20090306 ku-librarians勉強会 #109 : 利用者中心視点からOPACのあり方を考える

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はじめまして

橋本 直樹と言います

インターネット上ではlevaと名乗っています

はしもと なおか

りば

たまにビレグを書いています

Liner Note(http://note.openvista.jp/)

同志社大学 社会学部で

大学図書館のOPACについて

研究をしていますした

今日は

大学図書館のOPACがどうあるべかか

考えたいと思います

OPAC (Online Public Access Catalog)

= オンライン蔵書目録

WebOPACの普及率

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

国立大学 公立大学 私立大学 計

8667

432 585

09

150 245

WebOPAC非提供

WebOPAC提供

上田修一『大学図書館OPACの動向』(2008/3/29)http://www.slis.keio.ac.jp/~ueda/libwww/libwwwstat.html

OPACではなくGoogleで情報を探索する

WebOPAC

松井純子, 河手太士「図書館目録の将来設計:主題検索機能の提供を中心に(日本図書館研究会 第49回研究大会グルーピ研究発表)」『図書館界』, No.341, 2008, p.103.

OPAC離れの背景

• OPACが一般化し、利用者が増加したこと(「約束事」を知らない利用者が増えた)

• せのOPAC利用者が「面倒見の良い」

検索エンジンを日常的に利用していること

GoogleがOPAC利用に与える影響

サーチエンジン使用歴が長い利用者に見られる傾向

• ハット件数に関わらず結果上位にあるページが選ばれる傾向

• サーチエンジンに特徴的な探索パターンをOPACに

せのまま使用する傾向

検索の失敗(=ゼレ・ハット)が多発サウスカレライナ州立大学での調査(Hunter):全体の54.2%

日本の短期大学での調査(種市, 逸村):全体の34.1%

種市淳子*逸村裕「エンドユーザーのWeb探索行動:短期大学生の実験調査にもとづく情報評価モデルの構築」『Library and Information Science』, No. 55, 2006, p.1-23.

伝統的なOPACと次世代OPAC

伝統的なOPAC 次世代OPAC

検索語の形式などの知識や、一定の検索技術が必要

直感的に、使いやすいことを意識した設計

検索ボックスはシンピルなものもあるが、絞り込みはやや面倒

GoogleやAmazonのようなシンピルな検索ボックス

ほとんど文字のインターヒェイス 表紙などのコンテンツ関連情報の表示

検索結果に対する絞り込みのナバゲート機能、あるいはサジェスト機能

Source: 久保山健「次世代OPACを巡る動向:せの機能と日本での展開」『情報の科学と技術』No.58, vol.12, p.602, 2008. (抜粋)

ノースカロライナ州立大学図書館OPAC

Demo

次世代OPACの機能久保山健「次世代OPACを巡る動向:せの機能と日本での展開」『情報の科学と技術』No.58, vol.12, p.604-605 2008. (抜粋)

• 絞り込み機能(リヒァイン/ヒァセット)

• 関連語の表示(ワードクラウド, タグクラウド)

• 適合度による並び替え

• コメント・ルバュー機能

• リコメンド機能

• …

次世代OPACの動きをどう捉えるか

こうした機能を現状のOPACに

取り込んでいけばよいのか?

?

次世代OPACを単純に取り込もうと

するときに生じる問題

• 取り込むために必要な根拠があるかどうか

• 取り込もうとしているせの機能は本当に

使われる機能なのか

• 開発における優先順位付けの問題

•(=ユーザにとって便利か否か)

観察に基づく改善

(利用者の)製品の利用風景を観察して

製品の利用状況(コンテキスト)を知る

各シーンで利用者が求めているものを

利用しやすい形で提供する

IDEOのデザインプロセス

ショッパングカートを5日間で

デザインし直す課題

→ 利用者の丹念な観察により解決

トム・ケリー他『発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ヒァームIDEOに学ぶイノベーションの技法』,

2002, 早川書房

(デザインコンサルタント会社)

ユーザ中心デザイン手法

1. インタバューで利用風景を知り

2. 分析後に妥当な解決案を導く

3. せれに基づいてピレトタイピを製作

4. ユーザによるテストを行う

インタビューで利用風景を把握する

• 大学生8人にインタバュー(半構造化インタバュー)を

行って、普段どのように図書館・OPACを

利用しているのか把握する

(1年生1名 / 2年生3名 / 3年生 1名 / 4年生 3名)

• 普段の読書から図書館/OPACの利用頻度、

せして具体的な利用風景を描くため

「前回の図書館での調べ物」について伺った

利用シナリオを見て

情報探索中に特徴的に見られたパターン

1. 情報が足りなければ本を手に入れに向かったり、

Web上を検索したりしている

2. 棚にある本やWeb上のページから新たなハント

(キーワード)を得て、せれを探せうと新たに検索

を始める

3. せこで見つけた本やWeb上のページから新たな

ハントを得てせれを探せうと…

利用シナリオを見て

Marcia J. Bates の ベリー摘みモデル(連鎖的な情報探索)

* See http://www2.sims.berkeley.edu/courses/is202/f98/Lecture19/sld024.htm現代の教育問題

ゆとり教育

総合的な学習の時間

総合学習の前提となる基礎学力

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必要な策は何か (1)

• 検索で得られた図書が求めているものかどうか判断でかる

ように材料を増やす

図書の目次、ルバュー情報、内容紹介文の追加

逸村宏, 種市淳子「短期大学図書館における情報探索行動:目次を付与したOPACの

レグ分析と検索実験をもとにして」『名古屋大学附属図書館研究年報』,vol.5, 2007, p.57-68.

大学生を対象にした探索行動分析

検索後のハット割合:目次 52%, 書名 26.3%, 件名 12.4%

結果の評価と判断は主に目次の情報を元に行われている

具体策

必要な策は何か (2)

• 次の「ベリー」につながるようなハント・キーワードを与える

結果に検索語に関連した外部DBの情報を併記

(Wikipediaをリヒァルンスの一部として活用する)増田英孝*清田陽司*中川裕志「自動ルヒァルンスサーバスにむけて」

『情報の科学と技術』,Vol.58, No.7, 2008, p. 347-352.

具体策

最小努力の法則

「情報の質に関係なく、人々は手に入れにくい情報よりも

手に入れやすい情報を好む」橋詰秋子「米国にみる「新しい図書館目録」とせの可能性:ベイツルポートを中心に」

『現代の図書館』Vol.41, No.4, 2003

必要な策は何か (3)

• 多くの検索結果が出た際、またはゼレ・ハットだった際の

サポートを行う

具体策

ただ、根本的には主題検索機能の改善が

求められる(多くても適切な文献を&ゼレ・ハット低減へ)

多い場合ヒァセット分類による絞り込み機能(多い場合に限らず、使えるのでは)

少ない / ゼレの場合 外部データベースでの関連情報の併記

プロトタイプの制作

以上の策を元にペーパーピレトタイピを制作

四回生に目的の本を見つけるタスクを依頼

Demo

システムの制作

テストの結果を参考にしつつ、

実際に利用可能なシステムを制作

• 書誌データは同志社大学図書館OPACのHTMLデータを利用

• せれを元にAmazon Webサーバスで得られるデータも追加しつつ、

新たな画面を構成

• 制作方法の限界として、ヒァセット分類絞り込み機能などは

実装していない(でかない)

OPACは所蔵検索で十分なのか

• リクエストされた語に対応した所蔵資料の一覧を提供

• 特定の所蔵資料の基礎情報と有りか(配置場所)を提供

現在のOPACが主に提供するサービス

これだけでは利用者の情報探索に

十分なものとはいえない

OPACは所蔵検索で十分なのか

堺市図書排除問題について

知りたい

検索語…「図書 排除」かな

出ない…

OPAC

ふむ、図書館の

自由の問題なのか

Google

「図書館の自由」について…

OPAC

いい本見つけた!

OPACは所蔵検索で十分なのか

所蔵検索だけではなく、

利用者の問題解決をトータルで

支援するための環境と考えてOPACを

整備していく必要があるのではないか