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上昇を続ける知識資産の価値 アジルは「俊敏な」「迅速な」という意味の言葉で ある。以前は主に軍隊などで使われる言葉であっ たが、最近では企業間の競争を左右するキーワー ドになりつつある。刻々と変化する顧客のニーズ や市場への素早い対応は、今後の企業間競争を語 る上での重要な要素である。ここで新しい競争の 局面を考えてみたい。 現代社会では、知識資産の重要度が急速に増大 しつつある。その理由としてはコンピュータや通 信技術の発達により、企業が時空間の制約から開 放されつつあることが挙げられる。このようなIT の進展は企業の経営方針自体を変化させており、 インターネットを介した製品販売や、電子マネー による決済などの試みは、グローバルな企業活動 を推進する材料になっている。また、これまで資 本や販売などの分野で発生していた企業間の提携 にも変化が現れ、最近では顧客サービスなどの分 野でも盛んに提携が進められている。 知識社会、競争社会といわれる昨今であるが、 一方で「企業の体質はあまり変わっていない」とい う指摘もある。情報はすべての企業に等しく与え られるものであるが、これをいかに活用するかと いう部分で、企業間に大きな格差が現れてくる。 私は、企業を発展させる原点は古今を問わずイノ ベーションであると考える。すなわち革新を怠っ た企業は遠からず衰退するのである。20世紀の工 業化社会では、企業は主に過去のストラテジーを 使って成長してきた。今後は知識化社会に対応す る新たな戦略、組織が要求される。 問われる「日本的」経営手法 アジル・カンパニーを実現するための経営のあ り方を考えてみると、これまで高い評価を受けて きた日本的経営手法が、今では過去のものとして 扱われていることがわかる。顧客の囲い込みや系 列化などのクローズド・システムの論理は、新し い手法では対照的にオープン化の論理となり、巨 大な本部が一元的に運営を行う「集中処理指向」 は、多くの組織が協調する「分散協調指向」へと変 わりつつある。米国のシリコンバレーでは数千社 の企業が設立、消滅を繰り返しているが、常に新 しいコンセプトやアイデアを作り出すプラットフ ォームとしての役割を果たしてきた。現在の活気 に満ちたシリコンバレーの姿は、日本企業の将来 を考える上でも興味深い。 一方、これまで優先されてきた効率性と成長主 義に代わり、効率の先にある社会適合性や創造性 が重視されてきている。これまでの企業活動は、 すべて成長を目的に行われてきたが、成長を1つ の結果としてとらえる企業が増えてくるだろう。 さらに、今後の企業活動を考える上ではサービ ス(ソフト)が極めて重要になってくる。これまで の企業は、どちらかというと製品(ハード)中心主 義で、質の高い製品をいかに安価に製造するかが テーマになってきた。ところが、今や情勢は大き く変化し、知識資産を作り出す企業や、きめ細か な顧客サービスを行う企業に利益が集中している のが現状である。 アジル・カンパニーを実現するためには、これ までのクローズドな形の経営姿勢を改め、情報公 開などによるオープンな経営を目指す必要があ る。同時に従来のピラミッド型組織を再構築し、 フラットな組織を作ることが大切になる。また、 競合との関係についても、横並びの激しい競争の 時代から、協調しながらともに成長しようとするコ ラボレーションの動きが目立ってくると思われる。 資本主義から知本主義へ 日本の企業は、優れた生産技術と効率化の推進 により飛躍的な成長を遂げてきた。ところが90年 代に入って、これまでの効率優位性から「知の競 争」とも言うべき価値優位性が重視されるように なりつつある。米国の企業を例に挙げると、彼ら は80年代の日本型経営ノウハウを徹底的にベンチ マークし、効率化の限界を認識した。そこで、効 率への付加価値としてのITを前面に出し、顧客の ニーズに素早く対応する体制を整えたのである。 現代の消費者は、冷静に商品の価値を判断してい る。もはや高品質、低価格だけでは競争力にはな らない。 知の競争に勝ち残るためには、これまでの資力 を中心にした「資本主義」から、知識中心型の「知 本主義」に企業文化を再構築する必要がある。そ のためには、やはり人の力が不可欠で、今後は各 メンバーの価値観やモラルがますます重視されて いくであろう。アジル・カンパニーとしての素早 い対応を実現するためには、確固たる企業理念が 求められるのである。 アジル・カンパニーの要件 慶應義塾大学 大学院 経営管理研究科 教授 奥村 昭博◆日本ユニシスのホームページ=http://www.unisys.co.jp/(ユニシス・ニュース全文をホームページで公開) 1998 No.445 5 ◆ユーザ事例 *西武信用金庫/信用組合 関西興銀-ホストを 「ITASCA3800」にレベルアップ (8面) *東洋実業-グループウェアの活用で情報共有を実現 (9面) *中央精機-世界No.1の「自動車用部品づくり」への挑 (10面) *全国酒販協同組合連合会(全酒協)- 「NXWebCOMS」導入による基幹業務のWeb化 (12面) *JETRO-情報システム再構築「HMP NX4600」を導 (16面) ◆ IT最前線 *新たな資金仲介機能としての債権流動化につ いて (11面) 21世紀の情報システム開発とTEAMmethod (13面) *世界情報通信サミット-EC部会オンライン会 議報告 (14面) ◆ News From Unisys *ユニシス研究会「平成10年度春季全国大会」/* 新住宅設計PC CAD 「DigiD(デジド)」発表/*世 界初の分散オブジェクト製品(ORB)間のトランザク ション相互接続実証実験に成功/*「SYTEM ν の開発・保守で「ISO9001」の認証取得 (15面) 日本ユニシス発足10周年 モバイル・コンピューティング 特集

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Page 1: 16-01 (Page 1) · *中央精機-世界no.1の「自動車用部品づくり」への挑 戦 (10面) *全国酒販協同組合連合会(全酒協)- 「nxwebcoms」導入による基幹業務のweb化

●上昇を続ける知識資産の価値

アジルは「俊敏な」「迅速な」という意味の言葉である。以前は主に軍隊などで使われる言葉であったが、最近では企業間の競争を左右するキーワードになりつつある。刻々と変化する顧客のニーズや市場への素早い対応は、今後の企業間競争を語る上での重要な要素である。ここで新しい競争の局面を考えてみたい。現代社会では、知識資産の重要度が急速に増大しつつある。その理由としてはコンピュータや通信技術の発達により、企業が時空間の制約から開放されつつあることが挙げられる。このようなITの進展は企業の経営方針自体を変化させており、インターネットを介した製品販売や、電子マネーによる決済などの試みは、グローバルな企業活動を推進する材料になっている。また、これまで資本や販売などの分野で発生していた企業間の提携にも変化が現れ、最近では顧客サービスなどの分野でも盛んに提携が進められている。知識社会、競争社会といわれる昨今であるが、一方で「企業の体質はあまり変わっていない」という指摘もある。情報はすべての企業に等しく与えられるものであるが、これをいかに活用するかという部分で、企業間に大きな格差が現れてくる。私は、企業を発展させる原点は古今を問わずイノベーションであると考える。すなわち革新を怠った企業は遠からず衰退するのである。20世紀の工業化社会では、企業は主に過去のストラテジーを使って成長してきた。今後は知識化社会に対応す

る新たな戦略、組織が要求される。●問われる「日本的」経営手法

アジル・カンパニーを実現するための経営のあり方を考えてみると、これまで高い評価を受けてきた日本的経営手法が、今では過去のものとして扱われていることがわかる。顧客の囲い込みや系列化などのクローズド・システムの論理は、新しい手法では対照的にオープン化の論理となり、巨大な本部が一元的に運営を行う「集中処理指向」は、多くの組織が協調する「分散協調指向」へと変わりつつある。米国のシリコンバレーでは数千社の企業が設立、消滅を繰り返しているが、常に新しいコンセプトやアイデアを作り出すプラットフォームとしての役割を果たしてきた。現在の活気に満ちたシリコンバレーの姿は、日本企業の将来を考える上でも興味深い。一方、これまで優先されてきた効率性と成長主義に代わり、効率の先にある社会適合性や創造性が重視されてきている。これまでの企業活動は、すべて成長を目的に行われてきたが、成長を1つの結果としてとらえる企業が増えてくるだろう。さらに、今後の企業活動を考える上ではサービス(ソフト)が極めて重要になってくる。これまでの企業は、どちらかというと製品(ハード)中心主義で、質の高い製品をいかに安価に製造するかがテーマになってきた。ところが、今や情勢は大きく変化し、知識資産を作り出す企業や、きめ細かな顧客サービスを行う企業に利益が集中しているのが現状である。

アジル・カンパニーを実現するためには、これまでのクローズドな形の経営姿勢を改め、情報公開などによるオープンな経営を目指す必要がある。同時に従来のピラミッド型組織を再構築し、フラットな組織を作ることが大切になる。また、競合との関係についても、横並びの激しい競争の時代から、協調しながらともに成長しようとするコラボレーションの動きが目立ってくると思われる。●資本主義から知本主義へ

日本の企業は、優れた生産技術と効率化の推進により飛躍的な成長を遂げてきた。ところが90年代に入って、これまでの効率優位性から「知の競争」とも言うべき価値優位性が重視されるようになりつつある。米国の企業を例に挙げると、彼らは80年代の日本型経営ノウハウを徹底的にベンチマークし、効率化の限界を認識した。そこで、効率への付加価値としてのITを前面に出し、顧客のニーズに素早く対応する体制を整えたのである。現代の消費者は、冷静に商品の価値を判断している。もはや高品質、低価格だけでは競争力にはならない。知の競争に勝ち残るためには、これまでの資力を中心にした「資本主義」から、知識中心型の「知本主義」に企業文化を再構築する必要がある。そのためには、やはり人の力が不可欠で、今後は各メンバーの価値観やモラルがますます重視されていくであろう。アジル・カンパニーとしての素早い対応を実現するためには、確固たる企業理念が求められるのである。

アジル・カンパニーの要件慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授 奥村昭博氏

◆日本ユニシスのホームページ=http://www.unisys.co.jp/(ユニシス・ニュース全文をホームページで公開)

1998No.445 5

主な記事

◆ユーザ事例*西武信用金庫/信用組合 関西興銀-ホストを「ITASCA3800」にレベルアップ (8面)

*東洋実業-グループウェアの活用で情報共有を実現 (9面)

*中央精機-世界No.1の「自動車用部品づくり」への挑

戦 (10面)* 全 国 酒 販 協 同 組 合 連 合 会 ( 全 酒 協 ) -「NXWebCOMS」導入による基幹業務のWeb化   

(12面)*JETRO-情報システム再構築「HMP NX4600」を導入 (16面)

◆ IT最前線*新たな資金仲介機能としての債権流動化について (11面)

*21世紀の情報システム開発とTEAMmethod (13面)*世界情報通信サミット-EC部会オンライン会議報告 (14面)

◆News From Unisys*ユニシス研究会「平成10年度春季全国大会」/*新住宅設計PC CAD 「DigiD(デジド)」発表/*世界初の分散オブジェクト製品(ORB)間のトランザクション相互接続実証実験に成功/*「SYTEMν」の開発・保守で「ISO9001」の認証取得 (15面)

●日本ユニシス発足10周年●モバイル・コンピューティング特集

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2 1998年5月1日第445号

おかげさまで10周年日本ユニシスは、お客様満足度の向上を目指し、最大限の努力を続けてまいりました。

さらに価値ある情報活用をご提案してまいります日本ユニシスはおかげさまで10周年を迎えました。前身の日本ユニバック、バロース時代からは実に40年余、まさに日本の情報化の歴史と共に歩んでまいりました。振り返るとこの10年は、戦後50年にあって、とりわけ疾風怒濤の時代でした。日本経済の国際化、サービス化、高度情報化の進展に合わせ、日本ユニシスも情報技術をテコに高付加価値化を目指すお客様へのご支援に尽力してまいりました。この10年間の情報技術の進展はめざましいものがありました。半導体の集積度は18カ月で倍増しあらゆるプラットフォームが高性能化、大容量化、高集積化を果たし、使いやすさ、インテリジェント化が一段と進みました。しかし、日本ユニシスはお客様が真にお求めになるものは、最新技術に立脚した情報システム基盤だけでなく、「ソリューション」であるという認識に立ってまいりました。最新技術の採用はいうまでもなく、いかにその技術を活用するかこそが重要であるからです。21世紀に勝ち残るための経営戦略のキーワードとして、コア・コンピタンス経営、アジル経営、オープン・ネットワーク経営、知識創造経営などが挙げられています。次の10年に向けて日本ユニシスの使命はグローバル時代の大競争を勝ち抜こうとしているお客様を情報システムの側面からこれまで以上に支援させていただくことです。とりわけ俊敏な知識創造経営に転換していく上でもっとも枢要な、知識の創造と蓄積を支援する仕組みと情報活用戦略のご提案こそ日本ユニシスの役割と考えます。価値ある情報こそ企業の俊敏性を高め、知恵(ナレッジ)を生み出す源泉であるからです。日本ユニシスが、Information Management Companyを標榜するのもここにその理由があります。日本ユニシスは10周年を迎えたいま、みなさまのビジネス・パートナーとして、これまで以上に情報をビジネスに役立たせるために、Information Management Companyとして高度なソリューションをご提案してまいります。

●情報システムの高度利用を目指して-日本ユニシスの10年

情報システムの目標 省力化・効率化 生産性の追求

情報システムの形態

情報基盤の中枢を担うプラットフォーム・プロダクト群

高付加価値情報システムを実現するトータル・ソリューション・サービス

高技術者集団と充実の施設で〝顧客第一主義〞を徹底

大量業務の高速処理を果たしてきた情報シ

ステムは、競合相手に打ち勝ち企業競争力の

強化を図るツールに位置付けられつつありま

す。情報システムの役割と期待の変化に伴い、

お客様のご要望は高速・高性能なシステムに

よる価格性能比の継続的な向上だけでなく、

開発期間の短縮、簡単な運用・保守、総体的

なコストの抑制(TCOの削減)など多岐に渡っ

てまいりました。

こうしたご要望に応え、日本ユニシスは

UA(ユニシス・アーキテクチャ)、CLEARPATH、

オープン・ソリューション・フレームワーク、

次世代情報基盤「SYSTEMν[nju:](シス

テムニュー)」など、時代の求めに応えるアー

キテクチャとコンセプトの下に

*最新技術の積極的な採用

*オープン化、標準化への準拠

*最適パートナーとの戦略連携

などを図りつつ、お客様の既存資産の有効活

用を実現する最適なプラットフォーム・プロ

ダクト群を提供してまいりました。

ハードウェア、ソフトウェアの提供に加え、

ユニシスが誇る業界経験、サービスなどを組

み合わせて“トータル・ソリューション”を

提供するものがサービス体系USEFUL/SV

です。USEFUL/SVはビジネス戦略立案か

らソリューション構築、運用・保守の段階ま

でを1つの流れ(サービス・ライン)として捉

え、一貫したインフォメーション・サービス

を提供し、高付加価値情報システムを実現し

てまいりました。

さらに、情報が企業の競争力と顧客満足を

高める経営資産となりつつある今日、日本ユ

ニシスはInformation Management

C o m p a n y を 企業ビジョンに掲げ、

Customerizeの基本精神の下に“お客様の

顧客”の最大限の満足実現を目指します。こ

のために日本ユニシスは強力な設計・開発方

法論TEAMmethodによって高生産性、高品

質の情報システム実現の体制を整えました。

日本ユニシスは、そのコアコンピタンスは

システム構築力にあると認識しています。そ

してその根幹は“人”にあります。人のみが

情報システム基盤から価値を生み出せるので

す。日本ユニシスはグループ企業を含め

8,000人の高技術者集団の頭脳が、極限まで

のパワーを発揮し、お客様の満足を高めるた

めのサービスと体制の充実にも努力を傾注し

てまいりました。

全社には30余にのぼるお客様サービスのた

めの施設が展開されています。

さらに、米ユニシス、三井物産をはじめ約

50社にのぼるグループ企業、各分野の専門

企業との戦略連携を通じてシステム構築体制

の強化を図っています。

ユニシス・アーキテクチャ「UA」ソリューション構築体系/分散協調処理/

UNISYS2200/600シリーズ

UNISYS A16シリーズ

オフィス・プロセッサ「シリーズ8」

ビジネス戦略計画�ステージ� 情報ソリューション計画� ソリューション構築�

サービス・

ライン�

ビジネス戦略策定�支援サービス�

情報戦略策定�支援サービス�

業務改善支援�サービス(BPR) アプリケーション�

構築・導入&�インテグレーション�

ネットワーク構築&�インテグレーション�

プロジェクト・マネジメント�

アウトソーシング�

教育・情報提供�

設備関連�

UNISYS TOTAL SOLUTION

新しい時代を拓くトータル・ソリューション・サービス「USEFUL/SV」

集中処理・・・・ 分散処理・・・・

*最先端システムの研究・開発拠点「東京ベイ開発センター」ソフトウェア開発、ハードウェア研究・

開発の機構が結集し、1,000人の高技術者集団が、お客さまの次代の経営課題に応えるシステムを生み出しています。

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ユニシス・ニュース

1998年5月1日第445号

顧客満足の向上 価値創造/知識創造を目指して

運用管理体系 オープン・ソリューション・フレームワーク   CLEARPATH 次世代情報基盤「SYSTEMν[nju:](システムニュー)」U6000シリーズ

USファミリ

UNISYSHPシリーズ

ビジネスPC「AQUANTAシリーズ」

CLEARPATHサーバ「HMP NXシリーズ」

ソリューション・サーバ「RX7000シリーズ」

CLEARPATHサーバ「HMP IXシリーズ」

*お客様第一主義を徹底する拠点「本社機構」本社には情報・通信基盤の支援の下に、知的生産性・創造性を最大限に発揮できるオフィス環境を整えています。ここには、主要部門が結集するとともに、システムプラザ、教育センターなど各種サービス機能を併設して顧客サービスを向上させ、日本ユニシスの理念“顧客第一主義”を徹底する拠点としています。

オープンシステム・インテグレーション・センター

ユニシスプラザ

研究・�開発施設� 商品�

関連施設�

教育/プレゼンテ�ーション施設�

システム・�エンジニ�アリング�関連施設�

ネットワーク/�アウトソーシング�関連施設�

お客様�

  東京ベイ開発センター� 札幌テクノセンター�  データセンター �

   教育センター(全国10カ所)�  伊豆エグゼクテブ・センター� 人材開発センター� 研修センター�  情報センター�   ユニシスプラザ�

   オープンシステム・�  インテグレーション・センター� システム開発センター�バックアップ・センター� コールセンター�  サービスコール・センター�   セントラル・サービス・センター�

  U-net SURFサービス・センター� ネットワーク・サービス・センター�  アウトソーシング・センター�

商品センター �

セントラル・サービス・センター   �リペア・センター  �

ヘルプデスク・センター  �ネットワーク・インテグレーション・ �

サービス・センター  �テレフォン・サービス・センター  �

バックアップ・センター  �コンフィグレーション&   �

テストセンター    �

リモート監視センター  �コール・センター �パーツ・センター �

フィールドサポート・センター �持ち込み保守サービス・センター  �

カストマ・�エンジニア�リング関連�施設�

充実のサービス・フォーメーション

CLEARPATHソリュ

ーションセット�

CLEARPATHソリュ

ーションセット�

CLEARPATHソリュ

ーションセット�

業務系�

情報系�

オフィス�支援系�

連携基盤�

基幹業務処理の強化拡充と再構築�

オフィス支援系の充実�

戦略的情報活用システムの構築�

ネットワーク�基盤の構築�

クライアント/�サーバ連携基盤�の確立�

情報の�グローバル�化への対応�

エンタープライズ・�ワークグループの�構築�

CLEARPATHストーリー:新世代企業情報システムの典型的な構築過程

オフィス支援系� エレクトロニック�ビジネス系�

情報系�

グループウェア�ワークフロー� EC CALS/STEP

データ・ウェアハウス�SFA、CTI

人事・労務・会計�販売・購買・物流�

Oracle Applications�Syteline/SYMIX�System21

共通業務系�

基盤ソフトウェア�システム開発・実行・運用・ネットワーク�

業種別ソリューション・�パッケージ�金 融�

製 造� 流 通�

社会公共�TRITON�IBS21�Princia��

CADCEUS�H/CAD�PDM

IMPACT�シリーズ�

MEDI-ORDER/EX�S-MILE

・・・�

・・・�

・・・�

・・・�

俊敏な経営戦略の展開を支援するソリューション・ソフトウェア群

運用/保守/管理�

システム�運用・管理・保守�

オープンシステム・・・・ クラアイント/サーバ・システムの進展・・・・ ネットワーク・コンピューティング時代

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4 1998年5月1日第445号

おかげさまで10周年お客様満足度の向上を目指し、最大限の努力を続けてまいりました。

●情報技術の明日を読む

エレクトロニック・ビジネスの行方新事業企画開発部長 堀田和雄

●ECを加速するものやがて、ECという電子的商業空間が構築され、その

中で企業活動を電子的方法でしかも効率よく展開しようとする世界を「エレクトロニック・ビジネス」とここでは呼んでおく。エレクトロニック・ビジネスの実現を加速する材料としてPCの発展がある。最近千ドル以下の低価格PCの出荷が伸び、アメリカでは2002年には家庭への普及率は60%に達するという予測がある。こうなると家庭生活が変化するのは間違いないが、面白いのはむしろ残りの40%についての論議である。この40%の内、36%の人は相変わらず家庭生活にPCなど不要だという。マイクロソフト社のビルゲイツ会長は、情報産業がこれからの競争を生き抜くには、普通の人が簡単に利用できるPCをいかに開発するかがキメ手になると言っている。また、96年のCALS EXPO INTERNATIONALのあるセッションでは、「5才の子供でも使えるPCはどうあれば良いか」というテーマで、米国防総省が会議を進めていた。これらの点からもPCを中心とした道具類がエレクトロニック・ビジネスを加速することが窺える。●実際的な研究がより重要にまた次のような記事もある。97年度のノーベル経済学

賞は株式・オプション取引に関する実際的な研究に対して与えられた。理論経済学が受賞対象になるのが常であっただけに、これは関係者を驚かせた。一般に経済学者は評論家的エコノミストと経済学者に分かれ、前者は現実問題を表面的に扱い、後者は古色蒼然とした理論の世界に閉じこもっているかに見える。現実はその両者を融合したところで動いていることを、97年度のノーベル賞が物語っている。この両者の融合という論点はエレクトロニック・ビジ

ネスの推進にも大いに関連している。テクノロジーも重要、法整備も重要、ビジネス・プロ

セスの変更も重要、良い習慣を継続することも重要、そして、子供でも操作できる“やさしい環境作り”も重要である。これらのもて余すほどの重要項目の中で、取りまとめの手法、技術は一体どうするか。●思考の尺度をどうもつか巨大な遺跡の多くは砂漠の国にある。樹木が身の回りに豊富な日本などでは、木の高さ、太さが知らず知らず物を考える際の基準になっているらしい。したがって遺跡を見ても、建物の柱の高さ、太さは実際の樹木のサイズを大きく超えることはなかった。一方、砂漠では、建物の基準になる樹木がないから、時折、天を突くようなピラミッドが出現したりする。エレクトロニック・ビジネスの行方に思いいたすとき、現行の商習慣、常識などが、構想を巡らす際の「樹木」になってはいないだろうか。また、多くの実務家の手法は現状の延長線上にしかなく、現状に収めきれずにはみ出る要素は切り取られていくことが多い。これも知らず知らず身に着いてしまった「樹木」になってはいないだろうか。未来に挑戦するとき、うっすらとしたリスクと小じんまりとした企画案ばかりが先行すると、使い道のない安普請のようなエレクトロニック・ビジネスの世界を構築してしまうかもしれない。まず最初に、未来に向かってポーンと点を打ち、そこから現状を眺め、次の手を打っていくような方法が望ましいと思っている。

不況時は活況時に手がつかないことをじっくり手掛けるチャンスである。本質的、抜本的改革に手をつけるにはある程度十分な時間が必要だし、全社員の意識に共通の危機感が醸成されており、環境はむしろ整っている。循環的不況であれば、嵐が過ぎるのをじっと待つのも一策であろうが、この不況はそうではない。したがって、これからあるべき企業モデルは過去を捜しても見出せない。創造が必要だ。過去の成功体験を単なる具象的経験として伝授した

り、判断の規範にするのは、企業革新に対して弊害がある。成功あるいは失敗経験の抽象化は創造、革新の知恵になる。目指すべきは競争相手にとって強い会社となること

か、はたまた社会にとって、社員にとって良い会社となることか。愉快な会社は存在しえないのか。地球環境問題は人類レベルの共通問題になった。人間の幸福を最上位目的に人間環境問題がより注目されるだろう。消費者、ステーク・ホルダーの判断視点はむしろ社会的責任を果たそうとする企業を支援する行動に変わるだろう。新しい姿を創造する力は備わっているのだろうか。脳生理での創造力と記憶力には背反性があるそうだ。記憶力優先の教育で育った日本人とそれを良しとした社会システムは、今後の創造力が必要な時代に不利な状況であることを認識しなければならない。人材の異質性の意図的混在化を図ることが必要だ。経営学を駆使して運営される今日の国際的大競争時代の企業においてそのプロフェッショナリティの優劣はそのまま企業力の優劣に反映される。論功行賞型経営者の時代の終焉は明白である。また、社員1人ひとりのプロフェッショナリティの優劣も同様である。日本の企業においてプロフェッショナリティを身につけることはスペシャリストとの同義語的曖昧な解釈により、むしろ総ジェネラリスト指向文化の中で好まれていない面がある。プロフェッショナリティは合理性を求める。合理性は理屈っぽい書生のような若々しさを必要とする。また、日本人に不得意の「上位目的とその実現手段の相対的階層化(トップダウン)思考」を必要とする。日本語構造の特性が持つボトムアップ性が、生まれた時から言語として使い育った日本人の思考法に極めて大きな影響を与えている。何のためにあることをしようとしているのかを振り返ることのない議論が国会をはじめ日本のほとんどの場で繰り広げられる。日本語は抽象化を不得意とさせ、具象化を好む。こうしてみると過去の成功体験をあえて離れ、新しい企業革新を創造するには社風、企業文化の改革、企業理念構築、事業戦略ドメイン再構築、教育、育成制度改革、人事制度改革など、たっぷりした時間と地道な合理的努力を要する抜本的改革が必要といえる。そして今がそのチャンスだ。

インターネットはマルチメディア情報を双方向で通信するインフラストラクチャとなった。これはインターネットが従来の電話、ラジオ、テレビ、新聞、FAX、郵便、本・雑誌、エンターテイメントなどの情報を伝えたり、共有する機能を提供できるようになったことを意味する。このネットワークは、1年間で10倍という驚異的な伸

びが報告されており、幹線の増強が追いつかない状況となっている。また、アクセス・ポイントのビジー率が高くダイアルアップが接続できないといった問題が発生している。このため、距離や接続時間による料金制度を採用すべきといった“衝撃的な”議論がされはじめた。このようにインターネットは大きな課題を抱えたネットワークではあるが、一度加速し始めた高速ネットワークの強力なパワーは、工業化社会から知的資産価値社会の創出を目指す米国家・政府の政策的な意図もあり、新しい社会基盤となってきている。これをいかに利活用し、新たな付加価値を創出するかが重要である。インターネットを利用した本やPCなどの通信販売な

どが典型的な成功事例であり、今後さらに企業間の電子商取引の急増が予測される。このインターネットの発展型としてのイントラネッ

ト、エクストラネットが現在注目されている。それはインターネット技術が、前述のように新たな価値を創出するビジネス・モデルへと変遷し、ビジネスごとのパートナーなどと、短時間で柔軟に連携する要求を実現するITとして期待されているからである。つまり、社内外の障壁を少なく、また対象をも柔軟に変更・拡大できるシステム構築のアーキテクチャを実現する技術としての期待である。これらの期待はインターネット標準IT(TCP/IPプロ

トコルなど)を採用することにより、容易に実現できる環境となった。さらに、社内のみならず社外システムとの接続、顧客や利用者との直接的接続も可能となってきた。つまり、インターネット標準技術は、情報システム構築に大きなブレーク・スルーを引き起こしたことになる。インターネット技術がシステム構築の主要な技術の1つとしてさらに適用が拡大・定着することは間違いない。しかしながら、インターネット技術だけでは、従来のようなシステム構築はできない。従来の情報技術は、大量のデータ処理や技術計算をより早く正確に処理することを目的に発展し、一方インターネットの技術は多くの人々の間で情報の交換・共有を行うことを目的として発展してきた。その本質的特性の差異は自明である。現状ではこのそれぞれの特徴を生かした分野への適用が重要である。トランザクション機能を提供するイントラネット用ミドルウェアなども提供されており、今後さらに充実すると考えられる。このような環境では、ユーザは単に最新ITを適用すれ

ば良いわけではなく、ビジネスとして何をすべきか、プロセスをどうすれば良いかなどが重要になる。目的、業務ニーズ、システムニーズを満たす最適なITを選択したシステム構築こそが重要となる。

不況時こそ抜本的改革のチャンスアドバンストコンサルティンググループマネージングプリンシパル 小串重人

デジタル革命のコアテクノロジーインターネットとその技術の未来情報技術部 ITコンサルティング室長遠藤和弥

次の10年に向けて、日本ユニシスの使命は、グローバルな大競争時

代を勝ち抜こうとしているお客様を、情報システムの側面から、こ

れまで以上に支援することです。

このとき重要なことは、明日の情報技術とその活用のあり方がど

う進展するか確かな展望を持つことです。

今後の10年に、重要性を帯びるいくつかのテーマをとりあげ、日本

ユニシスは、その進展をどのように見極めているかご紹介いたしま

した。

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ユニシス・ニュース

1998年5月1日第445号

モバイル・コンピューティングに期待ネットワークシステム部長 佐藤茂夫

携帯型の移動ホスト(専用携帯端末やPDA*1ノートパソコンなど)と移動に対応可能な通信機器を用いて、自宅や旅行先のホテル、移動中の列車内、客先などから、会社あるいは社外の情報資源へアクセスするモバイル・コンピューティングが注目される。モバイル・コンピューティングによりいつでも、どこからでもコンピュータ資源の利用や情報へのアクセスが可能となるため潜在的なニーズは高く、運送業や流通業などでは以前から無線端末を利用したオンライン・システムが構築されている。今改めてモバイル・コンピューティングが注目される

のは、電子メールやグループウェアを使用した業務連絡やスケジュールの調整、ブラウザを利用したインターネット・アクセスなどといった新しい利用形態が見え始めたからである。この背景には以下の要因が挙げられる。①携帯電話やPHS*2の普及により移動体通信ネットワーク・インフラが整備されてきたこと②インターネットの利用や電子メール/グループウェアなどが一般化し、音声以外の通信手段が多様化してきたこと③技術進歩により軽量かつ長時間使用可能な携帯用の移動ホストが提供されるようになったことモバイル・コンピューティングには利用環境特有の技

術的な課題がまだ多く残されているので、それを克服するための研究が進められている。例えば通信速度の高速化については、西暦2000年過ぎに実用化を目指している次世代携帯電話システムIMT2000*3の研究と標準化がまさに進行中である。IMT2000では静止状態における2Mbps以上の通信速度を目標としており、携帯端末によるマルチメディア通信を可能とする。また国際的なローミングも可能となるため、モバイル・コンピューティングを使用できる領域が大きく広がると考えられる。しかし技術的にはいかにすばらしいサービスであっても、実際にそれが使用されるか否かは料金やアプリケーション次第であることを過去の多くの事例が物語っている。モバイル・コンピューティングが今後さらに発展し、普及するためには、IMT2000が使いやすい料金で提供されること、そしてモバイル・コンピューティングをより有効に活用する新しいアプリケーションを見出すことが重要である。当社ではモバイル・コンピューティングへの期待とともに、技術的な課題を克服するための研究や新しいアプリケーションの開発に積極的に取り組んでいるところである。<注>*1:Personal Digital Assistance*2:Personal Handy-phone System*3:International Mobile Telecommunications 2000

クライアント/サーバ・システムと呼ばれる水平分散環境の登場によりシステム開発に関する概念が一変したといわれている。そこでは、管理の集中化がなされないので、各コンピュータの独立性は強く、自由度が高い。しかし全体の管理は複雑になり、構成変更やソフトウェアの改版配布などの運用が困難になっている。レガシー・システムに蓄積してきたデータベースをいかに効率的に再利用していくかも課題となっている。システムそのものの複雑度も他システムとのインタフェースも増すばかりであり、オブジェクトなどの切れの良い単位の確立が必須となってきている。ソフトウェアの品質や生産性を工業製品として管理することを狙って、ソフトウェア工学が発生したのは1960年代末である。そして、プログラムの制御構造を管理することによってプログラムの品質を確保しようとする構造化プログラミング、データを中心にプログラムの設計を行う構造化分析・設計法、近年はプログラムとデータを別々に扱うのではなく、ソフトウェアの単位を実世界の対象物と同じようにオブジェクトと呼ぶ自律的な塊で設計するオブジェクト指向分析・設計が生まれてきた。社会の急激な変化に対応するためにシステムへの要求の変化を柔軟に吸収していくための大規模な分散システムのあり方も企業内に閉じたものではあり得なくなり、外部とのインタフェースの確立と内部での自由度の確保が重要になってくる。WWWビューアによるインターネットの普及、Java言語による実時間的、インタラクティブな機能やJava VMによるプラットフォーム独立性、そしてCORBAによる相互運用性や位置透過性などによりシステム開発のさらなる変革が起きつつある。ソフトウェアの分散開発、およびソフトウェアそのものの分散化の可能性がさらに広がってきている。製品としてのソフトウェアは、設計書やマニュアルなどの文書、ソース・プログラム、実行形式ファイルあるいはデータベースなどの電子化された製品から構成されることから、それらの流通もネットワークを介して実現でき、遠隔地からの設備の利用法が確立すればソフトウェアの開発は、電子化が容易であり分散化に有利である。ソフトウェアはオブジェクト方法論に則った、より単純化されたインタフェースを採用するようになると予想される。これは、ソフトウェア業界が永年追求してきた部品化と再利用の実現の可能性が高くなることを意味する。ビジネス・オブジェクトと呼ばれる部品が共通なプラットフォームの上で集積され、インターネット上で流通するようになると従来のような大規模システムもこれらの部品の組み合わせと、必要な部品のカスタマイズで実現できるようになることが期待される。その基盤としては、JavaとCORBAに代表される分散オブジェクト環境とフレームワークが活用されることになるだろう。

企業には大量のパソコンが導入され、今や1人一台の時代になった。パソコンを操作するために必要とされる一通りの情報リテラシ教育も終わった。ここで、改めて何のために膨大な情報化投資を行ってきたのかその目的を確認し、その目的のために打つべき次の手は何かを考えてみる。企業の情報化投資の目的は高度情報化社会における競

争優位獲得にある。そのために情報インフラが整備され、また社員に対する情報リテラシ教育が行われた。それによって十分な環境条件は整ったのか。否、まだ十分とはいえない。それは本来目標とした情報化投資の目的とこれまでに行われてきた情報リテラシ教育とのギャップを考えて見ると分かる。情報リテラシとは、企業の追求する生産性や収益性の

向上に確実に寄与するように情報を利用・活用するためのビジネスマンとしての基礎的な能力である。その情報リテラシの内容は、“コンピュータ・リテラシ”

“データ・リテラシ”“ビジネス・リテラシ”の3つの基礎技術に分けて考えることができる。コンピュータ・リテラシはパソコンなどを操作するための技術、データ・リテラシは多種・大量のデータの中からビジネスに有効とされる情報を抽出あるいは創出するための技術、そしてビジネス・リテラシは情報をビジネスに活かすための技術である。この意味からすれば、ようやくコンピュータ・リテラシの養成が終わったといえる。と考えれば、これからはデータ・リテラシとビジネス・リテラシの養成が必要とされることになる。それでは、これからの情報リテラシ養成をどのように

考えればよいのであろうか。これを考えるにあたって1つの好ましい状況がある。最近の若いビジネスマンや大学生達が、内容いっぱい

に膨らんだビジネス手帳を手にしていることである。彼らが情報の必要性やその重要性を無意識に感じとっていることが想像できる。しかも最近の学生は、インターネットでの情報収集、電子メール、さらには表計算ソフトでの研究データの集計や分析、ワープロでの卒業論文の執筆など、パソコンを携帯電話同様の感覚で利用するようになってきた。パソコンによる情報処理やネットワークを利用することを知っている。ある意味では、すでにコンピュータ・リテラシとデータ・リテラシを身に付けているといえる。こうした状況からすると改めて教育する必要がなく、あえて何か教えることがあるとすれば、それはビジネスの世界で情報を活かすすべを教えることであろう。ひょっとすると少しの動機付けをするだけで十分かもしれない。期待値は高い。やっとこれまでの膨大な情報化投資の

回収ができる時期に入ったともいえる。とはいえ、これからはデータ・リテラシとビジネス・リテラシを意識した情報リテラシの育成が、その企業の発展の優劣を決めるカギになることは間違いなく、こうした人的能力の養成によって企業情報システムが期待どおりに機能し、高度情報化社会における競争優位を獲得することができる。

分散オブジェクトと

システム開発の行方情報技術部技術研究開発室長 原 潔

健全な情報化社会のカギを握る

情報リテラシ総合教育部長 馬場正存

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6

最初にモバイル・コンピューティング・システムの全体像を鳥瞰する。システムを業務、処理パターン、通信ミドルウェア、通信、端末機器の階層に分け、各階層ごとに主要な要素を整理した(表1参照)。この場合、各階層はお互いに独立した関係とはならず相互に関連がある。実際にシステム化を検討する場合、これらの各層についてどの要素が適当かを選択することにより、全体として必要な要素が得られる。各層について説明をすると、業務層では、今後、携帯電話・PHSによる通信(以下では移動体通信と略記)の進展により、まずC/SS(Client Server System)業務のモバイル・コンピューティング化が期待できる。処理パターン層は業務を支える支援ツールにより分類したものである。最近では配信型処理が注目を

浴びている。通信ミドルウェア層は、無線-有線区間のエンド~エンド間通信の保証、通信品質の差を吸収したり、比較的通信コストの高いクライアント・サーバ間のやり取りを最小化する。通信層は、携帯・PHSから基地局までの無線区間(アクセス側ネットワーク)とセンターで受ける有線区間(センター側ネットワーク)があり、この2つのネットワークについて考える必要がある。端末層は携帯情報機器について分類している。なお、セキュリティおよび管理についてはすべての階層で必要となる。

(1)業務層

業務層での検討事項は、企業がシステム化しようとしている業務が、「技術的に可能なのか」、技術的に可能でも「実・現場業務に耐えるのか」を明確にするために作業場所・エリア、作業環境(移動しながら、静止)、処理時間(何分以内に)を加えた要求仕様を作ることである。特に作業エリア、データ量については、システムの耐用年数を算定するため、少なくとも向こう数年の予測が必要となる。最近ではフィールド・サービス・オペレーションやテレメトリックも注目されており、今後、業務層の要素として追加しなければならない。業務層における課題としては以下の項目が

ある*モバイル・コンピューテングの情報システムへの展開検討フェイズで標準的な方法が確立されておらず各企業が個々に対応しなければならない。

*システムの耐用年数算定時に通信のインフラ、サービスを想定する必要があるが、現状では通信分野は総じて揺籃期にあたり、サービスに至っては最終形はおろか2年先に

ついても確たる見通しを持つことは難しい。標準的手法の策定については、現在MCPC(モバイル・コンピューティング推進コンソーシアム)が推進中である。(2)処理パターン層

業務層の処理分類について、処理ツールに注目し、処理パターンとして分類したものが処理パターン層である。トランザクション処理は定型処理であり、短いメッセージの場合が多く、ピーク集中度が高く所定時間内での処理完了が必要となる。これらの条件を現在の移動体通信のサービス・レベルと比較すると品質、速度、セキュリティ面でかなりの差があり、適用は限定される。DBアクセス処理は非定型検索とデータサーバ(定型検索)のタイプがある。ピーク集中度は比較的低く、逐次会話処理のため情報のやり取りが多く接続時間が長い。移動体通信のビット誤り率(BER)を考慮すると、クライアント・サーバ間の通信を保証し、かつやり取りを最小化するエージェントが必要になる。配信型処理はサーバ主導のプッシュ型とクライアント側から要求を出すスマートプル型がある。プッシュ型はクライアントの状態(ネットワークに繋がっているか、携帯端末電源がONか、端末リソースに余裕があるか)は無視されるが、リライアブル・マルチキャスト・プロトコルの登場により無視されることはなくなった。グループウェア処理は電子メール型と情報共有型がある。電子メール型は機能、プロトコルの標準化がされており、最近では新標準(IMAP4)の登場により移動環境での使用がさらに容易になった。情報共有型は各社が独自機能を打ち出しており、標準化はこれからである。グループウェア処理は、先進企業での事例が多く導入しやすいといえる。表2に各処理パターンの特徴と課題を示す。

(以下次号につづく)

1998年5月1日第445号

UN

モバイル・コンピューティング・システムの全体像

各層における現状と課題

モバイル・コンピューティングの技術動向(上)日本ユニシス株式会社

情報技術部ITコンサルティング室担当部長 田中洋一郎

モバイル・コンピューティング特 集��

層� 内    訳�

業務�

配信型�処理�

処理�パターン�

通信ミドルウェア�

センター側�

アクセス側�

端末�

通信�

業務系�(トランザクションタイプ)

情報系・�業務系�

オフィス�支援系�

TRX�処理�

DB アクセス処理�

データサーバ�非定型IR

グループウェア処理�

モバイル通信ミドルウェア�

リモートアクセス�インター/イントラネット� LAN

専用線�PSTN ISDN

携帯� PHS ページャ�

Windows95�タイプ�

WindowsCE�タイプ�

専用端末�タイプ�

電子手帳�タイプ�

スマートフォン�タイプ�

電子メール�情報共有�

セキュリティ�関連�

管理�・・�

・・・・�

・・・�

・・・�

・・・�

・�

・�

表1 モバイル・コンピューティング・システムの各層と主要要素

処理のタイプ

特徴

モバイル化の課題

対応策

トランザクション処理

・全社レベルと部門レベルの処理がある・全社レベル:銀行勘定系、座席予約・部門レベル:受発注管理、生産管理

・定型処理である・メッセージは短文が多い・ピーク時間、日への集中傾向が強い・リアルタイムの処理、確認が必要・データロスト、回線などの障害に対しては万全の対策が要求される

・現行携帯機器は、耐水、耐震、耐塵、対温の面で使用環境が限定される場合がある・安定的に所定ターンアラウンド・タイム内に処理を完了されることは難しい・CPU付加の大きいAP logicをクライアントには搭載できない

・屋外専用や業務特化タイプの機器を使用する・一部機能(例、注文登録)のみを携帯端末で行う・Agentを利用し以下の機能を付加する・ServerとClientのやり取りを最小化・無線区間の断線対策に使用する

DBアクセス処理

・非定型検索とデータサーバのタイプがある・逐次会話処理が多い・非定型検索:・扱う内容は定型しずらく、非定型処理が多い・検索、加工、シミュレーション連携処理が多い

・データサーバ:・SQLなどでDB更新を行う・定型業種が多い・End User Computingでの使用が多い

・大容量データの場合、効率的な圧縮の考慮が必要・逐次会話は接続時間、データやり取りの頻度が高く、現状ではモバイルには不向き・CPU付加の大きなAP logicはクライアントに搭載できない・移動体通信は大容量の扱いは基本的に不向き

・AP分割でClientの負荷を少なくする・メディアあるいはAPに応じた圧縮法の採用を検討・Agentを利用し以下の機能を付加する・移動体通信の断線対策・ServerとClientのやり取りを最小化

配信型処理

・Push型とスマート・プル型がある・Push型:・サーバ側が一方的に配信スケジュールを決定・ユーザは最新の情報を得ることが可能・ユーザの都合は無視される(その時に電源が入っているか、Networkに繋がっているか、マシンのリソースに余裕が有るかなど)

・スマート・プル型:・クライアント側からの要求により配信が開始

・サービスエリア、電波環境に注意が必要・Push型配信技術は、現在のところ各ベンダー独自仕様。標準化については、現在W3C(WWW Consortium)において作業中・センター、ネットワークへの負荷も不明な部分が多い

・プロトタイプ等での見極め

グループウェア処理

・情報共有・各社製品が独自機能、機能の標準化はこれから・情報共有、連携作業をモバイル化するためのミドルソフトが充実しておりモバイル化がしやすい

・電子メール・標準化がなされており導入がし易い・新標準(IMAP4)によりモバイルでの操作性が向上

・先進企業の事例が多く検討がしやすい

・クライアントに過度の負荷となるようなLogicは搭載できない・課題は比較的少なく、グループウェア処理から手がける場合が多い

・AP分割でClientの負荷を少なくする・Agentを利用し以下の機能を付加する・処理の状況を段階的にClientに報告・ServerとClientのやり取りを最小化・無線区間の断線対策

表2 各処理パターンの特徴と課題

本紙4月号では、中部電力、サンデン、日本ユニ

シスの3社のモバイル・コンピューティングの事例を

紹介した。

本稿から2回にわたり、モバイル・コンピューティ

ングを検討する際の留意点を述べる。

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お客様�問い合わせ・質問�

CSC�

OCA・コール・トラッキング�・コール・マネージメント�

OCA�サーバ�

アプリケーション�サーバ� WAN

WAN

OCA:On-Call� Assist system

サービス提供�Daisy-IV

公衆回線�

CSC:Customer� Service Center

アクセス・ポイント�

サービス拠点�

メールサーバ�

IIDS インフォメーション・ハブ�

CUSTOM

技術情報�顧客情報�機器情報�契約情報�PM情報�部品情報�コール情報�

東京データセンター�

カストマー�サービス・�エンジニア�

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ユニシス・ニュース

1998年5月1日第445号

保守サービス向上を目指して情報基盤整備を推進

情報をベースとした経営が展開されている時代、顧客の情報システムは企業活動の最も重要な基盤となっている。情報システムには安定稼働が求められ、万一の障害にも迅速な対応が必要となる。情報システム・ベンダとしての日本ユニシスの責務は重い。こうした要請に対して、日本ユニシスのカストマーサービス(CS)部門では、効率的で高品質な信頼性の高いサービスを提供するために、これまでも情報基盤の整備に努めてきた。その中心となるものが保守サービス情報管理システム「CUSTOM」(CUstomer Service information TOtalManagement system)であるが、さらなるサービスの向上を目指して、CS部門では情報システムの活用をインハウスからモバイル・コンピューティングによってフィールド・サービスの現場にも拡充した。

(図参照)

全国均一なサービス、機動力あるサービスの提供を目指す

当社CS部門のモバイル・コンピューティングは「Daisy-Ⅳ」(Dial up Access to Information serviceSystems Interface Vehicle)と命名している。Daisy-Ⅳの目的は、CE(カストマーエンジニア)の情報武装化を推進することによって、①地域格差のないサービスの提供、②機動力の高いサービスを展開し、顧客サービスの一層の向上を図る点に置いている。また、情報の電子化による携帯資料の削減、報告業務の簡素化などカストマーエンジニアの生産性向上。さらに、電話によるサポート時間の短縮や技術情報の提供手段の効率化によるサポート部署の効率化を主な狙いとしている。

Daisy-Ⅳのバックエンドは、①お客様からのコールに対する障害切り分けやCEの出動を登録するCSC(カストマー・サービス・センター)のOCA(On-Call Assist subsystem)サーバ

②情報提供基盤となるインフォメーション・ハブ(データベース)

③全国の支社・支店(アクセス・ポイント)に設置されたDaisy-Ⅳサーバ

から構成されている。*Daisy-Ⅳの主な機能

Daisy-Ⅳでは、携帯情報端末を保守サービス情報管理システム、総合部品管理システムなどの基幹システムに接続して、コール情報の検索、終了報告、CE移動状況管理、部品の在庫管理、出庫依頼ができるようになっている。また、イントラネット上のWWW上のメンテナンス関連情報を携帯情報端末で入手可能とし、プロダクトの多様化に伴う膨大な資料の携帯から開放される。さらに、携帯情報端末で電子メールを行える機能を備えている。このように、インハウスの顧客サービス情報管理

Daisy-Ⅳの概要

システムが、外出先のカストマーエンジニアにも活用できるように機能が拡充されている。*カストマーサービスの情報基盤の概要

情報基盤の要となるCUSTOMは、主に次のようなシステムから構成されている。①顧客情報(顧客のプロファイル)②機器情報(機種名、設置場所など)③契約情報(保守契約の有無・内容)④部品情報(部品在庫情報など)⑤コール情報(障害受付情報)このほかPM(定期保守)スケジュール情報などが用意されている。また、メンテナンスに必要な技術情報もDaisy-Ⅳの情報基盤として重要な機能を担っている。*Daisy-Ⅳ活用の流れ

Daisy-Ⅳの活用のプロセスは以下のとおりになっている。①お客様からの障害発生コールはCSCに入る。②CSCでは、顧客名、使用機種、トラブル内容などを登録する。

③コール受付スタッフはトラブル内容の切り分けを行い、現場での緊急修復が必要な場合、携帯電話でCEに出動指示を行う。緊急でない場合は登録しておいて、現場作業が一段落した段階でCEが情報を取りにいく。

④CE移動登録を行う。⑤CEは携帯情報端末からお客様の住所、トラブル内容を検索し、現場での修復作業に当たる。現場では契約状況の検索、必要な部品在庫の確認、発注などを行う。また過去のトラブル履歴を検索したり、修復に必要な技術情報の検索も行える。

⑥障害復旧の段階で、修復作業内容、作業時間などを入力し完了報告を行う。これらの作業完了データは今後の品質管理データとして蓄積される。

*システム環境

携帯情報端末は、拡張性・汎用性のあるサブノートPC(ユニシスのAQUANTA LN)を中心にほぼ1人一台および携帯電話で構成し、CEはアクセス・ポイントに接続して情報を取得する。通信方法は、デジタル携帯電話接続、ISDN対応公衆電話または一般加入電話回線を利用している。Daisy-Ⅳでは顧客情報や保守情報などの重要な情報を扱うことから、クライアントPCとアクセス・ポ

イント・プロセッサ間で相互認証する手法を取り入れ、高度なセキュリティ対策を講じている。

これまでの運用を通じて、CEからは次のような評価を得ている。●出先から拠点/サービス・ステーションに連絡しな

くても業務を遂行できる

*作業する機器の契約状況を検索・確認ができるため、契約に基づく保守サービスができる。

*作業に当たって、過去のトラブル履歴が検索できるため、的確な保守サービスができる。

*今必要な部品の在庫検索、緊急オーダーができ、修復作業完了日の即答など、迅速な保守サービスが可能。

*作業完了後、自部署の障害コール状況およびチームメンバーの移動状況が把握できるため、次の予定などを決めることができ、またスタンバイ時間を有効に使える。

●膨大な資料を携帯せずに保守作業ができる

*技術情報、トラブル事例、据え付け調整方法などの情報が入手でき、障害修復が的確、迅速に行える。

●事務所に戻らずに仕事が完結できる

*保守作業終了後、引き続きレポート業務ができるため、業務が能率良く完結できる。

*作業で残ったペンディングは、PM予定を検索し、次回のPMとリンクさせた次の作業予定を決められる。

●顧客満足度の向上

*保守作業の現場で携帯端末を使った対応に対してお客様から好印象を得ている。

運用の評価

今後の展望

40年以上にわたって高い評価を受けているノウハウをシステム化したものである。IMC(Information ManagementCompany/Creator)という企業スローガンに基づいた顧客第一主義の基本理念とするサービスのさらなる高品質化を目指している。次は、NTTのナンバー・ディスプレ

イ・サービスを利用しCTI化した顧客対応窓口のシステムを紹介する予定である。

日本ユニシスでは、こうしたモバイル・コンピューティング環境をはじめ、構築してきた1人一台の情報基盤をベースにさらに強化し、情報活用体制の一層の強化・拡充を図ろうとしている。例えば、計画中の勤怠処理の電子化など全社的な情報共有の仕組みが実現すれば、CEのバーチャル・オフィスの実現も具体性を帯びてくると思われる。日本ユニシスのカストマ・サービス情報基盤は、

カストマーサービス情報基盤

日本ユニシスモバイル・コンピューティングの活用で顧客サービスを向上

カストマーエンジニア支援の情報基盤さらに充実日本ユニシス株式会社

カストマーサービス本部カストマーサービス管理室部長 山田和夫

UN

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金融新時代に対応しシステム基盤の強化相次ぐ

ホストを「ITASCA3800」にレベルアップ

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西武信用金庫では、1990年以来エンタープライズ・サーバ「UNISYS2200/404」をホストに、総合オンライン・システムを運用してきたが、次のような狙いから「ITASCA3800」にレベルアップし98年1月より本番稼働を開始した。●導入の狙い

*処理能力の向上高いコスト・パフォーマンスを持つ最新鋭機の導入による処理能力の向上を図る。*金融再編による合併、共営(共同自

営)戦略への対応金融再編による合併や同金庫ホス

ト・システムを利用した他金庫との共営システムに対応するために基盤を強化する。*時間延長などの対顧客サービス・ニ

信用組合 関西興銀では、UNISYS2200/405(2台)により総合オンライン・システムを運用してきたが、次期総合オンライン・システム構築のインフラとして、最新鋭の「ITASCA3800」を導入し、本年1月から稼働を開始した。●導入の狙い

*インフラの強化ホストのインフラ回りの西暦2000年問題対応を図る。*ビッグバン対応のインフラ整備ビッグバンを見据えた将来システムへのインフラ整備を行う。●システムの概要

①勘定系システムユニシス提供の総合オンラインパッケージR-FASTをベースに最新の機能(収支ペア、PBI接続など)を追加し勘定系アプリケーション処理を行う。②対外系システムファーム・バンキング、ホーム・バンキング対応のANSER1100システム、全銀ファイル転送などを行う。③情報系システム主要顧客管理、金利シミュレーション、渉外支援システムなど。

西武信用金庫

信用組合 関西興銀

ITASCAと本店基幹LAN、営業店(全46店舗)PCとは高速デジタル回線網で接続されている。事務センターには、UNISYS製PCサーバ15台が設置され、全店へのロータスノーツによる情報の共有を実現している。本店内には、クライアント/サーバ・システムを構築し、人事情報システム、給与計算システム、総務部経費システムなどを展開している。また、事務集中システム「DOCS」による手形交換、期日管理、「インターリーフ」による事務規定文書管理システム、「USファミリ」を利用した事務リスク・チェック・システムなどがあり、新ITASCAシステムは、これらすべてのシステムの基盤となる。●導入の効果

携、ホストからパソコンへの処理分散、ホストでのパソコン集中運用管理など、オフィス支援系システムとホストとの有機的結合を実現するインフラを整備する。*西暦2000年問題対応新ホストによる西暦2000年問題対応(2桁から4桁へ)の負荷が、現行ホストに比べて半分で済む。●システムの概要

ITASCAは業務系システム(総合オンライン・システム)の中核として機能するとともに、オフィス支援系(パソコン・ネットワーク)とのPC連携、バッチ・情報系業務の分散化を進める。電子メールによる生産性向上、迅速な経営判断、EUCの推進を目指したパソコン・ネットワークの構築も日本ユニシスが担当し、96年5月から本番稼働を開始している。

ーズへの対応将来的な時間延長において現行ホストではCPU、メモリ、磁気ディスク容量に限界がある。*パソコン・ネットワーク構築への対応パソコン・ネッ

トワークの普及に対応し、ホストとパソコン間の連

●導入の効果

すでに、リアルタイム部分の2000年対応を完了し(98年1月)、業後バッチ処理時間を半減している。●今後の計画(展望)

①ITASCAとパソコン・ネットワークを融合した情報系の再構築。

②オフィス支援系との連携可能な次期営業店端末の刷新を検討中。

①ホスト・システムのインフラ周りの西暦2000年問題対応を完了した。

②今後のリテール業務の進展に向けた大量トランザクション処理が可能となった。

③将来システムへのインフラ整備の第一歩となった。

●今後の計画(展望)

ビッグバンを見据えた将来システムへのレベルアップを検討中である。

1998年5月1日第445号

UN

[業務系]�次期ホスト・システム�

3800

パソコン・�ネットワーク�

・処理能力の向上�・時間延長への対応�・パソコン・ネットワーク対応�・合併/共営対応�

PC連携機能�バッチ・情報系�業務の分散�

・ホワイトカラーの生産性� の向上�・迅速な経営判断�・OA(EUC)化の推進�

電子メール�

[オフィス支援系]�

営業店 端末�

[情報系]�

機能分散�(ダウンサイジング)� 共有利用�

・窓口端末のパソコン化による価格メリット� の享受�・専用機からマルチ端末化�・マルチメディア技術による事務の効率化��

ITASCA

□事務センター�

UNISYS ITASCA3800-22 A号機(ドメインA)�

勘定系システム�(R-FAST)� 勘定系AP

対外系システム�(UNITE)�

ANSER2200ODEX-Ⅱ(全銀ファイル転送)�

情報系システム�(MAPPER)�

情報系DB

CICD(主要顧客管理)�

金利シミュレーション�

渉外支援システム�

統合運用管理システム(COSTAR)�

OKI�FAX-OCR

DCP600(無停止型通信制御装置)�

公衆網�

FB/HB

ANSERセンター�

信組ネット�

ASU�(ホットスタンバイ)�

B号機(ドメインB)�

SAFE2200(ホットスタンバイ・システム)�

開発系�システム� 勘定系�対外系�

�情報系�

TCP/IPデータ転送システム(TAS1100)�

HLC-Ⅱ(ホストLANコントローラ)�

TDM ルータ�CISCO7000 基幹LAN(10Mbps)�

SD&INS64Kバックアップ�

MICS CAFIS

□営業店(全46カ店)�

TDM ルータ�

OKI GPT�営業店システム�

情報系�PCクライアント�

ATM PBI

□ 本店�

TDMUNISYS�(PCサーバ)�Lotus Notes

NetWare

UNISYS U6000/100�(部門UNIXサーバ)�人事情報システム�給与計算システム�総務部経費システム�

PDS構内LANシステム(10Mbps)�

UNISYS A7、DP500総合事務集中�システム�(DOCS)�

手形交換�期日管理�

事務集中業務�

UNISYS USF120事務規定文書管理システム�(INTERLEAF)�

UNISYS USF105事務リスク�チェックシステム�

事務管理業務��

ロータスノーツ�ネットワーク�

UNISYS�(PCサーバ)�Lotus NotesWindows-NT

システム開発�

ルータ�

■信用組合関西興銀

◆93年7月、95年3月の合併により大阪・兵庫・滋賀・和歌山・奈良・岐阜と幅広い営業区域を網羅し、顧客第一主義のもと活躍する信用組合。94年度「財界/経営者賞」を受賞した李 勝載理事長のもと、ユニークかつ活力ある経営を展開している。◆本店=大阪市天王寺区筆ケ崎町2-8◆代表者=李 勝載理事長◆預金量=1兆1,540億円(97年3月末)◆店舗数=46◆職員数=1,029人◆使用機種=オープン・エンタープライズ・サーバ「ITASCA3800」ほか

全体システム構成図

本店全景

本店

ITASCA3800ホスト・システムの位置付け

ビッグバンを控え金融新時代に直面する地域金融機関では、ホスト・コン

ピュータを最新鋭のオープン・エンタープライズ・サーバ「ITASCA3800」にレ

ベルアップし、システム基盤を強化する動きが活発化している。

これは、激変する金融環境に対応するため、総合オンライン・システムの

機能拡充、戦略的情報システムの展開を目指したものである。

■西武信用金庫

◆新都心から中野をコアに多摩西部地区・埼玉県南部に41店舗・27出張所の店舗ネットワークにより、“お客様満足の向上”を事業計画の根幹に据えている。来年創立30周年を迎える。◆本店=東京都中野区中野2-29-10◆代表者= 田幸夫理事長◆預金量=7,100億円◆店舗数=41◆職員数=900人◆使用機種=オープン・エンタープライズ・サーバ「ITASCA3800」

金融情報システム

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ユニシス・ニュース

1998年5月1日第445号

UN

同社はオフィスプロセッサを使って基幹系業務のシステム化を図ってきたが、米田社長から「専門性の高いノウハウを技術・営業の双方でいかに共有できるか。また、社員の情報リテラシを向上できる効果的な手段を考えてほしい」という命題が95年春、企画情報室に与えられた。その結果、「当社は包装設計のためのソフトウェアと技術が売り物の会社である。表計算や電子メールだけでなく、営業担当が仕入れてきた生の顧客情報やビジネス情報、また個々の設計技術者が保有しているノウハウなどを全社レベルで共有できる仕組みを作り、一層お客様に満足いただける包装設計を実現しよう。この情報の共有化のためにはグループウェアが最適と判断し、日本ユニシスの推薦もあってグループウェアの標準製品といえるロータス・ノーツの採用を決めた」(企画情報室マネージャー滝川荘子氏)と語る。

「当初、4年計画で全社展開する予定だったが、変化の激しい時代では悠長すぎると、2年計画に変更」(滝川氏)し、95年10月からノーツ導入の具体的な検

討が開始された。大多数の社員がパソコン初体験となるため、約半年間、社内広報などを通じてコンピュータ・アレルギー払拭のための情報リテラシ教育を実施し、96年2月からサーバやクライアントの導入、ネットワークの構築、データベースの設計に至るシステム・インテグレーションを日本ユニシスに依頼した。ノーツ導入は次の4段階に分けて全社展開が実施された。第1ステップとして「サポートの目が届きやすく検証しすい規模」ということで、96年4月に大阪本社営業部門にサーバ1台とクライアイト(ノート・パソコン)18台を導入し利用が開始された。続いて東京支社、名古屋支社、最終ステップとして97年4月に本社の営業2部門、九州営業所、鈴鹿事業所、同年10月に上海の駐在員事務所にも導入を図り全社体制が整った。「当社にはこれまでノーツ利用のノウハウはなく、運用・開発担当者は私を含めて2名であり、全社一斉にスタ

ートしたのでは混乱を招く恐れがあると考え、段階的に導入した」(滝川氏)。

現在、クライアントは事務職向けのデスクトップ型および営業向けのノート・パソコン合わせて計41台が導入されている。営業担当はノート・パソコンを携帯して出向することを原則としており“全員が使わないと効果がない”というグループウェアの鉄則を実践している。アプリケーション開発は情報企画室が担当した。その理由は「アプリケーション開発もユニシスが行うものと思っていたが、将来のメンテナンスを考えると、自社開発がよいと薦められ、講習会でノーツの開発手法を勉強した。実際の作成面では、ユニシスの専門家にコンサルテーションを受けながら作り方を教わった。結果的に、変更・追加が自由に行える/社内の要求に応えやすい/仕組みに凝らなければ簡単に開発できることなどから、自社開発という方針は正しかったと思う」(企画情報室リーダー中嶋正雄氏)。

ノーツ活用は当初、営業日報、行動予定表、ノーツメールの3種類でスタートし、現在、次のようなアプリケーションが展開されている(画面参照)。*営業日報

日々の営業活動を報告するもので、顧客に関する新鮮な情報を作成者別、部署別に見ることができる。また新規取引先の情報などが入手でき、作成者に対するコメントも入力できる。*行動予定表

当日、週間行動予定などを記載するもので、出張先からも予定を送信するよう指導している。営業担当の行動が正確に把握でき、担当者の予定を調整して会議を設定できる。*公開掲示板

総務からの通達をはじめ、個人レベルで全社に伝えたい情報などを公開している。全員または部署だけの公開なども設定でき、文書類にはサーバの負荷を軽減するため、公開掲示板に添付

ファイルを公開するよう薦めている。*設計処理状況

技術者が設計中の進捗状況を毎日記入しているもので、営業担当はそれを参照して受注した製品が現在、どの進捗段階にあるのか的確に把握できる。*技術メモ

包装設計に関する技術情報を記入、分類しているもので約200文書登録されている。技術者、営業担当が相互に入力したり、コメントをつけられる。*顧客事務マニュアル

ペーパーレス推進のために取引先ごとに異なる事務処理方法をファイル化したもの。*経費精算

標準テンプレート「承認ワークフロー」を流用して作成したもので、交通費などは、この画面に入力しないと精算処理されない仕組みとしている。

事務所でのノーツ活用風景

効果として次の点を挙げている。①情報の共有化とスピードアップ

営業日報などは作成者から中間管理者を経て、トップに到達するまで長い時間を必要としたが、各職層が同じタイミングで閲覧できるようになった。特に拠点を超えた情報入手が格段に向上し、指示のタイミングが的確になった。②横のコミュニケーションの充実

これまで自分の担当以外の仕事には関心が薄かった人も営業日報などで情報を得られるため、横のコミュニケーションが予想以上に緊密になった。特に営業、技術間での情報交流が活発になった。③情報の活性化

社内の情報は公開掲示板で一斉に得られるため、それまで眠っていた情報も気軽に公開できるようになった。

「今後は紙ベースの営業案内を電子化して、ノーツ・データベースとリンクし、お客様の目の前で携帯パソコンからプレゼンテーションできる営業案内ツールを作成したい。また、オフコンで管理されている実績データなどを取り込んで、営業活動に資する情報公開を図りたい」(滝川氏)としている。

大競争時代を勝ち抜く決め手としての情報共有化

ユニシスの支援の下に段階的に全社に拡大

業務に精通した強みを活かしアプリケーションを自社開発

グループウェア・ベースの業務遂行体制が整う

情報共有化と迅速流通で業務効率が大幅に向上

ノーツのメニュー画面

本社

東洋実業包装設計・コンサルティングの専門企業である東洋実業ではグループウェ

ア・システムの活用により、全社レベルでの情報共有を実現し、営業・設計業

務の効率改善はもとより、組織としてのコミュニケーションの迅速化を図っ

ている。

このシステムはグループウェア「ロータス・ノーツ」をベースに構築された

もので、サーバやクライアントの選定、導入、セットアップまで日本ユニシ

スがインテグレーションした。

■東洋実業株式会社◆総合包装・物流コンサルタントとして、工業製品向けの包装設計ならびにその設計に基づいた包装資材販売を主事業としている包装設計の専門企業。◆本社=大阪市淀川区塚本3-6-9◆代表者=米田芳弘社長

◆設立=1951年2月◆売上高=44億円◆従業員数=70人◆使用機種=オフィスプロセッサ「シリーズ8」×4、PCサーバ「AdvantageSVD」×3、PCクライアント×41

グループウェアの活用で全社レベルの情報共有を実現業務の効率改善や意思決定の迅速化を促進

製造工業情報システム

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*提案型企業を可能とする組織体制の

確立

当社の場合、OEM向けライン製品が主体である。一方、純研究開発テーマ(中長期)については、ある特定部門で独自に展開していた。そこで、直近のトレンド商品に対するスピーディな展開を目指して97年から技術部門主導のプロジェクトをスタートし、具体的な取り組みを進めている。

No.1部品づくりの課題は、*受注機会の損失を回避するための開発納期の短縮

*低コスト化(原価の8割は設計で決まる)

*市場クレームやPL問題などにも対応できる品質向上

などである。そこで、2000年までに開発期間2分の1、低コスト化・軽量化30%達成をターゲットに置いている。これらの3つの要件において劇的な改善を実現する方策は、高い目標に向けて、部門間の壁を越えてスピードと正確さが重要となる。そのための仕組みとしては、源流処理、コンカレント・エンジニアリングを導入し、ツールとしては情報技術の

開発技術力の向上策のポイントは、次世代CAD/CAEなど先端ツールの導入にある。当社では、デザインから製品設計・解析、金型設計、アルミ金型設計、アルミ解析/モデリング(開発中)、アルミ解析(BEM:開発中)、成形解析まで、ほぼ一貫して先端的なツールを活用し開発技術力の向上に挑戦している。製品設計・解析の分野では、97年9月にホスト集中型システムをダウンサイジングし、日本ユニシスの3次元統合CAD/CAMシステム「CADCEUS」(キャドシアス)に切り替えた。CADCEUSを、開発技術力強化のためのツール群の核に位置付けており、現在、日本ユニシスを交えて具体的な運用を詰めている段階である。また情報技術の有効利用の面で特にCAE技術の強化が決め手と考えている。そこで、ホイールのハブ面の精度、溶接部へFEM解析を適用し、ハブ面部の精度の確保、溶接部の絶対評価手

徹底的有効活用が決め手となる。例えば、設計段階でのCAEおよびシミュレーションなどの活用による開発期間の短縮(図3)、また、製品設計(応力解析)と金型設計・製作(成形性解析)へのコンカレント・エンジニアリングの導入による低コスト化を期待できる。

法(3次元)、相対評価(2次元)手法を確立しており、フロント・ローディング開発のキーポイントとなるCAE技術の基礎固めも完了している。今後は、各種ツールを新製品開発業務に展開し、実務面での有効性を検証していく。これによって、開発納期、低コスト化、品質の劇的な改善を実現し収益への貢献を目指していく。また、CAEと次世代CADを核とした製品開発技術力をさらに強化し、世界No.1部品づくりに邁進する。

*画期的な開発技術力、特許意識の日

常化

すでに、デザインCAD、FEM(有限要素法)/BEM(境界要素法)などを展開しているが、今後は仮想試作、溶接部解析などに先端ツールの徹底的有効活用とコンカレント・エンジニアリングを進めていく。また、特許意識を高め、公開件数の増加を目指して、ワーキング・グループを発足させている。

1998年5月1日第445号

UN

自動車用ホイール・メーカーを取り巻く環境は、供給過剰、限りあるパイの中でのシェア競争の様相を呈している。完成車メーカーが部品を世界の最適地から調達する傾向が強まる中で、部品メーカーも大競争時代の渦中にある。一方、当社の企業スタイルを振り返って見ると、いくつかの経営課題がある。例えば、①生産販売がOEM中心のため安定堅実型である、②重要保安部品であることを意識するあまり、高

品質・高コスト体質の傾向がある、③原価低減策によって製造現場の改善が進む一方で、ホワイトカラーの生産性向上が遅れがちであるなどである。こうした現状を踏まえて、大競争時代に勝ち抜くには、これまでの受注型から提案型企業への脱皮が不可欠であり、そのためには、“世界No.1部品づくりへの挑戦”が命題であると認識し、一昨年からその取り組みを進めている。

受注型から提案型企業への変革を目指す

No.1の獲得と維持のための要件No.1の獲得と維持のために、①市場(顧客)の情報入手ルートの整備、②顧客の声の客観的な評価、③商品企画に反映させる組織体制、④ライバルに勝つ開発・革新技術力の装備の4点を要件とし、これらの要件をサイクリックに展開していくこととした。 (図1参照)

これらの要件1つひとつに対して自社の組織、体制、ツールなどの実態を分析し、そのあるべき方向性を次のように定めた。*情報入手網、分析・整理体制の確立

デザイン分野では、従来の国内外から担当要員が人海戦術で市場調査情報を収集するのではなく、最新情報をリ

アルタイムに入手できる体制を目指してメディア情報システムを97年9月に稼働させた。これは、デジタルカメラ、ビデオなどのマルチメディアを利用してトレンディな静止画・動画情報を国内外拠点から素早く収集し、デザイン工程以降へ展開するものである。また、設計・生産技術分野では、従来から完成車メーカーによる車両分解展示会、他社ホイール・コレクション調査やタイヤ組付委託品の観察などを実施しているが、突発的で頻度も少なく「見るだけ」「集めるだけ」に終始していた。

今後はターゲットを明確にした上で、計画的なベンチマークを実施することとした。*定量的、客観的な

評価基準の整備

顧客の声(市場情報)を客観的に評価し、自社の弱点を見極めるための判定基準の整備を図った。例えば、自社の商

品力は競合他社に対して優位か、顧客にとって満足できるものかといった評価項目に対して、性能・品質レベル、環境・公害面への考慮、品揃え、法規制対応などの細目にわたって、重要度と評価をポイント付けして自社商品の評価を行っている。 (図2参照)

No.1の�獲得と維持�のサイクル�

開発・革新技術力はあるか�(オリジナリティ)

ライバルに勝つ�

商品企画�(方針、戦略)�何をつくるか�

展開する組織はあるか�

【要件】�

情報入手ルートは�整備されているか�(分析、整理)

顧客の声…不満、要望�(OEM、市販)

自己満足でなく�客観的な評価�(自社の弱点の見極め)

判定基準はあるか�

重要度(I) 高い←�    2.1.0

評 価(E) 良い←�    5.4.3.2.1(l) 性能 (F) → 弱点:見栄え&品揃え�

評価表の例:(対象:◯◯◯◯)

重要度�I

評価項目� 評価�E

計�I*E

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

商品力(F)は競合他社に対し、優位か?�また、お客様にとって満足できるものか?�

合計�

性能、品質レベルはどうか?�

独自性はあるか、つけるか(オリジナリティ)

基本性能は充分か�

見栄え性はどうか(デザイン、意匠、お化粧)

シンプル性はどうか�

互換性はあるか�

安全性は充分か(PL対策は充分か)

環境・公害面は考慮しているか�

品揃えは充分か�

法規性対応はできているか�

3

4

3

4

2

3

3

3

3

2

3

6

8

6

8

4

6

6

6

6

4

6

…� …� …� …�

開発納期、低コスト化、品質の劇的な改善を目指す

3次元統合CAD/CAMシステム「CADCEUS」導入で開発技術力を強化

19カ月��

充実度�

将来�

現状�

企画�

設計�

試作�

量産�

開発期間�

この部分強化�フロント・ローディング�

10カ月�

CAEおよび�シミュレーション�

■中央精機株式会社

◆自動車用ホイールの大手メーカーで、特に乗用車用では国内トップのシェアを誇る。この他、LPGボンベ、コンプレッサを製造。海外事業への拠点整備も積極的で、米国、東南アジアなどに多数の技術拠点を有する。◆本社所在地=愛知県安城市大東町2-2◆代表者=武藤尤示社長◆設立=1939年9月◆売上高=約450億円(97年3月)◆従業員数=1,200人◆主な使用機種/システム=3次元統合CAD/CAMシステム「CADCEUS」、UNIXワークステーション「USファミリ120U」13台ほか。

図3 CAE活用による開発期間の短縮

図1 No.1部品づくりの要件

図2 自社製品の評価付け

中央精機における世界No.1の「自動車用部品づくり」への挑戦

中央精機株式会社技術部技術室 主査 浜田和男氏

IT最前線What's EC/CALS ?(2)

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ユニシス・ニュース

1998年5月1日第445号

流動化業務は銀行関係ではここ数年資産圧縮目的で始まったばかりであり、ビジネスとしてはこれから本格的に取り組みが始まろうとしている。またノンバンクでは特債法の下でやはりここ数年始まったのが現状である。しかし米国の例に習って我が国でも金融

の自由化の進展とともに飛躍的に拡大していくものと考えられる。したがって金融機関などはそのシステム基盤構築の準備を進めることが肝要となろう。日本ユニシスでは、流動化システム基盤の構築をお手伝いできるよう整備を進めている。

上記システムの中でオリジネータが必要となるシステムは①、②、④、⑤と⑥がある。特に①④は必須となるが現行の勘定系システムへの影響が相当見込まれる。

「債権流動化」とは資産をもとにした資金調達の方法であり、別名「資産流動化(証券化)」ともいわれる。その特徴の第1は資金仲介機能のアンバンドリングが挙げられる。審査・(融資)・証券発行・資金集約がその仕掛けの中で分割されている。第2は社債やCPなど債券とは異なり発行者の信用リスクではなく、資産の信用リスクに依存している点である。したがって、流動化債権発行対象企業は大幅に拡大することになる。背景には、「金融の証券化」「資本の効率性重視」「自己資本比率の達成」「新たな資金調達手段および投資商品の提

供の要請」などの大きな流れと、これらを支援する確率・統計理論とその事務処理を具現化するコンピュータ・システムの進展がある。債権流動化の目的には、第1に資産譲渡によるオフバランス化での財務指標の改善、第2にノンバンクや中小企業、ベンチャーなどへの資金調達手段の提供、第3にアセット譲渡による資金調達の資本の効率運用、第4に原債務者の信用リスクの分散によるリスク分散、第5に原債務者の信用リスクによる資金調達コストの低減、第6に新しい投資商品の創設がある。

債権流動化のプレーヤとその役割を図1に示す。簡単にプレーヤの役割を以下に説明する。①原債務者は流動化対象の債権の債務者であり、その地位に影響はない。原債務者からの元利払が流動化商品の元利払の源泉となる。

②原債権者は本スキームによる資金調達者であり、所有債権(原債権)を証券発行専門体に譲渡し資金を得る。

通常は発行専門体から原債権の回収事務を受託する事務管理者となる。

③証券発行専門体は原債権者から債権を譲り受け投資家にそれを担保に証券を発行し元利償還する主体である。形態としてはSPC(特別目的会社)、信託、組合がある。

④事務管理者(サービサ)とはSPVから委託を受け原債権の回収、管理を行う者をいう。

流動化とは原債権のキャシュフローを何らかの変換体を通して投資家へ販売するものであるが、その変換体の方式には大きく3つの形態がある。第1はSPC(特別目的会社)方式であ

⑤証券引受機関とはSPVの発行した証券を引受販売する者で通常銀行、証券会社が行う。ただ、特債法では小口債権販売業者または銀行、信託銀行となっている。⑥証券化アレンジャとは原債権者に本スキーム全体もしくは一部実施の指導、アドバイス、実行を行う者である。通常、投資銀行、証券会社などが行うことが多い。⑦信用補完者は流動化商品のキャシュフローの信用補完をする。通常格付けの高い金融機関などがなる。⑧格付け会社は証券化商品の格付けをする。投資家にとっては流動化商品は仕組みが複雑なため今後の市場拡大を考えると必須となろう。⑨専門家集団とは債権の譲渡、SPVの設立、対抗要件具備、また会計上の計上方法、課税主体、課税対象など、

さらに各主体における事務システムの構築、維持などに携わる者をいう。具体的には弁護士、会計士、税理士、システム・エンジニアなどである。以上述べてきたように仕

組み、プレーヤなど複雑になるが、それぞれの機能別に独立した分野になり得る。

る。原債権者は所有原債権をSPCに譲り渡しその譲渡代金を受領、SPCは譲受債権を担保に証券を発行し、投資家に販売する。第2は信託方式である。原債権を信託

銀行に信託し、信託銀行は信託債権をもとに信託受益権を発行、これを投資家に販売するものである。第3は組合方式である。原債権を匿名組合(商法)や任意組合(民法)に譲渡、投資家は組合に出資してその出資配当を受け取る方式である。いずれの方式であれ変換体に求められる要件には課税透過性、会計上の非連結性、原債権者との倒産隔離がある。実務上の仕掛けとしてはこれらの複合方式が多く見られる。なお現時点では、商法上の株式会社

の設立基準や、原債権の譲渡に関する制約(対抗要件具備方法)、信託受益権の非有価証券扱いによる流通性の制約(一部の例外はある)など種々の不備がある。しかし今国会に上程されている金融関連法案でかなりの分は整備されることになろう。ただ、今後金融関連業務は従来の官の規制のもとに行動する規範から、実際の市場の要請に従って行動し、官に働きかけ新しい規律の制定を促すことが必要となろう。

流動化の実務作業には、第1に原債権の選定・抽出、第2は販売商品の組成・分析、その内訳にキャシュフロー分析、信用補完の設定、格付けの取得がある。第3は法務、税務、会計面の調査と当局との許認可等確認、第4は販売方法の設定、第5は回収、利払・償還者の決定、第6は各事務管理の構築・実施がある。 (図1参照)

実務作業の中で特にコンピュータ・システムが絡む作業を主眼においての流れを図2に示す。債権流動化の生成から消滅までを事務作業から見ると、供給者側にはまず原債権の選定・抽出、組成・分析、商品引受・販売の初期作業と原債権の回収および発行債券の利払・償還の作業があり、需要者側からは、投資・運用がある。またその中間に販売と情報提供の作業が存在する。ただし、現時点では、発行・流通市場ともに未発達のため、販売・情報提供機能は限定されている。

①債権プールの選定・抽出システム原債権の選定・抽出とパフォーマンス・レコードの蓄積・分析がある。②組成・分析システム抽出債権プールからキャシュフロー分析や信用補完などの商品組成を行うもので、システムとしてはキャシュフロー分析が主となる。③証券引受・販売システム通常の社債・株式の引受・販売システムに同じ。④回収・管理事務システム原債権の回収、延滞督促、原債権資産管理(リース)、SPVへの報告がある⑤証券の利払・償還システム原債権の回収金の受入、再運用、証券の利払、償還と異例償還などがある。⑥投資・運用管理システム有価証券の投資・運用管理システムに同じ。⑦情報提供システム新発債、既発債などの情報提供システムで今後の分野である。

UN

事務管理者(サービサ)④�

原債務者①�

元利 支払�

 原債権者②�

(オリジネータ)�

資産譲渡��譲渡代金�

元利払い�

証券発行専門体�

(変換体SPV)③�

証券引受機関�

     ⑤�

証券販売��購入代金��元利払�

投資家�

証券化 ⑥�アレンジャ�

指導,アドバイス� 保証�

信用⑦�補完者�

格付�会社⑧�

格付付与�

専門家集団:弁護士、会計士、税理士、システム・エンジニア⑨�

流動化の手法

今後の対応

組成・

販売時�

原債権 選定�抽出��

オリジネータ�

組成・分析��

引受・販売��

販売�

回収代金��

投資家(需要家側)

⑥�

供給者側�発行・流通市場��

回収・

償還時�

原債務者�

サービサ�(オリジネータ)���

SPV�

SPC/信託(信託�銀行、オリジネ�ータ、その他)�利払・償還事務� ⑤�

アレンジャ�オリジネータ�

信託銀行/証券�会社�

③�②�①��

回収・管理 事務� ④�

⑦�

債権流動化の背景と目的

債権流動化の全体

流動化の実務作業と事務管理

新たな資金仲介機能としての債権流動化について日本ユニシス株式会社

アドバンストコンサルティンググループ プリンシパル 西脇康雄

サービスアドバンスト・コンサルティング・サービス(11)

図1 債権流動化の全体

図2 流動化の目的と調達目標

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全国酒販協同組合連合会(全酒協)は清酒券・ビール共通券を都道府県連合会・地区

組合を通して組合員である酒販店に販売しており、その受発注業務を4GL「LINC」

で開発し、CLEARPATHサーバ「HMP NX4600」により運用している。

従来、電話またはFAXで受け付けていた商品券受注業務をHMPソフトウェアの

1つである「NXWebCOMS」を利用し、各県連とWebによるオンライン受発注シス

テムを稼働させ、事務効率・精度の向上を目指している。また、他業務処理も順次

Web化を図り、各県連および地区組合を情報処理面から支援すべく予定している。

全酒協においては次の観点から今回のシステム化を検討した。①全酒協の事務手続きの変更を伴わないようにするため、既存の全酒協の商品券処理を利用する。②同様に、都道府県連の作業負荷面および業務プログラムの保守面から、都道府県連に業務プログラムを置くC/SS型とはしない。③各都道府県連においては独自にシステム化を進めているところもあるため、混乱を避けるため各都道府県連側では、ユニシス固有の商品ではなく、「業界標準」の商品のみで構成する。そこで、全酒協ではインターネット技術を利用し、既存業務プログラムを変更することなく、ブラウザを入力画面としてリアルタイム・トランザクション処理を可能とする「NXWebCOMS」を採用した。各都道府県連にはAT

●NXWebCOMSとは

NXWebCOMSとは、NX/Webサーバ(HMP NXシリーズのMCP/AS環境で稼働するWebサーバ、HTTP1.0に準拠)のCGIライブラリ・インタフェースを利用し、トランザクション処理をWebブラウザ(例えば、Internet ExplorerやNetscape)からアクセスできるようにする連携基盤ソフトウェアである。NXWebCOMSを利用することにより、ハイパーテキスト・リンク、画像、音声情報との連携が可能となり、既存の業務システムを変更することなく、短期間に、そして容易にイントラネット/エクストラネットで利用することが可能である。リリース1.0では、4GL「LINC」で作成された業務システムを対象としており、3GLへの対応版は今秋リリースの予定である。●ソフトウェアの構造と機能

NXWebCOMSは、HMP NXサーバ環

互換PC、ダイヤルアップ・ルータ(ヤマハ製RT102i)およびブラウザとしてInternet Explorer3.02を推奨し、推奨品またはそれに準じる「標準商品」の採用を依頼する。ネットワーク面では金券情報を扱うため、機密保護を考慮し、イントラネットとした。また、各都道府県連の通信費用の公平を図るため、日本ユニシス情報システム(株)および日本高速通信(株)とのタイアップによる通話料全国一律時間課金のINSネットワークを採用した。

境下で稼働するCOMS(MCP環境上のトランザクション・モニタ)連携CGIライブラリ、メッセージ転送システムおよびクライアント環境下で稼働するHTML変換ツールから成る。*COMS連携CGIライブラリNX/Webサーバと後述するメッセージ転送システムとのインタフェースをとる常駐型CGIライブラリで、LINCシステムから戻されたデータの中間HTMLファイルへの埋め込み機能、Webブラウザからの送信データの編集機能およびログオンからログオフまでのセッション管理機能を持つ。*メッセージ転送システムCOMS連携CGIライブラリと連携して、COMSの仮想端末管理と論理的セッション管理を行う。COMS連携CGIライブラリの要求により、仮想端末の割り当てと解放、仮想の端末IDの管理、入出力メッセージと仮想端末の対応付

けを行う。*HTML変換ツールL I N C画面情報から、

COMS連携CGIライブラリで使用するメッセージ書式情報ファイル、LINCからのデータを表示する中間HTMLファイルを自動的に作成する。●NXWebCOMSの特徴

*クライアント数の拡大専用端末やエミュレータ

がない環境からでも、Webブラウザを使用することで、より多くの利用者が既存業務システムのトランザクション処理を行うことができる。*クライアントの運用管理不要Webブラウザを使うことにより、従来のC/SSに見られる煩雑なクライアントの運用管理は不要。*既存業務システムの変更不要既存業務画面のHTMLへの自動変

換、セッション管理による複数画面の論理的トランザクション対応、そして従来からの端末エミュレータとWebブラウザのクライアントの混在を実現す

ることにより、既存業務システムを変更することなく利用できる。*表現力豊かな操作環境の実現自動変換後のHTMLをカスタマイズし、Webブラウザが持つマルチメディア機能を利用することにより、より豊かな表現力を持った操作環境が実現できる。以上により、NXWebCOMSは既存業務システムを変更することなく、簡便にイントラネット/エクストラネットを実現できる。

今回、全酒協内にて稼働していたシステムを、各都道府県連を対象とした外部向けにするために、4GL「LINC」により開発された業務システムはユーザコード/パスワードによる機密保護機能のみを追加し、その後で、Web化作業を行った。既存のLINCシステムの90画面のうちWeb化の対象となったのは16画面で、各都道府県連からの発注処理、買掛照会および顧客登録処理がその対象となった。Web化作業の内、そのほとんどは自動生成後のHTMLの操作性をより向上させる作業およびHTML変更によるブラウザ画面から処理可能な業務を制限させるためのカスタマイズ作業に費やされ、その標準化を2週間かけて作成した。その例としては、①画面の動きを操作する指示は画面の上部に集中させる。

②操作性を考え、ラジオボタンによる操作を多く取り入れる。

③業務ごとに背景色を変える。などを決めた。HTMLのカスタマイズ作業は1人週で終えることができ、予想していたよりも短期間で終了することができた。このため、Web化作業を開始してか

ら2カ月あまりでWeb化テストおよびネットワーク接続テストを終了し、予定どおり本格運用を迎えることができた。NXWebCOMSのLINC連携処理機能を使った結果、①LINCで開発した既存システムをそのまま使うため、従来と同様の業務システムの保守性を維持できる。

②エミュレータを使わずブラウザを端末として使うため、ユニシスのシステムを未経験のオペレータ、またはPC操作の初心者に対しても操作教育が容易。

③ブラウザの画面からは処理できる業務を制限しているために、全酒協の処理とエンドユーザ処理を区分でき、LINC業務プログラムの変更なしに機密保護機能強化および誤操作防止が容易に実現できた。

など当初期待した結果が確認された。

1998年5月1日第445号

UN

情報基盤構築に向けて

NXWebCOMSの概要

適用と効果

全国酒販協同組合連合会(全酒協)「NXWebCOMS」導入による基幹業務のWeb化

全国酒販協同組合連合会情報システム課 課長 吉田和則氏日本ユニシス株式会社

プラットフォームビジネス部 4GLソフトウェア室 担当部長 山科順一

IT最前線サーバの動向

■全国酒販協同組合連合会

◆組合員(小売酒販店)向けのボランタリー事業を展開している事業協同組合。地方に各都道府県協同組合連合会(46カ所)、地区組合(463カ所)がある。◆所在地=東京都目黒区中目黒2-1-27◆代表者=沢田義也会長◆組合員数=約12万人◆使用機種=CLEARPATHサーバ「HMP NX4600」ほか

全国酒販協同組合連合会�

NX4600

日本ユニシス�情報システム(株)�赤坂センター�

各都道府県酒販協同組合連合会�

テレウェイ INS網�(全国一律料金)

23回線�

ネットワーク監視�

日本高速通信(株)�松戸センター�

256Kデジタル�専用線�

128Kデジタル�専用線�

全国酒販イントラネット網

オンライン受発注システム画面例

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13

ユニシス・ニュース

1998年5月1日第445号

米国の調査会社であるStandishGroupの報告では、米国において1994年の1年間で約17万5,000件の情報システムの開発プロジェクトが実行に移され、2,500億ドルが投資されたとしている。しかしながら、計画どおりに完成したのが全体の16.2%であり、31.1%は終了前にキャンセルされ、52.7%がプロジェクト計画に比較して予算オーバー、納期遅延、機能が不十分などの問題が発生したとしている。予算オーバー、納期遅延となったプロジェクトは、平均して当初予定の約3倍を記録し、さらに当初仕様の全機

TEAMmethodは、インフォメーション・サービスに携わる日本ユニシスの専門家を支援するために開発された方法論であり、情報システム開発のビジネス・ライフサイクル全体(ビジネスの上流から下流まで)を通して、お客様を含めた“チーム”による問題解決を支援するものである。 (図1)

この開発プロジェクトへの参加者を1つのチームとして捉えた“チーム・アプローチ”こそがTEAMmethodの第1の特徴といえる。すなわち、プロジェクト参加メンバー全員の共通の知識・経験のベースと

能に対して平均3分の2程度しか完了できなかったと報告している。一般に、情報システムの開発プロジェクトが成功しない原因は、技術的な困難さを別にすると、①プロジェクト計画とその管理のまずさがあり、②さらにプロジェクトに参加するメンバーの問題の2つに集約されると考えられる。このことは、プロジェクトの管理・運営を行うプロジェクト・マネジメント技術と呼ばれる技術の重要性を強く示唆するとともに、プロジェクト参加メンバーの選択とメンバーが共有できる知識や経験の存在が重要であると考えられる。

なるものといえる。TEAMmethodは、単なるシステム開

発技法でもシステム開発方法論でもない。また、非常に実践的な、洗練されたプロジェクト管理技法を含んだプロジェクト管理方法論を含むが、それだけでもない。これらのすべてを含むと同時にプロジェクトの成果物である“システム”の品質を保証するための活動を支援するプロセスやガイドラインをも連携させた総合的なビジネス方法論といえる。このことがTEAMmethodの第2の特徴となる。

TEAMmethodの開発は、“システム開発プロジェクトを予算内で、納期どおりに、当初の仕様で完了させるのは、お客様と日本ユニシスの共通のゴールである”という認識から出発している。その共通のゴールの達成を可能にするビジネス方法論としてTEAMmethodを開発してきた。TEAMmethodは、チームを基本に顧客のビジネス上あるいはシステム上の課題を解決していくためのプロセスを支援するコンサルティング・ビジネス方法論(コンポーネント名:TEAMplan

/TEAMprocess)を含む。また、大規模から小規模まで、汎用機システムからオープン系のクライアント/サーバ・システムまで、すべてのシステム開発プロジェクトに適用できるように考慮され、特定のツール(CASEなど)に拘束されない柔軟性に富んだシステム開発方法論(コンポーネント名:TEAMdesign/TEAMimplement)を含む。そして、これらのビジネス・プロセスの管理を一貫して支援する世界標準*に準拠したプロジェクト・マネジメント方法論(コンポーネント名:

TEAMprogram)から構成される。TEAMmethodは、過去に積み上げてきた専門技術・知識と世の中で実証された専門技術・知識を集大成し、実際

21世紀を睨んで日本市場の一層の国際化、グローバライゼーションの必要性は

日々高まっている。

このような日本市場の動きは、それを支援し推進する新しい情報システムの需

要を産み、新たな情報システムの開発が日本企業にとって課題になりつつあると

考えられる。必要とされる情報システムを計画どおりの期間で、決められた予算

内で、そして当初の仕様どおりに開発することは、開発を担当する日本ユニシス

のみならずお客様にとっても重要な課題と考えられる。

にビジネスの現場で使用する実践的な方法論である。今後も継続的な改善・洗練を図り、成長していく方法論にする予定である。 (図2)

お客様の広範なニーズに応えるために日本ユニシスは、21世紀のシステム開発のコンセプトを次のように考えている。①システム開発に関わるビジネス領域と中核技術の両方をフォーカスする

②システム開発における方法論としてTEAMmethodを採用する

③専門家を中心とする柔軟なプロジェクト編成を可能とするこのコンセプトを実現するための各種の施策を現在、推進している。TEAMmethodに関しては、すでに全社教育3カ年計画を推進中であり、本年度は同計画の2年目にあたる。また、本年度の組織において、問題解決型のプロジェクト・セントリックな組織体を目指した改編を実施している。TEAMmethodの適用により、日本ユニシスの全社員が共通の統一された手順と方法、技法や支援ツールの適用が可能となり、質の高い均質なサービスが提供できるようになる。また、社員の一人ひとりが方法論を思慮深く適用

することで、仕事のやり方を発展させて柔軟性と拡張性を持たせることも可能となる。この結果、日本ユニシスのカスタマライズのアプローチ(お客様のお客様にフォーカスしてお客様の課題の解決を図る)を通して、お客様に一層の高付加価値サービスを提供できるようになる。TEAMmethodは、お客様に販売する商品ではない。しかしながら、TEAMmethodをベースとしたサービスを日本ユニシスが提供することでお客様の利益の最大化を図れると考える。また、お客様もチームの一員として参加していただき、ご一緒にTEAMmethodを使用して同じゴールを目指すことも可能である。今後の日本ユニシスの展開にご期待いただきたい。 UN

21世紀の情報システム開発とTEAMmethod日本ユニシス株式会社

インフォメーションサービス事業推進部TEAMmethod統括室長 庭山宣幸

IT最前線

情報システム開発の現状

TEAMmethodとは

TEAMmethodの設計思想

日本ユニシスの考える21世紀のシステム開発コンセプト

TEAMmethodは、インフォメーション・サービスに携わるユニシスの専門家を支援するために開発された方法論で、ビジネス・ライフサイクル全体を通して、チームによる問題解決を支援する�

お客様の�マネジメント�

ユニシスの�専門家�

協力会社�

お客様の�エンドユーザ�

お客様の�情報技術担当�

TEAMmethod

TEAMprocess

TEAMplan

ビジネス�プロセス�

プロジェクト�の�定義�

情報化�計画�

情報�システム�設計�

情報�システム�構築�

TEAMdesign

TEAMprogram

TEAMimplement

個別�ビジネス�案件�

プロジェクト・マネジメント�

図1 TEAMmethodとは

図2 TEAMmethodの構成

[注]*TEAMprogramは、世界標準であるPMI(Project Management Institute)のPMBOK(Project Management Body ofKnowledge-プロジェクト・マネジメント知識体系)に準拠している。

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まず日本における正確な数字がなく、B to C*1の日本の市場規模を97年度336億円、2000年で2,000億円と試算し、米国市場はIDC調査値の39億ドルと284億ドルを当てはめると、日米の市場規模差は10分の1、人口比率が1対2なので、1人当たりでみると5分の1と推測される。一方でこの数字は「日本の特殊商慣習が災いし大きすぎる」とする意見と、「既存店などからの販売方法が変わり意外と進むのではないか」との意見に分かれた。市場規模の増加要因として、米国では通信販売からの移行が大きいが、日本ではその8割が女性で、しかも友達同士の商品情報交換や共同購入などのエンタテイメント重視の文化が確立されており、この部分からの増加は難しいのではないか。それとは別にパソコン通信による商品販売実績はかなりのものであり、さらに正確な数字はともかくアダルト系の売上げもかなりのものがある。

市場規模の拡大に伴い懸念される詐欺的行為はどうすればいいだろうか。注文をして代金を払ったが仮想店舗が消えてしまった事件は後を断たない。国際的にセキュリティの弱い国は

②到来するネットワーク社会への円滑

な移行を議論する「ネット社会部会」

③期待されるECビジネス推進の課題

を検討する「EC部会」

の3部会に分かれ、日本語会議と英語

会議が並行して、約2カ月以上にわた

り150名を超えるメンバーで繰り広げ

られました。

以下、EC部会の議論の要旨を紹介

します。

去る3月10日、東京・大手町で「世界情報通信サミット」が開かれました。これは

来るべきサイバー社会の諸課題を世界各地の有識者がインターネット上で議論し、

そのまとめとして開催されたものです。運営に当たっては、日本経済新聞社が主

催し、世界情報通信基盤委員会(GIIC)が後援、日本ユニシスを含む民間企業16社で

組織する世界情報通信サミット推進フォーラムが特別協賛しました。

基調講演に立った米大統領上級顧問アイラ・マガジナー氏は、クリントン、ゴア

正副大統領のメッセージを伝えるとともに、昨年7月1日、米政府が発表した「グロ

ーバルECフレームワーク」は21世紀に世界の産業界が直面するであろう新たな取

引形態を世界規模で規定するものであることを説明。その上で、「民」主導で動き

やすい環境作りを支援することが「官」の役割であるとし、インターネット上での

EC関税「ゼロ」はその1つであると強調しました。

オンライン会議の方は、21世紀に向け本格化するサイバー・スペースの広がりの

中で、

①サイバー・スペース時代が及ぼすアジア地域への影響を分析する「アジア部会」

特に狙われる傾向にあるという。このことは、技術的な問題だけでなく、各国政府が発行する通貨と同様に、サイバー・スペースで行われる電子取引の「信用」という問題をどうすべきかということでもある。公共信用機関の制定、プロバイダの役割、国際的な取締ルール、優良店制度など予防的な方法や民間による多面的な試みが必要である。さらに、早期に試行錯誤を繰り返し結論を導くためにはボランティアの協力や活動が重要との認識が主力を占めた。特に信用の前提になる条件整備が米国の「情報開示と監査、そして自己責任」と浸透しているのに対し、日本の「長期的関係重視」だけでは問題が多い。いわゆる「自主ルール」への取り組みが重要である。自主ルールは法的強制力を伴わないが、実社会ではさまざまなルールに従って市民生活をしている。しかしながらインターネットをめぐる法的な問題点の最大の課題は、国家主権の限界を超えている点にある。法律による取り決めはその国家単位でしか強制力がないがインターネットの場合はそれでは済まされない。ドイツなど独自の規制をすでに実施している国もあるが、グローバルな単位でのルールやコンセンサス作りが急務である。

サイバー・スペースにおける経済行為は、19世紀以来のビジネスの流れを基本的に変えることになる。従来の売り手と買い手の取引形態から、顧客相互間のやり取りが重視され、その中から購入決定がなされたり、製品評価が流布されたり、企業の評価が広まったりする。この「顧客間インタラクション」は今までになかった概念である。顧客同士の関わり(インタラクション)に企業がどうやって関与できるかがポイントになる。徹底した顧客主権、パーソナルタッチ、もっと極端にいえば1人ひとりに違うものを売る「マスカスタマイズ・受注生産」などが重要視された新たな質的変化が起こる。

日本において従来から行われている極めてクローズドな企業間データ通信がおおざっぱに1割程度と仮定し、このような事前契約型の「クローズドなEC」から、事前契約のない完全「オープンなEC」にどうやって進展させるかで議論が白熱した。特に大企業はともかく、中小企業はインターネット化そのものが遅れており、EC化の推進が懸念されること、貿易取引については国際的視野で論じなければならないこと、EDIは一部の領域で物流・商流・決済などのサプライ・チェーンから見た視点が重要であるなどの指摘が相次いだ。さらにB to B*2の実現過程は、インターネットから、イントラネット/エクストラネット、そして産業界全体のネットワーク化をイメージしたワイヤード・カンパニー化に向かい、その過程ではオブジェクト技術の普及が鍵との意見が示された。また一方でプロトコルに関する問題も大きい。EDIではEDIFACTへの統合が進む欧米と日本のCII。さらに米国ではより広範な取引のためにOBI、OTP、ICE、SCORなどが次々に開発され、日米間での大きなギャップになりつつあることが懸念された。

金融商品を想定したECはどうか。金融機関同士のロットの大きいものは別とすると、リテール向けの証券取引やホーム・バンキングが米国並みに

発展するかどうかである。米国の調査では、1件当たりの取引コストがインターネットでは1セント、電話で54セント、店頭では1ドル7セントとホームバンキングのコストの優位性が際立っている。日本ではどうかというと、証券に限ってみれば「eTrade」を行うには、売買手数料の自由化、企業決算の四半期化、企業/アナリスト/株価関連ニュースの提供など整備課題が多く、ざっくり1割の市場と見ても1千億円単位のマーケットが考えられるが、このままでは立ち上がりにくいと思われる。オンライン・バンキング分野では、

ホーム・バンキング(振込・振替・残高照会)にショッピング決済サービスをパッケージにした形が主流になるのではないかとの意見が出された。特に口座振込の発達した日本ではショッピング決済の提供が突破口になる可能性が高く、これがまた電子マネーの普及の道筋になる可能性もある。しかしながら、電子マネーは、一方で注文と同時に代金受領となるため、返品時の逆伝票にかかるコスト高を克服しなければならない。

最後に、ECの発展のために絶対不可欠なもの、それは「信頼」である。物理的なネットワークは技術の進展に伴い、全世界を高速で安価にカバーするであろうが、問題は「信頼のネットワーク」がどう築かれるかである。もともと行われていたクローズドな取引は、このトラスト(信頼)な関係を維持するためのものであった。これらがオープン化された時、その任にあったような経済システムに取って代わるべきものを作らなければならない。「信頼のネットワーク」作り、それが21世紀に向けた我々の最大の課題である。 UN

詐欺と事故時の責任はどうか 

B to Cにおける日米の実質市場規模差は5分の1

エレクトロニック・コマースの新展開構造改革へのシナリオ

世界情報通信サミットEC部会オンライン会議報告日本ユニシス株式会社

新事業企画開発部市場開発室部長 森 洋一

IT最前線What's EC/CALS ?(12)

ECの質的変化と「顧客インタラクション」

期待されるB to B市場

ECと「ホ―ム・トレーディング」

ECと「信頼のネットワーク」

アイラ・マガジナー氏

パネル・ディスカッション風景

[注]*1 B to C:Business to Consumer*2 B to B:Business to Business

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Transaction Service(仮称)、日立製作所のTPBroker、富士通のINTERSTAGE(ObjectDirector)で、クライアントとサーバで異なるトランザクション製品を使い、正常系および異常系合わせて8パターン検証した。IIOPレベルの各社製品の相互運用性については数多く実例があるがトランザクションレベルの製品間の相互運用性としては世界初の成功例になる。今後は今回の実証実験の成果を

OMGにフィードバックしたり、Javaを使ったシステムへの適用など実証実験の機能範囲を拡大するとともに、日本ユニシスのSYSTEMν[nju:](ニュー)など広くトランザクション製品との相互接続実証実験を予定している。[注]*分散オブジェクト推進協議会現在、日本ユニシスなど12社のメンバーで構成されており、CORBA(Common ObjectRequest Broker Architecture)仕様に準拠した関連商品間の相互接続性やアプリケーション移植性などを追求している。

日本ユニシスのソフトウェア開発部新世代システム開発室は、企業情報基盤ミドルウェア「SYTEMν[nju:](システム・ニュー)」の開発・保守に関して国際標準化機構の品質保証規格「ISO9001」の認証を取得した。 (写真下)「ISO9000」は国際標準化機構の定める企業の品質保証システムに関する規格で、高品質の製品やサービスを提供するための品質保証体制が企業内に確立し有効なシステムとして機能していることを国際的に証明するもの。今回、日本ユニシスが認証を取得した「ISO9001」は、設計、開発、製造、据え付け、付帯サービスの管理を含めた品質保証システム。

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ユニシス・ニュース

1998年5月1日第445号

ユニシス研究会は「平成10年度春季全国大会」を、来る6月4日(木)、5日(金)の両日、大阪の都ホテル大阪で開催する。本全国大会では次のような多彩なプログラムが展開される。●6月4日(木):13時半開始

◎総会◎基調講演「冷泉家の歴史と文化-公家文化を現代に伝える貴重な担い手」(冷泉家25代当主、大手前女子大学教授 冷泉 為人氏)◎優秀論文発表*「『製造規格管理システム』の開発-食品製造における部品展開」(伊藤ハム(株) 藤井 洋氏)

*「グループウェアを活用した効果的な品質システムの構築-ISO9001品質システムの構築」(日本フイッツ(株) 山口勝弘氏)

*「並列処理システム(XTPA)における大規模オンラインシステムの負荷バランスの最適化について」((株)コンピュータ・テクノロジー・インテグレイタ 堤 篤史氏/中部電力(株)谷端芳之氏)

*「クライアント/サーバ・システムの構築について」

● 「クライアント/サーバ・システムによる処理分散化のための組織づくり」(ダイハツ工業(株) 白川尊章氏)

● 「より速く、安く、正確な物流を目指して」(ダイハツ工業(株) 朝田卓麿氏)*「お客さま申込工事支援システムの構築について(携帯端末と移動体通信を利用したモバイルコンピューティングの実践)」(中部電力(株) 田中康弘氏/林 博仁氏)

●6月5日(金):9時15分開始

◎日本ユニシス講演日本ユニシスから最新の情報技術動向など5つの技術講演が行われる。◎分科会、会員事例、優秀論文発表*(2200シリーズ分科会)「既存システム資産を活かした段階的なシステム再構築」(新日本コンピューターシステム(株) 小林 誠司氏/(株)日本トラフィックコンピューターセンター小倉尚史氏)

*「新ホストシステム稼働、事務センターLAN構築と新営業店システムの導入」((株)秋田銀行 松渕 秀和氏/佐々木勝憲氏)

*「システム21による人事システム構

築事例」((株)公文教育研究会中江信一郎氏)*「今求められる企業変革と情報戦略-新しい情報軸を考える」((株)ニチレイ浦野光人氏)*「我が社における新人教育-ネットワーク教育の強化」(日本流通システム(株) 雁畑いずみ氏)◎分科会発表*(2200シリーズ分科会)「ISO9000の考え方を利用したソフトウェアの品質管理-チェックリストによる上流工程の品質改善」(第百システムサービス(株) 速水智恵美氏)*(A&NXシリーズ分科会)「グループウェア連携によるAシリーズ及びHMP/NXシリーズの活用-PCからのホストデータのシームレスな公開」(伊藤ハム(株) 徳丸裕晃氏)*(生産システム分科会)「顧客指向時代における生産システムのあり方-マスカスタマイゼーション」((株)コーセー山口 宏氏)*(LINC/MAPPER分科会)「MAPPERによるWebアプリケーション・システムの構築-オンライン・ショッピング・システムに見るその利用価値」((株)昭和システムエンジニアリング荒井健氏/(株)ナカヨ通信機滝川典彦氏)*(教育分科会)「知恵(智慧)の獲得を目指した遠隔教育システムへの提言」((財)ファッション産業人材育成機構恵美和昭氏)◎特別講演*「グローバル情報ネットワークと産業社会」(関西大学総合情報学部教授野口宏氏)*「ビジネスマンの健康を支える食生活」(河野食品研究所長・大阪薫英女子短期大学教授河野友美氏)*「一つのことに一流になれ」(京都大学アメリカンフットボール部監督水野彌一氏)★参加申し込み・問い合わせはユニシ

ス研究会事務局へ

Tel:(03)5546-7366http://www.u-netsurf.ne.jp/juua/

を打ち出しその中核商品となる新・住宅設計PC CAD「DigiD(デジド)」を発表した。「DigiD」はWindows環境で稼働する住宅設計CADシステムで、営業初期段階から工場での部材加工段階までを一貫してサポートするモジュール化したソフトウェアで構成されており、業務形態に則した目的ごとに最適なモジュールの組み合わせを選択できる。主な特徴は次のとおり。①営業支援システムは、順次入力部材を案内するナビゲーション機能など人にやさしいGUIを徹底追求。また営業初期段階で作成のプランは再入力することなく詳細な設計プランへ引き継がれるので全体を通して設計スピードの大幅アップが図れる。

②意匠設計支援システムは、入力の重複を避けるための設計チェック機能を重視したほか、屋根入力における自由性を最大限に高めた。

③構造設計支援システムは、統合構造設計環境として構造計算システムとの連動やパネル作成に至る全段階をフルサポートする。

④統合部材データベースの採用により、部材データやテーブル類は一元管理が可能で、データの維持管理が容易。一方、住宅業総合支援コンセプトは住宅メーカー、工務店、設計事務所などの各業態に応じたビジネス・モデルを分析・体系化し、各種のサービス項目の中からユーザの要件に応じたITサービス・メニューを提供する。「DigiD」の予定価格は「2次元間取りシステム」20万円、「営業支援用図面作成・見積パッケージ」120万円。

分散オブジェクト推進協議会*では、昨年10月の設立以来、分散オブジェクト技術(主としてCORBA)の普及促進と関連製品の相互接続性の実証を主な目的として、各種活動を進めている。相互運用分科会の活動成果として昨年12月に発表したIIOP(Internet Inter-ORB Protocol)レベルの相互接続実証実験に引き続き、このたびトランザクション分科会において、第1回トランザクション相互接続の実証実験に世界で初めて成功した。今回検証を行ったトランザクション製品は、日本電気のObjectSpinner

ユニシス研究会「平成10年度春季全国大会」6月4日(木)・5日(金)/都ホテル大阪で開催

新住宅設計PC CAD「DigiD(デジド)」発表

日本ユニシスは、住宅業界向けに情報技術を活用した総合支援コンセプト

世界初の分散オブジェクト製品(ORB)間のトランザクション相互接続実証実験に成功

企業情報基盤ミドルウェア「SYSTEMν [nju:]」の開発・保守に関し「ISO9001」の認証取得

フェ ア ’フェ ア ’主催:日本ユニシス・サプライ(株) �日時: 5 月 2 6( 火 )・ 2 7( 水 ) 1 0 : 0 0 ~ 1 7 : 0 0   �場 所 : 日 本 ユ ニ シ ス 本 社 内 「ユニシス・プラザ」�展示内容:各種偽造防止用紙など印刷関連製品、 � 自 動 封 入 封 か ん 装 置 な ど �セ ミ ナ ー :「 ビジネスフォームにおけるプライバシー保護」他  �お問合先: T E L . ( 0 3 ) 3 4 3 9 - 7 8 0 0   �

NUSNUS 9898

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発行日本ユニシス株式会社広報部広報室 〒135-8560 東京都江東区豊洲1-1-1 (03)5546-4111 発行人山下宗久 編集人武井 浩 制作ピー・アールセブン 発行日 1998年5月1日 ISSN 0915-051X

近年の国際化、ボーダレス化の進展に伴い国際取引におけるJETROの役割が高まる中、情報の共有、迅速な情報伝達、情報提供基盤の強化を狙いに、1995年に新情報システムの基本計画を策定し、再構築を進めてきた。まず、クライアント/サーバ・システムを導入し、汎用機による集中システムから分散システムへの移行を進め、同時にネットワークの整備、インターネット/イントラネット技術の導入など、基盤整備を進めてきた。検索系システムはクライアント/サーバ・システムに移行する一方、データベース処理およびバッチ処理には安定性、信頼性、拡張性の面で汎用機が優ると判断し、オープン・システムに対応できる業務用(汎用機)サーバを導入することとした。情報システム室長 森 詩郎氏は、

「貿易統計、政府調達情報などに関わるバッチ処理のためには、高い信頼性とスループットが要求される。またエンドユーザがネットワークを介して蓄積された情報を柔軟に引き出し、有効

業務用サーバの選定に当たり、JETROでは、政府調達手続による入札方式とし、入札は総合評価方式で次のようなプロセスで、総合評価点/入札価格の最も高い提案社をを落札社とした。①概要仕様の検討

まず、汎用機・周辺装置および搭載されるソフトウェア、さらに搬入・据え付け、運用支援に至るまで、各社か提出された詳細な概要仕様を検討し、また提案企業からの意見も参考にしながら、最終的な概要仕様を決定した。

活用できるようにするために国際標準、業界標準に準拠するオープン・システムを実現できるシステムでなければならない。そこで、こうした要件を満たすものの中から業務用サーバを選定することとした」と語っている。

②機能証明書/ベンチマーク・テス

ト結果の評価

概要仕様をもとに各項目にわたって評価ポイントを決め、機能証明書、ベンチマーク・テスト結果をもとに最終的な落札社を決定することとした。この結果、日本ユニシスが入

札において提案したCLEARPATHサーバ「HMP NX4600」が総合評価得点で最高点をマークし、採用された。評価できることとして、次のような点を挙げている。*ベンチマーク・テストをクリアし、コスト・パフォーマンスが最も高い

*従来型の汎用機としてシステム的に安定的に利用でき、信頼性、拡張性に優れている

*ネットワーク、データベースに関わる最新のオープン・システムの利用が可能

*端末を含め、提供製品がすべてUNISYS製品で、一元的な対応ができるため安心して利用できる

HMP NX4600の当面の適用業務は貿易統計サービス、国別経済貿易情報システム、政府調達情報サービスなどに関わるバッチ処理である。貿易統計サービスは、毎月約6,000

品目について日本、米国、EC各国の相手国別の輸出入状況をデータベース化し、オンラインで提供するサービスである。また、国別経済貿易情報システムは世界101カ国・地域の経済、貿易、投資関係の情報を国別・項目別に構成したデータベースである。また、政府調達情報サービスは、毎日、官報に掲載される調達情報のオンライン・サービスである。業務用サーバは、これらのサービスに必要な膨大なデータをロード用データへと加工し、クライアント/サーバ・システムに送り込む役割を持つ。また、貿易統計で未加工の原データは時系列化して業務用サーバに蓄積する。この貿易統計は量が膨大であり、データの保全に信頼性が要求されるため、HMP NX4600に置くことにしたHMP NX4600は、本年1月から稼働を開始しており、順次本番運用に入る予定である。森 詩郎氏は、「国際化が加速する中で国際取引に役立つ情報提供のために、インターネット/イントラネットなどの最新技術を駆使して基盤強化を

JETROでは新業務用サーバの導入に当たり安定性、信頼性、拡張性、さらにオープンシステム対応を要件として掲げた。「HMP NX4600」は、次のような先進技術によって対応している。*無停止連続処理支援機能による信頼

性の確保

コンピュータ資源、ネットワークを二重化し、障害の検知と回復を自動的に行う機能を備え、データベースのバックアップ、資源の有効活用を実現している。また、アプリケーション異常の自動回復、バックアップ・データベースによる処理の実行、データベース再編成時間の短縮、ディスク・ミラーリングなど障害に幅広く対応できる支援ファシリティを完備している。さらにディスク障害の発生にも、ミラー構成メンバーの障害に対し、予備ディスクを使ってミラーディスクを自動的に再編成するなど、システムの耐障害性を一層向上している。*最新のオープンシステム技術

HMP NX4600は、オープン系アプリケーションを稼働させる「WindowsNT環境」と、汎用機アプリケーションを稼働させる「MCP/AS環境」を連携して稼働するシステムである。また、PCクライアントとの間でのアプリケーション連携が可能である。さらにHMP NX4600の環境下にあるディスクやCD-ROMをWindowsNT環境の共有資源として使用したり、Windows環境のファイルやプログラムをHMP NX4600のディスクに保存することができる。

さらに進めていく。貿易統計、政府調達情報のシステムは幅広いユーザに活用されており、業務用サーバは重要な役割を果たすものである」と語っている。

1998年5月1日 第445号

JETRO急激に進展する国際化に対応するために情報・通信基盤の再整備を進めて

いる日本貿易振興会(JETRO)では、情報システムをクライアント/サーバ型に

再構築した。これに合わせてデータベース処理、大量バッチ処理を担うサー

バ機の更新を図り、これまでの汎用機に替えてユニシスのCLEARPATHサーバ

「HMP NX4600」を導入した。

この選定に当たってJETROでは、政府調達手続による入札方式で厳正な評

価を行い、最高点をマークした、日本ユニシスの提案システムに最終決定し

たものである。

■日本貿易振興会(JETRO)◆財団法人海外市場調査会を前身として、諸外国との調和のとれた貿易の発展を図るために、1958年、政府全額出資の特殊法人として設立された。世界各国および日本各地の事務所ネットワークを通じてそれぞれの時代の要請に対応しつつ、諸外国との貿易・経済交流の促進にまい進している。

◆本部所在地=東京都港区虎ノ門2-2-5◆代表者=豊島 格理事長◆事務所数=国内33、海外56カ国・1地域79◆従業員数=約1,300人(国内約600人/海外約700人)◆使用機種=CLEARPATHサーバ「HMP NX4600」

国際化のさらなる進展に備え情報システムを再構築

CLEARPATHサーバ

サーバ機の充実を図り「HMP NX4600」を導入

社会公共情報システム

UN

集中型から分散型へオープンC/SSの利点を追求

◆社外からの寄稿や発言内容は、必ずしも弊社の見解を表明しているわけではありません。

公開入札による総合評価で「HMP NX4600」を選定

データベース処理/大量バッチ処理に「HMP NX4600」の高機能を活用

オープン時代のCLEARPATHサーバ「HMP NX4600」

森 詩郎氏

JETROに設置された「HMP NX4600」