変化します (破線部分)。
フィルタ制御電圧の精度は重要であり、Pull-in 現象が発生する付近では特に注意する必要があります。なお Pull-in 現
象が発生するときのフィルタ制御電圧は、製品ごとに異なりますので、注意してください。
波長 (nm)
(Ta=25 °C, 入射角=0°)
透過率
(%
)
100
80
60
40
20
01000 1200 1400 1600 1800 2000
1200 1400 1600 1800 2000 2200
波長 (nm)
(Ta=25 °C, 入射角=0°)
透過率
(%
)
100
80
60
40
20
0
7
フィルタ制御電圧の絶対最大定格以下では、Pull-in 現象は発生しません。フィルタ制御電圧を必ず絶対最大定格よ
り低い値に設定してください。
[図 3-5] Pull-in 現象 (破線部分)
(a) C14272
KACCB0484JA
(b) C13272-02
KACCB0442JA
Pull-in 現象が発生するフィルタ制御電圧は温度によって変化しますので、注意する必要があります。図 3-6 に Pull-in
現象の温度依存性を示します。
0 10 20 301100
1300
1200
1700
1500
1400
1600
フィルタ制御電圧 (V)
ピーク透過波長
(nm
)
(Ta=25 °C, 入射角=0°, 受光素子NA=0.09)
0 10 20 30 401300
2000
1900
1700
1800
1500
1400
1600
フィルタ制御電圧 (V)
ピーク透過波長
(nm
)
(Ta=25 °C, 入射角=0°, 受光素子NA=0.09)
8
[図 3-6] Pull-In 現象の温度依存性 (代表例)
(a) C14272
KACCB0485JA
(b) C13272-02
KACCB0443JA
3-6 温度特性
MEMS-FPI 分光センサのピーク透過波長には、温度依存性があります。
・C14272 : 0.3 nm/ typ. (λ=1500 nm)
・C13272-02 : 0.4 nm/ typ. (λ=1700 nm)
フィルタ制御電圧を一定にした場合のピーク透過波長と周囲温度の関係を図 3-7 に示します。
27.5 28.5 29.51100
1500
1300
1200
1400
フィルタ制御電圧 (V)
ピーク透過波長
(nm
)
(入射角=0°, 受光素子NA=0.09)-40 °C-20 °C5 °C25 °C45 °C65 °C85 °C
37.5 38.5 39.51300
1700
1500
1400
1600
フィルタ制御電圧 (V)
ピーク透過波長
(nm
)
(入射角=0°, 受光素子NA=0.09)-40 °C-20 °C5 °C25 °C40 °C65 °C85 °C
9
[図3-7] ピーク透過波長―周囲温度 (代表例)
(a) C14272
KACCB0474JA
(b) C13272-02
KACCB0403JD
また、温度変化時 [低温側 (-40→+25 )と高温側 (+25→+85 )]のピーク透過波長シフト (図 3-7 のデータを用
いて算出)を図3-8に示します。ピーク透過波長が短くなるにつれて波長シフトは大きくなります。また、高温側よりも低温
側の方が波長シフトは大きくなります。なお、図 3-7、図 3-8 の破線部分は、内蔵のバンドパスフィルタを外した場合の
データです。
図3-7、図3-8の破線部分ではピーク透過波長を正確に検出できません。これは、周囲温度が25 より低い場合、
MEMS-FPIチューナブルフィルタのピーク透過波長が、バンドパスフィルタの透過波長範囲外になるためです。
-50 -25 0 25 50 75 100
周囲温度 (°C)
(入射角=0°, 受光素子NA=0.09)
ピーク透過波長
(nm
)
1700
1600
1500
1400
1300
Vλ1650nm
Vλ1600nm
Vλ1550nm
Vλ1500nm
Vλ1450nm
Vλ1400nm
Vλ1350nm
-50 -25 0 25 50 75 100
周囲温度 (°C)
(入射角=0°, 受光素子NA=0.09)
ピーク透過波長
(nm
)
1900
1850
1800
1750
1700
1650
1600
1550
1500
1450
Vλ1850nm
Vλ1750nm
Vλ1700nm
Vλ1650nm
Vλ1550nm
10
[図 3-8] ピーク透過波長シフト―ピーク透過波長 (代表例)
(a) C14272
KACCB0486JA
(b) C13272-02
KACCB0444JA
MEMS-FPI分光センサのフィルタ制御電圧を固定した場合の波長プロファイルの温度特性を図3-9に示します。
それぞれに内蔵するバンドパスフィルタの透過率も示しています (バンドパスフィルタの透過率の温度依存性は、ほと
んどありません)。周囲温度が低くなると、波長プロファイルが短波長側に移動します。25 より低くなると、波長プロ
ファイルはバンドパスフィルタの透過率が低い波長域になるため、正確にピーク透過波長を検出できません。
1350 1450 1550 16500
1.0
0.8
0.4
0.2
0.6
25 °Cにおけるピーク透過波長 (nm)
ピーク透過波長シフト
(nm
/°C)
(入射角=0°, 受光素子NA=0.09)
-40→+25 °C
+25→+85 °C
1550 1650 1750 18500
1.0
0.8
0.4
0.2
0.6
25 °Cにおけるピーク透過波長 (nm)
ピーク透過波長シフト
(nm
/°C)
(入射角=0°, 受光素子NA=0.09)
-40→+25 °C
+25→+85 °C
11
[図 3-9] 波長プロファイルの温度特性 (代表例)
(a) C14272
KACCB0487JA
(b) C13272-02
KACCB0445JB
フィルタ制御電圧を周囲温度に対して補正することによって、バンドパスフィルタの影響を受けることなく、動作温度範
囲 (-40~+85 )において感度波長範囲で正確にピーク透過波長を検出することが可能になります。フィルタ制御電圧
と周囲温度の関係を図3-10に示します。また、温度変化時 [低温側 (-40→+25 )と高温側 (+25→+85 )]のピーク
透過波長 (25 )におけるフィルタ制御電圧シフト [図3-10のデータを用いて式 (3-2)で算出]を図3-11に示します。フィ
ルタ制御電圧シフトは、ピーク透過波長が短くなるにつれて小さくなり、高温側よりも低温側の方が大きくなります。特に
短波長域または低温において、Pull-in現象に対する注意が必要です。
1250 13501300 1400 14500
1.5
0.5
1.0
0
100
20
40
60
80
出力量
波長 (nm)
バンドパスフィルタの透過率
(%)
[入射角=0°, 受光素子NA=0.09フィルタ制御電圧: 固定 (周囲温度 25 °Cにおいてピーク透過波長が1350 nmとなる電圧)]
-40 °C-20 °C5 °C25 °C45 °C65 °C85 °C
周囲温度
信号出力プロファイル
バンドパスフィルタの透過率
1450 15501500 1600 16500
1.5
0.5
1.0
0
100
20
40
60
80
出力量
[入射角=0°, 受光素子NA=0.09フィルタ制御電圧: 固定 (周囲温度 25 °Cにおいてピーク透過波長が1550 nmとなる電圧)]
波長 (nm)
バンドパスフィルタの透過率
(%)
-40 °C-20 °C5 °C25 °C45 °C65 °C85 °C
周囲温度
信号出力プロファイルバンドパスフィルタの透過率
12
[図3-10] フィルタ制御電圧―周囲温度 (代表例)
(a) C14272
KACCB0475JA
(b) C13272-02
KACCB0432JB
-50 -25 0 25 50 75 100
周囲温度 (°C)
(入射角=0°, 受光素子NA=0.09)
フィルタ制御電圧
(V)
30
25
20
10
15
Vλ1350nm
Vλ1400nm
Vλ1450nm
Vλ1500nm
Vλ1550nm
Vλ1600nm
Vλ1650nm
-50 -25 0 25 50 75 100
周囲温度 (°C)
(入射角=0°, 受光素子NA=0.09)
フィルタ制御電圧
(V)
40
35
30
25
Vλ1550nm
Vλ1650nm
Vλ1700nm
Vλ1750nm
Vλ1850nm
13
[図3-11] フィルタ制御電圧シフト―ピーク透過波長 (代表例)
(a) C14272
KACCB0488JA
(b) C13272-02
KACCB0446JA
フィルタ制御電圧シフトの計算方法を式 (3-2)に示します。
]ppm/[10
VTTVV 6
00
0 ト フィルタ制御電圧シフ
・・・(3-2)
T: 周囲温度
T0: 周囲温度(25 )
V: フィルタ制御電圧
V0: フィルタ制御電圧 (25 )
3-7 サーミスタ特性
サーミスタ抵抗と温度の関係を図3-12に示します。
1350 1450 15501400 1500 1600 16500
1500
1000
500
25 °Cにおけるピーク透過波長 (nm)
フィルタ制御電圧シフト
(ppm
/°C)
(入射角=0°, 受光素子NA=0.09)
-40→+25 °C
+25→+85 °C
1550 1650 1750 1850200
700
600
400
300
500
25 °Cにおけるピーク透過波長 (nm)
フィルタ制御電圧シフト
(ppm
/°C)
(入射角=0°, 受光素子NA=0.09)
-40→+25 °C
+25→+85 °C
14
[図3-12] サーミスタ抵抗―温度 (代表例)
KACCB0404JB
式 (3-3)の Steinhart-Hart 式を用いると、サーミスタ抵抗から温度を換算することができます。
1⁄T = A + B[Ln(R)] + C[Ln(R)]3 ・・・(3-3)
T: 温度 [K]
R: サーミスタ抵抗 [Ω]
抵抗値の範囲を区切って式 (3-3)の定数 A、B、Cを求めると、換算の精度を高めることができます。その参考例を表
3-3に示します。
[表3-3] Steinhart-Hart式の定数 (参考例)
抵抗値の範囲
(kΩ)
定数
A B C
(300.3)~96.1 3.53348 × 10-3 -7.87463 × 10-5 8.74259 × 10-7
96.1~32.9 1.46516 × 10-3 1.85960 × 10-4 2.32844 × 10-7
32.9~5.3 1.09316 × 10-3 2.40113 × 10-4 6.28813 × 10-8
5.3~(1.1) 1.05955 × 10-3 2.44870 × 10-4 5.14556 × 10-8
MEMS-FPI分光センサ用評価回路 C13294-02 (別売)では、式 (3-3)を使ってサーミスタ抵抗を温度に換算していま
す。
3-8 MEMS-FPI チューナブルフィルタの透過率
MEMS-FPIチューナブルフィルタの透過率特性を図3-13に示します。感度波長範囲において、透過率のピークが50%
を超えています。なお透過率特性は、使用条件によって異なります。
-50 -25 0 25 50 75 100
温度 (°C)
サーミスタ抵抗
(kΩ
)
1000
100
10
1
15
[図3-13] MEMS-FPIチューナブルフィルタの透過率―波長 (代表例)
(a) C14272
KACCB0477JA
(b) C13272-02
KACCB0405JA
3-9 入射光の開口角、入射角
入射光の開口角、入射角は、MEMS-FPI分光センサの特性に影響を与えます。入射光の開口角がピーク透過波長に
与える影響を図3-14に、波長分解能に与える影響を図3-15に示します。入射光の開口角が大きくなると、ピーク透過波
長は短波長側に移動し、波長分解能は大きくなります。このため、入射光の開口角を十分に小さくしてください (受光素
子NA≦0.09を推奨)。また、MEMS-FPI分光センサにできるだけ垂直 (入射角=0°)に光を入射してください。
MEMS-FPI分光センサの出荷検査は、受光素子NA=0.09、入射角=0°で行っています。
1250 1300 1350 1400 1450 1500 1550 1600 1650 1700 1750
波長 (nm)
透過率
(%
)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
[Ta=25 °C, 輝線入射, 輝線分解能 (FWHM)= 3 nm max., 入射角=0°, 受光素子NA=0.09]
Vλ1650nmVλ1600nmVλ1550nmVλ1500nmVλ1450nmVλ1400nmVλ1350nm
1450 1500 1550 1600 1650 1700 1750 1800 1850 1900 1950
波長 (nm)
透過率
(%
)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
Vλ1850nm
Vλ1750nm
Vλ1700nm
Vλ1650nm
Vλ1550nm
[Ta=25 °C, 輝線入射, 輝線分解能 (FWHM)= 3 nm max., 入射角=0°, 受光素子NA=0.09]
16
[図3-14] ピーク透過波長―入射光の開口角, 受光素子NA (代表例)
(a) C14272
KACCB0489JB
(b) C13272-02
KACCB0447JC
0 0.05 0.10 0.15 0.20
0 42 86 10 12
受光素子NA
入射光の開口角 (°)
(Ta=25 °C, 入射光の輝線分解能 (FWHM)=3 nm max.,入射角=0°)
ピー
ク透
過波
長(n
m)
1700
1600
1500
1400
1300
Vλ1650nm
Vλ1600nm
Vλ1550nm
Vλ1500nm
Vλ1450nm
Vλ1400nm
Vλ1350nm
受光素子NA=0.09における
フィルタ 制御電圧
0 0.05 0.10 0.15 0.20
0 42 86 10 12
受光素子NA
入射光の開口角 (°)
(Ta=25 °C, 入射光の輝線分解能 (FWHM)=3 nm max.,入射角=0°)
ピーク透過波長
(nm
)
1900
1800
1700
1600
1500
Vλ1850nm
Vλ1750nm
Vλ1700nm
Vλ1650nm
Vλ1550nm
受光素子NA=0.09における
フィルタ制御電圧
17
[図3-15] 波長分解能―入射光の開口角, 受光素子NA (代表例)
(a) C14272
KACCB0490JB
(b) C13272-02
KACCB0448JC
3-10 InGaAs PIN フォトダイオード
MEMS-FPI 分光センサには、当社製 InGaAs PIN フォトダイオードを受光素子として内蔵しています。内蔵している
InGaAs PIN フォトダイオードの分光感度特性を図 3-16 に示します。
0 0.05 0.10 0.15 0.20
0 42 86 10 12
受光素子NA
入射光の開口角 (°)
(Ta=25 °C, 入射光の輝線分解能 (FWHM)=3 nm max.,入射角=0°)
波長
分解
能(F
WH
M)
(nm
)
25
20
15
10
5
Vλ1650nm
Vλ1600nm
Vλ1550nm
Vλ1500nm
Vλ1450nm
Vλ1400nm
Vλ1350nm
受光素子NA=0.09における
フィルタ 制御電圧
0 0.05 0.10 0.15 0.20
0 42 86 10 12
受光素子NA
入射光の開口角 (°)
(Ta=25 °C, 入射光の輝線分解能 (FWHM)=3 nm max.,入射角=0°)
波長分解能
(FW
HM
) (n
m)
28
10
12
14
16
18
20
22
24
26
Vλ1850nm
Vλ1750nm
Vλ1700nm
Vλ1650nm
Vλ1550nm
受光素子NA=0.09における
フィルタ制御電圧
18
[図 3-16] 内蔵 InGaAs PIN フォトダイオードの分光感度特性 (代表例)
KIRDB0634JB
4. 使用方法
4-1 接続例
MEMS-FPI分光センサの接続例を図4-1に示します。また、この接続例で使う装置の例を表4-1に示します。
[図4-1] 接続例
KACCC0804JA
[表4-1] 接続例 [図4-1]で使う装置の例 装置 型名 メーカー
DC 電圧制御ユニット* 6156 株式会社エーディーシー
I/V アンプ C4159-03 浜松ホトニクス株式会社
* 2台を直列接続
4-2 評価回路
C13294-02は、MEMS-FPI分光センサを簡易的に評価するための評価回路です。USBケーブル (A-マイクロBタイプ)
でPC (別売)と接続し、付属の評価用ソフトウェアを用いてMEMS-FPI分光センサの特性を評価することができます。
800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 24000
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
波長 (nm)
受光感度
(A/
W)
(Ta=25 °C, VR=0 V)
C14272
C13272-02
LOW-MIR MEMS-FPIチューナブルフィルタ
InGaAsPINフォトダイオード
サーミスタ
MEMS-FPI 分光センサ
UP-MIR DC電圧制御ユニット
I/Vアンプ
温度モニタ
制御信号
PC
ADCInGaAs-Anode
NTC-2NTC-1
InGaAs-Cathode
CASE
19
[図4-2] ブロック図 (C13294-02)
KACCC0845JB
評価回路 C13294-02を用いた場合の手順については「5. Q&A/Q10」を参照してください。
4-3 評価系の例
・モノクロメータを使う場合
MEMS-FPI分光センサの評価系の例を図4-3に示します。ハロゲンランプなどから出射された白色光を、モノクロメー
タで単一波長光にします。単一波長光を光ファイバを経由してレンズに導入し、レンズからMEMS-FPI分光センサに光を
入射します。センサの信号は、アンプを介して出力されます。MEMS-FPI分光センサのフィルタ制御電圧を固定してモノ
クロメータの波長をスキャンすることにより、固定されたエアギャップにおける波長プロファイルを取得することができま
す。その後、フィルタ制御電圧を変化させて同様にデータを取得することで、複数のスペクトルの情報が得られます。
[図4-3] 評価系の例 (モノクロメータによる単一波長光)
KACCC0846JA
代表例として、MEMS-FPI分光センサ C13272-02の評価結果の例を図4-4に示します。各フィルタ制御電圧における
波長プロファイルは、Vλ1550nmにおける出力の最大値で規格化しています。なお出力値は、測定系、MEMS-FPIチューナ
ブルフィルタの透過率特性、受光素子の分光感度特性が関係しています。
また、波長プロファイルをガウスフィッティングして、FWHM (Full Width Half Maximum)を求めることによって波長分解能
を求めることができます。感度波長範囲(1550~1850 nm)において波長分解能が20 nm以下であることを確認できます
[図3-3]。
I/V アンプ
FPGA
MEMS-FPI分光センサ 評価回路C13294-02
InGaAs PD
サーミスタ
MEMS-FPIチューナブルフィルタ
DC/DCコンバータ
USBコントローラ
USBインターフェース
ADC
ADC
DAC
ゲイン: 2段階 (High/Low)
モノクロメータ白色光源
MEMS-FPI分光センサ
レンズアンプ
電源
PC
20
[図4-4] 波長プロファイル (C13272-02, 代表例)
KACCB0449JA
・モノクロメータを使わない場合
モノクロメータを使わなくても、MEMS-FPI分光センサの評価系を構成することができます。
[図4-5] 評価系の例 (白色光源)
KACCC0847JB
4-4 応用例
MEMS-FPI 分光センサを用いた吸光度測定の構成例を図 4-6 に示します。この構成によって、溶液や固体の識別を
行うことができます。測定セル内の試料を透過した光を MEMS-FPI 分光センサに照射して、特定の単一波長の透過光
強度 (I)を取得します。測定セルに試料がない場合をリファレンス (入射光強度 I0)とした場合、式 (4-1)によって単一
波長における試料のおおよその吸光度 (A)を求めることができます。
A log ・・・(4-1)
MEMS-FPI 分光センサは、分散型分光器とは異なり、迷光が大きく検出精度は高くありません。そのため、定量測定
ではなく、ピーク波長などの検出による物質識別やチェッカーなどに適しています。
1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000
波長 (nm)
(Ta=25 °C, 入射光の輝線分解能 (FWHM)=3 nm max., 入射角=0°, 受光素子NA=0.09)
相対出力
1.0
0.6
0.2
0.8
0.4
0
Vλ1850nm
Vλ1800nm
Vλ1750nm
Vλ1700nm
Vλ1650nm
Vλ1600nm
Vλ1550nm
白色光源
MEMS-FPI分光センサ
レンズアンプ
電源
PC
21
[図 4-6] MEMS-FPI 分光センサを用いた吸光度測定の構成例
KIRDC0111JB
MEMS-FPI 分光センサは非常に小型であるため、小型装置への組み込みや、携帯端末との連携による応用が期待
できます。スマートフォンと小型モジュールを接続したイメージ図を図 4-7 に示します。
[図 4-7] 小型モジュールのイメージ図
5. Q&A
Q1 MEMS-FPI分光センサは、分散型分光器と比べて、どのような特徴をもっていますか?
MEMS-FPI分光センサは、感度波長範囲・波長分解能といった性能面については分散型分光器には及びません。一
方で、分散型分光器は検出器としてイメージセンサを用いていますが、MEMS-FPI分光センサは単素子フォトダイオード
を用いているため低価格を実現しています。さらにMEMS-FPI分光センサは、超小型パッケージであることに加え、光
ファイバによる入力が不要であり、さまざまな検出装置に組み込みやすい点もあります。
[表5-1] MEMS-FPI分光センサとミニ分光器の比較
項目 MEMS-FPI分光センサ
ミニ分光器 (G9914GB) C14272 C13272-02
感度波長範囲 1.35~1.65 m 1.55~1.85 m 1.1~2.2 m
波長分解能 (FWHM) 18 nm 20 nm 8 nm
小型サイズ
低価格
Q2 MEMS-FPI分光センサの波長分解能は、透過光の波長によって変化しますか?
MEMS-FPI分光センサの波長分解能は、透過光の波長によって変化します。図3-3に代表例を示します。
Q3 MEMS-FPIチューナブルフィルタが破損しないために、どのようなことに注意する必要がありますか?
MEMS-FPIチューナブルフィルタが破損しないようにするため、必ずフィルタ制御電圧を絶対最大定格以下にしてくだ
さい。この値を超えると、MEMS-FPIチューナブルフィルタが破損します。なおフィルタ制御電圧の絶対最大定格は製品
ごとに異なり、温度によって変化するため、注意する必要があります。
白色光源 測定セル MEMS-FPI分光センサ
22
C13272-02におけるVλ1550nm(λ=1550nmの光を透過させるためのフィルタ制御電圧)の温度特性を代表例として図
5-1に示します。C13272-02のフィルタ制御電圧の絶対最大定格は、Vλ1550nm + 0.5 Vです。特定の温度における
Vλ1550nmに0.5 V以上を加えると、MEMS-FPIチューナブルフィルタが破損する恐れがあることを示しています。
[図5-1] Vλ1550nmの温度特性 (C13272-02, 代表例)
KACCB0400JC
評価回路 C13294-02と付属ソフトウェアを使ってフィルタ制御電圧を制御すると、MEMS-FPIチューナブルフィルタが
破損するリスクを低減できます。この場合、センサに添付された電圧―波長換算定数をソフトウェア上で入力します。な
お、この電圧―波長換算定数は室温 (Ta=25 )におけるデータですので、注意してください。またMEMS-FPI分光セン
サ内蔵のフォトダイオードは静電気に非常に弱いため、取扱説明書を参照して静電気対策を行ってください。静電耐圧
については、データシートまたは取扱説明書を参照してください。
Q4 周囲温度によってMEMS-FPI分光センサの特性は変化しますか?
MEMS-FPI分光センサは温度特性をもっているため、周囲温度によって特性が変化します (図3-7, 図3-10)。必要に
応じて、お客様によって特性の変化を補正していただく必要があります。なお、MEMS-FPI分光センサには補正データを
添付していません。MEMS-FPIチューナブルフィルタの温度を安定させるため、必要に応じてお客様により制御する必要
があります。
Q5 MEMS-FPIチューナブルフィルタの透過波長とフィルタ制御電圧には、どのような関係がありますか?
MEMS-FPIチューナブルフィルタにおいては、上下2つの高反射ミラーがエアギャップを介して対向しており、そのエア
ギャップをフィルタ制御電圧で調整して透過波長を変更します。フィルタ制御電圧を上げるとエアギャップが狭くなり、透
過波長が短波長側にシフトします。ミラーやエアギャップには個々の製品で、ある程度のバラツキがあるため、製品ごと
でピーク透過波長とフィルタ制御電圧の関係は異なります。このため、感度波長範囲の最小値および最大値における
フィルタ制御電圧 (Ta=25 )を記載した検査成績書を個々の製品に添付しています。さらに、透過波長とフィルタ制御
電圧について7次式でフィッティングするための係数 (電圧―波長換算係数)を参考データとして添付しています。なお、
これらのデータは当社の検査条件におけるものであり、お客様の使用環境 (光学環境、温度など)において保証するも
のではありません。できるだけ精密な測光を行うために、お客様の使用環境におけるキャリブレーションを実施すること
を推奨します。なお、必ずフィルタ制御電圧を絶対最大定格以下にしてください。
Q6 MEMS-FPI分光センサを評価するために、何を用意する必要がありますか?
MEMS-FPI分光センサの評価用として、評価回路 C13294-02を用意しています (別売)。別途、光源 (ハロゲン光源
などの白色光源)を用意してください。
Q7 推奨光源を紹介してください。
測定方法 (反射・透過など)、測定対象などの条件によって、最適な光源は異なります。一般的にハロゲン光源などの
白色光源を推奨します。なお、近赤外LED [例: 当社製L10660シリーズ (ピーク発光波長: 1450 nm, 半値幅: 120 nm),
-50 -25 0 25 50 75 100
周囲温度 (°C)
Vλ15
50nm
(Ta=
25 °
C)からのズレ
(V)
(入射角=0°, 受光素子NA=0.09)1.0
0.5
0
-0.5
-1.0
23
L12509シリーズ (ピーク発光波長: 1550 nm, 半値幅: 120 nm)]が適している場合もあります。ただし近赤外LEDは、
MEMS-FPI分光センサの感度波長範囲における、すべての範囲の発光はできません。
Q8 測定時間をどこまで短縮できるでしょうか?
MEMS-FPI分光センサを評価回路 C13294-02 (別売)とともに使用した場合、初期設定における測定時間は3~12秒
程度です。この場合、MEMS-FPI分光センサの測定時間は約2秒ですが、それに信号処理時間、転送時間、PCの応答
時間が加わり、トータルで3~12秒程度になります。なお、測定波長間隔を大きくする(測定ポイントを減らす)と、測定時
間を短縮できます。例えば、波長間隔を10 nmにした場合には1~3秒となります。なお測定時間は、PCの性能によって
変わります。PCによっては、前述した測定時間以上の時間がかかる場合があります。
注) 評価用ソフトウェアの初期設定
選択するキャリブレーションデータ (センサの型名により異なる)によって初期設定が異なります。
[C14272]
・感度波長範囲: 1350~1650 nm
・測定波長間隔: 1 nm
・アベレージカウント: 128
[C13272-02]
・感度波長範囲: 1550~1850 nm
・測定波長間隔: 1 nm
・アベレージカウント: 128
Q9 任意の測定ポイントに限定した測定は可能ですか?
評価回路 C13294-02は、任意の測定ポイントの設定には対応していません。この動作を実現するためには、お客様
により回路・ソフトウェアを設計していただく必要があります。測定ポイントを選択するために、フィルタ制御電圧を変化さ
せてステップ動作を行うときの応答速度の参考例 (C13272-02を使用した場合)を以下に示します。
300 nm幅を1ステップ (例: 1550 nm~1850 nm)として動作する場合のセトリング時間 (99%)は、1 ms typ. (参考値)
です。また、5 nm幅の4ステップ (例: 1550 nm~1555 nm, 1645 nm~1650 nm, 1745 nm~1750 nm, 1845 nm~1850 nm)
として動作する場合の各ステップのセトリング時間 (99%)は、0.2 ms typ.(参考値)です。
その他のMEMS-FPI分光センサを使用した場合も、同様にセトリング時間に配慮する必要があります。なお、実際の
測定時間はお客様による回路・ソフトウェアに大きく依存します。
Q10 評価回路 C13294-02を用いた場合の手順を教えてください。
付属ソフトウエアを使用して、以下の手順で行います。
①ダーク計測
ダーク状態 (センサへの光の入射を遮断)のセンサからのデータを設定波長範囲で取得します (その後に取得した
データからダークは減算される)。
24
[図5-2] ダーク計測
KACCC0826JB
② Reference計測
光源の光をセンサへ照射して、設定波長範囲でデータを取得します。
[図5-3] Reference計測
KACCC0827JB
③ Sample計測
光源とセンサの間にサンプルを置いて、設定波長範囲でデータを取得します。MultiSample計測の場合は、上記の
Sample計測を設定回数分、繰り返します。
[図5-4] Sample計測
KACCC0828JB
④ グラフ出力
サンプルの透過率・吸光度などのグラフを出力します [フォトダイオード出力をアンプで増幅した信号 (A/Dカウント)も
PC
評価キット(センサを接続)
遮光板
白色光源
PC
評価キット(センサを接続)
サンプルなし
測定セルを用いる場合には、サンプルが空の状態で測定する。
白色光源
PC評価キット
(センサを接続)
サンプルあり
白色光源
25
出力可能]。なお、取得データをCSV形式で保存できます。
Q11 評価回路 C13294-02のDLLを提供していますか?
評価回路 C13294-02については、測定装置への組み込みを想定していないため、DLLを提供していません。
Q12 MEMS-FPI分光センサによる測定例はありますか?
プラスチックの測定例を以下に示します。
<測定条件>
MEMS-FPI分光センサ C13272-02, 評価回路 C13294-02, タングステン光源, 測定波長間隔: 1 nm, アベレージカウ
ント: 128, ゲイン: Low
[図 5-5] 測定例 1 (プラスチック: 4 種, 厚さ: 5 mm)
KACCB0491JA
[図 5-6] 測定例 2 (プラスチック: アクリル, 厚さ: 2 mm, 3 mm, 5 mm)
KACCB0492JA
Q13 大面積MEMS-FPI分光センサの開発の予定はありますか?
現在、大面積MEMS-FPI分光センサの開発の予定はありません。MEMS-FPIチューナブルフィルタには、静電方式
(当社採用)とピエゾ方式があり、それぞれ表5-2のような特徴をもっています。当社は、静電方式によるメリット (低コスト、
吸収率
波長 (nm)
1.2
1.0
0.8
0.4
0.6
0.2
01550 16501600 17501700 18501800
PVCAcrylPETPS
吸収率
波長 (nm)
1.2
1.0
0.8
0.4
0.6
0.2
01550 16501600 17501700 18501800
2 mm3 mm5 mm
26
低電圧動作)を生かしていく予定です。
[表5-2] 静電方式とピエゾ方式の比較 (MEMS-FPIチューナブルフィルタ)
項目 静電方式 ピエゾ方式
メリット 低コスト、低電圧動作 大面積化が可能
デメリット 大面積化が困難 高コスト、高電圧が必要
Q14MEMS-FPI分光センサを量産用の装置で使用する際に、シリアル番号を2次元コードで管理したいのですが、可能
でしょうか?
メタルパッケージの上面にDataMatrix (2次元コード)、型名、シリアルNo.をマーキングしてあります。DataMatrixには、
型名とシリアルNo.が入力されていますので、ご活用ください。マーキング情報の詳細については、データシートまたは取
扱説明書を参照してください。
Q15 感度波長範囲 1350~1650 nm (C14272)および1550~1850 nm (C13272-02)以外の製品の開発予定はあります
か?
中心波長 1950 nm (波長幅: 400 nm程度)の開発を進めています。
Q16 MEMS-FPI分光センサを購入する前に、基本特性を確認したいのですが、デモ機はありますか?
デモ機を用意しています (数に限りがあります)。当社営業所へご相談ください。
Q17 MEMS-FPI 分光センサに添付される検査成績書およびリファレンスデータシートの内容と、それぞれのデータの形
式を教えてください。
検査成績書には、以下の検査項目が掲載されています。
[C14272]
・ピーク電圧 (=1650 nm)
・ピーク電圧 (=1350 nm)
・暗電流 (VR=0.5 V)
・サーミスタ抵抗
[C13272-02]
・ピーク電圧 (=1850 nm)
・ピーク電圧 (=1550 nm)
・暗電流 (VR=0.5 V)
・サーミスタ抵抗
測定条件は、入射角度 0°、受光素子 NA 0.09、入射輝線分解能 (FWHM) 3 nm max.、周囲温度 25 です。検査成
績書は、紙の書類で製品に添付されます。
リファレンスデータシートには、上記の測定条件によるシリアルナンバーごとの電圧―波長換算係数データ (「3-2
フィルタ制御電圧とピーク透過波長」参照)が記載されています。リファレンスデータシートは、Microsoft Excel のデータ
(CD に保存)と紙の書類で製品に添付されます。
Cat. No. KACC9008J06 Jun. 2018