韓国の監査検査院(BAI)についてŸ“国の監査検査院(BAI)について 日 次 |はじめに |韓国の監査検査院(BAI) i第1章 BAIの紹介 歴史 地位
2. FS 調査事業実施対象案件の審査及び評価22 2....
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2. FS 調査事業実施対象案件の審査及び評価
2.1 実施概要
平成 20 年度に経済産業省で採択した個別の3Rシステム構築のための FS 調査事
業(特に希少性・有用性の高い金属を含む製品や処理困難物の3Rや異業種間連携
による3Rの取組、資源節約効果の高い取組を中心に 8 テーマ採択)について、実
施体制・状況などの評価・指導等を実施し現地調査を行った。
また、外部有識者で組織する審査運営委員会を設置し、同委員会においては評価・
指導方針等を決定するとともに、受託者からの進捗状況・成果等の報告に対し適切
な助言等を行った。
(1)運営委員会(3 回)
年間事業計画説明・中間報告(進捗状況報告)・成果報告の計 3 回実施。
(2)テーマ及び実施者
8 つの FS 調査テーマ及び委託調査実施者の一覧は下表のとおり。 経済産業省
(担当課室名) FS 調査テーマ 委託調査実施者
東北経済産業局
(循環型産業振興課)
ブラウン管式テレビ(ブラウン管ガラス)のリサイクルネット
ワーク構築可能性調査
国立大学法人東北大
学
東北経済産業局
(循環型産業振興課)
自動車用部品の高度化に資する鋳鉄用原材料リサイクル
システム構築可能性調査
三菱UFJリサーチ
&コンサルティング(株)
九州経済産業局
(リサイクル推進課)
九州地域からのRびんリユースシステム構築・普及に関す
る調査
三菱UFJリサーチ
&コンサルティング(株)
製造産業局
(非鉄金属課) マグネシウム製品等のリサイクルシステム可能性調査 (株)三菱総合研究所
製造産業局
(化学課)
使用済み産業廃棄物由来の廃プラスチックの高効率循環
型マテリアルリサイクルシステムの構築 (株)リサイクルワン
商務情報政策局
(取引信用課) リース業界を核とした産業機械等の3Rシステムの検討
三菱UFJリサーチ
&コンサルティング(株)
製造産業局
(鉄鋼課製鉄企画室)
鉄鋼業における植物由来廃棄物を原料としたバイオコーク
スの活用法と循環システム構築に係る調査 (株)建築技術研究所
資源エネルギー庁
資源・燃料部
(石油精製備蓄課)
廃潤滑油と廃食用油によるバイオ再生重油の製造及び家
庭廃食用油の回収システムに関する調査 (株)新日石総研
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(3)現地調査の実施
各 FS 調査事業が対象とする製品・サービスの現状と今後の実現可能性の判断
材料とするため、実際のリサイクルの現場の視察及び関係者との意見交換を実施。
2.2 実施方法
実施体制を以下に示す。
運営委員会
担当委員の
参加・助言
委員会運営全般 調査進捗に係る助言・評価
調査進捗等の報告
運営委員会助言の伝達
・サポート
FS 調査事業に係る
・ 情報収集
・現地会議スケジュールの調整 等
(1)実施期間
平成 20 年 10 月 21 日~平成 21 年 3 月 19 日(木)
FS 調査事業
受託者
(調査検討委員会事務局)
各 FS 調査事業
調査検討委員会
運営委員会
運営委員会事務局
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(2)実施スケジュールの概要
採択された 8 テーマ(前掲一覧表を参照)について、下表に示すスケジュール
に従い事業を実施した。
年月日 内 容 備 考
平成 20 年
(第 1 期)
2 月 15 日
~3 月 7 日
(第 2 期)
5 月 27 日
~6 月 7 日
・テーマの募集、企画書の受付 経済産業省
6 月 ・応募テーマの審査
・採択テーマ選定
経済産業省
8 月~11 月 ・採択事業者との契約 経済産業省
10 月 31 日 ・第1回運営委員会
各 FS 調査事業の趣旨目的及び実施計画
の説明
分別、収集、運搬等の3Rシステムに
関する調査
試作品の製造、品質評価に関する調査
再資源化製品の社会受容性等と試作品
の普及に関する調査
三菱総合研究所
11 月~12 月 ・オリエンテーション
事業遂行における展示会及び現地調査へ
の対応についての説明
三菱総合研究所
12 月 11 日
~12 月 13 日
・展示会 エ コ プ ロ ダ ク ツ
2008
平成 21 年
1 月 22 日
・第2回運営委員会
中間報告
三菱総合研究所
1 月~3 月 ・現地調査及びヒアリング 運営委員会委員
経済産業省
三菱総合研究所
3 月 10 日 ・第3回運営委員会
最終報告
三菱総合研究所
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2.3 運営委員会における審査・指導・評価の概要
3 回開催された運営委員会において委員から発言がなされた各 FS 事業に対する
指導及び評価については以下のとおりである。
(1)ブラウン管式テレビ(ブラウン管ガラス)のリサイクルネットワーク構築可能
性調査
【実施者】 国立大学法人東北大学
【対象物】
・ 廃棄物:ブラウン管式テレビのファンネルガラス
・ 再生品・用途:水平リサイクル or 別用途の開拓
<第1回運営委員会>
≪委 員≫見えないフローが問題というのは、公害があるということか。
≪事業者≫現在の家電リサイクル法に基づけば、きちんと処理されており公害問題は
ない。問題点は、マレーシアに依存している現在のシステムにある。まず、世界
のガラスカレットの価格や需要等の動向が変化した場合にマレーシアが打撃を受
け、日本国内のブラウン管テレビのリサイクルが適切に行われなくおそれがある。
≪委 員≫ブラウン管リサイクルの仕組みを変えようということなのか。その場合ど
のようなリスクが焦点であるのか。
≪事業者≫ブラウン管のうち特にファンネルガラスは鉛を含んでおり、これを国内で
も適切に処理できるかを FS 調査により明らかにすることが目的の一つである。
東北地域は鉛精錬など 3 つの異なった工程を持つ精錬技術を有しており、それぞ
れの FS を行う。リスクについては、地上波デジタルへの切り替えに伴う大量廃
棄は「今すぐにでも起こりうるリスク要因」、今後しばらくマレーシアに依存し続
けることは「将来のリスク要因」であり、「今」と「将来」の双方が焦点となる。
≪委 員≫事業内容についてはわかりやすい説明がほしい。計画とともに FS の結果
得られるものを明確に示してほしい。
<第2回運営委員会>
≪委 員≫資料で電気炉よりも製錬のほうが合理的とあるが、その定義は何か。
≪事業者≫電気炉の場合、スラグが 1.34 倍となることから、溶鉱炉で処理して 1%ス
ラグに鉛が残っているとしても、その方が経済的であるという意味である。
≪委 員≫無害化の定義はスラグの中の残留した鉛の濃度を示しているのか。細倉製
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錬に運ぶ場合にはどのような形態で入るものか。
≪事業者≫鉛の濃度 0.3%未満を無害化と定義している。つまり 1%の残量濃度がある
場合は無害化とはいえない。細倉等の製錬に持ち込まれるのは、ビリガラスのカ
レットの形で入っている。
≪委 員≫海外における処理量や細倉製錬等における処理容量等を踏まえた、今後の
方向性については必ず報告書で示してほしい。海外全量受入、国内受入、国内で
保管等ケースを 3 つ程度に場合わけにして、数字を入れた上でシナリオを作成す
ることが必要。
≪委 員≫スラグを有効利用することはできないか。
≪事業者≫銅製錬のスラグは有効利用されているが、鉛製錬のスラグは定義づけされ
ていない。
≪委 員≫スラグ中の鉛濃度を下げることでスラグの用途が広がるなど、濃度を下げ
ることの意味づけが必要である。
≪委 員≫鉛が抜けた後の状態はどのようなものか。
≪事業者≫内容としてはシリカと変わらない。今回実験で、電気炉を使って中に耐火
煉瓦を使用したが耐火煉瓦の中のクロムが混入した。
≪委 員≫無害化したと場合の無害化の証明はどのように行うか。
≪事業者≫溶質試験を行って、無害化を今後証明する予定である。一度行ったが、他
の不純物が混入した可能性があるので、今回はデータとしては提出しなかった。
≪委 員≫管理型の処分場に埋め立てる場合の基準にはどのようなものがあるか。
≪事業者≫管理型処分場の基準値は溶質で 0.3%以内である。
<第3回運営委員会>
≪委 員≫ブラウン管ガラスの議論は、廃棄物をいかに有効利用するかではなく、い
かに安全に処理するかという話ではないか。実証実験の現地調査の際には、電気
炉で処理すると時間がかかりすぎ、排出に対して処理量が圧倒的に少ないため現
実的ではないという悲観的な話を伺ってきた。シナリオを書いてほしいというこ
とをお願いしたのだが、資料にはもう少し定量的データを出してもらいたい。
≪事業者≫定量的データで示す必要があるということは理解できるが、マレーシアに
おけるカレットの利用ががいつ止まるかが予想できない状況にある。また、回収
率で分布が違うのだが家電リサイクル法による回収率向上も予測ができない。結
果、シナリオを書くのが難しい状況である。それよりも水平リサイクルの維持の
ために何らかのインセンティブを与えなければということが重要では。
≪委 員≫定量的データを踏まえたシナリオの検討が必要であるとの指摘であり、そ
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ういう方針で考えていただきたい。
≪委 員≫ブラウン管ガラスの利用方法を伺いたい。
≪事業者≫資料に記載したとおりだが、利用方法は鉛の量によって変わる。ナトリウ
ム、カリウムがもっと低ければセメントに入れられる。いずれにしても、なかな
かいい方法がないというのが現実である。
≪委 員≫ 終的にブラウン管のリサイクルシステムが破綻しない筋道は書けるのか。
≪事業者≫資料中のものがそれである。現状カレットについて 19 円 /kg でマレーシア
に引き取られているが、そのうち輸送運賃が 15 円かかっている。価格面につい
ての問題については指摘している。
≪委 員≫19 円が、1 円に下がった場合等、シナリオがあるのでは。可能性の 1 つと
して、提言として盛り込んでもいいのでは。
≪事業者≫システム上、制度上運賃を考慮してもらいたいという思いはあるが、相手
が特定の一企業であり難しいという印象がある。
≪委 員≫ 初からシナリオが 1 つということに違和感がある。マレーシア向け輸出
が止まる日を予測できないのからこそ、いくつかシナリオを用意して、有効なシ
ナリオを検討することがが自然ではないか。
≪事業者≫シナリオを作ろうという努力はしているのだが、前提条件たる現行法の縛
りが強い。またマレーシアも現在 20%減産で事実上停止する寸前であるなど、今、
リサイクル維持のための政策をとらないと、全てのシナリオがなくなってしまう。
シナリオを想定する一つ上のレベルの問題が存在する。
≪委 員≫確実性の高いものとして議論しているのであれば、X デーをできるだけ遅
らせる国レベルの取り組みということになるのだろうが、それは何か。
≪事業者≫家電リサイクル法上の取扱である。
≪委 員≫課題の一番下に書いてある全く異なる技術の検討が書かれているが、この
可能性は。
≪事業者≫いくつか技術的な検討がされているが、量的な許容量は把握できていない
ため、記載したのはすべて解決という技術はなく、いくつかの方法で合わせて処
理できるようにということである。ただ、基礎研究段階の技術については実用化
まで相当時間がかかる。
≪委 員≫現実的には。利用できる技術を活用しつつ、年間で圧倒的に少ない処理量
ではあるけれども、国内における処理やそのピークについて、予測して破綻を避
けることはできないか。排出と処理を数量的に算出可能か。
≪事業者≫ある程度記載しているが、ストック量すらも読めず、難しい。海外ではブ
ロックで使っているのだが、日本なりのいい方法が見つかっていない。
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≪委 員≫水平リサイクルが困難となり、国内処理となった場合の社会的な費用の部
分について強調したほうが、危機的な状況が見えるのではないか。
≪委 員≫ブラウン管ガラスに限らず、別の廃棄物でも今後類似のケースが出てくる
かもしれない。苦労されているだろうが、シナリオの作成をお願いしたい。
(2)自動車用部品の高度化に資する鋳鉄用原材料リサイクルシステム構築可能性調
査
【実施者】三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
【対象物】
・ 廃棄物:マンガン合金(ハイテン)
・ 再生品・用途:マンガン除去等による鋼材のリサイクル
<第1回運営委員会>
≪委 員≫自動車等でハイテン鋼板がどこに使われているかは表示されているわけで
はなく、目視では判別できない。またハイテン材への添加物質の内容は 高ラン
クの企業秘密である。現に、解体業者はハンディータイプの材質分析器機を用い
て高い部材とそうでないものをより分けているが、ハイテン自体はそれほど高値
で取引されている訳ではない。
≪事業者≫現段階では、ハイテン自体は多くないが、今後多く使用された場合、リサ
イクルの過程で問題とならないよう、マンガン等を回収する技術が必要である。
≪委 員≫マンガンはどのようにして取り出すのか。
≪事業者≫以前は、硫黄等を用いて硫化マンガンにして取り出す方法だったが、現在
は酸化鉄を加えてフェロマンガンとして取り出す方法が注目されている。
≪委 員≫リサイクルシステムが自然と回っていく仕組みにしていくためにも、ハイ
テンを分けることについての付加価値が明らかになることが重要である。
<第2回運営委員会>
≪委 員≫今回の事業で到達すべきラインはどの程度か。また、検討している 4 つの
工法のうち、 適なものはみつかっているか。
≪事業者≫仮であるが、FCD の 500~450 を目指すことができればと考えている。現
状のものが良いことはよいが、当初の問題意識としてはそれだけでは新鉄の添加
の問題から逃れることはできない。擬似ステンレスの高マンガンスクラップが中
国で出てきており、仮に日本それが入ってきた場合にマンガンの調整技術が応用
できる。そのためにもマンガンの調整技術が必要ではないかという議論が委員の
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中からも出ている。
≪委 員≫アウトプットとして必要な性能を明確化し、それに向かって技術を開発す
ることが必要。
≪事業者≫自動車メーカーの意見としては、FCD の 450 を目指していけば良いという
話があるので、そこに合わせて行っている。ただ出来あがったものが、規格に満
たない場合は、そのために何が必要であるかについて検討が必要であると認識し
ている。
≪委 員≫鋳物だけでなく、製鋼用にも技術が確立されると良い。経済性の検討につ
いては、この報告書には入れない予定か。
≪事業者≫ 終段階では、どの程度コストがかかっているかについて、計算する予定
である。
≪委 員≫ハイテンが高マンガンであることは明らかであるが、個々のスクラップが
どの程度含まれているのかについての情報は把握できるか。
≪事業者≫ヒアリング情報からは、マンガンの割合は 2~3%であり、3%以上のもの
はないようである。スクラップの投入量が 40%程度であるので、試験については
元湯で 1.2%程度にすれば現実と乖離しない濃度になるのでではないかと考えて
いる。FCD420 の規格値を満たすようなもので考えている。
≪委 員≫記述に定性的な表現が多いので、より定量的に示して欲しい。
≪委 員≫マンガンはレアメタルでもあり、国家備蓄もしている物質であるが、それ
が邪魔者となって薄めているというおかしなことになっている。基本的な意義と
して、記述した方が、説得力が高まると思う。また、事前選別ができれば、避け
られる話であると思うが。
≪事業者≫スクラップ業者はほとんど事前の成分分析を行っていないという話をきい
ている。スクラップ購入の際のロット単位での平均的な値と、実際に溶かした場
合での値とではどうしても差が出てしまう状況のようだ。
<第3回運営委員会>
≪委 員≫マンガン濃度の制御が問題であるという背景を記載してほしい。実際に現
場が基本的にどの程度必要としているのかという背景部分が比重を占めていると
思う。技術を選定したということだが、どういう視点で選んだのかを盛り込んで
ほしい。脱マンガンの話で、FCD450 の達成があるが、詳細な説明が必要と考え
ている。
≪委 員≫実験ではハイテンをどの程度投入したのか。
≪事業者≫量は重量ベースでは 4 分の 1 程度だった。
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≪委 員≫課題の 3 つとも中心的な問題である。作業時間が 3 倍となると、普通の鋳
物業者であれば、断念するのではないか。記載できる範囲で詳細な説明が必要で
は。また、銑鉄の金額についても影響が大きい。数値については取扱が難しいが
工夫はできるのでは。
≪事業者≫酸化鉄の添加を少しずつ行いながら、試行錯誤で実験を行ったので、時間
がかかったが、実際は 1 時間半以内でできるのではないか。炉の中で有効に反応
していない酸化鉄もあり、酸化鉄投入量については検討の余地がある。
≪委 員≫対応策にスラグの発生抑制策について少し言及されているが、ほかにもあ
るのか。
≪事業者≫未反応の酸化鉄量を算定できれば、その分の作業時間の短縮、コストの低
減が図られる。相関式のようなものを出せるくらいまで成熟化できればと、現場
とも検討をしており、今後、成熟させたい。
≪委 員≫今回の事業で課題を抽出できたのは成果であるが、課題のどれ 1 つとって
も看過できない大きなものである。
≪事業者≫今まで資源として利用できなかったものを、現在のシステムで 1 時間程度
かければ、資源として再利用できるという技術となることは確認できたが、まだ
改善が必要である。
(3)九州地域からのRびんリユースシステム構築・普及に関する調査
【実施者】三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
【対象物】
・ 廃棄物:720ml 及び 900ml の焼酎・清酒びん
・ 再生品・用途:R びん化による廃棄物排出抑制
<第1回運営委員会>
≪委 員≫R びんについてはいくつも調査がされているようだが、従前の調査等との
違いは何か。またリユースシステムは、全国規模でやるべきではないか。何故九
州で実施するのか。
≪事業者≫本事業の特色は、焼酎と清酒で同じびん(720ml びん及び 900ml びん)を
使用することと、地域の循環と都市との循環を構築する点である。また、九州、
特に南九州では R びんについて実績も豊富である。
≪委 員≫一升瓶がうまく回って、720ml及び 900mlRびんがそうでない理由は何か。
【事業者】一升瓶は専用の運搬ケースも込みでシステム化されている。720ml 及び
900ml はそれぞれ専用の運搬ケースはない。
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≪委 員≫どうやったらうまく回るのか、世の中に大胆に提言すべき。びんを統一す
るのであればそのモチベーションをどうするのか、ひとりでに低コストで回すた
めの仕組み(洗浄システム・品質管理等)を検討する必要がある。
【事業者】ビール瓶のように、瓶の規格として 低限統一すべき部分と自由にしてい
い部分があるというのも一つの方法か。
≪委 員≫近年、びんをリユースする環境は難しくなっているとも考えられる。個人
輸送が可能になったことで酒屋などのご用聞きが減ったのと同時に、びんを定期
的に集めてくることが難しくなっている。このほかにも、びんのデザイン・色で
差別化する動きはびんの統一とは逆向きであり、うまくいかない理由ばかり増え
ているのではないか。
≪委 員≫びんが個人の家庭でどの程度滞留しているのかも調べると面白いかもしれ
ない。例えばレンズ付きフィルムの場合は、そのメーカーがどの地域でいつどれ
だけ売れたか記録をとり、分布図まで作っている。正確なマーケティングをする
ためだが、酒造メーカーでも同様の取組があるかもしれない。
<第2回運営委員会>
≪委 員≫地域によっては、720ml と 900ml がそれぞれ回っているが、九州と関東の
間でいかに流通するか、またそのためには関東の清酒メーカーが瓶を使用するか
にかかっているのではないか。また、消費者向けか、業務用では、瓶の形状につ
いての影響が異なっているように思う。アンケート結果からは、誰がどのような
意見を有しているかが明確ではない。
≪事業者≫アンケートの分析については次回までに整理を行う。瓶の形状については、
業務用、グラスで供する場合は問題無いが、ボトルで供する場合は影響があると
きいている。ある居酒屋チェーンでは、ボトルで供する場合に瓶の形状が原因で
R びんを導入できていないという話をきく。
≪委 員≫瓶が上手く流通しているところは、一定量の流通量が存在しているという
ことか。
≪事業者≫ご指摘の通り、流通の規模が一定以上あれば、コストが下がり、仕組みと
して機能する場合が多い。
≪委 員≫新瓶のコストは 1 本いくらか。
≪事業者≫1 本 40 円程度である。
≪委 員≫食品容器については、リサイクルの方が環境負荷が低いケースもあるが、
今回のリユースは環境負荷が低いと言えるか。
≪事業者≫LCA については様々な研究があるため一概には言えないが、例えば南九州
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から市首都圏に出荷された R びんを、空で再び戻すとなると、無駄が大きくなる。
しかし、地域内で洗い直して、製品として流すのであれば、地域間での移動も効
率的に行うことができるのではないかと考えている。
≪委 員≫1.8Lの一升瓶は 3 億本流通しているとのことであるが、720ml、900ml の
R びんがコスト的に見合う形で回るためにはどの程度の流通量が必要か。
≪事業者≫2,000 万本~5,000 万本あれば回るといわれている。 低でも 1,000 万本
の流通量が必要であるといわれている。
≪委 員≫流通量を増やすための方策はなにかあるか。メーカーがどのようにとらえ
ているかが重要ではないか。
≪事業者≫メーカー側としては、R びん使用の決定要因はエンドユーザの意向である
という意見を持っているようである。 終消費者からの働きかけがあればという
意見はある。
≪委 員≫規格化すれば安くなるので、消費者は選択するのではないか。
≪委 員≫R びんは通常何回使用されるものか。
≪事業者≫既存の研究では、20 回、10 回、5 回のものが多い。1.8L 瓶については、
10~20 回利用されるといわれている。
≪委 員≫九州から関東に出荷される際に、問屋や酒販店が関係してくるが、回収に
ついても問屋などを介して行うことが有効ではないか。また、メーカーがそこで
何ができるかを検討する必要があるのではないか。
≪事業者≫出荷ルートとしては、メーカーから直接卸されるものと、酒販店(問屋)
を経由するものがあり、ほぼ同数である。酒販店(問屋)は大きな要素であり、
また委員会委員としても参加頂いているので、今後検討を行いたい。
≪委 員≫統一規格に関連して、製瓶メーカーの数はどの程度存在するか。
≪事業者≫大手の企業で数社存在するので、確認したい。
<第3回運営委員会>
≪委 員≫900ml の R びんを扱っているメーカーと 720ml の R びんを扱っているメ
ーカーがあると思うが、それぞれのメーカーに聞いているのか。びんが移動して、
関東の業者も 900mlR びんを使用する可能性もあると思うが、その意向は聞いて
いるのか。また、現在 720ml を使っているが、今後 900ml を使用するというよう
な意向は調べていないのか。
≪事業者≫アンケート票はそういう構造にはなっていないが、大半は両方のびんを使
用している業者である。
≪委 員≫R びんは各プレイヤーにとって利益が大きく、環境にもやさしいという記
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載が、金銭面での利益ではないはず。話し合いの場やインセンティブの必要性に
ついて指摘しているが、経済原則では回らないということか。
≪事業者≫現状ではそのとおりである。ただし、ワンウェイびんの場合、本来は居酒
屋が負担すべき廃棄物処理コストを酒販店側がびんを無償回収することでサービ
スとして負担しており、R びんになればその分酒販店の負担が減るという点でメ
リットがある。その費用に関しては変化が無い。保管の際には、ダンボールでは
なく P 箱であれば積み上げられるので、メリットがあるのではないかという指摘
もあった。流通量が増加すれば、びん商は活性化される。それぞれのところでメ
リットはある。酒造メーカーが R びんの利用に一歩踏み出せるかどうかが重要だ
と考えている。
≪委 員≫過年度の調査で類似の調査を実施していたが、結論が似ているので検討が
必要である。
≪委 員≫出荷利用の流れは判るが、戻ってくる側の流れやデータはどうか。定量的
にデータで書かれているか。
≪事業者≫大きく事業用が 9 割、一般用が 1 割あり、居酒屋の 9 割は戻るが、一般消
費者からの排出量は 9 割が市町村回収に回っている。
≪委 員≫一般消費者からの回収が課題ということか。なぜ戻らないか把握するとよ
いのではないか。
≪事業者≫熊本県水俣市では、R びんだけ分別して回収しているので、他の自治体で
も同様の取組を普及していくべきと考えている。
≪委 員≫昔は一般消費者も酒屋で購入してびんを戻すシステムだったが、いまはス
ーパーでの購入が多く、その流れを変えることはできない。現実的には、居酒屋
からの回収を対象にするしかないのではないか。
≪委 員≫資料に記載された提言には定性的なものが多いが、経済性で回らないとい
うことを考えた場合、それでも何らかの主体がコスト負担してでも回さなければ
ならないものと、そうでないものがあるはずだが、R びんはどのような位置づけ
か。逆説的に言えば、市町村での回収をやめてしまえば、居酒屋に行くかもしれ
ない。どうやったらこうした流れを加速させられるのか。
≪委 員≫説明資料で、LCA で容器間の比較をしていて、リユースが環境面で優れて
いるという結果が示されているが、システムを維持するための手間がかかる分だ
け環境負荷が LCA には現れてきていないのではないか。ガラスのリサイクルの場
合は、カレットにして、またびんにして再生できる。リターナブルの場合のリユ
ースにかかるコストや環境負荷を全て計測できているだろうか。システムにはや
キズのチェック、その抑制のための集め方など、いろいろ考慮すべき要素が想定
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されるが、リユースが優れていると頭から決め付けていたのではないか。
≪委 員≫問題は、消費者のところでびんが回っていないことである。消費者が回さ
ないと R びんの意味が無いのではないか。生協で配達するところは回収率が高い。
≪委 員≫デポジット制は考えないのか。かつてはデポジット制があったからこそ回
っていた。
≪事業者≫インタビューでは指摘はあったが、いまのところそこまで検討できない。
≪委 員≫アンケートもやっているので、意見を反映しつつ、まとめてもらいたい。
(4)マグネシウム製品等のリサイクルシステム可能性調査
【実施者】株式会社三菱総合研究所
【対象物】
・ 廃棄物:マグネシウム使用製品
・ 再生品・用途:マグネシウムとして再利用
<第1回運営委員会>
≪委 員≫現時点でのマグネシウム製品のリサイクルに関係する問題点としてどのよ
うなものがあるか。
≪事業者≫マグネシウムが現段階でほとんど再生利用されていないことや、CO2 排出
削減の観点から自動車等の部材への軽量化目的での利用が広まることが予想され
る中、消費から廃棄、再生までのフローが明確化されていない部分が大きな問題
であると認識している。
≪委 員≫問題点について見当はつくが、リサイクルは経済合理性があって初めて動
くものである。現時点でリサイクルの仕組みが動いていないのであれば、その困
難がどこにあるのかを FS で明確化すると意味がある。
≪委 員≫マグネシウムはナトリウムに次いで活性が高い。他の金属等との分離は難
しく、マグネシウム単体でのマテリアルフローを作成することは困難なのではな
いか。
≪事業者≫マテリアルフローで考えるとそのとおりであるが、そもそもマグネシウム
自体が現時点ではそれほど多く利用されていないため、どのように流れているの
かが分からないということ自体が問題でもある。何と混ざって排出されているの
か、分別のポイントや、リサイクルフローを明確化させることが重要となると考
えている。
≪委 員≫現時点で回収量が少ないのであれば、リサイクルありきで設定すると目標
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が高くなりすぎないか。
≪事業者≫将来、マグネシウムの利用率が上がった時に、リサイクルのあるべき姿と
その技術を検討しておかなければならない。
≪委 員≫アルミ協会の LCA フレームもある。マグネシウムとアルミニウムの両者の
比較検討も有効か。また、今後利用率が上がると火災等への備えなど安全面での
問題が出てくることも念頭に、FS 調査を進めて頂きたい。
<第2回運営委員会>
≪委 員≫リサイクル性に優れていると言われているが実際にはそうではないという
ことか。
≪事業者≫実態としては、メーカーによって合金中に含まれている成分などが異なる
などが多く、今の社会システム的にはリサイクル性に優れているとは必ずしもい
えないのではないかという認識を持っている。
≪委 員≫現状では工程で出てくるものだけしか回らないということか。
≪事業者≫製品廃棄物等の場合、回収のためにはさらに技術が必要であり、バージン
材と同じ品質を求められる中で、コスト面が課題とされている。
≪委 員≫リサイクルをしなければならない意味が明確ではない。アルミ等では有効
性があることが明確であるが、マグネシウムをどうしても製品から回収して再生
する意義がどこにかるかわからない。
≪事業者≫例えばトヨタ自動車では軽量化等の効果に着目され多くの自動車にマグネ
シウムを使用しており、今後の利用拡大も予想される。利用を拡大する際に、リ
サイクルの部分をアルミの添加剤等への用途を前提としている場合に、アルミや
鉄に代えてマグネシウムを使う効果が出てこないという話もある。リサイクルを
前提としないと、マグネシウム合金を使うという選択がされないという、認識が
企業側にあるということも今回の調査で明らかになってきた。今現状ではそれほ
ど使われてないという。将来的に利用を増やす場合に、リサイクルが重要になっ
てくると考えている。
≪委 員≫リサイクルの必要性について数値で示すことが必要である。
≪委 員≫マグネシウムは製造する際に電力を多く消費する。アルミニウムの場合、
また再生することが可能であるが、マグネシウムの場合合金になっているので用
途が限られる。色々なものが入っている難しさも評価することが必要。
≪委 員≫マグネシウムの利用拡大をするためには、リサイクルを行わないと足りな
いという理解でよいか。
≪事業者≫委員長を依頼している馬渕京都大学教授の試算によると、リサイクルをし
36
ないでマグネシウムを利用すると、軽量化等による環境負荷削減があまり他の物
質と変わらない結果となることが出ている。
≪委 員≫卑金属利用の可能性はあるか。
≪事業者≫卑金属利用については、把握していないが、マグネシウムの用途について
は様々なものがあるのではないかと考えている。アルミニウムが普及する際にも
色々な経緯があったようであるので、アルミニウムの普及の例も念頭に検討を行
いたい。
≪委 員≫マグネシウムの再生の際には、発火や爆発などの事故も発生した例がある
ので、リサイクルに関する安全性についても言及して欲しい。
<第3回運営委員会>
≪委 員≫溶解実験では PC 筐体のような小形のが中心のようだが、自動車用など大
形のものはどうするのか。現地調査に同行した先は日本で 2 番目の取扱量だった
が、主に自動車など大形のものを取り扱っていた。刻印もしてあって、再生材と
して回収しやすいとのことだった。また、中国のものより純度が高いということ
も聞いたが。
≪事業者≫視察先はかなり特殊な成功例と考えられる。その他の解体業者へのヒアリ
ングでは、マグネシウム単独で有価物で売れるかどうかわからないとのこと。ア
ルミニウムと一緒に混ぜて売れるなら、わざわざ分けないということだった。
≪委 員≫スクラップもマグネシムとわかっていれば売れば高く売れるのでメリット
はあるはずだが、解体する際に知らないから一緒にしているという点を報告内容
として加えてほしい。
≪事業者≫指摘事項を踏まえて報告内容とさせて頂く。
≪委 員≫業界にプレッシャーをかける意味でも、素材の刻印が重要であることを書
いた方がいいだろう。解体業者も一部ではマグネシウムの刻印を察知してやって
いる。ただ、どこに使われているか等の情報が公開されないと回収は難しいので
言及した方がよい。
≪委 員≫情報をオープンにしようという業者はいるのか。
≪事業者≫調査の過程ではなかった。業界にとっても確かにハードルは高いと考えら
れる。
≪委 員≫塗装のせいで廃棄物が増えているのであれば、塗装しないようにするとか、
そういったことを提言してもよいのではないか。
≪事業者≫過去には腐食性の観点から塗装や表面処理を施していたが、現在は腐食耐
性の向上がなされている。報告内容はそういったことも視野に入れた記載とした
37
い。
≪委 員≫資料のマテリアルフローについて、どこまで具体的に作成する予定か。
≪事業者≫情報開示がされていない部分も多く、JOGMEC による数値をベースとしつ
つ、本調査のオリジナルデータを掲載する。
≪委 員≫マグネシウム合金にもいろいろ種類があるので、量的でなく、質的な話も
入れてもらいたい。資料では、マグネシウム素材はそれだけでは使用されず、多
くの場合は合金として使用されており、リサイクルの場合、単独で取り出す場合
と合金として使用する場合とでは必要となるエネルギーも異なるだろうから、仕
分けして書けるといいのではないか。
≪委 員≫本当にリサイクルが喫緊の課題なのか。調査の結果、実際のマグネシウム
使用量が少ないので具体的にシステムが描けないということだと、喫緊ではない
のではないかと不安になる。
≪事業者≫調査が進行中であり、次回の検討会で 終的な課題点の整理等の予定であ
る。運営委員会報告資料については途中の報告と理解いただきたい。
≪委 員≫マテリアルフローについて JOGMEC を参考にするとのことだが、
JOGMEC ではマグネシウムを含む 37 鉱種について毎年調査している。それを越
えてどの程度まで明らかにできるか。大部分がアルミニウムの添加剤になってい
る部分や、残渣になってマテリアルフローから落ちている部分についても取り込
むべきである。
≪事業者≫資料 2 ページでも明記した事項が本調査のオリジナルとなる。JOGMEC
データはベースとする位置づけで、明確に区別したい。
(5)使用済み産業廃棄物由来の廃プラスチックの高効率循環型マテリアルリサイク
ルシステムの構築
【実施者】株式会社リサイクルワン
【対象物】
・ 廃棄物:建設現場で発生する包装材等のプラ(PP、PE)
・ 再生品・用途:グレード別に再生プラ製品の原料化
<第1回運営委員会>
≪委 員≫建築廃棄物については、国土交通省で小口の回収システムの検討がなされ
たばかりであり、どのように分けるのかについても検討がされている。本事業と
コンセプトが重なるのではないか。
≪事業者≫本事業では建築廃棄物由来の廃プラを原料とする高付加価値な製品を製造
38
することを重点としている。国土交通省の検討の結果を踏まえた FS であり、延
長線上にあるが、重複することはない。
≪委 員≫分別のためには人手とお金がかかるという部分をクリアするのは困難では
ないか。
≪事業者≫現場での分別はできないが、例えば少し離れた場所に集中的に分別するた
めの基地を設け、そこの費用は業界で持てないか、考えている。
≪委 員≫採算性はどうか。また歩留まりはどの程度か。
≪事業者≫いわゆる混廃の状態であると、△40~50 円 /kg。これに対し、廃プラ(PP、
PE)が 50~80 円 /kg、仕分けセンターの作業費が 15 円 /kg なのでこの差額分が
輸送費を上回るようにする必要がある。参考までに、RPF は 22 円 /kg、セメント
処理は 5 円 /kg である。プラの歩留まりについては成形残渣がおよそ 5%であるこ
とから 95%程度である。
≪委 員≫汚れたものやその他の廃棄物が混ざっているのでは。
≪事業者≫本 FS ではリフォーム及び新築のみを対象としていることから、それほど
多くの汚れたものやその他の廃棄物が入り込まないと見込んでいる。解体の現場
では汚れた物が多く、リサイクルするには問題が多い。
<第2回運営委員会>
≪委 員≫調査に重要ポイントは、建設系廃棄物をいかに 3 種類に分けるかという部
分につきるのではないか。
≪事業者≫実際に建築作業を行っている作業員が PE、PP といった樹脂別の分別を行
う際に、見分けがつかないというのが課題である。対象製品を分かりやすくする
というのが重要であると考えている。マテリアルを主体で行うと、汚れが非常に
関係してくるが、どの程度の汚れまでなら問題ないかという部分について、判別
がつかないという意見も多い。
≪委 員≫アンケート結果からも現場では仕分けは難しく、外注業者に頼むことが必
要という結果が出ている。つまり、システムとして運用するには、仕分け用の保
管倉庫や運搬ルートを検討する必要があり、そこで仕分け規準に従って仕分けを
すれば有効なリサイクルとなる。しかし、報告ではアンケートの結果から仕分け
規準まで議論が飛んでしまっている。仕分けを行うのは今まで存在しない業者で
あり、新しい業者がどのように入っていくかという部分をもうすこし検討するこ
とが必要である。
≪事業者≫運搬コストの回収の方法は重要であり、例えば圧縮機を入れて作業をする
ような事例もある。分別規準を全ての現場で実施するのは難しいので、規模に応
39
じて導入をすることが必要である。大きな現場では、廃棄物の収集場所があるが、
それに選任で一人担当がついている。その担当者向けに、分かりやすい仕分け方
法の資料を配布する。現場には圧縮機や重石などを導入し、異物が混ざらないよ
うな分別と運搬効率の向上を行うことを検討している。マテリアルリサイクルの
場合、処理会社の条件も存在するので、そこに合う条件として仕分け倉庫を導入
する。
≪委 員≫仕分け倉庫を新たに導入する際の費用や場所はどのようになるのか。
≪事業者≫近隣地でなければ運搬コストがかかるので、一定エリア内で行うことを予
定している。製品用途のグレードによってコストが異なるので、各受入規準によ
って分け、トータルのコストを算出する予定である。
≪委 員≫汚れのグレードはどのように区別するものなのか。またどこで仕分けを行
うのか。またどの程度マテリアルリサイクルができるものか。
≪事業者≫人の目で判断することとなる。現場で土汚れが目立つものは除去するが、
その後は仕分け倉庫で行うこととなる。高品質のものだとそのうち 1 割が、また
低品位の製品へは 6 割の合計 7 割がマテリアルリサイクルに回すことができる。
≪委 員≫洗浄は行わない予定か。
≪事業者≫検討の結果洗浄についてはコストが大きくなり、現実的ではないという判
断をした。
<第3回運営委員会>
≪委 員≫実証試験の際に現場で見せていただいたのはきれいで上質な廃プラスチッ
クが用いられており、これなら問題ないと感じた。リサイクルの品質は、廃プラ
スチックの状態で決まる。建築現場できれいなプラスチックを出すモチベーショ
ンをいかに上げられるかがポイントである。メリットがあれば、業者も引き取る
ということになるだろうが、うまくいかないと、全部駄目になる。
≪事業者≫実際に確認して判ったことだが、建設現場から排出される廃プラスチック
の 8~9 割程度はきれいなものだ。この点から、ある程度の大型の建設現場であ
れば元が取れる仕組みも可能である。プラスチックの圧縮機のレンタルがあれば
十分採算が合うと考えている。
≪委 員≫事業性のある仕組みづくりの提案があるといい。
≪委 員≫経済計算の部分についてだが、資料中の分別作業のデータは試算に用いら
れているか。
≪事業者≫労災の問題も有り、現場に登録されていない人を考慮するのが困難なため、
下請けの作業時間が空いた際に実施するモデルを考え、現場監督の了解も取れた
40
ので実施したものである。ただし、圧縮作業も作業委託業務内に含んでお願いし
ている。分別作業の実験データは、レンタル期間の計算の算出根拠として使用し
ている。
≪委 員≫差し支えない範囲で、圧縮作業の内容と算出根拠、範囲を明記してほしい。
≪委 員≫建設現場で圧縮しないと効率が悪いのか。中継所まで運び、そこでまとめ
て圧縮するといったようなモデルは考えられないのか。
≪事業者≫同量のプラスチックを運搬するのに必要となる車両が、圧縮後だと 2 台、
圧縮前だと 11 台である。中継所で圧縮することとすると、中継所まで 11 台使用
することとなり、運搬コストが高くなる。
≪委 員≫全国的な展開を考えた場合、建設廃棄物等の中継所が必ずあると思うのだ
が、そこで一括して圧縮した方が、効率がよいのではないか。また、既存の中継
地で大きなものは粉砕して次の場所に持っていくということがあるがそのような
方式はどうか。
≪事業者≫中継所で実施するモデルも検討したが、場所代やその場の人件費などのコ
ストがかかり、採算が合わず、結果として現場で圧縮する方法が残った。中継地
での処理については、風雨にさらされることで廃プラスチックが汚れるというリ
スクがあり、移動させない方がいいという判断をしている。
≪委 員≫全体のバランスのことを伺いたい。ごみ袋はごみがあるかぎり、ごみと一
緒にくっついて回るものだが、実証実験では車止め等製品寿命が長いものが多か
った。一生懸命このシステムでやったと仮定して、車止めなどの B 級品のマーケ
ットが本当にあるのか。そうした部分については報告書には記載しないのか。
≪事業者≫製品の市場特性を考慮して、例えば雨水貯留槽等他の品目にシフトするこ
とも重要である。また、原料となる廃プラにも量に限りがあることも考慮して設
計することが重要であると。具体的な需要量の数値までは難しいが、月間受け入
れ可能量等の数値を用いることでバランスは把握できると思う。
≪委 員≫業者側の受けいれキャパシティについてはどの程度のものか。
≪事業者≫実際、今年の夏は足りず、現在は余剰となっている。景気とも連動する部
分でもある。
≪委 員≫ご存知であれば教えていただきたいのだが、PPバンドのリユースやリデ
ュースの可能性はあるのか。
≪事業者≫現在は裁断してしまうため再利用は難しいと思う。
≪委 員≫プラスチックの建築廃材をリサイクルすることが前提であったが、入り口
のリデュースのところで新しい取り組み等あれば教えてほしい。
≪事業者≫先進的なハウスメーカーでは、梱包資材を持ち帰っており、現場での発生
41
量が小さい。一方で、ゼネコンはそういったことがないので、現場での発生量も
大量になっているようだ。
≪委 員≫資料中の原単位にばらつきがあるが、排出が少ない現場の事例の特徴等が
あるのか。
≪事業者≫オフィスビルの面積等でのばらつきはある。事例の特徴等については、例
えばハウスメーカーの事例では、ある程度組み立てた部品を現地で組み上げるよ
うな方法は排出量が小さくなる。
≪委 員≫原単位については有効数字を 1 桁でなくもう少し下げてほしい。
≪委 員≫有効数字の修正については了解した。
(6)リース業界を核とした産業機械等の3Rシステムの検討
【実施者】三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
【対象物】
・ 廃棄物:産業機械
・ 再生品・用途:リース化による長寿命化等
<第1回運営委員会>
≪委 員≫リースについてメーカー毎に文化や考え方が異なっており、業界というよ
り個別企業にヒアリングするのが有効ではないか。また、海外ではメンテナンス
や超寿命化といったビジネスと関連して航空機産業の事例が参考になるのではな
いか。
≪委 員≫日本国内の業務用・製造機器は東南アジアをはじめとする海外でメンテナ
ンスされながら稼働している。先行事例はいくつでもあるのではないか。また、
企業によってリースは会計・税務面での考え方はあるが、3Rについてはどうか。
そもそもオペレーションとファイナンスで違いはあるのか。
≪事業者≫リース業界が中古市場と組み合わさって双方を活性化するとともに、リー
スを通じてリユースを普及することで3Rを浸透させていきたいと考えている。
≪委 員≫リースに過度に期待しすぎないようにしなければならない。超寿命化やコ
ストダウンにどの程度応えられるのか。
≪事業者≫期待されるほどではないかもしれない。
<第2回運営委員会>
≪委 員≫調査の進捗が遅れているが、その理由はどのようなものか。
42
≪事業者≫委員の選定に手間取ったのが一つの理由である。
≪委 員≫誰がこの事業を求めているのかという部分がこの事業の課題ではないか。
中古製品についても、既に流通の仕組みが確立しているように思う。アンケート
についても、スケジュール的に難しいのでは。
≪事業者≫アンケート票については、既に完成しており、委員会委員長の了承を得て、
委員会の開催前に発送予定である。
≪委 員≫「リース業界が持つ3R促進機能」が明確でない。リースというと、ライ
フサイクルで製品を管理しているように感じるが、実態は違うのではないか。
≪事業者≫ヒアリングによると、リース業界としても、中古市場が大きく存在すれば
オペレーティングリースを行う可能性も大きいという話もあった。また、リース
業界が積極的に取り組むことで、中古市場が拡大するという考え方もある。
≪委 員≫調査仮説を構築するとはどのようなものか。
≪事業者≫リース会社の新たなビジネスモデルが一つの仮説であり、検証の対象であ
る。例えば中古販売業者が今出来ていないような買い入れをできるようにするこ
となどが考えられる。
≪委 員≫誰が何をすればどのような結果になるか、ということを検討するのが仮説
ではないか。
≪事業者≫オペレーティングリースかファイナンスリースかの違いは、残価を設定す
るかの話であり、リース業界からみると、中古市場があれば残価の設定がしやす
く、オペレーティングリースが発展するのではないかという見方がある。そのた
めにはどうすればよいかというのが、今回の調査の目的でもある。産業機械の中
でも、様々な機械があるので、その中から絞る作業に手間取ってきたというのが
現状である。
≪委 員≫オペレーティングリースのニーズは大きいか。
≪事業者≫リース会社としても、何故使わないのかという疑問があるので、そこはユ
ーザー側に調査する必要がある部分である。
≪委 員≫オペレーティングリースに移行するメリットにはどのようなものがあるか。
≪委 員≫ファイナンシャルリースでも、工場の閉鎖等があれば、業者が来て、海外
を含めてさばいているように感じる。
≪事業者≫ユーザニーズを満たしていないから海外に輸出されてしまうという部分も
あるように感じる。
≪委 員≫事業に関する意味づけが必要である。ユーザーにとってメリットが出てく
る条件やモデルを次回に出して欲しい。
≪委 員≫ある条件が満たされると、オペレーティングリースが進み、3Rが進むと
43
いうものを出して欲しい。
≪委 員≫アンケートでは、自分の考えを示した上で、回答者に意見を述べてもらう
ことが有効ではないか。そのためには、現状のアンケート票は適当か疑問でもあ
る。
≪事業者≫課題を示すだけでなく、課題解決への提案も示した上でのアンケートにし
たいと考えている。
≪委 員≫中古業界よりも、リースがあるほうが先のことが読みやすいというのが特
徴である。リースの良い部分の特徴を生かして検討したほうがよい。
<第3回運営委員会>
≪委 員≫事業の説明だが、前提と目的がひっくりかえったような感じである。結果
的にどうなるのか。苦労されているのは良くわかるが、まとめきれないのではな
いか。アンケート集計結果だけで終わってしまうのでは。例えば、中古物件の情
報が行き渡る必要がある等、調査前にわかりきっていたこと。それをリースとど
う関連させるかは、アイデアがない。
≪事業者≫リース業界から話を聞いた限り、リース業界がある程度成長してきており、
国内で育ってくれるとオペレーティングリースができる環境ができるということ
があった。まず、機械リースが成長して、そのあとにオペレーティングリースが
できるかということが検討されるのが良いと考える。
≪委 員≫なぜ、リースなのか。また、委員会ではどんな議論をされているのか。
≪事業者≫第 1 回の委員会では、調査目的等々について情報共有をした。またアンケ
ート調査票の内容について議論いただいた。リース会社にとってのメリットなど
議論いただいた時間はあったが、アンケート調査結果をふまえてということで第
2 回以降議論を考えている。具体性に乏しいということは承知しており、なぜリ
ースに進むかということについては、経済産業省の意向につなげていきたい考え
ている。
≪委 員≫背景はわかるのだが、ある意味でリースに対して幻想を持っており、その
幻想が正しくないということを理解してもらう必要がある。今後リースにすれば
すべてうまくいくというよう考え方は、誤解を招く。
≪委 員≫うまくいっているコピー機と産業機械の相違について検討すると良いので
はないか。自動車なら不法投棄がなくなるのではとか、そのためにクリアすべき
点や、効果を挙げていただく方が、メリットがある。アンケートの結果を受けて、
それを現実化することが必要である。
≪事業者≫事業期間が残されており、ご指摘頂いた内容についてはヒアリングで詰め
44
たいと考えている。対象予定は産業機械の種類や部品の販売に関わっているよう
な方々で、すでにリースをやられている方も多い。そういう人たちを中心により
推進するところだったらできるのではないか。
≪委 員≫現地調査で現場を見て初めて判ったこともあった。例えば、機械のユーザ
ーを変更する際の登録をするだけで 10 万円かかる。メンテナンス契約は別であ
る。
≪委 員≫産業機械は既にリユースはどのような状況か。
≪事業者≫中古業者の売却先のデータをみると、海外マーケットに 2 割。あとは国内
である。国内のうち同業者で 2~3 割流れている。基本的には同業者に回したり
しながら 6~7 割回っていて、国内にユーザーがいて、それに対して、修理や部
分交換をしてまわしているという実態だろう。
≪委 員≫ということは、国内で 8 割は回っているのか。
≪事業者≫スクラップにまわっているのは数%である。
≪委 員≫中古機械は海外ではどう処理されるかわからないので、リースにして捕捉
することでそれが防げるという方向性だと面白いと考えていたが、前提が異なる
ということか。
≪事業者≫全ての機械に共通した話を把握しているため、品目別には特殊状況がある
かもしれない。
≪委 員≫ひとくくりで産業機械を考えるのは難しいのではないか。 後は海外にい
ってしまうので、どう処理されるのか心配だという話は良く聞く。
≪事業者≫調査対象の選定の際に、海外貿易を思わせる社名(○×トレーディングな
ど)は調査から外したために、国内向けの業者に偏った可能性もある。
≪委 員≫アンケートについてだが、回答をした人の属性を記載する必要がある。大
手なら海外が少ないというのはわかるが、小さいところは海外ビジネスをやって
いるはずで、属性を記入してもらいたい。
(7)鉄鋼業における植物由来廃棄物を原料としたバイオコークスの活用法と循環シ
ステム構築に係る調査
【実施者】株式会社建設技術研究所
【対象物】
・ 廃棄物:バイオマス一般(林地残材、木材加工残材、稲わら、茶がら 等)
・ 再生品・用途:バイオコークス(高炉燃料代替)
<第1回運営委員会>
45
≪委 員≫鉄鋼産業ではもともとは石炭由来のコークスを使う以前は木炭を使ってい
た。ブラジルでは現在でも木炭を使用している。また、巨大な高炉で使うことが
できるのか、成分も大丈夫なのか等の疑問もある。鉄鋼分野は温室効果ガスの排
出削減に躍起になっているのに、バイオコークスの話は聞いたことがない。
≪委 員≫廃プラを入れている例があるが、割合は小さい。バイオコークスについて
は、今のままではうまく回っていかないから本 FS 事業の課題となっているとも
いえる。
≪事業者≫成分面については、製品中のリン・硫黄が多くなる傾向は承知している。
≪委 員≫間伐材等の賦存量及び利用可能量については既存の結果があり活用された
い。何%なら代替できるのかという量的な見方が重要である。さらに、木質バイ
オマスのうち間伐材は収集コストの面から収支を合わせるのは困難である。また、
バイオエタノールの原料にも木材を使おうとする動きもあり、資源としては既に
奪い合いとなっている。技術的に可能ということと現実にできるということとは
違う。
≪委 員≫阻害物質と併せて品質変動も押さえてはどうか。
≪委 員≫高炉の収支の問題もある。
≪事業者≫基礎データとして承知している。比較検討したい。
≪委 員≫バイオマスに関しては収集運搬コストが非常に高くなる。地域レベルの実
施が適当ではないか。
≪事業者≫茶殻やコーヒーかすなどの食品廃棄物も原料となる。
≪委 員≫茶殻と高炉は規模が違いすぎる。対象は鋳物ということか。
≪委 員≫需要側の適正規模を見定めることが重要ではないか。
<第2回運営委員会>
≪委 員≫委員会の議事録をみると、高炉での利用ではなく、溶融炉等小型の炉での
利用を行ってはという主旨の委員からの指摘もあり、現実的な方向性が必要であ
ると感じるが、目的はあくまでの高炉での利用か。
≪事業者≫現状でのバイオコークスの開発状況では 1%程度しか代替することは難し
く、一番の課題が高温と強度である。高炉以外にも製鉄所における様々な利用方
法があるので、現在のバイオコークスの有しているシーズとニーズを合わせるこ
とが一番の近道であるという指摘もあった。2 回目では、それらの議論を合わせ
てどこにフォーカスをしていけばよいかを議論する予定である。
≪委 員≫バイオコークスの LCA 評価を行って欲しい。材料となる廃棄物であるが、
原料となるだけ十分に集まる見込みはあるか。
46
≪事業者≫原料の収集は課題の 1 つである。現状のリストにあげているものは、バイ
オコークスの製造条件に適合するものの中から、近くに存在しなおかつ市場ポテ
ンシャルを有しているものである。さらに、バイオコークスに生成する際のプロ
セスロスが少ないものとして、農作物の非食用部を対象とした。
≪委 員≫食品廃棄物等について、どのような状態のものが入手できるか等、FS 事
業としてどのような条件をクリアする必要があるかについて明らかにする必要が
ある。
≪委 員≫実証施設についての規模や設置予定の数はどの程度か。
≪事業者≫現状では、農作物の非食用部であればカントリーエレベータの籾殻が出る
横で、食品系廃棄物であればファミリーレストランのセントラルキッチンの横、
茶殻であったら、飲料メーカーの工場の横などの場所を想定して、ケーススタデ
ィを行うことを検討している。ケーススタディでは、距離等の可変パラメータは
ある程度ふれるのではないかと考えている。
≪委 員≫原料について、稲藁は現状 70%が未利用とのことであるが、稲藁は未利用
分にはいっている土壌鋤きこみが主な用途であって、本来の利用可能量は少ない
のではないか。現実的な見積りをしないと難しいのではないか。バイオコークス
1 トンをつくるために原料はどの程度必要か。
≪事業者≫第 2 回の委員会に、エネルギー収支と物質収支のデータを出すために、試
算を行っているところである。バイオコークスは 22,000kj/kg の熱量があるが、
それに対して 1 万数千キロの蒸発潜熱があると、つくる意味合いが薄れてくるの
で、収支計算を行って上で検討を行う予定である。
≪委 員≫結果としては木質系に絞られてくるのでは。木質は輸送等が難しいので、
やはりどのように原料を収集するかが課題となるのではないか。
≪委 員≫未利用の率がどの程度あるかというポテンシャルの後に、未利用の原料を
どのように調達して、工場まで持っていくのかという部分を明らかにしないと経
済性の算出は難しいのではないか。
≪事業者≫ご指摘の部分については、モデルケースの設定の中で、ヒアリング等をも
とに検討を行う予定である。次回の委員会の際には、報告できると考えている。
≪委 員≫モデルケースの設定の際には、ヒアリングに行く前に既存文献を網羅して
おく必要がある。
≪委 員≫資料にはカーボンニュートラルと記されているが、これは希望的なもので、
厳密には LCA 評価を行うことが必要である。セントラルキッチンからの廃棄物に
ついては、良質なものは既に利用されている。廃棄物の用途については、バイオ
コークスありきではなく、どの用途に使うのが一番効果的であるかという部分を
47
踏まえることが重要である。
<第3回運営委員会>
≪委 員≫実験室レベルでの結果はわかるが、高炉のスケールメリットもわからない
中で、何の試算結果が示されたのかわからない。質のいいバイオマスは既に経済
ベースで回っているにもかかわらず、あえてバイオコークスにする必要性が説明
されていない。有価引取りというデータが、お茶がら等で示されているが、バイ
オコークスにしたら有価取引が可能ということか。また、高炉等でプラスチック
が必需品というような書かれ方をしているが、鉄鋼メーカーでも使用していない
ところもあり、全体で 10%も利用していない。プラスチックをバイオコークスが
代替するという書き方自体、難しいのではないか。
≪事業者≫そういった状況を勘案し、代替量を 1.5%程度で試算している。
≪委 員≫バイオコークスがそもそも高炉に入れられるのかがないとどうしようもな
い。収益をあげるにはどうすべきか、どのくらいやれば収益があがるのか、見え
てこない。バイオコークスをスケールメリットで本当にできるかどうか。
≪事業者≫バイオコークスについては昨年開発されたばかりの技術であり、基礎研究、
実証、実用化のステップを歩まなければならないものである。現在、NEDO の補
助金で実証プラントの計画をしている段階である。その段階で、バックグラウン
ドデータが無い中で検討しており、発明者である近畿大学側にも検討のためのデ
ータがないというのが実情である。
≪委 員≫NEDO の実証プラント事業での情報は入っているのか。
≪事業者≫入っている。そのあたりは確実な話をしにくい面もあるが、規模は約 10
トン /日である。
≪委 員≫事業採算性はあるのか。そもそも、この技術は商業ベースで実現できるか
どうかも未知数であり、その可能性を見せるような部分をきっちり書いてもらい
たい。
≪事業者≫廃棄物の処理費をどこまでできるかで原価を示している。一般のコークス
に対して、価格競争力がもてるのかどうか、CO2 排出量がどの程度削減できるの
かを検討したところである。
≪委 員≫説明資料の定量的な値がほしい。それぞれ量が違うと思うし、利用されて
いる分野も違う。おからも別の分野で有効利用されている。安定供給の情報等で
まとめていただきたい。原価の部分もそうだが、量的な記述をお願いしたい。
≪委 員≫バイオマスの種別の利用可能量についての算出根拠をきちんと示してほし
い。例えば、林地残材がほとんど利用されているように見えるが、現実とは乖離
48
している。稲わらについても鋤込みを加えたらこんな数字にはならないのでは。
高炉に 5%入れるために必要な量を導出する重要な数値なのではないのか。さら
に、資料後段でスケールメリットについての記述があるが、これも現実と乖離し
た記述。輸送部分がコストの大部分を占めるのだから、バイオマスは地域で利用
するのが原則ではないのか。
≪委 員≫実現可能性のない内容では厳しい。一方で、他の可能性のある用途はとい
うところまでは検討する必要がある。
(8)廃潤滑油と廃食用油によるバイオ再生重油の製造及び家庭廃食用油の回収シス
テムに関する調査
【実施者】株式会社新日石総研
【対象物】
・ 廃棄物:廃潤滑油、廃食用油
・ 再生品・用途:バイオ再生重油(ボイラー燃料代替)
<第1回運営委員会>
≪委 員≫廃潤滑油と廃食用油、双方を混ぜたものの特性は分かった。問題点は粘着
物質であるということも分かった。しかし FS 調査では、廃食用油の回収システ
ムが問題であるとされている。粘着物質の問題を克服する目処はあるのか。
≪事業者≫規模が大きくなった場合の確認は必要であるが、遠心分離器で取り除くこ
とが可能であるという感触を持っている。
≪委 員≫廃潤滑油は基本的に鉱物油である場合が多いと思うが、それでもバイオと
呼んで差し支えないのか。
≪事業者≫廃食用油が生物由来であり、問題ない。
≪委 員≫廃食用油は、バイオディーゼル燃料(BDF)の原料と調達で競合しないの
か。
≪事業者≫事業系のものの回収は進んでいるが、家庭の廃食用油はなかなか集まって
いないのが現状であり、回収システム作りから取組むこととしている。そもそも
重油と BDF とどちらが良いかについても比較して明らかにしたい。
≪委 員≫社会福祉法人による無料の回収が前提ということか。有償でも集まらない
という点を踏まえないと次に進めないのではないか。
≪事業者≫社会福祉法人にはバイオ重油の買い取りという名目で費用を支払う。FS
としては有償という点は考えていない。
≪委 員≫廃潤滑油と廃食用油の混合割合は 5:5 というバランスとなるのか。
49
≪事業者≫5:5 ではなく、廃食用油の割合は 5%程度である。
≪委 員≫そうであればせめて 9:1 といった記載となってしかるべきではないか。
≪委 員≫混ぜた方が良いという説明と、量のバランスについて、つじつまを合わせ
るように記載する必要がある。
≪委 員≫この FS の難しいところは個人の家庭を対象にしている点である。実現可
能性をしっかり検証しないと、成果を記した報告書だけが一人歩きしかねない。
≪委 員≫大口排出者を回収先として考えるのが筋ではないか。
≪事業者≫大口については既に排出ルートが確立されており入り込む余地がない。
≪委 員≫家庭から排出される廃食用油は、そのまま流しているのではなく可燃物と
なっているのが一般的と考えられる。重油等の原料として回収するのが良いのか、
LCA 的観点で検討がほしい。
≪委 員≫無償で集めたものを商業製品(バイオ重油)の原料にする動機付けは難し
いと思う。(無償で動かしていくことのエネルギーは計り知れない。)
<第2回運営委員会>
≪委 員≫バイオ再生重油の製造フローで、過熱と遠心分離を何回か繰り返している
が、これは 1 回では行えないものなのか。
≪事業者≫既設のプラントで不純物を取り除くために工夫しながら行うと、複数回と
なっている。
≪委 員≫バイオ再生重油にする場合と BDF にする場合の、メリット、デメリットに
ついて可能な限り数値で表して比較を行って欲しい。例えば廃棄物の処理コスト
など、バイオ再生重油が有利であることを説得的に示すことができるとよい。
≪事業者≫京都市で比較したデータがあるが、数値的に疑問がある部分がある。
≪委 員≫疑問があるデータについては、その疑問点等を明記した上で、引用するこ
ともできる。いずれの方式にせよ、回収する部分の課題は共通であるのではない
か。今後商業ベースで仕組みを運営する課題としてはどのようなものがあるか、
明確に書いて欲しい。
≪委 員≫効率的な回収システムに関しても検討すると記されているが、その検討状
況を教えてほしい。
≪事業者≫回収車の運転手が、回収箇所と回収量等、輸送距離を記した紙に記入して、
毎日データを収集している。
≪委 員≫現状既に古紙回収のルートを利用しているため、経済性についてはさらに
検討することは必要ないという認識か。
≪事業者≫回収箇所を増やすことや、古紙回収拠点に廃食用油を持ってきてもらえる
50
ような宣伝活動を社会福祉法人のほうでやっていただいている。また、札幌消費
者協会の HP で、取り組みのアピールをしていただいて、認知度を上げる努力を
している。
≪委 員≫BDF 化用の廃食用油を回収する仕組みとは、協力関係にあるか、それとも
競合関係にあるか。
≪事業者≫既に BDF 化用の油を回収しているスーパー等については、今回は依頼して
いない。集めるという意味では、両方式で協力して行う方が、効率が良いが、集
まった油をどちらの方式で使うかを決める方法がない。利用する方式のメニュー
をつくる必要があると考えている。
≪委 員≫方式の選択の部分についても、提言する予定はあるか。
≪事業者≫それぞれの取り組みごとに、環境省、農水省、NEDO 等の補助金を利用し
て事業を行っているため、方式について問題等を指摘するのは困難な状態にある。
ただ、このままいくと使い物にならないプラントが全国に建設されるような事態
になるのではないかと懸念しているが、報告書に書き込むのは難しいのではない
か。
≪委 員≫比較については、正しく行うことが必要。結果的に BDF が不利になっても、
仕方ないことである。
≪委 員≫社会福祉法人は安い賃金でリサイクル事業を行っており、問題視されてい
る場合も多いので、十分に配慮して行うことが必要。
≪事業者≫今回の取り組みで、事業に携わっている人の収入が増えるようになるとよ
いと考えている。
≪委 員≫廃食用油にも、植物性や動物性のものもあり、また。本事業の回収場所と
試験場所が違うが、それぞれの整合性について確認しておきたい。
≪事業者≫豊橋で実験した理由としては、4 年前にも実験したことと、付近の食堂か
ら集めた素性の分かる油を実験することができるためである。
≪委 員≫実験としては、素性のわかるもので行うことが必要であることは理解した。
リサイクルでは禁忌品は非常に重要な問題であるため、そのような危険性がある
ことは報告書には書くことが必要。
<第3回運営委員会>
≪委 員≫地に足が着いた調査研究という印象である。実験的な部分は確実に行って
いるが、3Rのシステム化の観点からもう少し検討頂きたい。北海道のケースで
記載されているが、全国の廃潤滑油再生プラント 70 社で可能なのか、どの程度
の量的な効果があるのかといった検討をしていただきたい。自治体の積極的な関
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与や、福祉団体の協力が得られているなど、特殊条件が付随してうまくいってい
ると理解したが、それが他の自治体でもできるのか。
≪事業者≫今回の事例は、社会福祉法人が中心的な役割を担って頑張っている。社会
福祉法人は全国にあるため、他の自治体でも検討できる。
≪委 員≫再生重油設備がある市町村で、本当に社会福祉法人の協力が得られるのか。
≪事業者≫そこまではわからない。ただし、自治代の規模や特性で差があるかどうか
検討するため、地方モデルと、都市モデル(札幌)をやって一定の整理を終えて
いる。全国もおそらくこの内容でうまくいくと考えている。
≪委 員≫そういった体制をとるために必要な点や、その際の注意すべき点等を挙げ
てもらいたい。
≪委 員≫混合率は 終的にどの数字がよいのか。
≪事業者≫廃潤滑油についてはエンジン油と工業用の 2 種類をブレンドして使用して
いる。廃食用油の混合比率は 5%程度であるが、根拠としては全国レベルで廃潤
滑油は 50 万 kl、家庭からの廃食用油の排出量が 10 万 kl ということで、量的な限
界から導いたものである。
≪委 員≫社会福祉法人はなんらかの見返りがあってやっているのか。経済性がはっ
きりしているなら、数字も入れられるなら、入れてほしい。
≪事業者≫社会福祉法人ではひとりあたり 1 万円程度 /月でも仕事を増やしたい意向。
現在、古紙の回収と一緒になるのでやっていただけている。廃食用油の回収だけ
でやると全く採算が合わない。
≪委 員≫古紙の拠点があって始めてできるということか。
≪事業者≫現状ではそのとおりである。
≪委 員≫再生重油だけでは成立しない。古紙があって成立している。どういった条
件が加わるとできるのか、明確に示してほしい。現地での調査によって良い情報
を持っているので、ぜひ書いてもらいたい。また、採算性についても、定性的で
もいいので、整理してほしい。
≪委 員≫ 後の軽油代替の BDF との比較表については数値を元に比較をしてほし
い。
≪事業者≫算出中なのだが、BDF については品質にバラツキがあり、規格もないため、
明確な数字が出せない。
≪委 員≫目標の品質があるはずで、その品質での数字が出れば良い。再生重油より
BDF のほうが有利だということが直感的に予想されるのだが、それを裏付けるデ
ータがほしい。廃食用油の再利用イコール BDF という図式が世の中で広く浸透し
ているが、それをひっくり返すような説得材料にもなる。
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≪委 員≫きれいなコスト計算でなくてもいい。わかるところだけでもいいので、明
記頂きたい。例えば、BDF の標準的な必要設備がこうだが、再生重油だとこうい
った設備の追加だけで可能といったことでも出してもらえればいい。
≪委 員≫設備費だけでも大分違うはずである。
≪委 員≫できる範囲で努力してもらいたい。
≪委 員≫福祉法人が注目されているが、様々な法人が存在する。ぜひとも優良法人
の例として強調してほしい。
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2.4 現地調査の概要
現地調査スケジュール及び概要を以下のとおり整理した。
(1)ブラウン管式テレビのリサイクルネットワーク構築可能性調査
【現地調査日程及び出席者】
日程:2009 年 1 月 27 日(火)
場所:細倉金属鉱業株式会社、東日本リサイクルシステム株式会社
調査内容:細倉金属鉱業における鉛回収溶解実験の見学および、事業の進捗状況の
確認。東日本リサイクルシステムズ株式会社(家電リサイクル工場)見学。
出席委員:増井委員
【概要】
・ 事業の進捗および鉛回収実験
細倉金属鉱業原田取締役、阿部熔錬課長より、実験の実施概要について説明。東
北大学白鳥教授より、事業の進捗状況について説明。
・ 実験現場見学
電気炉を用いたファンネルガラスの強還元による鉛回収試験について、作業中の
電気炉を見学。
・ 鉛精錬工場見学
細倉金属鉱業において、操業している鉛バッテリからの鉛回収工程を見学。
視察後質疑応答
・ 家電リサイクルプラント見学
細倉金属鉱業に隣接する、東日本リサイクルシステムズ家電リサイクルプラント
を見学。
【質疑応答内容】
○現在の検討状況について
・ マレーシアにおける NEG 社の生産ラインが止まると、家電リサイクル法の再
資源化率 55%を達成するのが困難な状況となる。マレーシアでは同様にサム
ソンコーニング社においてカレットを使用しているが、日本からのものは受け
いれていない。
・ マレーシアのほかに、中国、インド、韓国および欧州においてブラウン管製造
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工場は存在するが、技術的問題からいずれもカレットの投入は行っていないよ
うである。
・ 国内においては、ガラスの用途がないのが現状。鉛精錬工程で、現在ビリガラ
スについては受け入れているが、処理容量は細倉製錬で月間約 10t である。国
内で処理行うためには、上記の方法で少しずつ処理を行うことが考えられるが、
10 年単位での長期備蓄が必要。
【その他】
○当日配布資料
・報告書構成案
・ブラウン管ガラス(ファンネルガラス)からの鉛回収試験結果(中間報告)
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(2)鋳鉄用原材料リサイクルシステム構築可能性調査
【現地調査日程及び出席者】
日程:2009 年 2 月 25 日(水)
場所:特殊メタル株式会社
調査内容:今回事業における特殊メタルの取り組み報告、および特殊メタル福島工
場操業炉を用いた酸化鉄によるマンガン(Mn)除去実験の見学。
出席委員:なし(委員欠席のため後日事務局より説明)
【概要】
・ これまでの事業の進捗状況、当日の Mn 除去実験の内容に関する説明
特殊メタル福島工場 村岡生産技術課長より、これまでの予備試験の状況及び現
地調査当日の Mn 除去実験の実施概要について説明。
・ 実験現場見学
特殊メタル福島工場操業炉(1,500kg/ch)を用いた酸化鉄による Mn 除去実験を
見学。
・ 鋳込み作業の見学
酸化鉄による Mn 除去実験により得られた溶湯を用いたバルブ製造のため、鋳込み
作業を見学。
・ 視察後質疑応答
視察を踏まえての質疑応答。
【質疑応答内容】
○実験先の原料における Mn 濃度について
・ Mn 濃度についてスクラップの業差では、細かい分別まではできない。このため、
鋳鉄メーカーによっては Mn 濃度が高く、困っている状況が発生したことがある
と聞いている。ただし、当社については、自動車鋼板の打ち抜き屑や製造工程の
リターン材等、出元のわかっている原料を使うことが多いので、現状は Mn 除去
が課題とはなっていない。
○Mn 濃度を 0.4%まで下げる理由について
・ JIS 規格上は、成分についての基準値はない。結果として引っ張り強度等の機械
的性質が満足されていれば問題ない。文献や、経験的なものを含め、0.4%まで下
げると機械的性質を満足することになるといわれている。
○実験結果について
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・ 本日の実験では 0.6%程度までしか下がらなかったが、規格を満足する可能性あ
り得る。今後、本日製造した供試体の機械的性質を調べて報告することになる。
○コスト競争力について
・ 調査開始時には、鉄鋼価格、スクラップ価格が高騰していたためある程度競争力
がある技術が出てくることを想定していたが、現況、価格が下がっているためコ
スト競争力という点では厳しめの結果となることが予想される。
・ ただし、価格の変動は予想出来ないところがあるので、技術的にできることがわ
かることの意義はある。
【その他】
○視察写真
図.実験実施状況
○当日配布資料
・試験溶解タイムスケジュール(通常操業時/酸化鉄添加時)
・高マンガン鋼と耐火材(エイトセラミックス株式会社資料)
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(3)九州地域からの 720ml Rびんリユースシステム構築・普及に関する調査
【現地調査日程及び出席者】
日程:2009 年 2 月 20 日(金)
場所:田中商店株式会社、大口酒造株式会社
調査内容:田中商店におけるガラスびん洗浄工場の視察・意見交換、および大口酒造
におけるRびん洗浄充填工程の視察・意見交換。
出席委員:真野委員
【概要】
・ 田中商店視察
田中商店の事業概要の説明、本事業に関連した意見交換を実施後、洗びん工程に
おいて一升びんの洗浄工程を視察。
・ 大口酒造視察
大口酒造のRびん洗浄・充填工程の視察後、Rびん製品の出荷状況等について質疑
応答および意見交換。
【質疑応答内容】
○Rびんの状況について(田中商店における質疑応答)
・ 900ml びんは九州を中心として焼酎用に利用されている一方で、720ml びんにつ
いては清酒利用が中心であり、九州で販売されても九州内で再利用があまりな
されないのが現状。
○Rびんの今後の方向性について
・ 酒の規制緩和からも、将来はどこでも芋焼酎がつくれるようなことになること
が予想され、全国的にRびんが利用されることとなることも考えられる。Rび
んの取組を全国に発信することが重要である。
○びんの形態・種類と売上の関係について
・ 化粧びんで付加価値をつける営業活動は多く行われていて、その受け皿がチェ
ーンの居酒屋である。居酒屋側の心理としては、他店舗でバラエティがあるの
に、自店ではそれがないと感じるとやはり不安があり、ワンウェイの化粧びん
が多く用いられるのではないか。
○九州におけるRびんとワンウェイびんの消費者イメージの違いについて
・ 消費者にとって差が出るほどにはなっていない。今後情報として出していくこ
とが必要であると感じている。本来はびんを小売店に持ってくること自体が営
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業活動につながるので積極的に活用することが必要。
・ Rびんについてはある程度の年齢層であれば昔は使っていた仕組みであり、馴
染み深いのであないか。また、どの年代にとってもRびんを選択しやすいイン
センティブは必要であると思う。
【その他】
○視察写真
図.田中商店 ガラスびんの洗浄工程
図.大口酒造 Rびん洗浄・充填ライン
○ 当日配布資料
・田中商店事業概要
・大口酒造会社案内・商品案内
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(4)マグネシウム製品等のリサイクルシステム可能性調査 現地視察報告
【現地調査日程及び出席者】
日程:2009 年 2 月 23 日(金)
場所:アーレスティ栃木株式会社
調査内容:マグネシウムダイカストの概要説明、マグネシウムダイカスト工程視察お
よびマグネシウム合金屑のリサイクルに関する質疑応答・ヒアリング。
【概要】
・ 事業内容説明
アーレスティ栃木株式会社の事業概要説明、マグネシウム合金使用製品の説明。
・ マグネシウムダイカスト製造工程見学
マグネシウム合金製の自動車部品ダイカスト製造工程を見学。
・ 質疑応答
見学を受けての質疑応答およびマグネシウムリサイクルに関するヒアリングを実施。
【質疑応答内容】
○ 自動車部品へのマグネシウム利用について
・ マグネシウムダイカスト製品への塗装については、 近は塗装されないものが増
えている。二輪自動車の大型エンジンなどは、風雨への対策として塗装されてい
る。
・ 近は、マグネシウムへの不純物(銅、ニッケル等)の混入がなくなるように、
メーカー側でも部品が外しやすい設計に取り組んでいる。
・ 自動車の燃費規制からマグネシウムは増加すると予想される。現在、国内で自動
車に利用されるマグネシウム量は 4 千~5 千 t であるが、2015 年には 2 万 t 程度に
なるのではないか。マグネシウム利用が進む部品は、ハンドルやエンジンまわり
の部品であると思われる。
・ マグネシウム利用について欧米の自動車メーカーと日本の自動車メーカーでは品
質やコストの考え方が異なっている。また開発についても、欧米メーカーは協力
して開発を進めるが、日本のメーカーは自社材にこだわるため自社開発を行って
いる。
○ マグネシウムリサイクルについて
・ AZ91D 合金については、市中(使用済製品等)から回収したリサイクルマグネシ
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ウムも入っている。ただし、市中回収で使えるのは、メーカー・部品が明らかだ
ったもののみであり、それらが明らかでないものはアルミニウムの添加剤にまわ
される。
・ 解体会社は製品にマグネシウムが使われていることを知らないこともある。この
点については自動車メーカーの情報開示が不足していると認識している。また、
マグネシウムの方がアルミニウムよりも若干価格が高いということも知らないの
ではないか。
・ 今後は自動車メーカー、関連商社、ダイカスターが共同してマグネシウムリサイ
クルの推進に向けて取り組む必要があると考えている。海外では、自動車メーカ
ーが解体業者からマグネシウムを回収している例もある。
○ マグネシウム合金スクラップの工場内リサイクルについて
・ 一部、自社内リサイクルを行っている。自社内リサイクルの場合の処理は連続式
(3t 炉)である。
・ 自社内の炉は処理能力が大きく、600kg/h の処理が可能である。実際には、それほ
どスクラップが発生しないので、現状は時々使う程度である。将来的にはマグネ
シウム流通量が増えると考えている、自社内リサイクルができるように技術蓄積
を行っている。
・ 自社内リサイクルによる再生マグネシウムの品質も確認しており、規格を満たし
ている。
・ 連続式について、現状では特に技術的課題はないと認識している。
【その他】
○視察写真
図.マグネシウム合金製の自動車部品
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○当日配布資料
・ アーレスティ栃木株式会社 会社案内
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(5)使用済み産業廃棄物由来の廃プラスチックの高効率循環型マテリアルリサイク
ルシステムの構築可能性調査
【現地調査日程及び出席者】
日程:2009 年 2 月 3 日(火)
場所:スズエ電機株式会社
調査内容:建設系産業廃棄物由来の廃プラスチックからの成形テスト見学および意見
交換
参加委員:中村委員長、松田委員
【概要】
・ 事業の進捗状況、実験の内容に関する説明
受託事業者、実験事業者より、実験の実施概要、スズエ電機工業の事業概要について
説明。
・ 実験現場視察
スズエ電機のプラスチック成型工程を見学。
・ 成形テスト視察
建設系プラスチックシートの溶融、成型試験を見学。
・ 視察後質疑応答
視察を踏まえての質疑応答。
【質疑応答内容】
○現場での分別効率向上の可能性について
・ 分別については、現場担当者だけでなく、指導を行う担当が必要であるため、圧
縮機メーカーのオペレータが指導を行う方向性で検討している。
・ ただ、プラスチックフィルムの発生量が月間 3.2t~4.0t 程度のある工場でないと、
圧縮機を常時設置することはコスト的に難しい。
・ プラスチックの圧縮機のメーカーと協力して、建設現場に圧縮機をレンタルし、
圧縮機メーカの営業マンがオペレータ兼、分別の指導役としての働きをできない
か、検討を行っている。
・ 建設現場のニーズとしては、プラシートだけでなく、廃棄物を全て引き取って欲
しいというものがあるため、実質的には廃棄物の収集を行っている業者でないと
回収システムを担うことは難しいのではないか。また、建設業界がもう少し分別
等について負担をすることが必要ではないか。
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・ 一般的に、逆有償で処理費を排出側が支払うと、急激に分別意識が低下する。
○現場での分別の前段階での対策について
・ プラシートだけでなく、他の資材(ガムテープやシール)についてもプラスチッ
クのマテリアルリサイクルを阻害しない、リサイクルを前提としたものに変更す
ることが本来なら必要。
・ 実際プラを分別することはできても、テープ等の付着物まで取り除くことは困難
である。
・ 今回は圧縮機のリース代に、分別費を上乗せすることで、コストに見合うかどう
かについて今回の実験を踏まえて検証する予定である。
【その他】
○ 視察写真
図.実験実施工場および成型品
○ 当日配布資料
・成型試験説明資料
・スズエ電機会社案内
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(6)バイオコークスの活用法と循環システム構築に係る調査
【現地調査日程及び出席者】
日程:2009 年 2 月 17 日(火)
場所:中国木材株式会社伊万里木材コンビナート
調査内容:中国木材における事業の概要に関する説明および木材コンビナートの見学
出席委員:中村委員長、後藤委員
【概要】
・ 木材コンビナートの見学
九州一円から木材を集材するコンビナートを見学。
・ 意見交換・ヒアリング
木材くずの取扱状況およびバイオコークスの今後についてヒアリングを実施。
【質疑応答内容】
○ボイラーの状況について
・ ボイラー燃料は有価物が原料、廃棄物ではなく木材加工過程で発生する木くずが
主。場外には出ておらず輸送時に公道を利用することもないため、産業廃棄物で
はない。
○バイオコークスについて
・ 前述した課題を踏まえ、製材工場等の供給側のシステムが魅力を感じれば実現性
はある。
・ 例えば、前述の木質ペレットについては、価格交渉力を有する状況を生むような
生産量を確保できず、更に管理コストがかかったため、実現を断念した経緯があ
る。
・ 新規に製造ライン等を組んでも、それを売りにできるかが大きな課題である。
・ バイオコークスが性能として優れたバイオ燃料であるかどうかとは少々違った観
点だが、事業化を見据えた見極めの一つの目安であろう。
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【その他】
○ 視察写真
図.製材工程およびボイラー燃料のくず
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(7)リース業界を核とした産業機械等の3Rシステムの検討
【現地調査日程及び出席者】
日程:2009 年 3 月 4 日(水)(14:00~16:00)
場所:株式会社ユーマシン坂戸リソースセンター
調査内容:事業内容の説明、坂戸リソースセンター(産業機械展示販売場)の見学及
び意見交換。
出席委員:中村委員長、渡辺委員
【概要】
・ 事業説明
ユーマシンの事業概要、坂戸リソースセンターの業務概要、産業機械のリースア
ップ物件の調達から展示・販売までの流れについて説明
・ 施設見学
坂戸リソースセンターの見学、中古産業機械の見学
・ 質疑応答・意見交換
見学を受けた質疑応答。事業に関する意見交換
【質疑応答内容】
○ 機械のスペック等の経年変化について
・ 汎用機については、あまりスペックが変化せず、1970 年代、80 年代のものもニ
ーズがあり取り扱っている。N/C 機については、コンピュータの性能が進化し
ているので新しいものとは数年で大きな差が出る。
○ ファイナンスリース(FL)とオペレーションリース(OL)で製品の状態の差
・ 理論的には OL の方が、契約期間が短いので状態が良いはずであるが、実際は機
械の使い方によって、期間が同じ場合でも状態は様々である。
○中古機械のリースについては
・ 中古機械のリースはあまり一般的ではないが、原則として 1000 万円を越える物
件であれば、リースも考えられる。ただリースか購入かは、基本的には物品の調
達方法の違いである。
・ リース信用保険が新品でないとできないので、中古が取り扱えないという課題が
ある。
○OL の責任配分について
・ 契約上の技術としては一旦物件を顧客に販売し、顧客はリース会社に販売した上
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でさらにリース契約をすることで、瑕疵担保責任等を一度遮断する。
・ 中古品の引渡し場所はリソースセンターとしている、ただクレーンを使っても良
い。どこで渡すかというのは大きなポイントである。
・ リースは引き取るだけでなく、メンテしてから販売する力が重要。
○機械のカスケード的利用、輸出について
・ 顧客のニーズは千差万別なので、ある用途にはさらに整備が必要な場合でも、他
の低グレードの用途には軽い整備で問題のない場合がる。すなわち、用途に応じ
て整備状況を変えるなどで、カスケード的な利用を行っている。
・ 海外については、東南アジアを中心に海外への輸出は存在している。ユーマシン
で工場丸ごと機械を買い取る場合に、機種の古さやレベルによって商社を介して
輸出をしている。ユーマシンから直接は売れない。輸出先はローカル企業の場合
が多い、日系については 先端の機械を使うことが多い。
・ 利用履歴はヒアリングベースでデータに起こしている。営業マンが記入し、修理
の後に販売時の状況をさらに記入している。
○メーカーへの登録料について
・ 登録料は、機械のユーザーが変わった場合にメーカーへの登録の切り替えをする
場合に必要がある。1 件 10 万円以上する場合がある。
・ ただ修理やメンテナンスについては、さらに個別に依頼を行うので、登録料は登
録するだけのための料金であるが、登録をしていないとメーカーメンテナンスを
受けられない。
【その他】
○視察写真
図.機械展示販売現場
○当日配布資料
・ ユーマシン会社案内
・ ユーマシンニュース(中古機械売買情報)
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(8)廃潤滑油と廃食用油によるバイオ再生重油の製造及び家庭廃食用油の回収シス
テムに関する調査
【現地調査日程及び出席者】
日程:2009 年 2 月 25 日(水)
場所:環境開発工業株式会社
視察内容:バイオ再生重油の精製のための、廃潤滑油と廃食用油の混合実験見学およ
び環リサイクル事業及び環境と福祉事業見学
参加委員:本藤委員
【概要】
・ バイオ再生重油試験見学
・廃潤滑油と廃食用油の混合実験見学
・バイオ再生重油製造工場見学
・ 環境開発工業㈱リサイクル事業及び環境と福祉事業見学
・OA 機器解体工程と障害者の関係見学
・廃オイルフィルター処理装置(エレメントカッター)見学
・ 意見交換の実施
【質疑応答内容】
○地域ごとの事情に合わせた技術選択がなされる可能性について
・ 現状では、BDF に対して国の後押しがある。バイオ再生重油についても同等の選
択肢として後押しがなされれば可能ではないか。
・ BDF についてはグリセリンが発生し、焼却等も困難なため処理上の課題として存
在する。
・ バイオ再生重油の場合、5%混合であれば廃潤滑油用の設備を変更する必要がなく
BDF と比較してコスト的な優位性は存在する。
○回収ネットワークについて
・ ゼロから回収ネットワーク等を整備するのは難しいので、社会福祉のネットワー
クの協力を得ることが必要である。現状では無償の運動の協力がないと難しい。
○自治体の協力について
・ 鍵となるのは自治体の協力であると考えている。自治体の協力を得て、現在まだ
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手をつけていない部分から回収ができるのではないかと考えている。
・ 自治体におけるごみ有料化は資源ごみ回収を増加させる影響をもつ。食用油につ
いても、大きな後押しになるのではと考えている。
【その他】
○視察写真
図.再生重油タンクおよび精製現場
○ 当日配布資料
・環境開発工業 会社案内
・バイオ再生重油事業概要