1.兵庫県山東町に於いて行った比抵抗法による地下水探査...

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Instructions for use Title 1.兵庫県山東町に於いて行った比抵抗法による地下水探査 Author(s) 音田, 功; 清野, 政明; 堀田, 宏; 田治米, 鏡二 Citation 北海道大学地球物理学研究報告, 8, 1-9 Issue Date 1961-03-23 DOI 10.14943/gbhu.8.1 Doc URL http://hdl.handle.net/2115/13828 Type bulletin (article) File Information 8_p1-9.pdf Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

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  • Instructions for use

    Title 1.兵庫県山東町に於いて行った比抵抗法による地下水探査

    Author(s) 音田, 功; 清野, 政明; 堀田, 宏; 田治米, 鏡二

    Citation 北海道大学地球物理学研究報告, 8, 1-9

    Issue Date 1961-03-23

    DOI 10.14943/gbhu.8.1

    Doc URL http://hdl.handle.net/2115/13828

    Type bulletin (article)

    File Information 8_p1-9.pdf

    Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

    https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/about.en.jsp

  • 1. 兵庫県山東町に於いて行った比抵抗法による地下水探査

    音田 功・清野政明

    堀田 宏・田治米錆二

    (北海道大学埋学部地球物理学教室j

    ←昭和 35年 10月受理一

    1.調査の概況

    1959年 11月22nから 12月2日迄調査を行なった地域は 5万分の 1地形図「但馬竹田」

    の山陰本線梁瀬駅附近である。乙の附近の山々の地質は主に珪質粘板岩と砂岩とであって,部

    分的には chartiと変化している。又一部には非常に風化の進んだ花商岩の砂状になったものが

    見られる。

    第 1図lζ調査地域附近の地質図を挙げておく。

    磯部川の南側では 9月lこ襲った伊勢湾台風の豪雨

    によって,北向き斜面の一部が地とべりを起こし,鏡

    肌を現した。これを見ると,持って断層運動があった

    であろうと察せられる。

    乙の附;Jiにある最深井は 4.8mの深さであり,地

    下水両迄の深さは 2.lm であった。測定lとは横河製

    L-10を用い,電械配置には Wennerの4綴法を採用

    して,主として垂直探査を行なった。

    上で述べた如く, 乙の附近lこはお長めて浅い井戸し

    かなかった。この原閃の lつは深度約 5mで井戸が手

    掘りでは掘りにくくなってしまうからである。そこで

    多量の工業用水を必要とする場合l乙, 5mよりも更に

    深い処から今迄よりも多くの水を採ることができるか

    どうかが問題になったのである。若しも 5miこして既

    第 1図調査地借の地質図(地質調

    査所干U5万分の 1rm馬竹田 l図幅による)

    Fig. 1. Geological map of the

    prospectecl area

    lζ基盤と思われる地婦に達しているのであれば, 5m以上の深掘りをしても無駄である。

    従って今i'i!の探査に於いては,基盤迄の大体の深さを知ることを第 1目標とし,若しも基

    盤が 5mよりも深い場合lこは,そこに達する迄の地層が多くの水を貯めうるか否かを判定する

    ζ とを第 2目標としたω

    基盤その他の細かい !!::II~I ,或いは予想される水質及び水温等の詳しい調査は今回の探査目

  • 2 古田功・清野政明・沼田宏・自治米鏡ご

    標からは省いである。

    第 3図 第 21寸の¥く j尽力、"谷を展望した写真

    Fig. 3. A view of lhe valley fro!11 poinl く 111 五日.~.

  • 3 只;市9f{山東Ilげに於いて行なった比抵抗法による地下水探査

    竹泉酒造工場鮒近2.

    この生白位I泣はj;fD 図;こ⑫と ;jc:した処である。

    問中の I"{丸域を拡大して示すと第 2図の如くなる。

    {波紋及び泊料!は測線は,11心 ij~の際の 11'1心点であり,

    ArAn, BrBII及びの力向及び範囲を示しているι

    10m及CrCnの11¥11こ於いては電械間隔 G を 5m,

    び 20m として水平j~~査を夫々 3 通~)行なった。

    3図はU12図の XJiから 1澗元気区域を含む谷を

    :J~~n した写真であり,江f~ 4 凶は Ji同査F王城を前と Ir~ じ

    ノj向から洋しく I~tめた 'J/.1I{である。

    1I 1 心江戸〉測定結 ~~(土気f~ 5関{こ示す通りである。

    何れも 31';"1 1'1荷造{ご対する ρ~a llll線大).JiY]に1)て,

    と解釈される。お 2凶と 5図とを対比させて見る

    と,この??問ではiiAドヤj迄の深さが, )llil !i 1 から道 t~'\-ll [lJ

    へ次第Jこ21きくなっていることが平IJる。このことは Ar

    Anl:',J及ひ、 BrBrr II'~ の水平探査結~~からもええる。

    ヨ~51ヌ!に示したìJliJ J:E: *8 以を解析して flf られた地

    下当日rjj'[j1;;;1は第 6図 (a),(b;及び (c)の立11くなる。 Hi}.Jミ

    ある。従って, (a\ はなr~ 2 は iJlIJ};~,許に書った

    区I.Aic)は BrBu II"Jの;川町iばlをIZI Ar Arr 11',] の

    以ドト/tの比は川を越え示している l引である。

    7こIlJ(二:伝11¥している岩の上hJiut1111{とムJ'文している o

    政にこの!亡jはこω地,:tyO)去h¥件と=与えられる O

    人内。一

    -F〆

    22己【吋ωhdv

    一一五ぢ匂門戸王己己記{HHC

    注目〉一)む恒一己主山口〈-寸・回目出

    叫一A

    冶、ニム山花〈33M一刻活けいポ(兵長V

    八(も玄引法図司叩同枯

    盛」守一

    江S61文iに 占 ; い で あ る ノ とJ也宵とのWIf系は

    !A31去に示す如きものとなろう。

    首:~ 1 .Þ;/j の J~lムさはLi l の i~~,~く際を除けば大体 3-

    この削j立にあこのi菜さは前述の女11く,5mである。

    く五三る日正千子のn戸の深さの限界と f主しているcÞf~l の二j:をはぐとブミ際に玉石を兄ることもできるが,

    く ~~T地質的えて,かなり大き な比抗促iから

    らしいよ:と玉石とから成っているものと思われる。

    この肘から得られる地下水は勿論磯郎川の涜iiL水で

    ある。

    訓叫什い£円い村民山

    νnvドつ辺質広

  • 中る

    /

    13~/ ¥ ーー./¥/ 、-,4

    -.L.1一ーーし ~---1 1_1_J I 1 2 4 10 20 40 100m

    :>:

  • 兵庫県山東町に於いて行なった比抵抗訟による地下水探査

    Ar NO.I NO.2 Cn NO.3 NO.4

    800 nrr 丈一一三旦nm

    -IOm- 250 nm

    -20m-

    -IOm-

    -20m-

    -30m-

    Br

    一10m-

    -20m-

    -30m-

    , F

    NO.9

    600 ~ 2000 nm

    NO.6 N0.7 NO.16 NO.6 NO.5 ~...... (、町、

    1000 nm

    250 nm

    600へ-2000 Dm

    NalO Nロ20 ~l NO.II NO.12 Brr

    第6図 ρ--a r曲線を解析して得られた地下構造

    Fig. 6. Underground constructions deduじedfrom ρ a curv出.

    5

    (8)

    (b)

    (c)

    小川幸男の測定の結果によると磯部川の川水の比抵抗値は 1102mであり,井戸水の比抵

    抗値は 572mであったとのことである。一般に深い地下水程比抵抗値を減ずるものであるか

    ら,小川幸男の測定結果は予想、通りの傾向を示している。

    地下水の比抵抗値は深くなるにつれて減ずるが,粘土の比抵抗値も一般に極めて小さい。

    故lこ比抵抗(直が 2002mよりも小さい様な地層は透水性の悪い粘土分の多い地層と判定される。

    これは良好な帯水層となるためには不利な条件である。

    第 2居の比抵抗値を見るに,乙れは有望な帯水層を期待する乙とに対して,一応我慢の出

    来る値である。第 2層の厚さは谷の中心部では 20m以上lζ達すると思われるが,乙のrlJには

    いくつかの帯水層と粘土層とが入り混じっているものと思われる。

    第3閣は基盤と考えられるので, こ乙から多量の水を求めることはできない。

  • 6 音田功・消野政明・堀田宏・悶治*鏡二

    参考のために第 2図 GrGrr聞の地下断面図を示すと,第 7図の如くなる。 但し第 6図に

    描いた第 1層は吏l乙制かく 2つの層I乙分けて描いてある。第 7図は川lこ沿った断面図であるが,

    ~ 0.21

    一10",-

    -20m-

    800~2000 nm

    -30m-

    第 7図川と平行な方向の地下構造

    Fig. 7. U nderground constructions parallel to the riv巴r.

    この方が谷を横断した断面図よりも地層の凹凸が激しく見える。然し今回行なった測定の解析

    能力から考えて,かくの如き凹凸を詳しく議論することは不適当である。

    以上の結果を綜合すると次の如くなる。既存の井戸の深さが 4-5mで止まっているのは,

    この程度の深さで地層が変っているためである。即ちこの辺で粘土混りの梢堅い地!留にぶつか

    るものと考えられる。この粘土層の下, 20m位までは均質一様なものではなく砂,砂利l留が互

    !留をなしているであろう。乙の互)留の下には基盤と思われる極めて堅い層がある。乙の極めて

    堅い層を抜くことは困難でもあるし,又水を求めるためには怠味もない。基盤から上は地表迄

    水は¥j'i'えられているものと考えられる。但し第 2)援は透水性の悪い粘土層を含んでいるので,

    j手さの割には多くの水を期待することは出来ない。

    3. 郡是製糸工場

    位置は第 1凶にじと記した処であり,

    |寸工場の敷地ω-;むを~8 凶に示す。 県、メし

    はrt心法の中心点である。

    比抵抗の測定結栄は第 9図に示しであ

    る如く,竹泉酒造工場附近の測定結巣とよ

    く似ている。大局的lこは前と同様な 3層構

    造であるが,第 3層迄の深さは前よりも深

    くなっている。

    0.4'...... ~\

    一「第 9図i乙示した測定結果を解析して求

    めた各測線下の地下構造は第10図に示した

    如きものとなる。図I"tの数字は比抵抗値を

    .Qmで示している。竹泉酒造工場の場合と

    同様に, 200.Qm前後の地層が前に述べた

    t{~ 2 )首であって,砂,砂利,粘土の互厄iで

    第8図郡是製糸工場内の誤u線配置図

    Fig. 8. Observed詰pansat Gunze' faιtory.

  • 兵庫県山東町に於いて行なった抵抗法による地下水探査

    ある。第 2層の上下は梢高比抵抗の

    第 1層と最も比抵抗の大きい第3層

    とである。第 1層は玉石層で第3層

    は前の如く基盤と考えられる。

    第四図には,其の後同工場で

    行なわれたポーリシグ(第8図白丸

    印)の結果を知らせて頂いたので,

    これも併せて挙げておいた。一言附

    Xlo'丘m10

    2

    2 4 a

    第 9図 郡是製糸工場内の ρ~a 曲線

    40 60 m

    け加えるならば吾々の解析結果はポ Fig.9. ρ-a curves at Gu口氏、 factory.

    7

    ーリシグ資料を貰う以前に出しているのである。このボーリシグ資料と吾々の測定結果とを比

    第 2表 (Table 2.)

    層 比抵抗 (.Qm) ボーリングによる層の区別

    (layer) reslslivlty geological boundary

    l 500 ~ 600 1から 6m迄

    -】y 約 200 6から 30m迄

    3 1100 ~ 1700 30mより下

    ~・ Ei M SCALE 4 6 8 10 12 14 16 600 50 itt 680 一一-"'"days 260

    訂す

    10m

    130

    ZQrn

    π而

    行而 1100 担.!" 29.7

    第10図 ρ-a曲線を解析して得られた地下構造及びボーワングの際に得られた資料と堀進速度

    Fig. 10. Underground construじtionsdeduced fromρ-a curves, besides boring じりresand boring speed.

  • H 音田功・消野政明・堀田宏・田治米鏡二

    較して見ると,互いに第2表の如く対比される。なおポ-!JYグの際の掘進速度も知らせて頂

    いているので,参考の為lこ第 10図の右端l乙挙げておく。 30m近くになると赤砂に達し,掘進

    速度は極めて遅くなっている。ここでポーリシグは止めているが,更に進めば,花岡岩の風化

    が進んで出来た赤砂の部分を過ぎて,間もなく基盤に達するものと思われる。第 2層内から可

    なりの水は得られる由であるが,吾々の予想した如く,粘土層を挟んでいて,最適の千百:水層で

    はなかった様である。

    今回の電気探査は主として竹泉酒造会社よりの依頼で行なわれたものである。吾々は探

    査の機会と便宜とを与えられた同社の回治米吉郎右衛門及び田治米康三両氏に先ず謝意を表

    す。又郡是製糸K.Kの小川幸男氏は吾々の調査に協力して下さると共に,其の後行なわれた

    同社の詳しいボーリング資料を送って下さった。同氏にもお礼申し上げる。

    最後に吾々の測定結果を討議して下さった道立地下資源調査所河田英及び山口久之助の両

    氏に感謝する次第である。

    1. Electrical Prospecting for Underground Water in Santo-cho, Hyogo Prefecture

    By lsao ONDA, Masaaki SEINO, Hiroshi HOTTA

    and Kyozi TAZIME

    (Department uf Geuphysiじs,Faculty uf Sじlenじe,Hokkaiζ10 Univer凶ity)

    Every well in this locality is shallower than five meters in depth, because usual

    hand borings were stopped by meeting with a compact layer at this depth.

    It has been attempted, however, to pump up more industrial water from deeper

    layers than before. No one has knowledge whether or not the deeper layer is permeable

    to any large quantity of water.

    This question has been attacked by means of the electric resistivity method with

    four electrodes. Two places were investigated in this locality: one was that indicated

    by ~ and the other by⑥ in Fig. 1. Observed spans,ρ-a curves, photographic views

    and the results of prospecting at ~ are illustrated in Figs.2 to 6. Table 1 gives com-

    parison of resistivity with geological formations. Fig.7 is obtained by a rearrangement

    of the same data as that used in Fig. 6.

    Figs. 8 to 10 belong to⑥. In general, the underground formations at ~ and @J

    correspond to each other. The uppermost layer has large value of resistivity as much

    as several hundred ohm-meters; it consists of mud and pebble. It is a good permeable

    layer for water but its thickness is only several meters.

    The intermediate layer has resistivity value of about 200 ohm-meters; it consists

    alternately of sand, gravel and c1ay layers. Such low resistivity as 100 to 200 ohm-

    meters means that the layer may be partially rich in c1ay which has very poor per-

    meability. But th巴sevalues of resistivity are never too small to be disregarded. Con-

  • 兵庫県山東町に於いて行なった比抵抗法による地下水探査 9

    siderably large quantities of water will be pumped up from some permeable layers which

    must exist within the intermediate layer. The thickness of the intermediate layer is

    about twenty meters in total, though that of each permeable layer must be small.

    The lowest layer has the largest value of resistivity, as large as several thousand

    ohmmeters which correspond to the resistivity of the basic layer in this locality.