20101120 cssnite hiroshima_pmbok4
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Transcript of 20101120 cssnite hiroshima_pmbok4
Chiaki Hayashi
loftwork.com
15,000
Chiaki Hayashi
loftwork.jp
日本中クリエイターとオンラインで協働する新しい形の制作会社
もし広島の女子Webデザイナーが 『PMBOKガイド 第4版』を読んだら
ロフトワーク 林 千晶
prologue
桃子は入社3年目。生まれ育った広島でWebデザイナーとしてそれなりに勉強をしてきてるし、経験も積んできた。クライアントに喜んでもらえることも増えて、仕事の面白さを実感しはじめている。
でもそれと同時に このまま走り続けられるんかな~? いう不安が強くなってきてる のも事実。
Webの技術は日々進化しとるけえ、 頼まれる仕事は難しくなっとる。
その一方でWebをよく知らんクライ アントから無茶な注文を出されて 時間の大半をデザインじゃなくて 調整に割いとったりする。
Webデザイナーの仕事って何なんかねえ?
どんな能力を身につけたらスキルアップできるんかねえ?
そんな悩みを持ちつつスキルアップを図ろうとチェックしたCSS NiteのWebサイトで、ひとつの言葉がふと目にとまった。
「プロジェクトマネジメント」
プロジェクトを成功させるための知識体系って書いてある。
そんなのがほんまにあるん?
早速Amazonで検索。すると「PMBOKガイド 第4版」を発見した。5000円は高いけどレビューを見ると内容はかなりしっかりしとりそうな。「世界標準」という響きもいい。
未来が明るくなるんだったら安いもんか!世界を相手にバリバリ働く自分を想像、にんまりしながらクリックした。
『これまで25年以上にわたり、 プロジェクトマネジメント知識体系ガイドは プロジェクトマネジメントという専門職 にとって指針となるツールであり、 プロジェクト・マネジャー全てに 欠かせない参考書であった。』
翌日手元に届いたPMBOKガイド。最初に目についたのが背表紙に書かれた言葉だ。
世界で200万部以上読まれ、25年も蓄積されてきたノウハウなんてあったん? すごい!
桃子は素直に感動し、早速読み進めてみることにした。
そこには桃子が今まで漠然と感じていた「壁」を乗り越えるためのヒントが溢れていた。 ・・本編へつづく
というわけで
Lesson 1プロジェクトとは何か?
プロジェクトとは、独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務である。
PMBOKガイド第4版 5ページ
そうか、自分がやりよる仕事はプロジェクトだったんだ!
Webサイト制作は難易度が高い”プロジェクト”です
プロジェクトに応じて重点を置かなければならない制約条件が異なる。プロジェクトチームは状況を見極めて、競合する要求事項の間でバランスをとることができなければならない。
PMBOKガイド第4版 5ページ
いきなりようわからんようになってしまった・・・「バランスとれ」いうて言われてもクライアントからは「明日まで」「値引きしてね」とか頼まれて、どうバランス取りゃいいんかようわからんわ~。
作業内容、納期、予算、そして品質はプロジェクトの4大制約条件です
じゃあ「安うて早ようても最高のもんをね」とクライアントは気軽に言うけど、プロジェクトが始まる時にプロジェクトの背景や目的をしっかり聞き出して、
納期なんか、品質なんか、それともやっぱり予算なんか、
私たちが優先順位を見極めんといけんのんかね
最高
品質 高
価格 低 高
低
詐欺
究極
諦め
最適
× 「時間がないからできません」○「時間が限られているので作業BとCは今後の 取り組み事項とし、まずはAに注力しましょう」
次いきます
Lesson 25つのプロセス群と9つの知識エリア
9つの知識エリア統合マネジメント
コミュニケーション 品 質
人的資源
タイムリスク
スコープ調 達
コスト
プロジェクト
9つの知識エリアはプロジェクトを成功させるために必要な必修科目です
知識エリア
プロジェクトマネジメント・プロセス群
4.プロジェクト統合マネジメント
5.プロジェクト・スコープ・マネジメント
6.プロジェクト・タイム・マネジメント
7.プロジェクト・コスト・マネジメント
8.プロジェクト・品質マネジメント
9.プロジェクト人的資源マネジメント
10.プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
11.プロジェクト・リスク・マネジメント
12.プロジェクト調達マネジメント
4.1 プロジェクト憲章作成
4.2 プロジェクトマネジメント計画書作成
4.3 プロジェクト実行の指導・マネジメント
4.4 プロジェクト作業の監視・コントロール 4.5 統合変更管理
4.5 プロジェクトやフェーズの終結
5.1 要求事項収集 5.2 スコープ定義 5.3 WBS作成
10.1 ステークホルダー特定
6.1 アクティビティ定義 6.2 アクティビティ順序設定 6.3 アクティビティ資源見積り 6.4 アクティビティ所要時間見積り 6.5 スケジュール作成
7.1 コスト見積り 7.2 予算設定
8.1 品質計画 9.1 人的資源計画書作成
10.2 コミュニケーション計画
11.1 リスクマネジメント計画 11.2 リスク特定 11.3 定性的リスク分析 11.4 定量的リスク分析 11.5 リスク対応計画
12.1 調達計画
8.2 品質保証 9.2 プロジェクト・チーム編成 9.3 プロジェクト・チーム育成 9.4 プロジェクト・チームのマネジメント
10.3 情報配布 10.4 ステークホルダーの期待のマネジメント
12.2 調達実行
5.4 スコープ検証 5.5 スコープ・コントロール
6.6 スケジュール・コントロール
7.3 コスト・コントロール
8.3 品質管理 10.5 実績報告
11.6 リスクの監視・コントロール
12.3 調達管理
12.4 調達終結
立ち上げ プロセス群
計画 プロセス群
実行 プロセス群
監視・コントロール・プロセス群
終結 プロセス群
知識エリア
プロジェクトマネジメント・プロセス群
4.プロジェクト統合マネジメント
5.プロジェクト・スコープ・マネジメント
6.プロジェクト・タイム・マネジメント
7.プロジェクト・コスト・マネジメント
8.プロジェクト・品質マネジメント
9.プロジェクト人的資源マネジメント
10.プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
11.プロジェクト・リスク・マネジメント
12.プロジェクト調達マネジメント
4.1 プロジェクト憲章作成
4.2 プロジェクトマネジメント計画書作成
4.3 プロジェクト実行の指導・マネジメント
4.4 プロジェクト作業の監視・コントロール 4.5 統合変更管理
4.5 プロジェクトやフェーズの終結
5.1 要求事項収集 5.2 スコープ定義 5.3 WBS作成
10.1 ステークホルダー特定
6.1 アクティビティ定義 6.2 アクティビティ順序設定 6.3 アクティビティ資源見積り 6.4 アクティビティ所要時間見積り 6.5 スケジュール作成
7.1 コスト見積り 7.2 予算設定
8.1 品質計画 9.1 人的資源計画書作成
10.2 コミュニケーション計画
11.1 リスクマネジメント計画 11.2 リスク特定 11.3 定性的リスク分析 11.4 定量的リスク分析 11.5 リスク対応計画
12.1 調達計画
8.2 品質保証 9.2 プロジェクト・チーム編成 9.3 プロジェクト・チーム育成 9.4 プロジェクト・チームのマネジメント
10.3 情報配布 10.4 ステークホルダーの期待のマネジメント
12.2 調達実行
5.4 スコープ検証 5.5 スコープ・コントロール
6.6 スケジュール・コントロール
7.3 コスト・コントロール
8.3 品質管理 10.5 実績報告
11.6 リスクの監視・コントロール
12.3 調達管理
12.4 調達終結
立ち上げ プロセス群
計画 プロセス群
実行 プロセス群
監視・コントロール・プロセス群
終結 プロセス群
9つの知識エリア42のプロセス
こんなにあるん~?
実施する作業の順序なんて考えて作ったことあるんかね?だから私のプロジェクトはいつも遅延するんか~(涙)
例えばスケジュールをつくるには「作業の定義→順序設定→資源見積り→所要時間見積り →スケジュール」という5つのアクティビティ
知識エリア
プロジェクトマネジメント・プロセス群
4.プロジェクト統合マネジメント
5.プロジェクト・スコープ・マネジメント
6.プロジェクト・タイム・マネジメント
7.プロジェクト・コスト・マネジメント
8.プロジェクト・品質マネジメント
9.プロジェクト人的資源マネジメント
10.プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
11.プロジェクト・リスク・マネジメント
12.プロジェクト調達マネジメント
4.1 プロジェクト憲章作成
4.2 プロジェクトマネジメント計画書作成
4.3 プロジェクト実行の指導・マネジメント
4.4 プロジェクト作業の監視・コントロール 4.5 統合変更管理
4.5 プロジェクトやフェーズの終結
5.1 要求事項収集 5.2 スコープ定義 5.3 WBS作成
10.1 ステークホルダー特定
6.1 アクティビティ定義 6.2 アクティビティ順序設定 6.3 アクティビティ資源見積り 6.4 アクティビティ所要時間見積り 6.5 スケジュール作成
7.1 コスト見積り 7.2 予算設定
8.1 品質計画 9.1 人的資源計画書作成
10.2 コミュニケーション計画
11.1 リスクマネジメント計画 11.2 リスク特定 11.3 定性的リスク分析 11.4 定量的リスク分析 11.5 リスク対応計画
12.1 調達計画
8.2 品質保証 9.2 プロジェクト・チーム編成 9.3 プロジェクト・チーム育成 9.4 プロジェクト・チームのマネジメント
10.3 情報配布 10.4 ステークホルダーの期待のマネジメント
12.2 調達実行
5.4 スコープ検証 5.5 スコープ・コントロール
6.6 スケジュール・コントロール
7.3 コスト・コントロール
8.3 品質管理 10.5 実績報告
11.6 リスクの監視・コントロール
12.3 調達管理
12.4 調達終結
立ち上げ プロセス群
計画 プロセス群
実行 プロセス群
監視・コントロール・プロセス群
終結 プロセス群
弱いところ、難しいところ、挑戦するところを把握できる
42の全アクティビティのうち20が計画プロセス
無計画で場当たり的に作業するいうのと状況にあわせて柔軟に計画を変更するいうのは違うよね。「まずはやってみりゃええわ」という仕事の仕方は違ういうのがわかった!
実作業が始めるとコストは急増するので、プロジェクトの成功に賢い計画は必須です!
時間
コストと要員のレベル
組織編成と準備
プロジェクト開始 作業実施 プロジェクト
終結
まだまだいきます
Lesson 3プロジェクト・スコープ・マネジメント
成果物スコーププロダクト、サービス、所産に特有の特性や機能
プロジェクト・スコープ規定された特性や機能をもつプロダクト、サービス、所産を生み出すために実行しなければならない作業
PMBOKガイド第4版 103ページ
スコープとは
つまり、成果物だけでなくプロジェクトスコープを把握しないとプロジェクトはうまく進行しません
クライアントの人柄を把握してコミュニケーション方法を選んだり、議事録を書いて送ったり、ミーティングには遅れずに行くようにしたり、落ち込んでいるプロジェクト仲間を励ましたりすることも
み~な含めてプロジェクトいうことなんじゃね!
具体的にスコープはWBS (Work Breakdown Structure)で把握します
decomposition要素分解
decomposition要素分解
スケジュールを作る時のベースになるのもWBSですよ
そういえば大好きな作家マリオ・メルツも「複雑すぎると単純に」
って言うとった
.......
わからないことは内容がわかる
レベルまで分解すればいいという発想です
ワークショップ
です
一緒にWBS作成にチャレンジ!テーブルごとに一組になってWeb制作のWBSをつくってみてや
5分間のワークなんよ
分解する軸として・時間/フェーズ・担当・要素成果物・それらの組み合わせで考えてみてください!
WBSを作ることで、モレなくダブリなく実施すべき作業が洗い出せます
最後ですがんばりましょー
Lesson 4プロジェクト品質マネジメント
プロジェクト品質マネジメントでは、プロジェクトのマネジメントと成果物のマネジメントの両方を取り扱う。(中略)
成果物とプロジェクトに対する品質要求事項がみたされない場合、一部またはすべてのステークホルダーに対して深刻なマイナスの結果をもたらす。
PMBOKガイド第4版 189ページ
既にスコープの知識エリアで学んだように、成果物だけではなくプロジェクトの進め方の品質が満足度に大きな影響を与えます。これを理解することでWebデザイナーとしてやるべき仕事の認識が大きく変わるはずですね。
デザインだけ頑張りゃええいうわけじゃないいうのはようわかった!
だけど、具体的にはどうやったらプロジェクトの品質は高められるん?
『品質は、計画や設計、作り込みによって 達成されるものであり、検査によってではない』
せっかくだから「近代品質マネジメント」の概念をちょっと勉強してみますか?
PMBOKガイド第4版 190ページ
品質コスト(COQ)
適合コスト 不適合コスト
予防コスト=品質に適合したプロダクトの生産
(トレーニング、プロセスの文書化、機器、正しく作業するための時間)
評価コスト=品質の査定
(試験、検査など)
内部不良コスト=プロジェクトにおいて識別された不良
(手直し、廃棄)
外部不良コスト=顧客が識別した不良
(損害賠償、保証作業、ビジネスの逸失)
PMBOKガイド第4版 195ページ
<
まさに「急がば回れ」。焦って質の悪いものを納品してその後ずっとクレームや修正を繰り返すくらいなら、最初から品質ガイドラインを準備してクライアントと認識を揃えた上で正しく作業することが、結局プロジェクト成功への近道ってことなんじゃね。
動作検証のテスト仕様書やチェックリスト、品質ガイドライン、ベンチマークなども有効な品質を管理するための手法です!
プロジェクトの開始時にプロジェクトの目的と妥当性、測定可能なプロジェクト目標および関連する成功基準、ハイレベルの要求事項、予算なども記載して、クライアントに提出しておくことの重要性
Last saved on 2009-09-12 12:09 AM
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3
3. プロジェクトサマリ 3-1. 背景
! 具体的施策の実現にはホームページの更新を今よりさらに活性化する必要があるが、現在、ホ
ームページの管理体制は非常に規模が小さく、また全て一箇所で行っているため、中核的研究
機関として世界に求められる情報発信量や情報の質を維持するのは困難で、今後の広報活動に
おいては大きな懸念材料である。そのため、ホームページによる情報発信業務を抜本的に見直
すと共に、それを支援する「コンテンツ・マネジメント・システム(以下、「CMS」という)」
を導入することで、情報の質を維持したまま情報発信量を向上させ、また単純更新の負荷を低
減することにより、企画調査の質を高め、戦略的広報の実現を狙う。
! ホームページ担当者が 2名体制のため、掲載依頼が重なると物理的にタイムリーな発信を出来
ないことが多い。
! 本来は他部署職掌の定型的な情報でも、ホームページへの掲載という面だけで広報室が窓口に
なっており、連絡等で余計な作業が発生している。
! 同類の情報でも、依頼者・依頼部署により掲載方法や様式が様々で統一感が無いため、担当者
が様式に近いレイアウトに直すか、既存のレイアウトに合うように情報を整形してから発信す
ることが多く、作業の手間や時間ロスが多く発生している。
! 他部署の直轄ページでも、機構ホームページディレクトリ内にある場合は、ディレクトリの管
理権限がひとつのため、そのページに変更があるたびにアップロードの依頼があり、手間とな
っている。
! 各研究グループの個別のホームページにおいては、作成者のスキルレベルの違いによるクオリ
ティに差があり、情報を探しづらいものがある。
3-2. プロジェクトゴール! CMS 導入による情報発信性の向上
・迅速な情報発信により NIMS の活動を知らしめ、ブランド力の向上
・研究成果や設備共有など、利用者が知りたい情報を正確に伝える
! 若手研究者が参考にできるような、より具体的な内容の情報掲載数の向上
・CMS 導入、現場への浸透により論文発表など情報掲載数の向上
・デザイン/ユーザビリティの向上により、情報に伝達しやすくする
・検索性の向上により、情報を探しやすくする
・RSS の適切な配信など現在の WEB サイトに求められる機能の実現
! より効果の高い広報手段の確立
・CMS 導入により、より効果的な広報業務を実現。効果の高い広報活動を実現する
3-3. 重要成功要因! 既存コンテンツを精査しまとめること。
! 貴社の業務効率の改善に寄与すること。
! CMS への移行対象ファイルの特定と移行計画を明確に定め、速やかに移行作業を実施すること。
おまけ「プロジェクトマネジメント計画書」
プロジェクト中盤から始まる修正の嵐。それをうまくコントロールするための「統合変更管理」という概念。また統合変更管理にはオンラインツールが必須。
『変更の影響を検討することによって、プロジェクトの妥当性確認と改善を継続的に 行う機会を提供する』『変更の要求を首尾一貫して実施し、承認された変更だけが実施されるようにする』
おまけ「統合変更管理」
ep i logue
桃子がPMBOKガイドに出会ってから2年が経った。
最初は会社の周りのみんなも「そがいなこたあ面倒じゃろ」「ドキュメントつくるだけでも余計なコストになる」「堅苦しいわ」など、反対の声が多かった。
でも桃子はあきらめなかった。会社の同僚や先輩に、プロジェクトマネジメントの有効性と可能性を伝えつづけた。
そして確実にプロジェクトを成功させる桃子をみて会社としてもプロジェクトマネジメントのフレームワークを全社的に導入することを決めたのだった。
もちろんそれで全ての課題が解決したわけじゃない。でも自分がやっているWebデザインの仕事がますます楽しくなってきたし、これからの変化にも対応していける自信がついた。
今日はこれから1年がかりでスタートする大きなプロジェクトのキックオフだ。
桃子は自信にあふれた顔で「プロジェクトマネジメント計画書」 を発表する。