20110523 web戦略会議 it leaders

CIOが注目する社内情報のポテンシャル

㈱インプレスビジネスメディア

「IT Leaders」副編集長川上潤司

2011年5月23日

本日のアジェンダ

ＩＴ部門にとっての「3.11」の教訓

企業経営とITの関係を整理する

情報共有の歴史を振り返る

クラウド時代の情報共有基盤

2Copyright(c) IT Leaders, Impress Business Media


ＩＴ部門にとっての「3.11」の教訓

東日本大震災


M9.0の巨大地震は非常事態を超えた“異常事態”だった

（写真：編集部）

「想定外」ゆえの混乱


安否確認

システム復旧

ＳＣＭ維持

決算処理

自宅作業対応

災害時への対応に向けて


809

775

536

472

425

423

415

411

325

284

180

161

131

216

202

91

205

207

301

261

164

57

417

188

392

298

165

277

289

258

283

147

70

309

602

552

724

1015

791

785

726

827

1101

1389

0% 20% 40% 60% 80% 100%

バックアップ環境の構築

安否確認システムの構築

BCPの策定

DR環境の構築

自家発電機と燃料の配備

データセンターの移転/分散

在宅勤務環境の整備

自社運用システムのクラウド化

省エネ設備の導入

TwitterなどのSNSの企業内活用

衛星電話の導入

導入済み/導入中

導入予定

見直しを検討

導入/見直し予定なし

図読者への緊急アンケートで災害への対策状況を尋ねた結果（4月中旬に実施、有効回答：1696）

事業継続計画について


被災による制約がある中で、企業は「生命の安全」「企業の社会的責任」「事業の復旧」の3つの観点で何をすべきかを決定していく必要がある

生命の安全

事業の復旧

企業の社会的責任

狭義の「事業継続」

緊急対策本部

出典：あずさ監査法人

ホンダの取り組み


◆3/14公開

被災地周辺で通行実績のある道路情報

Googleやパイオニアと協力

IT部門にとっての「3.11」


情報システム部門

ITへの知見を活かし、企業価値の向上を図る

情報システムの企画/開発/運用

新しいビジネスモデルの発案

全体最適を視野に入れた合理化

社内外の情報の分析/活用

バリューチェーンの強化や可視化 etc.

異常時に際し“社内的責任”を

十分に果たせたか？

３つの視点で振り返る


視点①：ＢＣＰ（事業継続計画）実行の司令塔に参画できたか？・実態把握/行動指示への貢献・「インフラ継続」を超えた付加価値の提供など

視点②：例外的オペレーションの陣頭指揮を執れたか？・緊急時のビジネスプロセスの早期調整・データ処理のルールや対応策の策定など

視点③：「健全なシステム維持」の価値観に考えが及んだか？・グランドデザインの見直し・ベンダーマネジメントのあり方など

いつまでも「聖域」は通用しない


「シビアに運用すれば、電源を落とせるサーバーがいくらでもあるだろ？」

「現場でろくに使えないDWHやBIなんて止めちまえ！」

「仮想化を導入しても、余剰リソース作ってるだけじゃないのか？」

“某知事”がITに造詣の深い人物だったなら…

IT部門への期待


伝票処理の専門家？

基幹業務システムの守護神災害時のミッションは“サーバー継続”

価値創造のプロフェッショナル

社内外の“知”のクリエイター災害時のミッションは“頼れる知恵者”

社内サービスプロバイダの自覚


企業価値を高めるための「サービス」をいかに創るか

「時代感」のある着想

技術トレンドの理解と読み

ユーザー視点でのデザイン

企画/開発/運用の遂行

社内コンサルティング

PDCAサイクルの加速

価値の可視化

衆知を結集する基盤を


【IT部門】

【ユーザー部門】

役立つ情報をごく自然に共有するための基盤づくり/プロモーション

目的意識の共有と積極的活用受益者負担のコスト意識

企業経営とITの関係を整理する


IT活用の目的①～効率化

表計算ソフト

電子メール

会計処理

セキュリティ対策

各種の情報検索

etc


●手間や時間がかかる作業を徹底的に合理化

IT活用の目的②～増力化


●個人から組織プレーへ知恵/ノウハウの増幅

グループウェア

営業支援システム

仮説検証型のデータ分析

ビジネスプロセス改革

各種Webビジネス

etc

増力化

省力化

IT導入・活用の視点

×＝ルーチン業務の負荷削減

情報の分析/共有の加速

対外取引業務の負荷削減

顧客接点の拡大/創出

内向き（対社内）外向き（対社外）

グループウェアビジネスインテリジェンスetc

CRM（顧客関係管理）Webビジネスetc

会計システムセキュリティ管理etc

SCM（サプライチェーン）EDI（電子データ交換）etc

IT

経営力


IT活用の目的③～ビジネス創出

◆新しいビジネスモデルの想起と具現化

背景にはインターネットの普及

ネット通販

オークション

ネット証券/銀行

教育（eラーニング）

マッチング

etc


ITへの期待～裏を返せば…

• 技術革新がビジネスの価値をガラリと変える

例）印刷業界街中の印刷/写植会社写真業界 DPEの商流音楽業界 LP→CD→ネット配信


勝負所は何か？を再確認


◆クラブDJ稼業に見る、差異化ポイントの変化

膨大なレコード資産高価でたくさんの機材一定以上のスペース

●“持てる者”の独断場

楽曲は「ファイル」でPCソフト＋周辺機器机上スペースでも可能

●参入障壁が一気に下がる

技術革新

得意ジャンルは何か曲の背景知識場を読む臨機応変さつなぎのテクニック起承転結の演出力

●DJに求められること

ITへの着目で大事なこと

• ミクロの視点

→何を可能とする技術なのかを見極める

• マクロの視点

→ビジネスに与える影響を熟考する

「木」を見て、「森」も見る22Copyright(c) IT Leaders, Impress Business Media


情報共有の歴史を振り返る

“Personal”がパソコンの出発点


企業内個人の事務作業を効率化

ワードプロセッサ表計算データベース

etc

ネットワーク技術の進歩


…

1人1台のPC環境が整い始める

複数のPCを束ねる「サーバー」が登場

「情報共有」という

概念が生まれる

初期の「情報共有」


…

ファイルサーバー

何を共有したら便利か？


オフィス文書スケジュールToDo/備忘録全社的な通達事項稟議書などの回覧文書アイデア/意見会議室/社用車などの予約リンク集

etc

グループウエアの潮流＜第１波＞


◆クライアント/サーバー型のグループウエア

利用者のPC（＝クライ

アント）とサーバーのそれぞれに専用ソフトが必要

大企業向けで、導入費用も高かった・ライセンス価格・運用保守費用

インターネットの登場と普及


インターネットの世界

PCにブラウザーソフトさえあれ

ば、様々な情報にアクセスできるシンプルな構造に

グループウエアの潮流＜第2波＞


◆Web型のグループウエア

利用者のPC（＝クライ

アント）には、ブラウザーソフトだけあればよい

比較的低価格ASP型サービスも登場

敷居が下がる！

情報共有や協働に取り組む狙い


社内情報のポテンシャル


“現場”の事実に勝る情報はない

人によって多様な咀嚼

自社製品のシェア

パッケージングの改良

地域貢献

天候の影響分析

エリアマーケティング

etc.

情報共有基盤は進化したが…


情報共有の実現/加速に向けて、様々なITツールが世に登場してきた

課題：情報発信の心理的な壁


導入が進んだグループウエアだが、コラボレーションの観点では効果はまだ低迷する

3層に分かれるユーザー



クラウド時代の情報共有基盤

クラウドコンピューティングの台頭


◆テクノロジーの発展に見る、企業情報システムの歴史

【集中】【分散】【ネット】【クラウド】

大型汎用機/オ

フコンによる集中処理の時代

PC/サーバーに

よる分散処理の時代

Web技術が

ダイナミックに融合する時代

ネット経由でサービスが提供される時代

所有利用

まずクラウドのイメージをつかむ


インターネット

専門業者がIT資産（ハード/ソフト）

を所有し、ユーザー企業が必要とする機能を「サービス」として、ネット経由で提供する

専門業者（クラウドベンダー）

クラウドコンピューティング

柔軟性をもたらす仮想化技術


◆サーバー仮想化の例

仮想化技術で形成するサーバー

ユーザー企業のデータ処理量

加速するパラダイムシフト


Googleやamazon.comなどに代表されるネットベンチャーの出現と成長

学生時代からネットを縦横無尽に使いこなしたデジタルネイティブ世代の台頭

新しいネットカルチャーが生まれる

ITの「産消逆転」現象


消費者の方が企業より優れたITを使い、情報武装が進んでいる状態（by 野村総合研究所）

ブロードバンドスマートデバイスソーシャルメディア

一歩先ゆく「ユーザーエクスペリエンス」

ソーシャルメディアへの注目


ソーシャルネットワークサービス（SNS）ブログ/ミニブログWikiソーシャルブックマーク口コミサイトオンラインアルバム動画共有サイトなどなど

個人が不特定多数に対して情報を発信。閲覧した人がレスポンスを返すなどして、「メディア」を形成

情報の価値連鎖をいかに拡げるか


企業

地域

社会

淀みない情報の流れを生み出す知恵

グループウエアの潮流＜第3波＞


従来の情報共有の発想


構造化＆ルール

…

今後の情報共有の発想


！！！！

！

非構造化＆自由な振る舞い

1人ひとりが主役の情報共有


♪従来：「舞台で演じる」情報共有

今後：「マイルームで鼻歌」の情報共有へ

ライフ/ワーク・スタイルを透過に


【個人的なライフスタイル】【仕事上のワークスタイル】

例）プライベートブログ

日記形式の記録関心事の追求写真/動画の公開友人知人とのつながり同志とのコミュニティ…

例）社内ブログ

仕事上の記録担当業務のノウハウビジネス文書の公開プロジェクトチームとの連携社内人脈の形成…

プライベート/ビジネスを問わず同様のスタイルで

ごく自然な情報発信を促す

ハイブリッド型へ進化


情報共有の文化を根付かせるために


インフルエンサーを巧く育てる

構えすぎず、カジュアルに！

楽しくてワクワクする工夫を

ボトムアップの力を阻害しない


Social Negative

Social Native

Social Negative

Social Native

情報が積極的に発信される文化が根付けば…

「役立つ情報」のコモンセンスが醸成される

ルール（マナーや分類等）が自然に生まれる

情報の整理・統合も進む

組織を超えた風通しが良くなる

1人ひとりの動きが見える etc.

自然発生的な組織プレーとモチベーション

玩物喪志たるなかれ


【玩物喪志】

せっかく何かやろうとしたつもりが、途中で本来の目的でない事に興味を奪われて、結果的には何もやらないのと同じ結末になること。（新明解国語辞典より）

道具に惚れ込まない

目的を見失わない

評論家にならない

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