20120329 og licensing_watanabe
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オープンガバメントとライセンシング
電子行政タスクフォース会合 提出資料2012.3.29.
渡辺智暁クリエイティブ・コモンズ・ジャパン 常務理事
国際大学 GLOCOM主任研究員
本日のポイント
・ライセンスが必要な理由・ライセンスの選び方/定め方・関連する制度の用意
※大半は、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに学ぶ工夫・コツ」のご紹介
1.ライセンスが必要な理由
著作権は「原則利用禁止」のルール
・他人の著作物は、原則として利用してはいけない。・利用:複製、翻訳、翻案、公衆送信など・例外的に認められている無断利用もある: 報道や研究のための他人の著作物の引用(公表された著作物で、公正な慣行に沿ったものであれば)
教育目的の複製(生徒または教師が、非営利の教育機関の、授業内などであれば)
などなど。
→利用したければ、許諾をもらうのが原則
政府の著作物も原則利用禁止日本の著作権法上の例外は…・法令、判例などは保護の対象外( 13条)(自由に利用可能)・政府の広報資料などは「説明の材料として」「新聞紙、雑誌その他の刊行物」に「転載」できる。( 32条)(その他の利用は要許諾)・一部の政治の演説等は、同一著者のものを編集する場合を除き、自由に利用できる。( 40条)
※米国では連邦政府の著作物は全て著作権保護の対象外。
オープンガバメントは「原則利用可能」なコンテンツを増やす政策・できるだけ利用を促進したい・本来の用途とは違う用途もありうる・利用者の創意工夫の余地がある
→原則禁止で、利用希望者が個別に許諾を申し込むような仕組みは不適切
パブリック・ライセンスによる解決
・公衆の誰でも著作物を使ってよい、という意思表示/許諾行為・個別の連絡などが不要になる・どのような利用形態を許容するか、条件を課すかなどはライセンスに書いておく
※著作権法を改正して著作権の保護対象外にするという方途も一応ある。
2.ライセンスの選び方・定め方
政策目標とライセンス
・広い層の利用を促したい →読みやすい、わかりやすいライセンス →守りやすい条件、幅広い許諾
政策目標とライセンス
・検索エンジンなどプログラムで取り扱えるように →メタデータにライセンス情報を記載して機械可読性を確保・法的効力を持つように →弁護士などを交えた慎重なドラフティング作業
利用者の視点:互換性の重要さ
・異なるライセンスで提供されているコンテンツ同士は、プログラムで一括して扱ったり、組み合わせたりできないことがある。・できないかどうかは、ライセンスをよく読
んでみないとわからない。・そんな面倒なことはしない→ライセンスははじめから統一しておくか、
互換性を持たせておく。※「読みやすい」だけでは不十分
互換性確保の試み
独自ライセンスを作成している場合であっても、互換性をライセンス内で明記している例:・イギリスの Open Government License → CC-BY ライセンス(全バージョン) → ODC-BY ライセンス・フランスの License Ouverte → CC-BY 2.0ライセンス → ODC-BYライセンス → Open Government License
利用者視点の確保
・ライセンスのバリエーションを制限するべき
→1 種類に統一できるか(多くの政府はできている)→だめなら、共通部分とオプションの組合
せでバリエーションを出すなど、読み手の負担を減らす。
ライセンスの難所
・できるだけ単純明快に(読みやすい)
・できるだけ緻密に(解釈の多義性が少ないように説明を尽くし、定義を強固にする)
・できるだけ柔軟に(様々な利用シーンに適用できる)
3.関連する制度の用意
公開のお膳立て
・政府が調達・入手する報告書、統計、その他のコンテンツについて、公開の可能性を担保する。 → 調達の契約にそのような条件を盛り込む。(おそらく実施済)
・著作権について問題がないかどうかをチェックする体制も、あれば有効利用されると予想。
サポート体制
☆FAQ☆メールや Twitter、そのほかの形での問い合
わせ対応
・リクエストに応じて説明、プレゼン・(ベスト・プラクティスの紹介などもできると更によい)※問い合わせは、提供者と利用者両面から来る点に留意
メンテナンス体制
☆ ニーズの変化、技術など環境の変化に応じてライセンスを更新
・初期バージョンにはエラーも存在すると考えておくのが無難・パブコメ、ワークショップ、ソーシャルメ
ディアなどを通じたフィードバック収集・問い合わせが多い点、要望が多い点について改訂に盛り込むかどうかを検討
この資料のライセンスこの発表資料を 2 種類のライセンスで提供し、利用者が選べるようにするために、利用許諾に関する注意書きを以下に記します。
・ この発表資料は、 CC-BY 2.1 JP (http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/ )でライセンスされています。
・ この発表資料は、 CC-BY-SA 2.1 JP (http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/ )でライセンスされています。
参考までに、本作品のタイトルは「オープンガバメントとライセンシング」で、原著作者は渡辺智暁です。本作品に係る著作権表示はなく、許諾者が本作品に添付するよう指定した URIもありません。