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卵巣癌 BRACAnalysis ® 診断システムは、生殖細胞系列の BRCA1 または BRCA2 遺伝子の変異を検出するコンパニオン診断薬です

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Page 1: 200925 BRO BRACAnalysis 診断システム 卵巣癌...るエクソン1および4については解析しません。野生型 BRCA1遺伝子は、1,863個のアミノ酸から なるタンパク質をコードします。

卵巣癌

BRACAnalysis® 診断システムは、生殖細胞系列の BRCA1 または BRCA2 遺伝子の変異を検出するコンパニオン診断薬です

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1 BRACAnalysis® 診断システムとは

BRACAnalysis® 診断システム(以下 BRCA1/2 遺伝子検査)とは、生殖細胞系列の BRCA1 またはBRCA2 遺伝子に変異(バリアント)を有する乳癌患者、卵巣癌患者において、ポリ(ADP- リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤の投与可否判断のために用いられます。日本で初めて認可された、オラパリブ(薬剤名 リムパーザ)の適切な投与を行うためのコンパニオン診断プログラムです。

また、本品は 2020 年 4 月以降、乳癌患者および卵巣癌患者において遺伝性乳癌・卵巣癌症候群(HBOC)を特定し、医学的管理を決定するための診断プログラムとして保険で用いることができるようになりま した。

患者血液の DNA からBRCA1/2 遺伝子検査によりバリアントを解析します。各バリアントは、ミリアドのバリアント分類データベースに格納された分類済みバリアントのリストと照合、またはミリアド独自の分析手法を用いて、「病的変異あり(DELETERIOUS または SUSPECTED DELETERIOUS)」、「臨床的意義が不明なバリアント(VUS)」、「病的変異なし(NEGATIVE)」に分類され、これらのバリアント分類の情報が検査結果として報告されます。検査報告書には「病的変異あり(DELETERIOUS または SUSPECTED DELETERIOUS)」と「臨床的意義が不明のバリアント(VUS)」の分類を提供し、遺伝子多型の可能性や遺伝子多型として分類されたバリアントは「病的変異なし(NEGATIVE)」として報告されます。

2 卵巣癌における BRCA1/2 遺伝子検査の意義について

生殖細胞系列 BRCA1 又はBRCA2 遺伝子に病的バリアントを有する場合、乳癌及び卵巣癌を発症するリスクが非常に高くなり、70 歳までに乳癌を発症するリスクは 87% にもなり、卵巣癌を発症するリスクが44% まで上昇するといわれています 1。さらに、過去に癌と診断された病的バリアント保持者は、異時性の原発性癌を発症するリスクが有意に上昇します。

卵巣は骨盤内臓器のために腫瘍が発生しても初期の段階では自覚症状に乏しく、およそ 40-50% の症例が予後不良なⅢ・Ⅳ期の進行症例であることから、進行症例における治癒成績の向上が卵巣癌治療の重要な課題となっており 2、相同組み換え修復経路に着目した治療法が期待されてきました。

アストラゼネカ社の PARP 阻害剤オラパリブは、2018 年 1 月に「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」、2019 年 6 月には「BRCA 遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法」を適応症として承認を取得しました。

初発の BRCA 遺伝子変異陽性卵巣癌患者を対象とし、オラパリブの単剤維持療法の有効性をプラセボと比較、評価することを目的とした第 III 相試験(SOLO-1)において、オラパリブ投与群はプラセボ投与群との比較で、病勢進行あるいは死亡のリスクを 70% 低減させ、統計学的・臨床的に有意義な無増悪生存期間(PFS)の延長が示されました 3。

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Hazard ratio for disease progression or death, 0.30 (95% CI, 0.23–0.41) P<0.001

No. at RiskOlaparibPlacebo

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また、2020 年 4 月には、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の疑いがある患者に対して、ガイドラインにそって BRCA1/2 の遺伝学的検査が受けられるようになり、乳癌、卵巣癌の既発症患者に対してBRCA1/2 遺伝子検査の保険診療適用が拡大されました。

より早い段階で、これらの遺伝子に病的バリアントを認めるかどうかを明らかにすることにより、1)新たに生じる乳癌や卵巣癌のハイリスク群として検査や、予防(リスク低減手術等)などによる適切な医学的管理の提供、2)乳癌や卵巣癌の PARP 阻害薬などの治療適応や効果予測、3)乳癌の術式選択の指標として有用であると考えられます 4。

3 BRCA1/2 遺伝子検査適用について

1. 初発の進行卵巣癌患者の血液を検体とし、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的とする。

2. 遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)の遺伝学的検査の適用範囲は次の通りです 4。* 保険適用については次項に示します。

● 発症、未発症に関わらず(本人以外に)すでに家系内でBRCA1 または/かつBRCA2 の病的バリアント保持が確認されている

● 乳癌を発症しており、以下のいずれかに当てはまる• 45 歳以下の乳癌発症• 60 歳以下のトリプルネガティブ乳癌発症• 2 個以上の原発性乳癌発症• 第 3 度近親者内に乳癌または卵巣癌発症者が 1 名以上がいる

● 卵巣癌、卵管癌および腹膜癌を発症● 男性乳癌を発症● 癌発症者で PARP 阻害薬に対するコンパニオン診断の適格基準を満たす場合、腫瘍組織プロファイ

リング検査で、BRCA1 または / かつBRCA2 の生殖細胞系列の病的バリアント保持が疑われる

研究グループの評価による PFS 中央値は、 オラパリブ群が未到達、 プラセボ群が 13.8 カ月

カプランマイヤー曲線による無増悪生存期間の予測

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4 BRCA1/2 遺伝子検査の保険適用について

初発の進行卵巣癌患者の血液を検体とし、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的とした場合、BRCA1/2 遺伝子検査(D006-18 BRCA1/2 遺伝子検査 20,200 点)が保険適用されています。

また 2020 年 4 月より、乳癌、卵巣癌の既発症患者に対する遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)の遺伝学的検査についても、BRCA1/2 遺伝子検査(D006-18 BRCA1/2 遺伝子検査 20,200 点)の保険適用が拡大されました。

5 BRCA1/2 遺伝子検査結果について

■ 検査結果が陽性(+)である場合

病的変異あり「DELETERIOUS」または 「SUSPECTED DELETERIOUS」

BRCA1/2 遺伝子に病的なバリアントがある、または病的と疑われるバリアントがある

■ 検査結果が陰性(-)である場合

病的変異なし「NEGATIVE」

BRCA1/2 遺伝子に病的なバリアントがない。ただし、BRCA 遺伝子以外の遺伝子に病的バリアントがある可能性は否定できない。

■ 検査結果が臨床的意義が不明なバリアント(VUS)である場合

臨床的意義が不明なバリアント(VUS)「Variant of Uncertain Significance」

BRCA1/2 遺伝子に何らかのバリアントが見つかったが、それが乳癌および卵巣癌の発症と関連しているかについてははっきりしていない。結果、リスク評価に使用できない。バリアントの再分類:今後集積されるデータにより、以前に VUS と判断されたが、その後病的バリアントはない、または病的バリアントありに再分類できた場合、当社は最新の報告書を医療専門家に提供します。

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6 BRCA1/2 の遺伝学的検査に関連する情報および 学会について

卵巣癌患者に対する、コンパニオン診断および遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)検査としての BRCA1あるいはBRCA2 の遺伝学的検査に関連する情報については、以下の関連学会をご参照ください。

専門学会 ウェブサイトURL

日本婦人科腫瘍学会(JSGO) https://jsgo.or.jp/

日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC) http://johboc.jp/

7 BRACAnalysis® 診断システム技術情報

BRACAnalysis® 診断システムは、BRCA1 および BRCA2 遺伝子のバリアントに関連する癌の分子診断検査の 1 つです。遺伝学的検査は、コーディング領域の完全シークエンシングと大規模遺伝子再構成解析の両方の方法により実施されます。

シークエンシング:BRCA1 および BRCA2 遺伝子のバリアントの大半は、分子診断のゴールドスタンダードとされるシークエンシングによって検出されます 5。当社は現在、サンガー法を用いています。

大規模遺伝子再構成解析:高リスク患者(病的バリアントのリスクが 30% 超)においてはすべてのバリアントの約 10% に、低リスク患者においてはすべてのバリアントの 7% に、BRCA1 またはBRCA2 遺伝子の大規模な再構成が認められています 6。シークエンシングでは遺伝子の大規模な再構成(欠失、重複など)を検出することはできません。当社では、大規模遺伝子再構成の検出に、非常に頑健で信頼できるMultiplex Ligation-Dependent Probe Amplification(MLPA)法を採用しています。MLPA 法により検出された異常については、マルチプレックス定量 PCR シークエンシング法または CGH マイクロアレイ解析により確定します。● BRCA1 遺伝子は、染色体 17q21 上に位置し、22 のコーディングエクソンに分断された 5,400 の塩

基対から構成されています。すべてのエクソンおよびそれに隣接するイントロン領域 750 塩基対について、完全シークエンシングをフォワード方向およびリバース方向で実施します。非コーディング領域であるエクソン 1 および 4 については解析しません。野生型 BRCA1 遺伝子は、1,863 個のアミノ酸からなるタンパク質をコードします。

● BRCA2 遺伝子は、染色体 13q12.3 上に位置し、26 のコーディングエクソンに分断された 10,200 の塩基対から構成されています。すべてのコーディングエクソンおよびそれに隣接するイントロン領域900 塩基対について、完全シークエンシングをフォワード方向およびリバース方向で実施します。非コーディング領域であるエクソン 1 については解析しません。野生型 BRCA2 遺伝子は、3,418 個のアミノ酸からなるタンパク質をコードします。

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8 治療について

適用する癌種 マーカー 薬剤 適用

卵巣癌病的バリアントの BRCA1/2 遺伝子

薬剤名:リムパーザ 一般名:オラパリブ

(アストラゼネカ株式会社)

BRCA 遺伝子変異陽性の 卵巣癌における 初回化学療法後の維持療法

参考文献1. D.Fort, et al. Analysis of the BRCA1 and BRCA2 Genes in Breast Cancer Families. AJHG. 62, 3, March 19982. 卵巣癌治療ガイドライン 2015 年版 日本婦人科腫瘍学会3. K. Moore, et al. Maintenance Olaparib in Patients with Newly Diagnosed Advanced Ovarian Cancer. N Engl J Med 379;26. December

27, 2018.4. 遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療の手引き(2017 年版)日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構5. Eggington J.M., et al. A comprehensive laboratory-based program for classification of variants of uncertain significance in hereditary

cancer genes. Clinical Genetics Nov. 2013. doi: 10.1 111/cge.12315 [Epub ahead of print]6. NCCN clinical practice guidelines in oncology (NCCN guidelines): breast cancer. Version 1.2012. National Comprehensive

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